熊本滅竜戦 ファーストアタック

暴食餓竜 VS ゼルガディス・グレイヴォード

<熊本滅竜戦 ファーストアタック>

●『Get back to Kumamoto. Get back at the Dragons.』(紫揚羽師団、蒼鴉師団)

 デウスエクスの中で、最も強いのはどの種族か。
 ケルベロスのみならず、一般の人々でも考えることではあるが、現状その答えが『ドラゴン』から揺らぐことは無いだろう。
 それほどまでに、ドラゴンという種族の影響力は大きい。

 竜牙兵、オーク、ドラグナーと三種のデウスエクスを配下に擁し、積極的に地球への侵攻を行うドラゴンは、その強さ故にゲートを通れないという問題さえなければ、地球をドラゴンのものとしていたであろうことは想像に難くない。

 熊本に襲来したドラゴン達による、魔竜王の遺産ドラゴンオーブの奪取はケルベロスによって阻止された。
 だが、決してない犠牲者を出した熊本市での戦いに続き、今度は熊本県全域がドラゴンの支配下に落ちようとしている。
 それを阻止しなければならないことを、紫揚羽師団のケルベロス達は強調し、この一週間、戦いの意義を訴えて来ていた。

「応援ありがとう! と……」
 タクティ・ハーロット (重力喰尽晶龍・e06699)は、ケルベロスの応援募集サイトに届いた応援に対し、返信を次々と返していた。
 避難した熊本の人々をはじめ、世界中から寄せられるメッセージに個別に返信や返答をしようという試みが実施されているが、言い出した鞘柄・奏過 (曜変天目の光翼・e29532)を含めてこの作業に忙殺されているケルベロスも多かった。時差があるので、あまり休む暇もない。
「まあインソムニアとかがありますし……」
「ハイパーリンガルとは併用できないんですけどどうしましょうか」
「……翻訳班、ファイト!」
 結論としてはケルベロスは体力あるから良いよね、という事で収まりそうである。
 そうしたケルベロス達のブラック勤務体制はさておき、ドラゴンという強大な存在に立ち向かうケルベロスの姿、そして味方として戦うボクスドラゴン達の存在を強調することで、紫揚羽師団は世界各国からの応援を募っていた。
 告知の中心となっているのは、深緋・ルティエ (紅月を継ぎし銀狼・e10812)達も協力して制作された『立ち向かうは我らケルベロス』と題された映像だ。
 ドラゴンの脅威を伝えながらも、人々の応援があればケルベロスが勝利できる可能性は充分にあることを示す内容は、ドラゴン達への過剰な恐怖を抑える事に繋がるとも言えた。
「恐怖と憎悪を過剰に煽れば一時の応援は得られても、それもまたドラゴンを利することになる……難しいものですね」
 竜十字島のドラゴン勢力はドラゴンの定命化という弱みを抱えている。
 それを緩和するのは、恐怖と憎悪だ。熊本市の人々に被害をもたらしたドラゴンへの恐怖と憎悪の高まりは止めようもないが、ケルベロスがあえてそれを助長する必要も無い。
 他にも各国の鉄道各社に協力を要請して応援を募集するためのキャンペーンや、日本各地のドーム球場を特設イベント会場として熊本という土地の情報を周知したり、『竜殺しの大剣』の展示を行ったりと、蒼鴉師団はケルベロスを応援する機運を高めようとしていた。

 それらのイベント会場のうち、福岡ドームでは27日、蒼鴉師団によってケルベロスの士気を高めるためのコンサートやイベントが行われていた。戦いに向け、ケルベロス達の戦意は高まっている。
 その翌日28日土曜日には、熊本市に隣接する玉名市の総合体育館において蒼鴉師団主催によるブリーフィングを兼ねた決起集会が行われていた。

「熊本市に出現した敵のデータは後で確認しておいて欲しい。次に影響の予測だ」
 玉榮・陣内 (双頭の豹・e05753)の声に、集まったケルベロス達が手元の資料をめくる音が響く。
「アストライオスの『スカイフォール・ブレス』、大禍瑠璃の『大海嘯』、両方が発動した場合、2体のドラゴンによる最大級のグラビティ攻撃は、熊本県全域を九州から物理的に切り離すと予想される」
「スカイフォールブレスは熊本県内全域を焦土化し、侵入すれば即発見されるようになるわ。奪還にも全世界決戦体制(ケルベロス・ウォー)が要求される」
 陣内の言葉を、黒住・舞彩 (鶏竜拳士・e04871)が補足した。
 ケルベロス達も、改めて示される影響範囲に眉根を寄せた。
「なんで今まで使わなかったんだ?」
「アストライオスの目的を考えれば、ドラゴンオーブを誤って破壊するのを避けたかったのだろう」
 これほどに強力なドラゴンは稀だろうが、状況が整えば単身で破滅的な被害をもたらせるドラゴンはいまだ地球に存在する。その脅威性を、ケルベロス達は再確認することとなっていた。
 だが、そうした敵に対しても勝利の可能性はあることを、蒼鴉師団の者達は強調していく。
 これまで竜十字島から単身で飛来したドラゴン達は、ことごとく撃退することが出来ているという実績もあるのだ。その事は、ケルベロス達自身が最もよく理解していた。

「神(デウスエクス)の呼び名を冠する侵略者に対し、俺達は非力だ。
 1対1どころか、10名、20名で臨んでも苦戦を余儀なくされることだってある。
 だが明日は、ケルベロスの総力を惜しみなく叩き込んで奴らをぶっ飛ばす。
 意志の強さと、その数、圧倒的な物量で、圧し潰す。
 仲間と共に、全力を叩き込め!』
 号令に応じ、鬨の声があがる。
 ラジオ等を通じ、そのメッセージはこの場にいないケルベロスの元にも届けられていた。
 そして29日早朝、ケルベロス達は熊本市の奪還を期し、再び現地へと向かう。

●熊本駅にて(銀狐師団)

 JRの線路に沿って移動したケルベロス達は短時間のうちに熊本駅を確保。
 ここまでは事前の予知通り、敵の抵抗はなく行うことが出来た。
 奇襲に向かう師団は、すぐさま各方面へと出撃していった。
 残る者達は銀狐師団を中心として熊本駅をヒールして応急的に拠点化していく。

 それと時を同じくして、民間人が全て避難した熊本県内を往く幾つもの列車があった。
 JR九州の協力の元、銀狐師団が用意した、物資運搬用の列車だ。
 ディーゼル機関車に引かれる列車は、銀狐師団が必要とする物資を積んでいた。
 だが、その列車が熊本駅に辿り着くことは無かった。
 熊本駅に辿り着くよりも速く、飛来した飛翔竜牙体からのグラビティが、線路上の列車を破壊したのだ。
 
「可能な限り物資を回収して、こちらに合流してください」
 列車に同乗していたケルベロスからの凶報を聞いたイッパイアッテナ・ルドルフ (ドワーフの鎧装騎兵・e10770)は、そう指示を出した。
 熊本市内は、熊本駅に至る途上もドラゴン勢力の制圧下にある。
 ケルベロス達が救護のために用意した物資を満載した列車は、その途上でドラゴン勢力の攻撃を受け、破壊されていた。
 JR貨物DF200形ディーゼル機関車は最高でも時速100km程度しか出ないが、竜牙兵の基本的な飛行形態である『竜牙飛翔体」の飛行速度は、それを大きく上回る。熊本駅到着に向け速度を落としていた列車では、突破することも出来なかった。
「護衛が足りなかったデスか」
「あるいは、欺瞞として他の列車も動かすか、他の手段で運搬するか……後からなら幾らでも言えますが」
 スノードロップ・シングージ (抜けば魂散る絶死の魔刃・e23453)とイッパイアッテナの言葉も苦い。
 他の県民が避難を終えた今、列車の動きが目立っていたのも災いしている。

「いずれにしても、奇襲を終えた師団の手当は必要なんだ。出来ることだけはやろうぜ」
 霧島・カイト (凍護機人と甘味な仔竜・e01725)がそう言う。
 物資は想定よりも遥かに少ない状態だが、それでも救護の準備が不要となることはありえない。
 ヒールグラビティと防具特徴があれば、負傷者の受入態勢を整えることが出来る。
 奇襲攻撃を終えて戻って来るケルベロス達に可能な限りの手当てを尽くすため、銀狐師団のケルベロス達は動き出すのだった。

●(5)暴食餓竜(白馬師団)

 かつて豊後水道を丸ごと干上がらせたドラゴン『暴食餓竜』。
 このドラゴン達の徘徊する一帯は巨大な窪地となり、そこには膨大な数の暴食餓竜の姿があった。
 窪地に流れ込んで来る川の水、逆に海から流れ込む海水すらも喰らっている暴食餓竜の姿に、白馬師団のケルベロス達は嘆息するしかない。

「豊後水道に出現していた者達よりも、力は大きく劣るようだな」
「おそらく、定命化の影響でしょうね」
 ゼルガディス・グレイヴォード(白馬師団平団員・e02880)とセレネー・ルナエクリプス (機械仕掛けのオオガラス・e41784)は、暴食餓竜達の力量を見てそう判断する。
 定命化の影響か、ドラゴン達は数こそ多いが力はだいぶ落ちている。
 おそらくはその暴食の性質から他の配下種族の被害を避けるためだろう、見当たる範囲に暴食餓竜以外の配下種族もいなかった。

「それじゃ、始めようか……!!」
 ノーフィア・アステローペ(黒曜牙竜・e00720)の合図と共に、ケルベロス達が様々な匂いの出る物質を投擲した。
 匂いに惹かれたというよりも進化の糧となり得るケルベロス達の存在に気付いたのだろう、あたかも魚が餌に群がるように、暴食餓竜達が迎撃態勢を整えて待ち受ける白馬師団に向け、一斉に集まって来る。

「空にも注意してください」
 パウル・グリューネヴァルト (森に焦がれる・e10017)が注意を呼び掛ける。
 多くのドラゴンと同様にその巨体を浮かび上がらせるには到底足りないような大きさだが、暴食餓竜もまたドラゴンの常識として飛行は可能だ。
「もっとも、優れた遠距離を持つわけでもありませんから、隊列を崩されないようにするだけですね」
 人によっては何度も戦っている相手だけに、相手の手の内も読めている。
 ケルベロス達は余裕をもっての対応を取りながら、敵の戦力を削っていく。

●(6)轟炎竜母群(緋色蜂師団)

 熊本市のすぐ近くの八代市もまた、ドラゴン勢力の強襲型魔空回廊が設置された『ミッション地域』だ。
 ドラゴン『轟炎竜母』の群れは、人がいなくなったのを良いことに八代市から海を経由して熊本市に出現。
 竜牙兵『ミスリルディガー』も動員し、自分達の担当する熊本駅と熊本港の間の地域を、八代市と同様の『轟炎竜獄』に変えていた。
 赫熱竜ノトスと轟炎竜母群、双方に挟まれた熊本駅は、修復されながらも熱に炙られ続けている。
「熊本大橋、完全に焼け落ちてるねぇ」
 兎塚・月子(蜘蛛火・e19505)が、熊本港に通じる唯一の橋があった辺りに目をやりながら言った。
「ヒールで即座にとはいかないかな……泳ぐしかないか」
「茹蛸にならんとええなぁ」
 ドットール・ムジカ (変態紳士・e12238)の言葉に月子は言って、敵の姿を見る。
 既に緋色蜂師団では、何体もの轟炎竜母たちを撃破している。
 その体から発される熱こそが、この轟炎竜獄の源だが、まだまだ熱は引きそうになかった。
「相手は暑くないんですかね、全く!」
 ウィッカ・アルマンダイン (魔導の探究者・e02707)はドラゴニックハンマーを振るい、アイスエイジインパクトを繰り出していく。  敵が凍結し、ウィッカが涼しさを感じるのも一瞬のこと。すぐに戻ってくる熱が、彼女の体に汗をにじませ、それすら即座に蒸発させる。
 ケルベロス達も『温熱適応』で摂氏80度までの気温には対応できるが、相手はそれ以上の熱への耐性を持っているようだ。
「黒猫、白馬の両師団が戻るまで耐えないといけません。我慢のしどころですね……」
 ケルベロス達には、この時間は実際以上に長いものに感じられていた。

●(7)龍母艦【龍宮】

 大禍瑠璃に援軍を送っている戦場のうち、龍母艦【龍宮】のいる戦場は最も原型をとどめており、同時に最も多くの種類の敵が徘徊していた。
 だが、それ以上に黒猫師団のケルベロス達の目を引いたのは、廃墟の街の向こうにそびえ立つ龍母艦【龍宮】そのものだ。
「なんとも大きいですね……」
「まさにドラゴンの母艦というだけの事はあるな」
 尾守・夜野(虚構に生きる・e02885)が思わず発した言葉に、村雨・柚月 (黒髪藍眼・e09239)も頷く。
 海の間際にそびえ立つ龍母艦の巨体は、熊本駅からさえ目視出来ていた。
 建物は粗方破壊され切っており、比較対象とするような物もないが、【龍宮】が応援募集やテンションアップでイベントに用いたドーム球場にも匹敵するような大きさを誇っているのは分かる。
「出現している配下種族も魔空回廊で竜十字島から送り込んだものばかりではなく、【龍宮】が自ら運んで来た者も含まれているのでしょうね」

【龍宮】自身はいかにも鈍重そうな見た目と巨体だが、それを補うように小部隊の指揮官となるドラグナー達も多数連れてきているようだ。破壊された街並みの中ではケルベロス達も身を隠すことは難しく、配下種族が対応のため動き出していた。
「【龍宮】以外にドラゴンはいないようですね」
「配下種族だけなら対応しやすいかな! 撤退のタイミングにだけ気をつけて、いくよ!」
 ヨハン・バルトルト (ドラゴニアンの降魔医士・e30897)に言葉をかけて、 空野・灯 (キュアリンカーネイト・e38457)は飛び出した。
「ラブリルブレス! リンカーネイト! ダブルコブシッ! バズゥゥーカァーーッ!!!」  灯の放った巨大拳型エネルギーが、飛来した竜牙兵を粉砕する。
 それを皮切りに、黒猫師団は敵の戦力を削りにかかった。

●(8)喪亡竜エウロス(金糸雀師団)

 一方、熊本駅の東側では、覇空竜アストライオス配下と、ケルベロス達との交戦が開始されていた。
 他の戦場には無い特徴は、この戦場では屍隷兵(レブナント)の姿が見られたことだろう。
「死者の怨念を纏い、操る……喪亡竜エウロスにとっては、得意分野なのだろうな」
 先にそのことを予見していたリューディガー・ヴァルトラウテ (猛き銀狼・e18197)をはじめ、金糸雀師団のケルベロス達にとっても、怒りはあれど動揺はない。
「元々、屍隷兵を創造したのはドラゴン勢力の冥竜ハーデスだ。似たことができるドラゴンが居てもおかしくはないな」
 エクレール・トーテンタンツ (煌剣の雷電皇帝アステリオス・e24538)はそう言いながらも顔をしかめる。
 熊本市での戦いの撤退時、回収できなかった遺体も数多い。
 屍隷兵はそれらを利用して造られたのだろう。
「いずれにせよ、向かって来るならば倒すまで……総軍、剣を掲げよ! 雷装!!」
 雷電皇帝アステリオスの槍が振るわれる。
 天から地へと雷が降り注ぎ、周囲にいた仲間達へと雷の加護を与えた。

「エウロスが現れれば分かるだろうけど、いないね……」
 大弓・言葉 (花冠に棘・e00431)は首をかしげた。
 既にこちらの接近には気付いているのだろうが、エウロスはまだ現れていない。
 全世界決戦体制(ケルベロス・ウォー)を維持するにも時間の制限がある。
 覇空竜アストライオスと大禍瑠璃さえ生き残ればどうとでもなる相手方にとっては、あえて要となる強力なドラゴンを繰り出す必要も少ないのだろう。ドラゴンの存在が、ドラゴン勢力の要なのだ。

●(9)赫熱竜ノトス(黄鮫師団)

 赫熱竜ノトスの守る戦場へと攻め入った黄鮫師団は、高温の中での戦いを強いられていた。
 自分達が奇襲を仕掛ける地域がこうした状態になっていることを予期し、黄鮫師団では『火竜焔神洞』で複数の対策を講じていた。
 他の必要な防具特徴を使用しないケルベロスは、「温熱適応」を持つ防具に身を包むよう指示が出されている。

「コードX-0、擬似起動・焔熱展開(エミュレート・リリース)。擬似的第二種永久機関稼働。――凍結せよ!蒼氷煉獄(コキュートス)!」
 蒼い炎を纏ったノル・キサラギ(銀花・e01639)が、その手を熱を放つ地面に叩き付ける。
 向かって来るオーク達が氷に包まれ、さらにケルベロス達の攻撃を受けて砕け散った。
 その冷気も瞬く間に消え、ケルベロス達の全身から再び汗が噴き出す。
「また新手が接近中……オーク・マグマ、『ドラゴンスレイヤー』、カザドの禍。熱に耐性が蟻そうな連中しかいないね」
 蟻塚・ヒアリ (蟻の一穴天下の破れ・e62515)が、仲間からの連絡をまとめてそう告げる。
 拠点となる熊本城を崩すわけにはいかないからか、崩壊の度合いは西側の轟炎竜母群よりはマシだった。
 ドラグナーを破った守屋・一騎(戦場に在る者・e02341)とアルトゥーロ・リゲルトーラス (蠍・e00937)が言葉をかわす。
「ノトス以外にドラゴンはいなさそうっすね……」
「こちら側は、ノトス単体でこの熱をもたらしているんだろうか」
「蟻える話。ドラゴンオーブ破壊時の巨大化も影響しているのかと」
 ヒアリは頷きながら言った。
 その一点を取ってみても、ノトスが得た力は先の熊本城での戦いの時以上のものとなっていることがうかがえる。おそらく、エウロスとボレアース、アストライオスや魔竜達も同様に強化されているのだろう。

●(10)貪食竜ボレアース(灰色狼師団)

 隣接するノトスの戦場とは打って変わって、灰色狼師団が攻め入った戦場は凍てつく空気に包まれていた。
 ノトスの戦場を経由したケルベロス達にとっては、過ごしやすい程だ。
 街は一度戦火に包まれた後、さらに掘削されたかのような直線的な痕跡が残っている。
 その痕跡が、貪食竜ボレアースによる「食べた跡」であることを、ケルベロス達は直感していた。

「聞いていたよりも、環境に与える範囲が大きくなっていますね」
「ボレアースもまた、ドラゴンオーブの力を受けた1体だからな」
 その光景を撮影しながら言うアルフレッド・バークリー (エターナルウィッシュ・e00148)に、山蘭・辛夷 (フォックスアイ・e23513)が応じる。
 ケルベロス達がそう言葉を交わす間にも、廃墟と化した街の各所から、敵の気配が忍び寄る。
「ドラゴン?」
「いや、変身したドラグナーだ!」
 相手の力量から、フリードリッヒ・ミュンヒハウゼン (ほら吹き男爵・e15511)はそう判断した。ドラグナーの中には、一時的にドラゴンに変身する能力を与えられている者がいる。
「あのドラグナー達が前線指揮官でしょう。打ち合わせ通り、優先して撃破をお願いします!」
 アルフレッドはそう指示を下す。
 ボレアースは力こそ強いものの、意志疎通すら困難であることが判明している。
 それを補う役割の者がいるであろうというアルフレッドの狙いは当たっていた。
 ドラグナーが及び腰になり、敵の動きに乱れが生じる隙を見逃さず、ケルベロスはさらに敵の戦力を削り取ると、熊本駅へと後退していく。

「各戦場ごとの敵戦力は、それほど大きくはないようです」
 熊本駅に再集結した各師団のケルベロス達は、得られた情報から、そう結論を下していた。
 意外とも言えるが、19体の『魔竜』を生き残らせるため、それぞれに一定の戦力を与えている影響が大きいようだ。
 戦力を集中し、覇空竜アストライオスと大禍瑠璃に増援を送っているドラゴン達を撃破すれば、勝利を掴むのは困難ではないだろう。
「とはいえ、魔竜が数多く生き残れば、敵が再び大規模な動きを起こすのも容易になる」
「相手は敗戦も織り込んでの戦略を立てている……ということですね」
 この場で『魔竜』を倒すことは、今後のドラゴン勢力との戦いに少なからぬ影響を及ぼす。
 その事実を改めて確認し、ケルベロス達は熊本滅竜戦へと挑んでいく。


師団ファースト
アタック
結果
黒猫師団 (7)奇襲 奇襲により「(7)龍母艦【龍宮】」の戦力が500減少!
敵の質は奇襲を仕掛けた戦場のうちで最も低いですが、戦力はやや多いようです。
銀狐師団 救護準備 ケルベロス全体の重傷死亡率が5%低下!
熊本駅を拠点化し、救護体制を整えました。
物資運搬中の列車が敵の攻撃により破壊。搬入できた物資は予定よりも少量に留まっています。
灰色狼師団 (10)奇襲 奇襲により「(10)貪食竜ボレアース」の戦力が350減少!
前線指揮官を務めるドラグナー達を、優先して狙う戦術が有効に働いています。
白馬師団 (5)奇襲 奇襲により「(5)暴食餓竜」の戦力が400減少!
定命化が迫っている影響か、従来出現していた暴食餓竜よりも戦闘力は大きく劣るようです。
また、この戦場には暴食餓竜しかいません。
蒼鴉師団 テンションアップ 戦力600以下の戦場を無視可能に!
イベントとブリーフィングを別の日に分けて開催しました。
片方だけでも参加できたケルベロスが増えたため、延べ参加者数は増加しています。
金糸雀師団 (8)奇襲 奇襲により「(8)喪亡竜エウロス」の戦力が350減少!
エウロスの力で創られたと思われる屍隷兵(レブナント)が出現しましたが、事前に想定していたこともあり、単に「戦闘力の低い敵」として優位に戦闘を進めることが出来ました。
紫揚羽師団 応援募集 各ターンの重傷からの復活率が「22%」に上昇!
制作した動画等をインターネットなどを通じて広め、状況の説明と応援の募集を行いました。
ボクスドラゴンの世間的な人気が上がったようです。
緋色蜂師団 (6)奇襲 奇襲により「(6)轟炎竜母群」の戦力が400減少!
『轟炎竜獄』の高熱環境に対応するよう努め、他師団の退路を守り抜きました。出現する敵を予め正確に予想できたことで、戦果が上がっています。
黄鮫師団 (9)奇襲 奇襲により「(9)赫熱竜ノトス」の戦力が300減少!
高熱環境に対応しながらの戦闘を行い、他師団の退路を守り抜きました。ノトス自身が何らかの手段で指示を出しているのか、ドラグナー撃破はそこまで大きな影響を持たない模様です。戦場を包む高熱を含め、ノトスの個体性能に依存する部分が大きい戦場となっています。
今回の「テンションアップ」
 戦力600以下の戦場を無視可能に!