闇中に逢う

作者:崎田航輝

 枝垂柳が音もなく揺れている。
 鳥居を遠くに望む道は人影も見えず、静謐に沈んでいた。
 夜の社。鎮守の森を抱くそこは自然の匂いを運び、喧騒を遠くに感じさせる。髪を撫でる夜風は涼やかで、宵の口には漫ろ歩くに丁度良い場所だった。
 けれど、そこを進む斉賀・京司(花と蝶・e02252)は──不意に足を止めている。
「──おや」
 小さく声を零したのは、強い違和感を覚えたからだ。
 静寂は続いていたけれど。それでも静けさの質がどこか、違ったものに変わったように思えたから。
 果たして、視線を後方にやると違和の正体を見つけた。
 先刻まではなかったはずの人影。それは一見、可憐なだけに見える和装の女性だった。
 ただ、それは尋常の存在ではありえない。湛える空気は人と異なり、漂う気配は底冷えのするような怖気を覚えさせる。
 ──螺旋忍軍。
 すたりすたりと、歩む足取りはまるで散策するようだけれど。怜悧で冷徹で、そして酷薄な心がそこに在ることも感じられた。
 すり、と着物の裾を擦れさせて、京司は戦いの姿勢を取る。
 風が強くなり漆黒の髪が揺れる。静謐が崩れ始める、そんな気がした。

「斉賀・京司さんが、デウスエクスに襲撃されることが分かりました」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達に説明を始めていた。
 予知された未来まで、それほど時間は残されていない。
 京司に連絡は繋がらず、京司自身も既に現場にいる。おそらく、敵と一対一で戦いが始まってしまうところまでは、覆すことは出来ないだろう。
「それでもこれから急行し、戦いに加勢することは出来ます」
 合流までは、時間のラグはある程度生まれてしまうだろう。それでも戦いを五分に持ち込むことは可能だ。
「ですから、皆さんの助力をお願いします」
 現場は神社の参道。
 周囲にひとけは無く、一般人については心配は要らないと言った。
「京司さんを狙った敵ですが、螺旋忍軍のようです」
 今の所敵について判っていることは少ない。ただ、放っておけば京司の命が危険なことには違いない。
「だからこそ猶予はありません。ヘリオンで到着後、戦闘に入ることに注力して下さい」
 現場へ入れば京司を発見すること自体は難しくないはずだ。
「仲間の為に、敵を撃破するために……さあ、行きましょう」


参加者
斉賀・京司(不出来な子供・e02252)
千手・明子(火焔の天稟・e02471)
シェスティン・オーストレーム(無窮のアスクレピオス・e02527)
据灸庵・赤煙(ドラゴニアンのウィッチドクター・e04357)
空国・モカ(街を吹き抜ける風・e07709)
翡翠・風音(森と水を謳う者・e15525)
篠・佐久弥(塵塚怪王・e19558)
清水・湖満(氷雨・e25983)

■リプレイ

●夜風
 ──嗚呼、唖々。
 幽寂の社に声音が響く。忿怒も切望も、全てが入り混じった心の発露。
 揺ら揺らと揺れる髪に陽炎を漂わせて。斉賀・京司(不出来な子供・e02252)は逃げるよりも歓迎するかのようにその敵へ近づいていた。
 螺旋忍軍、姫沙は、微かに眉を顰めた。“いつか”遭った京司とは、持っている気配が大きく異なるからだろう。
「……まあ、よい」
 それでも呟いて、刃をばら撒き京司へ斬撃を与えてくる。
 京司はそれすら招き入れるように、姫沙の至近に寄っていた。思うのは二〇一三年。六年前の誕生日前日。そのことに他ならない。
「彼の日、手前に幸福と希望を奪われて、幾星霜。この時を待っていた。やっと殺せる。手前は赦さぬ」
 底冷えする声音に赫怒を込めて。
 陽炎を濃密な彩に染めて刃へ変遷させていた。
「苦しめ。平穏を奪い彼者誰の背を貫いたその凶刃、叩き斬ってくれる」
 その一振りを姫沙へ飛ばし、肩を貫く。
 姫沙は玉砂利を踏んで一歩下がる。だが斃れず、呪詛を返して京司の動きを縛ってきた。
 けれど京司は術力を自身に巡らせて、その軛を砕く。
 過去を思うほど、心は昂ぶるばかりだった。
「あの姉が何者だったか。なあ手前、知らなかったろう。あの人がどれだけ凄かったか。なあ手前、教えてやろうか」
 姫沙の襟首を掴み上げて、黒の瞳に過日の記憶を映しながら。
「斉賀希京。斉賀家当主だ。さうだ、さうだとも、僕達は二人で一人前の当主だったのに。……それを手前、奪ったな」
 茫洋と光る魔力を凶器にして、姫沙の腹を穿つ。
 だが京司の敵意にも、姫沙は笑みを浮かべてみせていた。
「なればなんとする。儂は、敵と認めたものを討つだけよ」
 言うと刃で京司の胸を裂く。下がった京司に、そのまま踏み寄った。
「勝負は見えとる。これで斬り捨ててくれる」
 そして刃を掲げて、そのまま振り下ろそうとした。
 が、丁度その時。
「……残念、そこでストップです!!」
 劈く声が、夜を震わせる。
 それは宙を翔けてくる赤い影、据灸庵・赤煙(ドラゴニアンのウィッチドクター・e04357)。朗々と声を響かせながら、滑空するかの如く飛来してきていた。
 姫沙はそれで一瞬、動作が遅れる。
 無論、攻撃を止めはしないが──その僅かの間に、ふわりと滑り込む影があった。
 吹き抜ける緑風に、自然の薫りを交えさせて。素早く疾駆してくる翡翠・風音(森と水を謳う者・e15525)。槍を翳すようにして姫沙の刃を弾き返していた。
「さあ、今です」
「──うん」
 風音に応え、近づく気配。
 姫沙が視線を斜めに遣ると、そこに白い着物が棚引いていた。
 夜に浮かび上がる程の純な色に、一瞬、怪生が現れたかと空目する。けれどそれはその実、美しき淑女。
 距離を詰め、刀の柄を握り込む清水・湖満(氷雨・e25983)。空気が爆発する程の速度で刃を振り抜き一閃。大音を上げて姫沙へ斬撃を叩き込んでいた。
 よろける姫沙へ、同時に上方から迫る影。
 鉄塊剣を高々と掲げて跳躍する、篠・佐久弥(塵塚怪王・e19558)だ。
 そのままゼロ距離に迫ると慣性力と重量、その全てを叩き込むように斬打を加え、姫沙の体を大きく後退させていく。
 この間に京司へ歩み寄り、静かな声音を聞かせるのはシェスティン・オーストレーム(無窮のアスクレピオス・e02527)。
「京司お兄さん、ごめんなさい、です。助けに、きました」
 遠慮がちに、けれど芯は強く。
 癒杖を翳して光を生むと、それによって刃を形成して宙を奔らせる。傷を切開し縫合することで傷の一端を治していった。
 京司はそこで始めて、はっとするように見回す。
「ああ──、皆。来て、くれたのか」
「顔見知りが儚くなるってのは嫌っすからね。そりゃ駆けつけるっす」
 佐久弥が言うと、そうよ! と、声が聞こえた。
 ぱたぱたと駆け寄ってくる、千手・明子(火焔の天稟・e02471)。瞳を合わせると、少しばかりお姉さんぶるようにめっ、と指を立てた。
「京司! 携帯電話は携帯なさい! あなたったらいっつもふらふらと、心配する方の身にも……」
 と、そこで敵の姿を目にして、向き直る。
「お説教はまたあとでにしてあげなくちゃ。それでいいでしょ?」
「……僕は僕のすべきことを遣るよ」
 京司は静かに応えた。明子は頷く。
「ならわたくしも同じね。お節介、させてもらうわよ!」
 駆けた明子は直刃の一振りを抜き放ち、『陽炎之太刀』。揺らめく動線で敵の感覚を惑わせながら、回避を許さぬ斬閃を刻みつける。
 その隙に、空国・モカ(街を吹き抜ける風・e07709)は京司の傍に寄って、指輪を淡く燦めかせていた。
「まだ傷は残っているな。すぐに治療するから待っていてくれ」
 薄い光が眩い輝きへと変遷し、形を取っていく。
 それは全身を護る魔法盾の煌めき。ゆっくりと京司の体に溶け込んで傷を治癒し、防護を強めていた。
「あと少しだな」
「では、お任せを」
 赤煙はひらりと舞う光の蝶を顕現。美しい羽ばたきで魂を癒し、感覚を研ぎ澄ませていた。
 姫沙はそれでも此方をかいくぐり攻撃を狙う。だが、風音はそれを譲らない。
 翠の箱竜、シャティレに花雨を生み出させて牽制させると──自身も髪を風に揺らがせて、一足飛びに敵の眼前に入り込んでいた。
「近づけさせはしませんよ」
 夜闇に轟く稲妻の力を招来し、矛先に眩い閃光を宿して。刹那、水平に雷を奔らせるが如く、鮮烈な刺突で敵を吹き飛ばす。

●宿縁
 薄い煙が晴れると、姫沙が膝をついている姿が見える。
 未だ薄い笑いは消えていない、だが彼我の戦力差が即断できない程度になったことは、理解しているようだった。
「族の他にこれほどの同胞が居るとはな」
 零れる呟きに、風音は京司の方をふと見遣った。
 あの敵と何か、穏やかではない縁があることだけは直感できたから。
 京司は短く言った。
「殺すべき相手だよ」
「そうですか。ならば助力させていただきますよ」
 と、赤煙は惑わず返した。
 誰にも譲れない物、譲れない戦いがある。
 それを一人で抱え込まねばならない理由などないのだから。
 ──あの敵が京司を狙い、京司がその討伐を望むなら。
「茶飲み友達が宿敵と決着を付ける、助けとなりましょう」
「ええ。京司も成長したし、わたくし達もここに現れたのだから。どんな目的を持っていようとも、やすやすとはやらせないわよ」
 明子の言葉に、姫沙は嗤いを返していた。
「抵抗するつもりか。死ぬか、郎党全て呪いに苦しむか、二つに一つだぞ」
「呪い、か。夜の社には魑魅魍魎が跋扈すると聞いたことがあるが──してみれば、螺旋忍軍も魑魅魍魎の類だな」
 あぁ怖い怖い、と。
 モカは言葉と裏腹に、微笑を浮かべてみせている。
 当然、死も呪いも受け入れるつもりなどないのだから。
「そんな怖いところからは、一刻も早く我らの友人を連れ帰らないとな」
「勿論よ。──さあ姫沙、始めましょう」
 明子は堂々、刀を青眼に構えて。一気に敵へ切り込んでいく。
 赤煙はその背から、パズルを組み合わせて光を舞わせていた。夜闇を照らす力の輝き──それが明子の体に宿ると、劇的な膂力の向上を齎す。
 その力を活かして一撃、明子は刺突を打って敵の体内から衝撃を拡散させ、臓物を潰す。
 時を同じく京司も攻撃に向かっていた。
「京司さん……どうか、ご無理はなさいませんように」
 ご無事であってほしいと願う方は、きっとたくさんいるはずですから、と。風音がかけた言葉を背に受けながら。京司は魔力を氷気に変えて、姫沙の表皮を刻み蝕んでいく。
 姫沙は顔を顰めながらも、円弧の形に斬撃を滑らせてきた。
 が、甲高い音と共に刃が逸らされる。さり、と、すり足で踏み寄った湖満が縦にした鞘から刀を抜き、刀身の腹でいなしていた。
「真っ二つなんて、かなわんからね」
 言いながら、動作は水流のように軽やかで俊敏。
 横にくるりと廻って敵の刃先を明後日の方へ振り払うと──自身はそのまま抜刀して一撃。影をも切り裂く一刀で敵の脇腹を捌いた。
 血煙が散って尚、姫沙は京司へ剣撃を向けようとしてくる。
 けれどモカの防護魔法を受けながら、佐久弥がその眼前へと入り込んでいた。
 ──我が同胞達よ!
 刹那、行使するのは『付喪神百鬼夜行・地縛』。
 ベッドメリーの吊り飾りが星の煌めきを宿し、壊れた鍵盤からメロディが鳴る。きらきら、きらきらと。顕れたダモクレスゴーストが音色で妨害するように、姫沙の動きを押し留めていた。
「京司さんを狙うならその前にこっちの相手をしてもらおうか、ってね」
「……いいであろう」
 応えた姫沙は呪詛を撒いてくる。
 直撃すれば深い苦痛を運ぶ衝撃。だが風音と赤煙がそこへ立ちはだかり、痛みを一身に受けて攻撃を通さなかった。
『──』
 風音は胸に手を当て『生命の叙唱』。
 夜の静けさ、草木の薫り、初夏の暖かさと風の優しさ──数多の自然に歌声で語りかけ、治癒の力を借りて傷を癒やす。
 同時、シェスティンもそっと瞳を閉じ、夜の中に小型機を翔ばしていた。
「『アルゴノーツ・システム』起動……リンクスタートします」
 地を滑るように敵を包囲し解析するのは蟻型ドローン、Hindramyra。魔術対抗システムと同期しながら、シェスティンの力を引き出して淡く光るのは蜂型ドローン、Bindabi。
 至令・【始原砕きし殲理の軍勢】。
 展開されたシステムは加護を砕く力を与え、同時に戦線の補助をする形で赤煙達の傷を治しきっていく。
 それを確認しながらも、シェスティンは気遣う視線を横へ向けた。
「佐久弥お兄さんも、お怪我は、ありませんか?」
「うん、皆、助かったっす」
 佐久弥が頷くと、モカは既に疾走。闇に紛れるように刃を撒いてくる敵の攻撃を躱しながら、機を窺っている。
(「しかしこの女……まるで昔の自分と戦っているようで、なんだか腹が立つな」)
 モカ自身、元忍軍に派遣されていたダモクレス。只の敵と言うよりは、戦い方に見知ったものすら感じ取ってしまう。
 それ故に、負けるつもりはない。刃を縫うように至近に跳ぶと、凍気の螺旋を収束し一撃。掌打を叩き込んで氷晶を散らした。

●決着
 血溜まりが地面を黒く染めていく。
 倒れていた姫沙は、劣勢を認めぬよう立ち上がっていた。吐息は浅いが、声音には戦意を含めて。
「儂は……標的を逃しはせん。最後には、必ず討ってみせようぞ……」
「させません。京司お兄さんは……私の大切な、患者ですから」
 シェスティンはぎゅっと自分の手を握る。
 どことなく死にたがっているように思えて。それでも医者として傲慢に生かしたいと願う、その人を。
「守り、ます。私の前で、私の患者を誰1人、死なせたく無いです……!」
「京司には、私も色々お世話になっとるんだ。模擬戦に付き合ってくれたり、歌劇団に遊びに来てくれたり──」
 声と共に、地を撫でるよう、湖満は一歩一歩と敵へ寄っていた。
 だから、と、その手は刃の柄を握る。
「やれることはやって、連れ帰る。それだけだよ」
 放つ剣撃は『死の舞踏』。逆袈裟に半身を切り裂いて、よろける姫沙へ尚猶予を与えず連撃を見舞う。
 舞踏を踊るように、流麗に、烈しく。繰り返される刃の強襲が傷を深く抉りこむ。
 姫沙は自己治癒を試みる、が、直後には赤煙がその眼前へ迫っていた。
「無駄ですよ」
 腕に力を集中して、速度のままに打つのは裂帛の掌底。
「喝ッ!!」
 空気が弾け、凄まじいまでの衝撃が姫沙の内部で爆発する。『崩気功』──“気”の均衡を崩す一撃は、敵に宿った力を破砕していった。
 同時、モカは京司に知覚力を高める光を与えている。
「あいつは自らの手で倒したいのだろう? 力を貸そう」
「……ああ」
 京司は静かに応え、魔力の弾で姫沙の胸部を貫いていった。
 佐久弥が横薙ぎに斬撃を加えれば、姫沙も反撃の火遁を放ってくる。けれど佐久弥がそれを掠めるに留めると、シェスティンが即時に治癒の光を与えて傷を消しさった。
 姫沙は連撃を目論むが、明子が横一閃に刀を振るって阻害する。
「誰にも手は出させないわ」
 同道した皆へ一度視線を巡らせる。
 そして京司を見つめた。ここで引き留めなければ、どこかに行ってしまいそうな気がして。
「京司も勿論、渡さないから」
「ええ、京司さんは大切な仲間なんです。傷つけさせることも、連れて行かせることも、しません」
 風音は風と共に奔り、槍を突き出し鋭利な一撃を喰らわせる。
 モカがそこへ『剃刃龍巻』──高速機動に交えた手刀の連撃で切り刻めば姫沙は倒れ込んでいた。
 唸りながら、姫沙はゆるゆると手を伸ばす。
 京司はそれを、昏く滾った目で見下ろした。
「手前は命乞いはすな──するならば還せ、僕の双子の姉を。僕のただ一人の理解者で大事な半身を」
 縊るように掴み上げる。
「出来ないだらう。故に乞うな」
「……っ」
 姫沙は片手で刃を振るい、抵抗。京司の胸を突き刺して鮮血を零させる。
 京司はそれでも斃れなかった。左手甲のタトゥシール剥がし、魔術回路を全開放する。
 ──祖に前に倣い、遍くは赦す事勿れ。
 ──古の悪しき神よ、来たまえ。吾が身に異能を貸与せよ。
 刹那、空間が揺らぐ程の魔力を流れ出させ、身に古の『悪神』の力を降ろした。
 先祖伝来、秘術の中の秘術。そして禁忌の中の禁忌。
「僕の腕(かいな)で逝け、姫沙」
 両刃へと変わった四肢で、姫沙を刻み、肉片へと還す。血雨に斃れた姫沙は跡形もなく散っていった。
 自身もよろめきながら、京司は矛先を傍らの彼者誰へ向ける。
「次は手前だ、僕の最も憎い男。手前さえ居なければ。嗚呼、この手で殺したかった」
 腹違いの弟と知らず京司に惚れ、知らずまま死亡した男──有嶋京也。京司が刃で裂くと、彼者誰は一時的か否か、霧散するように消え去る。
 自身の体力もそこで尽きたろう。京司は気を失い倒れた。

「京司……!」
 明子は駆け寄って京司を助け起こし、顔を覗き込む。
 京司は深く眠り込むように目を開けず、ただ鼓動だけが緩く動いている状態だった。風音はそっと触れるようにして呟く。
「大丈夫、でしょうか」
「……できるだけの、ことは。して、おきましょう」
 シェスティンは治癒の施術を行い、傷は塞いだ。
 静寂が戻る中、赤煙は目を閉じる京司に視線を落とす。事情を敢えて深く知ろうとは思わなかったけれど。
「斉賀さん自身は一先ず、無事なようで良かった」
「そうっすね。とりあえずは、周りの処置をしておくっすか」
 佐久弥の言葉に皆は頷き、周囲をヒール。佐久弥はそれぞれの血泥もクリーニングし、清浄さを保っていた。
 湖満が歩き出すと、モカも歩を進め始めた。
「……では、帰ろうか」
 皆もそれぞれに頷き、京司を連れて帰路に着いていく。
 緩い風が吹いている。闇に降りるのはどこまでも深い静寂だった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年5月23日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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