雪深い渓谷。
深々と降る白色の中、修行に明け暮れる若者の姿があった。
「ふっ──! はっ!」
それは和装の青年だ。腕をふるって、落ちる雪片を切ろうと剣閃を走らせていた。
時折雪明りに煌めくその刃は、通常の刀よりも長さのない、短刀。
刃が短いゆえに、リーチは無い。だが、視認のしにくい刃は、まるで雪に隠れるように素早い斬撃を放つ。長さがないだけ、腕の動きが直接剣撃に反映され、より格闘に近い趣を持った武術になっていた。
「疾く、鋭く、そして確実に。短剣道こそ、武の極致に違いないのだ──」
青年は確信を得るように呟く。そうしてただひたすらに、修行に打ち込んでいた。
と、そんな時だった。
「──お前の最高の『武術』、僕にも見せてみな!」
雪を踏みしめて、突如渓谷に現れた者がいた。
それはドリームイーター・幻武極だ。
その瞬間に、青年は操られたように動き、幻武極に剣撃を打ち込んでいた。
しばらくそれを受けてみせると、幻武極は頷いた。
「なるほどね。僕のモザイクこそ晴れなかったけど。その武術、それなりに素晴らしかったよ」
そうして、言葉とともに青年を鍵で貫いた。
青年は意識を失って倒れ込む。するとその横に、1体のドリームイーターが生まれた。
それは、和装と短刀を身に着けた、1人の男の姿だ。素早い身のこなしから、雪片どころか岩までをも切り裂く。達人と言えるそれこそ、青年が理想とする姿であった。
幻武極はそれを確認すると、遠くの方向を指す。
「さあ、お前の力、存分に見せ付けてきなよ」
ドリームイーターはひとつ頷くと、歩いて去っていった。
「集まって頂いて、ありがとうございます」
イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は、ケルベロス達に説明を始めていた。
「本日は、ドリームイーターが出現したことを伝えさせていただきますね」
最近確認された、幻武極による事件だ。
幻武極は自分に欠損している『武術』を奪ってモザイクを晴らそうとしているのだという。今回の武術家の武術ではモザイクは晴れないようだが、代わりに武術家ドリームイーターを生み出して暴れさせようとしている、ということらしい。
このドリームイーターが人里に降りてしまえば、人々の命が危険にさらされるだろう。
「その前に、このドリームイーターの撃破をお願いします」
それでは詳細の説明を、とイマジネイターは続ける。
「今回の敵は、ドリームイーターが1体。場所は渓谷です」
雪深い一帯で、岩場に真っ白な雪が積もっている一帯だ。
平素から人影もなく、当日も他の一般人などはいないので、戦闘に集中できる環境でしょうと言った。
「皆さんはこの渓谷へ赴いて頂き、人里へ出ようとしているドリームイーターを見つけ次第、戦闘に入って下さい」
このドリームイーターは、自らの武道の真髄を見せ付けたいと考えているようだ。なので、戦闘を挑めばすぐに応じてくるだろう。
撃破が出来れば、青年も目をさますので心配はない、と言った。
「戦闘能力ですが、被害にあった青年の方が理想としていた短剣道の使い手らしいです」
能力としては、素早い斬撃による近単足止め攻撃、連撃を繰り出す近列パラライズ攻撃、踏み込んで刺突を繰り出す遠単捕縛攻撃の3つ。
各能力に気をつけておいてくださいね、と言った。
「危険が、人々に及ぶ前に……是非、撃破を成功させてきてくださいね」
イマジネイターはそう言葉を結んだ。
参加者 | |
---|---|
京極・夕雨(時雨れ狼・e00440) |
百鬼・澪(癒しの御手・e03871) |
玄梛・ユウマ(燻る篝火・e09497) |
ラグナシセロ・リズ(レストインピース・e28503) |
エル・アルハ(戦う理由を模索中・e37531) |
雪白・黒那(彷徨える紫焔の刃狼・e41072) |
伊礼・慧子(臺・e41144) |
雨野・狭霧(黒銀の霧・e42380) |
●対敵
雪の渓谷へ、ケルベロス達は踏み入っていた。
降雪があるその一帯は、既に敵が出てくる予測地点にも近い。伊礼・慧子(臺・e41144)は早くから殺界を形成し人払いを万全にしていた。
「これで危険はないでしょう。修業地も僻地で幸いでしたね」
「ええ。あとは、なるべく早く敵を見つけましょう」
玄梛・ユウマ(燻る篝火・e09497)は頷きつつ、歩速を落として見回す。人影や足音、敵の気配に注意を払っていた。
皆も本格的に敵捜索へ。その中で、雨野・狭霧(黒銀の霧・e42380)はふと口を開いていた。
「ドリームイーター……最近は何かと縁がありますね。今回は短剣術の使い手だとか」
「誰かの理想の化身──そう考えると、倒してしまうのは多少気も引けますね」
京極・夕雨(時雨れ狼・e00440)はそんなふうに応える。
ただ、その薄い視線は一点に注がれていた。雪の降る岩場の影。そこに1人の影が見えていたのだ。
「──それでも、その誰かの命がかかっているのならば、打ち砕くほかはありませんね」
「うん。それに、青年さんもきっと、こんな形で自分の武術が使われるなんて望んでないはずだからね……!」
エル・アルハ(戦う理由を模索中・e37531)は頷き、そちらへと疾駆し始める。
皆もすぐに駆け出して、その人影へ接近した。
此方へ顔を向けたそれは、和装の短刀使い。武術家ドリームイーターだった。
『……何者だ』
「ケルベロス。貴方のことを、止めにきました」
ラグナシセロ・リズ(レストインピース・e28503)は応え、立ちはだかるように翼を輝かせる。ドリームイーターは、ほうと眉を上げた。
『つまりは、戦士か』
「ま、その通りじゃ」
そう口を開くのは、雪白・黒那(彷徨える紫焔の刃狼・e41072)。
言葉と同時、閃刀・白瞬を抜き放ち、髪を紫に燃え上がらせている。ドリームイーターはそれに、好戦的な表情を見せた。
『……ただ者ではなさそうだ。ならば俺の剣技も見てみるか』
「望むところ。雪の名を持つ儂が、このような場所で同じ剣士と戦うとは、何か運命すら感じるからの──いざ、お相手願うのじゃ!」
黒那は気迫を漲らせ、刃を突きつけた。
同時、エルも納刀状態の刀に冷気を漲らせている。
エルはいつも、自分は何のために戦うのか、迷い、探している。けれど今は、人を守るために戦うことだけは確かだった。
だからこそ迷いは少なく。意思を込め、抜刀した。
「来い、ドリームイーター! ここから先には、行かせない……!」
瞬間、『我流奥義・氷華の太刀』。膨大な冷気を篭めた居合いで、強烈な先手を打っていた。
同時、黒那も踏み込んで眼前へ迫っている。
「『三刃』使い、雪白 黒那──いざ、参る!」
繰り出すのは『瞬刃・無跡』。
それは、一瞬で広範囲を断ち切る『三刃』の『瞬』に分類される業。視認できぬ程の剣速は、ドリームイーターに直撃し、その動きを鈍らせていた。
「ではこちらも、腕試しと行きましょうか」
次いで、狭霧は氷結の槍騎兵を召喚。冷気を畳み掛けて、相手の表皮を凍らせていく。
その隙に、慧子は縛霊手・迦楼羅炎掌から紙兵の霊力を解放し、前衛を守護。夕雨は番傘・からくれなゐを槍のように突き出し、雷撃とともに敵へ刺突を加えていた。
ドリームイーターも反撃をしようと、刃を手に取っている。
が、その眼前に、光る花が閃いた。
「させはしません。さあ、花嵐、行きましょう!」
それは百鬼・澪(癒しの御手・e03871)の魔法。大槌をくるりと取り回し、雷撃を発射。花弁のような火花を舞わせて衝撃を与えていたのだった。
言葉に鳴き声を返すボクスドラゴン、花嵐は、ニーレンベルギアの花の渦巻くブレスを発現。ドリームイーターの全身にダメージを刻んでいる。
同時、ユウマは『チェイントリガー・リタード』。巨大な鉄塊剣・エリミネーターを片手で振るいながら、脚部、手先、胴部と敵へ連撃。打ち据えるような斬撃で足止めを喰らわせていた。
「さあ、今です!」
「ありがとうございます。では行きますっ……!」
連続して、ラグナシセロは光の粒子へと体を変遷させていた。
暗闇に星々の集まりが誕生するように、それは眩く輝いて、豪速で飛翔。光の軌跡を描きながら、ドリームーイーターへ苛烈な突撃を喰らわせていた。
●闘争
後退したドリームイーターは、痛みに顔を歪めつつも、反面愉快げでもあった。
『……成る程、確かに言葉に劣らぬ強さだ。面白い』
言ってナイフを逆手に取る。その動作だけで、至近にあった岩を裂いて見せていた。
『本気を出そう。我が剣を受ければ、お前達もこうなる』
「文字通り、岩をも切り裂く、でございますか。……その刃、さぞお強い事でしょう」
ラグナシセロは、しかし一切退く気は見せず、まっすぐに敵を見据えている。
「だからこそ、貴方を放置しておくわけにはいかないんです」
「ええ、多くの人々のために、そして被害者の方を助けるためにも」
ユウマも頷き、声を継ぐ。
普段の、どこか頼りなさげな空気が鳴りを潜めたように。それは冷静で、力強い声音だった。
「──あなたを必ず、撃破してみせます!」
『……やってみるがいい』
ドリームイーターもそれを機に、走り込んでくる。だがそこへ、既にラグナシセロが星屑を煌めかせながら飛行していた。
赤、青、緑、金色。零れる光は雪の白にも負けず、美しく瞬く。そのまま煌めきの渦を描くように、ラグナシセロは回し蹴りを叩き込んでいた。
光の粒子が弾ける中、澪もロッドをまっすぐに突き出し、魔力を集中していた。
「畳み掛けさせてもらいます……!」
刹那、弾ける音と共に、雷光を生み出す。
放射状に広がる光は、雪に咲く大輪のごとく。閃光の如き光色を湛えてドリームイーターに一点集中し、衝撃を与えた。
連続して飛び蹴りを放った狭霧は、敵の短刀を見て即座に間合いを取ってみせている。
「そのリーチの差を如何にカバーするのか……見せて貰いましょうか」
『いいだろう』
応ずるように、ドリームイーターは縮地にも似た踏み込みで突きを打ってきた。
が、その攻撃は、ユウマが鉄塊剣を盾にして、軸をずらすように衝撃を軽減させている。
「簡単には、通しませんよ」
「回復は私が。少々お待ちくださいね」
直後には、慧子が治癒のグラビティを手元に収束させていた。
同時、雅やかに手を掲げて生み出したのは、魔法の木の葉。雪に交じり、淡く光る緑色が風に舞うと、それがユウマの体に溶け込むように、傷を消していく。
「これで、かなり回復できたはずです」
「ありがとうございます……!」
応えたユウマもまた、霊力を広げて自身を含めた前衛を回復防護していた。
ドリームイーターは連撃を狙ってくる。が、エルは短剣も抜刀して、二刀流で相対。刃で刃を弾き、空いた懐へ鋭い蹴撃を撃ち込んでいた。
「このまま、連撃をお願いっ!」
「うむ、では見せてやるとしよう。瞬刃・空伝を──!」
次いで、呼応するように黒那が肉迫し、連続斬撃。縦、横、袈裟に叩き込まれた刃は深く、鋭く。傷を抉り、鮮血を散らせていた。
唸るドリームイーターはそれでも前進してくる。
が、夕雨は開いたからくれなゐで、敵の動線を逸らすようにして回避。逆の手に携えたライフルを至近から向けていた。
「刃だけが武器ではないですからね」
瞬間、光の奔流を撃ち出して、足元を凍結。弾けるような衝撃を伴って、ドリームイーターを転倒させていた。
●力
ドリームイーターは、呻きながら立ち上がる。その顔は、憎らしげながら、不可解そうに歪んでもいた。
『……信じられぬ。最強たるこの短剣術で、苦戦するなど』
「貴方は確かに、お強いです。雪の中に舞う斬撃も、敵ながら美しくもあります……けれど」
と、ラグナシセロは声を返す。
「その武術は、貴方の本当のお力ではありませんから。偽りの力には、負けません」
『偽りだと……。この力は確かに、ここにある』
ドリームイーターは短刀を握りしめる。
澪はそれにも静かに口を開いた。
「それは、被害にあわれた方が、素晴らしい遣い手であったからでしょう」
「そうですよ。その武術は、一人の立派な青年のもの──たかが偶像如きが人様の武の真髄を我が物顔で示そうだなんて、烏滸がましいにも程がありますよ」
夕雨は細めた瞳で、そう言ってみせた。
ドリームイーターは歯噛みすると、最早問答無用とばかり、走り込んでくる。
『ならば、この力をここで示す!』
「いいえ。残念ですけれど。その刃、折らせていただきます……!」
澪はそれにも怯まず、巧みな杖捌きで剣撃をいなす。同時、至近から魔法の氷花を生み出して、ドリームイーターを冷気で縛っていた。
次いで、からくれなゐに地獄を湛えるのは夕雨。
「さあ、えだまめ、行きますよ」
それに鳴き声を返した白柴のオルトロス、えだまめと共にドリームイーターへ肉迫すると、紫の炎をたなびかせて刺突。連続してえだまめの斬撃も直撃させ、血潮を噴かせた。
『く……』
「おっと、遅いですよ」
反撃をしようとするドリームイーターだが、その眼前には既に狭霧が迫っている。
そのまま狭霧は、敵の腕を素早く蹴り上げ『乱花』。体を一回転させて刀での斬撃を繰り出し、そのまま返す刀で数閃。目にも留まらぬ連撃で、敵の胸元を裂いていた。
「その程度ですか?」
『……まだまだ!』
ドリームイーターは、一度呼吸を整えると、前衛へと連続斬撃で攻撃してきた。
だが、そのダメージにも、素早く慧子が霊力を生み出している。
「いくら攻撃しても、すぐに治癒してみせます──」
煌々と注ぐ霊力は、温かい感覚と共に前衛を包み込み、その傷を治していく。
その間も、慧子は敵の動きをつぶさに観察していた。
「しかし、手数と素早さで広範囲をカバーするとは興味深いですね」
「強敵というのも、事実でしょう。それでも」
と、ユウマは鉄塊剣を大振りに、ドリームイーターへ肉迫している。
「一撃の重さなら、こちらだって負けません……!」
そのまま刃を振るったユウマは、敵の短刀を腕ごと弾き上げて、隙を作り出す。刹那、懐へ入り込んで、体を旋転。腹部に強烈な蹴りを叩き込んだ。
たたらを踏みつつも、ドリームイーターも体勢を直し短刀を振り下ろしてくる。
が、黒那はその刃を刀で受け、鍔迫り合った。
「強敵なればこそ、正面から打ち倒す意味があるというものよ」
黒那は言葉と同時、敵の刃を払い、深く踏み込む。
「瞬刃・陣貫。これを受けきれるかの」
瞬間、刀身に雷光を纏わせて、強烈な刺突。ドリームイーターの腹部を貫いていた。
敵がふらついたところへ、エルも疾駆。距離を詰めると同時に斬撃の嵐を繰り出している。
『ぐぅ……!』
「まだまだ終りじゃないよ!」
二刀流で放たれる剣撃は切れ目なく、ドリームイーターの全身の傷を抉っていく。
「今だよ、続けて攻撃を!」
「ええ」
エルに応えるラグナシセロは、『クロートーの花籠』。目を閉じて祈りを捧げることで、星々の瞬くような、光を内在させる花嵐を発現させていた。
その光は、ドリームイーターを取り巻くように包み込み、生命力を削り取っていく。
●決着
よろけるように後退したドリームイーター。そこに間断を作らず、夕雨は雷撃を伴った刺突で追撃を加えていた。
「このまま、一気に畳み掛けてしまいしょう」
「無論じゃ、ゆくぞ!」
さらに、声を返した黒那も地を蹴ると同時に切り込み。タイミングを合わせ、エルも駆け抜けながら縦横に剣撃を加えていた。
「くるよ……!」
と、エルが敵の動きを警戒して言うと、ユウマは恐れず、敵と切り結ぶ。
数間打ち合う間も、一切怯むこともなく。そのまま狙いすました炎の剣撃を叩き込んだ。
「あと、少しです……!」
「では、私も行かせて頂きますね」
慧子も攻勢に移り、肉迫。自身と戦闘法の似ている敵を観察するために開けていた、その間合いをひと息につめて、回し蹴りを打っていた。
血を吐き膝をつくドリームイーター。そこへ、ラグナシセロは流線を描く軌道で滑空。空に描かれる流れ星の如く、光を纏って如意棒での刺突を与えた。
「あとは、お任せしますっ……!」
「わかりました。さて、今回も──夢を取り戻させてもらいますよ」
呼応するように、狭霧は低い姿勢から、回転を伴った斬撃。
それがドリームイーターの体力を一気に刈り取ると、同時に澪は、魔力を光に変えていた。
「千紫万紅、神解け」
瞬間。春の桃色、夏の黄色。秋の赤色、冬の白色。四季の花々を映したような鮮烈な電流が周囲に現れた。
その力は、『千紫万紅』。電流は一条の雷となり、一直線に飛来。ドリームイーターを貫き、跡形も残さずに消滅させていた。
戦闘後、皆は周囲をヒールした。
美観が取り戻されると、澪は見回している。
「これで、元通りですね」
「ええ。あとは、青年の元へ行きましょう」
それからすぐ、ユウマは歩きだす。
皆はそれにも続き、雪に倒れる青年を見つけ、介抱した。
「大丈夫ですか?」
慧子が助け起こすと、青年は目を開ける。朦朧としつつも、意識はすぐに戻っているようだった。
狭霧は毛布とお茶を渡して声をかける。
「体、冷えていませんか?」
「ええ……ありがとうございます」
青年は礼を言って受け取る。怪我はなく、至って健常な様子だった。
ただ、事情を知ると、それを自身の修行不足のせいだと落ち込んでもいた。
夕雨はそれに言葉をかける。
「敵は貴方の武術を真似て使ってきました。付け焼き刃でも、その武は凄まじかったです。貴方の武がそれほどのものだったのだと思いますよ」
「ええ。……それに、まっすぐ御自身の理想を目指すお心に感動いたしました」
ラグナシセロも心から言った。その姿に、羨ましさすら覚えるように。
「理想のお姿、現実のものと出来ますように願っています」
「いつか貴方が世界に広めて下さる事を期待していますね」
夕雨も言うと、青年は黙ってから頷いた。
「そうですね……尽力します。たどり着けるかは、わかりませんが」
「そのための、修行でしょ? なんなら一度、手合わせしてほしいんだ」
エルが言うと、青年は頷く。そうしてしばし剣戟を演じた。
信じる道に突き進む。その青年の姿に、エルはほんの少しだけ、何か掴めそうな気もするのだった。
青年はケルベロスの強さに驚いていた。
「その極致にたどり着くには、並の努力では足らなそうですね……」
「だとしても。──瞬刃……無跡!」
黒那は言葉とともに、虚空に鋭い剣閃を奔らせている。
「──理想を、夢で止まらせるのは勿体無いのじゃよ」
「……。はい……!」
その剣にも圧倒されながら、青年はまた強く頷き、一層精進しますと語ったのだった。
皆はそれを機に、帰還。
平和となった渓谷を出て、それぞれの帰る場所へと去っていったのだった。
作者:崎田航輝 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年12月18日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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