もこもこもこ

作者:崎田航輝

 そこは穏やかな牧場だった。
 どこまでも広がっているうららかな草むら、そして青い空。おいしい空気。なんだか夢の中の世界のようで、不思議な感覚だ。
 そして、少し歩けばそこには沢山の羊がいた。
「わあ、羊だ」
 少年は、その可愛らしい羊の姿に思わず駆け寄っていた。
 白い毛並みの豊かな羊は、もこもこしてて、丸々としている。
「可愛いなあ」
 メ~、と鳴き声を上げる羊に触れ、少年は暫し、もふもふと可愛がっていた。
 と、そこで少年はふと違和感に気づく。その羊が段々と大きくなっていっているのだ。
「え……?」
 少年が信じられないように目をこすっていると、羊はそのうち、少年の背丈を遥かに超える大きさになった。
 真ん丸な毛の塊のようになった羊は、次の瞬間、猛烈な勢いで突進し始めた。
「わー! なにこれーー!?」
 少年はそのまま、もこもことした毛に飲み込まれてしまった。

「え……あれ、夢?」
 少年が起きるとそこは自分の部屋だった。
 どうやら、巨大羊はただの夢だったらしい。
 なあんだ、と安堵したように息をついた、しかしその直後。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『驚き』はとても新鮮で楽しかったわ」
 その背後から、少年の心臓を鍵で一突きする魔女がいた。
 第三の魔女・ケリュネイアだ。
 少年は意識を失って、再びベッドに倒れる。
 すると、その横に、少年の驚きを具現化したような、丸々とした巨大羊が現れ始めるのだった。

「羊さんはもこもこしていて可愛いですよね」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は、集まったケルベロスにそんなことを言っていた。
 それから、気を取り直したように説明を続ける。
「今回は、ドリームイーターの出現が予知されたことを伝えさせて頂きます。第三の魔女・ケリュネイアによる、人の『驚き』を奪うタイプのもののようで――少年の驚きから生まれるようです」
 放置しておけば、ドリームイーターは人間を襲ってしまうことだろう。
 それを未然に防ぎ、少年を助けることが必要だ。
「皆さんには、このドリームイーターの撃破をお願い致します」

 それでは詳細の説明を、とイマジネイターは続ける。
「敵は、羊の姿をしたドリームイーターが、1体。場所は市街地となります」
 少年の家からほど近い公園の近辺であり、夜であるために他に人の姿はない。
「このドリームイーターは相手を驚かせたいという性質があるので、近くを歩くだけでも驚かそうとやってくるはずです」
 ドリームイーターは、自分の驚きが通じなかった相手を優先的に狙ってくるようなので、この性質をうまく利用できれば、有利に戦えるかもしれません、とも言った。
「ドリームイーターを倒せば、少年も目を覚ますことが出来るので心配はないでしょう」
 敵の能力は、突進して毛並みで飲み込もうとする遠単ホーミング攻撃、子羊の幻影を空に泳がせる遠単催眠攻撃、鳴き声を響かせる遠列パラライズ攻撃の3つ。
「もふもふしていても、敵は敵ですので。是非、撃破を成功させてきてくださいね」
 イマジネイターはそう言葉を結んだ。


参加者
九条・櫻子(地球人の刀剣士・e05690)
ピリカ・コルテット(くれいじーおれんじ・e08106)
黒木・市邨(蔓に歯車・e13181)
アニー・ヘイズフォッグ(動物擬き・e14507)
シルフォード・フレスヴェルグ(風の刀剣士・e14924)
アーニャ・クロエ(ルネッタ・e24974)
猫夜敷・千舞輝(地球人のウェアライダー・e25868)
月井・未明(彼誰時・e30287)

■リプレイ

●夜の羊
 ケルベロス達は、夜の市街地にやってきていた。
「では、必要なところを封鎖しておきましょうか」
 シルフォード・フレスヴェルグ(風の刀剣士・e14924)は周囲を眺めつつ、キープアウトテープを巡らせていく。人の介入がないよう、公園と外を繋ぐ道の幾つかを塞いでいた。
 月井・未明(彼誰時・e30287)も、大通りと行き来する道を囲い、万全を期していた。
「これで、対策は大丈夫だと思う」
「あとは、待ち伏せるだけですわね」
 応えて深呼吸しているのは、九条・櫻子(地球人の刀剣士・e05690)だ。皆から少し離れて、ちょっと甲高い声を上げ、驚く練習をしているのだった。
 そうして、皆もそれぞれ準備が完了した頃。
 夜の閑静な町並みから、何かもふもふとした音が響いてきた。
 皆が視線をやる、その先。狭い道幅をぎゅむぎゅむと突き進んでくる、白い毛の塊がいた。
「あれは!?」
 ピリカ・コルテット(くれいじーおれんじ・e08106)が声を上げると、丁度その時。
 毛の塊は道をすぽんと抜け出し、皆の前に着地した。
 見上げるほどの大きさを持つ、真ん丸な羊のドリームイーターだ。
「きゃーーーーー!」
 と、大きな声を上げたのは櫻子。練習の5倍増しとでも言うべき、よく通る声だった。
「大きなもこもこだ、ビックリした!」
 アニー・ヘイズフォッグ(動物擬き・e14507)も見上げて、声を出す。まだ心を手に入れて間もないこともあってか、それは子供のように純粋な驚きでもある。
 一方、普段は感情の出辛い未明も、頑張って驚いている。
「うわああああ、大きいもこもこだな」
「にゃああ」
 と、ついでにウイングキャットの梅太郎も、未明に言われた通り鳴き声を上げていた。
 ピリカはいっそうオーバーに、指をさして声を上げている。
「ほんとうだねー! すっごーいっ!! もっふもふー!!」
「しかし、こんな場所に羊がいるとは不思議ですね……」
 シルフォードは、静かに驚嘆の色を浮かべるように言っていた。
 そんな中、黒木・市邨(蔓に歯車・e13181)も目を瞬かせて、驚きを表現している。
 巨大羊はそれらを見て、満足げにメ~、と鳴き声を零していた。するとそれに、市邨はふと笑んだ。
「ああ、もこもこひつじ。今晩は、良い夜だね」
 そして、すぐ後に笑みを消して、目を細める。
「――だけど悪戯は此処まで。さあ、覚悟して。俺は、外さないよ」
 言葉と同時、巨大羊へ疾駆。
 流動させるのは、両腕に巻き付いた攻性植物だ。
「蔓、草、出番だよ。往っておいで」
 瞬間、市邨が手を伸ばすと、その攻性植物──白の勿忘草が咲く『蔓』と、イペーの花の咲く『草』が真っ直ぐに伸び、巨大羊を捕らえていた。

 それを合図に、皆も戦闘へ入っていた。
 櫻子は、巨大羊が拘束されると同時に、すらりと日本刀を抜き、肉迫。足元へ卓越した斬撃を繰り出していた。
「中々、毛並みに阻まれますわね」
「でも一応、ダメージは与えられているようだ」
 飛び蹴りを打ち込んでいた未明が、それに応える。実際、巨大羊はそれらの攻撃に反応するように、メー、と間延びした鳴き声を放っている。
 と、紙兵の霊力で仲間を防護していたアニーが、気づいて見上げる。
「みんな、巨大羊も動き出したよ!」
『メ~!』
 言葉通り、羊は拘束を振り払うように前進してきていた。
 と、逆にそこへまっすぐに飛び込む影があった。猫夜敷・千舞輝(地球人のウェアライダー・e25868)である。
 もふっと毛並みに張り付いた千舞輝は、その柔らかな羊毛を堪能するようにもふもふと撫でる。
「ヒャッハァー! もふもふだー!」
「このもこもこした羊、なんですか!? 可愛すぎませんか……!?」
 さらに、アーニャ・クロエ(ルネッタ・e24974)も間近で、もこもこの毛並みを押したり掴んだり。
 目を輝かせて、興味津々といった態度でもふりもふりとしていた。
 それから、はっと気づく素振りをする。
「少年を助けないとでした! そのもこもこ、刈り取らせて頂きます……!」
「そうやな。これは作戦やからな。別にもふもふしたいだけと違うねん。いややっぱもふもふしたいだけです!」
 肯定したりしなかったりしつつ、千舞輝はいっそう毛並みに突っ込み、そのまま猫のオーラを纏った打撃を加えていた。
 すると、羊はその2人を標的に定めた。まずは地面を転がり、張り付いている千舞輝をそのまま毛並みに飲み込んでくる。
 だがそれは、狙い通りの動き。直後にはピリカが、癒しの雷光を千舞輝に注いでいた。
「メインヒーラーの力をご覧あそばせーっ!!」
 宣言通り、それが千舞輝の体力を持ち直させると、アーニャも眩い光を発現。シルフォードの力を高めている。
「攻撃は、お願いしますね」
「ええ、了解しました」
 応えたシルフォードは、蒼き炎をまとった脚装で一撃。焔の伴う蹴撃で、巨大羊にたたらを踏ませていた。

●もふもふ
 この間に、ケルベロス達は包囲するように、巨大羊を囲んでいる。
 毛に埋まっていた千舞輝も、脱出してきた。
「いやぁ、もふもふを堪能……もとい、えらい目にあったわ」
 と、改めて羊を見上げる。
『メ~……』
 巨大羊は、空気を送るように体をぶるぶると震わせて、毛並みのふわふわ感を取り戻していた。
 それを、市邨も改めて眺めていた。
「成る程。もこもこひつじ。こうして見るとたしかに可愛い」
「そうだな。自分もこれほどまでに立派なもこもこは初めて見るよ……!」
 アニーもそんなふうに言葉を零す。
 するとピリカも、巨大羊に駆け寄っていた。
「話を聞いてたら羨ましくなってきました! 私も存分にもふもふしてきますっ!」
「あっ、ピリカちゃん、待って……私も!」
 それに続いてアーニャも翼を光らせて飛来。2人でダイブするように、羊の毛の中に飛び込んだ。
「この感触はまさにもふもふですっ!」
「もっふるもっふる……そうですね……もふもふもこもこに包まれるとかとても幸せな気分になっちゃいますね……」
 ピリカとアーニャは、ふかふかの白い毛並みに囲まれて、心地よさげに目を細める。
「むぅ、こうなったらウチももう一度……って痛っ!?」
 千舞輝が踏み出そうとすると、ウイングキャットの火詩羽がたしなめるように猫パンチしてきていた。
 しょうがないとばかり、千舞輝は攻勢に移り、炎を宿した蹴りを羊に命中させる。
 次いで、市邨も砲撃を打ち当て、羊の動きを鈍らせる。さらに、そこへ櫻子も高く跳んで、濃密なグラビティを込めた刃で袈裟の斬撃を叩き込んでいた。
「皆さん、攻撃が来ますわ」
 着地した櫻子は、とっさに気配を感じて口を開く。すると、巨大羊が子羊の幻影を生み、夢想的な空間を作り出していた。
 それはアーニャを眠気に誘ってくる。が、それにはピリカが即座に反応。自身のポジティブなオーラを与え、目を覚まさせた。
 アーニャ自身も、自己の持つ月光のオーラを高めて、体力を万全に保っていた。
 アニーも仲間に霊力を施して、防御態勢を確立している。と、巨大羊はこの間にもそりと動いて連撃を狙ってこようとしていた。
 だが、そこに素早くシルフォードが疾駆する。
「おっと、させませんよ」
 瞬間、刀を抜き、縦横に斬撃を走らせた。
「このまま、少し動きを止めてしまいましょう」
「ああ、わかったよ」
 応えるのは、未明。シルフォードの逆側から回り込むように羊に肉迫すると、煌々とした炎を脚に宿らせて、高く跳躍。
 そのまま踏み台にするような仕草で、強烈な踵落としを喰らわせた。

●応酬
『メ~!』
 悲鳴を上げる巨大羊は、しばし転がりつつも、何とか元の体勢に戻っていた。
 ダメージ自体はかなり蓄積してきてはいるようではある。ただ、燃やされたり斬られたりしつつも、不思議と豊かな毛並みは健在だった。
 櫻子は見上げる。
「流石に、夢の産物といったところですわね」
「空想から生まれ、その上デウスエクスですからね。普通の羊とは、やはりちがうのでしょう」
 シルフォードも少し考えるように言っていた。
 それから、ふと言葉を続ける。
「夢といえば、獏なども思いつきますけど。でもモフれる分、羊の方が良いですね……」
「そうやな。もふもふの羊さんは、好きです。でも猫さんの方がもーっと好きです!」
 千舞輝は心の叫びのように声を上げると、それから腕組みをした。
「しかしもふもふに罪は無い……それも事実……故にそのもふもふを許しましょう……」
 どこか悟ったような顔で言っていると、そこでまた、火詩羽にしっぽでぺしりとされる。
「あ、はい、お仕事はきちんとやりますはい。……というか、まぁ、どっちにしろ放置も出来ひんしなぁ、これは」
「そうだな。おれも、もこもこしたものはかわいいし嫌いではないけれど。やることは、やらないと」
 それに、未明も頷く。
 そして、また戦闘態勢をとる。
「これがドリームイーターでなければな。残念だ」
「ああ、確かに、倒すのはつらい。が、他のもこもこが嫌われるのも嫌だ! 頑張るぞ!」
 そう応えたのは、アニー。そのまま、羊に向かって走り込んでいく。
 市邨も、こくり、と小さく頷いていた。
「可愛いひつじ。だからこそ、それが血の色に染まってしまわぬように。──往こうか」
 言うと、手を伸ばして魔法の光を生み出す。
 アニーが接近し、羊に霊力を込めた拳を撃ち当てると同時。その光も弾けるように命中し、羊の体を微かに硬化させた。
『メ~……!』
「遅いですわ」
 羊は抵抗するように体を動かそうとするが、そこへ櫻子が踏み込み、縦に斬り上げ。
 その鋭い斬撃が羊の動きを止めると、シルフォードも刀に眩い稲妻を宿し、まっすぐに刺突を喰らわせる。
「このまま、次の攻撃を頼めますか」
「よっしゃ、ウチに任しときや」
 応えるように疾駆するのは千舞輝だ。
 羊に回り込むように接近すると、毛並みを駆け上がるように高い位置まで登り、そこから蹴り落としを叩き込んだ。
『メ~!』
 巨大羊は危機を感じたか、いっそう大きな鳴き声を響かせ始めた。それは麻痺を伴った波動となり、前衛に襲いかかる。
 だが、間をおかずして、そこに清浄な雨が降り注いできた。
 アーニャが天に昇らせていた、癒しの力によるものだ。
「ピリカちゃん、一気に回復してしまいましょう」
「了解です! 雨よ降れーっ!」
 呼応して、ピリカもグラビティを収束。それを癒しの雫にして味方に注がせることで、麻痺効果と傷を、洗い流すように消し去っていった。
 次いで、未明の元から飛び立った梅太郎と、アーニャのウイングキャットのティナも一緒に羽ばたいて治癒を進める。これで前衛の浅い傷は、完治していた。
「梅太郎、よくやったな」
 そう労った未明は、再度の攻撃を狙っている羊へ接近。下方から蹴り上げるように打撃を与え、巨大羊を衝撃で転がせていた。

●決着
 ごろごろと転がり、壁に激突する巨大羊。
 皆はそこへ接近し、再度包囲網を敷いていく。
 巨大羊が上下逆になり足をジタバタさせていると、シルフォードは隙を見て、その毛並みに触れていた。
「こういう機会もないですからね。せっかくなので少しだけ……」
 言って、もふもふとする。シルフォードの表情自体は大人しい、が、その尻尾は機嫌良さそうに揺れていた。
「あ! それなら私ももふもふしたいですっ!」
 と、ピリカも加わって、ここぞとばかりに毛並みに飛び込み、掴んだり引っ張ったりして感触を楽しむ。
『メェ~!』
 すると、巨大羊もそのうち、ゆりかごのように勢いをつけてやっと体勢を戻してきた。
 だがそのときには、アーニャが月の女神の力を宿す杖・Claireに魔力を集中させている。
「もこもこは、惜しいですが……そろそろ、決着をつけないとですね!」
 瞬間、月光の如き美しい光を、杖の先に集約。
 照射する形で解き放ち、巨大羊に撃ち当てた。
 後退した羊に、シルフォードも刀での連続斬撃を喰らわせる。
「このまま、畳み掛けて行きましょう」
「それなら、私の出番ですね!」
 輝く様な笑顔を見せるのはピリカ。その力、『わたしです』は実際に眩いまでの光を生み出し、羊の視界を奪っていく。
「プリムもゴーです!」
 さらに、ピリカの声に応じて、ボクスドラゴンのプリムもタックルをかまし、羊の体勢を崩させる。
 そこへ、アニーが鹿の足のような機械脚で、すばしっこく走り寄る。そのままブラックスライムで突き刺し、毒を注入していた。
「そろそろ、この羊も苦しそうだね」
 アニーの言葉の通り、巨大羊は一気に弱った様子を見せている。
 それでも、再び突撃してきた。が、そこで未明が、薄く光る硝子壜の蓋を取る。
「大きな、もこもこの羊。可愛らしい夢だと思うよ。けれど、その夢で誰かを傷付けてしまうことを望んではいないだろ」
 すると、そこから霞のように光が漏れ、広がっていく。
「だから、返して貰う」
 瞬間、その能力、『薄月』が羊を取り巻くように捕らえ、全身にダメージを刻んでいった。
 羊は暴れるようにその光から逃れ、攻撃をしようとしてくる。
 だが、千舞輝が『月夜に猫』を行使。
 50円を弾くと、それによって猫が高速で飛来してくる。
「ウチも別に恨みは無いけど。でも怠惰生活と猫さん方の安心安全の為に、消えてもらうなー」
 落ちてきた猫は、羊に重力を伴った体当たりを加え、吹っ飛ばす。
 そこへ市邨が、『四季に虹色』。
 夢幻のように広がる景色の中、虹の光で巨大羊を穿っていく。
「さようなら、可愛らしい『驚き』。せめて最後は、良い夢を」
 その一撃で意識を飛ばされた羊。
 そこに櫻子が接近し、『桜龍殲滅斬』。斬撃とともに桜を纏った古龍を召喚し、巨大羊の体を貫いていった。
「これで、終わりですわ」
 舞い散る桜とともに、巨大羊も四散。まるで夢のような光景の中、いくばくかの白毛だけを残し、消滅していった。

 戦闘後。
 特に荒れた部分はなかったが、羊の毛が散っていたので、シルフォードはそれらを掃除した。
「これで綺麗になりましたね」
「そうですね。存分にもふれたので良かったです!」
 ピリカは言いつつ、ついでにプリムをもふもふとして遊んでいた。
 櫻子は眼鏡を外し、汚れを拭いている。クールな印象から童顔で可愛らしくなった櫻子だが、メガネをつけ直すと、少しあっけらかんと言った。
「あの~、お腹すきません? ジンギスカンでも食べに行きませんか?」
「ええっ……羊さんを倒した後にですかっ」
 ピリカがちょっとびっくりすると、櫻子は顎に指を当て首を傾げた。
「少しデリカシーないかしら……」
「まあ、その辺りは好き好きやから……多分」
 千舞輝はそんなふうに言っていた。
「それじゃあ、とりあえず帰ろうか」
 きりも良くなったところでアニーが言うと、皆も頷く。そうして、それぞれの帰る場所へと帰還していった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年9月1日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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