ケルベロスブレイド

螺旋帝の血族「イグニス」
~惑星スパイラス・螺旋大伽藍第百五十六之院~

 スパイラスに籠る特権階級とはいえ、流石は螺旋忍軍。
 躊躇なく地の利を捨て、己等が忌み地と呼ぶ場所に飛び込むとはな。
 確かにそれは、私の手を逃れるにも、忍軍を束ねるにも、最善の手段のひとつであろう。
 権謀術策に長けた螺旋忍軍に対する私の勝機は、やはり単純な火力のみか。

 だが既に、必要な物は手に入れた。
 これだけは、例えレプリゼンタ・ロキであろうと盗み出せぬ。
 私はこれを手土産に、粛々と交渉の準備を進めるのみ。

 さてあとは、ケルベロスがどう出るか。
 もはや全ての策謀は、地球を中心に回るが必定。
 ならば彼らは必ずや、私が予想もしない方法で喰らいついてくるだろう。
 未来の絵図面は不明。だが、それで良い。
 冥府に財は持ち込めぬ。ならば私は、持てる全てで己が魂を燃やし尽くすまで。