●こちら、屋台村の様子です
お祭り屋台村は、今日も盛況の様子。
数多くの人々が集まり、一層、賑やかな場所となっている。
やきそばやたこやきはもちろんのこと、工夫を凝らした食べ物屋の屋台や、射的やかたぬきなど、ゲームができる場所なども数多い。
そんな中、楽しげにその屋台村を歩くのは、近衛・翔真(ウェアライダーの螺旋忍者・en0011)。
今回のお祭り屋台村の審査員でもある。
「ほう、今年もいろんな店が並んでいるな」
思わず目的地ではないところで、足を止めてしまう。
「おっと、いかんいかん。まずは自分の役目を果たしてから、だな」
ちょいちょい気にしながらも、翔真は目的地へと急ぐことに決めたのだった。
●3位:維天玄舞紗大社迷物!?マルバツ賽銭箱&おむすびくじ(
玄舞紗の社)
旅団『玄舞紗の社』のブースで、巫女服を着た維天・乃恵美(奉雅駆の戦巫女・e02168)が声をかけている。
「どもっ! まずは一つ拝んでって下さい。ココのお賽銭が、参加費代わりって事で♪ あ、入れる額はいくらでも良いですよー!」
どうやら、ここで拝むといいことがあるらしい。
既に行列ができている様子。思わず翔真は、こっそりと前の様子を覗き見た。
「いやぁ、いいね、巫女さん。皆可愛いし、これだけでも来た甲斐があるよ! さて、僕もひとつお祈りしていくかな。お賽銭は……1000円ぐらいでいいか。じゃぁ……」
と、神山・ユウキ(診療所の居候・e34761)が凄い金額を入れて拝むと。
「おぉ、暖かい光が……。なんだかいい事がありそうな気がする!」
ユウキは軽い足取りで賽銭箱の前から離れて行く。
「金運に恵まれますように、それと良いご縁が有りますように!」
そういって、マリー・ブランシェット(マグメルの落とし子・e35128)が五円玉を入れると。
「わひゃいっ!? 駄目駄目じゃないですかー!?」
突如降ってきた滝のような雨にずぶ濡れにされていた。
面白そうだと翔真も早速並んで、それなりの金額を入れて、拝んでみると。
「お、勾玉?」
どうやら、ずぶぬれにならずに、落ちてきた勾玉をキャッチすることに成功。悪い結果ではないようだ。
賽銭箱の前で拝んだ後は、とん汁とおむすびが渡される。しかも、このおむすびの包みには、おみくじが書かれている。
「どれどれ……勝負運、夏に中凶……なに?」
残念ながら、あまりいい結果とはならなかったようだ。ちなみにおにぎりの具は、スゴく濃い味の高菜塩むすびで、とん汁の具はかなりてんこ盛りだったようだ。
一通り回った翔真は、乃恵美に声をかけると。
「入賞おめでとう、3位に選ばれたぞ」
恐らくこの楽しげな運試しが良かったのだろうと翔真は心の中でそう分析する。
「ありがとうございます。その……嬉しいです♪」
乃恵美はとびきりの笑顔で、軽やかな舞を見せてくれたのだった。
●もうひとつ3位:練成―手作りsilver925―(
grim-Noir-e)
団長のディークス・カフェイン(月影宿す白狼・e01544)が店番をしているのは、旅団『grim-Noir-e』のブースだ。
「いらっしゃい。楽しんでもらえれば、何よりだ」
ここでは、シルバーチャームと天然石を組み合わせたアクセサリーが作れる。
また、普通のシルバーチャームだけでなく、ケルベロス達には馴染み深いサーヴァントモチーフのアクセサリーも作れるし、持ち込まれた原石も加工してくれる場所でもあった。
「お邪魔するよ? んー、ならりかーでも作ってみようかな。ね?」
癒月・和(繋いだその手を離さぬように・e05458)は、ボクスドラゴンのりかーが選んだペリドットをディークスが可愛らしくチャームに加工していく。
「ふふっ。そっくり、やね?」
和もりかーも満足げな様子。
「お邪魔するよ。さて、どれで作ろうか悩むところだな……?」
次にやってきたエフイー・ゼノ(希望と絶望を司る機人・e08092)は、鍵の中にラピスラズリが入っているリングを作ってもらっていた。
「お……これは可愛いぞ! ほら、ゼノさんみてみてー! 良いものに仕上がった!」
エフイーと一緒に店に来たリーズレット・ヴィッセンシャフト(アルペジオは甘く響いて・e02234)は、ガーネットとサーヴァントが連なっているブレスレットを作ってもらってご満悦。
「ああ、これは響か? パッと見てわかる位綺麗に出来ているな」
どうやら、デート場所にも良い場所ならしい。
「俺も一つ作ってもらってもいいか?」
さっそく翔真も、普通のシルバーアクセサリーを注文してみる。
「ほう、これはいいな……」
翔真の作ったアクセサリーは、蒼鴉のモチーフでガーネットの宝石が縦に並んでいるブレスレットとなった。
ありがたく、それを受け取った後。
「おめでとう、入賞したぞ。ここも3位だ」
そう翔真が切り出すと。
「……入賞? この店が?」
ディークスは驚きを隠せない様子であったが、最後には僅かに笑みを見せ、ありがとうと言いながら翔真と握手を交わしたのだった。
●2位:超回転寿司!光画部!(
光画部)
翔真が次に訪れたのは、旅団『光画部』のブースだ。
去年はマグロ丼の店だったが、今年は回転寿司がメインなようだ。
「いらっしゃーい! ゆっくりしてってね」
そう迎えてくれるのは、団長の保戸島・まぐろ(無敵艦隊・e01066)。
「おう! 邪魔するぜ。ここでいいのか?」
「近衛さん、いらっしゃいませ。どうぞ、お好きな席へ。お茶、こちらにおきますね」
翔真はカウンターに座ると、バラフィール・アルシク(黒の世界に光明を見出す者・e32965)がてきぱきと、おてふきとお茶を置いていく。
どうやら、寿司ネタは日付ごとに変わるらしい。2日目はマグロやホタテ、ツナマヨなど、家族連れが喜びそうなラインナップになっているようだ。その中でも、異彩を放っているのは、謎の深海魚だろうか。
ふと、視線を移すと、マグロの解体ショーが団長であるまぐろの手によって、行われている最中のようだ。数多くの声援で、その勢いが増して生きているようにも見える。
「ん? あれは……」
それだけではない、超巨大鮪一本まるごと丼チャレンジコーナーと称して、巨大マグロ丼の大食いも開かれている様子。
既に上里・もも(遍く照らせ・e08616)、岩櫃・風太郎(盾穿つ閃光螺旋の猿忍・e29164)、霧崎・天音(三昧真火・e18738)、呂・花琳(鉄鍋のファリン・e04546)、有枝・弥奈(オーバースペック気味の一般人・e20570)、尾守・夜野(パラドックス・e02885)らの名前が張られているようだ。
「これまた面白いことをやってるな」
いやそれよりも、まずはと寿司が流れてくるのを待っていると。
「お、これは旨そうだ!」
翔真が取ったのは、炙りの牛カルビ。握りたてらしく、油も程よく乗っている。
「……ごちそうさん。おっと、まぐろ。ちょっといいか?」
手が空いたまぐろに翔真が声をかけた。
「あれ? なんか、変なネタ取っちゃった?」
「寿司は旨かったぞ。いや、そうでなくてはな。……入賞おめでとう。今年は2位に選ばれたぞ」
そう、翔真にいわれて、ぽかーんとしていたが。
「ほ、本当!? わあ、ありがとう! みんなが来てくれたおかげだよ!」
まぐろはそういって、嬉しそうに笑みを浮かべたのだった。
●審査員特別賞:出張日乃屋『アイス天国!』(
日乃屋)
「やぁやぁ、ようこそいらっしゃい! ねぇ、アイス天ぷらって食べたことある?」
笑顔で手招きしたのは襷掛けした店主の男……いや、旅団『日乃屋』の団長、山之祢・紅旗(ヤマネコ・e04556)だ。オーダーの方法らしい、手描きされた板を示し。
「良かったらぜひ、楽しんで行ってねぇ!」
どうやら、ここはただのアイス屋ではないようだ。
アイス天ぷら。
どんなものが食べられるのだろう?
「ふふ、新感覚スイーツですね。外はさっくり、中はとろっと甘く、美味しいのです。ご馳走様でした!」
シィラ・シェルヴィー(白銀令嬢・e03490)が食べているのは、ぶどうアイスとキャラメルソースがかかったシュー皮のアイス天ぷらだ。
「美味いっ! だぜ」
チョコレートアイスにフローズンフルーツをトッピングされたごまのころもを纏ったアイス天ぷらを頬張るのはタクティ・ハーロット(重力を喰らう晶龍・e06699)。
「美味しい……」
ソフィア・ワーナー(春色の看護師見習い・e06219)は、ラムレーズンアイスにパイがトッピングされたざくざく煎餅なころもを纏ったアイス天ぷらをかみしめている。
「よし、俺も行くぜ!」
翔真も楽しげに列に並び、注文してできたのは……。
焙じ茶アイスのパイがトッピングされたカステラのころもを纏ったアイス天ぷらだった。
「お、これもまた、いけるな!」
この味が気に入ったのか、翔真はご機嫌な様子で、紅旗の肩を強く叩いた。
「決めたぜ、今回の審査員特別賞は、ここだっ!! アイス天ぷら、美味かったぜ!」
「え? ええええっ!?」
突然の翔真の宣言に、紅旗は驚きながらも嬉しそうにまたアイス天ぷらを作り始めたのだった。
●1位:機動クレープ店 銃拳三号(
S.S.F.M)
メタルグレイに光る軽トラで、クレープ屋を展開させるのは、旅団『S.S.F.M』の、機動クレープ店 銃拳三号だ。
「さァ、今日はケルベロス超会議! ケルベロスでもそうでなくっても、うまいクレープを出すぜ! 寄っていきな!」
そう呼び込みをしながら、クレープを焼いているのは、団長の八代・社(ヴァンガード・e00037)。そんな店に翔真は悠々とやってくる。クレープの甘い香りが食欲をそそるかのようだ。
「はい、メニューをどうぞ。他にもクレープガチャが500円でできるわよ」
と、店を手伝っている眞月・戒李(ストレイダンス・e00383)がメニューを見せてくれた。
「どれどれ……」
どれもスタンダートなもの、なのだが……。
「ガチャがあるということは試さざるを得ないということだ」
酒嚢飯袋・豚野郎(玉無・e03273)が試したクレープガチャはというと。
「…………クレープ?」
ピザ風にカットされたお好み焼きとヤキソバが入っており、マヨもかかってる……お好み焼きの入ったクレープだった。
次にガチャをやった八千草・保(天心望花・e01190)は。
「……何やら、すごそうなんが出ました」
リンゴジュースに漬け込みしっとりさせた豚肩ロースを低温でじっくり焼き上げ、ハニーマスタードソースとレタスを合わせて巻いてある……ローストポーク&ハニーマスタードソースのクレープだった。これは意外と美味しいかもしれない。
「……悪乗りしたとは思ってる。すまんな」
イルヴァ・セリアン(あけいろの葬雪花・e04389)の引いたガチャは、フカヒレたっぷりの肉餡を卵で閉じたのを包んである、フカヒレまんのクレープだ。しかも汁気は漏れない程度に切ってあるようだ。細かい。
「よし! なら俺も試してみるか」
翔真も試してみると……。
「これは……!!」
みじん切りの玉ねぎをワインビネガーとレモン、岩塩とコーンスターチなどで調味したソースで、香ばしいローストチキンを和えたものを包んである、ローストチキン&レモンオニオンソースのクレープだった。なかなかに美味い。
「いいのを当てたな!」
「ああ、それと良い知らせだ」
もぐもぐと、口の中のものを飲み込んだ後で、翔真が告げる。
「今年も入賞したぜ。しかも1位だ!」
「うおっ!? マジかっ!?」
社だけではない、団員達も傍に居た客らも驚いていた。
「おめでとう、来年も期待してるぜ」
そういって、翔真は盛り上がる店を後にする。
「さてっと、役目も終わったし、俺もいろんな屋台を見て回るとしようか」
楽しげに笑みを浮かべると、翔真は再び、屋台村へと向かうのであった。