爆殖核爆砕戦

■第1ターン結果

●仔孕みの花獣
 一際大きな体躯を有する花獣達のボスの前に、リーア・ツヴァイベルク(紫花を追う・e01765)達は辿り着いていた。
「見つけた……こいつが、群れのボスだね」
『仔孕みの花獣』と呼ばれる攻性植物達は、ユグドラシルにとって、地球の植物で成長点と呼ばれる部位に相当している。
 同時にそれぞれの攻性植物として、デウスエクスとしての性質を持っていた。
 この事実だけでもユグドラシルという存在は異質だが、
 大手門のあった場所から地下へ侵入した黄鮫師団は既に遭遇していたが、獣達の嗅覚は地球上の狼などのように鋭くは無いらしい。
 あくまでも姿を模しているだけのようだ。
 花獣達は鳴かず、食事を摂らず、眠ることもない。
 だが、他の攻性植物との間での意思疎通には問題が無いらしく、侵入者を巧みに狩りたてて来ていた。

 ケルベロス達を見つめる花獣のボスの獣面に、憎しみの相が浮かぶのをリーアは目にしたように思った。
『我らの成長を邪魔立てはさせぬ!』
「さすがにボスぐらいは知性があるか……」
 獣の喉奥から唸るような声が上がったのに軽く驚いたのも束の間、周囲で光が溢れ出す。
 迷宮の壁に、天井に潜んでいた獣達の喉から、眩い光があがっている。
 光は眩い熱線へと変じ、ケルベロス達は、押し包むように襲い掛かって来る攻性植物達との戦いに突入した。

「ユグドラシルの一部だって構いやしねぇ! 神の前には等しく食材と化すんだぜ」
 ヤクト・ラオフォーゲル(銀毛金眼の焔天狼・e02399)は、引っ張ってきた屋台で飛び掛かって来る小花獣を振り払うと、グローブに覆われた腕を叩きつける。
 植物で出来た外皮を突き破った拳を敵の体内で開き、かきむしるようにして引き出すと、手には甘い香りのする蜜のような液体がこびりつく。
「花獣って名前だけのことはあるな。さぁ、お前ら、楽しい狩りの時間だぜ!」
 ヤクトの声に『碧鷹師団』の旅団員達が歓呼の声をあげる。
『小賢しい!!』
「おっと、早速狩られたいのかよ!!」
 その体躯に見合わぬ素早さで壁を蹴り、ケルベロス達の喉笛を一人でも多く噛み破らんとする花獣達。
 その後方で攻性植物を指揮しながら、花獣のボスは、ケルベロス達へと熱線を叩きつけて来ている。
 ヤクトはその動きに合わせるようにして、拳を突き出した。
「テメェの臓腑。その全て、貪り喰らう餓狼の顎門に沈め」
 花獣が熱線を放とうとした瞬間、ヤクトの両腕から放たれた地獄が、狼の形を取って花獣の喉奥へと突き進む。
 花獣の中へと飛び込んだ地獄の狼は、花獣をその胎内から貪り食った。
 後に甘い蜜だけを残し、花獣の姿は消えていく。
「消えちまったか。ユグドラシルの一部って話だったが、こいつらは再生しないんだな。さて、戦場飯の提供といきますか!! あの蜜とか何か使えねえかな?」
 倒した花獣や攻性植物の残留物に目をやりつつ、ヤクトは思案するのだった。

●マスターブラン
 輸送ヘリ型巨大サーヴァント『ヘリオン』から降下したケルベロス達は、攻性植物に侵食された大阪城の、高高度侵入ポイントに降下すると、そのまま虹天爆殖核の戦場へと歩を進めた。
 琵琶湖と淡路島で戦った多くのケルベロスの活躍がなければ、無敵の樹蛇ミドガルズオルムにより、この地点への効果作戦は不可能だったろう。
 つまり、攻性植物にとって、この地点への強襲は想定外であり……その向かう先には、本来は多くの戦場を制圧して進軍しなければ攻略が不可能であった『虹天爆殖核』があるのだ。
 この降下作戦こそが、この戦いの勝機であるのは間違いない。

 一方、自らが守る爆殖核に攻め寄せるケルベロスの軍勢を見て、星霊戦隊アルカンシェルの指揮官であった、マスターブランは目を細めた。
「ケルベロスか、確かに良く訓練された戦士ではあるようだな」
 彼の目には、ケルベロスと、かつて愛した弟子達の姿が重なったのかもしれない。
 星霊戦隊アルカンシェルを葬り去った憎むべき敵ではあるが、憎みきる事はできない。
 それは、カンギ戦士団の一員となり、戦士団の仲間達との友情と信頼を得た事による、心の変化であったのだろうか?
「勇敢なるケルベロス達よ、我が不肖の弟子アルカンシェルを討った力を、見せて見なさい」
 マスターブランは、まるで師範が弟子に稽古をつけるように、手にした槍を蹴り飛ばし、ケルベロス達を薙ぎ払った。
 更に、爆殖核を守るべく配置された強力な攻勢植物達が、マスターブランと共に、ケルベロスに襲い掛かると、ケルベロス側は一時的に劣勢に立たされた。
 マスターブランと、そしてマスターブランが指揮する攻性植物の軍勢は、確かに強敵であったのだ。
 想定外の方向からの強襲に対して、粘り強く抵抗し、個々の強さだけでなく、仲間と共に戦う絆の力、そして爆殖核を守護するという鋼の意思とが、その強さの源であったのだろう。

「ごめんあそばせ」
 そんな激戦の中、メアリベル・マリス(グースハンプス・e05959)は、マスターブランにスカートの裾をつまんで、一礼するとルーンアックスを振り抜いた。
 小柄なメリアベルならではの低い位置からの攻撃を、スターブランは、なんとか回避するも、白銀の鎧には幾つもの亀裂が走り、ダメージは蓄積されていく……。
「お前の名は?」
 戦いの中、マスターブランがメアリベルの名を問う。
「あら、ご挨拶がまででしたね。私は、メアリベル。そして、彼が、私の護衛のミスタ星詠ですよ。ミスタ星詠、やっておしまいなさい」
 メアリベルの言葉に、星詠・唯覇が「さぁ、行くぞ!」と、流星の煌きと共にスターゲイザーを放つ。
「だが、無駄だ」
 マスターブランは、その攻撃を身を捻って回避するが……その動きこそが、唯覇の目的であった。
 マスターブランが気づいた時には、小柄なメリアベルの体が高く高く跳躍している。
 落下の勢いのまま、ルーンアックスは振り下ろされた。
 2人の信頼が生んだ絶妙のコンビネーション。
 この攻撃はかわせぬと理解したのか、マスターブランは、迫り来るルーンアックスと、メアリベルの小柄な体から溢れる闘志をその身で受け入れる。
「信頼と友情による連携攻撃……。私を葬るに相応しい技だ。最後に良き敵に出会えた子とを感謝しよう。
 あの子達も、お前達のようなものに敗れたならば、悔いは無かっただろう」
 マスターブランは、そう言い残し、メリアベルのルーンアックスにより頭部を砕かれて絶命。それと連動するように、この戦場の爆殖核がケルベロスたちの攻撃で虹色の閃光と共に爆砕して消滅した。
 ケルベロス達は、無事1つめの爆殖核を爆砕に成功したのだった。
 残る爆殖核の数は5つ、その全てを爆砕すべく、ケルベロスの戦いは続く。

●スターヴェール
 侵攻するケルベロスを迎撃する攻性植物達。
 その中に、攻性植物を指揮するエインヘリアルの少女、スターヴェールの姿があった。
「お前は、星霊戦隊アルカンシェルの一人だったな? なぜ、カンギの手下になっている?」
 戦いながら、そう問いただす英・揺漓(褪紅め絲游・e08789)に、カンギ戦士団のスターヴェールは、あっけらかんと答える。
「オーズの種が原因だよ。カンギは、オーズの種の痕跡を辿ってボク達を呼び寄せたんだ」
 彼女の先輩に当たる星霊戦隊アルカンシェルは、攻性植物であるオーズの種を利用した作戦を行っていた。
 ならば、その計画がレプリゼンタ・カンギに察知されるのは、それほどおかしくないのかもしれない。
「つまり、洗脳されて利用されているわけか? だが、俺の前に立ちふさがるならば容赦は無い。焼き尽くしてやろう」
 揺漓は白衣をたなびかせ、左右の棘でスターヴェールを牽制し、追い詰めていく。
 スターヴェールは、洗脳という言葉を聞きとがめて、頬を紅潮させた。
「ボク達カンギ戦士団とカンギは信頼と友情で結ばれているんだよ。その絆を、洗脳なんて言うのは許せない!」
 そういい募るスターヴェール。
「だから、それが洗脳だと言っているのだ。洗脳によって得られた信頼と友情に意味など無い」
 揺漓は、スターヴェールの言葉をそう切り捨てると、体に炎の華を纏わせ始めた。
「問答無用。今こそ、咲かせてみせよう、大輪の花を……」
 その言葉と共に、炎を纏った揺漓は舞い踊るように、拳と蹴りの連打をスターヴェールに浴びせかける。
 スターヴェールの実力では、その連撃を受け止める事は適わず、次々と繰り出された打撃と炎の前に打ちのめされていく。
「九曲連舞……。お前の命を絶つ技の名だ、死出の土産とするのだな」
 そして、揺漓が攻撃を終えると同時に、スターヴェールは力なく戦場に倒れ伏す。
「ボクも、先輩もマスターブランに出会って、星霊戦隊アルカンシェルになった。カンギ戦士団も一緒だよ。そうだよ……ね」
 縋るような瞳で揺漓を見つめた後、スターヴェールは燃え尽きるように消滅していったのだった。

→有力敵一覧

→(2)爆殖花獣軍(27勝4敗/戦力1300→0/制圧完了!)

→(3)純なる愛の師団(3勝3敗/戦力2500→2170)

→(13)虹天爆殖核(36勝13敗/戦力1900→0/制圧完了!)

→重傷復活者一覧

→死亡者一覧

■有力敵一覧

有力敵 戦功点 現状

仔孕みの花獣
540
(2)爆殖花獣軍:Battle1にて、ヤクト・ラオフォーゲル(銀毛金眼の焔天狼・e02399)に倒される。

マスターブラン
1050
(13)虹天爆殖核:Battle1にて、メアリベル・マリス(グースハンプス・e05959)に倒される。

スターヴェール
360
(13)虹天爆殖核:Battle2にて、英・揺漓(褪紅め絲游・e08789)に倒される。

戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

戦闘結果を取得しています。しばらくお待ちください。