異花の空

作者:崎田航輝

 轟く破砕音とともに、ビルが崩壊していく。
 土煙の中で響くのは人々の悲鳴だった。
 そこは、わずか数分前までは平和だった市街地。5月の風が、高層の建物の並び立つ中にあって尚新緑を匂わせる、そんな爽やかな日の筈だった。
 今や街は死と絶望に満ちている。空に1体の巨影が浮かび、街を蹂躙しているのだ。
 それは攻性植物サキュレント・エンブリオ。ビルを砕き、蠢く根で人々を捕まえては、その命を食らって吸収していた。
 突如空から現れたその巨花に、人々は為す術無く逃げ惑うしか無い。サキュレント・エンブリオはそんな人々を追い立て、殺し、破壊し、街並みを更地にしていった。
 そのうちに、街は命の息吹のない、死の静寂に包まれていく。砂塵となった風だけがいつまでも、空に吹いていた。

「集まっていただいてありがとうございます」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達に説明を始めていた。
「本日は、攻性植物の事件について伝えさせていただきますね」
 先日より確認されている、巨大攻性植物が大阪に現れる事件の一件だという。
「爆殖核爆砕戦の結果として、大阪城周辺に抑え込まれていた攻性植物達が動き出している、その流れのひとつと言えるでしょう」
 この攻性植物は、大阪市内を重点的に襲おうとしているようだ。
 狙いは、一般人を遠ざけることで、市内を中心に自身らの拠点を拡大させることだろう。
 放置すれば、敵勢力に優勢な結果となって現れる。何より、多くの人々が命を落としてしまうことになるだろうと言った。
「この侵攻を防いで反攻に転じるためにも。被害が出る前に、この攻性植物の撃破をお願いします」

 作戦詳細を、とイマジネイターは続ける。
「敵は、攻性植物サキュレント・エンブリオが1体。出現場所は、大阪の市街です」
 人口が多い一帯でもあり、数多くの建物やビルが立ち並んでいる場所だ。
 敵の出現位置は確認されているので、避難誘導などは警察、消防が協力してくれる。
「皆さんは出現と同時に戦闘に集中していただければと思います」
 戦闘では建物などにも被害が出るだろう。だが、それはあとでヒールすることが出来る。短期決戦で確実に撃破することに集中するべきだと言った。
「サキュレント・エンブリオは浮遊しています。中高層の建物を移動経路として使用したり、電柱などを利用して狙撃するなど、立体的な戦法を取れれば、ある程度有利に戦えるかも知れません」
 では敵の能力について説明を、とイマジネイターは続ける。
「攻撃法は、根で襲ってくる遠列プレッシャー攻撃、生命力を吸い取る遠単ドレイン攻撃、建物ごと薙ぎ払ってくる遠列足止め攻撃の3つです」
 各能力に気をつけてください、と言った。
「大阪ではまだまだ、攻性植物が確認されています。着実に倒していくことで、状況も良くなっていくはずですから……ぜひ、作戦成功させてきてくださいね」
 イマジネイターはそう言葉を結んだ。


参加者
水守・蒼月(四ツ辻ノ黒猫・e00393)
暁星・輝凛(獅子座の星剣騎士・e00443)
クロハ・ラーヴァ(熾火・e00621)
烏麦・遊行(花喰らう暁竜・e00709)
一式・要(狂咬突破・e01362)
ルチル・アルコル(天の瞳・e33675)
尾方・広喜(量産型イロハ式ヲ型・e36130)
エトヴァ・ヒンメルブラウエ(フェーラーノイズ・e39731)

■リプレイ

●迎撃
 ビルの並ぶ市街地に、ケルベロス達は到着していた。
 人々の避難準備も整う中、皆はそれぞれに建造物を上り、戦闘に備えていく。
「戦いに使用できそうな建物は、多そうですね」
 中層の建物の屋上から周囲を検分するのは、烏麦・遊行(花喰らう暁竜・e00709)。足がかりに使える広い建物や、敵の上を取れそうな高層のビルの位置を頭に叩き込んでいた。
「上手く利用して、しっかりと高度を保てるようにしたいですね」
「何かあれば、翼を持つ者で補助もして行きましょうか」
 言って飛び上がってくるのはクロハ・ラーヴァ(熾火・e00621)。羽ばたきつつ、仲間を高所へと運んであげていた。
 と、立体駐車場の屋上にいたルチル・アルコル(天の瞳・e33675)が、上方を向く。
「どうやら、来たようだぞ」
 皆も見る、その視線の先。空が歪んだかと思うと、魔空回廊が出現。根をうねらせる巨花が現れていた。
 それは巨大攻性植物、サキュレント・エンブリオ。
 クロハは観察するように目を向ける。
「おやおや、随分と大きい。多肉植物のようですが……あれほど可愛らしいものではなさそうですね」
「飛行に特化した植物でもある……興味深いですね」
 遊行は言いつつ、後の検証の為に大きさや形状を素早くメモしていた。
 程なく人々の避難が始まり、街が無人となっていく。
 巨花はそれを追おうとしてゆっくりと移動を始める、が、ケルベロス達もそれを包囲し始めていた。
 高層の屋上で、敵と対峙するのは尾方・広喜(量産型イロハ式ヲ型・e36130)。至近に迫る敵に、先日倒した同型の巨花を想起していた。
「こんだけ仲間が倒されてんのに次々出てくるなんて、しつけえ連中だよなあ」
「本当にね。──ったく、人の折角の楽し……努力を」
 と、小さく独りごちるのは一式・要(狂咬突破・e01362)だ。依頼での作戦以外でも、大阪城にはちょっかいという名の嫌がらせをちょくちょく行っていたのだった。
 要は中層から高層に上がり、敵に飛び移る機会を狙い始める。
「とにかく、お仕置きしてあげるとしようか」
「ああ。何度でもぶちのめしてやる」
 機械の拳に力を入れる広喜は、あくまで笑顔。ただ一つの感情表現とともに、屋上の縁を蹴って跳躍。敵に飛び乗りながら『穿チ詠』を行使していた。
 それは体の回路に地獄を充填させ、演算速度を高めることで放つ的確な一打。花弁に命中した拳は、凄まじい威力でその一片を穿っていった。
 巨花はよろめきつつも、機敏な動きも持っているのか、広喜を振り落とす。
 だがクロハはそれを隙と見て、中層から高層の建物群を階段のように疾駆。勢いをつけて敵に炎の蹴りを打ち当てていた。
 敵が宙を後退すると、要はひとまず組み付くのを後回しにし、水の気弾を発射。弾丸のような一撃で根を数本吹き飛ばし、バランスを崩させていく。
「さあ、今のうちよ」
「うん、僕がいくよっ!」
 と、声を響かせたのは、水守・蒼月(四ツ辻ノ黒猫・e00393)。敵に合わせて平行移動していた蒼月は、そのままダブルジャンプで空へ。サキュレント・エンブリオの頭上を取っていた。
「まずはこれでも、喰らっちゃえっ!」
 刹那、放つのは大槌からの砲撃。直下に撃ち出された砲弾は、爆炎を上げなら花弁に直撃。その高度を無理矢理に落としていく。
 巨花は反撃に、根を八方に飛ばしてこようとした。が、それを縫うように、ビルとビルの間を跳躍して迫る影がある。
「遅いよ……! そんな攻撃、喰らわない!」
 それは高速で疾駆し、飛び降り、看板を足がかりに敵へ肉迫する。暁星・輝凛(獅子座の星剣騎士・e00443)。同時に髪色と瞳を金色に変じさせ、目の周りに刺青のような紋様を浮かべていた。
「翼がなくてもいくらでも戦いようはあるってこと、見せてあげるよ!」
 その力は、『無限ノ咆哮』。パルクールの身のこなしで一気にゼロ距離まで迫ると、巨大な光の刃を顕現。駆け抜けると同時に苛烈な斬撃を叩き込んでいた。
 重いダメージに巨花がふらつくと、その間に、空に煌めく光が生まれている。
 それはエトヴァ・ヒンメルブラウエ(フェーラーノイズ・e39731)が、掲げた剣から放っていた光。
 青空と陽に透き通る、水晶の城のような輝きは、皆を覆うようにその場に留まって守りの加護となっていた。
 エトヴァはワイヤーを使って建物間を移りつつ、ルチルに目を向ける。
「これデ、後方の守りは問題ないデショウ。ルチル殿ハ、前衛をお願いできますカ」
「うむ、任せてくれ」
 頷いたルチルも、同高度から直剣“Daydream”の力で前衛を守護していた。
 巨花は体勢を直し、下がった高度のまま再度の攻撃を狙う。が、そこに既に、遊行が大槌を向けていた。
「考察は倒した後のお楽しみ。今は──危険な外来植物の駆除に集中しましょうか」
 同時、至近から砲撃。煙を上げて花弁の一片を吹き飛ばしていく。

●空戦
 サキュレント・エンブリオは一度間合いを取るように、高度を上げていた。
「動きモ、鈍重という程ではないようですネ」
 エトヴァは壁に伝うパイプにロープをかけ、段々と高所に移りながらも、冷静に見上げる。
 クロハは頷きつつ、自身も抜け目なく高層ビルに上っていた。
「ええ。それでも、的が大きくて狙いやすいのは、結構なことですが」
「そうだね! この何か巨大怪獣と戦うシチュとか映画とか特撮とかでありそうで、燃えてしまうよねっ!」
 と、そんなふうに声を継ぐ蒼月は、どこか楽しげでもある。
「すごっく不謹慎なのもわかるんだけど。でも男の子としては外せないっていうか!」
「何であれ、空中戦は中々ない機会だ。存分に楽しませてもらいましょうか」
 クロハが言ってみせると、輝凛はそれに頷き、高所を疾走し始めていた。
「うん、さあ──思いっきり走って、跳ぼうか!」
 ビルの屋上を蹴ると、輝凛はそのまま市街を見下ろす雄大な空へ。着地できる建物の無い所へ飛んだかと思いきや、工事中で止まっていた高所のクレーンの端を蹴って軌道修正。巨花とすれ違うように空に踊り、喰霊刀“クラウ・ディオス”で一閃、根の数本を凍らせて切り落とした。
 敵の高度が微かに落ちると、クロハは逃さず接近。ブラックスライムを槍状にして、花弁のひとつを貫いていく。
 広喜もその隙を突いてビルから落下。直後に壁を蹴って加速し、至近からレーザーを撃ち込んでいた。
 巨花はクロハの生命力を喰らう為に根を飛ばそうとする。が、それは叶わなかった。今度は振り落とされずに喰らいついていた広喜が、ゼロ距離で庇い受けていたのだ。
「そう簡単に、仲間に手は出させねえぜ」
 表情の無い異形に、広喜はにっと笑ってみせる。
 直後には、エトヴァが治癒効果のエネルギーを生み出していた。
「広喜殿。その傷ハ、すぐに治しマス」
 輝きながら飛来したそれは、パステル調に煌めくカラフルなオーラ。舞い踊るように広喜を取り巻くと、負傷箇所を回復させていく。
 ルチルも癒やしの光を与え、広喜を治療。それから中層のビルへとぴょんぴょんと駆け下りつつ、腕に抱えているものを宙へ投擲した。
 それはミミックのルービィ。深い蒼の体を持つそれは、くるくると回りつつ敵の方へ投げ出されていた。
「よし、ルービィ。今だ」
 ルチルに応えるように、ルービィは蒼い靄を放って植物の内部を蝕んでいく。
 自身はそのまま花弁に衝突して明後日の方に飛んだが、それは蒼月ががしりと受け止めていた。
「……」
 何となくルービィと見合う蒼月。ただすぐ後には、蒼月も笑顔でルービィを投げている。
「そっちに飛んだよ! 受け取って!」
「はいよ、ナイスパース♪」
 と、それをキャッチしたのは中層の屋上に降りていた要。ルチルが近いことと敵が離れたことを鑑みて、その場にタッチダウンしていた。
 移動中にそれを見つけた遊行は、ルービィを拾い上げる。
(「……頑張ってね」)
 このミミックには強く頑張って欲しい。そんな事を思いつつ、ルチルへとルービィをパス。主のもとに返していっていた。
 ゆらゆらと動く巨花を、まだまだ御せないと判断した要は、再度遠距離攻撃。飛ばした闘気を敵の直下で炸裂させることで、根の数本を散り散りに砕いている。
 連続して、遊行も敢えて肉迫はせず、取り出した手帳の頁を1枚、破って捨てていた。
 宙で燃え尽きたそれには、魔法陣が記されている。同時、起動された魔法は陽炎のような魔力の塊となって巨花を拘束。
 蒼月はそこへ、連続砲撃。巨大な爆発を起こし、敵の花弁をさらに砕いていった。

●闘争
 地面近くまで高度を落としたサキュレント・エンブリオ。
 こちらの動きを見てか、今度は建物をなぎ倒しながら進む戦法をとってきた。
 崩れるビルからビルへと上手く飛び移りつつ、蒼月は皆に目を向ける。
「みんな、大丈夫っ!?」
「ええ、何とか」
 応える遊行は、事前に確認しておいた建物へとエアライドで着地しつつ応えていた。
「興味深い植物ではありますが。やはり厄介な敵ですね」
「ええ、さっさと解体してしまうことにしましょう」
 そう声を継いだクロハは、落ちる瓦礫を蹴り上がり巨花へ肉迫している。
 同時、繰り出すのは『炎舞』。地獄化した両足を陽炎のように揺らめかせ、山なりに跳びながら連続の蹴撃を加えていった。
 後退する敵はさらに建物を壊す。高層のビルが崩れるのを見て、遊行はここぞとばかり、召喚魔術『森に帰らぬ廃墟の賢人』を行使していた。
「今が出すときですね。いでよ──ゴリラ!」
 瞬間、現れたのは名の通りのゴリラだ。優しくも力強き眼差しで敵にプレッシャーを与えつつ、瓦礫を弾いて仲間を守っている。
 広喜は初めて見るゴリラに目を輝かせ喜んでいた。
「すげえ、ゴリラだっ」
「これは中々の迫力じゃないか」
 と、吃驚しているのはルチルだ。見上げつつ、再びルービィを掴んでいる。
「こちらも、今のうちに攻撃だ。わたしもがんばるから、がんばれよ」
 言うと同時、再びすぽーんと宙へ投げ飛ばしていた。
 ルービィはビル風に煽られて消えていきそうになる、が、それはクロハが上手く捕らえて敵へ投擲。何とか巨花に齧り付かせていた。
 すぐに敵に振り払われるルービィだったが、広喜がすかさず滑り込みそれをキャッチ。エトヴァを経由して輝凛の手に渡らせていた。
 敵は広域に根を伸ばそうとしている。そこにまた、輝凛はルービィを振りかぶっていた。
「ルービィ! 頼むよ!」
 瞬間、豪速のストレートで放られたルービィは、根を巻き込んで攻撃役の分のダメージを庇いきっていた。
 残りは他の盾役に命中していたが、ルチルは即座に花のオーラでその体力を癒やしている。
 そしてエトヴァもまた、癒やしの歌を響かせていた。
『──』
 それは半音の多い、勇気を奏でる異国の旋律。優しさを含んだその声音は、皆の傷を癒やし状態を万全にしていた。
 自分の足元もまた崩れ始め、不安定だ。そうするとエトヴァは一瞬、高い所から落下した記憶を思い出す。だがそれもすぐに振り払い、別の建物へと上手く渡っていた。
 広喜はそんなエトヴァに並び、一度笑いかける。
「落ちそうになったら俺が助けるさ。絶対にな」
 それから敵に乗り上げつつ、腕に“腕部換装パーツ六式”を装着。真下に強烈な殴打を加えていた。
 蒼月はそこへ氷結の螺旋を撃ち出し、花弁の表皮を凍結させる。その衝撃で敵が静止すると、要も花弁の上に飛び乗っていた。
「つーかまえた……っと。変な汁出さないでよ、多肉植物」
 その言葉に、巨花は根を頭上にまで伸ばそうとしてくる。
 要は脱ぎ捨てたコートでそれを払うと、『鱗殺』。水の闘気を手に渦巻かせると、防御をこじ開けるように拳を打ち下ろし、敵の中枢を穿った。
 大きく体がぶれた巨花へ、輝凛も飛び降りつつ、再度体を金色に発光させている。
「何度でも、限界を超える!」
 そのまま、先刻よりも眩く巨大な光の刃で一撃。鋭利な刺突で、花弁を上から下まで貫いた。

●決着
 痛烈なダメージに、サキュレント・エンブリオは体を震わせて距離を取ろうとする。
 が、それを許さず、クロハは頭上から炎の蹴撃を打ち下ろしていた。
「弱っていることを自分から伝えてくれるとは親切ですね」
「よし、このままどんどん攻撃しよう!」
 声を継いだ輝凛も、敵に喰らいついたまま、連続で氷の刃を突き立てていく。
 巨花は暴れるように、周囲の低層の建物をなぎ倒した。
 が、上にいたルチルはダブルジャンプで飛び降りて事なきを得る。ダメージを受けたものもいたが、それには広喜が花のオーラを顕現。一面にひまわりを咲かせて回復した。
「攻撃は、頼むぜ」
「分かりましタ。参りまショウ」
 応えたエトヴァはファミリアを解放。淡く白い光の鳥を飛ばして、巨花に傷を刻ませていく。
 次いで、蒼月も手元に氷気を湛えていた。
「これ以上街を滅茶苦茶にさせる訳にはいかないんだからね! 一気に行くよ!」
「合わせよう。焼き焦がしてくれる──燃え、果てよ」
 と、ルチルは同時に煌々と燃ゆる炎を発現。蒼月とともに撃ち出し、氷炎で体力を奪い取ってゆく。
 再び落下する巨花へ、遊行は飛んで肉迫。如意棒で打ち据えて瀕死に追い込んでいた。
「後は、お任せしますね」
「了解、きっちり仕留めるわね」
 応えた要は、収束した闘気を流動させ、氷片を混じらせる。瞬間、その拳で打突を放つことでサキュレント・エンブリオを凍結。衝撃で粉砕していた。

 サキュレント・エンブリオは砕けると同時に、宙に胞子を飛散させていく。
「胞子を飛ばすのは、報告書にもあった通りですか……」
 遊行は空を見上げて呟く。
 輝凛もそれを暫し、仰いでいた。
「あれもきっと新しい攻性植物を生むんだろうね」
「必要とあらばそれも、対処しましょう」
 遊行が言うと皆は頷く。クロハは周囲の索敵をして、とりあえずは問題ないことを確認すると戻ってきていた。
「ひとまずは、終わったようですね。お疲れ様でした。中々良い闘争でした」
「では、町を直してあげねばな」
 ルチルが言いつつ見回すと、広喜も頷いていた。
「おう。結構、建物も崩れたからな。しっかり直していこうぜ」
 それから崩落したビルへヒールをかける。ダブルジャンプも使いつつ、高所まで修復していった。
 皆とともに、エトヴァも丁寧に建造物を直していく。少し幻想化した街並みに、自分の幻想とは何なのかと、思いを馳せながら。
「……これデ、修復は完了ですネ」
「うん、直し残しもないよ。後は、避難した人達に終わったことを知らせるね」
 周囲を検分して戻ってきた蒼月は、撃破を市民に連絡。人々を街に呼び、活気のある風景を取り戻させていた。
「皆無事に終わってよかったね」
 要はコートを拾い上げ、埃を落として羽織る。
 それを機に、皆は帰還。喜びの声に沸く人々に見送られつつ、街を歩いていった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年5月22日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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