波音だけが響く、海沿いの岩礁。
岩肌を歩き……そこからとある場所へ降りようとしている1人の少年がいた。
「よいしょっと。着いた……ほとんど沈んじゃってるけど」
そういって降り立ったのは──座礁している古い船。
いつの時代のものか分からないが、半分は海に沈み、木板もかなりの部分が朽ちてしまっている、廃船だ。
少年は傾いた甲板を、好奇心もあらわに見回していた。
「ここに、出るんだよね――髑髏海賊が」
ワクワクしたように独りごちるのは、聞いた噂。
「この船は昔の海賊船で……、その船長は、死んで骸骨になった今でも、時々現れては略奪のために人を襲うって……」
物騒な噂ではあるが、海賊というロマンを感じる言葉に、少年は惹かれたのだった。
「出会っちゃうと、襲われるらしいけど……でも、ひと目見るくらいなら……」
少年は船を歩き、その影を探す。
勿論、幾ら探しても、そこに海賊は居なかったが……。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
ふと、少年の背後に影が現れた。
手に持った鍵で、少年の心臓をひと突きする――第五の魔女・アウゲイアスである。
少年は意識を失い、甲板に倒れ込んだ。
すると奪われた『興味』から――海賊帽とマント、金銀の派手な装飾を身に着けた、骸骨が出現した。
その骸骨は……豪気な海賊を思わせる仕草で、サーベルを掲げる。
そして、周りを浮遊する人魂のようなものと一緒に、そのまま陸へ。獲物を探すかのように――その場を去っていったのだった。
「骸骨になっても生き続ける、というのは怖いですが……海賊にロマンを感じるのは、なんだか分かる気もしますね」
イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は、集まったケルベロスにそんなことを言っていた。
それから、改めて説明を続ける。
「今回は、ドリームイーターの出現が予知されたことを伝えさせて頂きます。第五の魔女・アウゲイアスによる、人の『興味』を奪うタイプのもののようで――岩礁の廃船にて、少年の興味から生まれるようです」
放置しておけば、ドリームイーターは人間を襲ってしまうことだろう。
それを未然に防ぎ、少年を助けることが必要だ。
「皆さんには、このドリームイーターの撃破をお願い致します」
それでは詳細の説明を、とイマジネイターは続ける。
「敵は、海賊風の骸骨の姿をしたドリームイーターが、1体。場所は廃船です」
海沿いにあるが、岩礁からいけるので、特に到着までに不便は無いだろうという。
船の上も、傾いているが戦闘に影響がある程ではない。海辺や陸に招いて戦う事も可能だろうと言った。
また、現場に少年以外の一般人の姿はない。
「船の上か、その周辺で誘き寄せるための行動を取れば、ドリームイーターは現れてくれるはずです」
誘き寄せには髑髏海賊の噂話をするといい。
また、このドリームイーターは、自分の事を信じたりするものに引き寄せられる性質があるので……船を海賊船だと思って探索したり宝探しなどをしていれば、出会うことも出来るだろう。
「ドリームイーターを倒せば、少年も目を覚ますことが出来るので心配はないでしょう」
敵の能力は、サーベルによる近単武器封じ攻撃、人魂を飛ばしてくる遠単催眠攻撃、古銃を連射する遠列パラライズ攻撃の3つ。
「もしかしたら、海のロマンは無くなってしまうかも知れませんが……是非、撃破を成功させて来てくださいね」
イマジネイターはそう言葉を結んだ。
参加者 | |
---|---|
ミケ・ドール(深灰を照らす月の華・e00283) |
ジョーイ・ガーシュイン(地球人の鎧装騎兵・e00706) |
凪沢・悠李(想いと共に消えた泡沫の夢・e01425) |
ミルカ・アトリー(タイニーフォートレス・e04000) |
リノン・パナケイア(保健室の先生・e25486) |
速水・紅牙(ロンリードッグ・e34113) |
長篠・ゴロベエ(パッチワークライフ・e34485) |
ラルフ・ガーファ(アクロニム・e35444) |
●探検
「海だ浪漫だ海賊だっ!?」
波打ち際に、速水・紅牙(ロンリードッグ・e34113)の元気な声が響く。
ケルベロス達は、現場の岩礁へとやってきていた。既に眼下には、波にさらされる廃船が見えている。
「最近某海賊映画が公開されたけど……それを彷彿とさせるくらいの大きさはあるね」
長篠・ゴロベエ(パッチワークライフ・e34485)は、眺めて言葉を零す。実際、皆が降り立って見回すと──それなりに大きな船であることが感ぜられた。
「まずは、必要な仕事をしておこうか」
と、甲板を歩いていくのはリノン・パナケイア(保健室の先生・e25486)。その先に、意識を失って倒れている少年がいた。
リノンは光の翼を動かし、少年を抱き上げる。そしてそのまま陸に戻って、安全な場所へと下ろしていた。
その後で……リノンも船上に戻り、皆で敵に出会うための作戦を始める。
すなわち、船の探索だ。
凪沢・悠李(想いと共に消えた泡沫の夢・e01425)は、船室への入り口を見つけて、喜々として言った。
「ここだね。それじゃあ、早速中に入ろうか?」
「うん。朽ちた船なんて立ち入る機会が無いし、結構わくわくするな!」
階段に足をかけつつ、ミルカ・アトリー(タイニーフォートレス・e04000)も、期待感を含んだ表情を見せる。
そうして皆は船の内部へ下った。
最初に見えたのは、闇の中にある、木造の通路や扉。
所々が錆びた金具で固定されているばかりで、大部分が朽ちており……どこか時代がかった、フィクションの中のような光景でもあった。
悠李は見回しつつ、楽しげな表情だ。
「沈んだ船ってだけで、浪漫があるけれど……これは、仕事を抜きにしてもなかなか興味深いね」
「……うん。……水におちる船、それに髑髏の海賊の噂……なんてベッロ」
と、ミケ・ドール(深灰を照らす月の華・e00283)もこくりと頷いてみせる。
表情は薄いが、長い睫に縁取られたその黄金の瞳は……好奇心を窺わせるように、周囲をくりくりと向いていた。
ミケがランタンを灯すと、暗い船内もよく見渡せるようになる。
「とってもすてき。……足元に気を付けていこうね」
「じゃあ、とりあえず、船室を片っ端から調べとくか?」
ジョーイ・ガーシュイン(地球人の鎧装騎兵・e00706)も言って、歩き出していた。ただ、先頭を歩くのは拒むようにしている。
「俺を一番前にするなよ? いいか、絶対にするなよ? 絶対だぞ!」
「ああ。では、私が先頭をいこう」
「え? お、おう……」
すると、先頭にリノンが立ち、ジョーイが安堵するような、微妙なような表情になる一幕もありつつ……。皆は、順に船室を見ていく。
狭い部屋や、貨物室らしき場所など、部屋にも種類はあった。
が、多くは朽ちて、跡形もない。
それでも、ミルカは興味津々といった表情だ。
「こうして見てるだけでも、非日常って感じがしていいね」
「そうだね。でも、もう少し面白い場所もないかな……、と」
そこで、最後尾のゴロベエがふと、床に開閉部があるのに気づく。
少し分かりにくい造りで──開けると、船底近くまで下りる梯子があった。
「こりゃ、隠し通路ってやつか? なんだか海賊船らしくなってきたな」
ラルフ・ガーファ(アクロニム・e35444)は言って、その梯子を下りる。
そこは広い空間だった。だがかなり浸水しており、深い水流が空間を横切っている。
ただ……対岸側の床に、何か箱のようなものがあった。
ラルフはそれを遠目に覗き込む。
「宝、とでも言わんばかりだな」
「こんなこともあろうかと、探検セットを用意してきたぞっ!」
と、紅牙がガサゴソと、何かを出した。
それは、フック付ロープ。それを対岸側にかけると、箱へ向けて伝いだした。
皆も顔を見合わせつつ、それに続く。
そして箱を開けると……。
「空っぽかあ」
悠李が少々残念そうに言う。一応、紙片のようなものが見えたが、最早塵と化していた。
「でも、これなら、他にも宝の地図とか、ありそう……」
そう、ミケが呟いたときだ。
梯子の上。上層の方で、何かぼんやりとした光が瞬いた。
●海賊
ゴロベエは見上げて呟く。
「……幽霊かな?」
「おいおい、……時期が時期だし、そういう類のやつは勘弁な? いやマジで」
ジョーイは微妙に切迫したように言ったが……ミルカは頷いていた。
「むしろ時期だからこそ、出るんじゃないかな? 亡霊とか──」
「ワーッ! ワーッ!」
ジョーイは耐えきれなくなったか、声を張ってかき消す。
リノンも、少し子供っぽい内面が現れたように、そわそわしながらも……見回す。
「一度落ち着こう。ここに出る存在と言ったら、決まっている」
その言葉に皆も、再度頷きあった。
そして、甲板へと移動しながら……最後に噂話も行うことにした。
「さて、髑髏の海賊が出るらしいな──」
ミルカが言うと、言葉を継ぐようにミケも口を開く。
「骨になっても略奪するのは、本人的には本望なのかな……。死んでもお宝探せるもんね……」
すると、甲板に出たところで、船室の奥から光るものがあった。
それに気づきつつ、ミケは言葉を続ける。
「ロマンがあるし……ここに髑髏海賊が現れたっていうのも、わかる気がする……」
すると、その光は船室からゆっくりと出てくる。
それは人魂。1人の人影が引き連れる、茫漠とした光の塊だった。
そして一緒に出てきたその影こそ……髑髏海賊。
『おうお前ら、いい獲物がいたぞ!』
人魂に話すようにすると──その髑髏海賊は金銀の装飾をじゃらじゃらと鳴らし、サーベルを掲げる。そしてそのまま、接近してきたのだった。
ミルカは既に戦闘態勢を取り、前衛へ紙兵散布。霊力で防備を整えている。
「出たね。確かにあれは、髑髏海賊だね」
「あはっ、本当に、海賊映画みたいで楽しいじゃないか……♪」
応えつつも、疾駆するのは悠李。
甲板の縁を蹴り上がって放つのは──『軽業師の独り舞台』。
「こんな心躍る場所で戦えるんだ――思いっきり行かせてもらうよッ!」
そのまま周囲を跳び回り、規則性のない動きで、髑髏海賊に斬撃を叩き込んでいく。
「なるほどな。よく考えりゃ、ドリームイーターなら怖くねェわ」
ジョーイは、鬼神の如きオーラを纏い、冥刀「魅剣働衡」を淡く光らせていた。
「おらッ、紛らわしいことやってんじゃあねェぞ!」
そして、醜態を晒した怒りも含めて……髑髏海賊に縦一閃の斬撃を喰らわせる。
髑髏海賊はサーベルで反撃してくるが──それは、ゴロベエが滑りこみ、庇った。
かなりの威力だが、ゴロベエは歯を食いしばり、うめき声も上げずに……至近からガトリングで反撃。
関節に撃ち当て、敵の姿勢を崩させている。
「ふむ。少し待っていろ。紅牙、回復を頼むぞ」
と、その直後に、リノンが『バシリス・アーディン・アイオーニオン・カタラ』。
現れた乙女の影が、永遠の呪いの歌を歌うと──紅牙に魔力を与え、グラビティの効果を増していく。
「──ルオオオオオオンっ!!」
瞬間、紅牙は『ギガ・シャウト』を響かせ、ゴロベエの傷と力を一気に回復させていった。
髑髏海賊も、再びの攻撃を狙ってくるが……同時、ラルフも抜刀し、敵のサーベルと切り結ぶ。
「なるほど。流石に力は強いみたいだな。髑髏海賊──なかなか愉しめそうだ」
言いながらも、ラルフはさらなる膂力で、剣を弾く。
直後、懐に飛び込み、回し蹴りを叩き込むと……。
ふらついた髑髏海賊の上方へ、ふわりとミケが跳ぶ。その華奢な体を、アクロバティックに翻すと……白の刃を持つ刀・Vivere perlaによる一閃。
縦回転を伴う強烈な斬撃で、髑髏の背を切り裂いた。
●闘争
『ちっ、ただのチンピラじゃあねえな!』
微かにふらつく髑髏海賊は、そんな言葉を零していた。
それから人魂に語りかけるようにする。
『だが、ああいう奴らこそいいお宝を持ってるもんだ! 退かずに行くぞ!』
「お宝、ね。そっちこそ、私達が勝ったらお宝を譲ってくれよな」
ミルカがそんな軽口を言ってみせると、髑髏海賊は肩を揺らした。
『悪いが、全てのお宝は俺達のもんだ!』
そのまま、サーベルを構えて突進してくる。が、標的となった悠李はひらりひらりと躱し、身軽に飛び回ってみせる。
「よっと、そんなんじゃ追い付けないよ!」
と、跳躍すると敵を飛び越え……横合いに着地すると同時、剣閃を走らせて傷を抉っていた。
たたらを踏みながらも、髑髏海賊は反撃を試みようとするが……その背後から、リノンが飛来している。
髑髏海賊が反応する間もなく、刃の如き蹴りを打ち込んだリノンは、命中と同時に離脱し、素早く間合いを取ってゆく。
敵も追いすがろうとするが、今度はその逆方向からミケが飛翔してきていた。
髑髏海賊も反応し、振り返りざまにサーベルを振るおうとするが──。
「Lento──喰らわない、よ」
ミケは体全体を横へ回転させつつ、刀でサーベルを弾く。
着地すると、今度は飛び立つ勢いを威力に加えるように、強烈な斬り上げで髑髏をのけぞらせた。
髑髏海賊は甲板の縁に激突。ダメージにふらつくが……それでもすぐに体勢を直し、こちらを見渡している。
「攻撃、くるぞ」
と、リノンが静かに皆に警告。
同時、髑髏海賊の古銃攻撃が前衛を広く襲ってきた。
それはこちらの行動を抑制するかのような乱射、だが……。
「全弾を受けてやるほど、甘くはないよ」
銃弾の雨の中、ゴロベエが再びガトリングを構えると──その銃口全てから火を吹かせ、大量の弾丸を撃ち出す。
それが敵の弾を弾き、髑髏海賊も穿っていくと……。
仲間の周囲に、特殊なフィールドが形成されていく。
「回復は任せてくれ──フォトンフェイズ、モード・リヴァイヴ!」
と、グラビティを組み上げていく、ミルカの力だ。『P.Phase≪Mode:Revive≫』──その再生フィールドは、前衛を包むように、麻痺と傷を治癒していく。
さらに、ミルカのボクスドラゴン、カノンも、砲身から癒やしの光を放ちミケを治癒。
次いで、紅牙も霊力を宿した紙兵を散布して、前衛の体力を万全に保っていた。
『ちぃ、妙な術を使いやがる!』
「あははっ! キャプテン、いくら攻撃しても無駄だぞっ!」
唸る髑髏海賊に、紅牙が言ってみせると……。
その間に、ジョーイとラルフが、髑髏海賊に接近していた。
「よし、両側から攻めるぞ」
「了解、重いのをかましてやるぜ」
ジョーイとラルフは言って、左右に展開した。
髑髏海賊は、素早く視線を走らせ、対抗しようと人魂を飛ばす。
だが、ラルフが同時に、上段に構えていた刀を、豪速で振り下ろしていた。その一刀が、人魂を切り裂き、宙に散らせると……。
「これでも喰らえや」
瞬間、真横に位置したジョーイが手を伸ばし──爆縮させたグラビティを発散。強烈な勢いを持った爆破で、髑髏海賊の体を煽っていた。
ラルフもそこへ、下ろしていた刀で一撃。苛烈な斬り上げを喰らわせて、髑髏海賊を吹っ飛ばした。
●決着
傾いた甲板を転がった髑髏海賊は……床にサーベルを刺して、なんとか立ち上がっていた。
『お宝を、そう簡単に諦められるかっ……!』
そのまま、再びこちらへと駆け出すが……サーベルを振り上げた手元に、ミルカが狙いを定めている。
「こっちだって、負けるつもりはないよっ!」
瞬間、ライフルから光の奔流を放つと、敵の腕部を凍結させていく。
髑髏海賊は腕を軋ませながらも、無理やり攻撃を狙うが──。
「はい、残念でしたッ!」
同時、その背後から、悠李の痛烈な斬撃が見舞われる。
髑髏海賊は振り返り、縱橫に剣を振り回すが──悠李もまた縦に横に、翻弄するような跳躍。攻撃の全てを躱し……敵に隙が出来れば、刀での斬り下ろしを喰らわせていた。
ふらつく髑髏海賊の手元が、今度は赤く燃え上がる。
「これで、ひとまず、静かにしていてもらおうか──」
言葉とともに、リノンが放った炎の塊だ。
それは凍結した腕の骨を瞬間的に熱し、粉砕した。
髑髏海賊は、残った腕でサーベルを広い、反撃の刺突を繰り出すが……その一撃はミルカが素早く庇っている。
間断を作らず、紅牙がそこに気力を集中させていた。
「一気に回復するぞ! それっ!」
言葉通り、眩いオーラがきらめき、ミルカを覆う。即座に傷が修復されると、ダメージの痕跡はほとんどなくなった。
「よし! 攻撃は頼んだぞっ!」
「あァ、これ以上、勝負を長引かせるのもなんだしな」
紅牙に応えたジョーイは、一息に髑髏海賊に踏み込み、刀で深々と胴を切り裂く。
『うぐっ! まだだ……ッ』
髑髏海賊は、諦めずに、這ってくるが……その体を、月光の如き鎖が拘束する。
「楽しい時間を、Grazie……海賊さん」
手を伸ばすミケの、『月光聖り』だ。美しい鎖は髑髏海賊を締め上げ、宙に浮かせる。
「でも、もう終わり。……Buona notte」
ミケが言うと同時、ゴロベエとラルフが、髑髏海賊の眼下に迫っていた。
「そのまま噛み砕け! ケルベロスイーター!」
ゴロベエが行使するのは、降魔真拳威式『番犬の顎』。巨大な漆黒の魔犬の頭を現出させると──それに髑髏海賊を噛みつかせ、全身を砕いてゆく。
「これで、とどめだ」
そこへ、ラルフが大鎌を振りかぶり、鋭い一撃。
全てを切り裂くとともに、その魂をも喰らいつくし──髑髏海賊を跡形もなく消滅させた。
「……終わった、ね」
戦闘後、ミケの言葉に皆は頷き、息をついていた。
それから、一度陸に戻って少年を介抱する。少年はすぐに目を覚ますと、ケルベロスに何度も礼を言って、帰っていった。
「……さーて、それじゃあ沈没船探検の続きをしようじゃないか」
その後、改めて悠李が言うと、ミルカも頷く。
「面白そうだね。まだ見てなかったところもあったし」
「まァ、さすがにもう何も出ねェか」
ジョーイも言って、同行。皆でまた船内を見て回った。
そして──。
「価値のありそうなものは、あまりなかったな」
再び船から出たあと、ラルフは言う。
船内にはお宝と呼べる物はなかった。ただ、古い金属製の食器や、ナイフなど……こまごましたものは発見でき、時代を感じることはできていた。
ゴロベエは船に振り返る。
「この船、どうしようか。放っておくのも危ないよね」
「一応、ヒールしておくか。再利用、とは行かなくとも、撤去しやすくはなるかもしれない」
リノンが言うと、皆はそれを機に船にヒールをかけた。
「じゃあ、帰るかっ! 中々に刺激的なお仕事だったなっ!」
そして、紅牙の言葉を皮切りに、皆はそこから歩き出し、岩礁を去っていく。
そこにはもう、海賊も、その伝説の痕跡もない。
平和を取り戻した海は……ただ静かに、波を打っていた。
作者:崎田航輝 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年7月4日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 2
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