目の前にある風景は、モザイクに覆われていた。
本来ならば、そこにあるのは廃墟。廃屋や、今では子供の遊び場になっている手入れのされていない野原が見えるはずだった。
「これがワイルドスペースか。成る程、たしかに奇怪だな」
冷静な面持ちでそれを眺めるのは、大神・凛(ちねり剣客・e01645)。
相棒のライドキャリバー、ライトとともに、ふと思い立って調査に訪れたのだが、その予感は当たっていた。
「おそらく中には、敵もいるかもしれないな……ならば、尚更」
背を向けて帰る訳にはいかない。と、凛はその空間、ワイルドスペースへと入り込んだ。
そこは、建物も草木も、全てが混ぜ合わされたような風景だ。
方向すら判然としない中、しかし凛は確かに、すたりと歩いてくるその影を見逃さなかった。
「キミは……」
「──ここを発見する者がいるとはな。この姿に因縁のある者、なのか」
そう言って、目の前に現れた者。
それは不思議なほど、凛と似ていた。真っ白な髪、角や翼。そして二刀を携えた剣客であることも。
「……私の姿か。間違えようもない」
「──秘密を漏らすわけにはいかないのでな。悪いが、貴様には死んでもらおうか」
凛の姿をしたドリームイーター・ワイルドハントは、問答無用とばかり、刀を構える。
凛もまた、二刀を手に取るしかなかった。
「さて、どこまで耐えられるか。ライト、行くぞ!」
「集まっていただいて、ありがとうございます」
イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は、集まったケルベロス達を、見回していた。
その言葉は少し急いているようでもある。
「本日は、ワイルドハントについての事件です。調査をしていた大神・凛さんが、廃墟で襲撃を受けたみたいなんです」
ワイルドハントは廃墟一帯をモザイクで覆って、内部で何かの作戦を行っていたようだ。
そこへ踏み込んだ凛へ、攻撃を仕掛けたということらしい。
「こちらも、フォローの用意はしてあります。今からならば素早く救援に向かえるので、急ぎ現場へ向かい、凛さんに加勢して敵を撃破して下さい」
作戦詳細を、とイマジネイターは続ける。
「敵は、ドリームイーター1体。現場は廃墟です」
モザイクに覆われ、奇妙な空間となっている場所だ。謎の粘液に満たされているようでもあるが、移動や戦闘に支障はないという。
道中、戦闘を邪魔してくるものもいない。急行して即、戦闘を行ってくださいと言った。
「凛さんは戦闘に入っています。こちらもすぐに到着できるはずですが、敵に先手を取られている可能性もあるでしょう」
合流までに若干のタイムラグがある可能性を念頭に置いておくと良いかもしれません、と言った。
それでは敵の能力を、とイマジネイターは続ける。
「凛さんが暴走をしたような姿をしているようですが、別人であり能力も異なるようです。この敵は、刀を使ってきます」
能力としては、斬撃による近単毒攻撃、剣圧による遠単追撃攻撃、衝撃波による近列催眠攻撃の3つ。
各能力に気をつけてください、と言った。
「ワイルドハントについてはまだ謎も多いですが……まずは救出と撃破を優先に、頑張ってきてくださいね」
イマジネイターはそう言葉を結んだ。
参加者 | |
---|---|
カタリーナ・ラーズグリーズ(偽りの機械人形・e00366) |
大神・凛(ちねり剣客・e01645) |
月島・レン(夢想召喚士見習い・e03461) |
クーゼ・ヴァリアス(竜狩り・e08881) |
ルフィリア・クレセント(月華之雫・e36045) |
雑賀・真也(不滅の守護者・e36613) |
一比古・アヤメ(信じる者の幸福・e36948) |
フェルディス・プローレット(沈着冷静な暴走聖職者・e39720) |
●突入
ワイルドスペースに入ったケルベロス達は、仲間の影を求め捜索していた。
「しかし、この空間にどの様な事を隠しているのでしょうね」
ルフィリア・クレセント(月華之雫・e36045)は歪む景色を眺め、言葉を零す。ワイルドスペースには数度訪れているルフィリアだが、未だ判明したことは少ない。
「ゲートがあるという事も無いでしょうが。それに次いで、大事な物なのですかね?」
「何より、仲間のそっくりさんになる者がいる、なんてのが不思議だよね」
見回しながら、フェルディス・プローレット(沈着冷静な暴走聖職者・e39720)も応えている。
「それを相手にするのはもっと奇妙な感覚だね。ま、勿論遠慮なく倒しちゃうつもりだけど」
ヘラヘラと笑うフェルディス。だが、その内心は既に戦闘、そして自分が行うべきことへと向いている。
ルフィリアも頷いた。
「今はとにかく、合流ですね」
視線を向けるその先。遠くから、剣戟の音が聞こえてきていた。
皆も頷き、そちらへ急行する。
戦闘音が近づくと、それは徐々に激しさを増してきた。そしてそれが、二者の人影から成っていることも、段々と見えてくる。
「ったく、なんであいつは一人で突入してんだよ……まあいつものことだけどさ……」
月島・レン(夢想召喚士見習い・e03461)は疾駆しながら、歯噛みする。そこにいるのが幼馴染ならば、尚更気は急いた。
「……とにかく、言いたいことは帰ってからだ! 急ぐぞ!」
「うん。間に合ってくれよ──!」
クーゼ・ヴァリアス(竜狩り・e08881)も視線を真っ直ぐに、口を開く。
体は熱く、心はクールにとは、行かずとも。誰よりも先行して、今は仲間の元へ、全速力で駆けつけていった。
「さて、自分と戦えることなど、中々ない事だな」
大神・凛(ちねり剣客・e01645)は、ワイルドハントと対峙していた。
その姿は、凛そのもの。
構える二刀すら、凛の持つ斬霊刀・白楼丸、そして黒楼丸の鏡写しだった。
「──ならばその自分の姿に、殺されるがよい」
ワイルドハントはそれだけ言うと、即座に刀を振ってきていた。
凛もまた、それを二刀で受け、暫し鍔迫り合う。
「やられるつもりはない。ライト! 気合を入れていくぞ!」
凛が怯まず声を張れば、ライドキャリバーのライトは駆動音を上げ、ワイルドハントに突撃。
その間に凛は裂帛の気合いで、剣戟の余波による傷を吹き飛ばし、再度打ち合った。
「流石に一筋縄ではいかないか……!」
凛は数度斬撃を打った。が、敵の負傷は浅く、逆に相手の剣撃は強烈で、体力を削られた。
後退した凛に、ワイルドハントは刀を突きつける。
「ここで死ぬがいい」
そして刃を振り上げた、その時だった。
その一刀が、横からの衝撃に弾き飛ばされる。
風の如く飛翔してきたクーゼが、斬霊刀・宵月 -離天-を振るっていたのだ。
「待たせたな! 大神!」
「……クーゼ!」
凛が目を見開くと、さらに敵へ、地形から反射した跳弾の連射が襲いかかる。
走りながら銃を向けていた、フェルディスの攻撃だ。
「私も助けに来ましたよ! さぁ敵を速やかに排除してみんなで帰りましょう!」
「ちょっと、じっとしててね。傷はボクが癒やすから!」
次いで、凛に駆け寄っていたのは一比古・アヤメ(信じる者の幸福・e36948)。
凛の負傷に手を当てると、紫紺の淡いオーラを形成。瞬く間に、その裂傷と毒を治癒していた。
「これでひとまずは平気なはずだよ」
「ああ、すまない……!」
凛が応えると、ワイルドハントも遅れて刀を握り直している。
だがそこへ、氷の矢が降りかかった。高い跳躍から、弓を向けていた雑賀・真也(不滅の守護者・e36613)の攻撃だ。
異空間から召喚した矢による射撃は、ワイルドハントに直撃し、手元を凍らせる。
そこへルフィリアも到着。ワイルドハントに強烈な飛び蹴りをかまし、数メートル後退させていた。
「救援、到着しました。遅れてはいないですよね?」
「ああ、勿論だ!」
「よし。こちらの竜姫様はご無事だったようだな」
応えた凛へ、着地した真也もそんなふうに言っていた。
「皆、来てくれたんだな! 感謝するぞ」
凛は改めて皆を見回し、心強さを表情に滲ませて言っていた。
「おーい凛、まだ無事かー?」
と、そこに、レンも駆け込み、御業を解放。ワイルドハントに炎弾を撃ちながら、凛に走り寄っていた。
「レン! キミも来たのか! だが無理するなよ?」
「わかってるよ。でも倒すやつは倒さないとな」
レンは言って、敵を見据えていた。
カタリーナ・ラーズグリーズ(偽りの機械人形・e00366)もまた、凛の姿をしたそれに、まっすぐに向く。
「こんにちは──あぁ、それ以前に初めまして、がいいかな。偽物さん」
「……偽物とは言ってくれる」
目を細めたワイルドハント。
真也は魔剣を手に取り、左手に構えた。
「偽者の竜姫様はお怒りのようだ。これは収めるのに骨が折れそうだな」
「……さて、本日のご注文は?」
クーゼがどこか芝居がかったように凛に言えば、凛は刀を敵へ突きつけた。
「サーチアンドデストロイ! 見敵必殺だ!」
「OK、お嬢さん。肉の一片も残らず惨殺しろと、そう仰るのですね。──では、不肖このクーゼ、目的のために邁進すると致しましょう」
瞬間、クーゼはワイルドハントへ斬りかかる。
斬撃をいなそうとするワイルドハント、だが、そこへカタリーナも肉迫していた。
「遅いな」
刹那、カタリーナは白光の鎗を輝かせ、刺突。ワイルドハントの脚装を粉々に粉砕した。
●剣戟
ワイルドハントは一度後退し、刀を構え直していた。
レンは、その立ち姿を改めて眺める。
「本当にそっくりだな……まさか、凛の偽物が現れるとは」
「見た目だけならば、確かに瓜二つ。自分でも多少は不思議な気分だな」
凛も言う。実際、紛れもなく凛の暴走姿なのだから奇妙ではあった。
ワイルドハントは一歩一歩と、近づいてくる。
「詮索をしても無駄だぞ。敵に余計な情報は漏らさぬ」
「別に、その気はないよ」
と、声を返すのはカタリーナだ。
「詮索も説得も要らないなら、むしろ歓迎だよ。こっちも、久しぶりに腕試しをしたいところだったからね」
その視線は、ただ倒すべき敵を見る、冷静で冷徹なもの。
かつてダモクレスだった時代、カタリーナは被害の大小、敵味方の区別もなく、計画的行動を見てはそれを的確に破壊する兵器だった。
そして今も、敵に一切の容赦をしないのは同じ。
「純粋な命の奪い合いなら、得意だからな。さぁ――お手合わせ願おうか」
言うが早いか、カタリーナは高速で踏み込み、雷光を宿した槍を突き出す。
その一撃で敵の腹から血を噴出させると、凛も両刀を淡くピンクに輝かせ、霊体ごと斬り裂いていく。
レンも、偽物には躊躇はなく。御業を展開してワイルドハントを締め上げていた。
そこへ真也も疾駆し、肉迫する。
「クーゼ、行くぞ」
「うん、叩き込んでやろう!」
呼応して、クーゼも翼を羽ばたかせていた。
ワイルドハントも刀を振るってくる、が、クーゼはその刀を刃で防御。
「やっぱり、本物に比べればずいぶんと軽い太刀筋だな?」
「何──」
敵の反応も意に介さず、クーゼはそのまま『終の型 -終焉座標ー』。九重流双剣術による闇を纏った斬撃の檻で、四方から傷を刻んだ。
連続して真也も下方から縦横に刃を奔らせ、深いダメージを与えていく。
「回復はボクに任せて!」
直後には、アヤメが眩い治癒のオーラを投射。空圧で傷を受けていたクーゼの体力を持ち直していた。
「よし、攻撃はお願い!」
「了解しました」
アヤメに言って、銃口を敵へ向けるのはフェルディス。
その声音は静かなもので、敵を射抜く視線も、どこか鋭い。
引き結ばれた口元も、真剣な内面が現れたかのように。引き金を引くと、弾丸状のオーラを飛ばし、風を巻き込むように敵の腕部を穿った。
「今です、連撃を」
「分かりました、畳み掛けます」
声を返して駆け込むのは、ルフィリア。
敵も刀を握り直す。が、ルフィリアは刃を恐れることなく、懐へ接近。触れるような距離に迫った。
「魂の門を通り、結んだ絆を辿りて来たれ。あなたの姿は、炎と氷を纏いし狼──」
そのまま繰り出すのは『氷炎の拳』。「失われた時の世界」に漂う残滓を魂の内へ呼び、再構築。半身が炎、半身が氷で覆われた狼として顕現させ、自身と融合させた。
「これを、避けられますか」
右腕は魔氷、左腕は魔炎。力の奔流と化した拳の連打で、ワイルドハントを吹っ飛ばした。
●意志
ワイルドハントは、地に手をついて起き上がる。そこには微かな苦悶の色があった。
「……まさか人間共に、ここまで邪魔されるとはな」
「邪魔、ね。そっちが何を企んでるのかなんて知らないけど」
アヤメはそれを見下ろす。
「ボクの仲間に、手出しはさせないよ。だからキミは、ここまで」
「ふん、まだ勝負はついていない……!」
ワイルドハントは反抗するよう走り込んでくる。
するとその横合いから、真也が弓弦を引いて射撃。腹部を穿っていた。
「隙だらけだぜ」
「ついでに、これも喰らっておけっ!」
たたらを踏んだワイルドハントへ、クーゼも旋回して接近。全角度からの剣撃で傷を広げていった。
カタリーナは身軽な跳躍で眼前に迫り、槍を一層白く輝かせている。
「刀で、受けきれるかな。流星きたり、我らは闇夜に願いを謳う。誓り結びて黒穹を裂け──!」
それは『闇夜を裂く白光の鎗』。薙ぎ払いと刺突による軌跡を流星のように煌めかせ、敵の腹部を刺し貫いた。
「……まだまだ!」
鮮血を散らせながら、ワイルドハントも衝撃波で反撃。前衛に広くダメージを与えてくる。
だが、同時にアヤメが、明るい歌声を響かせていた。
「無駄だよ! ボクの歌で癒してみせるから!」
それは前向きで、本当のアヤメよりも少し大人びた歌声。その声音が前衛を回復すると、クーゼのボクスドラゴン、シュバルツも影の如きエネルギーを注ぎ、真也の浅い傷を完治させた。
レンは、その間に敵へ襲いかかる。
「これ以上凛を傷つけるなら──許さねえぞ」
その表情は、平素の性格を隠すかのような、怒り。
凛の存在はレンにとって家族と同等だ。それが傷を受ければ、感情は烈火の如く。力の全てで、バールでの痛打を与えていた。
「私は平気だ。だが、ありがとう」
凛は小さく言うと、二刀へ雷を纏わせ刺突。敵の両の肋を砕ききっていた。
血を吐くワイルドハント。そこへルフィリアも低い姿勢で接近し、オーラを纏った手で撫で上げるように攻撃。刃物のようにしたオーラを拡散させ、ワイルドハントの表皮を斬り裂いていった。
「ぐっ……!」
「フェルディスさん、今のうちに攻撃を」
「ええ、確実に、撃ち込ませてもらいます」
ルフィリアへ応えたフェルディスは、銃身を向けている。
瞬間、マズルフラッシュを閃かせ、浮かぶ建物の欠片から跳弾。八方から取り囲むような射撃で、ワイルドハントの全身に弾丸を命中させた。
●決着
ワイルドハントは地に剣を刺し、膝をついている。その顔は憎しみに歪んでいた。
「こんなところで、死ぬものか……全員、切り刻んでやる……!」
そのまま立ち上がると、遮二無二に攻め込んでくる。
だが、カタリーナはまるで猫のような軽い動きで、舞うように翻弄。背中を取った。
「仮にも剣士を象った姿が、戦略を捨てるとはね」
言うと同時、刺突とともに電撃を撃ち込み、小爆破の如き衝撃を与える。
ふらついたワイルドハントへ、ルフィリアは素早く回し蹴りを打ち、後退させた。
「そろそろ、体力もないでしょう」
「ぐ……まだ、だ……!」
ワイルドハントは反撃に剣圧を放つ。だがその攻撃は、疾走してきたライトが盾となり、庇い受けた。
「よくやったぞ、ライト!」
凛の声に応えるように、ライトはそのまま突撃し、ダメージを加えていく。
ライトの傷には、アヤメが分身の術。生み出した分身体へ傷を吸収させるように、即座に回復させていた。
「みんな、後はよろしくね」
「ええ、もうこれ以上、攻撃はさせません」
アヤメに応え、フェルディスは銃を連射。オーラの弾をワイルドハントの胸部へ当て、動きを止める。
そこへ、レンは業火の塊を放ち、全身を炎上させていった。
「俺達の勝ちだ、偽物」
レンの言葉に追随するように、凛も連続の斬撃を打ち、四肢を斬り裂いていく。
倒れるワイルドハントは、しかし這うように起き上がった。
「人間、ごときに……」
「その人間達に、負けるのさ。そろそろ決めさせてもらうぞ。黒光の暗黒螺旋剣(フラガラッハ)!」
真也はそれを見据えるように、『黒光の暗黒螺旋剣』。召喚した螺旋剣を矢のように細くすると、弓からそれを撃ち出す。
マッハ10に迫る速度で飛来したそれは、ワイルドハントの胸を貫いた。
「がっ……」
「これにて終幕。さよならだ!」
クーゼは再び終の型を取っている。その暗闇の斬撃が同時に襲いかかり、ワイルドハントは斬り刻まれ、四散していった。
「よーし! 完全勝利ッ! 皆、お疲れさまだ!」
戦闘後。クーゼは血のりを飛ばした刀を鞘に納めて、皆に言っていた。
皆は頷き、息をつく。レンはすぐに凛に駆け寄っていた。
「大丈夫か?」
「ああ、心配は要らない」
凛が応えると、レンはそこで初めて緊張が解けたように、腰が抜けて座り込んだ。
「……い、生きててよかったあぁぁぁ!!」
「ああ。レンこそ、怪我がなくて何よりだ。今日の晩御飯は豪華にしてやるから楽しみにな」
凛は微笑んで、言っていた。
それから皆にも向く。
「今日は、ありがとう。助かったぞ」
「いつでも、言ってくれ。仲間だからな」
真也が言うと皆もまた頷いていた。
それから、ひとまずは帰還しようということになった。
「今なら、とりあえず危険はないですね。こっちです」
ルフィリアはやってきた足跡を戻るように、外の方向へ歩く。
真也もそれに続きつつ、言葉を零した。
「やれやれ。偽者だったとはいえ、また戦うのはごめんこうむりたいものだな」
「偽物か」
クーゼは少し呟く。自分にもまた、もう一つの姿があるのだろうな、と思いながら。
カタリーナは考えるように口を開く。
「わたしの偽物もいるのかな……? あの調子だと大した再現力じゃないんだろうけど」
「目の前に現れてみないと分からない部分もあるだろうな」
真也は言って、一度戦場を振り返った。
(「本物の“雑賀真也”と戦うことになった時、偽者の俺はどうするのだろうな」)
そう、心で言いながら。
アヤメは前方を差す。
「あ、外が見えてきたよ」
「早く出ようよ。お腹すいたー」
フェルディスはいつもの雰囲気に戻ったように、拳銃をクルクルと回して遊んでいた。
そのまま皆は、外へ。戦果を胸に、それぞれの帰る場所へと帰還していった。
作者:崎田航輝 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年10月9日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 8/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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