咎の切先

作者:崎田航輝

 風音ばかりが鳴っていた。
 市街の中心なのに雑踏も聞こえないのは、そこにいるべき人々が息絶えているからだ。
 斃れる無数の人影。漂う血のにおい。真っ赤な塗料を撒いたかのようにどす黒く染まる道々。そこにあるのは宛ら地獄のような眺め。
 罪なき民を斬って捨てたのは、たった独りの巨躯だ。
 騎士鎧を返り血で飾って道の中央に立つ、見目には精悍な大男。息一つ乱さずに、狩りというに相応しい一方的な虐殺を行っていた。
 それでも表情に満足の色はない。
「詰まらんな。貴様らは“餌”で終わって良いのか」
 生き残りの若者を見つけると歩み寄り、刃を突きつけて言っていた。
「武器を取れ、抵抗してみせろ。せめて剣戟と呼べるものを、死ぬ前に見せてみろ」
 無論、ただの人間が異星の罪人に抵抗できる訳もない。若者は闇雲の抵抗も数秒のこと、巨剣で一刀のもとに切り裂かれて絶命した。
 生きた人のいなくなった街で、巨躯の男は息を吐く。
「斬り甲斐のないことだ」
 そうして一歩一歩と歩み出す。次の獲物を探して。

「市街にて、エインヘリアルが出現するようです」
 集まったケルベロスたちへ、イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は説明を始めていた。
 現れるのはアスガルドで重罪を犯した犯罪者。コギトエルゴスム化の刑罰から解き放たれて送り込まれる、その新たな一人ということだ。
「静岡の街中で、中心部でもあるということで人の往来もかなりある場所です」
 この人々を護るために皆さんのお力をお借りしたいんです、とイマジネイターは皆を見回す。
 そして現場の地図を表示して言葉を続けた。
「現れるのは大通りの十字路付近。それなりにビルも立っていて、地上では視界が良いとは言えない場所でしょう」
 ただ、事前に警察などの協力で避難は行われる。こちらが到着する頃には人々の退避も完了しているということで、周囲の被害を心配する必要はないと言った。
「エインヘリアルはこの道に沿って、東西南北のどこかの方向からやってくるので……建物の影に潜んだり高所で警戒しておくことで、先手をとることもできるでしょう」
 その辺りの事も考えておいてくだされば幸いです、と言った。
 剣戟を求める、ある種の戦闘狂とも言える相手だろう。戦闘力も弱くはない。
「それでも皆さんならば勝てるはずです。ぜひ、頑張ってきてくださいね」


参加者
藤守・景臣(ウィスタリア・e00069)
水無月・鬼人(重力の鬼・e00414)
スウ・ティー(爆弾魔・e01099)
高辻・玲(狂咲・e13363)
一・チヨ(星纏う夜・e42375)
萌葱・菖蒲(月光症候群・e44656)
円谷・三角(アステリデルタ・e47952)
犬曇・猫晴(銀の弾丸・e62561)

■リプレイ

●冷たい刃
 初冬の風が黒髪を揺らす。
 白翼を羽ばたかせて、高辻・玲(狂咲・e13363)は敵影を捜索している。
 肌を刺す冷気はあれど、上空は視界も良好。広域を警戒することで早々に“異常”を発見することが出来ていた。
「東方向、動く影が見えるようだね。そちらからはどうだい」
「……こちらも、補足したわ。間違いないようね……」
 玲からの通信に、ビルの屋上で応えるのは萌葱・菖蒲(月光症候群・e44656)。
 フライトジャケットを羽織って吹き上がる風を避け、口に咥えるのはタバコ型のラムネ菓子“プラシーボ”。仄かなココアの香りを感じながら、道の遠方を見下ろしている。
 そこに一体の歩む影があった。菖蒲には、それが巨躯の男であることも分かる。
 玲もふわりと飛んでビル上へ合流。菖蒲と頷き合い、再度通信機へ声を通した。

「来るってさ。パーティの準備をしようか」
 敵発見の報を、スウ・ティー(爆弾魔・e01099)は地上で受けていた。
 そのまま地上待機班の面々と共に東側の物陰へ移動。待ち伏せの態勢を取る。
 通話状態のままのスマートフォンから逐一情報を受け取りながら、微かにだけ顔を出して道の先を確認した。
 そこに見えるのは、鎧兜のエインヘリアルだ。
 剣を佩く、地に堕ちた異星の罪人。ただそれを見て尚、スウはどこか楽観的な表情を崩さない。
 言葉通りのパーティを目の前にしたかのように。
「さて、そろそろかね」
「俺からいこう」
 応えて道に歩み出たのは水無月・鬼人(重力の鬼・e00414)だった。躊躇うでもなく巨躯の正面に立ち、敢えて注意を引くように近づいてみせる。
「成程、中々の図体じゃないか」
「貴様は……ただの人間ではないな」
 見下ろすエインヘリアルは目を細める。
 鬼人が不意に鎧を掴んで来れば、反射的に剣で斬り伏せようと柄を握りしめた。その意識は勿論、鬼人だけに向いていたことだろう。
 丁度のその時、巨躯の頭上から衝撃が襲った。

 かり、とラムネが砕ける。
 プラシーボを飲み込んだ菖蒲は、ジャケットから銃を取り出して下方を狙っていた。
「Now……let's dance」
 瞬間、閃光。
 放ったのは、菖蒲自身の呪われた血の力で作り上げた『魔弾』。エインヘリアルの首筋を抉り込むが如く穿っていた。
 巨躯は事態も把握できず見上げる。と、空では玲が刀を陽光に煌めかせていた。
 振るわれた一閃は『紫電』。神速の太刀影を認識した頃には、剣風となった斬撃が飛来、巨躯の胸部を裂いてゆく。
「君は既に僕達の策略の中──狩る側の心算が、狩られる側に回る気分は如何だい」
「狩られる側、だと」
「ふふ、そういうことだ。同じハンティングでも──獲物はあんた、だよ」
 ぼんやりとした表情の中に、少年らしい笑みを交えたのは一・チヨ(星纏う夜・e42375)。仕草は淀み無く、生命の耀きで仲間を守護しながらも視線は横へ。
「そうだろ、さゆり」
 そのチヨの声に走り出すことで応えたのは小さな影──友とも言えるテレビウム。
 ひらりとレインコートを揺らす様は可愛らしくも、赤い傘での殴打は容赦なく。暴力的なレディの痛打に、巨体も思わず一歩下がった。
 そこへ鬼人が業物を抜刀して剣撃を叩き込めば、スウは『悪神の狡知』。不可視の機雷を滞空させてチヨを防護している。
 ここまで僅か短時間。それでも巨躯も反撃に移ろうとしていたが、その視界の一端が不意にきらりと光る。
「悪いけど、もう少しじっとしていてもらおうかな」
 それは円谷・三角(アステリデルタ・e47952)の向けるカメラだった。
 ──今は止まった画が欲しいからさ。
 瞬くフラッシュは『Blurry・Focus』。視界の眩んだエインヘリアルは、まるでフォーカスが外れたようにぼやけた世界しか認識できない。
「さ、今のうちだよ」
「了解」
 体勢を低く疾駆するのは犬曇・猫晴(銀の弾丸・e62561)。肉迫しながらも、巨体の威容を見上げていた。
(「人の形をしててこんなデカいのと戦うのは初めてだ。正直ブルっちゃうね」)
 あっははぁ、と笑みを零しながら。
 それでも退くことなく、つぶさに敵の動きを見取りながら拳に力を込めている。
(「でも、竜牙兵よりかは怖くない」)
 同時、相手の呼吸に合わせて懐へ入り『魔叩』。渾身の一撃で巨体を後方へ煽った。
 エインヘリアルは地を踏みしめて留まると、目を擦って剣を振り上げる。だが次の瞬間その瞳に映ったのは、幽けき紅色の焔。
「剣閃は未だ、ぼやけたままのようですね」
 それは藤守・景臣(ウィスタリア・e00069)の菫青の瞳から零れる、地獄の炎。青と紅の色を宙に線引きながら、景臣は既に一振りの刃を構えていた。
 洗練された剣線で放つのは、光を伴った刺突。巨剣を滑らすように逸しながらも、赫の美しい火花を散らして敵の腹部を突き通した。

●剣戟
 灰色の道に赤の滴が落ちる。
 溢れたのが自らの血であることに、大男は驚きながらも笑みを浮かべていた。
 面白い、と。
「武器を取れと脅しても碌な剣戟も見せぬ──そんな軟弱な地球人共とは違うようだな」
「軟弱、ねぇ。一般人がデウスエクスに敵う訳がない。それを解ってて武器を取れってのは、残酷じゃねえか」
 鬼人が投げた言葉にも、エインヘリアルは首を振る。
「戦いに有情も無情も無い。ただ、良い剣戟が有るか否かだ」
「そう。なら俺たちに、斬り甲斐があるか、実際に試してみろ」
 一歩歩み寄るチヨに、巨躯は刃を掲げた。
「いいだろう。貴様らこそ全霊の剣を振るうがいい」
「無論、お望みならば篤とご覧に入れよう」
 涼し気な声が風に乗る。翼を駆って低空を滑る玲。悠々と回遊するように、しかし疾風の如き速度で眼前に迫る。
「死ぬ前に──そう、君こそが果てるその直前までね」
 血に餓えた獣の相手は、我ら番犬の務め。
 元より敵にあげる餌等、何処にもないのだから、と。描いた剣閃は月のように、流線を象って巨躯の足元を切り裂く。
 エインヘリアルは構わず剣を振り下ろす、が、甲高い金属音。景臣が刀を振り上げて刃を止めていた。巨躯は鼻を鳴らす。
「正面から受け止めるとはな」
「少しばかり頑丈なものですから。中々倒れずに退屈させたら申し訳ない」
 穏やかに言ってみせる景臣は、剣を弾き返しながら銀粒子を味方へと舞わせた。閃く輝きは触れる程に意識が澄み渡り、狙いが研ぎ澄まされる。
 増した知覚力を活かすように、鬼人は刃を奔らせて一閃、敵の腱を正確に断っていた。
「行けるかい」
「もちろん」
 鬼人へ返した三角は間断を作らず、よろめく巨躯に肉迫している。
 ぱっ、と、光を反射させながら撒いたのは現像液だった。それが巨体に触れると、まるでそこだけが写真となったように硬化し、静止する。
 生まれた隙に、三角はネガを鞭のようにしならせて連撃を加えた。
 唸るエインヘリアルは、それでも倒れず踏み寄ってくる。が、そこで突如爆炎がその体勢を崩した。
「これは……ッ」
「歓迎は派手な方が良いだろ?」
 スウの展開していた透明な機雷。
 煙と共に巨体がふらつくと、スウは間を置かず疾駆してナイフを手に取っていた。
 その間、あくまで飄々とした調子を崩さず。それでいて鋭い斬閃で、戯れるように無数の傷を刻んでいく。
 飛散する血潮にエインヘリアルは僅かに苦悶を表す。だがそこには喜びの感情もあった。
 歓喜か咆哮か。轟く声と共に剣を振るい、氷片を交えた波動を放ってくる。
 だがそれも景臣が剣風で弾き、さゆりも広げた傘で暴風を防御。うまく仲間へのダメージを抑えていた。
「ありがとう」
 チヨの言葉にも、さゆりはこのくらいは当然とばかりに傘をくるりと回してみせる。
 残った傷には、即座にチヨが手を伸ばして治癒の風を顕現。冷えた空気を吹き飛ばすように、爽やかな温かさをもって仲間を万全に保った。
「これで、体力は大丈夫だな」
「それじゃあ、補助だけしておくね」
 猫晴は蛇腹剣に光を宿し、刀身を踊らせる。円を描いた光は魔法陣となって空間に固定され、守りの加護で仲間たちを覆っていった。
「よし、攻めに回ろうか」
 動きの流れのままに、猫晴は巨躯へと疾走している。眩く耀くのは刀身に顕した雷光だ。
 エインヘリアルは直上から剣を振り下ろす、が、猫晴は横にずれて回避。体をひらりと回転させ、脇腹に強烈な刺突を喰らわせた。
 おのれと口走る巨躯は、横薙ぎに猫晴を払おうとする。しかし間合いを置いた場所から、既にエインヘリアルを狙っている銃口があった。
「……You made a mistake」
 至近にばかり気を取られれば、遠方から弾丸が飛んでくる、と。菖蒲が引き金を引くと、マズルフラッシュと共に衝撃が巨躯の肩を貫く。
 たたらを踏んだエインヘリアルへ、景臣は切り込んで刃を合わせた。
「どうです、我々に斬り甲斐はありますか」
「……まだ判らぬな。実際に、斬って捨ててみるまではな!」
 吼えながら、巨体は刃を下段に引く。だが斬撃を打とうとしたときには、景臣は体を翻して跳んでいる。
「その点は同感です。多少は斬り甲斐があれば良いのですがね、貴方にとっても──僕達にとっても」
 声音は静やかなれど、瞳の奥に垣間見せるのは牙を隠した狂犬の片鱗。踊る斬撃は剣舞となって巨躯に刃を食い込ませ、血を滴らせた。
 呻きを漏らすエインヘリアルは、呼吸を整える為下がろうとする。
 が、三角の照射した光が目を焼くと、揺れるファインダーのように視覚がぶれて、足元もおぼつかない。
「甘いよ」
「……ッ」
「隙あり、ってな」
 その瞬間に踏み込んだのは鬼人。
「てめぇのような残酷な奴には──殺される恐怖ってのを教えてから地獄に送るのが礼儀って奴だ」
 霊力を湛えた刃は妖しく輝き鋭さを増す。刹那、袈裟に振り下ろした刀は、巨体に深々と吸い込まれ裂傷を刻んだ。

●冬風
 がしゃりと響くのは、巨躯が膝をついた音だ。
 ぽたりぽたりと血溜まりを広げながら、それでもエインヘリアルは眼光から戦意を消してはいなかった。
 歪んだ生気。そこに滲む殺意に、鬼人は出し抜けに口を開く。
「エインヘリアルは彼方此方で一般人を殺して回ってるみたいだが──目的を聞きたいところだな。ただ単に気分で来てる、なんてことは、無いよな?」
「目的、か。最早生まれた星のことなど知ったことではない。俺の他の者共のこともな」
 自分は剣を振るうだけだと、巨躯は言って立ち上がる。
「餌を狩り、剣戟を求める、そのためにな」
「……醜いな」
 血に飢えた男は酷く醜い──と、呟いたのはチヨだった。
 死んだ誰かの身代わりにと造られた人形は、人として潰えたいと願っている。
 だからこそ、自分が密かに憧れを抱く”人”を餌と呼び、身勝手に殺す者を──許しがたい。
「そんな傲慢が滲むよな剣筋を剣戟とは、笑わせる」
「俺の剣を、侮辱するか……貴様らこそ、弱者を守っての戦いなど遣り甲斐もないと気づかぬか!」
 エインヘリアルは激昂のままに切り込んでくる。
 三角は退かず、正面でカメラを構えた。
「やりがいはあるよ。こうして命がけになるほどにね」
 瞬間、シャッターを切れば、フラッシュが衝撃波となって巨体を焦がす。
 唸るエインヘリアルはそれでも力を絞って剣を振り下ろす。だがその刃を玲の刀が捕らえた。
 烈しい剣撃同士が相克し、至近で視線がぶつかる。
「中々、悪くないじゃないか」
 玲は顔色一つ変えない。
 どころか斬り合いこそが生き甲斐なれば──眼の前の剣が鋭ければ鋭いほど、紅の瞳の内奥には死合への偏愛が灯る。
 それが倒すべき相手だというのなら、一層の事。
「──斬り甲斐のある者が来てくれて、嬉しいよ」
 返す刀の一閃は、視認も困難な剣速。巨躯が気づいたときには腕から血潮が噴き出した。
「さあ、連撃を」
「ええ……続かせてもらうわ」
 かちゃりと銃身を向けたのは菖蒲だった。
 ロングの髪だけを風に踊らせて、体は静止したままにフロントサイトを正面へ。瞬間、引き金を引けばひときわ眩い光が煌めく。
 その弾丸は命中と共に巨大に炸裂、爆撃の如き衝撃を生み出した。
 よろけた巨躯に、猫晴は跳躍。まるで挑発するように巨体の肩に座っている。
「やー、絶景絶景。大人になって人の肩に座るなんて思ってなかったよ」
「貴様……ッ」
「おっと。遅いよ」
 巨躯が刃を奔らせようとする前に、猫晴は拳で一撃。顔面に強打を加えていた。
 頬骨の砕ける音と共に血を吐くエインヘリアル。朦朧としながらも、本能で剣を振り回す。
「まだ、剣戟は終わりでは、ない……ッ」
「意志の強さだけはお持ちのようですね。ならば貴方の仰る剣戟を、この手から剣が離れる迄──楽しみましょう?」
 景臣が振るうのは紅炎伴う全霊の一刀、『終焉』。美しくも酷薄に、巨体の半身を裂く。
 そこへ飛んだチヨの射撃が、エインヘリアルの胸部を貫いた。
「くたばれ」
「がぁ……っ」
 倒れ込む巨躯は、それでも這いつくばり抗う。
 見下ろすスウはやれやれと肩をすくめていた。
「まだやるつもりかい。手間取らせてくれちゃうんだから」
 その仕草は最後まで道化じみていて、笑みさえ含んでいる。手で弄んでいたスイッチを起動させれば、生まれる爆撃は巨体を宙へ煽るほどだった。
「後は頼んだよ」
「ああ。こいつで、終わりだ」
 鬼人が煌めかせたのは一つのダイスだった。地獄の焔を内在したそれは、1から2、2から3へと目がカウントアップされてゆく。
 BDⅥ──目が6となった瞬間、弾かれたダイスは極小の太陽となり巨体へ命中。全てを焼き尽くさんばかりの光を湛え、エインヘリアルを跡形も残さず焔滅させた。

 敵が消えれば、残るのは平和な静寂。
 息をついたスウは皆を見回していた。
「終わったねぇ。皆、怪我はないな?」
「ええ。後は、景観の修復をしましょうか」
 刀を納めた景臣が言えば、皆も頷く。
 ヒール作業に入る前、三角は荒れた路地に目を留めていた。
「思い出は俺が残しておこう」
 路地裏の出来事は、裏のままでいい、と。凄絶だった戦いの跡を写真に収めていく。
 その後、路地裏も含め皆で十字路一帯を修復した。
 整然とした町並みが戻れば、作業をしていた猫晴はよしと一つ頷く。そうして後は誰にも気づかれぬ内に、街を去っていった。
 チヨはさゆりと共にぐるりと見回していた。
「これで、綺麗に、なったな」
「ああ」
 鬼人は恋人から貰ったロザリオに手を当てる。そうして無事に終われたことに、祈りを込めていた。
「さて、では帰るべき方々へ報告を」
 玲が人々へ連絡すれば、市民も戻り始めてくる。
 菖蒲は再びラムネ菓子を咥えて、黄昏れていた。
 冬の足音の聞こえる街は、風が冷たくも心地良い。そんな景色にも賑やかさが満ちてくると、菖蒲もゆっくりと歩を踏み出していった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年11月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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