空に人影が揺らめく。
雲上に、天使のような死神の美貌がたゆたっていた。
流れる白の髪と息を呑む死の香り──『先見の死神』プロノエー。
「お待ちしていました、ジエストル殿」
白磁色の肌の顔を向けて口を開く。その視線の先に、二体の竜が現れていた。
「此度の贄となるのは、そのドラゴンでしょうか」
「そうだ」
プロノエーの声音に頷いたのは、黒のドラゴン、ジエストル。
ジエストルが引き連れている二体目は、定命化により弱りきったドラゴンだった。既に死も近いその竜へ視線を向けると、ジエストルは言う。
「お主の持つ魔杖と死神の力で、この者の定命化を消し去ってもらいたい」
プロノエーは、言葉にそっと頷く。
視線を注がれた瀕死のドラゴンは、浅い息を零しながら、薄目を開いた。
「……既に心は決している。この生命を同胞の為に捧げたい」
「では……これより、定命化に侵されし肉体の強制的なサルベージを行います。あなたという存在は消え去り、残されるのはただの抜け殻にすぎません。よろしいですね?」
プロノエーの言葉に、ドラゴンは躊躇わなかった。
「やってくれ」
雲が光に照らされる。
プロノエーの儀式によって現れた魔法陣が、煌々と光っていたのだ。
定命化したドラゴンは苦悶を上げてそこへ溶け行き、代わりに現れたのは、死の力に彩られた異形──『獄混死龍ノゥテウーム』。
「サルベージは成功。この獄混死龍ノゥテウームに定命化部分は残っておりません。ですが……」
「言わずとも、わかっている。この獄混死龍ノゥテウームはすぐに戦場に送ろう。その代わり、完成体の研究は急いでもらうぞ」
プロノエーの静かな声に、ジエストルは応えていた。
「本日は、緊急の事件となります」
イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は皆に説明を始めていた。
神奈川のとある市街地に、デウスエクスの襲撃が起こるのだという。
「そのデウスエクスとは『獄混死龍ノゥテウーム』。知性の持たないドラゴンのようです」
襲撃までの時間は少なく、人々の避難は間に合わない。そんな中、この敵は市街の中心部で暴れることになるだろう。
「ドラゴンとしては戦闘力も高い方ではありません。けれど、ドラゴンであることに違いはなく、強い相手となるでしょう。街と人々の命を守るために──全力での迎撃をお願いします」
イマジネイターは街の地図を皆に示す。
「ノゥテウームが現れるのはこの中心地です」
栄えている町中で、ビルなどの建物も多い一帯。ノゥテウームはここに突如飛来し、攻撃を開始する。
「なお、この敵は戦闘開始後8分ほどで自壊して死亡する事がわかっています」
つまりここで撃破するか、或いは時間まで耐えきれば勝利となる。
「自壊する理由は不明です。あるいはドラゴン勢力の実験体であるのかもしれませんが……。とにかく、僅か8分でも多くの人を虐殺するには余りある力でしょう」
時間より先にこちらが敗北してしまえば、被害が出るのは免れない。撃破は出来ずとも時間まで耐え抜くことを目標に戦闘を、とイマジネイターは言った。
「今回の敵については不明なことも多いですが……人々の命が危ないということだけは確かですから。まずは守るべきものを守るために──さあ、行きましょう」
参加者 | |
---|---|
安曇・柊(天騎士・e00166) |
シルフィディア・サザンクロス(ピースフルキーパー・e01257) |
一条・雄太(一条ノックダウン・e02180) |
シオン・プリム(種・e02964) |
西村・正夫(週刊中年凡夫・e05577) |
四方・千里(妖刀憑きの少女・e11129) |
ランドルフ・シュマイザー(白銀のスマイルキーパー・e14490) |
西院・織櫻(櫻鬼・e18663) |
●死龍
プロペラが風を叩く度、強風に黒髪が踊る。
速度を落として旋回を始めた機上から、四方・千里(妖刀憑きの少女・e11129)は斜めになった都市を見下ろしていた。
「あれが……獄混死龍ノゥテウーム……」
見えるのは今し方、大音と共に市街中心に現れた敵影だ。
異形の骸竜。
道路ではその巨影の姿に、人々が火の粉を散らすように逃げる景色が見えている。
「と、とにかく、被害が出ることだけは避けないといけません、ね……」
タラップに足をかけて呟くのは安曇・柊(天騎士・e00166)。
下がり眉で零す声音には、怖がる気持ちも臆病さも滲んでいる。
それでも琥珀の瞳は濁り無く、真っ直ぐに敵影に注がれていた──その為に僕達が居るのだから、と。
敵の直上へ到達すれば、シオン・プリム(種・e02964)も躊躇わず空へ跳ぶ。道に降り立つと、まずやるべきことは決まっていた。
「私達はケルベロスだ。誰も傷つけさせはしない──だから安心して逃げてほしい」
響く声は人々へ。鼓舞し、安堵させるように確と呼びかけていく。
シルフィディア・サザンクロス(ピースフルキーパー・e01257)も、まずは逃げゆく人々へ声をかけていた。
「敵は必ず、倒します……だから、今はとにかく逃げることに集中してください……!」
しかしそれ以上の時間も無く、死龍が破壊活動を始めようとしていた。
漂う焔に零れる冷気。がちりがちりと鳴る硬質な音。
嘗ては“竜”であったことが窺えぬ程、それは死の匂いに満ちた異形だった。
「自爆狙いの特攻は誰がやっても面倒くさいな」
這う姿も本能のままに、最後まで暴虐を尽くすだろう。
同情するわけではなくとも、一条・雄太(一条ノックダウン・e02180)はそれが引き起こす事態を想像して緩く首を振る。
「ったく、デウスエクスでもなんでも命は大事にしろよなぁ……」
「だが、コイツはもう帰れねぇところまで来ちまった」
ランドルフ・シュマイザー(白銀のスマイルキーパー・e14490)はその威容を見上げ、拳を打ち鳴らしてみせていた。
それは紛うことなき戦意。
「命をBetにしやがったんだ。……なら、いいぜ。こっちも乗ってやるだけだ!」
「ええ、実験やら何やらは、気になるところですが──」
と、騒音の中に静やかな声音が落ちる。
しんと冴えた刃音を鳴らして、桜の象嵌の施された優美な刀を抜くのは西院・織櫻(櫻鬼・e18663)。自身も呼びかけと殺界、最低限の対策をとった上で、後はただその刃を敵へ向けていた。
「今はこの一戦に浸らせて頂きます。変わり果てたとは言えどドラゴンですから──さぞ手強く、良い糧になるでしょう」
夜色の瞳で求めるのは、死戦で己の刃を磨くこと。
刹那、地を蹴ると死龍の眼前へ。『螺旋鬼刃斬』──螺旋渦巻く刃を奔らせて、痛烈な横一閃で骸の体に深々と剣線を刻みつけた。
声を上げた死龍は、軋む首を下げて番犬達に目を向ける。
その視線が後衛にまで及ぶ前に、きらりと星が光った。
「こちらから──目を離さないでください、ね」
それは柊の『一番星』。意識を捕らえて離さない程に美しい煌めきは、敵へ焦燥感を与えてその視線を惹き付ける。
狙い通り、死龍は柊を中心に爆炎を放つ。
それは視界を朱に染めるほど強力なものだった、が、直後にそこへ守護星座の煌めきが舞っていた。
「少々待っていてください。これで多少は良くなるはずですから」
焦らぬ声で言ったのは西村・正夫(週刊中年凡夫・e05577)。
火の粉の中で澱まず、恐怖の色も無く。星剣を宙に踊らせて、星々の光を地面へと下ろしている。
それが仲間を癒していくと、ランドルフも輝く流体を操っていた。
「放てシルヴァリオン! 『導き』の光を!!」
アスラメタル【シルヴァリオン】は目も眩むほどの光で傷を溶かし、皆の意識を澄み渡らせる。同時にランドルフは白銀のリボルバーから気弾を撃っていた。
雨のように注ぐそれは『バレットヒールレイン』──仲間に触れると光になって散り、皆の体を防護していく。
時を同じく、シオンは自身の攻性植物から黄金の光を生んで仲間の守護を進めていた。
死龍も猛攻を止めずに氷嵐を吹き荒れさせる。けれど、その中にあってもシオンは退かず、耐え抜いていた。
それはきっと強いのではなく、そうありたいと思うから。瞬間、オウガメタルから花舞うような鮮やかな光を放って仲間を治癒していった。
死龍は攻めることしか知らない。だからその間もただ一歩一歩と踏み寄ってくる。
ぎり、と、シルフィディアは歯を噛みしめた。
「無様に生き恥を晒す生ゴミ風情が……」
声には気弱さも臆病さも無く、代わりにあるのはデウスエクスへの怒りと憎しみ。
全身の地獄を骨装具足で覆い隠したその姿で、フルフェイスの中から零すのはただ冷酷なまでの口振りだった。
「死に損なったことを後悔させてやりますよ……!」
瞬間、空気も凍る程の冷気を収束させ、弾丸として飛ばして巨影の足元を穿つ。
その間隙に千里も敵へ迫っていた。
「……」
敵の裏にいる存在にも思うところはあった。
けれど、今は目の前の敵を倒す為に。ぼうと緋の色を帯びた瞳で瞳術を操り、共鳴させた槌から爆炎を発射して敵を足止めする。
「この隙に……攻撃を……」
「俺が行こう!」
そこへ雄太は跳んでラリアット。偶然にも関節部を上手く捕らえたそれは、氷気も相まって死龍をふらつかせる。
「タイミングよく決まったか──なら!」
雄太は前傾になった死龍へ、体を翻してチョップの連撃。横薙ぎの衝撃で大きく巨体を滑らせていく。
●死戦
骸の喉が震え、死龍の声が轟く。
よろめいた巨影は背後の道路を踏み抜いて留まっていた。人に被害は無いが、一挙手一投足が破壊活動となり得ることに変わりはない。
「情勢にしろ戦いそのものにしろ。ドラゴンが動くと、どうしてこういつも派手になるんでしょうね」
正夫はわずかにだけ困った表情を浮かべている。
だが、その内奥は表情ほどに揺らめいてはいない。眼鏡を指で直し、見上げる視線に退く意志はなかった。
「ま、最後っ屁にしてもこれ以上好きにさせるわけにも行きませんから──出来ることを、やりましょうか」
「あぁ、どんな心だったのかは知らねぇが、こんな街中で暴れようってのだけは気に入らねえからな。──絶対に止めてやらあッ!」
ランドルフは握り込んだ拳を突きつける。
暴虐に正面から相対するランドルフへ、死龍は憤怒の声を劈かせた。
それは理性もない、ただの獣じみた敵意。自身がこうなることを、嘗ての竜が予期していたのかは分からない──それでも。
「『覚悟』決めてンのがテメエらだけと思うなよ! 砕けシルヴァリオン! 彷徨える妄執を!!」
瞬間、ランドルフは銀の輝きを纏った拳で一撃。瞳の一つを砕き、眼孔にまで亀裂を入れる。
雄太はその間に懐まで駆け込んでいた。
「一手でも多くいれるぞ!」
「勿論……私も続く……」
疾駆する千里はつい先程時計から二度目のアラームが鳴ったのを聞いていた。
時間は確実に過ぎゆく、が、未だ敵の体力は多い。相手の攻撃力を目の当たりにしただけに、押し切られる前に切り伏せたい。
だから、妖刀を抜き放つと剣撃を踊らせた。『千鬼流奥義 死葬絶華』──重力操作で刃を加速させた多重斬撃は死龍の胴体を抉り込んでいく。
同時に雄太は跳んで旋回。遠心力を威力に乗せて足をしならせていた。
「その図体に投げ技は決められねえけど──こいつならどうだ!」
叩き込むその一撃は『虎尾脚』。後ろ蹴りの形で直撃させ、巨体を大きく後退させる。
しかし死龍は歪な翼をつっぱって止まると、叫びと共に骨腕を振るい、鞭のように打撃を繰り出した。
が、その衝撃は雄太を捕らえない。眼前へ飛び込んだ柊が自身の体と、その身の丈程の翼までもを盾にして庇い受けていたからだ。
攻撃を受ける一瞬前まで、そして今だって怖いという気持ちは消えない。それでも柊は譲らないし、引かなかった。
それが誰かの為になるのなら。
「……まだ、倒れません、よ……!」
「今治療を行います。少しだけ我慢していてくださいね」
と、その視界を明るい光が満たす。
正夫が手を伸ばして治癒の力を顕現させていたのだ。眩い魔法盾は傷を吸収するように柊を治療していく。
そこへ更に優しい光が重なった。シオンが指輪から生み出した魔法。銀色の光が温かな感覚を与えて溶け込んでいくと、柊の浅い傷は完治していた。
「ひとまずは──これで、問題ないはずだ」
「ありがとう、ございます……!」
目を伏せながらのシオンの言葉に、柊は頷いて真っ直ぐに敵へ。美しき小竜の天花と共に飛翔していた。
「いくよ、天花」
声に応えて宙を翔ける天花は、敵頭上へ昇って花嵐のブレスを浴びせる。柊はそこへ刃を振り下ろして鮮やかな斬撃を繋げていった。
唸る骸は自身も飛ぼうとする、が、深まった傷に加え段々と自身の制動がとり辛くなっているのかそれも上手くはいかない。
「ひどいものですね。醜いバケモノに成り下がった今の気分はどうです?」
シルフィディアの酷薄な言葉にも、死龍はただ途切れた声を零すばかりだった。
ふんと息を吐いたシルフィディアは地獄の右腕を露出させ、それを鋭い刃の合わさったドリル状に変貌させていた。
「聞く頭も残って無いようですね。ならその無様な姿も、早く壊してあげますよ!」
大気まで巻き込むようにそれを高速回転させると、そのまま豪速で突撃。『地獄螺旋突貫術』──憎しみを込めた漆黒の一撃で深々と体を刺し、胸部に深い穴を開けていく。
それでも骸はひたすらに腕を振り回した。織櫻は黒刃の刀を抜き放ってそれらを受け流し、逆に零距離にまで迫っていく。
「悪くないですね」
致命となり得る攻撃が連続で視界を掠めていく感覚。その一瞬一瞬が己の力を高め、刃を研ぎ澄ませていく実感──心躍る。
静かな表情に滾る色を見せた織櫻は、二刀を閃かせて剣撃。至近から衝撃波を放って死龍を吹き飛ばしていく。
●撃滅
ぼろ、と骨の欠片が崩れ落ちる。
六分の時間によって、異形に少しずつ自壊の兆候が見え始めていた。無論、それで戦いを止める死龍ではなく、苦悶の音を零しながらも前進してきている。
「……もう少しの辛抱だ。こちらとて戦うのを止められはしないが──もうすぐ終わる」
シオンはそんな敵へそっと語りかけていた。
抜け殻だとしても、その苦痛が少しでも和らげば、と。
死龍は微かに啼き声のような音を漏らす。ただ、攻撃を止める気配を見せなければ、シルフィディアはあくまで吐き捨てるように言うだけだった。
「──醜いゴミめ」
そして地獄を渦巻かせた腕を鋭利に保ち、疾走する。
「どこまでも生き恥を晒すなら、それすらできないようにしてやりますよ……!」
放つドリルの一撃は、死龍の残る目を穿つ。
連続して雄太も氷撃を撃ち当てて腕部を破壊していった。
「弱点は無いみたいだからな──後はただ打ち込んでいくだけだ!」
「ええ、僕も、助力します……!」
柊は剣撃を畳み掛けて確実に体力を削り取っていく。
だが既に柊の息は浅かった。攻撃の誘引を繰り返したことで体力が尽きかけていたのだ。
死龍はそこへ咆哮を繰り出す。それでも柊は仲間を庇って護りながら、気絶していった。
正夫はオーラを花の幻影にして施し、前衛の体力を保っていく。時は近い、が、それでも静観できる状況ではないと分かっていた。
「急いだ方が良さそうですね」
「ええ。一刻も早く斬るとしましょう」
織櫻はダブルジャンプで死龍の眼前へ立つと、螺旋を込めた刀の柄で顎を殴り上げる。敵がよろめいたところで刀身を返して斬撃を見舞い、巨体を横倒しにした。
死龍はそれでも爆炎を放ってくる。が、その全てをシオンは1人で受けきっていた。それが今の自分に出来る数少ないことだと、分かっていたからだ。
心に『秘めた想い』は、何度も繰り返すことで自己の体力を保たせる。死龍は尚攻撃を狙ってきていたが、その頃には千里が迫っていた。
「やらせない……」
滑らせる刃は、一振りで四十二の斬撃を生み出す。まるで柔らかいものでも刻むかのように、その剣閃は死龍の半身を切り裂いた。
七分が過ぎ、敵の崩壊が進む。
死に瀕しながらも最後まで藻掻き戦おうとするその姿に、ランドルフは嘗てあったであろう誇りを、少しだけ感じる気がした。
「だとしても、この拳は引かねぇ。テメエが同胞のために戦うってんなら……俺は牙と拳を、名前も知らねえ誰かの笑顔のために揮うからだッ!!」
放つ眩い拳は違わず命中。死龍を砕き、自壊を許すこと無く散らせていった。
柊は程なく目を覚ます。
ヒールをかけていたシオンは視線を顔に向けて口を開いた。
「……大丈夫か」
「ええ。あ、ありがとうございます。その、ご迷惑を……」
「いいや、助かった」
シオンはそれだけ言って立ち上がり、周りのヒールを始めていく。
死龍の残骸は、崩れ落ちた後で消滅を開始していた。
細かく調べる間もなく粒子となって風に流れていく。ランドルフはそれを見つめた。
「同情はしねえしする気もねえが、哀れなモンだ」
あばよ──と、消え去る異形に一度声をかけていた。
千里は暫し、その残渣などがあればと周囲を捜索した。
けれどそこには跡形も痕跡も残っていない。敵が空から飛来してきたことは確かだが、その出処も類推することは難しかった。
人々の無事を確認していた織櫻が、そこへ戻ってきていた。
「負傷した方もいないようです」
「そうですか……な、なんとか勝てて良かったです……!」
シルフィディアは小さく頷く。口調は気弱そうなものに戻りつつ、安堵する気持ちがそこに込められていた。
ヒールが済めば正夫は見回す。
「とりあえずは一件落着ですか」
「結果として被害はなかったからこっちの勝ち、ではあるんだろうけどな」
雄太はそれでも、戦いや敵の威容を思い出して息をつく。
「精神的に負担をかけるっていうのには成功してるよ、ったく」
「先見の死神、プロノエー……」
千里は予知に話されたその名を呟いていた。
声音には、数多いる敵の一人に向けるものとは違う感情が含まれている。
或いはその存在が仇敵に繋がるかもしれない──そう考えればこそ、ただ冷静なだけではいられなかった。
「ドラゴンと組んで何を企んでいる……?」
何が目的なのか。何処に潜んでいるのか。謎は幾らでもあった。
それでも千里は緋色が失せた瞳で、日常を取り戻し始めた街を見やる。
今守るべきものを守ることは出来た。それが何よりの成果だと思った。
だから千里は静かなままに帰路につく。涼風がその黒髪を優しくそよがせていた。
作者:崎田航輝 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年10月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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