カップに注ぐ紅

作者:崎田航輝

「貴方達は、紅茶を飲んだことがありますか」
 薄暗闇の中、ミス・バタフライは、配下の螺旋忍軍2体を見下ろしていた。
「飲み物と言ってしまえばそれまでですが、様々な種類があり、奥の深い分野のようですよ」
 配下の両名は、従順に話を聞き、頷いていた。
 1体は道化師、もう1体は軽業師風の格好をした螺旋忍軍である。
 ミス・バタフライはその2体へ言葉を続ける。
「そこで、貴方達に使命を与えます。この街にいるらしい紅茶の専門家に接触し……仕事内容を確認・習得。そのあとで、殺害しなさい」
「……了解しました、ミス・バタフライ。一見、意味の無いこの事件も――巡り巡って、地球の支配権を大きく揺るがす事になるのでしょう」
 2体は静かに応えると、風のように去っていった。

「綺麗で、いい香りがして……なんとなく紅茶というと優雅なイメージがありますね」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は資料を繰りつつ、そんな言葉を零す。
 それから改めて、ケルベロス達を見回していた。
「集まって頂き、ありがとうございます。今回の事件は螺旋忍軍、ミス・バタフライの起こすものです」
 以前より続く、珍しい職業を持つ一般人を狙った事件だ。
 今回はその新たな一件であり……紅茶の専門家の男性を狙ったものになるという。
「螺旋忍軍は、その男性から仕事内容を習得したあとに、殺してしまおうという目的があるようです」
 これを阻止せねば、巡り巡ってケルベロスにとって不利な状況が発生する可能性が高い。
「そこで皆さんには、この螺旋忍軍の撃破を、お願いします」

 作戦詳細を、とイマジネイターは続ける。
「敵は、螺旋忍軍2体です。場所は、静岡県にある、紅茶専門店になります」
 その店は専門家の男性が1人で営んでおり、男性が店主でもある。
 その男性を警護し、現れた螺旋忍軍と戦うのが目的だといった。
 なお、事前に男性を退避させると、別の対象が狙われてしまい、結果的に被害を防げない。
「なので、皆さんには、事件の3日前からこの店主さんに接触して頂き……紅茶についてのお仕事を教えて貰ってください」
 見習い程度の仕事が出来れば、螺旋忍軍の狙いを自分達に変えさせることができるだろうといった。
 覚えるべきは接客などの仕事よりも、紅茶の知識や入れる技術といった部分だろうという。
「どんな種類があって、どう入れればプロの味になるのか、といったことを教えてもらうようにすれば、螺旋忍軍を騙す程度の技術は身につくと思いますので、頑張ってみて下さいね」
 螺旋忍軍の標的を自分達に向けさせる事が出来たら……戦いやすい場所に誘い出すなどして、有利な状況で戦闘を始める事が出来るはずだ。
「では、螺旋忍軍の説明を。道化師風の1体は螺旋手裏剣を、軽業師風の1体はエアシューズを装備しています」
 囮作戦が上手くいけば先手が取れる筈なので、頑張ってみて下さいと言った。
「美味しい紅茶も楽しみつつ……仕事も撃破も是非、成功させてきてくださいね」
 イマジネイターはそう言葉を結んだ。


参加者
シィ・ブラントネール(水底のアヴローラ・e03575)
葉月・静夏(戦うことを楽しもう・e04116)
ルイアーク・ロンドベル(狂乱の狂科学者・e09101)
クレーエ・スクラーヴェ(白く穢れる宵闇の・e11631)
カッツェ・スフィル(黒猫忍者いもうとー死竜ー・e19121)
ウェイン・デッカード(鋼鉄殲機・e22756)
上里・藤(レッドデータ・e27726)

■リプレイ

●入門
 静岡県の紅茶専門店。ケルベロス達は、その近くまでやってきていた。
「じゃあ、僕は一旦離れていようかな」
 その道中、ウェイン・デッカード(鋼鉄殲機・e22756)は足を止めていた。ひとまず戦闘予定箇所の下見なども兼ねて、皆と離れるためだ。
「また後で、よろしくッス」
 上里・藤(レッドデータ・e27726)が言うと、ウェインは頷いて、道を歩いていく。
 それから皆は、改めて紅茶店へ向かう。
 そこで店主に事情を説明し、3日間の修行につくことを了承してもらったのだった。

 アンティーク調の紅茶店内。
 その奥には、種々の茶葉が保管されている広いスペースがある。
 その横に位置する居住スペースに入り、皆は紅茶について教授してもらうことになった。
「プロの技を学べる貴重な機会だし。色々身につけたいから、よろしくね」
 クレーエ・スクラーヴェ(白く穢れる宵闇の・e11631)が改めて言うと、店主の男性も、こちらこそよろしくお願いします、と丁寧に頭を下げていた。
 葉月・静夏(戦うことを楽しもう・e04116)は並んでいる茶葉を見回して言う。
「私も、緑茶ばかりであまり飲まないから、沢山勉強したいな。はじめにどうすればいいのかな?」
「基本は緑茶を入れる手順に似ていますが、諸々、独自のルールがあります」
 店主は応え、説明がてらに、まずシンプルな紅茶を入れ始めた。
 皆はその工程を熱心に、確認する。
「カップは温めておくんですよね」
 藤の言葉に店主は頷く。
 湯を使い、同様にポットも温めておく。これらは紅茶の温度を保つためだ。
 なお紅茶に使う水は、軟水かつ空気が多く含まれる、汲みたての水道水を使う。
「その方が、美味しさが抽出出来るんですね。っていうか、これが紅茶のポットか……」
 藤は感心したように、専用のティーポットを見る。
 カッツェ・スフィル(黒猫忍者いもうとー死竜ー・e19121)も頷いていた。
「カッツェ達が練習した時は急須だったもんね……。コーヒーフィルターなんかも使って、やっぱりあれは間違ってたね」
「うん、あれはなんというか、セイロン汁だったもんな」
 藤とカッツェは、上里家での思い出を省みていた。
 なお、カッツェはヴィクトリアンメイド服姿だ。紅茶店の雰囲気とも合って、可憐な佇まいである。
 基本的な工程を一通り教わると、皆で試しに入れていく段になった。
「レトラ! 準備はいいかしら!」
 シィ・ブラントネール(水底のアヴローラ・e03575)は気合いを入れるように、シャーマンズゴーストのレトラにもポットを持たせている。
「気高きフランスの青き血と偉大なる聖王女様の意思に続くものとして! そしてそんなワタシの最高の執事として! 紅茶の真髄を脳髄と魂に刻みつけるわよ!」
 シィは元々紅茶党でもある。執事であるレトラと共に、気合いは充分だった。
 茶葉は好みもあるが、1カップ辺り2グラムほどの分量。それを入れたポットに、100度寸前まで沸騰させた直後のお湯を注ぐ。
 すると、透明なポットの中で、茶葉がよく対流し、色味もよく出るのだった。
 5分ほど蒸らした後、茶こしで紅茶は注がれる。
「やっぱり、ちゃんと教わると、ぜんぜん違うね」
 その液体を見て、カッツェは声を零す。きちんと抽出された紅茶は、名の通り紅く、綺麗だ。
「うん、中々いいね」
 自分でも入れた後、口をつけて呟くのは、ロザリア・シャルクハフト(黒翼・e36943)。
「改めて丁寧に入れると、悪くない」
 ロザリアも、元々紅茶は趣味である。だからこそ専門家の手際が洗練されていることも、よくわかっていた。
 クレーエも、紅茶を飲みつつ言う。
「こうすると、紅茶って、美味しいなって思うよね」
「うーん、こっちは温度が足りないんだね」
 と、その横で静夏は、沸かし過ぎても駄目という湯の具合に苦戦中。ただ、ポジティブさも手伝って、手は止めずに、楽しみながらどんどんとトライしていた。
「香り高く、芳醇な味わい。素晴らしいですね」
 出来上がりを堪能して目を閉じているのは、ルイアーク・ロンドベル(狂乱の狂科学者・e09101)だ。
 いろいろな茶葉で試しながら、紅茶の魅力にハマっていた。それから店主に言う。
「私は、この知恵と科学力で、設備などについて助力しましょう。何かありますか?」
 店主はそれなら、と、ポットや道具類の改良などを頼んでいた。
 こうして、初日は基本を学ぶことで、暮れていった。

●成長
 日が過ぎると、ケルベロス達も基本的な技術が身についてきていた。
 2日目以降は、より多様な飲み方についても学んでいく。
「フランスではフレーバーティーが盛んなのよ。だから、是非改めて学びたいわ!」
 と、シィの言葉を機に、まずは幾つかのフレーバーティーについて教えを受ける。
 フレーバーティーは、精油で着香してあるものや、果実や花の香りを吸収させてある茶葉を使う。だけでなく、果実や花そのものであるピールをブレンドし、香りを調節する。
「茶葉は多めに、きちんと紅茶の味と香りを抽出するのが大事というわけだね」
 ロザリアは熱心に、果実のフレーバーティーを入れている。フレーバーを活かしつつ、且つ紅茶が渋くならないような抽出が必要だった。
 抽出中の紅茶を見るロザリアは真剣だ。
 ロザリア自身は、ここまで紅茶に拘る理由を自分でわかってはいない。ただ、ふと自身のビハインド、アルマのことを考えると、何か喪った面影を追い求めるかのように、紅茶に没頭したくなるのだ。
「さぁ、レトラも、入れてみるのよ!」
 シィの言葉に敬々しく、レトラはアプリコットのフレーバーティーを注ぐ。
 すると、甘酸っぱい香りと紅茶の豊かな香りが互いを高め合い、芸術的な芳香を漂わせていた。味は、仄かな甘味も相まって、得も言われぬ美味だった。
「紅茶なら勿論、ミルクティーも大事だよね」
 と、クレーエが言いつつ学ぶのはミルクティー。
 こちらは牛乳の風味に負けないように紅茶を長めに蒸らし、濃いめに抽出する。それからカップに注いだ牛乳の上に紅茶を入れて完成だ。
「これなら、喜んでくれるかな」
 と、自分で入れたそれを飲みつつ、クレーエは彼女のことを考えているのだった。
 皆が作業を続けていると、店内に客として入ってくる者があった。ウェインである。
「すごくいい香りがするね」
 ウェインは修行に参加するというより、あくまで客を装っての来店だ。
 店主も事情は把握しており、ウェインは客の体裁は取りつつ、状況確認も兼ねて皆の入れた紅茶を飲んでみていた。
「どれもいいね。ストレートティーが美味しく入れられているからなのかな」
「私も、ストレートは上手く入れられるようになったよ」
 と、言ってみせるのは静夏。
 ポットからカップに注ぐ紅色は美しい。静夏の攻性植物、だんしんぐひまわりも、蔓を伸ばしてその紅茶を吸うようにしているのだった。
「色味が綺麗といえば、マロウブルーティーについて勉強したいな」
 カッツェは、そう店主に教えを請う。それはハーブティーの一種だが、紅茶の色味付にも使われる事があるものだ。
 早速、店主と一緒に作っていく。マロウブルーの茶葉は1人1グラム、花では10片ほど。
「熱湯だと紅茶と同じくらいの抽出時間で……水出しだと少しかかるけど、青色が長く保つんだね」
 カッツェは工程を確認しつつ丁寧に作業する。出来たそれは透き通った青色で、レモンを入れると綺麗なピンクに変わるという、美麗な茶だった。
「ストレートもフレーバーも。どれも美しくて美味ですねえ」
 ルイアークは初日に引き続き、紅茶を気に入ったように、種々の物を試していた。
「まさに天才たる私に相応しく。優雅な飲み物……ではないでしょうかねぇ?」
 その表情はご満悦。中でも気に入りはアッサムだ。
 ちなみに科学面でも助力し、茶葉の対流度合いを調節できるポットなどを開発、提供していた。
「こうしてみると、本当にいろんな種類があるんだな……」
 藤は改めて、種々の紅茶を眺める。
「高校だとペットボトルの紅茶をみんな飲んでたりしてたけど、あんまり今まで深く意識したこと、なかったかもしれないな」
 だからこそいくつも発見があった、と藤は思う。
 皆も同じ気持ちで、最後の日まで、修業を続けていく。

●包囲
 そして、とうとう作戦最終日。
 予知通り、螺旋忍軍2体が店にやってきていた。
 これに対し、ケルベロス達のうち、シィ、カッツェ、藤、ロザリアの4人が対応。専門家として、問題なく螺旋忍軍を師事させる事ができていた。
 そうして暫し仕事をした後、4人はタイミングを見て、螺旋忍軍を外へ連れ出した。
「まずは茶葉の買い付けからだから」
 と、藤のその言葉に疑うでもなく、螺旋忍軍は一緒についてくる。
 そのまま、待機組のケルベロスが待ち伏せている野外の開けた場所へ、誘導されたのだった。
「? こんな所で茶葉の買い付けを……?」
 そして、螺旋忍軍はここに来て初めて不審がる様子を見せる。
 が、そのときにはもう遅い。
「悪いけれど。仕事の時間はもう終わりだよ」
 言葉とともに、陰から跳び出たウェインが肉迫。空間を歪曲させながらの刺突、『天蝎の刺刑』により、軽業師を後方から穿っていた。
 がっ、と声を上げた軽業師に、静夏も接近。標識斧を大きく振りかぶる。
「これでも喰らいなよっ! えいっ、ルーンディバイドっ!」
 振り下ろされたそれが、軽業師の脳天に直撃。
 ふらつく軽業師は、事態を把握しようと間合いを取ろうとするが、その横合いからカッツェが、黒猫と番犬の銘を持つ二振りの大鎌を構えていた。
「全然、遅いよ」
 瞬間、降魔の力を宿した斬撃。軽業師は肩から血を流し膝をついていた。
 この間に、クレーエは乙女座の意匠を保つ剣を掲げ、星々の光を仲間へ展開。防備を固めていた。
「これで、作戦は成功って感じだね」
「おのれ……貴様ら、ケルベロスか……!」
 クレーエの言葉に、螺旋忍軍は憎らしげに呻いている。
「あと少しで、技術を奪えると思ったものを……!」
「色々なことを見て、経験すること自体は、たぶん良いことだよね」
 するとウェインが、言葉を返す。
「でも、人の命はこの星の未来……だからね。学ぶだけならともかく、殺すまでいくなら、それはダメだ」
「そうよ! 命は勿論、紅茶文化に傷一つつけさせないわ!」
 声を継いだシィは、レトラの爪撃とともに、魔弾を無数に生成。蒼い軌跡を描かせながら、全弾を軽業師の体に命中させていた。
 呻きつつも、軽業師は立ち上がりこちらに向かう。
「関係ない、我らは使命を全うするのみだ!」
「騒々しいですね」
 と、ルイアークがティーカップを手に、鋭い眼差しを向けていた。
「折角飲み始めたのに、冷めてしまいますよ。せめて、飲み干すまで――お待ちいただけませんかね?」
 瞬間、瞳から放たれるのは、第一大罪禁呪『傲慢なる眼差し』。その電磁波による思念の上書きで、軽業師は恐怖に立ち止まる。
 そこへ、藤が『颶の畏れ』。足へ風の塊を渦巻かせ、強烈な蹴撃を叩き込んだ。
「今ッス! 攻撃を」
「了解したよ。さぁ、アルマ、行くよ」
 応えるロザリアは、ここで合流したアルマと共に敵へ。アルマが空色の髪をなびかせ、軽業師を金縛りにすると、ロザリアは大鎌・Kaliに炎を纏わせる。
「歌え。命の散華を」
 直後、心臓部を両断。『簒奪するは命の華』、その力で軽業師は悲鳴も上げず絶命した。

●決着
 螺旋忍軍は、道化師ただ1体となっていた。
「まさか不意を打たれるとは……だが、貴様らなど1人で充分!」
 悔しげに唸る道化師は、しかしすぐに反撃態勢を取り、手裏剣を取る。
 そこへ、静夏が走り込んでいた。
「うん、そのくらいのほうがこっちも楽しいよね」
 と、戦闘中も絶やさぬ笑顔で、静夏は敵の眼前へ。
 だんしんぐひまわりを肩で陽気に踊らせつつ、凍結の頭突き攻撃『瞬間冷凍西瓜割り』をお見舞いした。
「隙だらけだわ!」
 たたらを踏んだ道化師に、シィはガラスの魚のようなファミリアを解放。敵の腕部に攻撃を集中させる。
 血を流し、手裏剣を取り落とす道化師。だが、すぐに拾い上げつつ、手裏剣の雨を降らせてきた。
 それは前衛を広く襲ってくる、が、シィのダメージはレトラが庇い、静夏への衝撃はカッツェが庇っていた。
「ふふっ。痛ったいなぁ」
 カッツェは不敵に笑い、鎌を掲げる。
「その攻撃力とカッツェの生命力、どっちが上かな?」
 瞬間、反撃に生命を奪う斬撃を喰らわせた。
 それで手裏剣の雨が止むと、藤がオーラを集中し、即座にレトラを治癒している。
「他の方の回復、お願いします!」
「わかったよ。ちょっと待っててねー」
 藤にクレーエも応え、白基調の執事服が水色に染まるような、眩い光を放つ。
 それはSict《Lacrima Margarita》。幻影の人魚姫『Perie』を召喚し、美しい雫を滴らせて、ダメージの波及していたロザリアを治療した。
「ありがとう。……アルマ、無事だね」
 ロザリアはアルマが倒れなかったことを確認すると、体を光粒子に変遷させる。
「待っていてくれ。今すぐ、跡形もなく敵を焼き尽くす」
 同時、敵へ怒りを向け、視認できぬほどの速度で突撃。道化師を吹っ飛ばす。
 そこへ、ウェインが金属の大槌を向けた。
「これで、戦いも終わりにしようか」
「ええ。ティータイムの邪魔も、ここまでですよ」
 応えるように、ルイアークは、オーラを流し込んで敵の体表を内から裂いていく。
 直後、ウェインの放った砲弾が直撃。螺旋忍軍は爆炎とともに、千々に散っていった。

「黒猫、番犬、美味しかった?」
 カッツェは自身の得物に語りかけつつ、戦闘態勢を解いている。
 皆も息をついて、周囲をヒール。
 店に戻って店主の無事も確認し、数日に渡る作戦の終了を見ていた。
「この紅茶も中々に美味しかったです……誰が淹れたのでしょうか?」
 ルイアークが戦闘に持参していたカップを置くと、皆は見合う。
「紅茶は皆入れてたッスからね。なんならもう一回入れ直してみるッスか」
 藤が言うと、店主も、それならこちらもお礼にごちそういたしますよと提案。皆で再び紅茶を囲むのだった。
「皆で飲むと、一層美味しいという気がするね」
 ウェインが飲みつつ言うと、クレーエは頷く。
「また、続きを教えてもらいたいな」
「僕もまだ勉強したい事がある。出来れば、通わせてもらいたいね」
 ロザリアも言うと、店主は、教えられることはいつでも教えますよ、と快く応えていた。
「大変だったけど、楽しかったね」
 静夏が言うと、皆は頷く。
「じゃあ、帰りましょ!」
 そのうち、シィの言葉を皮切りに、皆は外へ。
 店主に見送られつつ、それぞれの帰る場所へと帰還していく。
 平和な空のもと、吹く風にはかすかに、紅茶の爽やかな芳香が混じっていた。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年7月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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