ケルベロスブレイド

竜牙兵『ドラゴンスレイヤー』   
〜惑星ドラゴニア・アルクス・ディ・フォエデラトゥス〜

 最も思慮深きドラゴンの一柱、辺境伯レスタシア様。
 ドラゴニア十盟主より『竜業合体(りゅうごうがったい)』の命を受け、私が参りました。

 戦いの記憶、喰らった血肉……。
 ドラゴンはそうした「過去」を取り込み進化する、究極の戦闘種族であらせられます。
 が、究極であるが故に、殆どのドラゴンはゲートを通ることができません。
 ただ、レスタシア様もご存知の通り、ひとつだけ「例外」がございます。
 力強きままゲートを通る事も可能とする、全ての道理を捻じ曲げる禁断の法。

 それが、竜業合体。
 同族であるドラゴンを喰らい、常軌を逸した力を手に入れる事。
 最強であるが故に、ドラゴンの皆様は成長に途方も無い時間を要します。
 同族で喰らい合うという事は、すなわち種族の「未来」を喰らう事。
 戦いに勝ったところで、偉大なるドラゴンの光明たる前途は失われましょう。

 ですが、レスタシア様の仰る事に、十盟主も同意しました。
「ゲートを失えば、未来など無い」
 故に、ここにドラゴン548柱の骸を持参致しました。
 いずれも、地球の一切を尽く滅する力を持ちながら、レスタシア様、ドラゴニアゲート、そして地球の同胞達の為に死を選んだ、偉大なる勇士達です。

 この決定がくだされた以上、もしゲート防衛に失敗すれば、次は「星の海を渡る為」の竜業合体が行われる事でしょう。それは「失われた我が主」の如き存在を生み出すでしょうが、ドラゴニアに棲まうものの殆どを喰らう事となりましょう。それだけは、その終局だけは、避けなければなりません。