西瓜反乱

作者:崎田航輝

 陽光に鮮やかな緑が映える。
 そこは夏に実りを迎える果実の畑。暖かな風にも丸い葉を揺らして喜ばせ、太陽をたっぷり浴びたことを丸々と育った体で証明する。一面に畑を満たすそれは、スイカであった。
 畑の面積自体は大きくない、けれど一つ一つ愛情を込めて育てられた果実はどれもどっしりと重く、綺麗な濃緑の縞模様がその美味を想像させる。
 太陽を好む果実は今年一層、豊かな発育を経た。畑の持ち主の青年も、契約している店に最高の果実が提供できることに喜びを浮かべている。
「甘くてみずみずしくて。今年の出来は本当に最高だな」
 きっとこれを使ったスイーツは絶品のものになるだろう。生産者として誇らしい思いがその顔には浮かんでいた。
 だがふと、空にひらひらと陽光を反射するものがあった。
 風に流れて舞い降りてくるそれは謎の胞子。青年が気づかぬ間にスイカに取り付いたそれは、またたく間に果実を蠢かせ始めていた。
「え、スイカが……うわっ!?」
 青年が驚くのも無理はない。独りでに動き出したスイカは、大きな果実を顔代わりに大口を開き、蔓を足にして立ち上がっていたのだ。
 青年や、道行く通行人も思わず逃げ出してしまう。だが、攻性植物となったスイカは畑から出るとそれを追って移動。すぐに喰らいついて貪るようにその命を刈り取っていった。

「夏といえばスイカ! だケド、まさか攻性植物になるなんてネ」
 予知の一部始終を聞いたペスカトーレ・カレッティエッラ(ポンコツフィッシング・e62528)は、ふとそんな言葉を零していた。
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)も困ったように頷きを見せる。
「植物のある所はどこでも危険となってしまうのが、厄介なところですね」
 元より現場は大阪市内。爆殖核爆砕戦の結果によって大阪城周辺に抑え込まれていた攻性植物達が動き出している──その流れで今回の攻性植物も発生するに至ったのだろう。
「とにかく、出てきてしまったものは、倒さないといけないってことだネ」
 ペスカトーレの言葉に、イマジネイターは頷いた。
「改めて説明しますと、現場は農家のスイカ畑です」
 広い道沿いにある畑で、一帯は平坦で障害物などは無い。人通りが特別多いわけでもないので、まっすぐに敵のもとへ到着できるだろう。
「今回は警察消防などが人々の避難誘導に協力してくれます。皆さんが到着して戦闘を始める頃には、丁度人々の避難も終わる状態になるでしょう」
「こっちがやることは急行して撃破、だネ。シンプルでいいと思うヨ」
 ペスカトーレは言いつつ、ふと思い出したように続けた。
「そういえばあのスイカ、どこかお店に出すものらしいネ」
「ええ。近くにスイーツを出しているカフェがあって、夏はそこのスイカスイーツに使われるみたいですね」
 カフェは絶賛営業中ということで、無事に戦闘が終わればそこに寄っていってもいいかもしれませんとイマジネイターは言った。
「夏限定メニューで、とても美味しいらしいですよ」
 果実の美味しさを存分に味わえるシャーベットに、ムースとジュレの層が綺麗なヴェリーヌ。パンナコッタ状のぷるりとした食感のブランマンジェなど、どれも人気だと言った。
「それは美味しそうだネ!」
「ええ。その楽しみのためにも。ぜひ、敵を撃破してきてくださいね」


参加者
目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011)
大粟・還(クッキーの人・e02487)
プラン・クラリス(愛玩の紫水晶・e28432)
風陽射・錆次郎(戦うロボメディックさん・e34376)
死道・刃蓙理(野獣の凱旋・e44807)
エリアス・アンカー(ひだまりの防人・e50581)
ロスティ・セヴァー(身体を探して三千里・e61677)
ペスカトーレ・カレッティエッラ(ポンコツフィッシング・e62528)

■リプレイ

●反乱の果実
 燦々と注ぐ陽光の下、畑の緑が一層目を引く。
 警察の誘導で人々が避難する中、畑に近づいた死道・刃蓙理(野獣の凱旋・e44807)は、思わず実っている果実を見下ろしていた。
「手間暇かけてこさえてありますなぁ……。ホラ、見てくださいこのスイカの形……!」
「丸々と、っていう文字通りだね」
 覗き込むプラン・クラリス(愛玩の紫水晶・e28432)もまた、どっしりと育ったスイカに感心の表情。
 ただ、その視線をすぐに前方へ上げてもいる。
「せっかくここまでになったのに。攻性植物になるなんて尚更、勿体無いね」
 その目線の先。畑の間からのそりと出てくる異形の果実がいた。
 スイカの攻性植物。果実の大口をがちがちと鳴らし、長い蔓で道に這い出てきている。
 ロスティ・セヴァー(身体を探して三千里・e61677)は地獄の火の粉を陽光に煌めかせつつ、ふむと眺めていた。
「タマネギ、ソバ、マツタケ……色々な攻性植物に遭って来ましたが、今回はスイカですか」
「これがほんとのおばけスイカ……ってヤツだネー」
 ペスカトーレ・カレッティエッラ(ポンコツフィッシング・e62528)もその異形達を見上げる。蔓でひたひた歩む姿は面妖、とでも言うべきか。
「まるでこの猛暑でおかしくなったみたいだネ」
「ああなれば遠慮も要りません。今回も美味しくいただ……サクッと倒してカフェに行きましょう、ハイ」
 ロスティが戦闘態勢を取ると、ペスカトーレも頷いて麦わら帽を取り出す。
「そうだネ。ボクたちは暑さにやられないようにちゃんと帽子かぶって、っと!」
 そのまま人型でアームドフォートを構えるのは、この日差しで毛深いハリモグラの獣人形態になりたくないためだ。あとは、他の人に針が刺さりそうだから。
「とにかく恨みもつらみもないけれど、人を襲うならおしおきだヨ! ビーチじゃないけどスイカ割りだ!」
「スイカ割り……いいですね」
 刃蓙理は静かな表情でチェーンソー剣をぶんぶん素振り。
 ロスティもまたスイカ割り用の棒を準備していた。
「そういう季節ですからね。ハイ。──とはいえ……割る前に混沌の水や地獄の炎を浴びせちゃうんですけどね、ハイ」
 言葉と全く同時、ロスティの混沌と地獄が揺らめき、高速で敵に発射されていた。
 眩いその一撃は『ヘルカオス・フォースワイドホールド』。広範に飛来すると敵全体を巻き込み、果実の皮の破片を散らしていく。
 肩でとんとん、とガトリングガンを弄んでいたエリアス・アンカー(ひだまりの防人・e50581)も、その銃身を前に向けていた。
「やるじゃねぇか。俺も続くぜ……一発たりとも撃ち漏らさねぇからな」
 発射音と共に、弧を描くように銃口をずらして弾丸を連射。衝撃の雨を敵に見舞って、瑞々しい果肉を貫いていった。
 攻性植物達は怒ったように進軍してくる。が、そこへ高速で迫る影があった。目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011)だ。
「来たいのなら来るがイイ。それっ、こちらも突撃だ!」
 刹那、4枚の翼で夏風を掃き、一息の間に敵へ肉迫する。
 蔓の中を縦横に飛翔する真は、体を纏う変形凶器“汞身南蛮胴具足”を鋭利に流動。踊る刃と化して4体の足元を払っていった。
 ペスカトーレがナパームで連撃を加えると、プランは札で構成された扇“氷騎召扇”で流麗に舞踏。柔肌を妖艶に晒しつつ、氷結の光線を放っている。
「スイカは冷やすと美味しいって聞いたよ。だから、良く冷やしてあげるね」
 閃く氷気は言葉通り、果実の一片を凍結させていく。いなないたスイカ達は、その2体が種を発射してきた。
 だがその射撃は全て、滑り込んだ風陽射・錆次郎(戦うロボメディックさん・e34376)が体で防御し、受けきっている。
「悪いけど、攻撃はひとつも通さないよ」
「傷もすぐに治します。ですから少しだけ、待っていてくださいね」
 声と共に眩い光が立ち上ったのは、大粟・還(クッキーの人・e02487)が治癒の魔力を集中していたからだ。
 それを投射するようにして錆次郎に与えると、その傷が即座に癒えていく。
 別の2体も攻撃を狙ってきたが、そこには錆次郎が風を纏った蹴撃。衝撃波で攻撃を払い除けて敵全体を後退させていた。
 この隙に刃蓙理は塵を舞い上げ、収束させるように剣に纏わせている。
「これで……近づけさせませんよ……」
 その剣を振り抜くと、砂塵は刃となって飛来する。『灰伽羅散牙』の名を冠する一撃は、再度接近している1体に深々と食い込み、風圧で煽るように転倒させていた。

●切り分け
 果肉や皮が飛散して、どことなく甘い香りが漂う。
 害獣に齧られたかのような見た目になった4体のスイカ達は、揃って憤怒も露わに、甲高い擦過音を上げていた。
「しかし、最近は攻性植物の元気がイイね。猛暑のせいだろうか」
 真が素直に感想を抱くと、錆次郎も何となく戦いの記憶を辿る。
「彼方此方で実際、攻性植物が元気になってるみたいだし……季節も関係するのかもねぇ」
「その上、花や木だけじゃなく果物まで変えちまう、か。厄介な胞子だな」
 エリアスはこの奇妙な敵の脅威に、緩く首を振っていた。
 と、プランはふとその言葉に顔を向ける。
「そういえばスイカって分類は果物じゃなくて野菜なんだよね」
「何……? 野菜……だと……?」
 エリアスが愕然とする、そんなやり取りの最中。スイカの異形を見つめる還は、どこか複雑な気持ちでもあった。
「……果物でも野菜でも。農作物を倒さなければいけないのは、つらいですね」
 元より還は、畑を自宅として守る野菜農家。畑を荒らす攻性植物は当然許せないという気持ちを抱いている。
 だがその攻性植物が畑の作物となれば、割り切れない気分でもあった。
 人命が第一だけど、本当なら畑に少しの被害も出したくないから。
 ただ、それでもやらなければならないと知っている。だから還は真っ直ぐに見据えた。
「せめて他のスイカは守らなければなりませんね」
「ああ、やってやる」
 エリアスは両拳をガツンと合わせると、指輪から光の戦輪を顕現。横薙ぎに投擲して4体の根元を裂いていく。
 敵が体勢を崩せば、刃蓙理は疾駆して1体に接近。跳躍して、駆動させた剣で切り上げた。
「文字通りの……スイカ割りです……」
 直下から襲った刃は、唸りを上げて果実を切断。果汁の飛沫と共にスイカを半実にする。
「……おや……まだ生きてます……?」
「じゃあもっと、食べやすい大きさにカットだね」
 次いで、ひらりと跳んだのはプラン。振動刀『永夜』に魔力を注ぐことで出力を増し、連撃。縦横に刃を奔らせて1体を複数の三角形に裁断していた。
 その1体はそれで絶命したのだろう、蔓を消滅させていく。
 残る3体は敵意も強く、果汁を噴射して雨にしてきた。だが前衛の仲間の朦朧とした意識へ、ロスティが即座に花嵐のオーラを舞わせている。
「目を覚ましてくださいっ!」
「助力します。さぁ、るーさんもおねがいしますね」
 還が輝く銀粒子を風に煌めかせると、声に応じてウイングキャットのるーさんも飛び立つ。ふわりと空に踊ったるーさんは風で粒子や花弁を送り、皆の意識を明瞭に保っていった。
「よし。では翔之助が最後の仕上げだ。ガンバレよ」
 更に真の声に呼応して、ボクスドラゴンの翔之助もぱたぱたと飛来。属性の力をプランに与えて前衛を万全にしていた。
「攻撃もサボってナイぞ──ほら、よそ見をするな」
 同時に、真は敵へ爆破攻撃。空圧を破裂させて1体を宙へ煽っている。
 ペスカトーレは釣り竿型ガジェットを掲げ、ルアーを砲台に変形させていた。リールで巻き上げて砲口を高所に上げると、そのまま砲撃して攻性植物を更に高く飛ばしていく。
「あれなら、あと少しで倒せそうだヨ」
「じゃあ、追い込んでいくねぇ」
 頷く錆次郎は、降下してくる攻性植物へと疾走していた。
 その1体は宙で藻掻きつつ、錆次郎に体当たりを仕掛けようときりもみする。だが錆次郎はひるまず、腕部を回転させて力を溜めた。
「動きが予測できるなら、それほど脅威じゃないよ」
 落下してきた果実を、錆次郎は拳で迎撃。強烈な打突で全体にひびを生ませた。
 真は素早くその上方に旋回し、鋭く変形させた具足を足に纏っている。
「では、オマエもスイカ割りの要領で分割してやろう。破砕点は──ここだね」
 宙で縦に回転し、繰り出すのは踵落とし。正中を突いたように、その一撃は綺麗に果実を放射状に破壊した。
 残る2体のうち、1体には既にエリアスが拳を振り上げている。
「あんまり大きく四散させても畑に悪いからな──これでいくぜ」
 地面を穿って顕したのは『棲鬼針山』。敵の蔓を突き刺し、動きを封じる文字通りの針山だった。
 身動きできぬその1体を、エリアスはすぐに蹴り上げて飛ばす。
「あとは頼むぜ」
「うん。任せて──氷の騎士なら冷やすのと切り分けるの同時にできるかな?」
 プランは『氷精統べる女王の号令』を発現することで、雪と氷のドレスを纏った雪の女王の如き姿へ変身していた。
 透けるドレスから肢体を覗かせ、プランは華麗に舞うように数多の騎士を召喚。敵の1体を凍結裁断させた。
「これで最後ですね」
 残る1体へは、ロスティがパイルバンカーを射出。果実を爆散させて絶命させ、一帯に静けさを取り戻していた。

●夏の甘味
「オツカレサマ」
 日光の下に真の声が響く。
 皆はその言葉に一息つくと、すぐに周囲をヒール。人々に無事を伝えて避難も解除していた。
 平和の戻った野外は太陽も一層高く、気温も上り調子だ。
「ひーあっつい! 早くクーラーの効いた部屋に行きたいヨォ……」
 ペスカトーレは汗を拭いつつ、思い出したように皆に向く。
「あ、そうだ。折角だから例のカフェでみんなでスイーツタイムにしよう!」
「カフェですか? もちろん行きます!」
 還が嬉しげに頷くと真も歩み出した。
「お誘いアリガトウ。オレと翔之助も食べに行こう」
 皆もそれぞれに同意して、カフェに行こうということになる。
 一方、錆次郎は残ることにした。
「ふ……男ってのは、甘い物が苦手なんだ。あと、デブだからって甘い物が好きとは限らない……そういうわけで、僕は畑の検分をもう少しやっておくよ。そちらにも後で少し顔を出すから」
 ということで、皆を見送る。
 ただこの言葉は全てがその通りかと言うとそうでもなく。錆次郎は農家の青年と交渉し、傷んだスイカを多少安く買っていた。
「うん、これは美味しそうだなぁ」
 詰まりは、スイーツは好きだが皆の前で食べるのも少し恥ずかしいのだ。錆次郎はそうやって手に入れたスイカを持って、歩いて帰っていった。

 可愛らしい店構えのカフェに入ると、冷風が涼しい。
 皆は席について早速メニューを眺めていた。地獄の炎で温まらないよう、ロスティは左端の席を確保して品を選ぶ。
「僕は……何を頼みましょう。オススメは確か──ハイ、ではこのスイカのブランマンジェをいただきましょう」
 ピックアップされている3品から決めて、注文。
 還も暫し目移りしていた。
「迷いますね……。それでは、ヴェリーヌをお願いします。るーさんはどれにしましょうか……シャーベット? ではそれも追加で」
 と、前足でメニューを指するーさんの分も一緒にオーダー。
 プランは悩んだ結果結論を出した。
「迷うし、全部頼んじゃおうかな」
「へえ、豪快でいいじゃねぇか。あ、俺はシャーベットで頼む」
 と、軽く手を挙げて店員に頼むのはエリアスである。そうして皆もそれぞれに頼み、スイカスイーツを心待ちにした。
 やってきた品を見て、おお、と声を零すのはペスカトーレだ。
「これは美味しそうだネ!」
 やってきたシャーベットは、透き通った器に赤色が映える一品だった。
 アクセントに小さなベリー、天頂にはミントの葉が上品に添えられている、見目にも爽やかなものだ。
 同じものを頼んでいた刃蓙理は、それに一瞬目を奪われている。
 だがすぐに静かな雰囲気を湛えると、疑わしげに見下ろしていた。
「……何だかんだでご一緒しましたが……私は黒魔道ですよ……? スイーツなんて女子供の食べ物、チャンチャラおかしくてうンまぁ~い……!」
 と、スプーンで口に運んだ瞬間、ほわぁと表情を和らげる。ひんやり食感を保ちつつも、舌にのせるとすぐに優しく溶ける。ミルクの甘味も加わった絶品であった。
 エリアスもおっと目を見開く。
「こりゃあ、美味いね」
「本当だネ!」
 頷くペスカトーレも心地よい冷たさにまったり。
 一方、還が頼んであったヴェリーヌはとにかく可愛らしい一品だ。深さのある透明な器に、白いクリームと濃い赤のスイカジュレ、さらにピンク色のスイカムースが層を重ねて色の段を作っている。
「せっかくなので写真も撮りましょう。これは映える」
 還は思わずスマートフォンでパシャリ。お洒落なテーブルを背景に夏の一枚を収めた。
 甘い物好きのるーさんは既にシャーベットをしゃりしゃり味わっている。それを見つつ還も自分のを一口食べると、ジュレの濃い甘さとクリームのまろやかさ、ムースのなめらかな舌触りがマッチして非常に美味だった。
 真もヴェリーヌを食べて、ナルホドと頷いている。
「このジュレはウマイね。スイカは水っぽいイメージだったが、きちんと調理すれば充分に甘くなるんだな」
「こちらも中々、上品で」
 と、ロスティが見ているのはやってきたブランマンジェ。ココナツの香りもプラスされた、艷やかな白色が美しい品だ。
 ぷるぷるのテクスチャは、ふいに零してしまいそうなくらい柔らかい。
「こういう時、竜派の姿ですと微妙に食べづらくもありますが……あっ……セーフ」
 ロスティも手に比して小さめのスプーンから滑らしそうになったが、うまくキャッチして一口。とろみの中に息づくスイカの風味が爽やかな、これもまた絶品だった。
 プランも3品を順に味わって、目を細めている。
「シャーベットはスッキリしてて、ヴェリーヌは味に変化があって。ブランマンジェは舌触りがすごくいい。本当に、どれも美味しいね」
「ああ。……翔之助も甘いモノは好きだろう。どうだ?」
 真は翔之助の分も注文して、あげている。
 ぱくぱくと食べる翔之助は、肯定の鳴き声を返していた。それに頷きつつ、真はアイスティーも注文し、甘味をさっぱりとさせる。
「しかし、今日も暑かったね」
「こういう日が続くと、冷たいモンがありがたいな」
 エリアスが返せば、ペスカトーレもうん、と応える。
「やっぱり食べるぶんにはスイカは最高だネ!」
 それには皆もまた、頷いた。
 夏は暑くて目も眩みそうになるけれど、爽やかな美味は目にも舌にも心地よい。果実の恵みを味わいながら、皆は暫しその時間をゆっくりと過ごしていった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年7月22日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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