大菩薩再臨~新たな時代をボディコンで染め上げる!

作者:きゅう

●時代はボディコン!
「ぐふふ、ボディコン。いいのういいのう」
 暗がりの中で怪しげな儀式を行うのは、オークのような雰囲気を持った、奇妙なビルシャナ。
 彼が鼻の下を伸ばしながら見つめるのは、いわゆるボディコンと呼ばれる、体に密着した服を身にまとった女性型のビルシャナだ。
「ほほほっ。そうでしょう。そうでしょう」
 女は欲望の入り混じった視線を感じ、満足気に高笑いを上げながら、
「ボティコンこそがすべての服装の頂点! この世界を支配するのにふさわしいのよ!」
 男の欲情をそそるような、妖艶なポーズを取る。
「ぐふ。では、そんなお前に力を授けようぞ。そして、世界を支配するが良い!」
 そんな彼女に奇妙なビルシャナは気味の悪い笑みを浮かべ、背中の触手のようなものから彼女に力を注ぎこむ。
「これでよし。さて、後はもう一人、相棒となりそうなセクスィーな女を探しに行くとしようではないか」
 奇妙なビルシャナはそう言うと、わきあがる力に喜ぶボディコンのビルシャナをつれ、闇の中へと消えていくのだった。

●夜の街に現れた時代外れなビルシャナたち
「困ったことになりました」
 という、セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)の表情は、新たな問題を連想させる。
 先の戦争に勝利したケルベロスたちは、ドラゴン勢力の制圧地域の解放を進めていた。
「ですが、その一部が、ビルシャナの菩薩の一体、天聖光輪極楽焦土菩薩によって破壊されてしまったのです」
 天聖光輪極楽焦土菩薩は、ビルシャナ大菩薩を再臨させる為、ドラゴンの制圧地域を破壊してグラビティ・チェインを奪おうとしているらしい。
「そのために強力なビルシャナを呼び寄せたり、生み出すことで勢力を強めようとしています」
 そんなビルシャナの1体、ボディコンドルが、静岡県の夜の繁華街に現れるという予知がなされていた。
「ボディコンドルは、『ボディコンこそ至高』という教義を掲げるビルシャナで、男女や種族を問わずに幅広い支持を集めています」
 そして、彼らをボディコン姿に変え、その素晴らしさを広めているのだという。
「彼女は、彼女に力を与えたオーク風のビルシャナとともに、新たなビルシャナ仲間を探しに、夜の繁華街をうろついています」
 ただでさえ強力なビルシャナに、さらなる力が集まるのは避けたい。
 彼女たちが新たな仲間を見つける前に、駆けつけて戦闘を仕掛けるというのが今回の作戦だ。
「ボディコンドルは、手に持った蛍光色の扇子や、ぴっちりとしたボディコン服から光を発し、相手をボディコン姿に変える力を持っています」
 そして、教義に従わないものはなめらかな動きのダンスから繰り出される体術で、ボディコンの素晴らしさを教えながら痛めつけるらしい。
「あとは、妖艶な姿。らしいので、そのへんも注意が……」
 いや、それは大丈夫だろう。セリカの言葉を遮るように、誰かが苦笑いしながらツッコミを入れた。
「ボディコンドルは強力なビルシャナですが、まだ新たな力を得て間が無いためか、つけ入る隙はあるようです」
 自らの教義に疑問を抱かせたり、或いは、自分の教義をほめたたえられたりすると、戦いに集中できなくなる場合があるようだ。
「また、オーク型のビルシャナは新たなビルシャナ候補を探しているようで、そういう候補となる人が近くにいると、戦いに集中しなくなるでしょう」
 相手は強力かつ、放っておくと多くの信者を生み出してしまうだろう。
 だが、うまく隙を突くことができれば、勝機は広がるはずだ。
 セリカは頭を下げ、ケルベロスたちを激励した。


参加者
シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)
神居・雪(はぐれ狼・e22011)
セデル・ヴァルフリート(解放された束縛メイド・e24407)
雁・藍奈(ハートビートスタンピード・e31002)
ユリーカ・ストライカー(蒼撃天使・e36966)
トリューム・ウンニル(碧き天災の運び手・e61351)
ジュスティシア・ファーレル(エルフの砲撃騎士・e63719)
フレデリ・アルフォンス(青春の非モテ王族オラトリオ・e69627)

■リプレイ

●ボディコンとお立ち台
「おーっほっほっほっほ!」
「ふふふふっ」
 繁華街の裏道を、薄手の体に貼り付くようなボディコン服を着て歩く女性がふたり。
 ボディコンをこよなく愛し、世界征服を目論むビルシャナ、ボディコンドルと、その教義に賛同したセクシーな女性が、時々ポーズを決めながら歩いていた。
「おや? あそこにあるのは……お立ち台!」
 そんな最強コンビの前に現れたのは、派手な装飾が施されたお立ち台。
 切っても切れない関係のボディコンとお立ち台。
 ボディコンを愛する彼女たちが、そのお立ち台を無視するはずはなく、
「踊りましょう! ボディコンによる世界支配の日は近いわ!」
 セクシーな女性は胸元から扇子と携帯型の音響装置を取り出し、ボディコンドルを誘って激しく踊り始めた。
(「ボディコン。良いですよね」)
 ノリノリで踊り続けるボディコンドルを横目に見ながら、女性はボディコンの素晴らしさを再認識する。
 そして、扇子を巧みに翻し、グラマラスなナイスバディを強調しながら、近づいてきた観客に胸を揺らしてアピールを始めた。
 だが、その至福の時間は、長くは続かない。
「ふっふっふっ。すべて私の計画通り!」
 不敵に笑うトリューム・ウンニル(碧き天災の運び手・e61351)はそう宣言すると、
「撤去ーっ!」
 腕を広げてたくさんのアクセサリを脚部の機械に装着し、巨大なジェットブースターを全力で駆動させる。
 その勢いに任せるように、彼女は空を駆け上がりながら体にひねりを加え、
「キャッハー!」
 ボディコン好きたちを捕まえるために先程自分で設置したお立ち台を、木っ端微塵に破壊した。
『な、なにするのよー!』
 派手に吹き飛ばされたボディコンドルと同志の女性は、起き上がりながら怒りの声をあげると、
「ここにお立ち台を作っておけは、必ず登って踊りだすと思っていたわ!」
 トリュームは胸を張り、必殺のヴァルキュリア・スプラッシュでお立ち台を破壊した経緯を語り、
「そんな近所のおばちゃんがむかーし来てた服、最近の若者は着たりしないって! キャハハハ!」
 ボディコン姿のボディコンドルを年増年増と煽り立てる。
「ぺったんこのガキの分際で、何がわかるっていうのよ!」
「うわぁ。怖い怖い! おばちゃんのヒガミは怖いねぇ!」
 その挑発に乗ったボディコンドルとトリュームは、しばしの舌戦が繰り広げた。

●お色気で勝負!
「静まりなさい。どちらもはしたない」
 そんな喧騒に割って入るように、ジュスティシア・ファーレル(エルフの砲撃騎士・e63719)の声がその場を駆け抜ける。
「女は色気がなければ生きていけない。その色気にも、気品がなければ生きている資格がない!」
 夜葬華という名の、肩や胸元が露なイブニングドレスを纏ったジュスティシアは、
「女たるもの、劣情だけではなく、その心の奥底まで殿方を魅了してこそ! 女を磨いて出直して来なさい!」
 ブレのない完璧な姿勢と歩行をボディコンドルに見せつけながら、その隣のセクシーな女性こと、シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)に目配せし、
(「ごめんなさい。貴女のその着こなしは完璧で、素晴らしいと思います」)
 申し訳なさそうに心の中で謝罪する。
「あなたこそ、ボディコンの素晴らしさを知ったほうがいいと思いますよ」
 ジュスティシアのアイコンタクトを受け、シフカは彼女の言葉に反論しながら、
「女性の魅力には殿方の意見も大切。そちらの方に比べていただきましょう」
 扇子を、真後ろに隠れてついてきていたオーク型のビルシャナに向けてかざし、投げキッスで先制攻撃する。
「あら。素敵な殿方ですこと」
 ジュスティシアも負けじと、オークに肩や胸元をちらちらっと見せて本人なりに頑張ってアピールする。
 そこへ、いつの間にか現れた他のケルベロスたちも混ざって、オークに色目を使い始めた。
「バニー衣装でがんばるぴょん!」
 大きく胸元を開いたバニースーツを身に着ける雁・藍奈(ハートビートスタンピード・e31002)は、
「ぴょん! ぴょん! ぴょん!」
 実はバニーガールがなぜお色気として成り立つのかよくわかっておらず、うさぎになりきってぴょんぴょんと跳ね回ったり、しゃがみこんで見上げるような仕草でにっこり微笑んだりする。
「かわいいのう。ぐふふっ」
 オークはその仕草を気に入ったようで、藍奈のぷるぷる震える胸元と無自覚上目使いに視線を送る。
「ふふっ。お気に召しましたか?」
 そう言いながらその脚線美をオークの視界に入れるのは、ユリーカ・ストライカー(蒼撃天使・e36966)。
 ハイレグ水着でボディラインを強調し、ギリギリのところまで肌色を見せる際どい服装でオークの目を惹きつけ、お尻を見せながら、背中越しに振り向きポーズをとる。
「ところでこの衣装、ハイレグとハイグレ、どちらでしたっけ?」
 教えてくださいませんか? と、自分の太ももに視線を注ぐオークに問いかけた。
「ぐ、ぐふっ、ハイっ、ぐふふっぅ」
 興奮した様子のオークは、答えにならない答えを口走りながら、我慢できずに触手を蠢かせながら接近する。
「ご奉仕させて頂きます♪」
 そこへ割り込んだのは、ボディラインの出る拘束服とそれを締め付ける拘束ベルトでぴっちりと固定されたセデル・ヴァルフリート(解放された束縛メイド・e24407)。
 オークでなくても思わず手を出してしまいそうな据え膳に我慢などできず、
「うぉぉぉぉぉぉぉ……」
 オークは本能に任せておさわりを始めた。
「さあ、もっと私を攻撃してください、さあもっと!」
 セデルはオークに触れられるたびに体を震わせ、懇願する。
 興が乗ったオークは、彼女に触手で触れることに夢中になっていく。
「聖なる光よ、彼の苦しみを解き放ち給え」
 セデルは祈りを捧げながら、自らの身体につけられる傷を癒やし、そこを更にオークに弄ばれ……オークを甘い罠の奥深くへと誘い込んだ。
 その間にオークに侍るように、藍奈とユリーカが近づき、その四肢を撫でるように触れると、
「アホウ鳥はどこまでもアホウ鳥ですね。みなさん、おもてなしして差し上げましょう」
 ジュスティシアの言葉とともに、美しい薔薇の棘がオークに襲いかかる。
 彼がそれを認識した時にはもう、手遅れだった。

●幸せな最後
「ヴァルキュリャー! 回転!! フルキック!!! ぴょん!」
 彼女たちに触れられるほどの接近を許していたオークは、まず藍奈の全力の回転フルキックを股間に1発、2発と受けて悶絶し、
「お楽しみの時間はここまでです」
 ユリーカはオークを羽交い締めにして、そう囁きながら膝蹴りでオークの尻を突き上げる。
 悲鳴のような、嬌声のような醜い声をあげるオークに、
「さっきから視線が気持ち悪すぎんだよ。とっとと死ね。このエロオーク」
 少し遠くから隙を伺っていた神居・雪(はぐれ狼・e22011)が、飛びかかるように接近してその腹にねじ込むような拳を突きつけ、彼の身につけていた衣服を吹き飛ばす。
 ユーリカが手を離し、倒れそうになるオークの両腕をジュスティシアへパスすると、
「こういうのもお好きですか? 精一杯、『お・も・て・な・し』しますね」
 ジュスティシアは下腹部を思いっきり踏みつけるように足を振り下ろし、ぐりぐりと地面に押し付ける。
「愛情こめて麺から作り上げました! さあ、召し上がって下さいね!」
 そして、某有名喫茶店を参考にして作り上げた、フルーツお汁粉スパ・マヨネーズ&生クリーム特盛りをおもむろに取り出すと、その口を無理やりこじ開けながら、笑顔で流し込む。
 天国から地獄、むしろご褒美、もっとしてほしい。最高。ボディコンなんてなくてよかった。
 走馬灯のように桃色の思考が浮かび続けるオークの頭の中を、必殺兵器ですべてを流しさり、残されたのは真っ白に燃え尽き、何も考えることができなくなったブサイクな石の塊となった残骸だけであった。
(「こええよ! 同情する気はまったくないけど……こっちまで縮み上がりそうだ」)
 女性陣の艶姿に目のやり場に困り、あちこち視線を動かしていたフレデリ・アルフォンス(青春の非モテ王族オラトリオ・e69627)は、彼女たちの苛烈な責めに戦慄し、
(「……まあ、美人でスタイルのいいお姉さんは目の保養だけど、老若男女とかありえん……」)
 視線をボディコンドルに向けつつ、心の中でため息を付いた。
「いいザマね。最高に美しいボディコンの私がいるのに、あれこれ浮気をするからよ!」
 ボディコンドルは相方が死にゆくさまを見ても強気を崩さず、胸を張って高笑いする。
「そうね……でも、ボディコンによる世界征服は……私が代わりにやってあげるわね!」
 隣にいたシフカは、それまでボディコンドルに従うようにしてきた態度を改め、
「ダンス、もとい戦闘準備完了……では行きましょうか」
 鎖を両腕に巻きつけながら、下剋上の意思を示した。

●ボディコン・ダンス
 バリバリと耳を突く音楽とともに、シフカとボディコンドルのダンスバトルが開始される。
「舞い散りなさい……。螺旋忍法『受離閃斬』!」
 強力なパワーを持つ相手に対し、シフカは最初から全力で、最も得意な技を繰り出した。
 ジュリ扇を片手に持って踊りながら間合いを詰め、目にも止まらぬ速さで斬撃を放ち、 あたかもジュリ扇がボディコンドルを切り裂くかのように舞い踊る。
 負けじとボディコンドルも回転を早めた扇子で対応しようとするが、シフカのダンスの技術に翻弄されていく。
「あなたのボディコンへの想いはその程度ですか?」
 そして最後に、ジュリ扇を大きく振り上げて、ボディコンドルを弾き飛ばした。
「キャハハハッ! やっぱりオバちゃんにはダンスはきついのね!」
 それを追撃するように、トリュームはハンマーを振りかぶって思いっきり振り下ろし、
「こうすれば、オバちゃんでも輝けるねっ!」
 光を放ちながら輝き始めるそれを、蛍光色のボディコン服に叩きつける。
「フル回転キック!!! あれ、間違えたぴょんっ」
 間髪入れず、藍奈のうさぎ流の回し蹴りが、名前を間違えながら襲いかかる。
「なめんじゃないわよ小娘どもぉぉぉっ!」
 だが、さんざん煽られたボディコンドルはその攻撃を扇子で受け流すと、まばゆい光で周囲を包み込み、ケルベロスたちの服装をボディコン服へと変えてしまった。
「?? ちょっと動きにくいぴょん! でも、ボディコン姿にされても負けないぴょん!」
 藍奈は今ひとつわかっていないようで、バニーさんでは無くなった事を忘れてうさぎのつもりでぴょんぴょん跳ね回り、
「動きづれぇし、色々見えちまいそうだし……くそっ、やりづれぇ!」
 雪は普段と異なる感覚、そしてその際どさに顔をしかめ、主に異性の目を気にする。
「……どうだ、見苦しいだろ! ほら笑え!」
 一方、この場にいる唯一の男性であるフレデリは、空気を読んで彼女たちを見ないように顔を背けながら、あられもないボディコン姿になった自らを自虐していた。
「ぷっ。……大丈夫そう、だな」
 その姿に吹き出しそうになりながらも、雪はフレデリの空気の読み方に感謝しつつ、思い切って飛び蹴りを放つ。
「これがボディコンですか……! くっ、結構ぴっちりと身体のラインを強調する……!」
 セデルは肌で感じるボディコン服の感触に不思議な快感を覚え始め、
「……いけない、ボディコン素晴らしいと思いつつある! 踊り出してしまいそう!」
 いまにもボディコンドルの術中に嵌りそうになる自分を戒め、
「くっ、こらえるのです私! 踊りよりぴっちり要素に魅力を感じてこらえなければ!」
 できるだけぴっちりと自らを拘束するように手で自分を拘束しながら、急降下蹴りを放ってボディコンドルに抵抗する。
 一方、ユリーカは服装を変えられてもどこ吹く風だ。
 それまでと変わらぬコンビネーションでボディコンドルを攻め立てる。
「この格好、激しく踊ると裾がめくれあがって動きづらいのでは?」
 実際にめくれ上がった裾を戻しながら、激しく反撃してくるボディコンドルに疑問の声を投げかけた。
「うおっ……やべえ、やべえよ」
 周囲の女性たちがボディコン姿で暴れまわるのを見て、フレデリはいっそう目のやり場に困る。
「ええい、だからそんなに服がめくれるような動きをしないでくれっ」
 内心嬉しさはあるものの、スケベ心を抑えるのに必死になり、集中が乱れる。
 とりあえず鎖で魔法陣を描いて癒やしの力を解き放つと、
「おっ、これ、いけんじゃね?」
 いい具合にボディコン服の際どいところが見えなくなったため、積極的に使い始めた。
「アタシの祈りが、誰かのためになるなら―――」
 同じくそれに気づいた雪も、急いで神、カムイへと祈りを捧げ、清浄な風で自分と仲間を包みこみ、その清らかな風の流れがボディコン服の際どいところを隠してくれた。
「逃しませんよ?」
 ジュスティシアはボディコンドルの腕を掴むと、フルーツお汁粉スパ・マヨネーズ&生クリーム特盛りをその口に流し込む。
「お、おぇぇぇぇぇぇっ」
 その破壊的な味に耐えきれなくなったボディコンドルは、一目散に逃げ出そうとする。
 そして、その先にいたフレデリと視線が合う。
「イケメン……ボディコン……最高!」
 その姿に神々しいものを感じたのか、ボディコンドルの動きが止まり、彼の姿を舐め回すように見つめ始めた。
「ほらほら、どこ見てんだよ?」
 だが、それはサンティアーグの誘惑と呼ばれる邪悪なる者の魂を幻惑させるフレデリの家に伝わる秘術によるまやかしだった。
 彼はうっとり自分の幻影を見つめるボディコンドルの後ろに回り込み、幸せな夢を見ているであろう彼女の後頭部を全力で叩き、苦しまないようにとどめを刺して、
「た、頼むからこれ以上見ないでくれぇぇぇぇ!」
 近寄ってこようとする仲間たちに、魂の叫びを残して物陰に逃げ込み、予備の服に着替え始めた。
「……そういえば、着替え用意してなかったぴょん」
 その言葉に思い出したようにつぶやく藍奈に、
「別に、そのまま帰ればいいでしょう?」
 ユーリカはそのまま平然と帰路につこうとし、
「それよりも、せっかくだから踊って行きませんか?」
 セデルは2人をダンスに誘う。
「じゃあ、ダンスに行ってからそのまま帰るぴょん!」
 と、藍奈は不思議な折衷案を出して納得し、シフカも誘って踊りに行く流れになったようだ。
「そう、あれよ……なんだっけ、ケツカッチンでおさきにドロンしまーす。だっけ」
 一方、夜遅くの活動で眠くなったトリュームは、そう言い残して一足先にその場をあとにして、他の仲間たちも思い思いに解散の流れとなる。
 そして誰も居なくなった後、その場に残された、誰のものかわからない蛍光色の服が、少し寂しそうに風に飛ばされていった。

作者:きゅう 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年7月10日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 1
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