~人馬宮ガイセリウム・イグニスの天空神殿~
「イグニス様、一大事でございます! 女神ヴァナディースが……」
「敵の懐に潜り込み、女神暗殺を成し遂げるか。まさに勇士の鑑。私達の完敗だな」
「誠に……申し訳ありませぬ……」
「過ぎた事だ、気に病むな。それより、双魚宮に派遣した者達の首尾はどうだ?」
「はっ、そちらは、息子様方が政治手腕にて見事成功されました。
ヴァルキュリアに代わる
『死の導き手』は、シャイターンが務める事となりましょう」
「ならば、今回の人生も少しは意義があったという事か。
では、最期にもうひとつだけ、遺してゆくとしよう」
「まさか、このような失態をした私達を、御身の贄としてくださるのですか!?」
「私に仕えてくれたお前達の恩、それに報いぬ訳にはいかぬ。
……これより、お前達全員の力と命を代償にガイセリウムを機動、暴走させる。そして、東京中心部で私達もろともガイセリウムを
『自爆』させるのだ。死した東京都民のグラビティ・チェインは、エインヘリアルにもシャイターンにも、良き実りをもたらすであろう。
さあ、共に来るが良い。
イグニスの死に同道した名誉、汝らが一族の栄誉として、末代まで語る事を許そう」