虹を生む獣

作者:崎田航輝

 森を抜けた先にある滝に、1人の少年が訪れていた。
 そこは月夜の中、水が落ちる音だけが響く、叙情的な光景が広がっている。
 だが、滝の下に歩いた少年から見えるのは、それだけではない。
 細かなしぶきが、月を浴びて形作るのは――弧を描く七色。
 月明かりで出来る虹、“月虹”だ。ここは、それがよく見られる場所として、時折話題になる場所だった。
「ここに居るんだよね……『虹を生む獣』さん」
 少年は、呟くように辺りを見回す。
 1人でやってきたのは、虹の見物ではなく、ある噂の為だった。
「この世界のものじゃないくらい、綺麗な虹……それを生んだ、この世界とは別の場所からきた獣がいる、だっけ」
 この森は時折、獣の遠吠えが響く。
 それが空をかけて虹を生む、異世界の獣だ、という噂だ。
「人間を見つけると、景色を作る邪魔に思って、襲って殺しちゃうって話だけど……」
 写真だけでも撮りたいと、少年はその面影を探した。
 無論、そこに空をかける獣は居なかったが――。
「――私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
 代わりに、背後に1人の魔女が現れていた。
 手に持った鍵で、少年の心臓をひと突きする――第五の魔女・アウゲイアス。
 少年は意識を失い、地面に倒れ込んだ。
 すると奪われた『興味』から――遠吠えを上げる獣が生まれる。
 獅子の頭に、毛並みの豊かな羊にも似た胴体、蛇のような尻尾を持った不思議な容姿。
 その獣は、泳ぐように空に上がると、絵を描くように美しい虹を引いていく。
 そうしてそのままどこかへ飛び去っていった。

「虹を作り出す獣……なんだか幻想的なお話ですね」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はそう言って、集まったケルベロス達を見回していた。
「今回は、ドリームイーターの出現が予知されたことを伝えさせて頂きます。第五の魔女・アウゲイアスによる、人の『興味』を奪うタイプのもののようで――森にある滝にて、少年の興味から生まれるようです」
 放置しておけば、ドリームイーターは人間を襲ってしまうことだろう。
 それを未然に防ぎ、少年を助けることが必要だ。
「皆さんには、このドリームイーターの撃破をお願い致します」

 それでは詳細の説明を、とイマジネイターは続ける。
「敵は、獣の姿をしたドリームイーターが、1体。場所は夜の滝です」
 月明かりで出来る虹が美しい場所で、それなりに有名な場所でもあるそうだ。
 今回は深夜ということもあり、周りに一般人の姿などはない。
 現場は滝以外は平坦な地面と川があるだけで、戦闘にも支障はない。
「現場で誘き寄せるための行動を取れば、ドリームイーターは現れてくれるはずです」
 誘き寄せには獣の噂話をする他、景色についての話をしても有効でしょうといった。
「ドリームイーターを倒せば、少年も目を覚ますことが出来るので心配はないでしょう」
 敵の能力は、辺りを虹で満たす遠列催眠攻撃、虹を体に巻き付ける遠単パラライズ攻撃、虹を纏わせた爪による近単プレッシャー攻撃の3つだ。
「綺麗な月虹を眺めるためにも、是非、撃破を成功させて来てくださいね」
 イマジネイターはそう言葉を結んだ。


参加者
ルーカス・リーバー(道化・e00384)
ニーナ・トゥリナーツァチ(追憶の死神・e01156)
シィ・ブラントネール(水底のアヴローラ・e03575)
リューデ・ロストワード(鷽憑き・e06168)
雪白・メルル(雪月華・e19180)
ヴィルベル・ルイーネ(綴りて候・e21840)
久瀬・了介(連矢羽・e22297)
キアラ・エスタリン(光放つ蝶の騎士・e36085)

■リプレイ

●月虹
 ケルベロス達は、木々を抜けて夜の滝へとやってきていた。
「おや、これは美しい」
 開けた風景を見上げて、ルーカス・リーバー(道化・e00384)が言う。
 そこには、滝から流れる豊かな水量と、儚げに注ぐ月明かりが作る、虹が見えていた。
 雪白・メルル(雪月華・e19180)も少しばかり目を輝かせる。
「わぁ、本当に綺麗ですね……」
「情報通りの状態、ということだな。では、このまま作戦に入るとするか」
 周囲を見回しつつ言うのは久瀬・了介(連矢羽・e22297)。
 作戦とは――即ち敵の誘き寄せのための話。
 皆は頷き、引き続き虹を観察し始めた。
「幻想的な光景だな」
 と、口を開いてみせたのはリューデ・ロストワード(鷽憑き・e06168)。
 その表情は静かだが……言葉には、素直に綺麗だと思う本心も表れている。
 ルーカスも、頷いた。
「ええ。夜に出る虹、どのようなものかと思いましたが、神秘的な光景ですね」
「これが、月虹なんですね。美しい……」
 キアラ・エスタリン(光放つ蝶の騎士・e36085)も、零すように言う。
 地球の自然が大好きなキアラは、今回も興味を持ってやってきている。だから、その言葉もまた、本心だ。
 無論、作戦も忘れず、続ける。
「この月虹を生み出す、獣がいるそうですね。美しい景色を生み出すのが大好きな、ロマンチストな獣なのでしょうか」
「異世界の獣、だったか。ここまで別世界のような景色だと、そういう伝説が生まれるのも解る気がする」
 リューデが応えるように言うと……了介も、言葉を継いだ。
「中国では、虹は龍の一種と考えられていたそうだな。だから虫偏なのだとか。世界各地にも似たような伝説は多いらしいし、獣の話も、その派生なのかもな」
 了介は話しつつも、周囲の警戒を怠らない。
 すると――ふと、遠吠えのような声が響いたのに気付いた。
 皆は視線を交わし合い……中断せずに作戦を続けることにする。
 ニーナ・トゥリナーツァチ(追憶の死神・e01156)は、夜に溶けるようなローブを、涼やかな水風に靡かせつつ、水辺を歩いていた。
「空気も綺麗だし、本当、素敵な場所」
 景色を堪能しつつ……しかし、どこかにいる敵を見据えているようでもある。
「これでもっと綺麗な虹があれば、とっても映えるでしょうね。虹を生む獣、本当にいるのかしら?」
「景色を害するものを襲う、って話だったね」
 と、ヴィルベル・ルイーネ(綴りて候・e21840)も応える。
「気持ちは判るよ。自然が産み出すからこその超常の幻想――だからこそ、超常の獣が産み出されるのも、ソレに襲われるのも、なんらおかしい話じゃない」
 ヴィルベルは言葉を重ねながらも、同時にぼんやりと物思う。
(「どうせなら何も無い日に来たかったなぁ」)
 それはヴィルもまた、この景色を美しいと思う気持ちがあるからだった。
 だが、言葉を紡ぐ内に……遠吠えは大きくなり、気配は確実に近づいていた。
「もし襲われたら怖いかも知れないけど、それでもどんなふうに虹を生むのか、気になるわ!」
 と、明るい声で話すのはシィ・ブラントネール(水底のアヴローラ・e03575)。
 空をのぞくようにしながらも……期待感も滲ませるような表情を作って、言葉を続ける。
「だから一度、じっくり見てみたいわね!」
 すると、空に虹の光が小さく煌めくのが見えた。
「虹を創り出すのは、どんな子なんでしょうね、イル」
 メルルはウイングキャットのソウェイルに語りかけている。
 ソウェイルがにゃぁ、と鳴き声を返すのを聞きつつ、見上げた。
「是非とも会って、お礼を言ってみたいです」
 そうして、興味津々にメルルが言った……そのとき。
 空に、影が飛翔する。
「さぁ、美しい虹を描いて欲しいものだね」
 そして、そんなヴィルベルの言葉に誘われるように――。
 虹の光が、こちらへ降りてきた。
 その光を先導するように、接近してきたもの――それが、不思議な造形をした獣、ドリームイーターだった。

●迎撃
 獣は、虹のような多様な色を持ち、獅子にも似た格好だった。
(「この景色を独り占めしたい、なんて思いもあるんだろうか」)
 邪魔者を排除しにきた獣――それを眺め、ヴィルベルは思っていた。
「感動は分かち合ってこそだし……そういう意味では、気が合わないかな。どうせ倒す相手だから、気にしても仕方はないのだろうけど」
 呟いたヴィルベルは……ロッドを掲げていた。
 瞬間、弾けるような雷壁を生み出し、後衛を覆っていく。
 それと同時、メルルは攻性植物を広く解き放っていた。
「イル、頑張りましょうね……!」
 言葉に呼応するように、ソウェイルがぱたぱたと羽ばたいて、防護の光を中衛に与えていくと――。
 メルル自身は、仲間の頭上に伸ばした攻性植物から、黄金の光を発現。前衛に降り注がせ……その耐性を万全にしていった。
 獣は、敵意を見せるように、距離を詰めてくるが……。
 それよりも早く、ニーナが、死神の大鎌をひゅるんと回している。
「遅いわね。此方はとっくに、準備が出来ているわよ」
 瞬間、それを投擲。
 軽い手つきで飛ばした刃は、しかし豪速で飛来し……獣の胴体に裂傷を与えた。
「次、お願いできるかしら」
「もちろんよっ! ワタシに任せて!」
 と、応えて翼をはためかせるのはシィだ。
 風を掃いて上空へ飛び上がると……シィはブーツを蛍火色に瞬かせる。
 そこから、眩しく輝く星型のオーラを出現させると――宙返りするようにそれを蹴り落とし……獣に直撃させた。
 獣は、ダメージに微かな鳴き声を発しつつも――細長い虹でシィを拘束しにかかる。
 だが、そこにシィのシャーマンズゴースト、レトラが滑り込み……衝撃を庇った。
「レトラ、ありがとう!」
 レトラは、ハットに少し触れてみせることで返事に代えると……非物質化した爪で獣へ反撃。
「虹の対処は、任せろ」
 と、その間に、リューデが手元に力を集中していた。
 すると闇色にも似た、煌々としたオーラが生まれ――レトラを取り巻いていた虹を、解くように消し去っていく。
「攻撃は頼んだぞ」
「ええ、お任せください……!」
 リューデに言って、空をかけるのはキアラ。
 金色に輝く蝶型の翼を広げ、勇壮に飛翔すると――ひと息に、獣の眼前へ肉迫。
 淡く輝くグレイブ・蝶夢光槍を雷光で覆うと……そのまま苛烈な突きを繰り出し、獣の首元から微かに血を散らせた。
 獣も、キアラを狙おうとするが――その背へ、槍が突き刺さる。
「あなたの相手は私がしましょう」
 と、後背から獣に迫っていたルーカスの一撃だ。
 獣が向いてくると、ルーカスはそのまま、引きつけるように移動する。
「はいはい、こちらですよー」
「俺は、右に回り込む」
 すると、すれ違うように了介が呟く。
 ルーカスがそれに応えるように下がり、再度の刺突で獣を留めると……。
 了介は、素早い立ち回りで獣の斜め後ろを取っていた。
 そのまま、了介が両手に掲げるのは、パイルバンカーだ。螺旋力を最大に、2つの機構でジェット噴射した了介は――。
 強烈な加速を伴って、突撃。杭で背中の皮膚を突き破り、獣に吼え声を上げさせた。

●猛攻
 獣は、血を滴らせながらも……一度空へと間合いを取っていた。
 その間にも、多色の絵の具を走らせるように、空に虹色の輝きを描いており……夜空には、複数の虹が交差するような光景が生まれていた。
 メルルは、見惚れるように声を零す。
「わぁ……本当に、綺麗なのです」
「こうして眺めると、倒してしまうのが、もったいないようでもありますね」
 ルーカスも、そんなふうに言った。
 キアラは頷きつつも、少し複雑そうに口を開く。
「虹も、獣も。ドリームイーターが関わってなければ幻想的なお話なんですけれどね……」
「そうね。伝承の様に違う生まれ方をしたら、別の生き方もあったでしょうに」
 ニーナは呟きながらも……杖に魔法光を集中させている。
 リューデも頷きつつ、戦闘態勢は解かず、見上げる。
「虹は、綺麗だが。人々を襲う以上は、放置してはおけない」
「ええ! だから、早く倒させてもらいましょう!」
 そう言ったシィは――下方から獣を狙うように、低い高度で飛んでいた。
 そのまま、宙で蒼い魔弾を生成。偏差射撃をするように、円を描くような軌道を飛びながら、連射をしていった。
 全弾を喰らった獣は、反撃に虹の力を集めているが――。
 既に、ニーナが収束させた魔法光が、濃密な威圧感を放っている。
「させないわよ」
 瞬間、ニーナが向けたロッドから、無数の魔法矢が生まれ、獣を蜂の巣にしていった。
 獣は吹き飛ばされるようになるが……それでも虹を放ち、反撃。
 一帯に広がるような光で、前衛を襲ってきた……が。
「攻撃を続行する。回復支援を頼む」
 短く言った了介が、怯まず、獣へ手をのばしていた。
 直後、そこから炎の幻竜が現れる。撃ち出されたそれは、虹を突き破るように飛び、獣を喰らうように炎で包み込んだ。
「お任せください」
 了介に応えるメルルは……即座に、癒しのグラビティを集中している。
「まだまだ見習いですけれど……これでもウィッチドクターですから!」
 言葉と同時、かつり、とブーツを鳴らすと――辺りに舞うのは花びらのオーラ。アネモネにも似た、その美しい花弁が降り注ぐと……回復と共に皆の意識を保つ。
 次いで、リューデも翼を広げ、光を発散。
 虹を飲み込んで尚輝く程の、美しいオーロラ光で辺りを取り巻くと――さらに、皆の治癒を進める。
「これで、大分ましだろう」
「なら、仕上げと行こうかな」
 と、声を継ぐようにロッドを構えるのはヴィルベル。
 それを振りかざすと、治癒の雷鳴が光り……前衛の面々を活性化させるかのように、体力を持ち直させていた。
「では、反撃と行きましょうかね」
 ルーカスは大仰な身振りで、手をのばしている。
 すると、そこから夜に紛れるような影の弾丸が現出。視認できぬ程の速度で発射され――獣の腹部を穿ち、体の内部から浸食していった。
 獣は、呻きながらも、再び虹を生み出してくるが……。
 そこへ、キアラが飛来していた。
「虹を生む獣――その幻想が血に染まる前に、止めさせてもらいます!」
 飛びすさる獣に、光の翼で追い縋るように――キアラは二槍を縦横に走らせる。
 その熾烈な斬撃の雨が、表皮を切り裂き……獣を、地に墜落させた。

●決着
 獣は、地面に血だまりを広げつつ、唸っていた。
 その様子は文字通りの手負い。それでも、虹を零しつつ近づいてくるが――。
「やらせませんよ。イル、行きましょう」
 と、メルルがロッドをまっすぐに向けていた。
 イルがひっかき攻撃を喰らわせると、メルルもそのまま稲妻を閃かせ、正面から獣にダメージを与える。
 次いで、シィは『innombrable』を行使。
「レトラ、こっちも行くわよ! ワタシ“達”と一緒に!」
 言葉と同時、無数に連なる別時空の自分を召喚し――獣を取り巻いた。そのまま、レトラの神霊撃も交えて四方からの打撃を加えていく。
 ふらつく獣を……呪いの力が宿った水たまりが、捕らえていた。
 ルーカスの『石の泉』だ。
「このまま、追い込んでしまいましょうか」
「ああ」
 と、小さく応えるのは了介。
 足元が硬化した獣へ、再び、一対のパイルバンカーを挟み込むように振り下ろし――強烈な貫通力をもって、血しぶきを上げさせた。
 下がる獣へ、リューデはすかさず、魔法の弾丸を生成して撃ち込んでゆく。
「今はもと居た世界に帰れ、異世界の獣」
 獣は――その言葉をまるで拒否するかのように、虹を爪に纏い突進してきた。
 が、その爪先が、周囲の空間ごと転移して……裂け、消滅する。
「悲しき獣よ。嫌だというなら、無に還りなさい。私が貴方にふさわしい場所へ連れて行ってあげるわ」
 そう呟くニーナの、『死の祝福』だ。
 ニーナはその呪術の力で、獣の体内の臓物をも握りつぶしてみせる。
 痛みに吼える獣は、それでも虹を溢れさせてくるが……その中を、金色の光が貫いた。
 キアラが札から出現させた、『胡蝶閃』だ。
「もうそろそろ、終わりです」
 言葉と同時、閃光のように突撃した蝶が、獣の体を穿っていくと……。
 ヴィルベルはそっと左手をのばす。
「――甘美であれよ、愛しき御敵」
 そのまま、『蝕』によって貫かれた獣は――命の光を失い、倒れた。

「綺麗な虹色――美味しかったわ。貴方は次の生へ逝きなさい。その時は、お友達になれたらいいわね」
 戦闘後。消えゆく獣の死体を、ニーナは見下ろし……そっと呟いていた。
 そして、それが完全に消滅すると……皆はようやっと息をつく。
「終わりましたね」
 キアラは少しだけ座り込んで、目に涙を浮かべている。
 戦闘中は勇猛でも、根底は内気な少女であり――安堵したことで、それが少し、表にあらわれたのかも知れなかった。
 それから皆は、少年が目を覚まし、帰っていくのを見届けた。
 その後、ルーカスは辺りを見回す。
「周囲の後片付けくらいはしておきましょうか」
「そうだね。この景観が――この幻想が、壊れない程度に」
 ヴィルベルはそんなふうに応え……皆も一緒に、辺りをヒールした。
 荒れた地形はすぐに修復され、美しい景色を取り戻す。
 全てが終わったあとで、キアラは皆に言った。
「こんな美しい虹があるんです、もう少し見ていきませんか?」
 すると、皆も頷き、しばし滝で過ごすこととなった。
 了介は、今になって初めて感嘆するように、虹を見上げていた。
「……これが月虹か。なるほど、これは異世界くらい繋がってるな」
 呟きつつ……ようやく景色に意識が行ったことに、自身の余裕のなさを感じて――少しばかり苦笑してもいた。
 ルーカスもまた、改めて虹を仰ぐ。
「写真……に撮るのも違う気がしますし、しっかり目に焼き付けて帰りましょう」
「そうね。目に、記憶に焼き付けておきましょう」
 シィも言って、その七色の光を、見つめていた。
 キアラは、スケッチブックを取り出しスケッチ。幻想感の溢れる光景を、絵として残していた。
 ヴィルベルはぼんやりと眺めつつ――今度は一人で来るか、はたまた誰か誘うのもいいか、と考えている。
(「どちらでも、虹の美しさは変わらないだろうし」)
 と、ヴィルベルが思う横で……。
 リューデもまた、今度は相棒も連れ来てきてあげようか、と思案していた。
 ふと、森の遠くに、幻ではない――本物の獣の声が響く。
 リューデはそちらの方を向き、少し思いを馳せる。
「実際、こんな不思議な光景があるのなら、虹を生む獣も居るかもしれないな」
「そう、ですね。私たちが知らないだけで……素敵な景色を生み出している子は、他にもいるのかも」
 メルルも、少し物思うように言っていた。
 夜の滝は、未だ幻想的に虹の光を湛え……。
 皆は今暫く、その景色を楽しんでいた。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年6月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 7/キャラが大事にされていた 0
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