慈雨に花が咲いていた。
公園の花園は旺盛を誇る花々で綺羅びやかに飾られている。そんな大輪に紛れて、片隅にある狭い一角を彩る花があった。
数輪だけ植えられているそれは流線の美しいレインリリー。漏斗状についた6枚の花弁が、雨粒を身にまとって瑞々しい白色を見せている。
雨が降ると一斉に開花する、そんな謂れに違わず、ここにあるものは花開いたばかり。
だからだろうか、雨滴の重さで小さく揺れる花の姿は、恵みの雨に喜んでいるよう。愛らしく咲き誇る姿がどこか健気で、だからこそ目立たぬ数輪にも人々は歩みを止め、優しい眼差しを落としていた。
繰り返し花をつけることで季節を生きていく、だが一度開いた花そのものは短命だ。雨に煌めく一生懸命な命の姿もまた、この花が人々を惹きつける理由なのかも知れなかった。
しかし、そんな儚い命が突如変質する。
雨に紛れて落ちてきた謎の胞子。それが不意に取り付いてくることで、レインリリーが蠢き、巨大化し、異形となり始めていたのだ。
巨花の怪物へ変貌したそれは、攻性植物にほかならない。そのまま這い出るように花園から抜け出し始めていた。
人々が気づいたときには既に遅い。5体の狂花達はそこへ襲いかかり、その生命を喰らっていった。
「雨に咲く花。その尊い命が異形と化してしまったのですね」
黒江・カルナ(黒猫輪舞・e04859)の言葉に、イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は頷きを返していた。
「ええ。今回も皆さんのお力を借りることになりそうです」
それから改めて説明を続ける。
「本日は、黒江・カルナさんの情報により判明した、攻性植物の事件です」
爆殖核爆砕戦の結果として、大阪城周辺に抑え込まれていた攻性植物達が動き出している、その流れのひとつだろう。
攻性植物は、大阪市内を重点的に襲おうとしている。狙いは市内を中心に自身らの拠点を拡大させることだろう。
放置すれば人々が危険なだけでなく、敵の情勢に有利な結果を生んでしまう。
「この侵攻と人々への被害を防ぐために。攻性植物の撃破をお願いします」
作戦詳細を、とイマジネイターは続ける。
「敵は攻性植物が5体。出現場所は大阪にある町中の公園です」
その中の一角の、美しい花園となっている一帯。遊歩道となっており、様々な花が鑑賞できる場所だという。
周囲の人々の避難は、警察や消防が迅速に行なってくれるので心配はないと言った。
「私達は、戦いに集中するべき、ということですね」
「ええ。敵も一度戦闘に入れば逃走などは行いませんから。そういう意味で対処は難しくないでしょう」
カルナに、イマジネイターは応えて言った。
「とはいえ、敵は5体。数の多さは脅威になりそうです」
別行動こそしないが、その分しっかりとした戦法を取ってくるらしい。同じ植物同士のためか、連携もそれなりに高度のようだ。
「攻撃法は、蔓触手による近単パラライズ攻撃、雨色の光を纏う耐性付きの遠列ヒール、花弁を舞わせる遠列催眠攻撃の3つです」
各能力に気をつけてください、と言った。
カルナは頷く。
「人々と、そして花のために。尽力致しましょう」
「ええ、健闘をお祈りしていますね」
イマジネイターはそう言葉を結んだ。
参加者 | |
---|---|
藤守・景臣(ウィスタリア・e00069) |
烏麦・遊行(花喰らう暁竜・e00709) |
エリヤ・シャルトリュー(影は微睡む・e01913) |
周防・碧生(ハーミット・e02227) |
霧島・絶奈(暗き獣・e04612) |
黒江・カルナ(黒猫輪舞・e04859) |
西院・織櫻(櫻鬼・e18663) |
九十九屋・幻(紅雷の戦鬼・e50360) |
●迎撃
雨に花咲く公園へと、ケルベロス達はやってきていた。
園内にいた市民は警察消防の誘導で、問題なく避難を始めようとしている。皆はそれを確認しつつ花園を目指していた。
「草花が更に生き生きとしだす季節も目前というのに……事件は減りませんね」
烏麦・遊行(花喰らう暁竜・e00709)は道中に咲く花を見やりつつ声を零す。ここにあるどの花も、攻性植物になっていた可能性はあったのだろう。
「これ以上、例の胞子による二次被害が広がるのは看過できませんね」
「ああ。何より街のド真ん中での凶行を許す訳にはいかない」
声を継ぐのは九十九屋・幻(紅雷の戦鬼・e50360)。まっすぐに視線を向けている。
「だからこそ、全力で阻止させてもらうとしよう」
その目線の先には、丁度花園が見えてきていた。
同時に、そこから這い出てきていた、異形の巨花達も。
エリヤ・シャルトリュー(影は微睡む・e01913)は眠気を含んだ瞳で見つめる。
「見つけた、ね。雨じゃなくて、わるい胞子がくっついた……雨の花」
「ええ」
藤守・景臣(ウィスタリア・e00069)も頷き、その花達に視線を走らせていた。
レインリリーの攻性植物。5体の異形は花弁を揺らし、根を蠢かせ、どこか獣じみても見える。
景臣は眼鏡を外し、地獄の炎で藤色に灯る瞳を露わにした。
「ああなってしまえば、美しい花が台無しですね。花、人──全ての命を手折らぬ為にも。此処で散って貰わねば」
「そうですね……元の花を思うと心苦しいですが。災いの芽は、根絶やしにしましょう」
と、そっと応える黒江・カルナ(黒猫輪舞・e04859)も、その瞳に戦意を滲ませる。
頷いた幻は、日本刀“紅光”を構えていた。
「では行くぞ、敵よ──雷光団第一級戦鬼、九十九屋 幻だ。手合わせ願うよ!」
そう高らかに宣戦すると、刃へ自身の血を垂らしている。
瞬間、刀身が強力な雷の力を宿す。その力は『血染花』。接近して眩い斬撃を奔らせ、中衛の1体に初手深いダメージを与えていた。
それを機に皆も交戦へ。カルナはそっと手を伸ばし、精霊魔法『黒戯』を行使して小さな影を喚び出していた。
「さあ──行っておいで」
声に呼応して跳び出したその影は、黒猫の幻影。素早く駆けると、同じ1体へ喰らいついて足止めしていく。
「では僕も、合わせましょう」
と、そこへ魔力を集中させるのは、周防・碧生(ハーミット・e02227)だ。顕現させるのは、『黒の王』。精霊魔術によってその智と手を借りた、猫の王である。
それはカルナの黒猫に追随するように敵へ接近すると、剣を振るって根元を切り裂き、一層機動力を削いでいた。
それを見てか、敵の後衛2体は回復行動を取ろうとする。
が、先んじてエリヤは、自分の影の一部を揺らめかせていた。
それは影翅の邪眼:《Ephemeroptera》。纏ったローブと、そして自らの眼に入った魔術回路を走らせることで顕現させる、異形蝶だ。
「《我が邪眼》《羽搏く蜉蝣》《其等のゆらぎで力を奪え》──」
エリヤは同時に、周囲の情報を得る魔術も実行することで、眠気を払って意識を明瞭にしている。声音も冷静さを含んだように、淀みない詠唱で異形蝶を飛ばした。
それは陽炎を棚引かせながら幻覚を見せ、後衛の2体を麻痺に陥らせる。
同時、景臣は『灯蝕』。直刃の斬霊刀“此咲”に宿した紅蓮の炎を放つことで、敵の攻撃役でもある先鋒の行動を奪っていた。
この間に、敵の中衛と盾役は触手を飛ばしてくる。
が、それは景臣がうまく防御して受けきった。直後には、霧島・絶奈(暗き獣・e04612)が手元に青い光を生み出している。
「ご心配なく。すぐに治療してみせます」
それは小さな光のメス。指先を伸ばしてそれを宙に走らせることで傷口を縫合し、景臣の体力を即座に回復させていた。
次いで、遊行は腕に絡めた“揺れ動かざる秋桜”から、魔力を含んだ花弁を宙に舞わせた。淡く光って消えたそれは景臣を万全にし、前衛の防護も固めていく。
「これでひとまず、態勢も整いましたかね」
「では反撃と致しましょうか」
敵を見据えながら応えるのは西院・織櫻(櫻鬼・e18663)。二振りの斬霊刀“櫻鬼”と“瑠璃丸”をすらりと抜いていた。
「この刃にどれほど耐えられるか。お手並みを、拝見しましょう」
感情の起伏も乏しく見えていた織櫻の眼光は、しかし戦いに臨んでその奥で鋭い色を見せる。
刹那、地を蹴って中衛の1体に肉迫すると、『雨音断ち』。文字通り、降る雨すら断つほどの神速の斬撃で、巨花の花弁を斬り飛ばしていった。
●雨の戦い
花を失った攻性植物は、それでも絶命せずに踏みとどまっていた。
残りの4体も合わせて敵意を露わに、威嚇するようなわななきを見せている。
碧生はそれを目のあたりにして、静かに口を開いた。
「健気に雨を喜んでいた花が、血を求める異形と成り果てる……つくづく惨い真似をするものですね」
「ええ、本当に」
と、遊行もふと声を落とす。
「折角咲いた花がこんな風になるなんて悲しいではありませんか」
「──ゼフィランサスの花言葉は「汚れ無き愛」だとか。或いは、視点を変えればそうなのでしょうね」
絶奈はそんなふうに言った。
全ては種の繁栄の為。これ程純粋な花言葉の体現があるだろうかと思ったのだ。
その想いに彼我の差は無く、故に貴賎や優劣の差異もない。絶奈には敵の本能がストレートに感じられる気がする。
だが、それは絶奈が退かない理由にも成り得るのだ。
「ならば、私も同様に、私が寄る辺とする種の為に己の力を揮うだけです」
他ならぬ私自身の熱愛の為に、と。呟いて敵を見据えていた。
「……何にせよ、悲しむよりも今は目の前の事態、ですかね」
遊行が警戒していると、敵の中衛は後方から回復を受け、耐性を得た上で攻撃しようとしてきていた。
が、それを許さず踏み込んだ影があった。刀を下段に構えた景臣だ。
「簡単には、譲りませんよ」
逆袈裟の斬撃から、舞うような動きで回転して切り落とし。破魔の焔を伴った剣閃は、敵の防護をも即座に斬り砕いていた。
「今ならば、連撃で追い込めるはずです」
「分かりました。私が行きましょう」
応えたカルナは“ダイヤライフル”の銃口に氷気を収束させている。同時に、並び立つ碧生に目を向けていた。
「碧生君、リアンさんも、共に打ち砕きましょう」
「カルナさんが望むのならば。さあ、リアン──」
頷いた碧生はボクスドラゴンのリアンを飛翔させていた。
リアンは空から黒と青に煌めくブレスを放って攻撃。そこへ碧生が鎖を放ち、中衛の1体を抑える。
刹那、カルナのレーザーがまっすぐに奔り直撃。その1体を凍結させ、四散させた。
幻は刀を構えつつふむと頷く。
「これでようやく4体か。なかなか厄介だね」
「雑草の根絶はなかなかに手間が掛かるものです。厭いはしません」
そう声を返したのは織櫻。二刀を構え、そこに雷光を宿らせていた。
かかってくるならば迎え撃つ。それが刃を磨くことになるのなら織櫻に忌避する理由はなかった。
「我が刃の糧となれば、根の一欠片まで喰らい尽くしましょう」
瞬間、素早く跳んで敵の盾役に接近する。影が舞うような忍者の身のこなし、そして鍛えられた剣術による二連の刺突。独自の二刀流によって昇華された剣戟は、鋭く盾役の胴体を貫いた。
敵の先鋒は、この間に花弁を撒く。が、そのダメージは絶奈が治癒の雨を、遊行が花のオーラを舞わせることで治癒。
次の攻撃を狙おうとしている盾役には、エリヤが魔術を実行していた。
「これで、すこしじっとしてて貰うね」
ローブで風を払うように放ったのは、魔力の光。それは光線となって飛来し、敵の根元を硬化させていく。
その隙に、幻がまっすぐに駆け込んでいた。
攻性植物も藻掻いて反撃をしようとしているが、幻は元より捨て身の特攻スタイル。それにも構わずに懐に飛び込んでいく。
「攻撃こそ最大の防御だよ。そうでなくても、こちらの方が──面白い!」
言葉通り、顔には笑みさえ浮かべながら、躊躇いのない一閃。妖力を込めた斬撃を放ち、盾役を大きく吹っ飛ばしていく。
●闘争
横倒れになっていた攻性植物は、流動して起き上がる。
零すのは手負いの獣の如きいななき。慈雨に何かを感ずることもなく、ただ苦しげに体を震わせていた。
「せっかく雨によろこんでいたのにね」
と、エリヤはふと呟く。
エリヤも雨は好きだった。涼しいし、夏の直射日光は苦手だからこの時期は尚更だ。
だからレインリリーには、同じものが好きだという親近感を抱いていた。でも、目の前の花はもうそうじゃない。
カルナは一度視線を落とす。
「攻性植物と化せば、花の生は永きものとなるでしょう。しかし、きっと、元々の花達は──そんな生き方を望んではいなかったと私は思いたい」
だからこそ、今は別の存在になってしまった敵へ、カルナは刃を向ける。
「短い時を懸命に生きようとした花を──そして人々に愛された花を、命刈り取る尖兵になどさせません。貴方達には、ここで散って頂きます」
攻性植物は、ただそれに殺意を返すように這い寄ってくるばかり。
しかし攻めてきた先鋒の1体を、景臣は剣で抑えていた。
「まだまだ、引き下がっていて頂かなくては困りますね」
敵の威嚇にも動じず、景臣は連続剣撃。相手が躱そうとすればフェイントを挟み、背後に跳んで炎撃を加え、麻痺させた。
エリヤも再び影翅の邪眼を行使。異形蝶で取り巻くことで、盾役の行動も奪っていく。
その機を逃す織櫻ではない。二刀に霊力を渦巻かせると、裂帛の振り抜きで衝撃波を飛ばしていた。
「これで2体目。露と消えて頂きましょう」
瞬間、暴風の如く襲った衝撃が盾役の1体を千々に散らせていく。
ただ、敵先鋒が後衛の1体による回復を受け、もう1体とともに触手を飛ばしてきていた。
が、その二撃は、絶奈のテレビウムが跳んで防御している。すぐ後には絶奈が治癒の光の塊を生み出していた。
「上出来です。回復はこちらでやっておきましょう」
その光がテレビウムの傷を撫でるように消していき、体力を癒やしていく。
次いで、遊行は手帳を取り出し、魔法陣の描かれた頁を破って散らす。すると魔術が実行され、使い魔の廿日鼠型キャンディゴーレムが出現していた。
「さて、頼みますよ、白薄荷」
それは『蕩ける夢の飴菓子鼠』。駆け出したゴーレムは、治癒効果のある飴玉をテレビウムに与えることでその体力を万全にさせていく。
この間に、カルナはグラビティを込めた剣撃を叩き込んで敵先鋒の魔的防護を破壊。連続して、碧生も再度黒の王の召喚を行っていた。
飛翔した猫の王は、術をかけることで敵先鋒の根元を縛り上げ、動きを止めている。
「今のうちに、とどめを」
「うむ、私に任せるがいい!」
応えた幻は、紅光に目もくらむほどの雷を纏わせていた。
攻性植物は触手を飛ばしてくるが、幻はそれを斬り伏せながらゼロ距離へ。そのまま思いきり刃を振り上げた。
「せめて全霊の一撃で送ってやろう。さあ、喰らえ!」
刹那、振り下ろされた剣撃は、苛烈な威力をもって攻性植物を両断。跡形もなく消滅させていった。
●決着
敵の残りは後衛の2体。状況の不利を鑑みてか、そのうち1体はまず自分達に光を纏わせて防御を整えていた。
「うーむ、雨色のオーラ……美しい……って見惚れてる場合ではありませんね!」
遊行は言いつつも首を振り、手帳を手に取る。
「回復され続けて長引くのもなんですから。早めに攻めるとしましょう」
「ええ。すぐに命を絶ってみせますよ」
言った絶奈は、眼前に魔方陣を多重展開させていた。
それは『DIABOLOS LANCER=Replica』。巨大な槍の如き光の塊を召喚し、手に携えている。
絶奈の顔には狂的な笑み。救済者で在ろうと願いながらも、同時に闘争を好む狂戦士でもある。それこそ絶奈の本質の現れた瞬間だ。
同時、その光をまっすぐに投げ放ち、攻性植物の体を貫通させた。
そこへ遊行も、魔術の光線を放って敵を硬化。さらに、織櫻が高速の踏み込みから二重の刺突を打ち、その1体を追い込んでいく。
「あと一撃、というところでしょうか──」
「では、引導を渡して差し上げましょう」
声を継いだ景臣は、紅の地獄にグラビティを込めて一線。その個体を切り裂いて灰にした。
残る1体はもはや攻めるしかなく、こちらに接近してくる。が、幻はそれも許さずに剣閃を奔らせ、花弁を斬り飛ばしていた。
「このまま畳み掛けてやってくれ」
「ええ」
頷いたカルナは氷結の光線を放ち、そのまま攻性植物の半身を凍らせていく。
そこへ碧生は鎖を放つ。リアンの体当たりとともに鋭い打撃を与えて、一気に相手を瀕死にしていた。
「──花には雨のみで十分です。血も涙も、与えはしません」
「うん。これで、おわりだよ」
声を継いだエリヤは魔術回路を奔らせて、光線を発射。長大な光で攻性植物の全身を包み、そのまま焼き尽くしていった。
「終わりましたね」
戦闘後、絶奈の声に皆は頷き武装を解除している。
幻は周りを見回していた。
「花こそ被害はほとんど無いが、多少荒れたね」
「ええ、修復をして終わりにしましょう」
織櫻の言葉に皆は場の修繕にかかる。
景臣は景観を守るため、花園の辺りはできるだけ手作業で直した。
「──元ある姿が、最も美しいですから」
「……そうですね」
頷くカルナは、レインリリーの植え直しを行っている。元々咲いている数の少なかったそこだけが、唯一変化した場所と言えた。
「どうか、また……平和に花開く時が訪れますように」
「ええ」
応える碧生もまた、散った花を弔い、カルナを手伝った。またいつか綺麗に花咲く日を願いながら。
織櫻はその後、周囲を見て回ってきている。
「他の植物や場所には、異常は無いようですね」
「では、避難の解除をお願いしましょうか」
遊行は、無事に敵を倒せたことを警察消防に報告した。
その内に人々の姿も公園に戻り始める。
碧生はそんな中を歩みつつ、花園に振り返った。
「他の花も、寄生に脅かされず伸び伸びと咲けるように……早く、禍根を断ちたいものですね」
「そうだね。胞子の出所、はやく行けるようになると、いいけど」
エリヤの言葉に、景臣は遠くを見やっていた。
それは大阪城のある方向だ。
「大阪城ですか。……あまり、良い予感はしませんね」
かつて起きた爆殖核爆砕戦。その戦場であった出来事も当然、自分は忘れていない。
それでも、今ここにある危機を救ったのは確かだった。人々の喜びと感謝の声を聞きながら、景臣はそれきり歩き出す。
降る慈雨はひんやりと肌に冷たく。初夏の空気に心地よかった。
作者:崎田航輝 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年6月22日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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