常雪のドーム

作者:崎田航輝

「貴方たちは、スノードームというものを知っていますか」
 薄暗闇の中、ミス・バタフライは、配下の螺旋忍軍2体を見下ろしていた。
「透明な置物の中で雪が舞うような光景が見られるという、芸術性の高い飾り物で、様々な種類があるらしいですよ」
 配下の両名は、従順に話を聞き、頷いていた。1体は道化師、もう1体は軽業師のような格好をした螺旋忍軍だ。
 ミス・バタフライはその2体に対し続ける。
「そこで、貴方たちに使命です。この街にいるという、スノードーム専門の創作家の男性に接触し、仕事内容を確認・習得。そのあとで、殺害しなさい」
「……了解しました、ミス・バタフライ。一見、意味の無いこの事件も――巡り巡って、地球の支配権を大きく揺るがす事になるのでしょう」
 2体は静かに応えると、音もなく去っていった。

「スノードーム……雪がきらきらと輝くようで、とても綺麗な置物みたいですね」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は資料を繰りつつ、そんな言葉を零す。
 それから改めて、ケルベロス達を見回していた。
「集まって頂き、ありがとうございます。今回の事件は――螺旋忍軍、ミス・バタフライの起こすものです」
 以前より続く、珍しい職業を持つ一般人を狙った事件だ。
 今回はその新たな一件であり……スノードームの創作家の男性を狙ったものになるという。
「螺旋忍軍は、その男性から仕事内容を習得したあとに、殺してしまおうという目的があるようです」
 これを阻止せねば、巡り巡ってケルベロスにとって不利な状況が発生する可能性が高い。
「そこで皆さんには、この螺旋忍軍の撃破を、お願いします」

 作戦詳細を、とイマジネイターは続ける。
「敵は、螺旋忍軍2体です。場所は、宮城県のお店の中の工房となります」
 個人経営のスノードーム専門店であり、その店主の男性が商品を作る創作家でもあるという。
 その男性を警護し、現れた螺旋忍軍と戦うのが目的だといった。
 なお、事前に職人を退避させると、別の対象が狙われてしまい、結果的に被害を防げない。
「なので、皆さんには、事件の3日前から創作家さんに接触して頂き……スノードーム制作の仕事を教えて貰ってください」
 ある程度の仕事が出来れば、螺旋忍軍の狙いを自分達に変えさせることができるだろうといった。
 スノードームの制作は、出来合のものを使えば難しいものでは無いが……今回の職人は、部品も一から用意し、一点物を作るスタイルだという。
 見栄えするものを作れるように、ある程度イメージを形にする技術は磨く必要があるだろうと言った。
「例えば、中に配置する小物だとか、全体的な世界観のデザインなどですね」
 物によってはジオラマ制作的な技術も必要になり、細かい作業の連続となるだろう。
「どのような世界観を表現したいかなどを、予め想定しておくとやりやすいかも知れませんね」
 囮になることに成功したら、外に誘い出すなどして、有利な状況で戦闘を始める事が出来るはずだ。
「では、螺旋忍軍の説明を。道化師風の1体は螺旋手裏剣を、軽業師風の1体はエアシューズを装備しています」
 囮作戦が上手くいけば確実に先手が取れるので、頑張ってみて下さいと言った。
「……スノードームって、綺麗な世界がその中に凝縮されている感じがしますね。最近は暑くなってきていますが……眺めているとどこか涼しくなるような気もします」
 と、イマジネイターは再び資料を見つつ語る。
「そんなスノードームも作りつつ……撃破も成功させて来てくださいね」


参加者
ガド・モデスティア(隻角の金牛・e01142)
八剱・爽(エレクトロサイダー・e01165)
周防・碧生(ハーミット・e02227)
六条・深々見(喪失アポトーシス・e02781)
西院・織櫻(櫻鬼・e18663)
ラヴェルナ・フェリトール(ドラゴニアンの鎧装騎兵・e33557)
天喰・雨生(雨渡り・e36450)

■リプレイ

●修行
 ケルベロス達は、現場のスノードーム専門店へとやってきていた。
「それじゃあ……私はここで……。下見も、しておくから……連絡、するね……」
 と、店の前で止まるのはラヴェルナ・フェリトール(ドラゴニアンの鎧装騎兵・e33557)。
 一旦皆と別行動を取るために、ここで分かれるのだった。
「じゃあ、よろしくね」
 天喰・雨生(雨渡り・e36450)はそれに応え、店へと歩く。
 皆もそれに続き――早速職人に接触。
 丁寧に事情を説明し、了承を得ると……早速、スノードーム制作の修行をさせてもらうことになったのだった。

 皆は、細かい部品や材料の並ぶ工房へ入った。
「出来る限り精進いたしますので、ご指導の程、よろしくお願いします」
 周防・碧生(ハーミット・e02227)は、改めて職人に頭を下げる。
 職人も、こちらも頑張ります、と協力的に応え……皆の指導に入った。
 作業は、台の上に飾りものを配置してドームで覆い、注水するという工程だが……全てオリジナルのため、台も樹脂素材などの形を整えていく必要があった。
「いやぁー、どういう風に作るんやろって前々から気にはなっとったけど、こうして一から作るってのはなかなか難しいんやねえ」
 ガド・モデスティア(隻角の金牛・e01142)は台をやすりで整えつつ、呟く。
 だが、平素から多彩な武器を操る為に手先は器用なので……それも段々と慣れる。すぐに飾り物の作業に入り……牧歌的な風景のミニチュアを作り始めていた。
「そっちはどんなもん、作ってるん?」
「俺のか? まー、こっちもまずは自然な風景って感じかな」
 応えるのは八剱・爽(エレクトロサイダー・e01165)。こちらも、台の上に冬の風景を飾り始めていた。
「お、こうすると樹氷っぽくってよくね?」
 樹を白く塗って自画自賛しつつ……自然だけでなく、ロボット風のフィギュアも作っていた。
 細かい作業は得意なためノリノリだが……職人に教えを請う際は真剣であり、芯にある礼儀正しさが、時折表れているようでもあった。
 碧生のドームもまた、雪景色だ。
 同時に碧生は、主役となる小竜と黒猫の細工も始めている。
 グレイン・シュリーフェン(森狼・e02868)はそんな風景が出来上がっていくのを、感心するように見ていた。
「綺麗なもんだな。見てたら、この夏も乗り切れそうだ」
「有り難う、ございます……。グレインさんのものも、また美しく」
「これは、俺の過ごしてきた森をモチーフにしたんだ」
 碧生に応えつつグレインが作るのは、冬でもどこか豊かな、木々のある風景。
 形になってきたそれを見て、グレインは少し目を細める。
 何となく、動物を守りながら暮らしていた日々を思い返しているのだった。
「そうだなー……涼しさもだけど……」
 と、手を動かしつつ悩むのは、六条・深々見(喪失アポトーシス・e02781)。
 引き籠り系女子らしく、と言おうか、屋内でもそもそと何かを作るのは結構好きなので……今回は珍しくそこそこやる気だ。
「温かみがあるのも作りたいな……温かみ……コタツ……うん」
 言って頷くと……作ったパーツを組み合わせ、人形と雪だるまを一緒にコタツに入れたのだった。
 雨生は、それを少しのぞき込む。
「雪だるまに炬燵とはユーモアがあって素敵だね」
「そっちのも、何だか、不思議でいいねー」
 深々見が見る、雨生のドーム内には……向日葵が見えた。
 それは、夏の風景だ。
「真夏に降る雪っていうのも幻想的でいいかと思ってね」
「現実にないものを作れるのも、創作の特徴なのかも知れませんね」
 そう言いつつ作業するのは西院・織櫻(櫻鬼・e18663)だ。
 織櫻は、雪の代わりに桜の花弁となる桃色の欠片を用意していた。
(「西院一門の棲家には様々な花が咲いたとか――」)
 聞いた話を思いつつ……作るのは異なる季節の花をモチーフにしたドームだった。
「しかし、流石に集中力がいるね」
 雨生はミニチュアの花を作りつつ声を零す。
 だが同時に、知識に対しては貪欲。職人に質問し、作品に反映させ、完成度を高めることを繰り返していた。
 織櫻も、自然表現や、建材の再現などの技術を次々に吸収している。
 それは、感性を得るため普段から様々な事に挑戦しているからだ。
 自我と記憶を壊され、情緒を理解できなくなったこと。そこから、変わる為に。
「追えば追うほど新たな技術に触れられる――任務とは言え、悪くない事ですね」
 皆はそうして研鑽し――短い期日を過ごしていく。

●完成
 その後も試作、研鑽を繰り返し……。
 この日、皆はようやく完成品に近い物が出来るまでになっていた。
「どれも、良くできていますね」
 職人はそれぞれの成果を見て回る。
 最初に手に取ったのは深々見のスノードームだ。
 それは人形と雪だるまがコタツに入った風景。人形が動けない雪だるまを見て、『寒そうだなぁ』と連れてきた、という図だ。
 人形は『これで雪だるま君もあったかいね』とほんわかした表情でうたた寝。一方、雪だるまは『おいマジかよ……』と言わんばかりに絶賛解凍中。
 どこかコミカルで、遊び心のある場面に仕上がっていた。
「冬のコタツは本当にいいからねー……そういう意味も込めてみたよ」
「面白いものになったね」
 そう言って眺めるのは雨生。
 雨生のドームも出来上がっており……向日葵畑の細工が美しいものになっていた。
 畑の中には道があり、空色の傘を差して歩く子共がいる。
 夏らしいその風景に、白い雪が降る景色は……暖かさと涼しさが同居するような幻想的な趣があった。
 織櫻の作品もまた、完成している。
 ドームの中には、様々な花が咲き、桜の花びらも降り注ぐ、花嵐とも言える光景が広がっている。
(「少しは、彼の心の慰めになるでしょうか――」)
 織櫻は自身が作った美しい世界を見下ろし、暫し物思っていた。
「こちらは、小物が巧みですね」
 と、職人が次に見るのは爽の作ったスノードーム。
 試行錯誤していたロボットのフィギュアは、スチームパンク風の、錆の細工も入れた機械兵になっている。
 ドームのイメージは『静かな冬の森の奥に眠る古びた機械兵と小動物』。
 冬の木々の奥に座り込む機械兵と、近くに配置されたウサギや子猫。
 どこか別世界の遠未来か、古代のような叙情も感じさせる、ファンタジー色のあるものになっていた。
「小物ならこっちも良いよなー」
 と、爽が眺めるのは碧生の作品。
 雪と装飾で粧った美しい森の中で、小竜と黒猫が寄り添い、穏やかな時を楽しんでいる。
 小動物も無邪気に遊び……雪景色の中にも温もりや優しさが灯る、癒しをもたらすドームだった。
「主役は……リアンがモデルです」
 碧生は小さく言う。それにちょっと鳴き声を返すのは、ボクスドラゴンのリアンだ。
 碧生にとって、孤独の底から助け合った、優しく勇敢な親友。
(「もう孤独に震える事無く、君が心穏やかに、幸せに過ごせるよう願って――」)
 そんな想いも込もった作品だった。
「ほんなら、うちのギンカクも可愛いで。なあギンカク」
 と、ガドも自身のボクスドラゴンに語りかける。
 それに声を返すギンカクが、ガドのドームの中にもいた。
 そのドームは、穏やかな田舎の風景の中に、ガドと両親とギンカクがいるという構図だ。
 のどかで、且つ楽しげな空気が内包されたドームである。
「ギンカクにも、そのうち故郷を見せてあげられたら、と思ってな」
 ガドは、若干親バカ的に……ギンカクのミニチュアをのぞき込んでいるのだった。
「どれも特徴あって、面白いな」
 そう言うグレインのドームも、完成済みだ。
 自身が動物と過ごしてきた森を表現しており――木々の間には、冬でも起きている動物がのぞく。
 その近くに、窓から明かりの見える小屋があり、屋根には雪が積もる。
 人と動物、自然の温かみを、そのまま表現したような作品であった。
 皆は職人に、あとは細かい部分を詰めれば問題ないと言葉をもらい……。
 最後の日まで、抜かりなく研鑽を続けた。

●策戦
 計3日が経ち、最終日。
 戦闘予定地に来たラヴェルナは、隠れて待機していた。
「……みんな……大丈夫、かな……」
 無表情に、ぼーっとしたように呟く。
 だが、その中でも警戒心は片時も薄れていない。
 他の待機組のメンバーとも合流しつつ、そのときを待っていると――程なく遠くに、店から出てくる面々を見つけた。
「あ……きた……」

 短い時間を遡り、店の中。
 予知通り訪ねてきた螺旋忍軍を、ケルベロス達は出迎えていた。
 そして、入門した螺旋忍軍に、深々見と雨生が兄弟弟子の立場を取り、暫し教えた後――『材料を取りに』と外へ招いた。
 こちらを職人の卵と信じ込んでいた螺旋忍軍は、疑問も持たずに誘われて――。
 材料も何もない、開けた野外へ出たのだった。
「ここはいったい……?」
 そして螺旋忍軍の2体が、ようやく疑問を持ち始めたところで――。
「ここは、戦場……だよ……」
 陰から飛び出たラヴェルナが、攻性植物を広く展開。黄金の光を仲間に与え――その防備を万全にしたことで、戦いの火蓋を切ったのだった。
 同時、ケルベロス達は奇襲する形で2体を包囲。
 ガドはその状態から間断を置かず、音波を発し2体を巻き込んだ。
「何……ッ」
 螺旋忍軍は何が起こったか分からず、見回す。
 そこにすかさず、深々見が走り込んでいた。
「早めにやらせてもらうよー……サボりたくなる前に」
 と、気を抜かぬようにしつつ、軽業師の方へ拳を打ち当てる。
 道化師の方は、やっと気付いたようにこちらへ向いていた。
「おのれ、ケルベロスか……!?」
「おっと、お前の相手はこっちだぜ」
 するとそこへ、爽が『黄金星の残影』。高く跳んだ状態から、縦回転にも似た軌道を取り、強烈な蹴りを喰らわせる。
「く――我等を謀ったな……!」
「お前らに奪わせるわけにゃいかねえんでな、命も技術も」
 呻く道化師に、グレインも踏み込んで、掌底。螺旋に螺旋で対抗するように、体内から衝撃を与えた。
 2体の忍軍は、何とか体勢を直すと、こちらを睨む。
「もう少しで技術を我がものに出来たものを……」
「技術を得ようとする姿勢や良し。ただ、恩を仇で返そうとするのはやっぱり感心せんなあ」
 ガドが返せば、ラヴェルナもこくりと頷いた。
「……学ぼうとする、のは……良いこと……だし……立派なのに……勿体ない……」
「笑止。全ては命令のままよ――」
 軽業師は反撃に出ようとするが――碧生が鎖でその体を締め上げる。
「命令、ですか。そんなものの為に……一点一点に尽くした時間と想い、綺麗で優しい世界――それを踏み躙る様な行いを、許すなんて出来ない」
 敵が捕縛されると、織櫻が疾駆する。
「このまま、斬り捨てさせて頂きましょう」
「じゃあ、僕は遠くから撃たせてもらうとしようかね」
 そんなふうに言う雨生は、打ち出の小槌のようなハンマーを、砲撃形態に変え、砲弾を発射。
 衝撃に忍軍が悲鳴を上げたところへ……織櫻が踏み込んで一閃。
 抜刀した日本刀・瑠璃丸で斬撃を繰り出し、軽業師を両断した。

●決着
 残り1体となった螺旋忍軍は……ようやく手裏剣を構えていた。
 それをこちらへ投擲しようとしてくるが――。
「簡単にはやらせないぜ」
 と、グレインが先に手裏剣を放っていた。正確な軌道を描いたそれは、敵の腕に刺さり、血を散らす。
 そこへ深々見が肉迫して、螺旋忍軍の胸元を掴んでいた。
 行使するのは『収束デプレシオン』。圧縮された憂鬱が、体を内部から崩壊させていく。
「これで倒れてくれると楽なんだけどねー……」
「……まだだ……ッ」
 螺旋忍軍は反抗するように、手裏剣をばらまいてきた。
 それは前衛へ広くダメージを与えてくるが……。
 即座に、ラヴェルナがフローレスフラワーズ。傷を癒すように、花びらを宙に舞わせていた。
「これで少しは……回復できたかな……」
「じゃあ、反撃と行こうか」
 と、敵へ接近するのは雨生。フードを靡かせて、高下駄を駆り、ひょいと敵の胸元へ。
 そのまま掌底を打ち、『第壱帖丗肆之節・塵核』。
 それは敵の水気と自らの魔の波動を同調させ、内部から蝕んでいく……一族に伝わる“雨呪”のひとつ。
 内から炙られたような苦痛に、螺旋忍軍は、激しく悶えた。
 そこへ素早く駆け込んだ織櫻が、刀を振り上げる。
「まだ、終わりませんよ」
 繰り出すのは『螺旋鬼刃斬』。螺旋の力を乗せた苛烈な斬撃で、螺旋忍軍を吹っ飛ばし、地に転がせる。
 螺旋忍軍は這うようにして立ち上がり、唸っていた。
「貴様らさえいなければ、今頃、技術を――」
「いいえ。心無き刺客に、あの世界を創る事は出来ぬでしょう」
 声を返した碧生は、『月喰』を行使。リアンのタックル攻撃と共に、召喚した狼による鋭利な牙を喰らわせた。
 それでも立ち向かってくる螺旋忍軍に、ラヴェルナは尾を振るった。
「てい……」
 気の抜けそうな声と共に、足を綺麗に引っかけて倒す。
 顔から落ちた螺旋忍軍を、そのまま見下ろした。
「害するなら……害される覚悟も……あるよね……」
「……否、手を下すのは、我等だ……ッ」
 螺旋忍軍は再び攻撃を試みる。
 だがそこへ、ガドがグラビティを集中していた。
「ギンカク、行くよっ!」
 と、ギンカクがタックルを仕掛けると同時、『黄金の衝撃』。虚空から衝撃の槍を放ち、腹部を貫いた。
「これで終わりにすっか」
 直後、爽が如意棒で一閃。痛烈な打撃で、螺旋忍軍を打ち砕いた。

「終わったねー……」
 戦闘後。深々見は仕事が終わるや、怠そうにブラックスライムに沈み込んでいた。
 皆もそれぞれに頷き、ようやっと息をつく。
「無事に勝てたな。一応、辺りをヒールしておくか」
 グレインが言えば、皆は周囲の修復も行い、美観も取り戻す。
 そして改めて店に戻り、職人と合流したのだった。
 ラヴェルナは店に並ぶもの、そして工房で皆が作ったスノードームも眺めていた。
「……作るのは……出来なくても、鑑賞は……いいかも……」
「こうやって並んでんのを見ると、やっぱ壮観つーのかな。悪くねーな」
 爽も、数々の作品が並ぶのを、見回している。
 ガドも頷いた。
「やってみたら結構大変やったけど。発見も多かったね」
「そうだね。中々出来ない経験をさせてもらったと思うよ」
 雨生も言うと――碧生は、改めて職人に礼を述べた。
「良い経験、良い世界に触れ……技術だけでなく、心も磨かれる様でした」
 それに職人は、こちらこそ守って頂いてありがとうございました、と頭を下げて応えていた。
「では、そろそろ帰還しましょうか――」
 織櫻が言うと、皆は職人に別れを告げ、店を出る。
 そうして、初夏の涼しい空気の中――ケルベロス達は三々五々、帰る場所へと去っていった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年6月16日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 0
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