猫のいる街

作者:崎田航輝

「貴方たちに、使命を与えます」
 薄暗闇の中、ミス・バタフライは、配下の螺旋忍軍2体を見下ろしていた。
「この町に、猫専門の動物写真家として暮らしている者が居るようです。街に沢山の猫がいるからか、そういった風景を撮影しているという話ですよ」
 配下の両名は、従順に話を聞き、頷いていた。
 1体は道化師、もう1体は猛獣使いの格好をした螺旋忍軍である。
 ミス・バタフライはその2体へ言葉を続ける。
「そこで、その写真家に接触し……仕事内容を確認・習得。そのあとで、殺害しなさい」
「……了解しました、ミス・バタフライ。一見、意味の無いこの事件も――巡り巡って、地球の支配権を大きく揺るがす事になるのでしょう」
 2体は静かに応えると、風のように去っていった。

「猫さんの写真は、見ているだけでも癒やされるようですね」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は資料を繰りつつ、そんな言葉を零す。
 それから改めて、ケルベロス達を見回していた。
「集まって頂き、ありがとうございます。今回の事件は螺旋忍軍、ミス・バタフライの起こすものです」
 以前より続く、珍しい職業を持つ一般人を狙った事件だ。
 今回はその新たな一件であり……写真家の男性を狙ったものになるという。
「螺旋忍軍は、その男性から仕事内容を習得したあとに、殺してしまおうという目的があるようです」
 これを阻止せねば、巡り巡ってケルベロスにとって不利な状況が発生する可能性が高い。
「そこで皆さんには、この螺旋忍軍の撃破を、お願いします」

 作戦詳細を、とイマジネイターは続ける。
「敵は、螺旋忍軍2体です。場所は宮城県にある、写真家さんのアトリエと周辺の市街地になります」
 この街というのが、小ささに比して猫の数が多いらしい。飼い猫だけでなく道々や野原や港など、そこら中で猫が見られるという話だ。
 写真家は、そんな猫達の風景を撮影しているらしい。
 その男性を警護し、現れた螺旋忍軍と戦うのが目的だといった。
 なお、事前に写真家を退避させると、別の対象が狙われてしまい、結果的に被害を防げない。
「なので、皆さんには、事件の3日前から写真家さんに接触して頂き……猫さん写真の撮影の仕事を教えて貰ってください」
 形だけでも仕事を覚えられれば、螺旋忍軍の狙いを自分達に変えさせることができるだろうといった。
 内容としては、カメラの使い方や撮影テクニックも学びつつ、街で猫を撮っていくという作業となるだろう。
「写真家さんに教えてもらったりしながら、皆さん自身の美的感覚を活かしたり、猫さんの機嫌を窺ったりしつつ色々撮ってみるといいと思います」
 螺旋忍軍の標的を自分達に向けさせる事が出来たら、戦いやすい場所に誘い出すなどして、有利な状況で戦闘を始める事が出来るはずだ。
「では、螺旋忍軍の説明を。道化師風の1体は螺旋手裏剣を、猛獣使い風の1体はエアシューズを装備しています」
 囮作戦が上手くいけば先手が取れる筈なので、頑張ってみて下さいと言った。
「猫さん達とも戯れつつ……仕事も撃破も是非、成功させてきてくださいね」
 イマジネイターはそう言葉を結んだ。


参加者
周防・碧生(ハーミット・e02227)
熊谷・まりる(地獄の墓守・e04843)
リューデ・ロストワード(鷽憑き・e06168)
忍足・鈴女(にゃんこマスタリー・e07200)
上里・もも(遍く照らせ・e08616)
滝・仁志(みそら・e11759)
ヒマラヤン・サイアミーゼス(カオスウィザード・e16046)
鯖寅・五六七(猫耳搭載型二足歩行兵器・e20270)

■リプレイ

●猫の街
 市街地に入ったケルベロス達は、早速、アトリエを訪ねて写真家に会っていた。
「おっす! あちきっす! そしてこいつが羽猫のマネギっす!」
 ふくよかなウイングキャットを抱えつつ、鯖寅・五六七(猫耳搭載型二足歩行兵器・e20270)は元気に挨拶。
 写真家に、螺旋忍軍に狙われていること、職能を学びたい旨を説明していた。
「成る程。協力しましょう」
 それに対し、写真家の男性は、即答。皆のやる気を見てか、早速準備を始めていた。
「よろしくお頼み申し上げっす! 師匠! 師匠と呼ばせてほしいっす!」
 五六七も言葉を返し、準備の手伝いへ。
 こうして、猫の街での日々が始まった。

 皆はアトリエにて、カメラの扱い方の説明を受けていた。
「カメラって、専門店にあるようなのじゃないとだめ?」
 上里・もも(遍く照らせ・e08616)が尋ねると、写真家は、場合によるが道具は良いものに越したことはないと回答。皆に、自身のカメラを貸与していた。
「操作とかも複雑だけど。でも、何をどう撮るかが大事なんだね」
 滝・仁志(みそら・e11759)はメモを取りながら呟く。
 頷く写真家も、一番の上達法は撮ることです、と言う。言葉通りと言おうか、その後の講義は早く終わり、早速街に出て撮ろうという事になった。
「そうこなくてはでござる!」
 忍足・鈴女(にゃんこマスタリー・e07200)はわくわくと、カメラを手にアトリエを出る。
「皆の者、覚悟はいいか? 鈴女はとっくにできてるでござる! では、楽園(パライソ)へいざ!」
 そのまま、皆とともに外へ出向き、街へと躍り出た。
 すると早速、道端や塀の上、屋根など、点々と猫の姿が見え始める。
「少し歩いただけでこの数。本当に、猫の街だ……」
 リューデ・ロストワード(鷽憑き・e06168)は静かな表情ながら、どことなくそわそわとしたように見回している。
 実は下宿先で白黒・三毛・茶トラ・黒の4匹のお猫様と同居中の、猫好きなのである。
「あれをいい感じに撮るんだね。スサノオでも何とかならないかな?」
 と、ももはふと、端正な顔立ちのオルトロス、スサノオに向いていた。
「いいかスサノオ。お前は今日から猫だ。ほらニャーンて鳴いてみな」
 黙すだけのスサノオに、ももは更に迫る。
「ほら鳴け。鳴けよ!! 限界を超えろよ!! 痛い!!」
 声を上げたのは、スサノオに腕をガブリといかれたからだった。ももは、気を取り直すように立つ。
「……やっぱ本物と仲良くなる作戦で行くか」
「そうだよ。皆ももう行ってるよー」
 ももに呼びかけるのは、熊谷・まりる(地獄の墓守・e04843)。アシスタントとして、三脚に照明など、道具類一式を運ぶ役割を担っていた。
 その行先で、鈴女が猫のたまり場を発見していた。
 それは、お寺の境内だ。
 茶毛や黒毛の、長毛やまだら模様。色々な猫が、多数。参道や小石の絨毯の上で群がり、井戸端会議でもしているようだった。
 五六七は楽しげに見回す。
「これは雰囲気も含めて、あちき好みっすね!」
「ふふ、猫さんイヤーは地獄耳……ベストスポットを教えてくれるのでござる」
 鈴女がネコミミデバイスをぴくぴくさせていた。
「仲間までこんなに猫耳率高いなんて、心強いねー」
 と、そういうまりるも、三毛猫の耳を微かに動かしていた。
 そして、皆は最初の撮影へ。基本の分割構図などを活かしつつも、まずは気ままに猫たちを撮っていく。
 五六七はマネギを猫達に紛れ込ませ、交歓をさせてみていた。
 猫達は始め怪訝ながらも、そのうちに何か通じ合ったように、マネギともにゃあにゃあと声を交わしている。
「中々、貴重な場面だな。……と」
 それを撮っていたリューデがふと気づく。猫やマネギに交じり、白の毛並みが美しいヒマラヤン種の猫がいたのだ。
 それは動物変身していたヒマラヤン・サイアミーゼス(カオスウィザード・e16046)。
 猫達に近づこうとしているうち、何故か自身が変身してしまったのだった。
(「あれ? なんで私は撮られる側になってるのですかね……?」)
 毛並みを揺らして思いつつ、しかしカメラのレンズが向くと、逃げたりせず被写体になっていたりするのだった。
 周防・碧生(ハーミット・e02227)は、寺の猫達の足跡をたどるように歩いている。
「どこから、来ているのでしょうね」
 続々と寺に移動する猫を見るに、寺の前のたまり場もありそうだった。
「後でまた、別の時間帯に、来てみましょうか」
 それに、ボクスドラゴンのリアンも、鳴き声を返していた。
 一方、仁志は港へと出ていた。
「わぁ、いい感じだね」
 そこでは波音をBGMに、猫達が過ごしている。漁師に恵んで貰ったらしき魚をつまむものがいたり、昼寝をするものがいたり。
「海をバックに猫がまったりする風景、良さげだね。よーし、猫の魅力をこれでもかと引き出す写真を撮るぞー!」
 早速、カメラを構え、ファインダーに光景を収めていた。

●猫の日々
 初日を終えたケルベロス達は、写真を検分しつつ、構図や撮り方のアドバイスを受けた。
 そして2日目以降、より行動範囲を広げ街を探索する。
 リューデは、公園にて日向ぼっこしている老猫を見つけていた。
「じじさま、ばばさまと呼んでもいいだろうか」
 古いベンチで並ぶ2匹に、リューデはカメラを向けつつ言う。
 2匹はなーお、と鷹揚に鳴いていた。黒白の毛色は薄くなっているが、その代わりに年月の分の落ち着きを感じさせるようだ。
 ここは老猫の集まる場所のようで、他にもゆったりと時を過ごす猫達がいる。
 ベンチの端に腰掛け、リューデはそんな猫達に囲まれた。
「ここに住みたい」
 真顔でぼそりと呟く程に、幸せな時間であった。
 碧生は前日に続き、猫の足跡を追っていた。
「活き活きとした姿に、気侭な姿……何とも心癒されますね」
 朝だからか、餌を探して歩く猫や、未だまどろんでいる猫など、昨日とは違った風景も発見しつつ、寺にいた猫の流れを遡る。
 と、そこで、複数の猫が、蔦の這うレンガのトンネル脇から出てくるのを発見。
「リアン。少し狭いけれど、一緒に」
 言うと、猫に変身して、リアンとともに建物とトンネルの間の細い空間に入った。
(「密かに心躍るのは猫の性か――」)
 思いつつも、トタン屋根の迷路、石造りのアーチ、背の高い草木を越えてそこにつく。
 それは、古びた教会。
 人の手の入っていない空間に、猫だけが数十匹。小さな冒険の末に見つけた猫の世界だった。
 碧生はそれを邪魔しないように、そっとカメラを向ける。この日一番のショットだった。
 その頃、仁志は再び海へ。
 テレビウムのカポに機材を持ってもらいつつ、おもちゃで猫を引きつけていた。
 すると虎柄の猫が、興味深げにおもちゃにパンチ。角度や構図の試行錯誤をしつつ、仁志はその様を撮影していった。
「猫はいいよね……見てるだけで不思議なくらいなごむよねぇ」
 それから、データを確認しつつ笑みを浮かべる。
「うん、撮った猫写真を餌にして可愛いようじょを釣ろうなんて、少しも、これっぽっちも思ってないから。カポはその構えてるバールを下ろしてくれないかなー?」
 と、何かを怪しんでいるカポに対しても、言っているのだった。

「猫よ……猫よ……汝の友を紹介するのだ……。ついでに集会所も教えるのだ……!」
 一方、ももは街角の猫に、神々しい感じで語りかけていた。
 さらに猫じゃらしもちらつかせると、思いが通じたのか、猫達は移動。近くの、子猫などが沢山いる空き地に着いたのだった。
 鈴女はおおっ、と眺める。
「遊び場、という感じでござろうか? 活発な猫が沢山いるでござる!」
「これなら、満足に仕事できそうだねー」
 まりるは機材を下ろし、皆が撮影態勢に入れるようにする。
(「うぉー、あっちにもこっちにも猫ー。壮観だー眼と心の保養だー」)
 まりるの手際はてきぱきとして、事務的とも言える。が、その心中は楽しく、沢山の猫達を愛でるように見回しているのだった。
「じゃあ、早速撮ろうかー」
「はい、今度こそ撮影技術をものにするのですよ!」
 まりるに応えたヒマラヤンは、今日は撮影側に回ろうと猫達に近づいていた。
「よし、ここでマネギ、ゴーっす!」
 五六七は再度、マネギを飛ばす。マネギは贅肉をダルンダルンと揺らしながら、猫と遊び始めていた。
 それ以降、五六七自身は猫にちょっかいを出さず、じゃれ合っている様をそっと撮影。
 鈴女も忍びらしく気配を殺して、毛づくろいやあくびをする猫達の自然な表情を撮っていた。
 それが一通り終わると、ももは再度猫じゃらしを振り、猫達を集めている。
「猫よ……猫よ……この通販で買った猫じゃらしと遊びたければ、我の指定するポーズをするのだ……」
 すると数匹が、言われた通りごろりと寝転ぶ体勢をとった。
(「って、あれ、またいつの間に」)
 ヒマラヤンは、気づくとその中でまたも猫となっていた。
 ももが出すポーズの指示にも自然と従い、招き猫ポーズもしてみたりする。
 ただ、他と雰囲気の違う自分が上手く溶け込む画角や遠近感なども、きちんと確認。後に活かせる技術を獲得しているのだった。
 撮影後、皆は休憩に入る。
「それにしても。任務の遂行……写真技術の習得……。両方やらなくっちゃならないってのがケルベロスの──良い所でござるよねー♪」
 鈴女は上機嫌に、撮影した猫写真データを見直している。
「仕事にかこつけて猫さんの写真取り放題とか! 何とも素晴らしいでござるな」
「うん。だからこそ、ここの人々と、猫達のささやかな日常を、守りたいね」
 まりるも応える。今もその瞳はひたすら猫の姿を焼き付けているばかりではあったが。
 ただ、気持ちは皆も同じである。
 だからこそ、皆は最終日まで技術習得に邁進。作戦の準備も怠らなかった。

●対決
 そして訪れた最終日。
 予知通りにやってきた螺旋忍軍2体を、ケルベロス達はアトリエで迎えた。
 問題なく標的が自分たちに向いていると確認すると、皆は誘導作戦へ。
 とりあえず、鈴女は2体へ猫耳と尻尾を渡した。
「まず被写体……猫の気持ちになる事が大事でござる!」
 全身猫柄の服の鈴女を見て、2体は成る程、とそれを装着。ぴこりと耳と尻尾を揺らす。
「では、早速撮影に参りましょう」
 その後、碧生が外へと先導すると、2体も同行し、皆で野外の開けた場所へ移動した。
 そこは皆で決めた戦闘場。人払いがされており、猫も遠巻きにいるだけだ。
「肝心の猫がほとんど見えないようだが……」
 と、螺旋忍軍は不審がるが、そのときにはもう、遅い。
「悪いけど、撮影会はしないよ!」
 瞬間。背後の仁志がグラビティを集中。氷の粒で青い橋を描く、『空にかける青の橋』で猛獣使いを急襲していた。
「何っ……!」
 たたらを踏む猛獣使いに、その場に唯一いた三毛猫が、薄く光る。
 それは変身していた、まりるだ。
「猫が見たいなら、有り難く拝めよ螺旋忍軍!」
 言う頃には人型になっていたが、まりるはそのまま『疾駆企鵞』。速度を乗せた打撃で猛獣使いを後退させる。
 次いで、ヒマラヤンは九尾扇を仰ぎ、自身のグラビティ能力を増幅。
 リューデが白夜のオーラを纏った蹴撃を猛獣使いに叩き込むと、ももは拳に白い雷を迸らせ、『殲術の瞳』。痛烈な殴打を加えていた。
 碧生がそこを鎖で締め上げると、五六七も『トリモチランチャー』を発射し、猛獣使いの足元を鈍らせている。
「おのれ、ケルベロスか……!」
 猛獣使いはトリモチに苦しみつつも、ようやく気づいて攻撃態勢を取った。
 すると、鈴女が最前衛で盾になっているウイングキャット、だいごろーを示してみせた。
「ふっ……お主らもこの任務を受けたという事は猫好きのはず! ならばこの布陣をどう突破する!」
 何だと、と一瞬呻く猛獣使い。
 だが、惑った挙句に、結局だいごろーを含む前衛に蹴りを喰らわせていた。
「後の猫のために目の前の猫を倒す!」
「だいごろー!」
 震えながら気丈に立ち上がるだいごろーを、鈴女は抱きとめていた。
 敵をきっと睨む。
「……そーれーがー、お主らのやり方でござるかぁー! ええい、お主らに猫写真家になる資格などない! この鈴女、容赦せんでござる!」
 同時、鈴女は跳躍して猛獣使いを蹴り飛ばし、息絶えさせた。
「まだだ、貴様らを殲滅し、技術を奪ってみせる……!」
 残る道化師は、手裏剣を構える。
 が、ヒマラヤンが『コード=ファルケ』を行使。ウイングキャット、ヴィー・エフトのリング攻撃と合わせ、猫模様のミサイルを直撃させていた。
「狙いはわからないのですが、人に危害を加えるなら黙ってはいないのですよ!」
「ああ。守ってみせよう。……人も猫も、街も」
 声を継ぐリューデは、黒色の魔弾を撃ち出して敵の体を穿つ。
 道化師も手裏剣で反撃するが、五六七がそれを庇って吹っ飛んだ。
 倒れ込む五六七、だが、遠くの猫を見て立ち上がる。
「猫さん達……あちきを……応援してくれてるっす!」
 応援、かどうかは微妙だが、とにかく興味深げに見ている猫の視線を感じつつ、五六七は気迫のシャウト。
「五六七ちゃん、私も支援するよ!」
 同時、ももが九尾扇で扇いで回復。
 敵へは、仁志が凍結の光線を撃ち当て、さらにまりるも肉迫していた。
「猫写真家さんを狙う輩には……正義の猫ぱんち!」
 そのまま獣撃拳で転倒させると、鈴女は『猫霊殲滅砲』。巨大猫オーラで追い込んでいく。
 そこへ、碧生が『月喰』。影の如き狼をけしかけていた。
「この地に生きる命と平穏を踏み躙る等、させません。紛れ込んだノイズは、消し去ってしまいましょう」
 道化師は狼に喰いちぎられるように、四散した。

「猫さん達、もう大丈夫だよー」
 戦闘後。まりるが猫を呼び戻すと、リューデも周囲をヒールしつつ、それを迎えた。
「騒がせてすまなかったな」
 にゃお、と応える猫達を背に、皆はその後アトリエへ。
 写真家の無事も確認し、作戦の完了を見ていた。
「警護のためとは言え、3日間の修行、ありがとうございました!」
 まりるが言うと、鈴女は写真家へ連絡先を渡していた。
「是非、今後も情報交換したいでござる!」
 すると写真家も連絡先を教え、改めて皆に礼を言っていた。
 それから皆は、外へ。
 初日よりも沢山寄ってくる猫達を、しばらく眺めている。
「名残惜しいのは解らなくも無いのですが、そろそろ帰るのですよ?」
 ヒマラヤンが言うと、リューデはしゃがみ込む。
「また、遊びに来てもいいだろうか」
 なーおと応える猫達に、まりるも歩き出しつつ声をかけた。
「自分も、また来るからねー」
「……そうですね。必ず、また来ましょう、リアン」
 碧生が静かに言うと、リアンも鳴き声を返す。
 こうして皆は、思い出を胸に抱きつつ、帰路へ。
 背後には暫く、猫達の声が響いていた。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年7月28日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 4
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