季節が移り変わり、山を彩るのものも雪から桜へと変遷していた。
植生の豊かなその奥部。風に木々が揺れ、桜花の香りの漂う一帯。
その中で1人、剣を鍛える男がいた。
「せい……っ! はあっ──!」
それは和装の、年若い青年だった。剣舞のようでありながら、その実、実践を見据えた鋭い剣閃は、日々の鍛錬による洗練が窺える。
斬撃は膂力を活かすように。刺突は舞い落ちる花びらも正確に突くように。一刀流を源流にしながらも、独自の色を加えた剣術がそこにはあった。
「剣は常に流動的。だからこそ、鍛錬は欠かせないな……」
青年は自身の腕に満足することもなく。ひたすら剣に明け暮れようとしていた。
だが、そんな時だ。
木々の奥から、突如そこに歩み寄ってきた者がいた。
「──お前の最高の『武術』、僕にも見せてみな!」
それはドリームイーター・幻武極。
その瞬間に、青年は操られたように動き、幻武極に剣技を打ち込んでいた。
ひと通り技を受けてみせると、幻武極は頷いた。
「僕のモザイクこそ晴れなかったけど。その武術、それなりに素晴らしかったよ」
そうして、言葉とともに青年を鍵で貫いた。
青年は意識を失って倒れ込む。するとその横に、剣術家のドリームイーターが生まれた。
試しに振るう剣技は、強力な斬撃に、正確な刺突。それは青年の理想を体現したような、達人の姿だった。
幻武極は満足気に頷くと、外の方向を指す。
「さあ、お前の力、存分に見せ付けてきなよ」
ドリームイーターはひとつ頷くと、歩いて去っていった。
「集まっていただいて、ありがとうございます」
イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は、ケルベロス達に説明を始めていた。
「本日は、ドリームイーターが出現したことを伝えさせていただきますね」
以前より確認されている、幻武極による事件だ。
幻武極は自分に欠損している『武術』を奪ってモザイクを晴らそうとしているのだという。今回の武術家の武術ではモザイクは晴れないようだが、代わりに武術家ドリームイーターを生み出して暴れさせようとしている、ということらしい。
このドリームイーターが人里に降りてしまえば、人々の命が危険にさらされるだろう。
「その前に、このドリームイーターの撃破をお願いします」
それでは詳細の説明を、とイマジネイターは続ける。
「今回の敵は、ドリームイーターが1体。場所は山中です」
植生の豊かな山で、平素から人影のない場所だ。当日も他の一般人などはいないために、戦闘に集中できる環境でしょうと言った。
「皆さんはこの場所へ赴いて頂き、人里へ出ようとしているドリームイーターを見つけ次第、戦闘に入って下さい」
このドリームイーターは、自らの武道の真髄を見せ付けたいと考えているようだ。なので、戦闘を挑めばすぐに応じてくるだろう。
撃破が出来れば、青年も目をさますので心配はない、と言った。
「戦闘能力ですが、被害にあった青年の方が理想としていた剣術の使い手らしいです」
能力としては、斬撃による近単捕縛攻撃、刺突による遠単服破り攻撃、連撃による遠列パラライズ攻撃の3つ。
各能力に気をつけておいてくださいね、と言った。
「実力者ではあるようです、けれど。皆さんもお力では負けていないはずですから。是非、撃破を成功させてきてくださいね」
イマジネイターはそう言葉を結んだ。
参加者 | |
---|---|
藤守・景臣(ウィスタリア・e00069) |
エレ・ニーレンベルギア(追憶のソール・e01027) |
トエル・レッドシャトー(茨の器・e01524) |
千手・明子(火焔の天稟・e02471) |
真上・雪彦(狼貪の刃・e07031) |
立花・吹雪(一姫刀閃・e13677) |
不入斗・葵(微風と黒兎・e41843) |
ロイ・ウッドロウ(無音の番人・e46812) |
●対峙
春の山中を、ケルベロス達は歩んでいた。
現場へと近づく中、立花・吹雪(一姫刀閃・e13677)はふと振り返る。
「そういえば、依頼で一緒になるのは初めてですね。共に戦えて頼もしいです」
「そうだな! こっちこそ、よろしくな!」
朗らかに返すのはロイ・ウッドロウ(無音の番人・e46812)。吹雪とは同じ旅団の仲だ。
そのロイの服装は、目立つ青色だった。話し声も敵に発見されやすいよう、敢えて大きく張っている。
「それにしても、どんなやつなんだろうな。相当腕が立つやつらしいけど」
「剣士のドリームイーター、ということでしたか。これで何体目か……幻武極も懲りずに続きますね」
応えるのは、トエル・レッドシャトー(茨の器・e01524)。
声音は静かなもの。だが、戦いがあるのだと意識すると、その瞳にはどこか強い感情も浮かんでいた。
「──まぁ、出てくるならば、何度でも倒してあげますけど」
「ええ。剣術使いと真っ向勝負だなんて、剣士の血が騒ぐもの!」
明るく頷くのは、千手・明子(火焔の天稟・e02471)。その表情には期待感も滲んでいる。
「早く、戦いたいわねぇ!」
「あァ。相手が剣術家と聞いちゃあ黙ってられねェからな」
と、声を継ぐ真上・雪彦(狼貪の刃・e07031)も、剣戟を待ちわびる表情。
既に戦闘予定地も近く、被害者の青年からも安全な距離があると見てとると、すぐに大声を張り上げてみせた。
「つーわけだから、早めに出てきやがれ!」
「そうだよ! 自分が強いと思うなら出てきなさい!」
と、一緒に声を響かせるのは不入斗・葵(微風と黒兎・e41843)。視線を巡らせつつ、敵へと直接呼びかけていた。
すると、先頭に立っていた藤守・景臣(ウィスタリア・e00069)が、ふと歩みを止める。
その視線は前方に注がれていた。
「どうやら、おいでくださったようですね」
皆もそちらを見る。すると木々の間を、1体の影が歩んできていた。
それは日本刀を携えた男の姿。剣術使いのドリームイーターだ。
ドリームイーターは刀に手をかけつつ、こちらを見回す。
『我を挑発するのは、貴様らか』
「うん。アナタをこれ以上先には行かせないよ!」
葵は頷くと、面前に立ちはだかってみせていた。
ドリームイーターは眉を上げる。
『ほう。つまり……我をここで討つと?』
「そういうこった」
雪彦は挑発的な声音で言うと、日本刀をすらりと抜いてみせた。
「そっちも立派な得物を持ってるみてェだが。期待外れだけは勘弁してくれよ?」
『……面白い。貴様らこそ、この剣を耐えられるか!』
ドリームイーターは、それを戦闘開始の合図に、疾駆してくる。
だが、振られた刃が宙で止まる。トエルが攻性植物・Rosalesの茨を槍のように伸ばし、受け止めていたのだ。
「刃は鋭そうですが。簡単に届くとは思わないことです」
トエルはそのまま茨を流動。素早くドリームイーターを縛り付ける。
その間に、エレ・ニーレンベルギア(追憶のソール・e01027)は藍の武装の弐、*Betelgeuse*を掲げていた。
「まずは、戦闘態勢を整えさせてもらいます。この力を受け取ってください──」
瞬間、そこから星の煌めきを拡散。周囲を輝きで満たし、仲間の戦闘力を高めていった。
すると同時に、雪彦は霊力を、景臣は攻性植物・いとしの光を注いで仲間を広く守護していく。
さらに葵は『白き睡蓮の微風』。一帯に花びらを舞わせ、癒しの力を展開。守りの加護を与えて、前衛の防御力を高めていた。
「これで、攻撃も防御も、いい感じだよね」
「では、これで仕上げさせてもらいます」
と、声を継いだ吹雪は『疾風迅雷』。霊力を声に乗せて、朗々と歌を響かせていた。
「駆ける風の様に速く、雷鳴の様に激しく! 疾風迅雷の勢いで駆け抜ける──!」
仲間に溶け込んだ霊力は、風と雷の力を宿す。それによって、前衛の知覚力が飛躍的に増していった。
戦闘態勢が整うと、エレはウイングキャットのラズリを攻勢に移らせている。
「さ、ラズリ、お願いね」
鳴き声を返したラズリは、豊かな毛並みを靡かせつつ飛来。リングを飛ばして敵の刃を払っていく。
そこへ明子が刺突を加えていくと、ロイも如意棒を携えて疾駆していた。
「よし! 俺も、全力でいくぞ!」
そのまま、敵が体勢を直す前に踏み込み、一撃。薙ぎ払うような殴打を加え、ドリームイーターを大きく後退させていた。
●闘争
『……成る程。言葉に違わぬ強さだな』
ドリームイーターはよろめきつつも、すぐに刀を握り直していた。
その目に浮かぶのは、愉快そうな感情だ。
『ならばむしろ、好都合。本気の剣で真っ向から戦えるのだから』
「真っ向勝負、悪くないですね」
と、言った吹雪もまた、斬魔刀【絶花】を構えている。
「貴方の求めた武の真髄──見せていただきましょう!」
『無論だ。最高の武術たる我が剣技、受けてみろ』
ドリームイーターは言うと同時に、刃を振り下ろしてきた。
が、景臣はそれを刃で受け止め、鍔迫り合いを演じてみせる。
「ふふ、最高の武術──ですか」
景臣の表情は、冷静。
だが、戦いに入り、眼鏡を外したその瞳は、地獄の炎で藤色に灯っている。
奥に見える眼光は、戦闘狂の色。それはさながら、牙を隠した狂犬の如く。小さな笑みとともに、景臣は斬霊刀・此咲で敵の刀を上方へ払った。
「『武』は己で研鑽を重ね、磨き上げるもの。貴方のそれは紛い物以外に他なりませんよ。だから──返してもらいましょうか」
瞬間、返す刀で強烈な一閃。敵の腹部を切り裂いた。
『……紛い物等ではない。この力は確かにここにあるッ』
呻くドリームイーターは、それでも刃を振るう。
しかし明子はその剣線を、日本刀・名物『白鷺』で逸らしてみせた。
「ならばもっと、力を見せてほしいわ。わたくしもその分、全力を注ぐから」
明子がちらと見るのは、雪彦の横顔だ。
最近どんどんと大人っぽくなる雪彦に、姉貴分として、剣士として良いところを見せたい。そんな気持ちが明子にはある。
だからこそ、剣の鋭さにも拍車がかかるように。そのまま一刀、強烈な払い斬りで、敵の足元を裂いて体勢を崩させた。
「雪彦、今よ!」
「あァ、隙は活かすさ。それこそ、本気でな」
頷く雪彦とて、決死の斬り合いをするつもりだ。ドリームイーターが振るう刃と正面から切り結ぶと、睨み合った。
「さァ、理想の剣とやらがどんだけ鋭いか、改めてこの目で見せてもらおうか」
そのまま二者は数間打ち合い、火花を散らしていく。だが直後には雪彦の速度が勝り、風を巻き込んだ斬撃で胸部を裂いていた。
血を零すドリームイーターは、一度間合いを取ってから、踏み込んで刺突を放つ。
が、その攻撃はエレが受け止め、衝撃を軽減。すぐ後には、葵が霊力を込めた護符“睡蓮の守り”から御業を解き放っていた。
「少し待っててね。これで回復してみせるよ」
言葉通り、エレを覆った御業は、癒しの霊力を全身に広げるように治癒。浅い傷を消し去っていく。
「あとの攻撃は、お願いするね」
「わかったぞ! 相手が剣でも──退かないからな!」
応えたロイは、野性的に元気よく。高速で敵の眼前へと迫り、螺旋を込めた掌底を直撃させていた。
よろめいたドリームイーターへ、吹雪は雷を纏った裂帛の刺突。そしてエレもまた、藍の武装の拾*Suhail Al Muhlif*を淡く光らせていた。
『むぅ──』
「遅いです。攻撃は、させませんよ」
敵が薙ごうとしてくる刃を、エレは霊力を込めたその拳で弾く。そのまま懐へ踏み込み一撃、痛烈な打撃を加えていた。
「さあ、連撃を」
「ええ。その傷を、燃やしてあげましょう」
声を継いだトエルは、一層鋭い目で敵を見据える。
そこに浮かぶのは、敵と戦う事への強迫観念めいた執着でもあろうか。
瞬間、喰らいつくようにRosalesを絡めさせると、そこに地獄を伝わせて炎撃。ドリームイーターの全身へ炎を広げ、倒れ込ませていた。
●剣の道
微かに煙を上げながら、ドリームイーターは立ち上がる。
呻きを含んだ声音は、どこか納得が行かぬようでもあった。
『最強の剣術が……まさかここまで不覚を取るとは』
「正確無比な斬撃と多彩な剣技。確かに、技術は巧みなものだと思います」
吹雪は言いながらも、凛とした視線を向けている。
「しかし、それが素晴らしい剣術であるからこそ、こちらも負けるわけにはいかないんです。これ以上青年の理想を悪用し貶めさせないために!」
「ええ。ひたすらに剣の道を極めようとする姿勢は、素晴らしい──だから、そんな努力を壊してしまう行為は許せません」
エレも毅然と、声を継いでいた。
ドリームイーターは俄に怒りを浮かべ、走り込んでくる。
『そんなものは、些末なことだ……! 今ここに力がある、それが正義!』
「そんな正義なんて、認めないぞ!」
と、その瞬間。空を裂く衝撃が、敵の刀を弾き返す。ロイが妖精弓から、輝く矢を放っていたのだ。
「難しいことはわからないけど。でもそれが間違ってるってことは、わかるからな!」
ロイはそのまま、魔力の矢を連射。ドリームイーターの腹部を穿っていく。
生まれた隙に、トエルもひらりと跳び、宙を舞うように肉迫していた。
「言葉の真贋はどうあれ。負ければ、そこまでですよ」
そのまま民族衣装を靡かせて、空中で回転しながら一撃。刃の如き蹴り落としで敵の肩口を切り裂いた。
唸るドリームイーターは、刀を振り回す。だがトエルは右に左に、視線を誘導しながらそれを躱していく。そして隙が生まれると踏んだところで、素早く後方へ跳んだ。
「今です。攻撃を」
「ええ、確実に撃ち当てます」
すると次の瞬間、敵の視界に映ったのはエレ。
同時、エレは眩い霊弾を正面から撃ち出し、ドリームイーターの腹を貫いた。
重い衝撃に血を吐くドリームイーター。それでも倒れず、連撃で前衛を襲ってくる。が、そのダメージには、葵が即座に歌声を紡ぎ始めていた。
「今治すね! だから……頑張って!」
前向きな声音は、魂に伝わって治癒をもたらす。歌が反響するほどに、傷を回復させながら、皆の不調も浄化していった。
「これで、大丈夫だよ!」
「では、反撃といきましょうか。僕の刃は少々──熱いですよ」
と、景臣が揺らめかせる刀は、紅蓮の炎を纏っている。
刹那、繰り出すのは『灯蝕』。洗練された踏み込みから、生み出すのは流麗な剣舞だ。それは美しいだけでなく、威力も苛烈に、敵を斬り刻んでいった。
連続して吹雪が炎の蹴撃を打つと、ドリームイーターは唸りながら後退する。
それでも再度踏み込んで刃を振り下ろしてきた、が、それを雪彦は刀で止めた。
「はっ、これで、武の真髄を見せつけたい――だァ? 剣閃がいくら鋭くても、刀身に映るモンが薄っぺらいんだよ!」
瞬間、刀を翻し、敵の足元を切り裂く。よろけた敵へ、明子も風を巻き込んだ斬撃を打っていた。
「隙ありよ!」
その一刀は違わず命中。胸部を鋭利に抉って、敵を転倒させていく。
●決着
倒れ込んだドリームイーターへ、吹雪は間を置かず連撃。霊力を纏った剣撃で一気に体力を削っていく。
「皆さん、勝機です。気を抜かずに、参りましょう」
「ええ。無論、最期まで──全霊の剣戟を見せましょう」
応える景臣の刃も、違わず熾烈。霊体ごと切り裂く攻撃に敵がよろめくと、ロイも連続で如意棒の刺突を打っていた。
「このまま、どんどん攻めるぞ!」
「うん。葵もいくよ!」
頷く葵も攻勢に移り、ジャンプして飛び蹴り。
ふらついた敵は、それでも景臣へ反撃の刺突を当てた。が、エレは即座に『天青石の煌めき』を行使している。
「清浄なる力を秘めし、空の石よ。神聖なる輝きで穢れを祓い賜え!」
それは不浄を祓う、澄んだ空色の輝き。
それが安らぎとともに傷を消し去っていくと、明子は反撃に『陽炎之太刀』。刀と体捌きで、陽炎を見せるように敵の感覚を狂わせていた。
魔力の如きそれは、しかし鍛え抜かれた剣技に他ならない。鍛錬が夢想を凌駕するように、そのまま繰り出された一刀が敵の腕を切り落とした。
「さあ雪彦、わたくしの後に続いて!」
「あぁ。そろそろ幕引きだな、飾り付けてやるよ――血染めの雪になりやがれ」
雪彦は『鮮紅雪月花』。氷の霊力を伴った抜刀で、飛散する血も凍てつかせる。
意識を失っていく敵へ、トエルはそっと指を伸ばした。
「終わりましょうか。戒め、砌絶つ堰よ……ここに」
瞬間、指先から垂れる血を媒介に、魔力を発射した。
それは『赤黒きの茨の弾丸』。着弾したそれは茨のごとくドリームイーターを蝕み、内外から全身を四散させていった。
消滅していく敵を、葵はしばし見上げていた。
(「なんでだろ。ドリームイーターには初めて会ったのに、なんだかもやもやした……。それに、悲しいのはなんで?」)
それでも、戦いには勝った。葵は首を振って、皆に向く。
「えっと、終わったね、お疲れさま!」
「ええ。では、青年の元へいきましょう」
景臣の言葉に皆は頷き、歩みだす。
木々の中に、すぐに青年は見つかった。ロイは助け起しつつヒールをかける。
「災難だったな、大丈夫?」
ええ、と青年は応えた。
青年の意識ははっきりとしており、健常。すぐに自分の足で立っていた。
ありがとうございました、と頭を下げる青年に、葵は安堵を浮かべる。
「怪我もなくて、よかった」
それから皆で周囲のヒールもすると、その後でロイは言った。
「そうだ。もし体つらくなかったら、型とか剣舞とか見せて貰えると嬉しいな!」
「いいですね。僕も剣の道を歩む者──他者の剣術は、是非とも見学させて頂きたいです」
景臣も言うと、青年は喜んで頷いた。
そうして刀を握り、型から剣技を始めていく。
それは異形の存在に比べれば無論、人の域を出ない。だがそれゆえに真っ直ぐな剣舞だ。
「へェ」
と、雪彦は眉を上げて、少し笑みを作っていた。
「理想止まりの剣よか、百倍いいな」
「剣士を志したのはどうして?」
明子が興味深げに聞くと、青年は心身を高めるのは武、武ならば剣だと思ったと応えた。
「身の引き締まる応えね! 次はあの花びらを突く一撃を見せてもらってもいいかしら?」
明子の言葉に、青年はそれを披露してみせる。
吹雪は自身の剣とも照らし合わせるように、真摯に見つめていた。
「体の動かし方は、ケルベロスでも参考になりますからね」
そうしてまた、吹雪や明子達は青年と剣について語り合っていた。
エレはそれをラズリとともに、静かににこにこと眺めている。
「皆さん、楽しそうで何よりです……」
「静かで眺めもいいですし。こういう鍛錬場所、私も見つけたいですね」
トエルは剣技とともに、明媚な桜も鑑賞していた。
桜に剣が舞う。そうして春の空気の中、暖かな時間は続いた。
作者:崎田航輝 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年3月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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