錦海航路

作者:五月町

●夏の忘れもの
 彼方までなだらかに続く高原の丘陵地は、甘く乾いた香りを焚きしめた、秋の錦で着飾っていた。
 彩りの織り手の多くは楓たち。熱っぽく赤らむカジカエデに、少し寂しげな秋の陽に色さす黄色のミネカエデ。
 そこに、青々とした夏への未練ありげに緑をくすませるコナラ、一切の迷いもなく毅然とした赤を放つナナカマドなども加わって、高原の森が秋の繁栄を迎えたころ。

 絢爛の衣の下で、ちりちりと火花を飛ばすものがあった。
 傷みから察するに、最近うち棄てられたものではないだろう。土埃を被った青い羽に、無惨に折れた柱。露わな配線に赤錆を浮かべた、古い古い扇風機。
 もはや触れる者なく通電する筈もない、壊れた機械に力を与えたのは、宿主を探す小さなコギトエルゴスムだった。
 伸びゆく光の回路がやがて全身に至ったとき、生まれ変わった機械は、姿にそぐわぬ突風を朽ち葉の大地に叩きつけた。
 いつ火種となるかもしれない火花。一瞬で木の葉を凍りづけにする冷気。甘い香を一瞬で弾き飛ばす電撃。
 そんな険しい力を眼下の木々に撒き散らしながら、ダモクレスは丘陵地の頂へゆっくりと近づいていく。そこに集う命の気配に引き寄せられるように。

●点描の森
「……って訳だ。下手すりゃ山火事になりかねん案件なんだが」
 まだ時がある、とグアン・エケベリア(霜鱗のヘリオライダー・en0181)は口の端を上げた。これからヘリオンを飛ばせば、充分に間に合うという。
「奴さん、グラビティ・チェインの気配には敏いようだ。あんた方の気配を察すれば、惹かれて寄ってくるだろう」
 さりとて周辺は紅葉の丘陵地、木々の間で戦えば飛び火の危険と隣り合わせだ。そこで、とグアンは身を乗り出す。
「お前さん方には、グライダーを使って奴さんを誘き出して欲しいんだ」
 話に拠れば、その丘陵地は四季の森を楽しみながらの飛行が楽しめる、ハンググライダーの名所であるらしい。当然、麓には着陸に適した開けた場所がある。
 グラビティ・チェインの気配が頭上を横切れば、ダモクレスはつられて追ってくる筈だ。
「奴さんより先に麓に辿り着き、迎え撃ってくれ。飛びながら力を振るうことはできん筈だ」
 敵の能力は火花、冷気、電撃の三つ。それぞれの力は突風に乗せて放たれ、それぞれ異なる異常を撒き散らす。相手取るには厄介な力だが、ことさら威力に秀でたものはないようだ。
「護るべきものをその目に焼き付けりゃ、その後の戦いにも気合いが入るだろうさ」
 短くも華々しい秋の絢爛を、人々が少しでも長く味わえるように。よろしく頼むと目を細め、グアンは同志たちをヘリオンへ迎え入れた。


参加者
レカ・ビアバルナ(ソムニウム・e00931)
片白・芙蓉(兎晴らし・e02798)
百鬼・澪(癒しの御手・e03871)
彼方・悠乃(永遠のひとかけら・e07456)
玄梛・ユウマ(燻る篝火・e09497)
斑鳩・朝樹(時つ鳥・e23026)
アンネ・フィル(つかむ手・e45304)
氷狩・シアン(躊躇い無き剣・e64816)

■リプレイ


 眼下に広がるのは秋の錦。
「わぁ……!」
「これは……!」
 風が、思いがけず強い力で身を掬い上げた。侭ならず、身に馴染まないその感覚に、心が浮かぶ心地がしたのは一瞬のこと。
 並び行くレカ・ビアバルナ(ソムニウム・e00931)と玄梛・ユウマ(燻る篝火・e09497)の瞳は、錦の色を映してきらきらと輝いていた。思ったよりは速いような、緩やかなような、そんな空の旅路が心地好くて。
「上手く飛べるか不安でしたが、これならなんとか麓まで行けそうです……!」
「そうね。高い所はちょっと苦手だったのだけど……こんな景色が見られるなら、悪くないわ」
 体を支える手に力は籠れど、案じていたほどの恐怖はない。暖かな色彩に目を細めた氷狩・シアン(躊躇い無き剣・e64816)の向こう側から、
「たーまやー!」
「!?」
「わっ、揺れ……ひ、氷狩さんも落ち着いて……!」
「あら、ごめんなさい。驚かせてしまったかしら?」
 片白・芙蓉(兎晴らし・e02798)が、間違えたわ! ところころ笑う。風に支えられ、二機はなんとか体勢を立て直した。ひやりとしたものの、そのスリルも案外悪くない。
「目立たなければという話だったから、つい。正しくは『やっほー!』かしら!」
 声を上げれば、首に巻いた紅葉の綾もひらひら笑う。それを辿った眼差しは、背中から剥がれかけたテレビウムに──、
「ままま待って、落ちては駄目よ、フリじゃないのだわー!」
 小さな梓紗がなんとか持ちこたえたのにほっと目を細め、百鬼・澪(癒しの御手・e03871)は彼方に目を向ける。
 見渡す限りの暖かな色、明日には移ろうひとときの綾錦。
「こんな美しい景色ですから。作戦ではなくても、大声を上げたくなるのも分かります」
「それよねー! 一大事ではあるけれど、聊か以上に役得なのだわ……っ!」
 空の旅を素直に楽しむ娘たちに、レカも強く頷く。
「はい、上空から眺めますと美しさも一際、ですね!」
 主役を譲り行こうとする夏の綾は、燦然と煌めく紅と黄金を引き立てる。意識の片隅で気づけば移りゆくこの国の四季の尊さに、いつしか故郷を重ね見ていた。
 ──今頃、懐かしい森もこんな綾に染まっているだろうか。
 はしゃぐ仲間たちにくすりと笑みをくゆらせ、斑鳩・朝樹(時つ鳥・e23026)は稜線に視線を滑らせた。
 なだらかな錦の色目を秋女神の裳裾と見れば、短き航りの日も途端に艶を増し、
「あぁ──誠、美しき綾衣」
 思わず溢れた賛嘆の吐息を、この綾に匿る不埒者も捉えただろうか。ちらと後方に目をやれど、まだ姿はない。
 しかし、澄んだ秋の気配にふつと過った敵意を、ケルベロスたちは敏感に捉えていた。
「──ほら、グラデーションになって綺麗。見える? 花嵐」
 殊更に明るい声を上げ、懐の小竜に微笑みかける澪。くるると喉を鳴らすと、澄んだ風に花が薫った。
 思ったより高度は上がらないものの、錦の丘の彼方此方には、住まう人々の営みがあることを彼方・悠乃(永遠のひとかけら・e07456)は知っている。思い描きながら飛ぶ空は、自身の翼で舞う空とはまた違う彩りを見せていた。
「私にとっては身近な空ですが……人は、こんな風に工夫することができるのですね」
 時に風に遊ばれ、不自由も感じながら、それでも焦がれる空を近く感じるために。敵の注意を惹くために纏った真紅が風にひらめくさまも、今はどこか愉しげに映る。
「はい、自分で飛ぶときとは少しちがうここちです」
 アンネ・フィル(つかむ手・e45304)の背には、小さく畳んだ紫の光の翼。いつもは光と力によって、居る場所を変えているような感覚があった。けれど今日は違う。
「これは、風の力がなければ飛べないのですよね。見えない風を感じて、それに乗って……うん、それってきっと」
 まるで風と友達になれたよう。囁く少女の翼を、同意するように風が擽っていく。
「空を往くのは、人である限り永遠の憧れですから」
 地に過ぎる風の心地好さを知れど、空翔る鳥を羨み仰ぐもまた人の性。柔らかに微笑んだ朝樹の瞳が、微かに険を含む。
「……さて、御出でになったようですよ」
 グラビティ・チェインの気配に惹かれ、航路に続くように姿を現したダモクレス。
 短き航路に彩りを添えた、美しい秋の綾、命の燃焼のいろ。
「一葉たりとも、傷つけさせませんとも」
「ああ。──必ず倒そうね」
 レカに頷くシアン。並び往く仲間たちに、思いは波紋のように伝播していった。


「とと……っ、……着陸成功、です!」
 体の重みから解放されていた足に、踏みしめる大地の確かな感触が伝う。かりそめの翼を素早く外し、振り返ったユウマの瞳に、三色の光が映った。
 ゆっくりと降りてくるそれは、かつて人々に涼を運んだもの。けれど今は、人々に害なすものとなり果てている。
「来ました……!」
「では、参りましょう」
 機体から溢れる力が自分たちへ──いや、罪なき人々へ届く前に。鮮やかな紅を残像に連れ、悠乃の脚が降り立つ敵に重力を叩きつける。その隙に、
「突破は許しません」
 撫でるように弾くレカの弦が、最前の仲間に異常を耐える力を届けていく。しんと研ぎ澄まされ、落ち着いていく心はまるで、
(「守る筈の自然に守られているようですね」)
 あたたかな心情は今は秘め、大切なものを守る為に。引き締まったレカの眼差しと届いた加護に頷いて、ユウマは敵前に飛び込んだ。
「この丘を燃やすのは、熱のない彩りだけで充分です!」
 振り抜いた大剣が、プロペラのように旋回する青い羽を叩き切る。戦場には異質な筈の、けれど奇妙に馴染む微笑を湛え、朝樹は鎚の柄へ力を伝わせた。
「同感ですね。霜で凍るも雷雨で繁るも、自然が織り成す姿……妖しの力は必要としません」
 竜の息吹は渦をなし、墜ち来る敵の軌跡の先を撃ち抜いた。楽しげな芙蓉の声がそれを讃える。
「うーん、皆いい気合いなのだわっ! 楽しい遊びを台無しにする輩は、あーやってこーやって……『御歩み、縛い堅めて諌め賜え』!」
 敵を絡め取る御業の拘束。テンション高く戦場に躍る芙蓉に、はしゃいでいるな、とニヒルな面持ちの梓紗も得物を振り上げ続く。
「そんなありかたは……風も空ものぞんでいません」
 大きな瞳を悲しげに揺らし、翼広げるように両の腕を広げるアンネ。生み出されるエクトプラズムの守りが中衛に立つレカを包み込むその間に、
「我が剣技、刮目するが良い。──土蛇!」
 突き刺した刀を介し、伝わるオーラが大地の荒々しさを目覚めさせる。盛り上がった土は奔流をなし、僅かに、辛うじて浮かぶダモクレスを引き摺り落とした。
 仲間の連携に連なることはならず、けれど怒れる敵が力を振るうよりは速く。ただ一点、敵を貫く澪の精神力が、
「──咲いて」
 その一言で、機械の体と力を空に散らす。
 花嵐のブレスが敵を包み込んだ。辺りを染める銀盃草の花色を、ダモクレスの雷撃が掻き消していく。前衛をあまねく穿ったそれに、庇い手たちの数名が囚われる。だが、撒き散らす異常の力の強かさに比して、その効果はごく限られた。備えは確りと効いているようだ。
「私達はこの程度で縛られはしませんよ。お返しいたします」
 無惨に払われた炎の狭間から、悠乃の一閃が勇ましく飛び込んでくる。月を刻んだ斬撃に、併せ咲くのはユウマの剣戟。
 青年の身には過ぎるほどの大剣が、空を切って躍る。かつてあった形とは違う、異形のものと成り果てた機械。その各部の繋がりを確実に断ちながら、青年は空の上での動揺など忘れたように凛と迫る。
「畳み掛けましょう……! 援護をお願いします、ビアバルナさん!」
「はい! ──季薫る森を航る風よ、護る者の手に恩寵を!」
 風が表情を変える。青白く跳ねる電撃に緊張すら感じさせたそれは、レカのしなやかな声で解き放たれ、癒しの気を帯びた。吹き渡り逆巻くいたずらな風にくるくると遊ばれ、痺れを解かれた小さな子らの背へ、
「ありがとうございます、レカさん……! 花嵐、行けますか?」
「私たちの可愛さに嫉妬する子には、トラウマ倍返しをお見舞いするのだわ、梓紗!」
 澪と芙蓉が励ましを送る。頷いたテレビウムの殴打がくわん、と敵に禍星を見せれば、ふるりと頭を振ったボクスドラゴンも、春一番を思わせる烈しい突撃を見舞った。
「フフフ、やるわね! それじゃ今度は、私が熱いのをお見舞いしてあげる!」
 長い耳持つ芙蓉の影の如く、伸び上がった御業が炎を編む。涼やかな風と絡み合って飛んだ焔弾に、対抗するようにちりりと火花の欠片を散らすダモクレス。そのひとひらが守り手たちをすり抜け、身を掠めても、朝樹は顔色を変えない。細い指先は花弁を摘み取るかのように優雅に火花を拐い、内に秘した心境などなきもののよう。
「朝樹、さん!」
「お気になさらず。嗚呼、どうかそんな顔をしないでください」
 泣き顔のアンネを宥めつつ、踏み出す一歩は力強い。
「敬意なき機械の獣。これ以上、貴方を龍田姫の御前に侍らせてはおけぬようです」
 散り舞う火花も雷撃も、もはや見世物には度が過ぎる。音なき踏み込みで空に至った朝樹の影に、気づいて見上げたときにはもう、遅い。
 落ちる影には山吹に朱の纏い、そして流星の尾が追従する。鮮やかな蹴撃の間に届いたアンネの幼い歌声は、今しがた敵に与えられた焔の呪いをきらきらと拭い去っていく。
「朝樹さんの仰る通りです。これ以上──微かだって、この地を傷つけて欲しくありませんから。止まっていただきます」
「ええ、まだ悪戯が過ぎるようだもの。この戒めですら足りないのなら……エクトプラズムよ、敵の脚を絡め取りなさい!」
 戦いの前のひとときを楽しみ、叶うなら花嵐と他の景色もと思いを馳せた澪も、迫る戦いと定まらぬ身に余裕がなく、けれど落ち着いたならもう一度と欲したシアンも。この情景をこれで終いにはさせまい──そう願って紡ぐ力は、ダモクレスにひときわ鋭く突き刺さっていく。
「これでもまだ……ですか。頑なですね」
 傷ついてなお、機巧は駆動を続けている。うち棄てられた機械に宿る情念か──それでも、と悠乃は真直ぐにその姿を映した。
「思いであれば、私達も負けはしません」
 人々の営みを、ひとときの絢爛を。これから続いていく筈のものを守るのだ。
 悠乃の連れた星屑の輝きが支柱を突き砕く。機械の内から弾け散る火花の中へ、身を飾る花がちりりと散るのも構わずに飛び込んでいく花嵐。駆け抜けた花の香を追うように狙い定めたレカの一矢に、澄みきった冬の気配が集約していく。
「外しません──どうか、お覚悟を」
 青白い魔力が臨界まで高まった瞬間、鏃は一瞬で軌道を繋いだ。空気を震わす弦の音に弾かれ、宣言通りにダモクレスの中核を射ち抜く。水晶のように育ちゆく氷はかそけき声を立てながら、敵の羽を呑み込んでいった。
 そこへ迫るは一閃。反撃を警戒しながらも、ユウマは燃え滾る焔を斬撃へ編み変える。機械の体を異常なほど赤らめる熱は、敵の内から出でるものではない。
 ポケットから引き出した符が、たちまちかたちを変える。勝ち気に笑う芙蓉の前に現れたのは、冷ややかな槍持つ騎兵。
「任せなさい! 無念も怨念も残してあげないんだから──ここでしっかり倒してやるのよっ!」
 狙い定めた騎士の突進が、さらなる氷に敵を閉ざす。華やかな動画で囃し、励ます梓紗とは対照的に、敵は動き出す機を得ても、がんじがらめの術に身動きを封じられたまま。
 組み合わせた手、捧げる祈りがアンネの力を高め、ダモクレスを終わりに導くべく仲間を鼓舞する。悲しげに敵を見つめはしても、震える翼は知っている。──唯一自分達にできるのは、終わらせることなのだ。
「この歌が、あなたの支えになれますように……」
 囀ずる歌に込められた思いは、仲間を戒めから解き放つ力となる。
 感情も痛みも見目にはなきもののように振る舞えるも、自意識には掛かる棘のような疼き。僅かなそれすらも拭われて、朝樹は薄ら目を細めた。
 炎、雷、そして風。三つ色の力が示すものが、美しき秋の衣への憧憬であるのなら、
「──錦の海底に貴方の墓標を立てましょう」
 柔らかく冷ややかな宣告に、ひらく指先から舞い上がる花色は暖かな暁。舞い躍り紅葉の海へ融け続く閃花の軌跡は、黄泉への道標。
「──シアンさん」
「ええ、解ってる。──さあ、見せつけてあげるわ」
 しなやかな花と対極に、ひそやかに迫る黒スーツの影はシアン。地を滑るように駆ける白刃が、敵から漏れ出る火花を映してちらちらと輝く。
「空の旅は楽しかっただろう? この綾錦を土産に持っていくといい。──壊すのではなく、ね」
 熟達の一手、その切っ先が敵を両断する。半身と化してなお、動き続けようとする強かさに、焦れるような心地がした。けれど、
「『まだ』? いいえ……これでお終いにしましょう?」
 一撃すら紡げない悲しさに、澪は敢えて微笑んでみせる。
「叶うなら次は、一緒にこの錦絵を楽しめるといいですね」
 思いは敵の真芯を捉えた。ひときわ鋭く爆ぜた魔力に、最後の一撃を重ねるのはユウマ。動き続ける半身に落ちる巨大な剣影に、思いのすべてを託して振り下ろす。
「……これで、終わりです!」
 からからと異音を奏でながら回っていたプラスチックの羽が、青い宝石のように割れ散る。それはさながら、魂ごと砕かれたコギトエルゴスムのようでもあった。
 丘を彩る秋の絵の具。細枝を凛とした赤の実りで飾ったナナカマドの梢のもとへ、命を終わらせたダモクレスの残骸が転がっていく。錦秋を埋める色のひとつになろうとでもいうように。

「……うんっ、思ったより被害は少ないようね! よかったのだわ!」
 朗らかに振る舞いながらも、実は自然に害を及ぼさぬよう細やかに気にかけていた芙蓉がふうと息を吐く。吸い込んだ風にきな臭さはもうなく、色づいた木々の甘い香をそこはかとなく孕んでいた。
「はい、ヒールで景観を変えることなく済みましたね」
「何よりね。ありのままでこれだけ綺麗だもの」
 胸を撫で下ろす澪にシアンが微笑む。目を細め見渡す秋の錦は、空から見下ろした時と変わりなく鮮やかだ。
 くるくると無邪気に渦巻く風が運んだ錦のひとひらを、レカは大切そうにそっと拾った。
「……美しい一時ですね」
「ええ。もう一度、この航路を旅してみたいものです」
 つい、というように零れ落ちた感嘆は、微笑みとともに。穏やかな朝樹の同意に我が意を得たりと、仲間の声が華やぐ。
 心はもうすでに、天から錦を見下ろしていた。

作者:五月町 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年1月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 1/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 1
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