宵戦の摩天楼

作者:崎田航輝

 ビルの灯り、車のヘッドライト、ネオンの眩い光。
 無数の輝きに照らされた夜の街は、眠らぬ明るさと活気を誇っていた、筈だった。
 この日、街を満たしているのは恐怖と絶望、悲鳴と咽び声。それは夜景に浮かぶ巨体の攻性植物がいるからだった。
 全長7メートルを誇る巨体、サキュレント・エンブリオ。
 夜の中を浮遊し、不気味に蠢く根で人間を捕らえ、殺し、吸収していた。
 眩いビルも、車も、ネオンの光る建物も。全てをなぎ倒し、道行く風景を絶望に変えていく。幾人かの人間は抵抗を試みるが、到底敵う相手ではなく、彼らも全滅した。
 そのうちに、街の音も灯りも消えていく。命の消えた街で、巨花だけが悠々と月明かりの下を浮遊していた。

「集まっていただいてありがとうございます」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達を見回していた。
「本日は、攻性植物の事件について伝えさせていただきますね」
 先日より確認されている、巨大攻性植物が大阪に現れる事件の一件だという。
「爆殖核爆砕戦の結果として、大阪城周辺に抑え込まれていた攻性植物達が動き出している、その流れのひとつのようですね」
 この攻性植物は、大阪市内を重点的に襲おうとしているようだ。
 狙いは、一般人を遠ざけることで、市内を中心に自身らの拠点を拡大させることだろう。
 放置すれば、敵に優勢な結果となって現れてしまうに違いない。
「それを防ぐために、この侵攻を防いで反攻に転じなければなりません」
 今回の敵は、魔空回廊を通じて大阪市内へ出現することが予測されている。
「人々へ被害が出る前に、この攻性植物の撃破をお願いします」

 作戦詳細を、とイマジネイターは続ける。
「敵は、攻性植物サキュレント・エンブリオが1体。出現場所は、大阪の市街です」
 夜の街で人口も多い一帯だ。
 出現位置は確認されているので、避難誘導などは警察、消防が協力してくれる。
「皆さんは出現と同時に戦闘に集中していただければと思います」
 戦闘では建物などにも被害が出るだろう。だが、それはあとでヒールすることが出来る。短期決戦で確実に撃破することに集中するべきだと言った。
「サキュレント・エンブリオは浮遊しています。建物を積極的に利用することで、ある程度有利に闘うことも出来るでしょう」
 街にはビルが多い。中層から高層に上がれば、敵の頭上近くにまで上がることも出来る。また、電柱などから狙撃すれば少しでも狙いやすくなるだろう。
 ビルとビルの間にも様々な高さの建物があるので、上手く機動戦をすることで敵と渡り合えるはずだと言った。
 では敵の能力について説明を、とイマジネイターは続ける。
「攻撃法は、根を巻き付かせる遠単捕縛攻撃、生命力を傷つける遠単アンチヒール攻撃、建物ごと薙ぎ払ってくる遠列足止め攻撃の3つです」
 各能力に気をつけてください、と言った。
「皆さんが警戒していたことによって、今回の敵の動きが察知できた部分は大きいでしょう。この成果を活かすためにも、確実に敵を打ち倒していきましょうね」
 イマジネイターはそう言葉を結んだ。


参加者
蒼龍院・静葉(蒼月光纏いし巫狐・e00229)
目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011)
ロベリア・アゲラータム(向日葵畑の騎士・e02995)
レベッカ・ハイドン(鎧装竜騎兵・e03392)
尽影・ユズリハ(ロストブレイズ・e22895)
エメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441)
レオンハルト・ヴァレンシュタイン(ブロークンホーン・e35059)
柴田・鬼太郎(オウガの猪武者・e50471)

■リプレイ

●開戦
 夜の街は、戦いを待つばかりとなっていた。
 人々の避難準備は済んでいる。そしてケルベロス達も既に持ち場につき、敵の出現を待ち伏せていた。
 蒼龍院・静葉(蒼月光纏いし巫狐・e00229)はそんな中、ふと風景を見渡している。
「何処か懐かしい気分になりますね」
 ぽつりと呟くのは、自身がケルベロスとして初めて挑んだ戦いを思い出したからだ。
「都市で、大型の敵と戦う──場所は違えど、あの時と似ています」
 だからこそ今回も、と。気持ちを引き締めて、戦闘に臨んでいた。
 丁度その時、夜空がぐにゃりと歪曲する。
 そこが光ったかと思うと、直後には巨体のデウスエクスが出現し始めていた。
 根を動かす、多肉植物の異形だ。中層のビルから見上げ、レオンハルト・ヴァレンシュタイン(ブロークンホーン・e35059)は思わずというように呟いた。
「一難去ってまた一難とはこのことじゃのう。此度はこのような攻性植物とは」
「サキュレント・エンブリオ……か」
 声を継ぐのは尽影・ユズリハ(ロストブレイズ・e22895)。こちらも同高度のビルに位置しつつ、その異形を見据えている。
「名前は、見た目通りだな」
「しかし──7m級はダモクレスでも稀にみるが、威圧感は相当なものだな」
 そう言うエメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441)は、一段高いビルから敵を見下ろしている。その威容に、目を微かに細めていた。
「それが浮遊しているとなると尚更、か」
「あんなモノが、大阪城から出てきたとはね。反攻に転じようとしてくるならば、放置すれば災いを招くというのも、頷ける」
 と、目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011)も、そんなふうに声を零す。
 ただ、真がその手携えたライフルは、しかと照準が敵に合わせられていた。
 レベッカ・ハイドン(鎧装竜騎兵・e03392)も、怯む様子は見せず。敵の至近のビル上で、折り畳み式アームドフォートを展開していた。
「ともあれ、敵の勢力拡大は見過ごせませんから。新たな侵攻を食い止めるために──私達が頑張らないといけないですね」
 そのまま言うと同時、大きな砲塔を向けて一斉砲撃。初手、爆炎で巨花を包んでいく。
 サキュレント・エンブリオは身じろぎするように、レベッカに向いてきた。が、そこから攻撃されるより早く、遥か高くから風が舞い降りてきた。
「させませんよ──貫け!」
 それは高層の屋上から降下してくる、ロベリア・アゲラータム(向日葵畑の騎士・e02995)。
 翼で風を掃いて加速し、繰り出すのは『ランスチャージ』。重力と速度を乗せた槍の一撃で花弁の一片を貫き、敵自体の高度を下げている。
 ロベリアは即座に方向転換し、一撃離脱で隣のビルへ。すぐに皆に顔を向けた。
「さあ、今のうちに」
「では歌わせてもらおうか。凱旋の歌を」
 高所から声を返したエメラルドは、「英雄凱旋歌」を紡ぎ始めていた。
『彼の者は来たれり! 見よ! 空を穿ち、大地を揺るがし、海を割りて、今ここに凱旋するべく奮い立つ! 我らが英雄の不敗たるを称えよ──!』
 それは戦う者を鼓舞する勇壮な歌声。魂を震わせる力強い旋律で、皆の戦闘力を飛躍的に高めていた。
 同時、静葉は楚々とオウガメタルを流動。煌めく粒子を拡散し、前衛の仲間の知覚力を研ぎ澄ませていく。
 それらの力を活かすように、真はグラビティを込めて引き金を引いていた。
「まずは牽制と行こう。白く凍てつくがイイ──ファイエル!」
 放たれた光の奔流は、巨花に直撃。表皮を凍らせ蝕んでいく。
 わなないたサキュレント・エンブリオは、ロベリアに根を飛ばそうとした。が、それは途中で疾風に切り飛ばされる。
 ビルの屋上を蹴ったユズリハが、宙で回転。靴装“花紅柳緑”から風圧を放っていたのだ。
「簡単に手出し出来ると、思わないことだ」
 そのまま体を翻したユズリハは、足に炎を湛えて一撃。強烈な蹴撃を加えていた。
「次の攻撃、行けるか」
「うむ、任せておくがよい!」
 と、ユズリハに応えたのはレオンハルト。入れ替わりにマンションの屋上へ上ると、敵の面前で扇子をパチンと鳴らして格好をつけてみせる。
「竜王の不撓不屈の戦い、括目して見よ!」
 そして、まっすぐに疾駆。流体金属“紅隈”を腕に纏い、痛烈な拳を叩き込んでいた。
「さあ、連撃じゃ」
「ああ。俺も強力なのを、叩き込んでやるよ」
 レオンハルトに勇猛な声を返したのは、柴田・鬼太郎(オウガの猪武者・e50471)だ。
 敵の上方の屋上から跳躍すると、赤漆の鞘から抜き放った太刀“桜牙”に力を込めていた。
 そうして、そのまま巨花へ一閃。鋭利な突風を放つを『風斬』繰り出し、根を数本散り散りに消し飛ばしていった。

●空戦
 ダブルジャンプで立体駐車場に降り立った鬼太郎は、改めて間近から、サキュレント・エンブリオを見上げていた。
「よう、街中に急に現れて一般人を襲おうとするなんざ、派手にやるじゃねえか」
 口調はざっくばらんで、語りかけるようでもある。だが同時に、鬼太郎は剣先を突きつけてみせていた。
「そういう正面から攻勢をかけてくる姿勢は評価に値する。──だがよ、その後の行動が力のない一般人を襲うってのは、気に食わねえな」
「ええ。罪なき者の虐殺。最も許されざる行為の一つです」
 ロベリアも再び高層の屋上へ移りながら、声を継ぐ。
「尤も、そうでなくとも、これ以上の勢力拡大は見過ごせませんから。──今後の為にここで勢いを止めさせていただきますが」
「ああ」
 と、短く応えたユズリハは、低層のビルから妖精弓“天津風”の弦を引き絞っていた。
 その視線は、妖しく輝く花弁へ向いている。
「名の通り、そこからなにかが産まれるのか……。それが分かる前に、終わらせよう」
 瞬間、燐光を散らせながら矢を放ち、花弁の一片を四散させていく。
 サキュレント・エンブリオは、一時間合いを取るように高度を上げ始めた。
 が、ロベリアは隙を作らず、上方から魔弾を発射。巨体を穿ち、凍結を深めている。
 敵はよろめきつつも、ビルの間を跳んでいる真へ根を飛ばそうとしてきた。
 しかし、それらの根はレオンハルトが爆破攻撃で破壊。すぐ真の背後へ着地する。
「真殿、背中はお任せあれ」
「頼もしいね。それなら、任せたよ。レオンクン、キミも気をつけて」
 真が言うと、頷いたレオンハルトはボーダーコリーのオルトロス、ゴロ太を抱き上げ、そのまま振り回して斬撃を放っていた。
「征くぞ、ゴロ太スラッシュ!」
 ゴロ太の刃は勢いのままに敵の体に裂傷を刻んでいく。
 同時、真は短刀に魔力を込めていた。
「フェアじゃない攻撃に思えるのであまり使いたくナイのだが。そうも言っていられないか」
 刹那、そこに浮かび上がるのは、闇の鏡像だ。
「大阪城から出てきたんだったな。コレで戦争の惨禍と──己の姿に慄け!」
 すると、精神を侵された巨花は苦悶するように根を四方に振り回してくる。だが、飛んでくるそれらはレオンハルトが確実に防御し、衝撃を抑えていた。
「静葉殿、援護を頼む!」
「ええ。戦傷の手当てはお任せを」
 応えた静葉は、夜空から月の光を降ろすように手元に輝きを生んでいる。
 それをレオンハルトに投射すると、煌めきを体へ溶け込ませるように傷を回復させていた。
「これで大部分は癒せたはずです」
「よし、煎兵衛も回復を任せたぞ」
 真がそう声を継ぐと、ナノナノの煎兵衛もふわりと浮いてハート型バリアを生成。レオンハルトを万全にしていた。
「ならば、私は防御態勢を万全にさせてもらおうか」
 言ってライトニングロッドを掲げるのは、エメラルドだ。そこに魔力を集中すると、閃光の如き雷光を輝かせ、一帯に展開していた。
 夜を眩しく照らすそれは、煌めく壁となってとどまり、皆の守りを固めていく。
「さあ、攻撃は任せたぞ」
「ええ。連続で打ち込んであげましょう」
 そう応えたのはレベッカだ。一度攻撃の手のゆるい低層に降りると、高速で疾駆して敵の背後側に回っていく。
 この間に、レベッカの目配せを受けた鬼太郎は、逆に近場を跳び回ってサキュレント・エンブリオを翻弄していた。
 根が伸びてきそうになれば、すかさず角を伸ばしてそれを切り裂く。
「今だ!」
「了解です。この一撃、軽くはありませんよ」
 そのタイミングで、高所に昇っていたレベッカは跳躍。飛び降りる勢いも加えた蹴り落としを叩き込み、巨花を地にまで打ち落としていた。

●意志
 サキュレント・エンブリオは墜落するように地に追突していた。
 ただ、根を地面に突き刺して体勢を直すと、低空にとどまる。そのまま建物をなぎ倒しながら進行を始めてきていた。
「これでは──建物も、無くなってしまいますね」
 静葉は声を零しつつ、崩れ行くビルを次々に飛び移っている。
 鬼太郎も屋上から屋上へ、点々と跳んでいた。ただ、敵との間合いはしかと保ち、巨花を見据えている。
「長引かせると不利ってのはこういう面もあるんだろうな。目障りな植物UFOは──さっさと除草するべきってことだ」
「うむ。早々に退場して頂こう。そのためにも、退かずに攻めようぞ」
 レオンハルトが言うと、皆は頷き攻勢へ。真は崩れる直前のビルから跳ぶと、宙で翻って足に炎を湛えていた。
「オマエの全てを焼き尽くす。燃えろ!」
 刹那、命中した蹴りが巨花に炎を移す。
 サキュレント・エンブリオはもがくように根を縦横に飛ばすが、ユズリハは素早くレベッカに視線をやっていた。
「合わせよう」
「ええ、私は左、ですね」
 すると、レベッカも素早く頷く。
 2人は一瞬後、交差するように敵の攻撃を回避。根同士が絡まった所で、ユズリハは炎の回し蹴りを、レベッカは砲撃を直撃させ、敵を宙へ煽った。
 よろめきながら、サキュレント・エンブリオは周囲のビルごと薙ぎ払って攻撃してくる。
 が、降り注ぐ衝撃の嵐を、鬼太郎は全身防御をしながら受け止めていた。同時、レオンハルトも前面に立っている。
「連携してカバーじゃ!」
 そのまま、2人で仲間に及ぶダメージも庇い、耐えきった。
 直後には、レオンハルトが切断を伴う治癒術『殲術執刀法』で自己回復。さらに静葉が踵を踏み鳴らすことで、花のオーラを顕現。清浄な花嵐を舞わせることで2人の体力を持ち直させている。
 敵へは、ユズリハがボクスドラゴンのシオンを飛び立たせていた。
「さあ、シオンも頼むぞ」
 シオンは鳴き声を一つ返すとブレスを浴びせて巨花の全身に傷を刻む。
 サキュレント・エンブリオはそれでも反撃を狙う。が、その行動よりも早く、ロベリアが翼をはためかせて急降下していた。
「許しませんよ。これ以上の攻撃も、街の破壊も」
 瞬間、ひといきに距離を詰め、大槌で強烈な打撃を加えていた。
 巨花は、まるで怒りを浮かべるように、体を震わせて根を流動させる。エメラルドは崩れるビルから翼を輝かせて離脱しつつ、そんな敵を見下ろしていた。
「アスガルドに居た時も、お前達のような攻性植物を戦っていた記憶はある。おそらくは強敵だったことだろう。今のお前はもっと強敵かも知れない」
 過去を辿るように、エメラルドは口を開く。それから声音にまっすぐな力を込めていた。
「ただ、あの時、洗脳され奴隷として戦っていた時とは違う。……今は私の意志で地球の人々の為に戦っている。ならばなおさら──負ける事などあってはならんのだ!」
 刹那、エメラルドは槍で空間を薙ぐ。そこから氷の波動を飛ばすと、敵の根の大半を切り飛ばしていった。

●決着
 サキュレント・エンブリオは再び高度を落とし、弱った様子を見せている。
 それでも構わずにこちらに接近してきていた、が、そこには低層のビルの屋上を走ったレベッカが素早く接近し、飛び蹴りを打ち当てていた。
 反動で敵から離れ、そのまま羽ばたいて隣のビルに降り立ったレベッカは、皆に向く。
「最後まで、一気に攻めていきましょう」
「ああ。被害を広げさせぬうちにな」
 応えたエメラルドは、再び高所へ飛翔しつつ、光の塊を蹴り放ってダメージを与えていた。
 敵も残った根を飛ばして攻撃してくる。だが、静葉を狙ったその攻撃を、レオンハルトは身を挺して受け止めていた。
「静葉殿に手は出させぬよ」
「レオンさん──ありがとうございます。直ぐに回復を」
 と、静葉が行使するのは『月神符・祝蒼希花』。蒼き月の御業で作り出した護符を投げ、瑠璃唐綿の花弁を舞わせることでレオンハルトを回復させていく。
 レオンハルトが反撃の拳を敵に当てると、それを機に静葉も、左手の術符とともに右に手に蒼色の片手剣を構えていた。
「では私も──その花弁の内側を見る為に、解体に加わりましょうか」
 そのまま静葉が攻勢に入っていくと、敵も攻撃を狙おうとする。が、鬼太郎はそこへ怪力を発揮して瓦礫を投げ飛ばしていた。
「相手はこっちだぜ」
 同時、自分へ向いた巨花へ突風を打ち込んでいく。
 後退した敵へ、ロベリアは接近して刺突。豪速で花弁を貫いていた。
「あと少しです」
「よし、オレが行こう」
 声を継いだ真は、短刀を走らせて根も花弁も切り裂いていく。
「オマエの行く先はここまでだ。覚悟しろ」
「ああ、ここで終わりにしよう」
 と、そこへユズリハは『無明の月』。
 地獄と化した視覚で、敵の死を覗くように。繰り出した一閃で巨花を両断し、爆破させた。

 サキュレント・エンブリオは消滅と同時に、胞子を空間に撒いていった。
 鬼太郎は微かに眉をひそめて見上げる。
「あれは、攻性植物を生む花粉みたいなやつか? 嫌なもん残していってくれるな」
「これで終わりじゃない、ということなんでしょうね」
 レベッカも、呟きつつ仰いでいた。
 今は、あの胞子をどうすることも出来ないだろう。それでも、戦いに勝利することは出来た。
 静寂の空間で、真は皆に向き直る。
「オツカレサマ」
「ひとまずは、なんとかなったな……」
 ユズリハも息をつきつつ、周りを見回す。
「しかし、これだけ建物も崩れていると、むしろこれからが大変じゃないか……?」
「そうだな。それでもできるだけ、壊れたモノはヒールしようか」
 真が言うと皆も頷き修復作業へ。
 エメラルドは治癒の雨を降らせて広範囲を直す。他の皆も荒れた地面などを直し街の景観を保っていった。
「これで、綺麗になりましたね」
 ロベリアが眺めて言う頃には、周囲は戦闘痕も窺えぬほどの美観となっている。
 市民も呼び戻して賑やかさが戻ると、それを機に、皆はそれぞれに帰還し始めた。
 レオンハルトは帰りしな、静葉へ声を掛ける。
「折角じゃし、これから食事でもいかがかの?」
「本当ですか。ぜひ、ご一緒させてください」
 静葉は嬉しげな表情を浮かべ、レオンハルトと歩き出した。
 街に帰った人々もまた、祝福の声を上げつつ。平和となった街を謳歌するように、喜びに沸いているのだった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年5月6日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 0
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