空闘、サキュレント・エンブリオ

作者:崎田航輝

 空に現れた異形を、人々は呆然と見上げていた。
 それはどこか、花弁と根を持つ植物のような姿をしている。
 全長は7メートル。透けた花びらは妖しい光を湛え、蠢く根は刃の鋭さをもって人間を捕らえ、その命を喰らっていた。
 浮遊しながら動くそれは、邪魔な建物があればなぎ倒し、道行く人がいれば糧とする。大阪の市街は破砕音と死にゆく人間の咽び声、そして抗いがたい絶望に満たされていた。
 その攻性植物、サキュレント・エンブリオが突如出現したのはほんの少し前のこと。だがたったの数分で辺りは瓦礫の山だ。
 宙を漂う巨花へと、石を投げる者がいる。その人間は、すぐに根の餌食になった。
 瓦礫に倒れた人を、助け起こす者がいる。その人間は、倒れた人間諸共殺された。
 悠々と動くそれを止められるものはない。空を泳ぐ絶望が自分には降りかからぬようにと、人々は逃げながら祈るしか無い。だがそんな希望ごと、サキュレント・エンブリオは捕らえ、締め上げ、破壊した。
 全ては異形の営みのままに。
 表情のない植物は、感情すら窺わせぬままに街を蹂躙した。

「集まっていただいてありがとうございます。本日は新たな事件について説明します」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達を見回していた。
「爆殖核爆砕戦の結果として、大阪城周辺に抑え込まれていた攻性植物達が動き出したようです」
 この攻性植物は、大阪市内を重点的に襲おうとしているようだ。
 おそらくは、一般人らを遠ざけることで、市内を中心に拠点を拡大させる狙いだろう。
 放置すれば、徐々に敵に優勢な結果となって現れてしまうに違いない。
「それを防ぐために、この侵攻を防いで反攻に転じなければなりません」
 今回の敵は、魔空回廊を通じて大阪市内へ出現することが予測されている。
「人々へ被害が出る前に、この攻性植物の撃破をお願いします」

 作戦詳細を、とイマジネイターは続ける。
「敵は、攻性植物が1体。出現場所は、大阪の市街です」
 サキュレント・エンブリオなる個体の1体で、7メートルの全長をもつ巨体だ。
 出現位置は確認されているので、避難誘導などは警察、消防が協力してくれる。
「皆さんは出現と同時に戦闘に集中していただければ問題ありません」
 敵が巨大なため、建物などには被害が出るだろうが、それはあとでヒールすることが出来る。短期決戦で確実に撃破することに集中するべきだと言った。
「また、サキュレント・エンブリオはある程度浮遊しています。中高層の建物を移動経路として使用したり、電柱などを利用して狙撃するなど、立体的な戦法を取れれば、ある程度有利に戦えるかも知れません」
 では敵の能力について説明を、と続ける。
「攻撃法は、根で捕らえる遠列パラライズ攻撃、建物ごと薙ぎ払ってくる遠列足止め攻撃、生命を吸収してくる遠単ドレイン攻撃です」
 各能力に気をつけてください、と言った。
「皆さんが警戒していたことによって、今回の敵の動きが察知できた部分は大きいでしょう。この成果を無駄にしないためにも、確実に敵を打ち倒しましょうね」
 イマジネイターはそう言葉を結んだ。


参加者
伏見・勇名(鯨鯢の滓・e00099)
八王子・東西南北(ヒキコモゴミニート・e00658)
シィ・ブラントネール(ウイングにゃんこ・e03575)
ティーシャ・マグノリア(殲滅の末妹・e05827)
緋色・結衣(運命に背きし虚無の牙・e12652)
フィオ・エリアルド(ランビットガール・e21930)
塩谷・翔子(放浪ドクター・e25598)
長篠・ゴロベエ(パッチワークライフ・e34485)

■リプレイ

●接敵
「皆、準備はいいかい」
 大通りに長篠・ゴロベエ(パッチワークライフ・e34485)の声が響く。持ち場についたケルベロス達は、それぞれに声を返していた。
 大阪の市街、その建物の密集地帯。駆けつけたケルベロス達の戦闘準備は既に完了しており、人々も建物から出て、避難を待つのみとなっている。
 程なく、予知された出現の時刻。皆は警戒を浮かべ、空を注視した。
「……さて、そろそろかね」
 と、中層の建物の上で、塩谷・翔子(放浪ドクター・e25598)が煙草を携帯灰皿で消した、丁度その時だった。
 空が渦を巻いたように歪むと、魔空回廊が出現。
 そこからゆらりと、根を蠢かす巨花が現れていた。
 伏見・勇名(鯨鯢の滓・e00099)はそれを見上げ、不思議そうに口を開く。
「……んう。ぷかぷかしてる。……でっかい、くらげ?」
「クラゲでも困るけど、攻性植物だからもっと困るわね! 街の真ん中でなんて、花粉症より迷惑だわ!」
 応えるのは、シィ・ブラントネール(ウイングにゃんこ・e03575)。翼を羽ばたかせ、その攻性植物、サキュレント・エンブリオを見つめていた。
 巨体は早速、悠々と泳ぐように空中を移動し始めている。
 避難が始まって街から人波が引いていくと、ゴロベエは敵を追うように走り始めていた。
「何にしても、迷惑なら倒すだけかな」
「……とんでる、から。しばるか、ねらいうち」
 勇名も駆けつつ言うと、ゴロベエは周囲に視線を走らせて応えた。
「なら、両方だ。デカくて飛んでる敵は、これはこれで楽しそうだし、立体機動も面白い。──いっちょやるか」
 同時、ケルベロスチェインを上方に飛ばすと、電柱へ巻きつける。そのまま登攀するように素早く駆け上がると、電柱の上部から再度鎖を放ち、敵の根元を縛りつけた。
 巨花の動きが一瞬止まる。そこへ、隣の電柱へ上った勇名が小型ミサイルを放っていた。
「ずどーん」
 カラフルな火花とともに爆発したそれは、『ポッピングボンバー』。下部から炸裂した衝撃に、サキュレント・エンブリオは空中で揺らめいていた。
「うまく、ちょくげきした?」
「攻撃も普通に当てられるみたいだね」
 と、応えながら、建物を素早く移動する影がある。
 フィオ・エリアルド(ランビットガール・e21930)。柵を蹴り、看板に上り、さらに窓枠に掴まって屋上へ。パルクールでならした機敏な動きで、あっという間に屋上から屋上へと伝い、敵の直下にまで迫っていた。
「飛んでる相手なんて言ったって……手か足さえ届きさえすれば、そこは十分射程内。出来ないことはないってことだね」
「ええ、摩天楼を舞台にした立体機動の空中戦……異能力バトル漫画みたいで、むしろ燃えますからね!」
 そう返したのは、八王子・東西南北(ヒキコモゴミニート・e00658)。こちらは少し離れた位置のビルから跳んでいた。
「行きますよ! これぞケルベロスの本気──死ぬのが怖くて番犬なんてやってられません!」
 そのまま空に踊ると、鎖を飛ばして別のビルに引っ掛ける。振り子運動を繰り返してターザンのように建物間を飛び移り、勢いをつけた所で魔力弾を放ち、強烈な衝撃を与えていた。
 同時、フィオも跳びながら斬撃。紅を帯びた“灯喰い刀”ですれ違いざまの一閃を入れると、一段下のビルの屋上へ降り、前転して衝撃を殺している。
「今だよ!」
「ええ!」
 さらに、応えたシィもビルの間から飛び上がって剣撃。妖刀“劉鐵”で大振りの切り上げを叩き込んでいた。
 サキュレント・エンブリオは打ち上げられるように体勢を崩す。
 この間、中層のビルへ昇っていた翔子は、霊力を込めた紙兵をばら撒き、宙に踊らせる。それが舞うと、前衛の皆に広く耐性が行き渡っていた。
「守りもこれで多少、ましかね」
 それに対し、巨花は反抗するように根を降らせてこようとしている。
 が、その時。上方から光が閃いたかと思うと、それが強烈なダメージとなってサキュレント・エンブリオを襲っていた。
 それは予め高所に位置取っていた、ティーシャ・マグノリア(殲滅の末妹・e05827)の攻撃だった。
「上も注意しておくべきだったな」
 と、ティーシャは連続で爆炎を上げ、巨花の動きを鈍らせていく。
 サキュレント・エンブリオはティーシャを見上げ、根を伸ばしてこようとした。が、ティーシャは素早くダブルジャンプで離れたビルに移動。空へ、声を投げていた。
「次の攻撃を頼む」
「ああ。──もっと上から、斬ってやるさ」
 そう、落下とともに敵へ声を飛ばす影があった。
 それは、二振りの刃を携え、高層ビルの天頂から跳んできた、緋色・結衣(運命に背きし虚無の牙・e12652)だった。
 掲げる双剣は、大太刀“【無命】輪廻を拒む奈落”、そして魔剣“【永焔】レーヴァテイン・エクセリオ”。刀身を燃やす灼熱の地獄は、速度を増し、風を浴びるごとに尚、熱く滾る。
 瞬間、炎の塊が落ちるかのような縦一閃。花弁から根にまで、深々と裂傷を刻んでいた。

●空闘
 サキュレント・エンブリオは空中を後退するように、間合いをとっていた。
 エアライドで中層のビルへ降り立った結衣は、改めて観察するように、その巨花を見上げている。
「これが大阪城周辺から動き出している攻性植物の、一端というわけか」
「大阪市全体まで範囲を広げようって狙いらしいけどね」
 翔子は声を継ぎつつも、飄々とした表情で肩をすくめた。
「……ま、何にせよやることは一つか。要らない雑草は根から引っこ抜くに限る、ってね」
「そうだな。ゲートを攻略する為にも、1体残らず殲滅しないとな」
 応えた結衣は、尤も、と声を続ける。
「──そんな大義名分を翳すまでも無く、人々を襲い傷つける存在など見過ごすつもりは無いが」
 瞬間、結衣は給水タンクを蹴って一段上のビルへ。一息に敵へ距離を詰めると、刃に紅蓮の炎を走らせ、剣撃の嵐を繰り出した。
 その剣技は『裂煌<空閃爪牙>』。静かな心は、それを増幅したかのような、渦巻く焔を瞬かせる。滾る爪牙は神速の衝撃を生み出し、根の数本を切り飛ばしていた。
 高度を落とした巨花は、円周状に根を飛ばしてくる。
 が、シィは偏差射撃を躱すように、弧を描く飛行でそれらを縫っていく。同時、壁に吹き上げられる風に乗って直角に飛翔した。
「フィオ! 上下から、攻撃していくわよ!」
「了解、私は下だね」
 頷いたフィオは、中層の屋上から視線を巡らせると、即座にルートを見出して疾駆する。
 体重を預けることさえできれば、それは全部道になる。それを体現するように、非常階段から跳ぶと、途中に伸びていた欄干を蹴り、斜め下方へ。低層の建物の屋上へ着地し、至近から敵の根を切り裂いていく。
 同時、山なりに飛んだシィは真上から魔弾を発射。表皮を凍結させ、蝕んでいった。
「さあ、レトラも頼むわね!」
 次いで、シィの声にシャーマンズゴーストのレトラは恭しく頷き、爪撃を畳み掛ける。
 巨花は怒りを浮かべるように、高度を上げて前衛を根で縛ってきた。が、直後、その巨体をまばゆい光の線が貫いていく。
「戦闘機でもなければ、空を泳ぐ巨体など、いい的でしかない」
 それは再び高所に上がっていた、ティーシャの射撃だ。
 ティーシャはそのまま高度を下げながら、“バスターライフルMark9”から白色の光を連射。グラビティを中和しながら敵の根を一本一本四散させてゆく。
「隙だらけだな。畳み掛けられるか」
「りょーかい。れんげき、するよ。びゅーん」
 それに応えたのは勇名。電柱から建物へ、鎖を頼りに飛び移っていくと、そのまま勢いをつけて敵へも鎖を放った。それで仲間を囚えていた根の残りを断ち切り、皆を自由にする。
 それらと並行して、翔子は高空にグラビティを打ち上げ、癒しの雨を顕現。皆を素早く治癒させていた。
「これで大丈夫そうかね。反撃は頼むよ」
 と、翔子は腕に巻き付いていたボクスドラゴン、シロを飛び立たせる。シロはそのまままっすぐに飛び、白光のブレスで巨体に傷を刻んでいた。
 サキュレント・エンブリオは再び距離を取ろうと上方へ昇る。東西南北は望む所とばかりに、壁を蹴っては次々に高層に上っていた。
「空中戦なんて、萌え、じゃない燃えずにいられまいか! こっちだってまだまだ、少年漫画を読んで育ったアクロバティックなパフォーマンス魅せてやりますよ!」
「そうだね。どうせ失敗しても死にはしないし。ぶっつけ本番で、できるだけやるしかない」
 声を継ぐゴロベエもまた、鎖を駆使して低層の建物から高層へと上がり、敵へと距離を詰めていく。
「こんなことも、覚醒前は絶対できなかったと思うけど」
「ええ、ケルベロスなら墜ちても死なない──だから大丈夫!」
 東西南北は、半ば自らを奮い立たせるように言うと、壁を蹴って速度を付け、巨花の横合いへ。魔力を込めた拳の一撃を叩きこんだ。
 サキュレント・エンブリオの体勢が傾くと、その隙にゴロベエはさらなる高所から跳んで頭上へ落下。飛び込むように蹴り落としを打ち、巨体を真下に叩き落とす。

●闘争
 地割れの如き音が鳴る。高度を落としたサキュレント・エンブリオは、根を地に突き刺して転倒を免れていた。
 すると今度は退かず、周囲のビルをなぎ倒しながら攻め始めてくる。
「崩れる街でパルクールなんて中々ない──けどっ!」
 と、フィオはそんな中でも焦らず、傾いた建物から跳ぶ。途中、灯喰い刀と日本刀を宙に放り、別のビルに着地すると同時にキャッチし、そのまま斬撃を見舞っていた。
 連続して、シィは『Bete Impulsion』。平行世界にいるウェアライダーの自分と同調することで、獣の如き俊敏性を会得。書き殴った曲線のような複雑な機動で飛翔し、縦横から剣撃を叩き込んでいた。
「みんな、高度が低い今のうちにどんどん攻撃よ!」
「ああ、敵も多少は冷静さを欠いてきているようだな」
 応えた結衣も、屋上を疾駆し、壁を蹴り上がり、翻弄。巨花が標的を定められぬうちに肉迫し、炎の線を描く斬撃で花弁を数片灰にする。
 ターザンのように高所から降りてきたゴロベエは、勢いのままに鎖で敵を打ち据えつつ、その至近に着地した。
「攻撃、くるよ」
 直後、言葉通りに敵が辺りの建物を一斉に倒してくる。
 が、ゴロベエと東西南北が皆の盾となることで、ダメージを抑えていた。すぐ後には翔子が『翠雨』を行使している。
「これで、多少は良くなるだろうさ」
 それは清廉で、青葉が輝くような恵みの雨を降らせる力。雫が溶け込んでいく度に大きな治癒力を生み、ゴロベエを癒していた。
 同時にレトラと、東西南北のテレビウムである小金井も東西南北を回復させ、状態を万全に保つ。
 ティーシャは低層のビルから飛び降りつつ射撃。衝撃で敵を地面すれすれに落としていた。
「このまま、どんどん撃ち込んでやれ」
「うん、ここがたぶん、がんばりどき?」
 勇名は走りつつ、アームドフォートの砲撃を反動にジャンプ。敵に飛び乗って、至近からポッピングボンバーを爆発させていた。
 この間に、東西南北は高い位置の屋上へ移動。鎖を命綱代わりに手すりに撒きつけ、へりに足をかけている。
 改めて高所に上ると恐怖はあった、が、それでも東西南北はすぐに飛び降りた。
「アイキャンフラーイ!」
 絶叫しながら身を躍らせる。同時、アルティメットモードで勇壮な姿へ変化していた。
「信じればきっと空も飛べる──もう誰にもヒキコモゴミニートなんて言わせない。今のボクは……フェニックス八王子です!」
 瞬間、猛烈な速度を乗せて一撃。如意棒で打撃を与えることで、花弁をさらに数片粉砕していた。

●決着
 サキュレント・エンブリオは苦しむように鳴動しつつ、空に浮き上がっていた。
 シィはそこにもすかさず、死角から飛来して硝子の魚を解き放つ。さらにレトラにも立体機動を取らせつつ爪撃を打たせ、衝撃の応酬を加えていた。
「このまま一気に攻めちゃいましょ!」
「なら、こっちも攻撃に加わるとするかね」
 と、翔子も宙へ手を伸ばし、圧縮したグラビティを発射。敵の面前で炸裂させ、爆風を浴びせていく。
 そこへ、勇名も走り込みながら鎖を投擲していた。
「もういちど。ぐるぐる、しばるー」
「合わせよう。もう攻撃ができないようにな」
 次いで、ティーシャも足元にエネルギー光を形成して上方を狙う。同時、勇名の鎖が巨花の動きを止めると、ティーシャが蹴り出した光が直撃。根を散り散りに散らせながら、サキュレント・エンブリオを上方へ煽った。
 さらに、マンションの屋上に降り立っていた東西南北は、『東西南北迅雷』。丁度至近に迫っていた敵へ指向性の高圧電流を打っていた。
「存分に痺れてください!」
 命中したそれは、弾けるような衝撃とともに全身を麻痺させてゆく。
 結衣は間隔の狭い建物を連続で蹴り上がり、一瞬で眼前へ。双剣を再び暴走させると、天にも上る程の長大な炎を湛え、ダメージを刻みながらに焔で敵を包んでいった。
「人を蹂躙しようとする咎を、その身に感じろ」
「よし、このまま燃やし尽くすよ」
 同時、ゴロベエもザルバルク『大炎熱焦土地獄』を行使。燃えるザルバルクの群を具現化して飛ばすことで、巨花を爆炎で襲う。
 燃えてゆくサキュレント・エンブリオへ、高々と跳んだフィオが、二刀を振り上げた。
「悪いけど……お前は、ここで刈り取る!」
 瞬間、霊力を纏った剣閃が直撃。その巨花の命を両断した。

 サキュレント・エンブリオは撃破されると同時に、爆発。宙に胞子を飛散させて消滅していった。
 結衣は目を細めて見上げる。
「妙な物が残らないかと危惧していたが──あれは攻性植物を生む胞子か?」
「取り除く……のは無理だな。既に散ってしまったようだ」
 ティーシャも観察するように仰ぎ、言っていた。
 どうやら死と同時に撒かれるようになっていたらしい。防ぐ方法は、現時点ではおそらく無いだろう。
 それでも、この敵を倒すことで街の壊滅を免れた。多数の人々の命を救った。
「今はとりあえず、勝てたことが一番ですから。ヒールをしておきましょうか」
 東西南北が言うと、皆も頷き、修復作業に入る。
 シィも、レトラにヒールさせつつ、自分も歌うことで景観を回復。崩れた建物を直し、荒れた地面を綺麗にして街並みを取り戻していた。
 勇名も修復を終えて戻る。
「これで、おわり」
「あぁ」
 と、翔子は煙草を取り出しつつ、建物のずっと向こうに視線をやる。
「城も早く、取り戻したいもんだね」
 未だ未来は見えない。そんな近くて遠い風景を、翔子は暫し見つめていた。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年5月3日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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