第５話「遮幸神ジャブ」

■オープニング

　全ては、遮幸神（しゃこうしん）ジャブの陰謀だった！
　奴の目的はただひとつ、「詫び石をじゃぶじゃぶさせる事」。
　ただそれだけの為に、幾多の世界を創造し、破壊してきたのだ。
　浮遊大陸ブルーグラウンド、2016年東京、アイドルステージ、海洋地球……。
　君達は、全ての世界の記憶を取り戻した！
　そして君達は、共に戦ってきたカード達……その名も「無限のシルバーブレイカー」と共に、邪悪なる神ジャブに立ち向かう！

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　遮幸神ジャブは、己の前に３体の護衛獣を解き放った！
　こいつらを「全て」撃滅しなければ、ジャブを攻撃できない……！

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■参加勢力を選択してください

(1)『無敵大帝ザンギャバスうえむら』を倒し、ジャブをぶん殴る

　遮幸神ジャブの分身体である、純粋なる暴力と狂気のキマイラ皇子と戦います。圧倒的に強いが白痴なので、「シルバーレイン」のカード達が使用する「メガリス」により、容易に動きを制限する事ができます。
※執筆担当：うえむら

(2)『生と死を分かつ真壁』を倒し、ジャブをぶん殴る

　この世の生と死を分かつ絶対存在、別名「デスマスター」と戦います。ありとあらゆる生命をたやすく殺す事ができますが、「エンドブレイカー！」達はほぼ死なないので非常に有利です。
※執筆担当：真壁真人

(3)『大空を覆う一本三三七（いちもとしめた）』を倒し、ジャブをぶん殴る

　世界の大気そのものである魔龍と戦います。大気なので殆どの攻撃は効きませんが、ドラゴンであるため、「無限のファンタジア」のカード達は「ドラゴンウォリアー」 に変身でき、戦闘力10倍で戦えます。
※執筆担当：一本三三七

(4)ジャブに味方する

　この期に及んで、これ選ぶ……！？

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■リプレイ

●無敵大帝ザンギャバスうえむら
　先制攻撃を決めたのは、高村・圭司（いつもニホンオオカミ・d06113）であった。
「能力者を８人召喚し、鉄鎖ドローミ、レージング発動！　代償は、すべてカード使いである俺が引き受ける！」
　使用者の周囲に死の運命を巻き起こす代わりに、ありとあらゆる存在を縛り付ける人狼騎士の鎖。
　それは、力の通用しない特殊攻撃に馴染みのないザンギャバスうえむらには、まさしく最高の攻撃方法だった。２本の鎖は瞬く間にザンギャバスの肉に絡み、ボンレスハムの如く巻き上げていく。

　しかし。
「肉食え肉！　もっと食え！　死ぬほど食え！」
　戦場に似つかわしくない叫び声と共に、遮幸神側に寝返った水戸・飯人（分厚い腹のタフガイ・d10000）が、トラックに載せた大量の肉、肉、肉の山を、もりもりとザンギャバスに食わせていった。
「じゃぶじゃぶより、しゃぶしゃぶだろうが！」
　カッコイイ！　しかも多分値段は同じぐらい！
　それはともかく、肉をもりもり食ったザンギャバスは、カード使い達の眼前でみるみるお太りあそばされた。鎖が切れることは決して無かったが、急激な肥満によって対象の表面積が増えた事で、全身に対する拘束の割合が減ってしまったのだ。

「ふしゅるるる、お前ら、コロス！」
　激昂したザンギャバスうえむらは、ものすごい迫力で猛然とカード使い達に迫ってくる！
　その前に、唐突な粉塵爆発と共に敢然と立ちはだかったのは、久保田・龍彦（惨殺ナイフの刀剣男子・e19662）であった。
「お喋りからすの紅茶攻撃を食らっとけ！」
　と、熱々の紅茶を浴びせかける龍彦。
　そのメガリスはそうやって使うものではないが、なんとこの紅茶には、脂肪を分解する超トクホの効能があった。本能で思わずごくごくと飲んでしまったザンギャバスうえむらの肥満体が、みるみるうちにスリムになっていく。

　そして、
「イベントありがとうございます。そして死ね！」
「痛いの痛いのもっと痛くなれ」
「はははははっ！」
　仲間もちょっと引いてしまう、カードも何もあったもんではない浅川・恭介（ジザニオン・e01367）の鉄パイプ攻撃により、あわれザンギャバスうえむらは血の海に沈んでしまうのだった。
　あっ、ちなみにザンギャバスうえむらはあと１回の変身を残していたのだが、
「ねりわさび、へそにねりわさびをっ！」
　事前に「まーそんな奴いないだろー」と思って何となく設定しておいた弱点を、謎の執念でピンポイントに突く大上・さとり（恋を夢見る白狼天使・e15358）によって、変身したモンスターザンギャバスうえむらも、倒されたのだった。

「ちょっ、あの無敵大帝があんなあっさり！　あれ、ジャブ様の手下って詫び石じゃぶじゃぶで最強なんじゃねえの？　……しまった、こりゃバナナ食ってる場合じゃねぇか？」
「逃がさん！　一度従った以上は最後まで戦え、この三下が！」
　何となく逃げようとしたところを遮幸神ジャブに却下され、しぶしぶ手持ちのデッキで戦おうとする難駄芭・ナナコ（マジカルバナナ少女バナリーナ・e02032）を、先行した２人のカード使いがが取り囲む。
　まずはそのうちのひとり、鉋原・ヒノト（駆炎陣・e00023）が仕掛ける。
「男子４人女子４人召喚！　男女ペアになってそれぞれバナナとジャブを攻撃！」
「おっと！？　幾らなんでも、半分の戦力でこのナナコ様は倒せないぞ……ぐがっ！」
　カード達に向けてバナナの皮を投げつけようとしたナナコだが、身を食べる一瞬の隙を突かれ、密かに背後に回ったもう一人、鳳・紗夜（大学生シャドウハンター・d08068）の一撃で、あえなく気絶してしまう。

「私は今日、偶然お休みだったから参戦出来たけれど……」
　カードを召喚しながら、ゆっくりと遮幸神ジャブに歩み寄る紗夜。
「予定が全部無駄になっちゃったじゃないの！」
　怒りの叫び声と同時に、カード達がジャブの両手両足を抑える。
　そして、紗夜がその手にしたものは……。
「まさか、まさかそれは……」
　それを目にした瞬間、急激に怯える遮幸神ジャブ。
「あちゃー、それはやめて差し上げて……」
　思わず目を覆うヒノト。
　そう、遮幸神ジャブは、紗夜の【バリカンソード】によって、残り少ない髪の毛（だれが残り少ないねん！）をむしゃむしゃと毟られてしまったのだ！

「あ～れ～！」
　情けない声を上げながら、遮幸神ジャブは「生と死を分かつ真壁」の方に吹っ飛んでいった……。

●生と死の境界
　おぞましい触手が無数に集まり、醜悪な巨人となったかの如き姿の異形。
　それが強大なる邪悪の一つ、『生と死を分かつ真壁』であった。
「デスマスター……世界の命運を左右する事件が起きる時必ず現れ、その名を見聞きしただけで発狂する人間が多数出るというあの伝説の存在……」
　丁寧な説明台詞と共に、月雲・悠一（紅焔・d02499）がごくりと喉を鳴らす。
　数多の世界にて、数多くの死をばら撒いて来た存在。
　もっとも、それを真に操っている存在は『無敵大帝ザンギャバスうえむら』と『大空を覆う一本三三七』なのだが──。
　そんなことは、灼滅者やケルベロス達の知ったことではなかった。
　大体、直接手を下しているのはこいつである。

　まずは、四御神・清楓（懶惰のスーパーハッカー・e07644）が前に出る。
「お前の弱点はちゃーんと調べて来たかんね。お前には攻撃出来るのかい？　こんな可愛い美少女たちを。例えお前が許しても、わたしが絶対許さねーかんな」
　四御神・清楓（懶惰のスーパーハッカー・e07644）の指示を受け、彼女のデッキの美少女達が生と死を分かつ真壁の前でもじもじする。
　だが、そんな行為は真壁の前では無意味であった。

『フィーネ２７歳ッテ美少女ナノカ……？』

　そんなツッコミと共に、最悪な光線が放たれる。

『男女平等行殺光線──連続放射』

　繰り返される光線によって、巻き込まれた冒険者能力者使役ゴーストサーヴァントその他諸々が描写なしで殺されていく。
　だが、清楓は死んでいなかった！
　なぜならば、彼女はカードの美少女達に守られていたからだ。
　悪魔憑き・フィーネ（c00324）を含む美女達は、自分達の死のエンディングを破壊できる存在、エンドブレイカー達だったのである。

　終焉を終焉させる者、その名はエンドブレイカー！
　誰かの瞳に映る悲劇の「エンディング」を破壊するべく、彼らは戦う！

「何だかとても強そうなお人ですが……このカードさん達ならどうにかできますでしょうか？　何だか倒しても倒しても死ぬ運命を破壊しそうなカードですけど……」
　月見里・和（朧月・d09905）が、エンドブレイカーのカード達を頼もしげに見つめる。
「っていうか、なんか唐突に『これまでのあらすじ』モードに入って弱点を誤魔化そうとしてません……？」
　鬼屋敷・ハクア（雪やこんこ・e00632）が時間差突っ込みを入れる。
「昨日エンドブレイカー終わっちゃったの寂しい明王として、あなたを倒します！　少しは余韻に浸らせて！！」
『オワビ……モウシアゲマス……』
　素直な謝罪であった。
　詫びと共に詫び石がボロボロと零れ落ちるのを、ジャブ側についた灼滅者やケルベロス達が拾い集める。そう、敵は真壁だけではない。詫び石をじゃぶじゃぶする魅力に取りつかれた者達もまた、ジャブ側に味方していたのだ。
「戦う毎に攻撃力が倍々となってく破格の最強クラッシャーがガチャ実装されたから大金注ぎ込んで回し当てたのに二時間経たない内に産廃に格下げされた上に詫び石が貰えなかったので詫び石は欲しいの。せ　つ　じ　つ　に　！」
　ハズレなキャラを引いたことに慟哭をあげる榊原・結慰（四劫の翼・d28565）。
　ヴェルサーチ・スミス（自虐的ナース・e02058）もまた、詫び石の魅力に心を侵された者の一人だ。
「詫び石をじゃぶじゃぶ……じゃぶじゃぶ……それはまだガチャができるということなの？ じゃぶじゃぶさせたいですイエェーイ！！　詫び石があればなんでもできる！　みなさん、よくかんがえてください……ここで勝っても負けても……いっしょなんや！　コンプリートシタイ……カードヲアツメタイ……セイギトハ、ウゴゴゴゴ 詫ビ石ハヨ！　ガチャラセロガチャラセロ！」
　圧倒的な狂気が、灼滅者やケルベロス達の精神を汚染していく。
　これもまた、ガチャの暗黒面なのだろう。
　だが、その醜態は一人の男の正義の心を目覚めさせていた。
「おれはしょうきにもどった！！」
　さきほどまで詫び石が欲しいからと悪側に味方していたシグマ・コード（フォーマットメモリー・d18226）が、それを誤魔化すように叫んだ。
　まさに人の振り見て我が振り直せである。
「真壁を倒せば、死亡フラグを折れるということだな？　是非もなし、全力でエンドブレイカー！させてもらうぜ！！」
　シグマをはじめ、エンドブレイカーのみで構成された真壁対策デッキを整えた者達は、勇んで真壁に挑みかかっていく。
「数は力って言うよなぁ遠慮無く囲んで棒で殴るぞ！！」
「課金なんて傲慢よ！ただの自己満足だわ！　無課金が如何に戦略性に満ちているか、教えて差し上げなきゃね！」
　七夕・紅音（心壊少女・d34540）はエンドブレイカー！のカードを率い、襲い来る触手を片っ端から薙ぎ払っていく。
　攻撃対象追加（プラスワン）、攻撃対象追加（プラスワン）。
　攻撃を繰り返すエンドブレイカー達の通り過ぎた後には、触手は一本も残らない。
　無限に威力を上昇させていく対複数攻撃。
　それこそ、エンドブレイカーの攻撃面での真骨頂である。
「いくよ！　デスマスター！　最後はボクたちが必ず勝つ！」
　真面目に攻撃を繰り出し、真壁の脅威に立ち向かう樹・咲桜（蒼風を舞う子猫・d02110）。
　かたや、アリーセ・クローネ（掴魂の吸血姫・e17850）はあんまりまっとうな手段で戦う気はなかった。
「生と死を分かつ真壁、貴方の真の弱点は解っているのよ」
　彼女は、エンドブレイカーカード達全員に宝具『食べやすいように設計されたチューブ型の容器に入ったシャーベット菓子（商標につき名前だせませんので商品名でアイテム申請来たら却下しますよ）』を所持させて突撃させたのだ！！
「一つや二つじゃ済まさないわ！　多種多様な味！　適度な溶け具合！　湯だった頭を冷やし、疲れた頭に糖分を供給する宝具の力を受けてみろぉぉぉおぉぉおお！！」
　アリーセだけではない。
　大量の『食べやすい（略）』を持ったエンドブレイカー達が、巨大な口に、次々と宝具『食べ（略）』を叩きこんでいく！
　追い打ちとばかり、楼・晶（黒迦・e08450）は真壁に精神攻撃を仕掛ける。
「ニニギアメツチと大空を覆うものを倒されてラズワルドとコノハナサクヤワカツヒメも生きててねえどんな気持ち？　ねえ？　ねえ？」
　お淑やかで社交的、図書館の隅の方で本を読んでいるのが好きとは晶本人の談だが、そんなキャラクター性を台無しにするような精神攻撃であった。
『ヲヲヲヲヲン……』
　エンドブレイカー世界にあまり死をもたらせなかったことを悔やむかのような呻き声と共に、真壁の姿は次第に薄れ、消えていった。

「……でもマスターデモンの一件で大量にエンドブレイカー死んだ気がするんだけど」
「自分で殺してないからじゃないですかね」
　難儀な存在であった。
　もしかすると、ここで倒してもまた復活し、さらなる死をばら撒くのではないか。
　そう思いつつも、晶は後方に浮かぶ遮幸神ジャブを見据え、高々と跳んだ。
「や、やーめてよ、ちょっ」
　頭頂部の生え際への攻撃に、遮幸神ジャブの口から悲鳴があがった。

●大空の戦いと、遮幸神ジャブの最期
　遮幸神ジャブが解き放った魔龍、大空を覆う一本三三七。
　大気とはあって当然のもの、だが、無ければ生物は決して生存できない必要不可欠のもの。
　そのような存在である魔龍を果たして倒して良い物だろうか？
　無敵大帝ザンギャバスうえむらや、生と死を分かつ真壁は、明らかに存在が悪に偏っている。
　だが、大空を覆う一本三三七という存在は、悪では無く中立の存在で間違いないだろう。
　その中立の存在をフルボッコにするのはいかがなものか。
　そのような葛藤があったのか無かったのか。
　あらゆる世界で、勇者であり騎士でありアイドルであり戦艦として戦った者達は、ドラゴンウオリアーの力を全開にして、大空を覆う一本三三七に殴りかかった。

「我は、大気を支配せし魔龍である。我を殺せば、この世界から大気は失われ、あらゆる生物は死滅するであろう。戦いを止めよ、離せばわかる」
　大空を覆う一本三三七が、ドラゴンウォリアー化した無限のシルバーブレイカー達に呼びかける。
　だが、その言葉に耳を傾けるものはいなかった。

「服装違い３パターン含む。必殺ドラゴンウォリアーデッキっ！」
　皇帝の名を持つ３カードを主力とする全カードドラゴンウォリアーのカードで殴りかかったのは、クゥ・シャミナード（命火招来・d02496）。
　その一撃は、暴風となり大空を覆う一本三三七に襲い掛かる。
「無限の時代の戦士達よ。ドラゴンの力とともに。さあ、お願い。力を貸して。詫び石バブルに浮かれてじゃぶじゃぶしてしまった屈辱を晴らしましょう！」
　シア・メリーゴーラウンド（実らぬ王冠・e06321）も、少しの反省と、たくさんの怒りと共に大気と同一たる魔龍を切り裂いた。
「俺はこの瞬間、速攻魔法強欲な廃課金者を発動！ 全ての詫び石を使用し最高ランクの無限のファンタジアカードで貴様を物理的に殴る！」
　寺本・蓮（運命誤報のお兄さん・e00154）の容赦ない一撃は、実体の無い筈の魔龍を物理的に破壊する程である。
　ドラゴンウォーリアーの圧倒的火力は伊達では無いのだ。
　逆に、ナディル・アイオライト（告死天・e16891）は圧倒的な物理破壊力ではなく、空気を読むニンジャ力を駆使する事で、大空を覆う一本三三七の急所を探り当て、強力な一撃をお見舞いした。
「愛と課金は必ず勝つのです」
　その言葉の通り、ナディルの一撃は重く痛かった。
　そして、
「何時も楽しく遊んでいますありがとうございますパンチ！」
「これからも面白いものを作ってくださいキック！」
「でもそろそろケルブレにジョブチェンジ実装すべきアッパー！」
　藤林・シェーラ（コットンキャンディ・e20440）が繰り出す３錬撃は、大空を覆う一本三三七が回避できない特別な攻撃となりダメージを積み重ねていくのだった。

　こうして、次々と炸裂する必殺技の数々に、魔龍は深甚なダメージをその身に受け、再生不可能な負傷が大気を蝕んでいく。
　まず、北極圏のオゾンホールが急拡大した。
　更に、大気中のＰＭ２．５の濃度が急上昇した。
　その上、大気の有毒化により花粉症の症状が大幅に悪化するように変化していく……。
　このまま、攻撃を続ければ、大気中の酸素が全て活性酸素に変わるくらいの事は起こるかもしれない。
　だが、それがどうしたというのか。
　よく考えれば、この世界は、遮幸神ジャブの世界。
　どうせ滅ぼす世界であれば、大気など無くなっても構わないでは無いのだ。

「大空を覆う一本さんは体が弱いのでドラゴンウォーリアの力でぶん殴って焼き払う！」
　もはや遠慮は無用と、茶屋・真咲（アルマキナリア・e01809）も本気を出して魔龍をぶん殴る。
　体が弱いというのならば、少しは手加減するべきだろう。
「終わらせよう。来い、終わりなき幻想の住民達！」
　太刀津・手徒（手向けの徒花・d25230）もまた、全てのカードをドラゴンウォーリアー化する事で、大空を覆う一本三三七への特効を得ると、その皮膚を剥いていく。
　あまりの痛みに、大空を覆う一本三三七がのたうち回る。
　その隙に、大空を覆う一本三三七の背に飛び乗った尾中・水香（機人のグルメ・e04981）が、とある歌を歌ってダメージを与え続ける。
　それは、いろいろな意味で危険な攻撃であった。

　更に連続で叩きつけられた、必殺の攻撃達。
　魔龍、大空を覆う一本三三七の輪郭はだんだんとゆがみ、遂には泣き出しそうな程に弱弱しい姿へと変わっていく。
　特に、腰のあたりが重傷で、次に首のあたりも負傷があるようだ。
「なんで、ボクを苛めるの？　ボク、何も悪い事してないよ。悪いのは、全部、うえむ……じゃなかった、遮幸神ジャブなのにっ！」
　体中が痛いと泣き叫ぶ魔龍、大空を覆う一本三三七の姿を哀れに思ったのか、エル・ハワーグラス（雨の音・e03399）が慈悲の心を持って最期の一撃を放った。
「無限のファンタジアは私の原点で思い出でした。だから、なんかこう絆っていうか、ゆうじょうぱわーで吹き飛んでください！」
　魔龍、大空を覆う一本三三七は、エルの最期の攻撃によって綺麗さっぱり絶命し、シュルシュルと音を立てながれ風船が萎むように消え去っていった。

　そして、大空を覆う一本三三七を滅ぼした者達の前に、最悪の邪神、遮幸神ジャブが姿を現す。
　これからが、最期の戦いの始まりなのだ。
　既に、多くの仲間達にボコられ、ダメージを与えられていた遮幸神ジャブであるが、詫び石をジャブジャブさせる事によって回復し、ある程度戦えるまでに回復している。
　更に、独特の戦闘ポーズも健在であるようだ。
　まずは、遮幸神ジャブが口を開いて戦いの開始を宣言した。
「まず、お前達に言っておく。ゲームは遊びでは無いと」
　その言葉と共に、遮幸神ジャブに味方する者達がわらわらと現れる。
「ここで我が勝利すれば、この無限のシルバーブレイカーは、４月２日以降も、もう少しだけ続くんじゃ。どうだ、我に味方したくなったろ？」
　そのジャブの言葉のジャブに少しだけ揺らいだものもいたようだが、全く揺らがないものが大多数であった。
　特に、日向・向日葵（向日葵のオラトリオ・e01744）は、魔龍との戦いが終わってスッキリしたらしく、気分爽快で攻撃を開始する。
「靄が張れてすっきりしたァッ！ やーいジャブ！　今からボクとカードがお前をぶんなぐるよ！」
　向日葵の一撃は、ジャブの横っ面を張ったおす。
　さらに続けて、
「ハゲ野郎！！侘び石！もっとよこせぇぇぇぇ！！！」
　と、銀山・大輔（のんべんだらりな青牛おじさん・e14342）が巨体から繰り出す右ストレートで、撃ちぬいた。
　ジャブとストレートではストレートの方が威力が高い。この一撃には、さしものジャブも膝が笑ってしまったようだ。
　勿論、この隙を見逃さす、ピアディーナ・ポスポリア（ポスポリアキッド・e01919）ではない。
「膝に来てるよ、年なんじゃない？　そーれ『ゼロタイム・ドラゴンウォーリア・バレット』、打ち抜けっ遮幸神ジャブ！」
　ピアディーナの攻撃は、狙い違わず遮幸神ジャブの胸元を打ち抜き更にリロードして連続で射撃を続ける。
　邪神である遮幸神ジャブもたまらない。
　更に、
「このハゲ頭ぁ！薄毛頭ァ！！」
　と南條・夢姫（朱雀炎舞・e11831）が、精神を抉りながら攻撃を重ねた。
　夢姫に続いた、ステラ・アドルナート（勇ましき狂奔・e24580）は、ジャブジャブした詫び石によりソシャゲ脳になりかけていた鬱憤を晴らすように、魂の乗った攻撃でジャブを攻撃し続ける。
　諸悪の根源、遮幸神ジャブを殴ることに躊躇いは無い。
　というか、殴っていると、日頃のストレスが解消されるようだ。
　詫び石をジャブジャブつぎ込んで生み出した最高のデッキによる、最高の攻撃。
　それは、この戦いを締めくくるに相応しいものであったろう。

「みんな自分の気持ちになれよ！ もっと詫び石欲しいんだろ もっとガチャしたいんだろ」
「なぜだ……なぜなんだ！ なぜ戦う！　なぜ争う！ オレも！　お前も！　ジャブも！　皆、廃人じゃないか！」
「まだ、引きたい人がいるんです。あの人が出るまで！　私は！　ガチャを！　引くのを！やめません！！」
「べ、別にジャブに味方するわけじゃない！ ただ、人類の意思と戦いたいだけなんだ、勘違いするなよ！
　遮幸神ジャブを守護せんとした、上里・もも（高校生人狼・e08616）も、五代・拓海（番外男・d18352）も、ソルリトス・アンディガ（幻陽の雫・e01985）も、楪・千夜（黄泉軍・e22564）も、この攻撃の前に次々と撃破されていった。
　もはや世界は、遮幸神ジャブを必要としていないのだ。
　明日以降の現実は、もしかしたら詰まらないかもしれない。
　地に足のついた堅実な暮らしは地味かもしれない。
　しかし、遮幸神ジャブの誘惑にに負けて、遮幸心をジャブジャブさせてしまえば、その詰まらない暮らしさえも、簡単に破綻してしまうのだ。
　そして……。
　今日一日、お疲れ様でした。
　そんな、万感の思いをのせて、リコリス・ラジアータ（錆びた真鍮歯車・e02164）が拳を振り上げた。
「遮幸神ジャブ。私の攻撃は、あなたを殺さない。あなたの暗黒面のみを殺す。みなさん、私に光の力をわけてください！」
　リコリスの呼びかけに、皆が、リコリスに手を差し伸べる。
　皆の差し伸べた手から、光的なものが飛び、リコリスの腕に宿る。
　そして、リコリスが放った右斜め４５度から打ち出された光の一撃は、流星となりて遮幸神ジャブを貫いたのだ。
　それだけでは無い。
　貫かれた傷口から、流星の光が体内へと侵入し、暗黒に満ちた体内を浄化しようと暴れまわっていく。

「まさか、この我の暗黒の心が浄化されようとしてるだと！」
　そのまま光に身を委ねれば、綺麗な遮幸神ジャブに生まれ変わる事ができたかもしれない。
　だが、
「認めぬ、認めぬぞ、我は、遮幸神ジャブ！　最強最悪の邪神なりーーー！」
　遮幸神ジャブは、それを拒否し、自らの暗黒エネルギー全てを流星の光にぶつける事を選んだ。
　暗黒エネルギーと流星の光は対消滅を起こし、遮幸神ジャブは完全に消滅し消え去った。

「今回は我の負けだ。だが、お前達が課金へのこだわりを忘れた時、ふたたび我は蘇り、詫び石をジャブジャブするだろう。それまで、せいぜい、平和になった世界を謳歌するがいい」
　最期に、そういい残して──。

　ジャブの体の中から、滅び去った無数の星々が飛び散り、砕け散った世界は元に戻っていく。

　ありがとう灼滅者、ありがとうケルベロス！
　そしてありがとう、無限のシルバーブレイカー！！

　今日という日のことは、４月１日の２４時まで語り継がれるであろう！！

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→(1)『無敵大帝ザンギャバスうえむら』を倒し、ジャブをぶん殴る
　（参加人数：528名　合計戦闘力：63612185　/勝利！）

→(2)『生と死を分かつ真壁』を倒し、ジャブをぶん殴る
　（参加人数：677名　合計戦闘力：81555140　/勝利！）

→(3)『大空を覆う一本三三七（いちもとしめた）』を倒し、ジャブをぶん殴る
　（参加人数：426名　合計戦闘力：51613207　/勝利！）

→(4)ジャブに味方する
　（参加人数：290名　合計戦闘力：35114908　/敗北……）