るんたったるんたった。
彩羽・アヤ(絢色・en0276)は、軽い足取りで、ケルベロス超会議の会場を練り歩く。
るんたったのたったのた。
みんなも、楽しめてる?
楽しんでいる人は、ひゃっほーいで一緒に楽しもう♪
うーん、ちょっと良く分からないって人は、頭空っぽにして感じてみてね。
あたしは、なんだかよく分からないけど、楽しいよ! という楽しさが、本当の楽しさだと思ってるんだ。
だって、
「これは、ここがあーでこーでそうだから、理論的に楽しい筈である!」
なんて言われても、楽しそうじゃなさそうだもの。
楽しさは考えるんじゃなくて、感じる事なんだから! みんな一緒に楽しもう!
えっ、そこまで言うなら、面白い所を紹介して寄って?
うん、わかったよ、まっかせて!
これから、ショー&ライブ会場の入賞企画を巡っていくから、一緒についてきて。
そしてら、ケルベロス超会議2018の、本当の面白さを教えてあげちゃうよ!
●第3位:続・美少女ケルベロスコレクション(
武陵桃源)
ということで、アヤは、たくさんの有志を連れて、カフェ&ライブ部門第3位。
続・美少女ケルベロスコレクション会場へとやってくる。
「ここは、どんな楽しい所なのかしらん! こんにちわー♪」
勢いよく扉を開けたアヤは、3秒ほど固まった後、静かに扉を閉めた。
「あれ? あれあれ? ここ、続・美少女ケルベロスコレクションの会場で会ってるよね? でも、なんか、凄く燃え尽きた人達が白っぽくなって座ってるだけだったよ! なにあれ? あれなに? なになに? あれあれ?」
アヤは混乱している。
と、そこに、扉が内側から開き一人の男が現れた。
扉から現れたのは、七種・徹也(玉鋼・e09487)だ。
「おっと、お客さんだな。すまんな、今は、賢者タイムなんだ」
徹也の説明によると、続・美少女ケルベロスコレクションでは、魂が野郎な健全な男女が、『男子中学生』になって、美少女談義を行う、健全な企画なのだが、野郎なノリでそのまま店の外に出てしまうと、近隣の迷惑になる可能性があるので、クールダウンして冷静になる事が必要なのだそうだ。
つまり、それが『賢者になる』という事らしい。
「なるほど、あの真っ白な人たちは、賢者になった所だったんだね!」
アヤは、徹也の説明に納得して、嬉しそうに手を打った。
「そろそろ、あの賢者たちも野郎に戻る頃だな、折角だから参加していくか?」
「するするー。あたしの心は今、男子中学生になってるんだよ」
「ほぅ、嬢ちゃん、わかってるな! じゃぁ行くぜ! 燃え上がっていくぞォ!」
「俺はまだヤレるぞーーーーッ!!!」
「最期まで燃えてみせるさ!」
徹也の激に、賢者であった者達が、次々に野郎に戻る。
「やんややんや!!」
アヤもノリノリで、野郎になったが……、肝心のコメントは、
「すごく……おっきいです」
と、中学生男子どころか小並感となっていたらしい。
そして、皆が再び賢者タイムに入った所で、徹也にショウ&ライブ部門の第三位に入賞した事を伝え、折角なのでと、自分的に色っぽいポーズをとってあげた。
「おぅ、ありがとよ。このイベントがここまで人気が出るなんて、感慨深いな」
「あぁ、そうだな、参加して良かったぜ」
「俺もだ、ありがとうよ」
賢者タイムに入った野郎たちが、賢者に相応しい冷静な対応で、喜びを表現してくれた。
「うーん、もう一声。こんなポーズでどう?」
更に色っぽいポーズでコメントを強要するアヤ。
徹也たちは、賢者のまま、顔を見合わせてこうコメントした。
「すごく、たいらですね」
「スペインの雨は、主に平野に降る」
「こころがあらわれるきがします」
その後、アヤは、静かに、会場を後にしたのだった。
●第2位:【庭園迷宮2018】(
Chambre la fraise)
続・美少女ケルベロスコレクション会場を後にした、アヤは、落ち込んだりもしたけれど、今は元気になって、るんたったと次の会場へと歩き始めていた。
「だって、アタシには未来があるんだもん! いつかは、きっと、ボンキュボンだよ!」
人は夢を見るから人間なんだ!
人の夢って素晴らしい!
人の夢とペンで書くと、儚いと読むらしいけど、素晴らしい!
そんなアヤが次にやってきてのは、素晴らしい庭園。
超会議に合わせて解放される【Chambre la fraise】の立派なお庭探訪だ。
「この庭園は、去年の審査員特別賞だったんだよね! 綺麗な迷宮と綺麗なメイドさんと楽しむ、庭園迷宮! ハイソな雰囲気であっこがれるーって感じだよね!」
アヤは元気よく、庭園迷宮2018への挑戦を開始する。
「さて、問題です。この庭園にいるメイドさんは11名。この中で、私が会えるのは、何人でしょう? 答えは、やってみてのお楽しみ♪」
さしよさしよ
アヤが最初に出会ったメイドさんは、赤堀・いちごちゃん。
Chambre la fraiseの団長である官女に、メアは、ショー&ライブ第二位である事を伝えつつ、庭園迷宮に挑戦したいとお願いした。
「もちろん、良いですよ。お祝いの準備をして出口で待ってますね」
いちごちゃんは、優しくそうメイに伝えてくれる。
お上品なお嬢様風の雰囲気に、メイはほっこりとしながら、庭園を歩き出す。
目の前にあるのは3つの扉。
それぞれに『A』『B』『C』と記号が降っているが……。
「せっかくだから、私は、このAの扉を選ぶよ♪」
メイはAの扉を選んだ。
Aの扉を開けて歩き出したメイの目の前には、もふもふの毛玉。
当然もふもふはもふるに決まっているが……軽くかわされてしまった。しょんぼり。
その先に現れたのは、血塗れの包丁をもった少女。
「あたしだって、ペンキ塗れの筆をもってるから同じだよ!」
と虚勢をはってみたが、やっぱり怖かったので、左の扉から逃げ出した。
しかし、まわりこまれてしまった。
「えー、そんなー。正解は3人でしたー!」
メアは、そう叫びながら倒れ、入り口に戻されたのだった。
その後、事情を話して出口に案内してもらったメアは、いちごちゃんと、メイドの皆さんと共に、第二位入賞のお祝いを行った。
「あ、あの……ごめんなさい……。ちょっと運が悪かったみたいですね」
そう謝るいちごちゃんに、ジョブジョブ大丈夫と手を振って、メアは、
「ちょっと怖かったけど、楽しかったんだよ」
と、ニコニコ挨拶をする。
血塗れ包丁の玲子ちゃんともちゃんと仲直りして、楽しく祝賀会。
「来年は、きちんとクリアしたいんだよ!」
「がんばってね、応援しています!」
「来年もきてださいね♪」
「この向こうにお土産配布所があります。よかったらもっていってくださいね」
そんな優しい言葉をかけてもらい、アヤは「いつか、お金持ちになったら、メイドを雇うのも良いのかなぁ」と思いつつ、気分よく庭園を後にした。
●審査員特別賞:第三回九龍町杯!ケルベロスだらけの水上相撲大会(
九龍城砦)
さて、庭園を後にしたアヤは、超会議を楽しみたい有志と共に、東京の九龍町へと足を延ばした。
九龍町のケルベロスだらけの水上相撲大会の会場は、ごみ処理場に併設されるタイプの温水プール。
その飛び込み用プールに、直径4.55メートルのウレタンの土俵が用意され、その周りの水は、まるでクリスタルなスライムのように澄んで美しく輝いている。
「ここでは、48時間耐久で水上相撲大会が開かれているのですよね?」
アヤがそう質問すると、解説の巽・清士朗(町長・e22683)が、これまでの土俵の推移を丁寧に解説してくれた。
「なるほど、ミミックちゃんの横綱もいたんだね! かっわいいー」
清士朗の楽しいダイジェスト解説に、アヤも笑顔で答える。
聞いているだけで、その楽しさが想像できてしまうのだ。
そんな最中にも、次々と横綱に挑戦してプールに落とされる挑戦者たち。
皆の顔には笑顔しかない。
これは、そんな楽しい大会! ケルベロスだらけの水上相撲大会最高っ!
「やっぱり、間違いないね! 第三回九龍町杯!ケルベロスだらけの水上相撲大会に、審査員特別賞をあげちゃいます! だって、とっても楽しそうなんだもん」
アヤがそう言うと、清士朗がマイクアナウンスで、その事を、みんなに伝えると、最後の挑戦者、セニア・ストランジェが発氣よい! と挑んでドボンし、タイミングよく終了の太鼓がなり、優勝者が決定した。
優勝者の決定と、審査員特別賞の受賞で二重に喜ぶ参加者達の大歓声。
解説の清士朗も、実況の裂日・捲として喉も枯れよと、歓声に応えて大声をはりあげる。
「最優秀横綱は、最多勝ち星17! 有枝弥奈さんに決定いたしました! おめでとうございます! そして、審査員特別賞は、参加してくれた全員の勲章です! うぞ会場の皆さん、横綱と参加者全員へ惜しみない拍手をお贈り下さい!」
そんな清士朗の言葉に、皆、笑顔で大歓声。
「おーめーでーとー!」
という言葉とパチパチなりやまない拍手と共に、第三回九龍町杯!ケルベロスだらけの水上相撲大会は、幕を閉じたのだった。
「ケルベロスだらけの水上相撲大会か……。今度のケルベロス大運動会でもやれないかな? きっと楽しいと思うよ♪」
アヤは、そう感想を述べつつ、名残惜し気にプールを後にしたのだった。
●第1位:[Raison d'etre] 3rdライブ(
EDEN)
「1位は、やっぱり、ここだよね!」
2016年超会議では審査員特別賞、2017年超会議では、ショー&ライブ部門の第一位に輝いた、[Raison d'etre]の3rdライブが、今年も、ショー&ライブ部門の一位の栄冠に輝いたのだ。
「ショー&ライブ部門だもの、ライブは王道だよね。それに、とっても良い曲なんだよー!」
購入した限定CDを大事そうに抱えて、アヤはノリノリでサイリウムをブンブン振りまくる。
カラフルなものを振り回す事にかけては、アヤはプロと言っても過言では無く、そのキレのある動きは、ベテランのファンに勝るとも劣らないだろう。
皆がサイリウムを振るカラフルな会場に、イブイブ・アンナマリア(原罪のギフトリーベ・e02943)の歌声が響き渡る。
そして、イブが奏でらる名曲『めざめに至る序曲/[Raison d'etre]-』……。
「これ、何時までもずっと聞いてられるよ」
うっとりと、曲に聞き入るアヤ。
集まった聴衆達も、どうように歌に聞き入る。
凄い、凄すぎる。
そんな素朴な感情が、イブの歌声と共に、会場に染みわたり、聴衆の心をつかみ揺さぶっていく。
それは、とても素晴らしい時間で会ったろう。
(「あたしも、こんな風に、みんなの心を打つ絵を描いてみたいなぁ」)
1日目一曲目、慟哭のシンフォニア/[Raison d'etre]-。デビュー曲であり、全ての始まりの曲。
1日目二曲目、Harmonious-Ideologue/[Raison d'etre]、悲恋を歌い上げる切ない調べ。
1日目三曲目、All bet on U/[Raison d'etre]。前向きで力強い曲が、心を奮い立たせてくれる。
1日目四曲目:カリオペの祈り/[Raison d'etre]。銀河を渡る旅、サイリウムの銀河が目に浮かぶようで……。
1日目五曲目:DORNro:sCHeN/[Raison d'etre]-。歌劇「眠り姫」のテーマッソングでもある、夢の歌。眠り姫の旅路に思いを馳せて。
1日目六曲目:欠けたセカイと深淵の詩/[Raison d'etre]-。他の曲とは違った雰囲気のロックチューン。魂の慟哭が聞こえる。
1日目七曲目:月光に奏でるアリア/[Raison d'etre]。月光のように冴えわたるダークな雰囲気の局長。
そして、1日目アンコールは、8曲目:-8曲目:常夜桜 -煌歌合-/[Raison d'etre]。
儚く散りゆく桜の花のようでありつつ、永遠を願う歌。
ゲストボーカルのロゼとイブの歌声に、思わず涙するものも……。
年に一度しか味わえないのが残念過ぎる、珠玉のライブは2日目も続き、1曲目はドレッドノート攻略戦時に歌われた、White Knight Concerto/[Raison d'etre]。
更に、「沈むうたかたのエチュード」、「Mare Tranquillitatis」、「めざめに至る序曲(オーヴェルテュール)」と続き、聴衆をくぎ付けにし続ける。
アヤも、最後には、サイリウムを振るのも忘れて曲に酔いしれるだけであった。
「ケルベロスは、グラビティの力で、世界を守っているよね。でも、イブさんの歌は、ケルベロスの力とは関係なく、みんなの心を変えていくんだと思うんだよ」
ライブ終了後、アヤは、曲の余韻と共に楽屋へと向かった。
たくさんの感動に花束を添えて、ショウ&ライブ部門の優勝を伝える為に……。