「先の城ヶ島の強行調査に赴かれた方は、お疲れ様でした」
セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)は、ケルベロス達を見回して言う。
「そして、早速ですが……その結果、城ヶ島に『固定化された魔空回廊』が存在することが判明しましたことを、お伝えします」
この固定化された魔空回廊、進入して内部を突破することができれば、ドラゴンたちの使用する『ゲート』の位置を特定することが可能となる。
その暁には、ケルベロス・ウォーによりゲートの破壊を試みることもできるだろう。そうなれば、ドラゴン勢力に、新たな地球侵攻をさせなくすることができる。
それは、ドラゴン勢力の急所を押さえることに等しい。
「ドラゴン達は、固定化された魔空回廊の破壊は、最後の手段と考えているようです。ですから……電撃戦で城ヶ島を制圧し、魔空回廊を奪取することは……不可能ではありません」
セリカは、言葉に力を込める。
「そこで皆さんの力を、貸して頂きたいのです」
セリカは単刀直入に言う。
「今回行うことは、城ヶ島公園へ進軍し……ドラゴンと戦闘をすることです」
作戦はこうだ。
仲間の築いてくれた橋頭堡から、ドラゴンの巣窟、城ヶ島公園へ進軍する。途中の経路は全て、予知によって割り出しているので、その間の危険に対して心配をする必要は無い。
そして、城ヶ島公園の駐車場付近の植物地帯にいる1体のドラゴンへ、戦闘を仕掛ける。
「固定化された魔空回廊を奪取するには、とにかくドラゴンの戦力を、大きく削ぐ必要があります。この1体を撃破することが、作戦全体の成否にも影響するでしょう」
静かだが、真剣な口調のセリカだった。
「脱出経路も、こちらで割り出してありますので……皆さんには、戦闘に集中して頂きたく思います」
現場は植物地帯ではあるが、戦闘場所は荒れて野原のようになっているので、足を取られたりする心配もない。
「考慮する点は、ただ一つ。ドラゴンそのものの、強さです」
今回相手をするドラゴンの詳細を、とセリカは続ける。
「敵は、やはり小さくはありません。5メートルから6メートルはあるでしょう。そして、くすんだ銀色をしています。剣や刀の刃を連想させる色合いかも知れません……このドラゴン自身、刃のような攻撃を多くしてくるのです」
セリカいわく、体力と攻撃力が特に高く……触れるもの全てを切り裂くかのような、鋭い空気をたたえたドラゴンだという。
「攻撃方法は、腕を刀のように尖らせる事による近接攻撃、刃物と化している尾を振り回しての列攻撃……そして、微細な超硬質の刃を含んだ、独自のブレス攻撃です」
近接攻撃はこちらのエンチャントをブレイクし、列攻撃は刃による足止め効果がある。ブレスは、ひとたび喰らえば微細な刃が体に侵食し、毒のように体を喰らうだろうと言った。
「一つとて、弱い攻撃はありません。全ての能力に、最大限の警戒をもってあたって頂きたく思います」
セリカは少しだけ声を落とす。
「今回の戦いは、危険な面もあるでしょう。それでも、得た情報を無駄にしないためにも、成功することが望まれます。私には、こんなことしか申し上げられませんが……」
是非、無事に帰ってきて下さい、と、はなむけの言葉で結ぶセリカだった。
参加者 | |
---|---|
猿・平助(申忍・e00107) |
出門・火蓮(自称地獄から来た爆炎娘・e00672) |
エヴァンジェリン・エトワール(ナイトメアフラワー・e00968) |
セシル・ソルシオン(修羅秘めし陽光の剣士・e01673) |
スズナ・スエヒロ(ぎんいろきつねみこ・e09079) |
竜造寺・マヤ(ウェアライダーの刀剣士・e10463) |
雨宮・流人(紫煙を纏うガンスリンガー・e11140) |
滝・仁志(風まかせの空模様・e11759) |
●激突
城ヶ島公園、駐車場付近。
そこへ疾駆するケルベロス達は……早々と、ドラゴンの姿を確認していた。
「いたわね。一気に、近づきましょう」
竜造寺・マヤ(ウェアライダーの刀剣士・e10463)は皆に言うと、全速力で地を蹴っていく。
隠れる場所は、ない。辺りに響く、他のチームの剣戟音……せめてそれに紛れられればという考えだった。
接近する、竜の姿。それは圧力をたたえた、刃のドラゴンだ。
始まるのは、命の取り合い。
(アイツもこの島のどこかで戦っている、か)
猿・平助(申忍・e00107)は一瞬だけ、恋人のことを思う。けれどすぐに思考は、戦闘のことだけに切り替わった。
「殺させてもらう」
直後、ケルベロス達はドラゴンと、戦いの間合いでかち合った。
『グォァアアアアッ!!』
見合う瞬間、まずは平助が攻撃を狙った。
が、それは紙一重の差。
ケルベロスの姿を捉えていたドラゴンが、速い。叫びと共に突き出した腕の攻撃が、中衛に迫った。
しかしそこに影が飛び出る。スズナ・スエヒロ(ぎんいろきつねみこ・e09079)のミミック、サイ。強烈な一撃を庇って、大きく後退した。
「サイっ!」
スズナが思わず叫ぶ。
サイは立ち上がるが……傷は、深い。一撃で、体力の大半が奪われていた。
平助は螺旋技『空』を命中させ、ドラゴンの前進を一瞬、遅らせながらも、呼びかける。
「洒落にならない威力か……すぐに回復を」
「もちろんですっ! サイ、今治すからっ!」
応えて、気力溜めを施すと……スズナはサイの隣に並ぶ。いつもは後ろから見ているばかりだが、今日は、すぐ横に。
サイは具現化した武装で反撃を試みるが、それはドラゴンに、悠々と躱されてしまう。
マヤはその一瞬後に猟犬縛鎖を放ち、確実に当てるが……敵の強さは、充分に感じ取っていた。
「分かってはいたけれど……はじめから全力というわけね」
「ならこっちも全力で、やらないとね」
滝・仁志(風まかせの空模様・e11759)は、言って、テレビウムを撫でる。
「絶好の制圧戦日和だしね。頼りにしてるよ」
すると、普段の穏やかな雰囲気が、どこか鋭いものに変わる。そしてテレビウムの応援動画と同時に自身もオーラを放出、サイの体力を、限界まで回復させた。
その間もドラゴンは吼え、接近するが。
「そのでっかい体を、ぶっ飛ばしてやるぜー!」
出門・火蓮(自称地獄から来た爆炎娘・e00672)が、横合いから跳躍。飛び蹴りを放っていた。
が、ドラゴンは体を翻し、いなすように回避。
「うわっ! 大きいだけじゃなくて素速いなー!」
「やはり、普通の敵とは、違うのね」
エヴァンジェリン・エトワール(ナイトメアフラワー・e00968)もケルベロスチェインを伸ばしていたが……それも、素速く躱されている。
「当たれば、攻撃自体は、効くみたい、ダケド……」
エヴァンジェリンの言葉に、ああ、と頷くのは雨宮・流人(紫煙を纏うガンスリンガー・e11140)。銃での早撃ちを命中させ、かすかに吐かれる敵の吐息を聞いている。
「攻撃自体は、通る。だから、勝てる確率は充分にある」
それでも流人は、自分より若い面々、中には幼い少女……そんな仲間の顔ぶれを後ろから見て、焦らずに続ける。
「だが全員、無茶はするな。生きて帰るまでがミッションだ!」
「もちろんさ。まあ、こんだけ腕が鳴る相手だと、楽しくなっちまうかも知れないけどなっ!」
と、剣と瞳を群青に輝かせるのはセシル・ソルシオン(修羅秘めし陽光の剣士・e01673)。強い敵ほど、心が躍る、それを抑えられないように、剣を振った。
「陽は陰り、蝕となる―――報いを受けてもらおうか。蒼の叫喚を聴くがいい!!」
無数の剣撃、『イクリプスエアリアル』。それは違わず命中、大きなダメージを与えた。
だが、ドラゴンには、まだ余裕さえ感じられる。
「手負いの竜ですら難敵だった。それを正面から挑むなど、正気の沙汰じゃないってことか」
平助は、強行調査の事をよぎらせ呟くが。
「……まぁ、嫌いじゃないがね」
言葉と同時、スターゲイザーでドラゴンの胴部を穿っていた。
だが、ドラゴンはものともせず、体を回転。
『ガァアアッ!!』
尖った尾で、後衛を切り裂きにかかる。
それでもスズナとサイ、テレビウムが3人を庇ったが……。マヤが一撃を受け、多量の血を散らす。
●反撃
「……嘘でしょう」
呟くマヤは、倒れてこそいない。だがその威力……もう一度喰らって、立っていられるかどうか。
「さすがに、つよいですね……」
スズナも、それを受けた1人。だが、倒れず、怯むこともなく、そこに吹かせるのは『豊作の風』。
「豊穣の秋風よ、いまここに!」
まずは、自分を含む前衛を回復。サイが、今度こそ、とばかり愚者の黄金をドラゴンにヒットさせると……仁志も手をのばす。
「回復は任せて、攻撃に専念を!」
言うと同時、気力溜めをマヤへ。テレビウムの応援動画にも癒されたマヤは、頷いてドラゴンへ踏み込んでいた。
「ありがとう」
そして放つのは絶空斬。命中し、ドラゴンの動きがかすかに鈍ったのを、火蓮が逃さない。
「おっし、そこだ! どろり濃厚スライムアタックだぜ!」
ブラックスライムを解き放ち、レゾナンスグリード。この一撃は、ドラゴンを丸呑みするように直撃。目に見えて、ドラゴンの動きから鋭さが失われる。
あるいはようやく目で追える状態。だが、勝機の二文字が、かすかに見える瞬間。
ただ、エヴァンジェリンは前衛をオラトリオヴェールで包みながら、警戒を欠かさない。
「スズナ。アナタの、サイ……深い傷が、溜まってる」
スズナは、頷きを返す。
取り除けない傷は、一方的に、蓄積していく。サイの状態は、スズナも、注意を払っていた。
「これ以上、やらせねえようにするしかねえな!」
そこでドラゴンの懐へ入るのは、セシルだ。絶空斬でさらに傷を抉り、その高い攻撃力で体力を大幅に削っている。
「どうだ、ドラゴン!」
それにドラゴンは咆吼を上げるが……流人も、セシルに並んで飛び込んでいた。
チェーンソー斬りが同じく、ドラゴンの傷を深めていく。ドラゴンは、初めて一瞬、苦悶の様子を見せた。
「ようやく、痛そうな顔をしたな」
流人が言えば、平助も二振りの刀を振るい、ドラゴンを空間ごと切り裂いていくが……その平助の表情に、綻びは見えない。
「……こいつ、まだ力を余してやがるな」
言った、その直後だった。
ドラゴンは平助達を振り払うと……飛翔。
『ガァアアアアッ!!』
吼え声と同時。頭上から前衛に向けて、ブレスを吐いた。
霧のようなそれはその実、全てが刃。
「こいつは……ッ!」
セシルは瞬間的に威力を感じ取り、驚愕を浮かべた。
だが、セシルの前にはテレビウムが立ちはだかり、衝撃を受け止める。
それを見て、安堵するスズナだが……その直後。刃の霧の中で、はっとする。
「サイ……っ?」
ブレスに包まれる空間の中、スズナは驚いた。
目の前で、サイがスズナを庇って全ての衝撃を受け止めていたからだ。
「サイっ!」
ブレスが晴れると、サイは体力を失って倒れた。その体は、びっしりと傷に覆われていた。
「サイ、どうして……っ」
「……普通に喰らってたら、スズナとサイ、2人とも倒れたかも知れなかった。それくらいの威力だったよ、あれ」
仁志は、こちらも大ダメージを受けたテレビウムを回復しながら、言った。
「わたしが倒れないように……?」
言うと、スズナは……少し、こみ上げてくるものがあった。
でもそれは、抑えた。サイと、帰って、2人で傷を癒して、勝利を分かち合う。そう決めているから。
涙は後に取っておく。すぐに状況を見て、自分もテレビウムを回復した。
ドラゴンが再び吼えるが、ほとんど同時に、マヤがその眼前に跳躍。
「ふざけたことをやってくれるわね」
顔面に、絶空斬をたたき込んでいた。
●意志
『グァァアッ!』
顔を斬られたドラゴンは、一層の叫びを上げる。そこに浮かぶのは憤怒だ。
「本格的に怒りだしたみたいだなー」
ドラゴンが睨むのを感じる中……火蓮はそれでも怯まず、跳んでいる。狙いはドラゴンの足だ。
「だから、これ以上余計な動きをしないように、踏み抜いてやるぜ、っと!」
放たれたスターゲイザーは、真上から突き刺さるように、足へと痛打。ドラゴンをその場に留まらせる。
「動きも見えるようになってきたなー。どんどん攻撃してくれ!」
「わかったわ」
頷くのはエヴァンジェリン。視界に、スズナやサイを捉えて、呟いている。
「……ドラゴン。強いもの。大きいもの。恐ろしいもの」
継がれる言の葉。それはエヴァンジェリンの、決意でもある。
「……けれど、倒すべき、敵。……これ以上、やらせない」
投げられたケルベロスチェインは……今度は狙いを外さない。猛烈な勢いでドラゴンを締め上げ、捕縛していく。
そこへセシルが、二刀のナイフを掲げ、斬り込んだ。
「仲間の分は、やり返させてもらうぜ!」
舞うかのように繰り出される斬撃。それは一撃一撃が苛烈なものだった。
『ガァアアッ……!!』
ドラゴンの、悲鳴。大ダメージが鱗を切り裂いて、血を噴出させていた。
それは圧倒的な力の壁の中に見えてきた、かすかな光明。
「手応えあり、だ! このまま突き進むぞ!」
「もちろんだ。続かせてもらうぞ」
セシルに応えるのは流人。『高速回転刃刀』で傷をズタズタに抉っていけば、鱗は大きく剥がれ、ドラゴンはさらに大きな声を上げた。
ただ、流人はその間もつぶさに、ドラゴンの動きを見ている。
「まだ体力は残ってるぞ! 気をつけろ!」
「わかっているさ。そう簡単に死んでくれる敵じゃなさそうだ」
平助も肉迫し、絶空斬を喰らわせながら、ぼやく。平助もまた、ドラゴンの挙動を捉えた。
「攻撃が、来る」
ドラゴンは、巨体を大きく回転させている。刃物となった尾を振り回すその攻撃は……見えていても、やはりよけるのは困難だ。
それでも、流人への一撃を、スズナが庇って受け止めている。
そして火蓮への攻撃も……盾となって庇っているものがいた。
テレビウムだ。
「……!」
仁志は、宙に投げ出されるテレビウムを見ていた。テレビウムもまた、回復しきれない傷が蓄積し……その一撃で体力の全てを奪い去られていた。
地を蹴り、仁志はテレビウムの体を抱き留めた。
気絶しているテレビウムを、見つめ……仁志は、小さく、声をかけていた。よくやった、と。
「すまねーな。助かったぜ」
火蓮の言葉に、仁志は首を振ると、戦闘に集中し始めている。
「やるべき仕事をこなしてくれたんだ。だから俺達も戦って、勝とう」
そして、攻撃に耐えきっていたスズナを見ると、前に出る。
「交代だ。前衛は任せろ」
スズナもはいっ、と頷いて後衛に下がり……2人は入れ替わった。
「すぐに、癒すわ」
そこへ、エヴァンジェリンが分身の術を行使。続けて流人も、『黒刀(?)・盾』による癒しを施し、スズナの浅い傷を、ほぼ消し去った。
「……来るぞ!」
油断なく見上げる流人の言葉通り、その間も、ドラゴンは接近してきていた。
が……そこに鎖が伸び、幾重にも巻き付いて、締めつけていく。その鎖を握るのはマヤ。ドラゴンをまっすぐに見据えていた。
「さっきとは違って、とても苦しそうね。なら……そのまま眠らせてあげるわ」
●決着
ドラゴンは、確実に弱っていた。だが……それでもまだ、強大な力を残している。
『グァアアッ!』
高く吼えると、マヤの拘束を逃れ、四肢を振るわせ……暴れ出していた。
「そんなにいたぶって欲しいなら、もっと傷口を削ってやるぜ!」
そこへ火蓮が接近、チェーンソー剣でドラゴンの傷を大きく広げていくが……ドラゴンは動きを止めない。
足掻くかのように、前衛に対し、ブレスを放ってきた。
「く……っ、大丈夫か……っ?」
何とか耐えきった仁志が見るのは、セシル。
セシルは最前で、ブレスの直撃を受けていた。
ぽた、と血を垂らすセシルは……しかし、倒れる寸前で踏みとどまると。
「平気さ。むしろ、このくらいの方が、楽しいだろ?」
どこか喜ばしげに……高笑いしながら、傷にも構わず、突撃した。
「高くつくぜ? ドラゴンッ!」
「やっぱ無茶しがやる……だが仕方ねぇ、セシル! 後ろは任せて全力でやれ!」
流人の声に応えるように、セシルは、声を上げながら絶空斬。縦横無尽に斬撃を与え……ドラゴンの鋭利な腕を、ついに切り落とす。
雄叫びを上げるドラゴンは、ますます激しく暴れた。
「これでも、まだ死なないか……だが、確実に、近い」
その後ろから、平助もドラゴンを見据えつつ、二刀斬空閃。その空間ごと、ドラゴンの残りの腕を裁断する。
「もうすぐだ、追い込め」
平助の言葉に、ええ、とマヤが続く。マヤは疾駆しながら、その潜在能力を解放し、跳躍。ドラゴンの真正面で、振りかぶった。
「わたしが放てる限界の一撃。その身に刻めッ!」
放たれるのは『獣王武刃』。単純がゆえの威力は、ドラゴンを後退させると共に、大量の血を吐かせた。
それでも、ドラゴンは耐える。スズナと仁志がセシルの体力を回復させていく間に、体勢を直して反撃を試みてきた。
そこを、エヴァンジェリンが猟犬縛鎖で捉えた。ドラゴンを、動かせない。
「アタシがもう何も、やらせない。簡単に払いのけられるなんて、思わないで」
「大勢の中の1匹だけどな。確実に、仕留めさせてもらうぜー! ポチッとな」
満身創痍のドラゴンに対し……笑顔で爆破スイッチを押したのは、火蓮だった。
瞬間、ドラゴンが爆風に包まれ、炎上。
『ガァァアアアッ……!』
悲鳴と共に……ドラゴンの命が、炎の中に消え去った。
「終わりか……!」
セシルが、戦いの衝動を抑えるように片膝をつく。
どこからか聞こえる剣戟の音は遠く。
戦闘後。この場にもかすかな静けさが訪れていた。
「やれやれ。勝てたか……全員、生きてるな?」
流人が煙草を咥え、息をついたように言うと、皆は頷く。
仁志は、サイに寄り添うスズナを見た。
「大丈夫か?」
「はい。なんとか、へいきでした」
スズナはサイに触れながら言う。サイと、そしてテレビウムも、未だ気絶しているものの、すぐに目は覚めるだろう。
仁志は安堵すると、自分も、テレビウムを撫でた。
「お前のおかげだよ」
「……さすがに今回は、キツかったな。でも勝てたし、悪くなかったな」
立ち上がったセシルが言うと……エヴァンジェリンは仲間にヒールをかけながらも、見回している。
「でも、これで、終わった……ワケでは、ないのよね……」
「そうだなー。でも、あたいらはとりあえず、うまくやったと思うぜ。長居は無用、早く帰ろうぜ」
火蓮の言葉に、皆は頷く。
戦いは、勝利した。あとは、仲間の健闘を祈って。
ケルベロス達は、その場を離脱した。
作者:崎田航輝 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2015年12月9日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 9/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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