混濁の機巧戦士

作者:崎田航輝

 そこには小さな山村が見えるはずであった。
 なのに、ここから窺えるのは、それを覆うモザイクばかりだ。
「こういう予感ていうのは、当たるもんだね!」
 ゼロアリエ・ハート(晨星楽々・e00186)は、驚きながらも、何処かで予想はしていたという、そんな表情をしていた。
 ふと何かに引き寄せられるように、この近辺の調査に訪れた。そこで見つけたのが、このモザイクに覆われた空間だったのだ。
 かりかりと後頭部を引っ掻いてくるウイングキャットのリューズをなだめ、ゼロアリエはその内部に足を踏み入れた。
「入ってみないと、中がどうなっているかわからないからね……!」
 内部は、元の地形や、建物までばらばらになって混ぜ合わされたような、奇怪な空間だった。
 そしてその全体が、まとわりつく謎の粘液に満たされている。
「聞きしに勝る雰囲気だなあ……」
「──このワイルドスペースを発見できるとはね。まさか、この姿に因縁のあるものなのか?」
 と、突如そこで声がした。
 それは目の前に現れた、1体の影。ドリームイーター、ではあるはずだが、ゼロアリエとよく似た顔をしていた。
「これは、俺の姿か……!」
 髪はどこか白銀のように色素が薄く。体はその機構が一部あらわになっている。だが確かにそれは、ゼロアリエと瓜二つなのだ。
「悪いけど、このワイルドスペースの秘密を漏らすわけには行かない。キミは、俺の手で死んでもらうよ」
 そのドリームイーター・ワイルドハントは、ゼロアリエに襲いかかる。
「こっちだって、そう簡単にはやられないよ……!」
 ゼロアリエは応戦しようと、戦闘態勢を取った。

「集まっていただいて、ありがとうございます」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は、集まったケルベロス達を、見回していた。
 その表情は少しばかり切迫したものだ。
「ワイルドハントについて調査をしていたゼロアリエ・ハートさんが、山村で襲撃を受けたみたいなんです」
 そのドリームイーターこそ、ワイルドハント。山村をモザイクで覆って、内部で何かの作戦を行っていたようだ。
 そこへ踏み込んだゼロアリエへ、攻撃を仕掛けたということのようだ。
「こちらも、フォローの用意はしてあります。今からならば素早く救援に向かえるので、急ぎ現場へ向かい、ゼロアリエさんに加勢して敵を撃破して下さい」

 作戦詳細を、とイマジネイターは続ける。
「敵は、ドリームイーター1体。現場は山村です」
 モザイクに覆われ、奇妙な空間となっている場所だが、戦闘に支障はないという。
 特に戦闘を邪魔してくるものもいないということで、急行して即、戦闘を行ってくださいと言った。
「ゼロアリエさんは戦闘に入っていますが、こちらもそれほど間を置かず到着できるはずです」
 それでも、敵に先手を取られている可能性もある。そういったことを考慮しつつ、加勢後の立ち回りを考えておくのもいいでしょう、と言った。
 それでは敵の能力を、とイマジネイターは続ける。
「ゼロアリエさんのような姿をしているようですが、別人であり能力も異なるようです。この敵は、火器などの武器を活かした戦いをしてくるでしょう」
 能力としては、斬撃による近単服破り攻撃、集中砲火による遠単追撃攻撃、一斉砲撃による遠列パラライズ攻撃の3つ。
 各能力に気をつけてください、と言った。
「敵の狙いはわかりませんが……とにかく撃破が優先です。是非、頑張ってきてくださいね」
 イマジネイターはそう言葉を結んだ。


参加者
ゼロアリエ・ハート(晨星楽々・e00186)
ロベリア・エカルラート(花言葉は悪意・e01329)
眞山・弘幸(業火拳乱・e03070)
狼森・朔夜(迷い狗・e06190)
シエラシセロ・リズ(勿忘草・e17414)
ラズリア・クレイン(天穹のラケシス・e19050)
レオン・ヴァーミリオン(リッパーリーパー・e19411)
ルフィリア・クレセント(月華明瞭・e36045)

■リプレイ

●突入
 山へたどり着いたケルベロス達は、モザイクの空間を見つけ、入り込んでいた。
「ワイルドスペース、非常に不思議な所ですね」
 戦場を探しながら、ルフィリア・クレセント(月華明瞭・e36045)は周囲を見回している。
 その全てはモザイクに覆われていた。
 ラズリア・クレイン(天穹のラケシス・e19050)はその中に友人の影を探し、視線を巡らせる。
「この中のどこかにハート様がいるはずです。まずはそれを見つけなくては」
「そうですね。気になることは色々とありますが。今は興味は後回しですね」
 ルフィリアも応える。そうしてまずは、探索を急いだ。
「──今、炸裂音がしたね。向こうだ」
 と、そこで視線を遠くにやるのは、レオン・ヴァーミリオン(リッパーリーパー・e19411)。
 一瞬の剣戟の音を感じ取ったように、そちらに走り出す。
 皆も頷き合い、そちらへ急行することにした。
 シエラシセロ・リズ(勿忘草・e17414)は、その先にいるであろう幼馴染を思い、小さく手を握りしめる。
「ロア……無事だといいけど」
「そうだな。でも、あいつのことだ、大丈夫だと思うぜ」
 駆けながら、言ってみせるのは狼森・朔夜(迷い狗・e06190)だ。
 そこには案じるような感情も滲んでいる。だが同時に、焦りの色はない。それは、その頼もしさを充分に信頼しているからだ。
 シエラシセロもうん、と頷く。
 その内に、戦闘をしている2つの人影が見えてきた。
 それを視界に捉えつつ、眞山・弘幸(業火拳乱・e03070)は横に声をかける。
「さて、共闘は初だな。お互い頑張ろうぜ」
「ああ、そういえば一緒に戦うのは初めてかな。こちらこそヨロシク」
 応えるのはロベリア・エカルラート(花言葉は悪意・e01329)。
 軽いやり取りをするように、2人には緊張した様子もなく。ロベリアはいつも通りの笑みを顔に浮かべ、ハンマーを手に携える。
「行こうか。援護は任せて」

 巨大な炸裂音とともに、ワイルドハントは集中砲火を浴びせてくる。
 ゼロアリエ・ハート(晨星楽々・e00186)は光の盾を顕現し、それを何とか耐えきっていた。
「やっぱ自分と戦うっていうのは気持ちいいもんじゃないね」
 眼前の敵を見る。それはまるで暴走した自分。殺戮兵器の姿。
 自分とは別の存在だとは分かっていても、それを見るたび、ゼロアリエはどこかドキリとした。
「たった1人で勝てると思ってるのかい」
 ワイルドハントは構わず、次手の斬撃を放ってくる。
 だが、それをゼロアリエのウイングキャット、リューズが盾になるように受け止めた。
 ゼロアリエはリューズを即座に回復する。
「1人じゃないよ。大事な相棒もいるしね」
「同じ事さ。キミじゃ俺に勝てない」
 ワイルドハントは応え、再び砲口をゼロアリエに向ける。
 言葉の通り、ゼロアリエは不利でもあった。単体ならば敵のほうが強いのは分かっていたからだ。
 仮にあと数回打ち合えば、こちらが倒れるだろう。ゼロアリエもそれは分かっていた。
 ただ、それでも退くことは出来ない──と、ちょうど、その時だった。
「──ならば、多勢に無勢なら如何でしょうか?」
 横合いから楚々とした声が響いた。
 直後、煙を上げた砲弾がワイルドハントの体を穿つ。数メートル飛ばされたワイルドハントへ、さらに次の砲撃が爆炎を上げ、追撃した。
 それは声の主のラズリア、そしてロベリアの放った射撃だ。
 同時に、ルフィリアが駆けつける。そのまま素早く、ゼロアリエに癒しのオーラを施していた。
「無事の様ですね。間に合って良かったです」
「みんな!」
 ゼロアリエは見回す。そこにケルベロス達皆が、合流していた。
 シエラシセロも、飛び込んでくる。
「ロア! もう、婚約者がすっごい心配してたんだからね!」
「シェラも……来てくれたんだ!」
 その姿にゼロアリエが笑顔を浮かべると、シエラシセロは頷く。
「大切な幼馴染のピンチだもん。駆けつけない選択肢なんてなかったよ」
 少しだけ小さな声で言ってから、シエラシセロは笑んだ。
「一緒に帰ろうね?」
「もちろん!」
 応えるゼロアリエの表情もまた、笑顔の明るいものだった。
「な、無事だったろ」
 朔夜は肩をすくめつつ、ゼロアリエをヒール。シエラシセロもリューズを回復し、体力を持ち直させていた。
 弘幸は光を発する爆破で前衛の力を増幅して、敵に向き直っていた。
「で、お前がゼロアリエの劣化版か」
「……キミ達も全員ケルベロスだね」
 ワイルドハントは応えるでもなく、反撃をしようとしている。
 ふと、レオンはそこに薄い笑みを浮かべてみせた。
「そうだけど。あぁ、でも、僕のことは取るに足らない塵と思ってくれて結構だよ」
 だが、それに敵が応えかねたそのとき。
 レオンの影から、這いずるように鎖が出現していた。
「なんちゃってね」
 その鎖が射出されると、物陰や敵の影からも鎖が生まれ、豪速で飛び交う。
 その力こそ、『悪性因子・無限縛鎖』。鎖は連続でワイルドハントを打ち据え、足元の一部を破砕。部品を散らしながら機動力を奪っていった。

●剣戟
 ワイルドハントは、衝撃に後退していた。ケルベロス達はそこに接近する形で、包囲するように距離を詰めている。
「それにしても、本当にロアそっくりだね!」
 シエラシセロは対敵すると、まじまじと見てしまう。
 ラズリアも頷いた。
「これほどお顔は似ているのに全くの別人とは……不思議な感覚ですね」
「ここまで似てるなら、いつもからかわれてるお礼するべきかな?」
「え? シェラ、俺と似た顔叩いてストレス解消しようとしてる?」
 シエラシセロの笑顔に、ちょっと疑わしげな視線をよこすゼロアリエ。
 その横でルフィリアは微かに考えるようでもある。
「暴走時の自分の姿、というと、選ばれなかった可能性を纏ったとかですかね?」
「──何とでも、好きに言っていればいいさ。俺は秘密を漏らす程馬鹿じゃない」
 ワイルドハントは首を振って、武装にエネルギーを溜め始める。
 レオンはふぅん、と声を零して最後に聞いた。
「君が始末する必要があるのは姿見を写し取った彼だけ? それとも僕らも含めてなのかな?」
「敵は殺す。それだけだ」
 ワイルドハントは言って、砲口をまっすぐに向けるばかりだった。
 だが、こちらも油断はない。同時に朔夜が、文字通り狼の如き速度で肉迫していた。
「確かに似てやがるが、所詮は偽物ってことだな。加減は、しねぇ」
 瞬間、疾風の如き飛び蹴りで、敵の砲口を払い上げる。
 ラズリアがそこで、魔力を蒼き水晶の形に浮遊させていた。
「ええ。別人とは言っても、そもそも人ですらございませんから」
 水晶は煌めきながら飛来。その能力、『星導の黙示録』は鋭い衝撃でワイルドハントの体を刺し貫いていく。
 ワイルドハントはそれでも、砲撃を繰り出してきた。狙いは、最前で壁のように位置取っている弘幸だ。
「良い的だね……!」
「的? わざとに決まってんだろ」
 砲弾を受けた弘幸はしかし、防御態勢を取ってダメージを抑えている。そのまま、敵が隙を作った間に距離を詰め、『零距離業火』。
 地獄の業火を纏った左脚で、渾身の蹴りを叩き込み、敵を吹っ飛ばしていた。
「ロベリア、頼むぜ」
「了解だよ。ちょっとじっとしててもらおうかな」
 弘幸に応えるロベリアは、ワイルドハントに追いすがり、ケルベロスチェインを繰ってその体を締め上げた。
「イリスも、頼むね」
 さらに、ロベリアの声に呼応して、ビハインドのイリスも金縛りをかける。
 この間にゼロアリエは『桜会』。美しい桜の花びらを舞い散らせることで癒しの力を展開し、弘幸のダメージを治癒していた。
 次いで、ルフィリアは『幸運の塔』を行使する。
「魂の門を通り、結んだ絆を辿りて来たれ。あなたの姿は、戦士を見守る祖霊の柱──」
 それは「失われた時の世界」に漂う残滓を魂の内へ呼び、レプリカとして再構築、召喚する能力。狼、鯱、犀、鷹の頭部を積み重ねた塔として鎮座したそれは、幸運の加護を与え、前衛の耐性を高めていた。
「回復は、これでひとまず大丈夫そうですね」
「じゃあ、攻撃っと」
 と、ゆるい口調で手を伸ばすのはレオン。瞬間、爆縮されたグラビティが拡散し、ワイルドハントを爆撃する。
「く……」
「遅いよっ!」
 同時、反撃を狙う敵に、飛来したシエラシセロが接近。くるりと回転しながら降下し、そのまま縦方向の回し蹴りを叩き込んだ。

●闘争
 ワイルドハントは一度倒れ込んでいた。
 すぐに起き上がって間合いを取るが、確実にダメージは蓄積しているようで、その顔は傷つき、苦しげに歪んでいる。
「こうして傷ついてくると、ロアと同じ顔なのが余計にやりにくいね」
 シエラシセロが言うと、ゼロアリエは改めて敵に向く。
「そもそも何で俺なんだ? まあ、俺を選ぶのはセンスあると思うけど!」
「余計な事は言わないと言ったはずだよ」
 ワイルドハントは、それだけ言うと再び銃身を構えていた。
 だが、弘幸も同時に、そこへ素早く肉迫していた。
「なら、こっちもやることはひとつだぜ。害を撒き散らすなら、倒すまで」
 そのまま弘幸は、敵の銃口を握り、そこへグラビティを篭めた。
「その武装、少しスッキリさせてやるか」
 瞬間、その銃口は暴発したかのように爆破。銃身ごと吹き飛び、武装の1つが大破した。
 ふらついたワイルドハントの頭上には、ラズリアが飛翔してきている。
「見知った方のお顔に蹴りを入れるのは……あまり良い気がしませんね」
 言いながらも、微塵も手加減するつもりはなく。上方に風を掃くと一気に加速して、ワイルドハントの顔面に強烈な蹴り落としを喰らわせた。
 膝をつくワイルドハンドだが、立ち上がりざまに、残った火器で一斉砲撃をしてきた。
 衝撃とともに、前衛を麻痺性のダメージが襲う。が、そこへ直後、きらびやかな花嵐が降り注いでいた。
「少し待っていて下さい。今、回復をします」
 それは、ルフィリアの展開する治癒の力だ。
 感情を表に出さない表情のまま、踵を小さく打ち鳴らす。すると、空に光が咲くように花弁が生まれ、仲間へ舞い降りる。それが麻痺を消していき、ダメージも癒していた。
 ゼロアリエは、シエラシセロに光の盾を付与し防護を固めさせる。
 同時に、シエラシセロも鎖で素早く魔法陣を描き、前衛の防御力を上げていた。
「ちっ、面倒なことを……」
 毒づくワイルドハントへ、レオンはオウガメタルの拳を打ち当てながら、口を開く。
「仲間がいるからこうやって気楽に戦えるのさ。君らも『絆』とかそこらへんの大切さを学ぶといいよ」
「下らないな……!」
 ワイルドハントは再び火器を向ける。
 と、朔夜がそこへ、『送り狗』を解き放っていた。
「これ以上、好き勝手させるかよ。──行け」
 それは御業を介して召喚した霊体の狼。
 剛烈な勢いをもって襲いかかったその狼は、ワイルドハントの腹部を激しく噛み裂く。同時に霊力の残滓をそこに留め、傷口を抉るように切り広げていた。
 浮遊する建物に激突し、体勢を崩すワイルドハント。
「同じ姿で現れる敵っていうのは、不思議なものだね」
 それを見下ろし、ロベリアは少し、物思うように呟いていた。仮に自分だったらどうするだろうと、一瞬だけ考える。
「ま、自分が同じ目に遭っても、やることは同じだね」
 それは、真っ先に倒すのみ、ということ。
 ロベリアは手を伸ばし、炎を纏った幻竜を発射。ワイルドハントの全身を業火で包み、炎上させた。

●決着
 体の端々を溶解させつつ、ワイルドハントは地に手をついていた。
 レオンはそこに声を投げる。
「さて、この異常について洗いざらい吐くなら逃がすのも吝かではないけど、どうかな?」
「……答えは一緒さ」
 ワイルドハントはふらつきながら、砲身を向けてくるだけだ。
 レオンはそれより速く、影から鎖を撃ち出していた。
「それなら別にいいさ。君はもう、何もかも手遅れだ」
 瞬間、鎖が敵の砲身を巻き取り、地に打ち付ける。
 弘幸はこの間に虹色の光を発破。後衛の力を増幅させていた。
「結局、真似てるようじゃ勝てねぇってことだ。皆、一気に畳み掛けてくれよ」
「わかったよ。地獄に吹くこの嵐、止まない嵐を見せてあげる──」
 応えるロベリアが行使するのは、『悪意の嵐』。
 それは両腕を構成する地獄の一部を無数の刃に変形させる技。同時、それらを苛烈な剣風とともに飛ばし、ワイルドハントの全身を斬り裂いていく。
 連続して、ルフィリアも攻勢へ。オーラを篭めた拳を連打して、装甲となる部品を粉砕した。
「あとは皆さん、頼みますね」
 ルフィリアの言葉に、朔夜が低い姿勢から疾駆。雷光を宿した槍での刺突でワイルドハントの腹部を貫いた。
「ゼロアリエ、思いっきりやっちまえ」
「うん、任せて。いくよ!」
 朔夜に応えて、ゼロアリエも敵へ肉迫。オウガメタルを鋭い形状に流動させ、痛烈な打撃で敵を吹っ飛ばした。
 それでも這うように近づいてくるワイルドハントを見て、呼びかける。
「しぶといね! シェラ、ラズ、よろしく!」
「ええ、了解しました、ハート様」
 頷いたラズリアは、再び星導の黙示録。魔力の塊でワイルドハントを串刺しにしていく。
「皆で無事に帰るんだ。だから、これで終わりだよ!」
 シエラシセロが、そこに降魔の力を篭め一撃。
 まっすぐの拳でワイルドハントを打ち砕き、消滅させた。

「終わったか。皆、お疲れ様」
 戦闘後。弘幸の言葉に皆は一度、息をついていた。
 シエラシセロは、ゼロアリエを一度ぎゅっと抱きしめる。
「本当、飛び出すのやめてよね。……よかった……今度は守れて」
「ごめんね。でも、勝ててよかったよ。皆のおかげだね!」
 ゼロアリエが言うと、皆は頷き、周囲を見回す。
 そしてそこに何か手がかりがないか、歩いた。
 だが、周りには散ったモザイクがあるばかりで、手がかりになるような物は見られない。
「モザイクに変化は無い、ようにも見えるけど。時間が経てば消滅するかもしれないし、今は何とも言えないね」
 ロベリアは見回して言うばかりだ。
 レオンは建物などの破片を収集できないか試みていたが、それもうまくは行かなかった。
「並行世界か別世界か、とも思ったんだけどね」
「判断するには材料が少ないですね。空間の核や中心部もよくわかりませんし」
 ルフィリアも周りを観察しつつ述べている。
 朔夜も、言葉を零した。
「もう少し調べたいけどな……長くいて安全かどうかも分からないからな」
「今は、帰りましょうか」
 ラズリアが言えば皆も頷き、外へ。
 まずは無事と戦果を上げたことを噛み締めつつ、それぞれに帰還していった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年9月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 12/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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