静かな森の中に立つ、石塔。
かなりの高さはあるが、そこここが朽ちていて……この塔が全盛だった頃の姿は、うかがい知れぬほどになっている。
そんな塔に、1人の少年が歩いてきていた。
「わぁ、ほんとにあった。“塔守の騎士”の塔……!」
少年は、半ば廃墟のようでもあるそれを、楽しげに眺める。
それは、とある噂を聞いてのことだった。
「昔、この塔は戦いの中で重要な場所の見張りに使われていて……ものすごく強い騎士だけが、塔守を任されていた、だっけ──」
聞いた話を反芻するように、少年は呟く。
「そして、その中でも特に強かった騎士が、死後も塔守としてここを守ってる……んだよね」
怪談のような、ファンタジーのような、そんな話。
「塔を守る念だけが残って、今では、人間を見つけると誰でも戦いを挑んでくるって話だけど……」
それでも、この噂の雰囲気に惹かれ、少年はここまでやってきたのだった。
しかし、外や塔の中をいくら探しても、騎士は見つからない。
代わりに現れたのは──全く別のもの。
「――私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
手に持った鍵で、少年の心臓をひと突きする――第五の魔女・アウゲイアスだった。
少年は意識を失い、塔の中に倒れ込んだ。
すると奪われた『興味』から――塔の中に、人影が降り立った。
それは、プレートアーマーで身を包んだ、騎士。
歴戦の実力を伺わせるような所作で、その手には槍を握っている。
騎士は、周囲を窺うようにすると、ゆっくりと歩いて行く。それはまるで、倒すべき敵を探して彷徨っているかのようでもあった。
「死んでしまってもひとつの場所を守り続ける……不思議なお話ですね」
イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は、そんな言葉を零していた。
それから改めて、集まったケルベロスへ説明を始める。
「今回は、ドリームイーターの出現が予知されたことを伝えさせて頂きます。第五の魔女・アウゲイアスによる、人の『興味』を奪うタイプのもののようで――森にある塔にて、少年の興味から生まれるようです」
放置しておけば、ドリームイーターは人間を襲ってしまうことだろう。
それを未然に防ぎ、少年を助けることが必要だ。
「皆さんには、このドリームイーターの撃破をお願い致します」
それでは詳細の説明を、とイマジネイターは続ける。
「敵は、アーマー姿の騎士の格好をしたドリームイーターが、1体。場所は塔です」
森自体は鬱蒼としているが、塔の周辺は、見晴らしも悪くない。
塔の中についても、ほぼ内装は崩れ落ちている状態で、戦闘のじゃまになるようなものはないだろうと言った。
周囲には他の一般人の姿もない。
「現場で誘き寄せるための行動を取れば、ドリームイーターは現れてくれるはずです」
誘き寄せには騎士の噂話をするといいだろうという。塔の内部や周辺を探索していても、出会える確率は高いはずだと言った。
「高低差を活かした戦いが得意な敵ですので……こちらも戦闘や誘き寄せの際に、それを意識しておくと、良いかもしれません」
ドリームイーターを倒せば、少年も目を覚ますことが出来るので心配はないと言った。
敵の能力は、槍で突く近単パラライズ攻撃、雨のような連撃をする遠列催眠攻撃、なぎ払いによる近列足止め攻撃の3つ。
「今は、眠るだけの塔ですから。静かさを、取り戻してあげてきてくださいね」
イマジネイターはそう言葉を結んだ。
参加者 | |
---|---|
ディディエ・ジケル(緋の誓約・e00121) |
クロコ・ダイナスト(牙の折れし龍王・e00651) |
ヴィットリオ・ファルコニエーリ(残り火の戦場進行・e02033) |
アウィス・ノクテ(ルスキニア・e03311) |
雪村・達也(漆黒纏う緋色の炎剣・e15316) |
イ・ド(リヴォルター・e33381) |
柔・宇佐子(ナインチェプラウス・e33881) |
リーゼロッテ・バーゼルト(健全ピンク・e37756) |
●森へ
「廃墟廃墟~♪」
木々の間に、リーゼロッテ・バーゼルト(健全ピンク・e37756)の声が響く。
ケルベロス達は、塔のある森へと入ってきていた。
「夏の廃墟って感じでいいねー! これ絶対でるヤツじゃーん!」
リーゼロッテは、瓦礫の転がる周囲を見回し、楽しむようでもある。
ヴィットリオ・ファルコニエーリ(残り火の戦場進行・e02033)は頷きつつ、確認するように周りを観察する。
「じゃあ、この辺りでいいのかな」
「ああ。塔も見えるし、地面も平坦だ。この位置で戦うのが、最も合理的だろう」
応えるのはイ・ド(リヴォルター・e33381)。森の衛星写真を投影して、現在位置を確認していた。
そこは塔にも近く、木々が開けた一帯である。森に降下してから最短ルートでやってきたこともあり、余分な探索も行わずに到着していたのだった。
リーゼロッテの言うとおり、廃墟と化した一帯は不気味であり、幽玄でもある。
クロコ・ダイナスト(牙の折れし龍王・e00651)は、少しおどおどとするように、木々の向こうの塔を見上げた。
「うぅ、ああいう塔ってRPGとかだと無駄に強力な敵がいるところですよね……。絶対行き詰って一週間くらい未プレイで放置するやつです……」
「今から出てくるのも、強敵には違いないな。倒さなければいけないことも」
雪村・達也(漆黒纏う緋色の炎剣・e15316)はそんなふうに言う。
それに皆が頷くと、達也は一度息をついてから、また言った。
「では、始めるか」
それから皆で行うのは──誘き寄せのための作戦。
すなわち塔と騎士にまつわる、噂話。
「ある森には、甲冑をまとった亡霊の騎士が住んでいるって話なのよ」
と、最初に口を開くのは柔・宇佐子(ナインチェプラウス・e33881)。耳をちょっと動かしつつ、ふわりとした口調で続ける。
「騎士は近づくものを襲うらしいけど……打ち倒したら、その甲冑をゲットできるらしいのよ! ただ、“呪われた装備”らしいから、装備すると自分がその騎士になっちゃうらしいのよ」
「鎧かぁ」
それにリーゼロッテは何となく、といった口ぶりで言う。
「騎士だったら、そういう鎧とか着せてくれる付き人とかいるんでしょ? おすもうさんと似た文化がありそう──って、こういう話は違う?」
リーゼロッテがちょっと見回していると……しかし、不意に遠くの木々の葉が不自然に揺れた。
皆は一度見合ってから……また話を続けことにする。
「塔の騎士、か。仮に物語であれば、鎧でなくても財宝のひとつでも隠しているのだろうが──」
イ・ドが少し塔の方を仰いで見せると、クロコは頷く。
「財宝もそうですけど。この雰囲気だと、お姫様がいて、騎士はそれを守っているって感じにも見えますね」
「……何にせよ、塔守を任されるほどの腕前となれば、さぞ、手強い武者であったのだろう」
周囲に視線を走らせながら言うのは、ディディエ・ジケル(緋の誓約・e00121)。
どこか、またさわさわと葉の音が響く中……ヴィットリオもそれに頷く。
「噂通りだとして、実力はやっぱり気になるね。戦い方も、特徴的らしいけど」
「高低差を活かした戦いが得意なら、木や塔の上から見張ってたりしたのかも」
と、木々の上方を見ながら、アウィス・ノクテ(ルスキニア・e03311)は言う。
雪の薄い青色の瞳で見る木々には、未だ如何なる影も見えないが──何かが近づく感覚はある。
「敵を見つけたら飛び降りて攻撃とか。重さを利用して突撃とか、したのかな」
あどけない口調で、アウィスが続けると……。
がさりと、異質な音がした。
それは、塔の方向の木々の中。
侵入者は排除せんとばかりの、敵意の篭った足音だ。
「死してなお塔を守るか」
達也が呟くと、ディディエもそちらに向き、静かに大鎌を手に取っている。
「……塔守、霊魂、そして強者。……なんとも戦う者にとっては心躍りそうな逸話のある騎士だな」
それに、ああ、と達也も応え、臨戦態勢を取った。
「──俺も守るべき者の為、同じ様に在りたいものだな」
瞬間、ばさりと葉が散ると……その間から、疾駆してくる影があった。
顔の窺えぬ、全身甲冑の騎士──ドリームイーターだ。
●迎撃
騎士は高く跳躍して、上方からの急襲を狙っていた。
だが、場が開けた一帯であることも手伝い──警戒していた皆は八方に散って対応。騎士は着地とともに槍を地面に突き刺すだけにとどまった。
「ひぃ、ほ、本当に出てきた!?」
皆で包囲を固めながらも──こちらに視線を走らせる騎士を見て、クロコはちょっと怯えたようにしている。
一方、アウィスは、少し夢見る乙女と言った表情だ。
「噂通りの感じ。森と塔と騎士。とてもファンタジーっぽい……ちょっとわくわく」
「うぅ、でも、すごい強者オーラ出してますけど……」
クロコが震えていると、ディディエはふむと頷く。
「──少なくとも噂の上では、優秀な騎士だったのだろうな」
そして、言うと同時……掌から、煌々とした炎を纏う、幻竜を生み出す。
「なれば──心してかかろうか」
瞬間、燃え上がるそれを発射し、騎士に撃ち当てる。
同時、アウィスも月光の如き銀の髪をたなびかせ──舞い踊るように跳躍。宙で体を翻し、騎士の兜に蹴りを加えた。
クロコも、びくびくしながらもまずは攻撃。鉄塊剣を振り回し、騎士を横合いから殴打した。
騎士は跳んで、一度間合いを取ろうとするが──。
そこにエンジンの唸りを上げて肉迫する影がある。
「よし、ディート、このまま行くよ!」
と──ライドキャリバーのディートに騎乗し、豪速で駆けるヴィットリオだ。
下がる騎士に、一瞬で追い縋ったヴィットリオは……そのまま、ディートにスピン攻撃をさせるとともに、自身は跳んで宙へ。
ひらりと身を返しながら手を伸ばし……上空から、爆破攻撃を喰らわせた。
二連の衝撃にたたらを踏んだ騎士だが、すぐに体勢を直すと、再び跳んで距離を取っていた。
「よくジャンプする敵だね」
ディートと共に、再び皆に合流したヴィットリオが言葉を零す。
イ・ドは分析するように、騎士に視線をやっていた。
「平地では非合理的な戦い方にも思えるが。あの騎士の、戦闘スタイルなのだろうな」
「竜騎士というやつかもしれないのよ」
宇佐子も少し、敵を眺めながら言っていた。
「こわいけど、かっちょいーのよ」
「何にしても、塔じゃなくてよかった感じ? 地の利ってやつ」
リーゼロッテがそう続けると、皆は頷き、再び攻勢へ。
「《反抗》、開始」
瞬間、イ・ドは高速で駆動し直進。避けようとする騎士に距離を詰め、正面から如意棒で痛打を与えた。
騎士も着地と同時、槍を突き出すが──それは、滑り込んだヴィットリオが庇い受ける。
直後には、リーゼロッテが手元に治癒の光を宿していた。
「じゃ、リゼちゃんとお医者さんごっこしようか?」
怪しいセリフも言いつつ、即座にヴィットリオを施術し、体力を癒やすと……。
「俺も、支援させてもらおうか」
と──達也もグラビティを収束。
攻性植物を広く展開すると、ヴィットリオを含む前衛へ、金色の光を降り注がせ……傷の修復とともに、耐性をも高めていた。
騎士は、連撃を狙って踏み込んできていたが……。
「させないのよ」
そこへ、宇佐子が意識を集中。
瞬間、騎士の足元から溶岩流を爆発させ、宙へと煽っていた。
●闘争
一度地面に落ち、転がった騎士だったが……槍を支えに、すぐ起き上がっていた。
「そう簡単にはやられない、って感じだね」
ヴィットリオが言うと、アウィスもポツリと言葉を継ぐ。
「そのくらいの方が、強い騎士っぽくていいと思う」
薄めの声音とは裏腹に、その表情は未だ幻想の世界を楽しんでいるかのようでもある。
それに、クロコが頷いた。
「うむ──敵が強者ならば、我らもそれ以上の力で臨むだけだ」
その声は先程とは変わって、勇壮だ。
戦いに入ることで、竜派であった頃の、武人然とした性格が表に出てきたように……その振る舞いまでが、どこか力強い。
「ならば、いくぞ──覚悟しろ!」
同時、地面を蹴ったクロコは……翼の速度も乗せ、豪速で騎士に迫っていた。
そのまま、接触直前で斜めに回転すると……遠心力をも上乗せしたように、剛烈な回し蹴りを叩き込んだ。
吹っ飛ばされた騎士に、ヴィットリオとディートは並走している。
「ディート、全速だ!」
さらにアクセルを上げて、木々の間に回り込んだヴィットリオは──。
オウガメタルにグラビティを込め、一撃。胸部に拳を打ち込み、飛んできた騎士を地面に叩きつけた。
そこをアウィスが、ブラックスライムで捕縛。全身に侵食し、ダメージを与えていく。
だが騎士も、藻掻くように拘束から逃れた。
「そっちにいくから。気をつけて」
「……心配は要らぬ」
跳躍した騎士を見て、アウィスが言うと、応えるのはディディエ。
「……こちらとて、火力には自信が有るのでな」
言うと、落下と同時に槍を突き出す騎士に……ナイフを抜き、刃を刃で受ける。
「……成る程、この膂力。……中々に、血が逸る。……だが」
ディディエは一瞬だけ止まるが……こちらも、力では劣っていない。
更にグラビティを込めて槍を弾くと、袈裟懸けに深々と斬撃を喰らわせていた。
騎士も反撃に、槍での連続刺突。前衛に広くダメージを与えてくるが……。
「待っていてね。今こそ、学芸会で練習したおどりをみせるのだわ!」
と、宇佐子がふわりとステップを踏んでいる。
どことなくぎこちない動きにも見える……が、ゆるやかに宇佐子が踊っていくと、周囲に花のオーラがひらめいていく。
それが花嵐のように広がり、前衛を治癒していくと……。
「じゃあ、リゼちゃんもみんなを回復させてあげるね?」
言って手を伸ばしたリーゼロッテが、上空へと癒やしのグラビティを昇らせていく。
するとそれが回復効果を伴う雨となって降り注ぐ。穏やかに周囲を包んだ水滴は、前衛の傷を、洗い流すように消し去っていった。
「攻撃はお願いね~☆」
「ああ、既に準備はできている」
リーゼロッテに応え、オウガメタルを大砲型へ変形させているのはイ・ド。
同時、そこへオーバーヒートを厭わぬほどのグラビティを注ぎ込み、砲身を発光させた。
「その甲冑、灰燼とさせてもらおうか──!」
瞬間、放たれた巨大なエネルギー砲弾が騎士に命中。言葉通り、その肩や腕の一部を蒸発させるかの如く、千々に吹き飛ばした。
ただ、騎士は倒れず踏みとどまっている。未だ守るものがあるというように、塔を背にしていた。
(「やはり、どこかシンパシーを感じるな」)
達也はそれを見て、思う。
普段、守り役を選ぶことも多い身としては、騎士の姿には、感じるところもあったのだ。
だが──目の前にいるのは、いわば偽物でもある。
(「そうでなくても。騎士が安らかに眠れるよう──早々にご退場願わなければな」)
胸中で、改めて誓うように思った達也は……。
それから、一息に騎士へ踏み込む。騎士は槍で突いてくるが、達也は体を微かにずらして回避。
そのまま横回転すると零距離に入り込み……斜めの蹴り上げを顎に叩き込んで、騎士を宙へと飛ばした。
●決着
倒れ込んだ騎士は、初めて苦しそうな色を浮かべていた。
だが、それでも退く気はないというように、ふらつきながらも立ち上がってくる。
「それなら、こっちも最後まで全力でやるだけだよ!」
と──ヴィットリオがそこへ、ディートに炎を纏った突撃をさせていた。
同時、自身はグラビティによる爆破攻撃をして……二重の爆炎で騎士を包んだ。
騎士は、煙を上げながらも接近してくるが……。
そこに、透明な歌声が響く。
「Trans carmina mei, cor mei……Intereas──」
朗々と歌い上げるのはアウィス。『崩壊のロンド』……その声が美しくも鋭い衝撃を生み、甲冑にひびを生ませていく。
騎士はそれでも、前進して槍で刺突するが……標的となったクロコは、そのダメージにもひるまず、踏みとどまる。
「その程度で倒れるものか。我が拳、受けてみろ!」
そのまま、拳を引いて、正拳突き。生命を奪い取りながらも、強烈な打撃で騎士を吹っ飛ばす。
ほぼ同時、宇佐子は白くふわふわとしたオーラを生み出していた。
それをクロコに撃ち当てると、癒やしの力が全身に広がり、クロコはほぼ全快状態となる。
「攻撃はたのんだわ!」
「ああ、任せろ」
宇佐子に応えるように、敵へ疾駆するのは達也。
そのままエクスカリバールを横一閃に振るうと……騎士の胸部を裂き、甲冑の破片を宙に散らせた。
空虚な体内を晒しながらも、騎士は下がらず、槍を縱橫に振ってくる。
だが、ディディエはクロサギの翼をはためかせ、それらを風のごとく回避。
「……そろそろ、終わりだ。……失せろ」
同時、『天妖君主』を行使。口から紡ぐ魔音で刃を弾き、甲冑を割っていく。
次いで、リーゼロッテは陽炎伴う快楽エネルギーを放出していた。
「リゼちゃんの為に頑張ってね?」
言葉とともに注がれるその魔力、『ラブリーフォース』は──イ・ドに浸透すると、その攻撃力を飛躍的に高めていく。
最後まで攻撃姿勢を解かぬ騎士へ、イ・ドは、如意棒を構えていた。
「己とて、冒険小説の定番ぐらいは知っている」
冷静に騎士を見定め、突き出された槍を紙一重で避けると、一気に懐へ。
「秘境を守る騎士は……英雄に打ち倒されるのが、合理的結末というものだ」
瞬間、苛烈な腕力で振るわれた如意棒は、騎士を一撃。
衝撃でその甲冑全てを破壊し……破片もろとも、消滅させた。
「《反抗》、完了」
戦闘後。イ・ドが戦闘態勢を解くと、皆も、ようやっと息をつく。
それから、皆は一路、塔へ移動。
その中に倒れる少年を見つけ、介抱したのだった。
少年は無事に目を覚まし、事情を知って、ケルベロスたちに礼を言った。
「わざわざこんな所まで来たんだ。君も騎士に憧れたんだろう? お互い彼の騎士の様に、強くあろうぜ!」
達也は、少年を励ますように笑いかける。
すると少年も力強く頷いて……再度皆に礼を言って、見送られながら帰っていった。
「これで、終わり……。騎士はいなくなったけど。でも、塔はとてもいい雰囲気」
アウィスは言って、見回す。
そこは、多くの部分が朽ちているが、その分時代の感じられる、叙情のある石塔だった。
「塔の中、見てみたいと思ってたんだよね~。良かった」
リーゼロッテもまた、興味深げに、塔の中を仰いでいた。
「じゃあ、そろそろかえるのよ」
そして、塔を見物した後、宇佐子の声を機に、皆も頷き……。
その場を後にして、森を出る方向へ。
静かな塔を背に、それぞれの帰る場所へと帰還していった。
作者:崎田航輝 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年7月10日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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