ドルイドのもふもふ魔法

作者:崎田航輝

 緑の植生が美しい森の中。
 1人の少年が、きょろきょろと見回すようにしながら、歩いてきていた。
「この辺りだよね……“ドルイドの幽霊”さんがいるのって」
 木々の間でひとりごちるように言うのは、聞いた噂の話。
「自然の中で生きるドルイドっていう人たちがいて……現代ではいなくなったはずだけど、実は近世まで生きてて、その幽霊が今も森の中で暮らしてる、だっけ」
 それがまさにこの森らしい、という噂だ。
「それに、すごい魔法を使うんだよね。可愛い動物さんをたくさん召喚して、相手をやっつけるっていう……」
 自然に造形の深いドルイドは、動物と会話し、動物を操る……そんな話も聞いている。
 森の民、自然の魔法……そんなファンタジーなイメージに興味をいだき、探しに来ていたのだ。
「生きた人間を見つけると、森を傷つける者なんだと思って、襲ってくるらしいけど……」
 それでも見てみたい、そんな気持ちで探索を続けるが……。
 現れたのは幽霊ではなく、1人の魔女だった。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
 背後に降り立ち、手に持った鍵で、少年の心臓をひと突きする――第五の魔女・アウゲイアスである。
 少年は意識を失い、森の中に倒れ込んだ。
 すると奪われた『興味』から――布のローブを羽織った、神官めいた少年が現れる。
 その神官は、ヤドリギの杖を振るうと、そこにウサギ、犬、猫、羊、狐に狸……様々な動物の影を召喚していく。
 もこもことした毛並みの動物たちに囲まれた神官は……そのまま歩き出し、森の中に消えていくのだった。

「動物と会話できると聞くと、なんだか少しうらやましい気もしてしまいますね」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は、集まったケルベロスにそんなことを言っていた。
 それから、改めて説明を続ける。
「今回は、ドリームイーターの出現が予知されたことを伝えさせて頂きます。第五の魔女・アウゲイアスによる、人の『興味』を奪うタイプのもののようで――森にて、少年の興味から生まれるようです」
 放置しておけば、ドリームイーターは人間を襲ってしまうことだろう。
 それを未然に防ぎ、少年を助けることが必要だ。
「皆さんには、このドリームイーターの撃破をお願い致します」

 それでは詳細の説明を、とイマジネイターは続ける。
「敵は、ドルイドの姿をしたドリームイーターが、1体。場所は森の中です」
 緑の豊かな森であり、かなりの植生がある。
 足場の悪い場所もあるが、戦闘場所に限っては、それなりに平坦な場所であるという。木々は多いが、それで不利になるようなこともないだろうと言った。
 また、現場に少年以外の一般人の姿はない。
「その周囲で誘き寄せるための行動を取れば、ドリームイーターは現れてくれるはずです」
 このドリームイーターは、自分の事を信じたりするものに引き寄せられる性質があるので……誘き寄せにはドルイドの噂話をするといい。森の話や、ドルイドの召喚しそうな動物の話をしても、引き寄せられる確率は上がるだろう。
「ドリームイーターを倒せば、少年も目を覚ますことが出来るので心配はないでしょう」
 敵の能力は、動物を召喚して突進させる近単武器封じ攻撃、動物をけしかけて正気を奪おうとする遠単催眠攻撃、動物の群で身動きを封じる遠列パラライズ攻撃の3つ。
「動物は可愛いかもしれませんが……敵は、敵ですので。是非、撃破を成功させて来てくださいね」
 イマジネイターはそう言葉を結んだ。


参加者
安曇・柊(神の棘・e00166)
シェナ・ユークリッド(ダンボール箱の中・e01867)
鎧塚・纏(アンフィットエモーション・e03001)
イアニス・ユーグ(金鎖の番犬・e18749)
柚野・霞(瑠璃燕・e21406)
ヒエル・ホノラルム(不器用な守りの拳・e27518)
レヴィア・リヴァイア(海星の守護龍・e30000)
ティティス・オリヴィエ(蜜毒のアムリタ・e32987)

■リプレイ

●自然楽園
 澄んだ空気の満ちる、森の中。
 ケルベロス達は木々の間を歩き、現場を目指していた。
「なかなか良い森だ」
 ヒエル・ホノラルム(不器用な守りの拳・e27518)は蔦や花々を眺め、言葉を零す。
「これでドリームイーターが現れないのであれば、森林浴をするのに良さそうな場所なのだが」
「そうだね」
 頷きを返すのは、ティティス・オリヴィエ(蜜毒のアムリタ・e32987)。
「可愛い小動物を召喚するドルイドっていうと、随分と可愛らしいけど。人に危害を加える前になんとかしないとね」
「そうデスネ。そのためにも、マズは必要なことを、するとしまショウ」
 レヴィア・リヴァイア(海星の守護龍・e30000)は応えながら、前方に視線を注いでいる。
 丁度、歩いたその先。
 到着した現場の地面に、意識を失った少年が横たわっていた。
「とりあえずは、ココにいて頂いて。ワタシ達は少し進みマショウ」
 レヴィアは少年の上体を起こして、木に背を預けさせてあげる。
 それから、少年に被害が及ばない位置まで移動して作戦を始めることにした。
 すなわち、敵を誘き出すための噂話だ。
「さて、この辺りに、いるのよね?」
 始めに鎧塚・纏(アンフィットエモーション・e03001)が口を開いてみせる。
 すると柚野・霞(瑠璃燕・e21406)はそれに頷いた。
「ええ。ドルイド、というと、古代ケルトの魔術師、でしたよね。森に生きた賢者とか」
 霞は周囲を見回しながら、言葉を続けていく。
「これでも魔術師の端くれですから、どのような存在なのか気になります」
「動物を召喚して戦うって話なんだろう。その点、俺も気になるな。……もふもふ的な意味で」
 イアニス・ユーグ(金鎖の番犬・e18749)もその影を探すように周りを窺う。ただ、作戦であると同時に、本心から気になっているようでもあった。
「是非にそのお手並みを拝見したいものだ。……もふもふ的な意味で」
「確かに、小動物を自由に召喚できるなんて夢のようだね」
 ティティスもまた、動物に関しては興味を見せつつ、言葉を継ぐ。
「きっと、小動物が好きでもふ魔法を極めた、無類のもふもふ好きドルイドだと思うんだ」
「そうですね。生き生きした森にもふもふいっぱい引き連れた神官さん。とってもすてきです」
 シェナ・ユークリッド(ダンボール箱の中・e01867)は朗らかにそれに頷いていた。
 どこか柔らかな、マイペースな笑みを浮かべたままに、続ける。
「ふかふかの鳥さんとかリスさんとか連れてらっしゃるんでしょうか?」
 すると話の途中で、不意に木々の向こうから、動物達の鳴き声がした。
 それは子犬や子猫のような、可愛らしい声でもある。
 纏はそれに気づきつつも、声を止めず噂を繋いだ。
「動物とお話したり、使役してすっごーい魔法を使ったりするなら、憧れる子が多いのもわかる気がするわ」
「僕達みたいに、普段からファンタジーになってしまっている存在からすると、少し、分からない部分も、あるんですけどね……」
 安曇・柊(神の棘・e00166)も応えるように言う。
 森の奥からは、何かががさがさと移動する音が聞こえている。
 柊は少しおどおどとそれに警戒しながらも、続けた。
「ぼ、僕の知り合いにもドルイドと言える子はいますけど。こ、ここにいるドルイドは、どのような感じなのでしょうね……」
「ここにいるからこそ、自然を大事にしてるのは間違いないと思うわ」
 纏は言って、木々を仰ぐ。
「自然を傷つけない様に戦わないと、ドルイドに人身御供にされちゃうかも! なぁんてね」
「気をつけねばな。俺も魂現拳で走り回れば、炎で意図せず森を傷つけてしまうかもしれん」
 ヒエルの言葉に、ライドキャリバーの魂現拳も駆動音を轟かせてみせる。
 すると、その音に負けないような、沢山の生き物の足音が接近してきた。
 ばさりと木々を縫って現れたのは、ローブを纏った神官の少年。
 そしてそれに追随するように、周囲を取り囲む、群団。
 子犬に子猫、ウサギ。もっふりとした毛並みを蓄えた動物の、大群だった。

●動物達
「っしゃもふもふ召喚士来た。って、うおおお!? ものすごいもふもふだ!」
 戦闘態勢を取っていたイアニスは、動物の群を目にして、驚きとともに喜びを浮かべている。
「もふもふ……これは間違いなくもふもふだ」
「確かにコレは興味深いデスネ」
 レヴィアも、木々の間を駆けてくる猫たちを見つめつつ零す。
 海と海に育まれるものを愛するレヴィアだが、それゆえに陸上生物も愛情の対象でもある。
「海棲生物にも関わりがあってくれレバ嬉しかったデスガ……! これはコレデ、とても素晴らしいデス……!」
「どさくさに紛れてもふもふを抱っこしてみたくもあるけど。そう言っている場合でもなさそうかな」
 ティティスは言いながら、大槌を構えている。視線の先では少年神官も、臨戦態勢に入っているところなのだった。
「うむ、倒すべき敵が出てきたのならば、やることはひとつだ」
 言葉とともに、手元に氣を収束させているのはヒエルだ。
 煌々と光らせたその氣を、ティティスに触れることで流し込む。『氣貫掌底』、この法により注がれた氣で、ティティスのグラビティの力が飛躍的に増していく。
 霞も頷いて、魔術書へ魔力を集中していた。
「ええ。ドルイドの魔術、お手並み拝見と行きましょう。ブエルよ、50の軍団を統率する地獄の長官よ。癒しの力を──!」
 詠唱とともに行使するのは『10番目の悪魔:五脚の星辰』。悪魔の一柱、ブエルによる力で、霞は初手、自身の癒しの力を高めていく。
 この間に、ティティスは増したグラビティを込め、砲撃。白銀の髪と、それを飾る紫の毒の華もたなびかせながら砲弾を発射し、神官の足元を穿っていた。
 柊は纏とともに、神官の上方へ飛翔している。
 その表情は、根っこにある真っ直ぐで強い部分が現れたように、先程よりも引き締まっていた。
「よ、鎧塚さんは、逆側から、お願いします……!」
「わかったわ。それにしても、もふもふ……ふわふわ……って、いけないいけない」
 一方、纏はウサギや猫が戯れているの見て、思わず表情を緩めている。
 しかし、攻撃となれば手は抜かず、柊の対角から宙で一回転して、強烈な踵落とし。
 同時に、柊は旋回するような軌道から、回し蹴りを打ち込み、神官を後退させていた。
 次いで、イアニスもパイルを打ち込み、追い込んでいく。
 だが神官もすぐに反撃に移り、杖を掲げる。すると、白ウサギと子犬達がヒエルに向けて走り込んできた。
 だが、そこにイアニスが滑り込み、盾となっている。
「むう、これは。なんという破壊力だ……!」
 小動物に全身をもふもふされ、イアニスはダメージ、だけではない感覚もあって半ば倒れそうになる。
 だが、シェナがそこへ、白く輝く美しいオーラを形成。イアニスに撃ち当てることで体力を回復させていた。
 シェナは間合いを取って眺める。
「もふもふの誘惑は強敵ですね。ふわふわを手駒にしちゃうなんてドルイドさんはおそろしいやつです」
「そうだなもふもふだな」
 イアニスは健常さを取り戻してもよくわからない返答をしていた。
 一方、レヴィアは風を掃いて神官へ接近している。
「あれだけの動物と戯れらレルとなると、攻撃されているのに羨ましい気もしてしまいマスネ」
 レヴィアもまた、動物には気を取られつつも、槍を構える。
 瞬間、その穂先へ苛烈な雷鳴を宿すと、かすかに目を細め、神官に向いた。
「だが、其れでも仮初には違いあるまい。ならば、汝自身が如何なる存在か、今一度その身に知らしめてやるとしよう!」
 放たれるのは、雷撃伴う、眩いまでの刺突。神速の一撃は神官に直撃し、その体を宙へ吹っ飛ばしていった。

●もふもふ
 空中へ煽られた神官だが、羊と狸の群れをクッションにするように着地。すぐに体勢を直してきていた。
「ああして見ると、便利な能力だな」
 ヒエルがなんとなしに言うと、纏は強く頷く。
「そうよ。好きな時にもふもふなんて、凄まじい能力だわ」
「そうだな。もふもふは独り占めさせん!」
 と、イアニスが応えるように、疾駆していた。
 そのまま羊や狸にもみくちゃにされる感触を味わいながらも、神官の姿はきっちりと捉え、攻性植物で縛り上げる。
 そこへ、纏が魔法の光を生み出し、光線上に発射して動きを鈍らせた。
「柊ちゃん、今よ」
「わ、分かりました……畳み掛けます……!」
 纏に返しながらも、柊は懐中時計・Speraに思いを込める。瞬間、遠隔の爆破攻撃が神官を襲い、衝撃で体を木に叩きつけさせた。
 だが、神官も同時に、強い魔力を放出していた。
 すると、辺りにいた動物がまとめて動き出し、前衛の身動きを封じようと押し寄せてきた。
「これはなんとも、凄いね──」
 辺りを埋め尽くすような群れに、ティティスは少し声を零す。ダメージこそ無いが、動物はティティスの辺りまで溢れている。
 シェナも子犬にウサギ、リスやふくよかな小鳥などにぎゅうぎゅうにされている。
「うふふ。とってもふかふかです」
 この間もシェナは、宙にプリズム光を放つ『闇穿つ光条』を行使して神官にダメージを刻んではいる。だが、そこから生まれる静電気が原因で、ふわふわの毛や羽がいっそう、体中にくっついてきているのだった。
 シェナがそれにうっとりとしていると、レヴィアもまた、動物たちにメロメロになったように、もふもふとされている。
「愛しい生き物達。ソレを間近で感じるようデスネ」
「これが、もふもふ天国か……もふもふ……」
 猫達の下敷きになっているイアニスは、その中で篭った声を零していた。
 一方、纏も犬をふかふかしつつも、名残惜しげに言う。
「なんだか幸せ、って、うぅ、いつまでもこうしていられないのよね」
「ええ。体力の方は、いま回復させていただきますね」
 霞がそれに頷いて、魔力を生み出している。
 瞬間、オーロラの如きまばゆい光が辺りを満たした。それが前衛の皆を包んでいくと、体力が治癒されるとともに、催眠効果も薄まっていく。
 さらに、ヒエルも霊力を宿した紙兵を撒くことで治癒を進め、皆を万全状態に保っていた。
 それに驚いてかどうか、動物たちは引いたように神官の周囲に戻っていく。
 纏は残念そうに手を伸ばしていた。
「う、うう、もふもふが……! 柊ちゃん、あとで冬苺ちゃんもふもふさせてねぇ……!」
「わ、分かりました……冬苺、えっと、今はとにかく攻撃を」
 柊が応えると、雪の様に白い長毛のウイングキャット、冬苺が神官にリング攻撃を当てていた。
「では、こちらも反撃だ。魂現拳、頼むぞ」
 さらに、ヒエルの声に呼応して、魂現拳も全速で疾駆し、スピンに神官を巻き込んでいた。
 たたらを踏む神官は、再び反撃を試みようと杖を握り直す。
 だがそれに先んじて、ティティスも攻勢に移っていた。手を突き出すと、赤々と燃える炎弾を生み出し、神官の杖から手元までもを燃やしていく。
「このまま、連撃を頼めるかな」
「了解しマシタ。一気に、防御を突き崩してみせまショウ」
 ティティスに応えるレヴィアは、短い時間差で肉迫。エクスカリバールを横一閃に振るい、神官の体表を引き裂いていった。

●決着
 倒れ込んだ神官は、流血しながらも、起き上がっている。
 杖から魔力を発して動物たちを集め、身を固めるように守らせてもいた。
 だが、イアニスは地獄の火種を手元に集中させると、針の穴を通すように投げ放つ。
「この俺が、もふもふを傷つけると思うなよ!」
 言葉通り、それは違わず神官だけに命中し、毒のように体内を蝕んでいく。
 神官は再度動物をけしかけようとするが、そこへ、シェナが魔弾を生成していた。
「そうですね。動物さんは、できるだけもふもふのままでいてほしいです」
 同時、こちらも正確な狙いで魔弾を放ち、神官の腕を凍結させていく。
 神官はそれでも、必死の様相で杖を振るい、子犬達を突撃させてきた。
 だが、飛び跳ねてくる犬達を、レヴィアは右に左に飛翔して回避。神官までの距離を詰めて、深海水から極細の刃を生成していた。
 その力は、『渦巻く海竜の薄刃』。縱橫に走らせた剣閃が、神官の防御をさらに弱めていく。
「今デス。攻撃を」
「ええ、分かりました。手加減なくいかせてもらいますよ」
 言って、地を蹴ったのは霞。避けようとする神官に追いすがり、大鎌を縦一閃に、深い斬撃を与えていた。
 ふらつく神官は、いっそう魔力を込め、動物を召喚。
 大きめの猫を複数生み出して、一気に突進させてきた。
 だが、そこに冬苺が羽ばたいて飛ぶ。そのまま自らの身体で衝撃を受け止めると、直後には、ヒエルが濃密な氣を集中させている。
 ヒエルの飛ばした氣は、冬苺の体に溶け込むように作用すると、光を伴って傷を修復。気力を充実させていた。
「後は、頼んだぞ」
「は、はい……!」
 ヒエルに応え、敵へ接近するのは柊。神官が再び魔力を集中しようとするところに手を伸ばし、ブラックスライムを放っている。
 柊の右手には、繊細な細工のリングブレスレットがある。恋人のためにも強くなりたい、その想いと共に攻撃の力を強めると、指輪とつながる鎖が揺れ、木漏れ日を微かに反射してきらめいているようだった。
 後退した神官へ、纏は『盲愛浸透圧』。
 これまでの戦闘で敵へ浸透させてきた魔力の同調を、今ここで完成させる。
「これで、届かせるわ」
 瞬間、拳を振るうと、噛み合った魔力の波長を通して、発火。神官の体内から爆裂するような炎を燃え上がらせた。
 動物達も神官を守ろうとしたが、ティティスがそこへ『氷華絢爛』を行使。
「可哀想な気もするけれど、これも仕事なんだ。ごめんね?」
 同時、美しい氷の精霊が現れ、氷嵐を巻き起こす。
 それが射線上の全てを凍らせ、破砕しながら、神官を千々に消滅させていった。

 神官が消えると、周りにいた動物も、空気に溶けるように消えていく。
 ティティスはそれを見つつ、少し残念そうだった。
「全部消えた……抱っこしてみたかったな」
「そうね。もふもふがいなくなっちゃった」
 纏も頷いていると、柊は冬苺をむんずと掴み、差し出した。
「あ、あの、鎧塚さん……えぇと、せ、戦闘中に仰ってた、ので、ど、どうぞ……」
「わ、ほんと? やったぁ、ありがとうね」
 纏は、諦め顔の冬苺を抱き寄せて、存分にもふもふとしていた。
 それから皆は少年を保護し、無事に帰っていくのを確認。
 その後、イアニスは、森を見回した。
「どうせなら、散策していくか」
「うむ。せっかくの機会だ、自然を味わってから帰るのもいいな」
 ヒエルも言って、森の中を歩いていった。
「ドルイド探しはマタ今度、デス」
 レヴィアもそう言葉を残し、現場を去っていく。
 そうして皆も帰還。
 平和の戻った森は、ただ穏やかに葉を揺らしていた。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年7月13日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 0
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