●カフェストリートへようこそ!
「へえ、今年もいろんなカフェがあるわね……こっちは、執事と……ママ? あ、このランダムドリンクバーっていうのも面白そうね。それと……え? 同人誌も売ってるの?」
天目・なつみ(ドラゴニアンのガジェッティア・en0271)は、パンフレットを片手に、カフェストリートに来ていた。
お仕事が終わったら、もう少し楽しむつもりだが……。
「その前に、まずはちゃっちゃとお仕事終わらせちゃいましょ!」
なつみの手には、結果が書かれた書類が握られている。
そう、今年の投票結果が……。
「……でも、その前に、ちょっと食べてもいいわよね?」
味見は大事と言わんばかりに目を輝かせて、なつみは最初の店へと向かったのであった。
●第3位:ゲームと喫茶『GoraQ』(
遊び場:GoraQ)
なつみが入っていったのは、二つのゲームが楽しめる喫茶店――ゲームと喫茶『GoraQ』だ。
「ハイ&ローと、合計点数を範囲に収めるイレブンヒットっていうゲームが楽しめるんだ」
面白そうと看板を見ていると、奥の方からひときわ大きな声が聞こえた。
「ディークスさん、凄いッス! 自分も負けてられませんッスよ!」
葛乃葉・子規(呪いを紡ぐホトトギス・e03808)は、ディークス・カフェイン(月影宿す白狼・e01544)が、『ハイローヘブン』で、高得点をたたき出したのを見て、声を上げていた。
「初っ端から幸先が良いな。楽しめたよ」
ディークスは良い結果を出せて、嬉しそうに笑みを浮かべている。
カウンター席では。
「わあ! ピザトーストです! 美味しい! ……あ、ミケには、ちゃんとキャットフード買ってあるから大丈夫ですよー!」
肩に乗せていたミケと呼ばれた猫にそう声をかけるのは、松隈・綾佳(家出少女・e87222)。
「……イレブンヒットのクリア報酬の特製アイスとほろ苦コーヒーゼリーでも貰おうかな……、ドリンクは別注文としてお任せで……」
「はーい、いらっしゃい。ゲームお疲れ様! ステージ2まで攻略おめでとう! アイスとコーヒーゼリーと、カフェラテだな。どれもお手製だから楽しんでくれよな」
立花・恵(翠の流星・e01060)は、トガ・バニシス(放浪の武装収集家・e04911)が注文したものを運んでくる。
そう、彼がこのカフェを仕切っている団長なのだ。
どうやら、かなり盛況な様子。他にもテイクアウトも行っており、時折、持ち帰っていく者の姿も見えた。
「……このウェディングドレスのモデルのバイト一緒に行ってくんない?」
「流石に注文をしろぉぉーっ! そ、それに流石にウェディングはちょっとな、やっぱこういうのは特別だしさ……」
平・和(平和を愛する脳筋哲学徒・e00547)の無茶な注文にくわっとしている恵のところに、つんつんと突く者が一人。
そう、なつみだ。
「こんにちは! 恵さんよね? アナタのカフェが見事、3位になったわよ! というわけで、おすすめくださいな!」
「え? あ……こ、こんなときに言われるとは思わなかったから……えっと、ちょっと待ってね!」
慌てて恵は厨房へと入っていき、テイクアウトを持ってきた。
「紅茶とクリームシューに、苺ショートを入れておいたよ。よかったら食べてね。それと……ありがとう」
「わあああ!! ありがとう!! アタシからもありがとうよ!! 美味しくいただくわね」
嬉しそうに受け取って、ご機嫌にカフェを後にした。
●第2位:飲茶cafe -Feather-(
-Feather-)
歩いている間に、先ほどもらったショートケーキとシュークリームをバッチリおなかに収めて、なつみはご機嫌に次の店へと入っていく。
「いらっしゃいませー!!」
出迎えるのは、客に出来立ての点心を運んでいく幸・鳳琴(精霊翼の龍拳士・e00039)だ。
「とっても賑わってるわね。アタシもいいかしら?」
席に座って、エビ蒸し餃子と幸家の茶「ほっと」を楽しんでいる。
「鳳琴ちゃんお疲れ様。昼飯貰いに来たよ! ……お、中華っぽいメニューが来たな!」
渡羽・数汰(勇者候補生・e15313)の前に置かれたのは、熱々小籠包(肉汁とスープ)とシューマイのセットだ。
「ちょっとボリュームがあるもの頼んじゃったかも? でも、あつあつのオムライスには勝てませんわ……!」
そういって、ルーシィド・マインドギア(眠り姫・e63107)は、眼鏡を曇らせながら、ふわふわとろりのオムライスをはふはふと美味しそうに食べている。
そう、ここは美味しい飲茶にケーキも楽しめる飲茶cafe -Feather-だ。
「わあ……美味しそうデス。いただきマス。………ンー、ぷりぷりとして美味しイ。エビの旨味もきいていテ、見た目も綺麗ですネ」
エトヴァ・ヒンメルブラウエ(フェーラーノイズ・e39731)もまた、はむはむとぷりっぷりの触感が堪らないエビ蒸し餃子に舌鼓。
「おいしー! ごま団子の香ばしさってたまりませんよね。飲み物も頼んじゃう……!」
肉まんに噛り付き、その後、ぱくんとごま団子をいただいているのは、華輪・灯(春色の翼・e04881)だ。追加で冷たい麦茶をいただいて、元気いっぱいになっている様子。
と、その隣では、ちょっと変わったものが。
「プリンだね……でも動いたように見えた…ような?」
かなりレアなシルさん特製のうにうにぷりんを注文出来た霧崎・天音(ラストドラゴンスレイヤー・e18738)は、ちょっと困惑しながらも、ちゃんと完食していった。
「……さてっと、美味しくいただいたし。すみませーん、お勘定おねがーい! それと……」
「はーい、今いきまーす!」
そういって、なつみのところにやってきた鳳琴に、お勘定を手渡したうえで。
「カフェストリート、2位、おめでとう! アナタのカフェが選ばれたわ!」
「えっ!? 本当ですか!?」
なつみの言葉に、鳳琴は驚きながらも、嬉しそうな笑顔を見せたのだった。
●審査員特別賞:** No Rain, No Rainbow **(
イステの歌)
なつみがストリートを歩いていると。
「……あ、あれ? 雨?」
まだ小さな粒だがこれでは、濡れてしまう……そう思った矢先だった。
花で飾られた荷台の中に、様々な傘を並べ、ひとりの傘売り……いや、マニ・ディノーゼ(断章・e86466)が通り掛かった。
「手製の傘はいかが? 記念に1本、君にあげよう」
御代は不要と微笑んで、傘を渡すと背を向ける。カラカラと、荷台を引く音が遠ざかるにつれ、次第に雲は去り、空は明るさを取り戻し……。
「ちょ、ちょっと、ちょっと待ってっ!!」
危うく結果を伝える前に遠ざかってしまうところだった。マニを呼び止め、その手を引いた。
ここに来るまで、沢山の言葉をマニは受け取っていた。
「雨への備えって大切よねっ。うふふ、可愛い傘がいっぱいね。ねえ、あなた。私にぴったりな一本を選んでもらえるかしらっ?」
遠見・冥加(ウェアライダーの螺旋忍者・en0202)は、マニが選んだ傘を受け取って、嬉しそうに笑みを浮かべ。
「幅が広めで柄の長い傘はあるかな。……うん、これが良さそう。頂くよ」
ペン・ハー(外見詐欺・e36902)は、角ごと覆える渋い緑の傘を開き、中を見て目を見張る。そこには晴れの草原が描かれていたから。
「おろ、いいのかい? ありがとにゃあ。それじゃあ……この、おっきな傘にしようかにゃ。大人二人でも使えそうなサイズの!」
大きな傘を開いて、音琴・ねごと(虹糸のアリアドネ・e12519)は、泣きたくなるような夕暮れが広がっているのに驚いている。
「ではこの紫陽花柄のものを。……わわっ、中は綺麗な青空! これをさして歩いたら、気分も上がりそうです」
ありがとうございますと、呉羽・楔(黎明の薄紅葵・e34709)も喜びの声を上げていた。
「はぅー空色の傘なのですー♪」
もらった傘を大事そうに抱えて、クゥ・チコット(シリウスの輝き・e02402)も笑顔でお礼を。
「……というわけで、アナタには、アタシからの審査員特別賞を差し上げるわ! 素敵な傘、本当にありがとう!」
そのなつみの言葉に大きく目を見開いていたが。
「立ち寄ってくれた皆々も、目に留めてくれてありがとう。……きみたちが開く傘のお陰で、雨にも負けない花が咲く。虹の前に咲く花だ」
そういって、マニは少し照れ臭そうに、また雨の降る方へと荷台の傘と共に歩いていったのだった。
●第1位:【ケルロクラジオ】ゲームカフェ【ゲーム実況】(
ラジオ放送制作部)
なつみが次に来たのは、とあるゲームカフェ……なのだが。
「……え、えっと……ピクロス……してる?」
いや、正式には、ゲームカフェを貸し切って、ラジオ放送(動画込み)を行っているのだ。
「生放送中に川合広樹がリアルタイムで完成させていきます。解き手の私と一緒に、視聴者の皆さんも一体誰のイラストなのか考えて当ててみましょう!」
今は、ピクロス担当の川合・広樹(ももも的なナニカ・e04833)が、楽しいトークを交えながら、ケルベロス達の姿をピクロスにしているのだ。
「放送中にしゃべりながら作ってましたよ♪ フィリアさんまでで、ヘリオライト部門、殲剣の理部門、リペンタンス部門まで完成しました! 既に放送で紹介させていただいた皆さん、ありがとうございました~♪ 明日も放送あると思うので、ご自慢のイラスト貼ってくださいね」
ピクロスの問題を作ったの咲海・たま(天からミュージックシャワー・e00434)は、楽しそうにそう宣伝している。
「わあ……すごい、これオリジナルで作ってるね」
なつみは驚きながらも、その様子を眺めていた。
合いの手として、団長である流星・清和(汎用箱型決戦兵器・e00984)も会話に加わりながらも、ラジオは進んでいく。
このときのタイムスケジュールはこんな感じだ。
―――――――――――――――――――――――――――
10:00~12:00
当日の放送説明、三国志企画の武将作成
12:00~16:00
ピクロス
合間に三国志の武将作成放送
16:00~18:00
もじぴったん
合間に三国志の武将作成放送
21:00~
ケルブレ三国志本編放送 目指せ大陸制覇
―――――――――――――――――――――――――――
「なんかみんな昔のゲームおおいな!? しょうがないか」
清和は、雑談兼、貴方の推しゲー記載帳をチェックしつつ、放送を進めていく。
と、清和が休憩のために、ラジオブースから出てきた。
そこですかさず、なつみが清和に駆け寄り、声をかける。
「清和さん、ちょっといいかな?」
「あれ? なつみさん? どうかしたの?」
突然の来訪者に驚きながらも、なつみは。
「他のミンナの感想はあまり聞けなかったんだけど、清和さんの【ケルロクラジオ】ゲームカフェ【ゲーム実況】が1位になったわ! 受賞おめでとう!」
「え? 本当? 嘘じゃないよね? やったああああ!!」
そう喜ぶ清和に、なつみも嬉しそうだ。
「まだまだ放送はあるみたいだけど、最後まで頑張ってね! アタシも応援してるわ」
またラジオ放送に戻る清和を手を振って見送り、なつみはにこやかな笑みを浮かべたのだった。
「さてっと……お仕事も終わったし、次はどこに行こうかな?」
なつみはぐっと体を伸ばして、またカフェストリートへと戻っていく。
むしろ、なつみにとっては、これからが楽しみな時間だ。
「面白そうなところ、まだまだあるし、おみやげもあるのよね。どこから行こうかしら?」
人気なところを回るのもいいだろう。それとも個性的な面白いカフェに飛び込むのもいいかもしれない。
「まだまだこれからよっ!! 待っててね、美味しいカフェさん!」
また賑やかになっていくカフェストリートへと楽しそうに足を進めるのであった。