鎌倉ハロウィンパーティー~誘き寄せパーリナイ

作者:崎田航輝

 十月は、末日。
 ハロウィンのこの日、町を歩けば、その盛大な盛り上がりが目についた。
 周りを眺めれば、端々に見える、仮装の人達。露店の食べ物や、子供達の持つお菓子から漂う匂いも相まって……どこか非現実的で、楽しげな空間が広がっていた。
 そんな中、道の端っこで……物憂げにしている青年がいる。
「羨ましくなんてないさ……羨ましくなんて」
 青年はそんなふうにぶつぶつ呟いていたが、すぐに、がばっと突っ伏した。
「……そんなの嘘だ! ああ、本当は羨ましいさ! 羨ましいとも!」
 青年は、大学生である。前々から、密かにハロウィンを楽しみにはしていたのだが……いざ当日を迎えてみると、数少ない男友達が皆それぞれの恋人と連れだって消えてしまった。
 結果、恋人もいない自分は、一人になってしまったのだった。
 別に一人でも参加すればいい話なのだが、それはそれでためらってしまう。
「一人じゃどうせ楽しくないだろうな……」
「遠慮することは、ありません。たとえ一人だったとしても……今から、世界で一番楽しいパーティーに参加して……心の欠損を埋めるのです」
「え?」
 不意に、背後に赤い頭巾を被った少女が現れていた。
 デウスエクス……ドリームイーター。
 彼女が鍵で青年の心臓を一突きすると、青年は気を失う。代わりに、人間型のドリームイーターがその場に生まれた。
 ドリームイーターは、全身モザイク。だが、口元に牙、臀部に尻尾、そして背中に羽という、コウモリの仮装をしていた。
 そうして辺りをきょろきょろ見回すと……移動を開始した。

「皆さんは、ハロウィンのご予定はありますか?」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)は、集まったケルベロス達を見回して言った。
「ドリームイーターは……どうやら、ハロウィンパーティーの当日に一斉に動きだすようです。藤咲・うるる(サニーガール・e00086)さんの調査でわかった事ですが、ハロウィンのお祭りに対して劣等感を持っていた人から現れたドリームイーターのようです」
 セリカはそこで、真剣な表情になる。
「ハロウィンドリームイーターが現れるのは、世界で最も盛り上がるハロウィンパーティー会場……つまり、鎌倉のハロウィンパーティーの会場です。皆さんには、パーティーが開始する直前までに、ハロウィンドリームイーターを撃破して欲しいのです」

 状況の説明を、とセリカは続ける。
「今回現れるドリームイーターは1体。コウモリの仮装をしています」
 そして、パーティーが開始され次第、会場に乗り込んでくるという。
「ただし、パーティーの開始を判断するのはドリームイーター本人です。つまり、パーティ開始時刻よりも早く、あたかもパーティーが始まったかのように楽しそうに振る舞えば……ドリームイーターを早めに誘き出すことができます」
 パーティ開始前に会場へ入り、パーティ同様の盛り上がりを見せる。そうして現れたドリームイーターを撃破すれば、実際のパーティに被害が出ることはない……これがセリカの説明する作戦だった。
 パーティ開始前であるので、一般人の避難も格段にやりやすいだろうと言った。
「ドリームイーターは、モザイク状のお菓子を飛ばす麻痺攻撃、モザイク状のカボチャで武器を喰らって攻撃力を落とす攻撃、そしてモザイク状のお化けの幻影でこちらのトラウマを刺激してくる攻撃を使用してきます」
 攻撃力が高いのでその点については注意が必要でしょう、とセリカは言った。
「ハロウィンパーティーを楽しむためにも……是非、ドリームイーターの撃破を、よろしくお願いしますね」
 そう言ってセリカはぺこりと頭を下げた。


参加者
フィオリナ・ブレイブハート(インフェルノガーディアン・e00077)
不知火・梓(不惑に足がかかったおっさん・e00528)
ウツロギ・アークエネミー(一機夜行・e00901)
ディーク・ガルトナー(贋者・e02703)
四辻・樒(黒の背反・e03880)
月篠・灯音(犬好き・e04557)
スズナ・スエヒロ(ぎんいろきつねみこ・e09079)
マティアス・エルンスト(レプリカントの鎧装騎兵・e18301)

■リプレイ

●一足早く
 ケルベロスハロウィン開始時刻が段々と近づく中。日も落ちた公園に、8人のケルベロス達は集まった。
「じゃあ早速、ガンガン盛り上げていくとするか」
 フィオリナ・ブレイブハート(インフェルノガーディアン・e00077)はその中の周囲が見渡せる場所で、音楽をかけ始める。ハロウィン定番曲で、明るく踊れるものだ。
「じゃ、俺も向こうで別のを流すかね。……その格好、似合ってるじゃねえか」
 と、フィオリナを見るのは不知火・梓(不惑に足がかかったおっさん・e00528)。フィオリナの、ロングコートに剣を下げた……海賊船船長の仮装を眺めての事だった。
「そちらも中々いい感じじゃないか。ミイラの仮装か?」
「これか。こいつは、傷を塞いでるだけだがね」
 梓はフィオリナに答える。実際、梓は日課の稽古の傷の上に包帯を巻いているだけであった。でも、それもここでは立派な仮装だった。
 そして梓も、多少の距離を置いて音楽を流し始める。ただ、こちらはインストゥルメンタルで……曲のセンスは少々古かったけれど。
 梓はそのまま、煙草の代わりに長楊枝を銜え、時間を過ごす。刀を、握りつつ。
(「祭りの邪魔は許せない、っつー気持ちはあるんだが」)
 それよりも、強敵と戦えることを楽しみにしてしまうことが、不謹慎とわかっていてもおさめられなかった。
 梓は音楽を背景に、敵との戦いを思い描く。
(「ま、戦と祭り、両方楽しむとするかねぇ」)

「よかったら、一緒に踊ろうか」
 と、フィオリナが声をかけたのはスズナ・スエヒロ(ぎんいろきつねみこ・e09079)。
「はいっ!」
 スズナはぱっと笑むと、音楽に乗せて、踊り始めた。
 スズナは、ジャック・オー・ランタンに始まる、ハロウィンの雰囲気たっぷりのアクセサリーに彩られた格好をしている。それらの明かりが、踊りに合わせ楽しげに動き回るかのようだった。
「あっ、このきょくは知ってます!」
 歌えそうな曲が来れば、歌声を上げ……スズナはその優しい声音を辺りに響かせるのだった。
 と、そこに仮装の2人が合流する。
 蝶ネクタイに大きなシルクハットをかぶり、紳士然としているのは四辻・樒(黒の背反・e03880)。
 黒を基調にしたエプロンドレスで可憐な雰囲気を纏うのは月篠・灯音(犬好き・e04557)だ。
「2人も踊るのか?」
 フィオリナが聞くと、2人は頷く。
「せっかくだし、な」
 言って樒は、灯音を見つめた。
「うん」
 と、灯音も応じるように見つめ返し……2人は、仲むつまじげに、踊り始める。

 スズナがその途中、マティアス・エルンスト(レプリカントの鎧装騎兵・e18301)を見つけて……ととと、っと小走りに近づいた。
 とんがり帽に黒猫の飾りなど、こちらもハロウィンらしい格好をしたマティアスが……お菓子を配っていたからだ。
「お菓子をくれなきゃ、いたずらしちゃいます!」
「ようこそ。是非、持っていってくれ。これが、この祭りでの定番のやり取りなのだな」
 マティアスは籠から、クッキーなどのお菓子をスズナへと渡す。
 その間、自分自身、それを興味深そうにしていた。
「それにしてもハロウィンとやら、まずは見て人が何を楽しむのか、学ぼうと考えていたが……先に偽装ハロウィンをすることになるとは」
 しばし、自分の手を見つめるマティアス。
「これが『残念』という気持ちなのだろうか」
 ただそれは、一つ学んだ、というような冷静な態度でもあった。
「ほんものの前だけど、せっかくのおまつりです! にぎやかにいきましょうっ!」
 スズナがそう言えば……マティアスも、ふむ、と頷いていた。

●それぞれの
「そうですよォ~。盛り上がるだけで敵からやってくるなんて、いいじゃないですかァ~」
 と、マティアスへ語りかけるのはディーク・ガルトナー(贋者・e02703)。
 ディークはピエロの仮装で、大量のナイフをジャグリングしている。無論、そのナイフは本物だ。
 マティアスはディークを見て応える。
「その点についてはそうかもしれないな」
「でしょォ~。……さておき、トリック・オア・トリートメントォ~♪ お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃいますよォ~?」
 と、ディークもマティアスからお菓子を受け取った。トリートメント……というのは近所の子共達に吹き込まれた嘘の掛け声である。無論、本人は間違いに気付いていなかった。
 ディークがジャグリングを再開しつつ近づく先には、ウツロギ・アークエネミー(一機夜行・e00901)がいる。
 ウツロギは全身黒タイツという奇抜な格好に……ラッパや太鼓を身につけている。チンドン屋のように、ピーヒャラ、ドンドン、と独特の音色を奏でていた。
「やぁやぁ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。楽しい楽しい音楽隊だよー」
 言いながらも、ラッパを吹き、太鼓を叩き、賑やかだ。ハロウィンの中にあって和風のメロディは際立ち……公園の盛り上がりには、大いに寄与していた。
「いいですねェ~」
「はいさ、そっちも盛り上がってるかーい」
 どんどこと音を鳴らしながら、ウツロギはディークに向く。ディークはナイフを宙へ舞わす。
「それなりに、楽しんでいますよォ? 大きな音は出ませんがねェ」
「ならば、君も叩いてみるかい」
 ウツロギが太鼓を示すとディークは目を細めた。
「それもいいですがァ、俺はナイフが好きでしてねェ」
「なーるほど」
 ウツロギは見えない表情に笑った雰囲気だけを浮かべ、演奏に戻る。

 音楽の中で……樒と灯音はダンスを始めている。互いに手を取り、寄り添うようにして。
「一足先に着ることになってしまったな。だが……良く、似合ってる」
 樒は、可憐で艶やかな灯音の衣装に、目を細めて見とれるようにしていた。灯音は少し照れながらも、同じ感情を返す。
「樒だって、似合ってるとおもうよ。すごく、素敵」
「ああ。ありがとう」
 視線を間近で受けたあと、樒は見回す。
「それにしても、こんなところに乗り込むとは厄介な敵だ。祭りがおじゃんになっても面白くないし、きっちりと対処しないとな」
「だったら、もう少しいちゃつけば、敵を刺激できるかも?」
 言って、灯音がつまむのはキャンディ。それは、樒の口元へ。
「樒。あーん」
「ん」
 樒はそれを受けつつ、ダンスの中で灯音を抱き留めた。
「このあとのパーティでも、こうして踊りたいな」
「うん。わたしは、今も楽しいけど……でも、本番はもっと楽しみ」
 そうして2人はまた触れ合い、踊りを続けた。それは、甘い雰囲気に溶けていくような時間でもあったが……。
 その空気と、賑やかな様子、そしてケルベロス達の仮装姿に引き寄せられたように……モザイクの人影が、公園の外から現れていた。

●激突
「邪魔が入った……というよりは、予定通りというべきだな」
 その敵影……ドリームイーターに気付いた樒は、素速く辺りを見回す。灯音も一旦、握り合っていた手を離し、視線を巡らせた。
「大丈夫、人はいないよ」
 改めて場の安全を確認すると、スズナも声を上げる。
「こっちも、平気ですっ!」
「同じくですよォ。あとは……あれをいたぶるだけですねェ~」
 ディークは楽しげに言いつつ……敵へと、接近を開始する。
 その間も、ドリームイーターは公園内へ侵攻してきていたが……そこに1人の男が現れる。
 無駄にカッコいいポーズで立ちふさがる、ウツロギだ。
「そう、敵が現れてからが本番……というわけで。パーティーの始まりでごぜーやす!」
「パーティー……パーティー、ウラヤマシ……!」
 ドリームイーターは、ウツロギの言葉に反応するように……速い動きで突っ込んできた。
 だが、その体を、飛んできた御業が鷲掴みにする。フィオリナによる禁縄禁縛呪だ。
「はいはい、一緒にハロウィンパーティを楽しみましょう」
 フィオリナは御業でドリームイーターを締め上げていく。
「ゥ……!」
 予想外の攻撃に驚くドリームイーター。だが藻掻いて逃れると、遠距離を狙ってモザイクのお菓子を投げてきた。
 が、ウツロギが、身を挺してそれを受ける。
「でぃーふぇんす! っと。残念でしたー!」
 ウツロギは同時に反撃。降魔の一撃を腹に打ち込んだ。
 ドリームイーターは慌てて方向を変えるが……そこに回り込んだのが、梓。
「まぁ、そう慌てなさんな。お前ぇさんは俺ぁの敵。俺ぁもお前ぇさんの敵」
 刀に雷の霊力を帯びさせる梓は……纏う雰囲気が、鋭いものに変わっている。
「だから、心行くまで、戦うとしようやぁ」
 そのまま、雷刃突。強烈な一刀を、胸部にたたき込んだ。
 悲鳴を上げて退くドリームイーターだが……その間近に、機械的な稼働音が迫っていた。
 スパイラルアームを駆動させる、マティアス。
「標的は補足した。素速く、この敵の排除に移るとしよう」
 マティアスは、脇腹めがけ、アームを直撃させる。
 衝撃にバランスを崩すドリームイーター。その目の前には、ディークが立っている。
 舌なめずりするような、どこか猟奇的な目で。
「それはもちろんですがァ……待った分は、楽しませて頂きたいですねェ~」
 言いながら、ドリームイーターを掴んで、引き寄せる。
「というわけでェ、先ずはこれでもどうですかァ~?」
 螺旋掌を打ち当てると、内部からのダメージがドリームイーターを襲う。
 そこへ、駆けつけた樒が跳躍。上段から雷刃突で強襲した。体を貫かれ、転げるドリームイーターを、樒は見下ろす。
「悪いが、死んでもらうぞ。このあとに、やることがあるからな」
「そうだよ。本番は、邪魔なんてさせないからね!」
 灯音もライトニングウォールを展開し……前衛の防備を高めると共に、治癒していく。
 ドリームイーターはそれでも、すぐに立ち上がる。仮装の羽をぱたぱたと動かしながら、再度接近を試みてきた。
「パーティー……タノシム……オレモ……!」
「敵も、おまつり気分ですね……もちろん、とめますけどっ!」
 弓を引き絞っているのは、スズナ。妖精の加護を宿した矢を撃ち、肩を穿った。
 同時に、スズナのサーヴァント、ミミックのサイが武装を具現化。矢の刺さった肩をさらに切り裂いていく。
「サイ、すごい……って、わぁ!」
 そこでスズナが驚く。反撃で撃ち出されたカボチャが、サイの武装をがじがじと囓っていた。
「こら、かぼちゃさん! それはたべものじゃないです!」
「本体を殴った方が早いか」
 フィオリナは即断すると、愛用の二本の剣で、ドリームイーターへ十字の斬撃を喰らわせる。
「そいやー!」
 と、同時にウツロギも旋刃脚を打ち込んで、その体を吹っ飛ばすと……カボチャも霧散した。

●祭りへ
 ドリームイーターは怯みながらも、お菓子を生んで撃ち出そうとするが……その前に、梓が飛び込み、切り結んでいる。
 うめくドリームイーターを、梓は間近で見据えた。
「俺の得物は鈍らだ。斬れ味はイマイチだが、その分痛ぇぞ」
 そのまま、至近で斬霊斬を袈裟懸けに喰らわせる。
 ドリームイーターは次の行動に移れないままに、マティアスの飛び蹴りのターゲットとなる。
 その狙いは、無慈悲なまでに正確。スターゲイザーが顔面を砕くような衝撃を与えた。マティアスは着地と共に冷静に見下ろす。
「敵も、動きが鈍くなっているようだ」
「苦戦しているということですねェ~。なら、これでさらに苦しませて差し上げましょう」
 ディークも、隙を作らずに黒影弾。毒で体を蝕んでいった。
 たたらを踏むドリームイーターを、樒が絶空斬で抉っていけば……灯音はその間に、周囲に白い霧を降ろしていく。
「……降り立て、白癒」
 それによって前衛の傷が癒えていくと……スズナも、気力溜めをサイに施す。
「サイっ! いまなおすよっ!」
 それで、サイの傷はほぼ完治されていった。
 だが、ドリームイーターは生まれた一瞬の間隙を逃さない。今度こそはと後衛にお菓子を投げつけてくるが……。
「灯、右だ」
 樒が促すと同時、灯音はとっさに飛び退く。すんでのところでお菓子を躱し……灯音はダメージを免れた。
「ありがと。樒」
 灯音と樒は、そうして一瞬視線を交わし、頷き合った。
「さて、そろそろ弱ってきた頃か」
 フィオリナが熾炎業炎砲を放出すると、ドリームイーターは、まだまだ、とばかり前進するが……ウツロギが、死角から貫手を向けていた。
「抵抗しているところ誠に申し訳ありませんが、これからアナタをぶすっと刺しちゃいます。あと尻フェチです」
 謎のフェチ情報を含んだ一撃……『ウツロギから放たれしは美しく研ぎ澄まされた破壊』に、ドリームイーターは再び倒れ込んだ。
 それでもなお、苦し紛れにお菓子を放るが……フィオリナは、軽く回避。
「こんなお菓子の攻撃など、大したことない。私の手作りのお菓子ならこんなものではすまないからな」
 とはいえ、フィオリナの暗黒物質率の高い料理を食さなくても、ドリームイーターは既に瀕死だ。
 ただ、それでも這って、進んでくる。
「モット、パーティー……!」
「そこまで羨ましいですかァ~? 1人も気楽で自由ですよォ~?」
 ディークは言いながらも、雷刃突で表皮を切り裂いていく。苦悶するその様子を見ると、楽しげに笑う。
「さァさ、後は皆さんどうぞ~」
 そして、自分は十分楽しんだ、というように下がるのだった。
 最後に敵の前に立ったのは梓、そしてマティアス。
「未完の技だが、威力は保証するぜ。苦しむ間もねぇから安心して成仏しろ」
 梓は正中に構えると、斬撃と同時に剣気を飛ばす。
 試製・桜霞一閃。避けられやすいために試製の域を出ないが、命中すれば、その剣気は……心臓で絶大な威力となって解放される。
「ゥガァッ……!」
 マティアスは同時に、Befehl "Breitschwert"を行使。場に無数の大剣を出現させ……プログラムによる正確な斬撃を集中させる。
 ドリームイーターは内と外から破壊的なダメージを受け……そのまま消滅した。
「……相手を見て喧嘩を売る事だ」
 マティアスは、小さく呟いた。

 戦闘後。フィオリナやマティアス、灯音のヒールによって、公園は元通りとなった。
 平和な夜の中……祭り本番は、すぐそこだ。
「あとで、ドリームイーターのひがいしゃさんにも、お見舞いにいきましょうねっ」
 スズナが言うと、皆も頷く。
「さてっと、樒。それでは本番といきましょうか」
「ん、そうだな」
 灯音の言葉に、樒は手をつないで……灯音をエスコートしはじめる。
 のんびりとした雰囲気に戻った梓は、辺りを見回した。
「さて、これからだなぁ。……ところで、ハロウィンつーのぁ、何の祭りなんだぃ?」
「まずは、見ればいいのさ。……では改めて、ケルベロスハロウィン開始だな!」
 そしてフィオリナは、宣言するように言った。
 今宵は、世界で一番盛り上がるハロウィンパーティー。
 人が集まり、賑やかさが増してくる中を……皆も、歩き出した。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年10月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 7
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