錦秋の紅果

作者:崎田航輝

 夏には翠が美しかった木立にも、橙や紅色が交じり始めてきた。
 紅葉を迎えた林道は暖色のパレットから色を乗せたように鮮やかで、秋の深まりを感じさせる。
 その木々に彩られた道を歩きたくなるのだろう、この日は多くの人々が行き交っていた。
 尤も人々の目当ては紅葉だけではなく。同じくらい紅くて甘やかな──りんごの薫りに惹かれるものもいただろう。
 木立の合間に建つ、煉瓦造りのカフェがあった。
 季節のスイーツを提供するそのお店は丁度、旬のりんごを使ったメニューが人気の時期。
 艶めくタルトタタンに、シナモン薫る焼きたてのアップルパイ。果実が豊富なレアチーズケーキや、赤ワインでのコンポートを乗せたパンケーキに、果実のソテーとアイスを添えたフレンチトースト、芳醇なシードル……上げれば枚挙に暇無く。
 散歩に来ただけの人も、お店を楽しみにやって来た人も。皆が自然と秋の恵みを味わおうと、ドアベルを鳴らしていた。
 と、そんな芳香漂う木立の中に、踏み入ってくる巨躯の男がいる。
 狩人を彷彿させる装束に身を包んだその男は、紅葉より果実より、行き交う人々を見て喜色を浮かべていた。
「やあ、こんなところに餌が沢山あるじゃないか」
 自然の中での狩りとは素晴らしいものだね、と。
 次には弓弦に鋭利な矢を番えて、躊躇いもなく人々を貫いて血の海に沈めていく。
 悲鳴が木々を揺らし、甘い薫りに血のにおいが交じる。男はそれに一層の愉快さを覚えたように、殺戮を続けていた。

「秋はりんごが美味しい季節ですね」
 風も涼しくなったヘリポート。
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達へそんな言葉を口にしていた。
 ですが、とそこで少し眦を下げる。
「そんなりんごが楽しめるカフェのそばに──エインヘリアルが出現してしまうようです」
 やってくるのはアスガルドで重罪を犯した犯罪者。コギトエルゴスム化の刑罰から解き放たれて送り込まれる、その新たな一人ということだろう。
「人々の命を守るために、撃破をお願いいたします」
 現場は紅葉が続く林道。
 真っ直ぐではないがおおよそ一本道で、木立の間から敵は現れるだろう。
「現場の人通りは多いですが……今回は事前に避難が勧告されるので、こちらが到着する頃には人々も丁度逃げ終わっているはずです」
 こちらは到着後、敵を討つことに専心すればいいと言った。
 それによって、周囲の被害も抑えられるだろうから──。
「無事勝利できた暁には皆さんもカフェに寄っていってはいかがでしょうか」
 旬のりんごのメニューが豊富で、沢山のスイーツを楽しめるはずだと言った。
 また紅葉を始めた木々も美しく、眺めるだけでも憩うことができるだろう。
「そんなひとときのためにも、ぜひ撃破を成功させてきてくださいね」
 イマジネイターはそう言葉を結んだ。


参加者
ジョーイ・ガーシュイン(初対面以上知人未満の間柄・e00706)
エリオット・シャルトリュー(イカロス・e01740)
エリヤ・シャルトリュー(影は微睡む・e01913)
天司・桜子(桜花絢爛・e20368)
ラルバ・ライフェン(太陽のカケラ・e36610)
セーブ・サパナ(楽園追放・e62374)
賽賀・ひとな(剣闘の炎・e76271)

■リプレイ

●甘風
 紅色の季節は空気までが熟れたように甘く芳しい。
 それでいて、そよぐ紅葉が清廉な爽やかさを感じさせるから、いつまででもそこに佇んでいたくなるけれど。
 そこに影を落とす咎人の影があるから──。
「罪人エインヘリアルも、いったいどんだけいるんだよ」
 ラルバ・ライフェン(太陽のカケラ・e36610)は感情を飾らず眉を顰め、尾を仄かに垂れさせている。
 視線の先、並木道を歩んでくるのは弓を携えた巨躯──エインヘリアル。
 ジョーイ・ガーシュイン(初対面以上知人未満の間柄・e00706)は野性的な顔立ちをしかめさせ、大きく肩を竦めていた。
「人の頭ァりんごに見立てて狩りってか? とんだウィリアム・テルがいたもんだなァオイ」
「果実よりは、人のほうが狩り甲斐があるけれどね」
 と、返すのは罪人その人。此方に気付くと笑み交じりに歩み寄ってきていた。
 ラルバは真っ直ぐ視線で射抜く。
「せっかくたくさんの人が笑顔になれるとこだってのに、邪魔すんなよな」
「僕は狩りに来ただけさ。それこそ、楽しいだろう」
 と、巨躯が返すのは自身の事を何一つ疑わぬ笑み。
 故に、ロストーク・ヴィスナー(庇翼・e02023)は静かに首を振っていた。
「悪いけれど、今からここは禁猟区だよ」
 雪のような肌に、白手袋を嵌めて。声音は穏やかなれど、秋に冬風を吹かすような、底冷えを感じさせるような口ぶりで。
「──弓を下ろさないなら、狩られるのはきみのほうだ」
「そういうこった。クッソ面倒くせェが──被害が及ぶ前にとっとと片付けさせてもらうぜ!」
 同時、ジョーイは冥刀を握り込み、刀身に弾ける雷を宿す。
「コイツは挨拶代わりだ!」
 瞬間、刃を突き出して一撃。ありったけの力で巨躯の足元を貫いてみせた。
 罪人は微かに目元を歪める。
「……この力、番犬か。本気で狩りを邪魔するんだね」
「当然でしょ!」
 ふわり。銀糸の髪と紅色のフードが揺れる。
 罪人が見上げた先に、高々と跳ぶセーブ・サパナ(楽園追放・e62374)がいた。
「りんごがおいしいカフェの近くで暴れるなんて聞いたら──余計に黙っちゃいられないっての!」
 声音にはいつもより力を籠めて。叩き下ろす蹴りは脳天を激しく打った。
 罪人は下がりながらも弓弦を引く。が、そこへ風を裂くように迫る影がある。
 体勢を低く、スカートを靡かせ、落ちる紅葉を縫って疾駆する賽賀・ひとな(剣闘の炎・e76271)。一息に巨躯の面前にまで到達していた。
 罪人はとっさに矢を放つ。
 が、ひとなはその鏃とすれ違うよう前方宙返り。
「この飛び蹴りを、見切れますか?」
 クロスカウンターを決めるよう、空いた懐へ飛び込み痛烈な蹴撃を加えていた。
 後方へふらつきながら、罪人はそれでも矢の雨を返す──が。
「傷はすぐに治すから、安心してね」
 朗らかな声音で天司・桜子(桜花絢爛・e20368)が、蔓を操っている。
 大きく畝るそれは桜にも似た美しい花弁を舞わせていた。
 秋に煌く春の色。その只中に眩い果実を生らせると、澄み渡った甘露で傷を癒やし護りを与える。
「これで、あと少しかな?」
「任せてくれ!」
 同時、ラルバが『降護・聖龍鱗』──オーラ状の“再生の力”を放出。厄を祓う力を与えながら残る傷を癒やした。
 そこへロストークがドローンを展開。防護を万全に保ち、翠の瞳を隣に向ける。
「さあ、僕達も始めようか」
「ああ」
 視線を合わせ一つ笑むのはエリオット・シャルトリュー(イカロス・e01740)。髪花を揺らして宙へ踊りながら、後方へ声をかけていた。
「それじゃ、頼むな」
「……ん。頑張るね」
 柔らかに頷くのはエリヤ・シャルトリュー(影は微睡む・e01913)。
 春空のようにうららかな眠気も、甘味が控えているからだろうか、いつもより早めにしゃっきりと払われていて。
 同時に影より顕現するのは、揺蕩う異形蝶の群体だった。
「よく狙えるの、エインヘリアルさんだけじゃないんだよ」
 それは影縛の邪眼:《Minois=apis》。
 針雨が巨躯に鋭く刺さると──そこでエリオットが敵の零距離へ。
 弟が敵を縫い止めた位置にラグ無しでぴたりと到着すると、脚先から獄炎を滾らせ宙を奔るように加速した。
 そのまま一撃、真っ直ぐに刺突を放って巨躯の腹部を貫いた。
「よし、ダメ押しだ」
「うん──さあ、炎を見舞って」
 と、ロストークが小竜のプラーミァへ呼びかけた。
 既に罪人の至近にいたプラーミァは、飛び抜けながら轟炎を放射して──巨体を焔で包み込んでいく。

●紅を護る
 装束を焦げ付かせながら、罪人は小さくふらついていた。
 その相貌には苦悶と、憎らしげな色。
「……全く、狩りの季節に楽しみを否定されちゃ、堪らないよ」
「楽しみ、ね。その楽しい狩り……いいや、的当ては中止だよ。ずっとね」
 エリオットが静かに言うと、罪人は顔を歪める。
「的あてとは。僕の狩りは、もっと高尚なものだが──」
「悪趣味なだけだろ、対象が人だなんて」
 と、返すラルバは真っ直ぐに見据えていた。
 如何な力があろうと、如何な技があろうと。
 それを破壊と殺戮に使うのは──人を護る武術を教えられてきたラルバには、許しがたいことだから。
「──手加減しねえぞ」
「うん。リンゴの素晴らしさを理解せず、人々を虐殺するなんて見過ごせないからね」
 桜子が言えば、ひとなも同じ心根で頷いて。
「悪いエインヘリアルはさっさと倒して──リンゴのお菓子をカフェで食べましょう」
 瞬間、地を蹴り駆け抜けて一撃。
「その身体に、穴を開けてあげますよ」
 旋風を巻き込み、強烈な破壊力を有した拳を突き出して、巨体の腹部を穿ってみせる。
 よろける巨躯は、反撃に出ようとして──その眼に獄炎を見る。
 エリオットが焔抱く足でこつりと地を打ち、済んだ青焔の鵙を飛翔させていた。
 それは炎の軌跡描く『幻創像・蒼翼のレイニアス』。棚引く残滓と自身で巨体を貫き地に留める。
「行けるか」
「もちろん」
 と、今度はエリヤが、既にエリオットが攻撃を終える地点を予見して狙いを定めていた。
 瞳の蝶と、ローブの魔術回路を同時に明滅させて、その光によって伸びる影を槍へと形作って射出していた。
 それが罪人の足を烈しく貫通すれば──。
「ローシャくん」
「ああ、後はやっておくよ」
 ロストークは槍斧のルーンを開放、凄絶なまでの氷霧を纏わせていた。
 『Шепот звезд』──刃を打ち付けると夜天に星が瞬くように、氷塵がきらきらと鳴って巨体を氷晶に蝕んでゆく。
 呻く罪人は、鈍った動きでエリヤに矢を撃つも、それもロストークが滑り込んで防御。
 すぐ後には桜子が手を翳して──。
「大丈夫だよ、桜子がサポートするから」
 春陽のような温かな光を生む。
 言葉に違わず、優しく纏った光は撫ぜるように傷を濯い、痛みも不調も拭い去った。
「皆は攻撃に集中してね」
「それじゃ、言うとおりにしてやるとすっか」
 地を踏みしめて、罪人へ肉迫していくのはジョーイ。
 巨躯は矢をとっさに番えるが──ジョーイが刺突するほうが遥かに疾い。
 瞬間、衝撃に交えた冷気で巨体の腕を留めると、ジョーイは連続で刀を掲げていた。
 刹那一刀、振り下ろすのは『鬼神の一太刀』。強烈な斬閃で巨体の片腕を斬り飛ばす。
 ラルバが焔の塊を撃ち出すと、罪人は衝撃に煽られ膝をついた。それでも片手で鏃を握りしめ抵抗を試みる、が。
「させないんだから!」
 セーブが鉄塊剣を握り込み、その刃に煌々と燃える地獄を纏わせている。そのまま刃を突き出し矢を弾くと──。
「真っ赤に染まるのは、秋の葉っぱとりんごだけでいーの!」
 返す刀で一撃。袈裟に刃を振り下ろし、巨体を深々と抉り裂いた。
「あと、お願い!」
「ええ」
 ひとなは瞑目し、気配から巨体に向き合い、刀身を太陽の光に煌めかす。
「この一閃で全てを断つ……食らいなさい!」
 美しき刀を以て繰り出すのは『無明の一閃』。全てを切り裂く一刀で、罪人を跡形もなく消滅させた。

●秋の紅
 戦いの痕を癒やせば、景観は元通り。
 人通りも戻ってくる中で、ひとなは息をついて皆へ視線を向けた。
「さぁ、終わりましたか。一先ずカフェでのんびりと過ごしませんか?」
「いいね。桜子もカフェで一息つきたいな」
 桜子が頷くと、ジョーイも腕組みして。
「カフェかァ。クッソ面倒くせェが……まあいいか」
 と、ぼやきつつもすたすたと歩いていた。
 皆ももちろん、待ちかねていたから──いそいそと移動。甘い香りへと向かっていく。

 エリオットとエリヤ、ロストークはからんころんと店内へ。
 快い芳香が薫る中、エリオットは表情を少しわくわくさせて。
「いつも楽しみなんだよな、無事終わった後の美味しいものが……」
「うん。りんごのお菓子、楽しみ……」
 ほわりとした眠気も今日は淡く、エリヤも瞳に期待感。
 ロストークはそんな二人を見ているだけでも既に楽しい心持ちで、席に着いた。
「それじゃ、何食べようか?」
「僕は、アップルパイ、食べたいな……」
「じゃあ、俺はパンケーキ」
 メニューを広げると、兄弟がメニューを覗き込んで注文。ロストークはそんな姿も横目にしつつ、自分はチーズケーキとシードルを頼むことにした。
 品がやってくると──エリヤは静やかながら興味津々の面持ち。
 アップルパイは焼きたてでふっくらしていて、濃いきつね色の生地が香ばしい薫り。その網目の中に艷やかな果実が覗いていて、なんとも食欲をそそった。
 パンケーキも、ふんわり生地が贅沢に三段。りんご風味のたっぷりクリームと一緒に、赤ワインでコンポートされた果実が上品に添えられている。
 エリオットは早速パンケーキを一口。
 優しい触感が口の中で溶けて美味で……更にコンポートも頂くと、深い紅に色づいたそれは、つるりとした食感と強めの甘みでパンケーキと相性抜群だった。
 エリヤも、アップルパイから漂うシナモンの薫りに、ほんのり笑顔。さく、と一口食べると温かさと芳醇な甘みが広がった。
「美味しいね……」
「ん、こっちも美味しい」
 ロストークはチーズケーキを一口大に切って食べ、頷いている。
 なめらかな乳白のチーズの層の中に、ジュレと一緒に果実の層が入っている。それがさくりとした食感で心地よく、チーズの味を引き立てた。
 と、ロストークに巻き付いていたプラーミァが……それを見て興味を惹かれたか。りんごの部分をかぷりと噛んで、自分の所へ持っていってもぐもぐしていた。
 欲しがってたのかな、と思ったロストークだったけれど……それより目を引いたのは、エリオットとエリヤの姿。
 猫のように同じ仕草で、じっと竜を目で追っていた。無意識でも挙動が似通ってしまったようで……それにロストークは笑みを零す。
 気付いた二人も、何となく目を合わせて表情を和らげていた。
 それから甘味を味わいつつ、外の景色も眺める。
 エリオットはふと呟いた。
「過ごしやすくて良い季節になったよな」
「涼しくなったし、眺めが暖かい色になって、目に楽しいね」
 ロストークがシードルの薫りと風味を楽しみつつ頷くと、エリヤもこくりと小さく首肯。
「葉っぱも少しだけ赤くて、りんごも赤くて、秋の色だね」
「ああ。秋の色も……菓子も。温かいねぇ」
 エリオットも応えると、パンケーキをまた一口。五感で秋を味わい、ゆったりとした時間を楽しんでいた。

「カフェとりんごー!」
 セーブは嬉しげな表情のままに入店。
 席につくと、愉しい気持ちと同時にそわそわ。りんごの天国であればしょうがないことではあったけれど。
「どうしよ、どうしよ、いっぱいある……!」
「スイーツが沢山あって、目移りしてしまいますね」
 と、お品書きを見ているのはひとな。眼鏡の奥で瞳を右左、美味しそうな品々に視線を彷徨わす。
 セーブも暫し悩ましげだった。
「迷っちゃうなぁ、オススメどれかな……」
 お酒はまだ飲めないけれど、それ以外は全て味見したい気分だ。
 桜子は一つ一つ見つつ、ふと零す。
「アップルパイとかあるのかな?」
「あるみたいですよ。私もアップルパイを頂きたいですね」
 と、ひとなが言うので──桜子もまたそれを頼むことにした。
「アップルパイ……!」
 セーブも一番好きだから、その名を聞くと頼まずにはいられない。
 ただ他のも気になって、セット的なものがあればと思ってたけれど──丁度、メニューの一端にスイーツプレートの文字を見つける。言わば盛り合わせだ。
「これも頼もう!」
 と、迷わず決めると……品がやって来たところで目をキラキラ。
「わぁ美味しそう……!」
 香ばしいアップルパイ、メープルシロップもたっぷりなパンケーキ、仄かに甘酸っぱさが薫るチーズケーキ。
 セーブは早速実食。パイ生地とあふれる果汁の相性に舌鼓を打つと、コンポートの濃厚な甘みにほうと吐息して。チーズケーキも気品ある味わいだと、心底幸せそうな蕩けた笑顔で食べ進めていた。
 桜子もアップルパイを味わう。生地は仄かな塩気と甘みがあって単体でも美味だが、そこに大きめのカットの果実が合わさると得も言われぬほどだ。
「んー、リンゴの濃厚な甘みが絶品だね!」
「この上品な甘みこそ、りんごですね。とても素敵です」
 ひとなも淡々としつつ、それでも口調には満足げな色が浮かんでいる。りんごは焼かれてはいるが新鮮な食感も残っていて、更に噛むほどに果汁が滴って美味なのだ。
 セーブはそんな二人に、自分のものもおすそ分けして、暫し皆で楽しんだ。
 ジョーイは、そんな皆を見つつ、コーヒーを頂いている。
「中々いい味だな」
 スイーツが人気というが、コーヒーもシティローストでよく風味が出ていた。
 外を見れば景色もいいから……暫し喫茶をしつつ、ジョーイは店を後にしていく。

「どれもめちゃくちゃうまそうで悩んじまうな……」
 ラルバも店内の一角に着いて、メニュー選び。
 写真を見るだけでも中々決めかねる品揃えだけれど、ここは決心して。
「んー……アイス付きのフレンチトーストにするぜ」
 頼んだ品がくると、おぉ、と感心。
 卵たっぷりに焼いたトーストはそれだけでも美味しそうだけれど、焼き目のついた三日月型のりんごと、果汁入りのアイスがいいコントラストだ。
 食べるとまろやかさと、みずみずしい甘み、さらにひんやり食感も相まって美味。うん、と頷くと尾がぱたぱた揺れていた。
 味わった後はお土産。
「旅団のみんなへは、分けられそうなのがいいなー……」
 と、悩んで決めたのはチーズケーキ。ホールで買えるので丁度いいと購入し、更にアップルパイも幾つか買った。
「軽食も景色も楽しめるなら、今度はみんなを連れてくるってのもありかもな」
 ゆったりとした憩いと美味。
 そして季節ならではの明媚さ。
 その楽しみを分けたいと思って……ラルバはそれも楽しみな気分になった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年10月14日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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