濁流の花

作者:崎田航輝

 野紺菊の咲く渓流に、そのモザイクの空間はあった。
 山中の、公園にほど近い川の傍。今では人通りも多くないが、風光明媚な散歩道であるはずの場所であった。
「まあ、もしかしてこれがワイルドスペースですの?」
 少し驚くように見上げているのは、シア・ベクルクス(花虎の尾・e10131)。
 ふと導かれたように、散歩がてらの調査にやってきたのだが、その予感は的中してしまった。
「中がどうなっているかはわかりません、けれど……」
 シアは、短い時間立ち止まる。しかしすぐに意を決したように、その歪曲空間、ワイルドスペースへと踏み込んだ。
 中は、景色がばらばらに混ぜられたような眺めだ。川の流れも、花も、全てが散逸している。
 シアはそれらを見回しながら歩く。
 だが歩を進めながら、既に何かの気配を感じ取ったようでもあった。
 そしてその予感にも違いなく。すぐにそれは現れた。
「──ここを発見するなんて。あなたはこの姿に因縁のあるものなの?」
 シアの目の前に1人の人影が立っていた。
 緑の髪に、冠のような花。似ているがどこか違う、しかし確かに自分自身の姿であることも分かる。
 それはシアが暴走したかのような姿をしていた。
「私の姿で現れるなんて。話は本当でしたのね」
「──わたしは何の秘密も、持ち帰らせない。悪いけれど。あなたには死んでもらうわ」
 シアの姿をしたその敵・ワイルドハントは、殺意のもとに羽ばたいてくる。
 シアは、目を伏せてから、開く。そして戦いの構えを取った。
「私はここで倒れるわけには、いきませんの」

「集まっていただいて、ありがとうございます」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は、集まったケルベロス達を、見回していた。
 その言葉は少し急いているようでもある。
「本日は、ワイルドハントについての事件です。調査をしていたシア・ベクルクスさんが、渓流で襲撃を受けたみたいなんです」
 ワイルドハントは周辺をモザイクで覆って、内部で何かの作戦を行っていたようだ。
 そこへ踏み込んだシアへ、攻撃を仕掛けたということらしい。
「こちらも、フォローの用意はしてあります。今からならば素早く救援に向かえるので、急ぎ現場へ向かい、シアさんに加勢して敵を撃破して下さい」

 作戦詳細を、とイマジネイターは続ける。
「敵は、ドリームイーター1体。現場は渓流です」
 モザイクに覆われ、奇妙な空間となっている場所だ。全体が謎の粘液に満たされているようでもあるが、移動や戦闘に支障はないという。
 道中、戦闘を邪魔してくるものもいないはずなので、急行して即、戦闘を行ってくださいと言った。
「シアさんは戦闘に入っています。こちらもすぐに到着できるはずですが、敵に先手を取られている可能性もあるでしょう」
 合流までに若干のタイムラグがある可能性を念頭に置いておくと良いかもしれません、と言った。
 それでは敵の能力を、とイマジネイターは続ける。
「シアさんが暴走をしたような姿をしているようですが、別人であり使う力も異なるようです」
 能力としては、刀の斬撃による近単捕縛攻撃、魔弾による遠単氷攻撃、濁った雨を降らす遠列ジグザグ攻撃の3つ。
 各能力に気をつけてください、と言った。
「ワイルドハントについてはまだ謎も多いですが……まずは救出と撃破を優先に、頑張ってきてくださいね」
 イマジネイターはそう言葉を結んだ。


参加者
吉杜・有司(音響拳士・e00240)
カタリーナ・ラーズグリーズ(偽りの機械人形・e00366)
弘前・仁王(魂のざわめき・e02120)
鏡月・空(藻塩の如く・e04902)
円谷・円(デッドリバイバル・e07301)
シア・ベクルクス(花虎の尾・e10131)
工藤・千寛(御旗の下に・e24608)
鮫洲・紗羅沙(ふわふわ銀狐巫女さん・e40779)

■リプレイ

●接敵
 自然の景色も歪んで見える空間に、ケルベロス達は突入して来ていた。
「ここがワイルドスペースですか」
 鏡月・空(藻塩の如く・e04902)は奇怪な光景に視線を走らせつつ、呟いている。
「こんな場所に潜んだ上……ワイルドハンドは何故、ケルベロスの暴走した姿をとっているのでしょうね?」
「そのあたりの手がかりも、手に入れられればいいですが──」
 弘前・仁王(魂のざわめき・e02120)は応えつつ、空間の中を見回している。
 探すのは、ひとりの仲間の姿だ。
「──まずは、救出を急がねばなりませんね」
「そうですねー。私も、妹の大切なお友達だと聞き及んでいますから。お怪我のないように、一緒に帰りたいです」
 声を継ぐのは、鮫洲・紗羅沙(ふわふわ銀狐巫女さん・e40779)。どこかゆるりとした口調ながら、一刻も早く合流を、という思いに変わりはなかった。
 と、そこで、工藤・千寛(御旗の下に・e24608)が遠くの方へ視線をやった。
「皆さん、聞こえましたか。衝撃音です」
 皆も頷く。響いていたのは、グラビティの弾ける、剣戟音だった。
 飛んで遠方を確認した千寛は、すぐに速度を上げてそちらへ向かい始める。
「あちらに影が、見えました。シアさんが危険です。急ぎましょう」
 それに続き、皆も疾駆。
 それから程なくして、対峙している2つの人影が見えてきたのだった。
 円谷・円(デッドリバイバル・e07301)はそれを視界に収め、呟く。
「同じ顔の自分じゃない相手がいるって、なんだかちょっと不気味だけど。どんな気分なんだろう?」
「それはやっぱり、本人じゃないとわからないのかもね」
 カタリーナ・ラーズグリーズ(偽りの機械人形・e00366)は、のんびりしたような声音で返していた。
 だが、戦闘に向かうその瞳は、冷静で、そして冷徹なもの。
「今はとにかく、行こうか」
「ああ」
 頷く吉杜・有司(音響拳士・e00240)は静かに、拳を少しだけ握っている。
「……贈ったお守りが、少しでも力になっていればいいが」
 そして、戦地の友人へと、全力で駆けつけてゆく。

 シア・ベクルクス(花虎の尾・e10131)が目の前にしているのは、確かに自分の姿だった。
 似ているようで違う、含羞草の花と、翼代わりの三対の葉。
 シアは語りかけるように口を開く。
「御機嫌よう。或いはなり得たかも知れない私──。古い隣人の様にずっと私のそばに居たのだって分かるわ」
「……随分と余裕のある物言いね」
 その存在、ワイルドハントはしかし、そう言って敵意を見せるだけだった。
 直後には魔弾を放ち、シアの腕を穿ってくる。
「あなたより、わたしの方が強いのよ」
「勿論、そうでしょう」
 シアは自分の気を高めて自己回復する。
 応えたその言葉は嘘ではなく。このままでは勝てないことも理解していた。
 それでもシアは静かに、窮地こそ微笑みは絶やさず、その赤い瞳を見つめる。
 手に抱いているのは、玉簾と雪晃木が描かれた、お守りだ。
「そちらには行けないわ。きっと来て下さるって、信じているの」
「……何を言っているかわからないわね」
 ワイルドハントは眉をひそめながらも近づく。そして一気に体力を刈り取ろうと、刀を振り上げた。
 と、その時だ。
 旋風のような衝撃が奔ると、その刀が弾き飛ばされる。
 疾駆してきた有司が、素早く割り入って回し蹴りを放っていたのだ。
「待たせたな。大丈夫か」
「……吉杜さん!」
 シアが声を上げると、直後に千寛も、高空から飛来。滑空するように、ワイルドハントへ飛び蹴りを打つ。
 宙で体勢を直そうとするワイルドハント。
 だがそこへ、白光の鎗を握るカタリーナが疾走。一気に間合いを詰め、強烈な刺突を叩き込んで、後退させていた。
 その間に、仁王が駆けつけて、グラビティを強固なオーラ状にして展開している。
「今、回復を。この身に宿るは、戦場の力──!」
 広がった輝きが、シアを含む周囲を覆い、治癒とともに防護効果も付与していった。
 円も追いついて回復。ミスト、が理想的ではあったが祝福の矢で代用し、シアの傷を癒した。
「シア、平気?」
「ええ。皆さんのお陰で。ありがとうございます、ね」
 信じていたけれど、やっぱり凄く嬉しい。
 その思いを込めるように、シアは皆に笑いかけていた。
 さらに紗羅沙も、銀狐巫女の秘術【護摩符海豹式神】を行使。アザラシを模した式神に耐魔の力を付与させて、シアの状態を万全に持ち直している。
「これで、心配いらないです~。後は、敵を倒すのみですねー?」
「そうだね」
 と、カタリーナも応えながら、ワイルドハントを見据えていた。
「こんにちは、初めまして。そして――さようならの準備はいいかな、偽物さん」
「……そう。そのケルベロスを助けに来たのね」
 ワイルドハントは状況を理解したように頷く。すると敵意を滲ませ、羽ばたいてきた。
「けれど簡単に殺せると思わないことね」
「そちらこそ。思い通りになるとは、思わないことです」
 と、そこへ高く、空が跳躍していた。
 敵が攻撃態勢に入るより早く距離を詰めた空は、一撃。宙で回転して、痛烈な飛び蹴りを喰らわせた。

●剣戟
 ワイルドハントは地面へと降下し、不時着していた。
 それでもすぐに体勢を直し、宙からこちらを見下ろす体勢を取る。
 千寛はその高度に並ぶようにして、間合いを取った位置でその姿を見つめていた。
「見た目はシアさんそのもの。けれど確実に違う……確かに、偽物という表現はふさわしいかもしれないですね」
「そうやって、似たような顔になる人ばかりが狙われるのは何か理由があるのかな?」
 円は、ワイルドハントへ問いかけるように口を開く。
「そこのところどうなの、シアのニセモノさん!」
「偽物、というのは不愉快だけれど。わたしは殺す相手にわざわざ情報を話したりしないわ」
 ワイルドハントは、酷薄な笑みで応えるだけだった。
 有司はしかし、怯むでもなく見上げる。
「ならばこちらも、やることは変わらないな。シアを危険な目に遭わせたのなら、むしろ躊躇いなく、やれる」
「……やれるものならね」
 ワイルドハントは戦意とともに、接近してくる。
 だが、そこへカタリーナが、疾風の如き速度で走り込んでいた。
「言われなくてもそのつもりだよ。目の前の敵を倒せばいいのなら、元々わたしには、得意な仕事だからね」
 瞬間、カタリーナは槍に稲妻を落とし、明滅する雷光を纏わせる。弾けるような衝撃とともに刺突を繰り出すと、その一撃で敵の葉の一枚に穴を開けた。
 ワイルドハントが高度を落とすと、その間隙に、空が地を蹴って肉迫している。
「もう一度、地に落としてあげましょう」
 瞬間、大槌・ボルケーノバスターを噴射させ、上段から殴り下ろすような一撃。剛烈な威力で、ワイルドハントを下方に飛ばした。
「続けて攻撃を!」
「ええ」
 と、応えるのはシア。すらりと手を差し向けると、氷片の渦を伴う魔弾を生成していた。
「先程の魔弾、貴方に返して差し上げましょう」
 直後、それを豪速で撃ち出し、直撃させる。それが葉の一部を凍結させ、砕ききった。
 たたらを踏むワイルドハント。それでも反撃に、カタリーナへと剣撃を繰り出してくる。
 が、その一撃は仁王が滑り込み、庇いきっていた。
「頼みますよ」
 直後、飛び立つのは仁王の相棒であるボクスドラゴン。
 至近からワイルドハントへブレスを浴びせ、傷を刻むと、仁王自身は攻性植物から金色の光を発現し、一層の防備を固めていた。
「私も、回復しますねー」
 次いで、紗羅沙は気を治癒の力へと変換し、光の塊を生み出している。
 空気のゆらぎでもふもふとした尻尾や耳を揺らしながら、その光を仁王へ投擲。治癒の力で包み、傷を大幅に癒やしていた。
「かなり、治りましたかね~」
「じゃあ、これで全部回復させるよ」
 と、円も治癒の矢を放って、仁王の浅い傷を完治させる。間を置かず、ウイングキャットの蓬莱にも指示を出していた。
「今のうちに、攻撃を頼むよ」
 蓬莱は、不承不承という空気を作りつつも、にゃごっと鳴いて引っ掻き攻撃。
 再び空へ逃げるワイルドハントだが、有司がグラビティを収束しつつ狙いをつけていた。
「サポートする。勝手に合わせるので、即席連携だが上手くやってくれ」
「わかりました」
 それに、千寛が応えて空へ飛ぶ。
 直後、千寛が魔法の光を生み出した所で、有司は集めたグラビティを拡散。敵の動きを止めるように爆撃を当てた。
 ほぼ同時に、千寛の放った光線も命中。体を硬化させ、三度、敵を地につかせた。

●意志
 ワイルドハントは血を滴らせ、傷を押さえている。
 微かに余裕を失った様子ながら、薄く笑んで見せていた。
「……全く、容赦ないのね」
「当然ですわ」
 シアは日本刀・野紺菊を抜き、構える。
「ここで倒れるわけにはいきませんから。そして、助けに来てくれた皆さんを、守らなければなりませんから」
 その一刀は、師匠から譲りうけた『守護』の花言葉を持つ刀。
 それを体現するように、シアは低空を駆け、高速で連続斬撃を刻んでいく。
「く……!」
 後方へ煽られるワイルドハント。そこへ仁王も駆け込んでいた。
「こちらも、連携して行きましょう」
「分かりました。俺はこちらに」
 声を返して、空も逆側に疾駆している。
 そのタイミングで、仁王は敵へ追いつき、回し蹴り。吹っ飛ばされたワイルドハントを、空は『業滅覇龍撃』で迎え撃った。
「慈悲はありませんよ」
 放たれるのは、神速の蹴りの嵐だ。
 ワイルドハントを打ち上げるように蹴り飛ばすと、高速でその方向へ移動し、別方向へ蹴撃する。最後に蒼い龍のオーラ纏った踵落としで、下方へ撃ち落としていた。
 地に手をつくワイルドハント。だが、起き上がりながら、濁る雨を降らせて前衛に広くダメージを与えてきた。
 しかしそこに、しゃん、と鈴の音が響く。
 紗羅沙が装束をたなびかせ、黄金の光を周囲に広げていたのだ。
「銀狐の巫女として。歪みも穢れも、全て浄化させてもらいますね~」
 ふわふわした声音ながら、その治癒力は強く。前衛の皆を清浄に保っていく。
 円も緊急措置として、オウガメタルから銀の粒子を展開。回復できる傷の全てを消し去っていた。
「ちょっと予定と違う……けど。回復はできたから。後はお願い」
「ええ」
 呼応するように、飛翔するのは千寛。上方からワイルドハントに迫ると、槍の旗をなびかせながら、その矛先を振り下ろす。
「我々に加護を!」
 言葉とともに、槍は敵の葉に突き刺さった。同時、千寛は体を翻して、敵の本体に回し蹴り。千切るように、槍で刺した葉の一枚を奪った。
「これで、当てやすくなるな」
 機動力の落ちたワイルドハントへ、有司は間断を作らずに接近。そのまま突き蹴りを直撃させ、まっすぐに吹っ飛ばした。
「まだ、だ……!」
 ワイルドハントは、持ち堪えるように、地を滑って踏みとどまる。
 が、そこへカタリーナが追いすがり、槍から目も眩むほどの白光を生み出していた。
「遅いよ」
「く……!」
「避けるつもり? なら避けてみなよ。出来るならね」
 その視線は、兵器時代と変わらぬほどに、冷たく。体をずらそうとするワイルドハントへさらに肉迫し、『闇夜を裂く白光の鎗』を繰り出していた。
 それは、流星の如き軌跡を描きながらの突き攻撃。その熾烈な一撃で、敵の腹部を鋭く貫いていった。

●決着
 歪む川に、花弁と血滴が流れる。
 清流の欠片に倒れ込んでいたワイルドハントは、それでもゆらりと、起き上がっていた。
「……まだよ。死ななければ、終わりじゃない」
「ならば、終わるまでやるだけですよ」
 仁王は言葉を返すように、手を伸ばしてグラビティを集中。大気の裂けるような爆破攻撃を見舞い、ワイルドハントを前方に吹き飛ばす。
 そこへ、空は踏み込んでボルケーノバスターで殴打。薙ぐように横方向へ煽った。
「このままたたみかけて行きましょう」
「了解だよ」
 応えるカタリーナも、疾駆して肉迫している。
 ワイルドハントも立ち直り刀を振るってくるが、カタリーナは猫のような動きで、ふわりと舞って寄せ付けない。そのまま横合いを取ると、刺突で腕部を刺し貫いた。
 血を散らすワイルドハントは、距離を取って魔弾で反撃。だが、その攻撃はシアが立ちはだかるようにして受け止めていた。
「通しませんよ」
「ちょっと待っててくださいねー。今、この可愛い式神で治療しますから」
 と、直後には紗羅沙が再び、護摩符を式神化したアザラシを顕現。もきゅもきゅと鳴かせて傷を癒していく。
 円も祝福の矢を放ち、シアを最後まで万全に保つ。それから皆を見回した。
「みんな、シアのサポートを。蓬莱もね」
 それに、蓬莱が応えるようにリング攻撃を打ち当てる。
 同時に有司は、『封印術・紫』を行使していた。
「誇りの剣よ、仇なす敵を映し出せ。因果は巡る、封印術・紫!」
 瞬間、ワイルドハントの映った氷の剣を鞘に収めると、力を封じるように動きを捕縛する。
 呻くワイルドハントへ、千寛は『竜殺しの英雄』。両刃の聖剣を召喚すると、英雄の力を体に下ろし、一閃。敵の翼となる葉を全て切り落とした。
「今です、シアさん!」
「ええ」
 静かに応えたシアは、『吟花』を紡いでいた。
「これが、別れの吟となるでしょう」
 歌が響き渡ると、ワイルドハントの足元から、勿忘草が生い茂る。
 それが一斉に絡みついていくと、まるで花弁を散らしていくように、ワイルドハントを霧散させていった。

 シアは、敵が散った跡を見下ろす。
「貴方が消えても、貴方はまだ私の内にあるのね、きっと」
 もう一つの自分の姿。それを想起するように、そっと呟いていた。
 それから、皆に振り向く。
「皆さん、本当に有難う御座いました! 助かりましたわ」
 心から言って、シアは笑みを浮かべていた。
 有司も少しばかり安堵を浮かべたように頷く。
「とにかく、無事でよかった」
「ええ、これで妹にも良い報告ができますねー」
 紗羅沙もふわふわとした笑顔で、言っているのだった。
 円は周囲を見回す。
「出来るうちに、探索しておこうか」
 それに皆は頷き、しばし手がかりを求めた。
 それでもやはり、そこにあるのはモザイクの残骸ばかり。それもそのうちに消えて行き、周囲は元の風景に戻っていくだけだった。
「探索はここまでのようですね」
 仁王が言うと、皆も調査はそこまでとすることにした。
「敵を撃破出来たことを、まずは喜びましょう」
 千寛の言葉に、空も頷いて、歩き出す。
「では、帰還しましょうか」
 それを機に、皆も歩を進めだした。
「作戦はひとまず、終わりだね。お腹すいた……」
 カタリーナはのんびりとした空気に戻りつつ、呟きながら山を降りていく。
 皆も、平和の戻った清流を背に、帰路へ。それぞれに、帰る場所へと去っていった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年10月17日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 8
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