秋花に耀く

作者:崎田航輝

 風に踊った数片の花弁が、陽光に淡く煌めく。
 はらりはらりと降りてくるそれは、金木犀。裏返り、光を透かし、明滅するように。景色を柔らかな金色に染め上げていた。
 街道から分かれた路の先にあるそこは、花に満ちる庭園。仰げば絡み合う枝が金色の花の屋根を作り、見下ろせば咲き始めた秋の花が垣間見えて美しい。
 散歩道を進んだ先には、お茶屋も構えられていて。饅頭に善哉に金鍔にと、和の甘味と茶を景色と共に愉しめるから、人々も多く訪れ和やかな賑わいがあった。
 と──そんな園の中の、木々の奥。
 人目から少しばかり離れた地面に動く、小さな影がある。
 かさりかさりと這うそれは、コギトエルゴスムに機械の脚が付いた小型ダモクレス。積もった花弁の間を進み──土に半分埋もれていたデジタルカメラへ近づいていた。
 古い型のそれは捨てられたのか、失くされたのか。壊れて久しいらしかったが──ダモクレスが辿り着いて一体化すると、ふわり。
 機械の羽を生やして浮かび上がり、木々の間を抜けてゆく。
 そうして大きな蝶のように羽ばたくそれは──庭園を歩む人々へと軌道を向けて。
 景色ばかりか人の命までもをレンズに収めようとするように、真っ直ぐに飛びかかっていった。

「集まって頂いて、ありがとうございます」
 風の秋めいてきたヘリポート。
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達へ説明を始めていた。
「本日はダモクレスの出現が予知されました」
 曰く、とある庭園にて古いデジタルカメラが放置されていたらしく──そこに小型ダモクレスが取り付いて変化してしまうようだ。
「このダモクレスは、人々を襲おうとするでしょう」
 そうなる前に撃破をお願いします、と言った。
「戦場は庭園内の散歩道となります」
 ダモクレスが木々の奥から出てくるところを、こちらは迎え討つ形となる。
「一般の人々については事前に避難がされます。皆さんは戦闘に集中できることでしょう」
 景観も荒れずに済むでしょうから、とイマジネイターは続ける。
「無事勝利できましたら、皆さんも庭園で過ごしていってみてはいかがでしょうか」
 金木犀と初秋の花が美しい庭園だ。新しい季節の景色を楽しめるだろう。
「併設されてるお茶屋さんも、和菓子が美味しいらしいです」
 お団子におはぎにカステラにと、和の甘味が揃っている。緑茶や桂花茶と一緒に、花を眺めながら美味を味わえると言った。
「秋の始まりに、風流な時間を過ごすのも良さそうです」
 そのためにも是非撃破成功を、とイマジネイターは声音に力を込めた。


参加者
緋色・結衣(運命に背きし虚無の牙・e12652)
瑞澤・うずまき(ぐるぐるフールフール・e20031)
妖山・椛(護るものは心の帰るところ・e25364)
アクア・スフィア(ヴァルキュリアのブラックウィザード・e49743)
キャルディム・ヴァレファール(黒猫は自由を求め天意に叛逆す・e84163)
オズ・スティンソン(帰るべき場所・e86471)

■リプレイ

●金景
 仰げば蒼空にもこがねの屋根が架かり、眩く景色を彩っている。
 木漏れ日までもが金色に染まる花の園。
 歩み入ったアクア・スフィア(ヴァルキュリアのブラックウィザード・e49743)は澄んだ風を感じるように見回していた。
「すっかり秋らしくなってきましたね」
「……うん」
 視線を巡らす瑞澤・うずまき(ぐるぐるフールフール・e20031)も、溢れる秋の気配に溜息を零す。
「こんな……楽しい想い出を紡ぐ場所なのに……暴れるとか悪い子は、許せないね」
 と、呟きながら瞳を留めた先。
 木々の間から、羽ばたき現れる影があった。
「……全く。折角綺麗な庭なのにカメラなんて捨ててったのどこの馬鹿よ」
 樹脂と金属で出来た、ダモクレス。その姿にキャルディム・ヴァレファール(黒猫は自由を求め天意に叛逆す・e84163)は息をつく。
「そうやって捨てられたものの気持ちを考えた事はないのかしら」
「ええ。時期問わず……物を大事にしない人が多いですね」
 と、隣の妖山・椛(護るものは心の帰るところ・e25364)も緩く腰に手を当てていた。
「機械なんて自然に還れないから放っておいたらダメなんですけど。一度自分で管理したものなら最後まで面倒見てもらいたいですよ」
「まあ、そう云う遺棄されたものを見つけて貰えるという意味では、小型ダモクレスも役に立つな」
 緋色・結衣(運命に背きし虚無の牙・e12652)は歩み出しながら、その手に刃を握る。
「尤も、デウスエクスの存在価値なんてその程度だが」
 故にこそ、敵となった存在ならば鋒を向けることを厭わぬように。
 キャルディムもダモクレスを真っ直ぐ見据えた。
「アンタも災難だったと思うけど。ほっとくわけにもいかないから、倒させて貰うわ」
「──ああ」
 同時、跳躍して黄金色の空から舞い降りてくるのがアンゼリカ・アーベントロート(黄金騎使・e09974)。
 ──秋の始まりに、是非風流な時間を。
 花弁の舞う風を纏いながら、そのためにもダモクレスは倒すのだと、淀まぬ意志を瞳に湛えて。鮮やかな蹴撃を叩き込みながら皆へも声をかけていた。
「人々の想い託されし我らが、負けるはずはないさ。行こう」
 その言葉に、頷き手を翳すのはうずまき。
 明滅する霊力で中衛を守護すると──。
「リズ姉、お願い」
「任せてくれ!」
 応えるリーズレット・ヴィッセンシャフト(碧空の世界・e02234)が奔る。
 敵は避けようとするが、リーズレットの頭から飛んだ匣竜、響が煌めくブレスで包むと──生まれた隙にリーズレットが肉迫。メタルドレスを靡かせて拳を撃ち込んだ。
 ダモクレスも反撃を望む、が、結衣が的確な牽制の刺突を打ち、己へ狙いを変えさせた上で身を翻し回避すれば──。
「キャル」
「ええ」
 キャルディムが『シャイニングイラプション』──赫く刃の雨、噴き出す火柱、光の鎖。穿ち、灼き、縛り、戒めの嵐を与えて光の剣を突き刺した。
 地に墜ちる敵へ、アクアも容赦を与えずに。
「虚無球体に飲まれて、消えてしまいなさい」
 巨大な水塊の如き魔力を放ち躰を徐々に朽ちさせてゆく。
 ダモクレスも閃光で対抗した。が、その眩い衝撃へ真っ向から対するのがオズ・スティンソン(帰るべき場所・e86471)。
「さあ、トト」
 翼猫も鳴いて応えると、灼けるようなダメージを共に体で受け止めた。
 椛が金景に白銀色を混ぜるよう、耀く魔力を流して治癒すれば──オズもトトと共に治癒の風を生んで体力を保っていく。
「こちらは、大丈夫だよ」
 オズが声を伝えれば──アンゼリカは既にゴーグル越しに照星に定めていた。
(「やはり、デバイスの力は素晴らしい」)
 飛び舞う敵相手でも、全く外す気がしない。
 これもまた人々によって齎された力。
「託された願いに、応えないとね!」
 瞬間、閃かす光線で筐体を冷気に蝕めば──アクアもまた流体を鋭く流動させていた。
「スライムよ、敵を貫きその身を汚染させなさい」
 思いに応じ、宙を奔るそれは鋭利な槍となってダモクレスを貫いてゆく。

●決着
 破損しながらも、ダモクレスはフラッシュを点滅させる。
 消えるまいと、自身の存在を誇示するように。けれど、今そのレンズに映るのは歪な殺意ばかりで──リーズレットは目を伏せる。
「長く使われたものには命が宿ると言うけれど。ダモクレスが宿ってしまってわな……」
「かつてはこの機械も、誰かに思い出を伝えるためのものだったはずなのに、ね」
 オズの呟きに、結衣もああ、と静かに返す。
 少なくとも以前は、その役割は眼に映るものを壊す事では無かった筈だから。
「それを変えたのはデウスエクスだ」
 ならば慈悲は要らないと刃を構えながら。
 オズも頷く。自分達が地球のことを早く知ることが出来たのも、ああいう機械が記録を、思い出を残してくれていたから。
 ──願わくば、その思い出は素敵なままに。
「行こうか」
「ああ!」
 それが供養にもなるのならと。リーズレットは『黒影縛鎖』──不可視の束縛魔法でカメラを囚えた。
「今だ!」
「うん」
 うずまきは敵の面前へ疾駆。靭やかに、静やかに。湛える冷気は鋭く鮮烈に──打突で躰を軋ませる。
 均衡を崩すダモクレスに、頭上からアクア。
「外しませんよ」
 柔らかな声音で、槌から迸らす蒼の飛沫は滝と成り。滂沱の衝撃で敵を地へと叩きつけていた。
 鈍い音を零しながら、ダモクレスも光を焚く。
 だがうずまきと翼猫のねこさんが迷わず衝撃を庇い受けて。ねこさんが翼で撫ぜれば、オズも治癒を重ねていた。
 同時に椛が指で指揮するように、爽風を呼び込めば──触れる涼しさが皆を万全とする。
 直後にはオズが体を優美に畝らせ、斬り裂くよう尾撃。敵が大きく後退する所へ、キャルディムも高電圧に煌めく浮き輪を浮遊させていた。
 刹那、放たれたそれは火花を閃かせながら飛翔。放熱しながら硬化し、極低温の衝撃を叩き込む。
「椛」
「了解です」
 氷晶に蝕まれた敵へ、椛は刃に暴風を纏わせ突進。
 衝突の刹那に風を解放し、強烈な竜巻で守りを崩しながら──真空の刃を伴った『爪牙裂空閃』。中枢を穿ち羽を抉り裂いた。
 飛ばされたダモクレスに、結衣は跳躍。鳳翼<炸裂する太陽>──焔を宿した双剣で斬り上げながら、さらなる高空へ昇り斬り下ろす。
 散りゆく敵へ、アンゼリカは眩い光を収束した。
「大丈夫。ケルベロスは負けない。これからも!」
 力を持つ自分達の使命は、人々に託された想いに応え平和を勝ち取ること。
 それが人々との「約束」。
 故にこそ、『約束の魔法』は強く輝いて。一直線にダモクレスの命を灼き貫いた。

●秋に憩う
 周囲を癒やせば後に残るのは、静けさと──。
「うずまきさん、その子供養してあげるの?」
「……うん」
 リーズレットに頷き、うずまきはカメラの亡骸を拾っていた。
 楽しい刻を誰かと一緒に過ごした筈なのに、今は朽ちそうなその姿に、憐憫を覚えて。
「お寺とか神社とかに持ってけば供養してあげられるかな?」
「ほんじゃ今度一緒にいこっか?」
「……ありがとう」
 優しく言ってくれる友人に、うずまきは少し慰められた気持ちだった。
 そうして戦いの痕跡もなくなれば、リーズレットは微笑んで。
「じゃ、お散歩しようか!」
「ん、気分を変えて楽しも! お仕事、お疲れ様だよ♪」
 早速二人で歩み出す。
 咲き始めた秋桜や竜胆は美しくて、うずまきは見惚れる。けれどそのうちに何処かにふらふらと吸い寄せられていた。
「なんか……いい匂いがするかも……これは……お抹茶?」
 その先にあるのは茶屋。
 リーズレットも勿論楽しみにしていたから、そこで休憩しようと入店。花の見える席で、うずまきは花型の練り菓子を、リーズレットはお団子を選ぶ。
「あと、カステラに、お茶も……『花より団子』とか言うなよ?」
「勿論。どっちも良い、ってことだよね」
 うずまきは抹茶を啜って寛いで。リーズレットも団子とお茶の調和を楽しんだ。
「久々のお仕事だったから疲れたんじゃないか? 大丈夫?」
 リーズレットはふと言って表情を和らげる。
「私はね、うずまきさんと一緒だったから……こう言ってしまうと不謹慎かもしれないが楽しかったんだぁ」
「リズ姉……うん」
 その気遣いに、うずまきはじんとしてしんみり。
「えへへ……あのね、ボクもさ……一緒だったからすっごく心強かったし……すっごく楽しかったよ?」
「本当?」
「うん。こんな気持ちでお仕事できたの、久しぶり♪」
 うずまきが笑むから、リーズレットもまた笑顔。やっぱり貴女と一緒だと心がほこほこする、と。
「一緒に来てくれてありがと! そしてまたこれからも宜しくな?」
「これからも……」
 うずまきは嬉しそうな色を瞳に浮かべて。
「うん、うん……よろしくね」
 照れを隠すように、静かに手をぱたぱたさせて。お菓子を食べて誤魔化そうとした。
 その仕草が可愛らしくて、リーズレットはふふっと笑みを零しながら。
「ほら、お菓子がついてるぞ?」
「ふぁ!? あ、あわわ」
 口元の欠片を取ってあげると、うずまきは真っ赤になって。またリーズレットが楽しげに笑い──二人の時間は続いていく。

 金色を揺らす風に快い涼しさを覚えながら──アンゼリカは茶屋へ入るところ。
「ここなら、よく見えるね」
 座った席からは立ち並ぶ金木犀が望めて。地面を彩る秋の花々も垣間見え、華やかな景色が愉しめた。
 注文するのは、おはぎと緑茶。
 いつもはコーヒー派のアンゼリカだけれど。
「折角の機会だしね」
 と、やってきたおはぎを一口。ほっくりとした食感の残る餡が優しい甘味で、そこでお茶を少し飲めば──。
「うん」
 渋みが甘さを融かして、無二の味わい。
 ほっと安堵の息をつくくらいには、楽な戦いではなかったけれど。
「ともあれ、勝利の後のお茶は格別さ」
 そうしてまた啜ろうとすると、浮かぶ小さな翠色。
「おや、茶柱。……いいことあるね、これは」
 季節の旺盛に、期待を感じながら。アンゼリカはゆるりと美観と美味を楽しんでいった。

「さあ、早速行きましょう」
 足取り軽く、椛は花の道を茶屋へ歩む。
 隣で頷くキャルディムも、結衣と椛との時間にそわそわとして。結衣はそんな様子に少し柔らかい視線を向けた。
「都合が合わないと中々こういう機会が作れないからな。椛とは家でよくお茶を飲みながら寛いでいるが……まあ、とにかくゆっくりしよう」
 その言葉に、キャルディムは仄かに尾を揺らしつつ。茶屋を見て期待の声を零す。
「こういうお店って久しぶりだわ」
「ああ──」
 そう言えばキャルディムが日本茶を飲んでいるところは見た記憶が無いと、結衣は思う。
 何か口に合う物があればいいけれどと、席についてお品書きを開くと──キャルディムも瞳をくりくりと動かして選び中。
「甘そうなのは色々食べたいけど、よくわかんないわね。椛って、よくこういうの作ってるし詳しそうだけど……何かおすすめとかある?」
「じゃあ、お汁粉とかどうでしょう。僕は抹茶と黒ごま餡のお団子で……あ、あとカステラも一緒に頼みます?」
「カステラって和菓子なんだ……じゃあ、それで」
 応えつつキャルディムは、んーと唇をすぼめる。
「飲むのも渋いのよりも甘いのの方が好きなんだけど……」
「確かに茶は渋いだろうけど。砂糖菓子を食べながらだと飲みやすいんじゃないか」
 結衣が言うと、椛もそうそう、と笑顔。
「お茶の渋みがお菓子の甘さを引き立ててまた美味しいんですよね」
「飲みやすいのを選んでやるから」
 と、結衣がまろやかな玄米入の茶を頼めば……キャルディムも二人が言うならと頷いた。
 結衣が自分に頼んだのは抹茶と、それに合う最中と羊羹。実食すると餡のなめらかな甘味が、濃いめの抹茶と良く合って。
「美味だな」
「ん、本当ね」
 言いつつ、キャルディムは耳を小さくぴこぴこと動かしている。ふわふわのカステラと、お汁粉のほろりと解ける小豆が得も言われぬ美味で。
 茶も確かに味を増してくれるようで、食が進む。それを微笑ましげに見つつ、椛も団子を一口。黒ごまの香ばしさと微かな歯ごたえを堪能した。
 自分もお汁粉を頼んでみたので、家で作るものとの差異も確認したりしつつ。
「結衣さんも食べます?」
「……じゃあ、あたしのも分けてあげるから」
 椛があーんと差し出せば、それを見たキャルディムも反対側から匙を伸ばし。
 困り顔の結衣は左右から同時に食べさせられつつ……もう止めてくれとばかりに寧ろ自分の品を二人へ分けていた。
 と、ふと、キャルディムの傍から出てくる小さな姿。武器兼ペットにしている、小型の植物達だ。
「それ、茶を飲んだりするのか」
「どうかしら」
 キャルディムが湯呑を近づけてあげると……植物はちびちびと飲みだした。
「植物がお茶吸ったら、お茶の匂いになりそうね」
 まあそれはそれでと、キャルディムは景色を見る。
 金木犀は窓越しに遠い。良い匂いだけど食欲がなくなると聞いて、先刻も今も見た目だけで楽しむようにしていた。
 実際、見ている分にはきらきらと美しく、記憶に残る。
「お土産にお団子買っていきましょ」
 形ある思い出も欲しいから、と。キャルディムはまたお品書きを手に取った。

 咲く花が道を導いてくれるような景色。
 その中を、オズは進んでゆく。
「とても……風情のある眺め、というのかな」
 茶屋のある近くでは、花も草も、その建物と溶け合うような和風の色が強くなる。
 時に彼岸花、時に秋明菊、そして柳。独特な色合いと、玉砂利と庭石が作る静謐の空気が心を落ち着かせてくれるようで。
(「アスガルドにはなかった光景……」)
 こうしてここに居るからこそ見られるもの。それを実感するよう、暫し眺めた。
 と、そこへ偶然通りかかるのが、アクア。
「お茶屋さんに行こうと思うのですが、ご一緒にどうですか?」
 アクアが尋ねると、オズもまた頷くので──共に暖簾をくぐり、庭園を望める席で食事することにする。
 元々、ここでのんびりするのを楽しみにしていたアクアだ。穏やかな上機嫌で、お品書きを見つめる。
「色々ありますけど……やはり、カステラですね」
「美味しそうだね」
 オズは言いつつ、自分は大福を頼んでみることにした。
 品がやってくると、早速二人は実食。
 大福はもっちり食感と、粒感の残る餡が相性抜群。アクアはカステラを一口分切って口に運び、瞳を細めた。
「仄かに甘くて、とても絶品ですね」
 卵が薫る程濃厚だけれど、決してしつこくなくて。茶を一緒に飲むと、その芳しさと相まってまた美味しさが深まるようで。
 外を眺めればさらさらと花が揺れている。
「こういう時間、良いものですね」
 それも、景色も人も傷つけずに終われたから。
 この手で護ったものを今一度実感するように呟けば、オズもまたそうだね、と応えて。優しい秋の色と味を、ゆっくりとした時間の中で楽しんでいく。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年9月27日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
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