ケルベロスブレイド
ダモクレス『終末機巧』カタストロフィ
〜晴海埠頭要塞・『バックヤード』中枢部〜
……過ぎたる力は身を滅ぼす。
如何に『五大巧』と呼ばれようが、私にキングのような苛烈さがあろうか。
ハール王女のような、身を焦がす程の野望があろうか。
ドラゴンの如き暴力も、死神の如き神秘も無い。
そして何より、ケルベロス達のような心さえ、持ち合わせては居ないのだ。
……私に、彼等ほどの力は無い。
だが、やらねばならぬ。私は、それを為すべき立場に就いたのだ。
死神の集めた力は、未だ東京湾に満ちている。
僅かでも『魔竜王蘇生』の目があるならば、必ずやドラゴン勢力はやってくるだろう。
第二王女ハールも、決してこの機を逃しはするまい。私との密約は全て、この日の為にあったのだからな。
……改めて、己を戒めねばならぬ。
ルーン文字の入手のみを命じられた私が、これよりやるべき事は。
ケルベロスにドラゴンを差し向け、エインヘリアルを利用し、死神を唆しながらも、彼等に一切の報奨を与えず、全てのグラビティ・チェインを騙し取り、総面積1500平方キロメートルの東京湾全てを『マキナクロスに変える』こと。
私の力は僅かなものだが、動き出した歯車に逆らいはしない。
超神機アダム・カドモンよ、私に幸運を授け給え。