ショウ&ライブ 結果発表!

●シバ・ブレイドがケルベロス超会議をレポートしてみた
「しかし、さすがの賑わいだなぁ」
 ケルベロス超会議の会場を巡りながら、シバ・ブレイド(ウェアライダーの自宅警備員・en0185)はぱたぱた尻尾を揺らしていた。
 この大盛況なら、きっとシバの彼女になってくれるめちゃんこカワユイ女の子だってどこかにいるに違いない!
 ……じゃなくて。
「さて、そろそろ時間かな?」
 サイリウムを指の間にしゃきっと挟みつつ、もう片方の手でスマホを器用にいじるシバ。その画面には、ショウ&ライブ部門の投票結果が表示されていた。
「こことこことここが入賞か……よし、張り切ってレポートと行きますか!」

●第3位:【六旅団合同】――密室からの脱出――(Steady Aim
「まずは、ここだな」
 最初にシバが訪れたのは、Steady Aimのほかにも五つの旅団が合同で運営しているという、大規模なゲーム企画の会場だ。
「ホホホ、いらっしゃい! ここに来たという事は、アタクシ達の脱出ゲームに挑むつもりね。」
 美人シャドウエルフの団長、デディア・スウェイト(シャドウエルフのガンスリンガー・e06171)に高笑いで迎えられ、ちょっぴりドッキリしつつも答えるシバ。
「はい、チャレンジしたいです! おっ、タイムアタックもあるじゃないですか」
 用意された謎のみならず、その早解きまでも楽しめるとあっては、挑戦者心がくすぐられるというもの。たちまち目を輝かせるシバに、くすくすとデディアが笑みかけた。
「意気込みを一言語ったら、部屋に入って頂戴」
「最速クリア目指して頑張りまっす!」
 元気よくそう宣言して、シバは早速白い壁の部屋に入っていく。
 中には様々なアイテムがあり、これらをよく調べてヒントを集めることで鍵のかかった部屋から脱出を目指すというわけだ。
「おおっ、このパソコンは……? これはどこかにヒントがあるパターンだな。えぇと、オレの勘ではここが怪しいっ! ……い、いや、怪しい筈なんだけどな?」
 ……などと悪戦苦闘すること、数十分。
 汗だくになりつつようやく鍵を手に入れたシバが、ガチャリと部屋の扉を開けて。
「や、やっと脱出成功しましたよ……ちなみにこれ、最速クリアは……?」
「13分でクリアした挑戦者がいたわねぇ」
「マジっすか!?」
 最速への道は遠いなぁ、とうなだれかけて、シバははたと思い出した。そうだ、まだここでやることは残っている!
「あ、それで、皆さんにお知らせです。実はこの【六旅団合同】――密室からの脱出――、ライブ&ショウ部門の投票で3位になったんですよ!」
 そうシバが告げると、入場口に並んでいた人、タイムアタックの結果を見ていた人、皆がわっと声を上げた。その様子におめでとうございますと手を振って、シバは次の企画へと向かう。

●第2位:<<超ケルブレニコ生ラジオ>>(ラジオ放送制作部
「お邪魔しまーす」
 そう言ってシバが覗き込んだ先は、ついたてで仕切られた一区画だった。
「いらっしゃい……って、シバ君だ。飛び入りゲストやってく?」
 そう言う流星・清和(汎用箱型決戦兵器・e00984)の正面には、様々な機材が並べられている。そう、ここはニコ生ラジオのためにラジオ放送制作部が用意した放送用ブースだ。
「えっじゃあラジオでオレの彼女とか募集しちゃっていいすか」
「どうぞどうぞ」
「えっ」
 一瞬尻尾がぴーんとなったりもしたシバだが、思い直して首をぶんぶん横に振る。
「あ、いや、そうじゃなくて。超会議のレポートに来ました! ニコ生ラジオ、大盛況みたいじゃないですか」
 ゲストがキュンとなる疑似告白をケルベロスから募集する『超ナンパ王決定戦』や卓上ゲームの実況、師団対抗の野球大会などとともに、ケルベロス達がキャラクターとして登場するゲームの放送も行うなど、様々な番組が多くの視聴者を楽しませているようだ。設置されたパソコンのモニターには、生放送へのコメントがずらりと表示されている。
 と、シバと清和の背後で謎のコールが沸き起こる。振り向いてみると、数人のケルベロス達がわいわい騒ぎながらぬいぐるみを投げ合っていた。
「おわっと!」
 飛んできたぬいぐるみを拾い上げ、まじまじ眺めてみる。……どことなく、清和本人に似ている気がする。ブースを訪れた視聴者に配っているおみやげのようだが、豪快にぶん投げられても清和は特に気にしていないらしい。
 なんとなくぬいぐるみを両手でもふもふしながら、シバはテーブルの上の油性ペンに目を留めた。少し考えて、ペンのキャップをきゅぽんと取るシバ。
「清和さん。これ、どうぞ!」
「うん? ……おぉ、こ、これはっ!?」
 受け取った清和が、カッと目を光らせる。そのぬいぐるみのお腹には、でかでかとこう書かれていた。
『<<超ケルブレニコ生ラジオ>>投票第2位! おめでとう!』

●審査員特別賞:[Raison d'etre]ライブ&限定CD配布(EDEN
 なんだか賑やかな歓声と、伸びやかな音楽が聞こえてくる。耳聡くそれをキャッチしたシバは、早速声の方向へ向かってみた。
「こ、これは……っ!」
 ステージの上で、オラトリオの女性が歌声を響かせている。
 なんでも初日と二日目ではセットリストが違うらしく、昨日に続けて訪れたのだという声も観客の間からちらほらと聞こえてくる。
 そんな客席に目をやると、詰めかけた沢山の観客がカラフルなサイリウムをステージに向けて振っていた。
 中には華麗なオタ芸を披露するケルベロスもおり、ライブの盛り上がりようを実感させる。
 勿論、熱いのは客席だけではない。ステージ上のアーティストたちは曲に合わせて衣装を替え、思い出話を交えたMCを行って、生演奏を更に盛り上げていく。すっかりその音に聞き入りながら、シバも持てる限りのサイリウムをぶんぶん振っていた。
 そして終演後、アーティストが楽屋から出てくる頃を見計らって、シバはそちらへ向かってみる。
「あ、すいませーん。今ちょっとお時間いいですか?」
「うん、ちょっとなら……」
 先程まで美しいボーカルを響かせていたイブ・アンナマリア(原罪のギフトリーベ・e02943)が、小さく頷く。そこへもう一歩近付いて、シバはぐっと拳を握ってみせた。
「ライブ聴きました! もうめちゃくちゃ盛り上がってて、オレ、感動しちゃいましたよ!」
「わざわざ感想を届けにきてくれたの?」
 目を丸くした後、ほんのりと頬を染めてイブが微笑む。
「盛り上がったのは、来てくれた皆のおかげだよ。……ありがとう」
 なるほど、とシバは客席の様子を思い出す。確かに、集まった観客の一人ひとりが声援を贈り、サイリウムを振って、あの熱気を作り出していた。
 そして、その熱気に応えるように次々と歌を届ける[Raison d'etre]の姿を思い返して、シバはCDケースを取り出した。ライブの会場で配布された、オリジナルCD……既存曲をピアノアレンジした、今回のライブ限定のレア物だ。
「アーティストと観客、どっちもめちゃくちゃキラキラしていたステージでしたよね。ってことで……ショウ&ライブの審査員特別賞は、イブさんたちに差し上げます!」
「……本当?」
 先程よりも大きく、イブが瞬く。次の瞬間、イブの腕が誰かからの差し入れなのだろう花束を嬉しそうに抱き締めた。

●第1位:MMCITYアドベンチャー! 街巡りスタンプラリー(MMCITY
「……ごくり」
 企画の受付に立って、シバは思わず唾を飲み込んでいた。
 ここは、MMCITYのスタンプラリー会場。3種類のスタンプを集めた数に応じて特典があったりなかったりするらしい。
「MMCITYはケルベロス達が集う街。ケルベロスの数だけ施設や遊び場があり、ケルベロスの数だけ物語があります。ってことで、今日ここに来たやつにはそれを体験してもらうため、このスタンプカードを持って街を巡ってもらうぞ、です!」
 ずずいとシバにカードを差し出すのは、一恋・二葉(暴君カリギュラ・e00018)。
「街ひとつ丸ごと舞台っていうのは壮大ですね」
「街中では友好旅団の人たちが施設を運営しているので、寄り道もし放題ですよ。お好きに楽しみやがれ、です」
 ひらひらと手を振る二葉に見送られて、シバはさっそくグリーンエリアに向かってみる。途中、セレブな女の子とお茶したり、柔和そうな女の子にヒールをかけてもらったり、謎の男とカッコイイ妄想を語り合ったりとそれなりにオイシイ思いもしつつ、街をぐるぐる巡るうちに、やがてゴール地点へ辿り着く。
 スタンプの数を数えながら集計のために受付へ戻る間にも、多くのケルベロス達とすれ違う。その中にはスタンプラリー担当の住民もいれば、遊びに来た者も数多くいるようだった。
「ふむふむ、結構回ってきたじゃねーですか」
 半分と少し埋まったシバのカードを見て、二葉がにんまりと笑みを浮かべる。
「いやぁ楽しかったです! まだこれ他にもルートがあるんですよね?」
「お、再挑戦はいつでも受け付けますよ」
「えっと、いや、それは後にします。その前に、お知らせがあるので!」
 むふふ、と二葉に負けず劣らずの笑みを浮かべるシバ。
「MMCITYアドベンチャー! 街巡りスタンプラリーが、見事、ショウ&ライブ部門の投票結果第1位を獲得しました! おめでとうございます!」
 その声を聞いた住民たちが、歓声とともに二葉の元へ集まってくる。飛び跳ねる者、涙を浮かべる者、二葉に思いっきりダイブする者、その表現は様々だが、旅団の大健闘を喜んでいるのは皆確かだった。
「……マジですか?」
「マジっす」
 にわかな喧騒の中で首を傾げる二葉に、シバはぐっと親指を立ててみせる。
「あ……ありがとう、ですよ」
 赤くなった顔を隠すようにして、二葉が呟く。彼女が仲間達に取り囲まれ、喜びのコールに包まれるのを見届けて、シバはクールっぽくその場を去るのだった。

「ふう、どの企画もすごい力の入りようだったな」
 近くで買ってきたぶどうジュースを一気飲みし、爽やかに額を拭って、シバはなんとなく空を見上げた。お祭り騒ぎの声が響く中、太陽の光が目に沁みる。
「いや、自宅に帰るまでが超会議! まだまだあっちこっち楽しんで、そして……」
 拳を握り、腰を屈め、パワーを溜めるシバ。そして。
「めちゃんこカワユイ女の子とデートとかしないとっ!」
 そんな遠吠えが、広い空に響き渡る。シバのケルベロス超会議は、まだまだ終わらない!