硝子の魔法、踊る文字

作者:崎田航輝

「貴方たちは、ガラスペンを知っていますか」
 薄暗闇の中、ミス・バタフライは、配下の螺旋忍軍2体を見下ろしていた。
「全てがガラスで出来た、美しいペンだそうです。作るのにも技術が要るようで、工芸品としての価値もあるそうですよ」
 それを聞く配下の両名は、はい、と揃って頷く。1体は道化師、もう1体は大きな体躯を持った、怪力男といった風貌の螺旋忍軍だ。
 ミス・バタフライはその2体に続ける。
「そこで、貴方たちに使命です。この街に、ガラスペンを作っている工芸家がいるそうです。その男性に接触し、仕事内容を確認・習得。そのあとで、殺害しなさい」
「……了解しました、ミス・バタフライ。一見、意味の無いこの事件も――巡り巡って、地球の支配権を大きく揺るがす事になるのでしょう」
 2体は従順に頷くと、その場から下がる。
 そして音もなく、去っていった。

「ガラスペン、確かに見ているだけでも綺麗ね」
 リリス・セイレーン(ちょっとこリリ太郎・e16609)の言葉に、資料を眺めるイマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)も頷いていた。
「ええ。文房具にも、これほど美しいものがあるのって、素敵ですね」
 それから、改めてケルベロスを見回していた。
「集まっていただいて、ありがとうございます。今回の事件は、リリス・セイレーンさんの情報で判明した――ミス・バタフライによるものです」
 以前より続く、珍しい職業を持つ一般人を狙った事件だ。
 今回はガラスペンを作る工芸家の男性を狙ったものになるという。
「その男性の元に螺旋忍軍が現れて……仕事内容を習得したあとに、殺してしまうという目的があるようです」
 これを阻止せねば、男性が殺されてしまうだけでなく――巡り巡ってケルベロスにとって不利な状況までもが発生する可能性が高い。
「そこで皆さんには、この螺旋忍軍の撃破を、お願いします」

 作戦詳細を、とイマジネイターは続ける。
「敵は、螺旋忍軍2体です。場所は、青森県内にある工房になります」
 そこへ赴き、工芸家の男性を警護して、現れた螺旋忍軍と戦うのが目的である。
「事前に工芸家さんを退避させてしまうと、敵が別の対象を選ぶことになってしまい……結果的に被害を防げません」
 そこで、事件の3日前から職人に接触し……ガラスペン制作の仕事を教えて貰うのが今回の作戦だと言った。
「見習いに見える程度の技術を習得出来れば、螺旋忍軍の狙いを自分達に変えさせることができますので、頑張ってみて下さいね」
「ガラスペンというと、ガラス工芸の仕事を習得することになるわけね」
 リリスが言うと、イマジネイターは頷く。
「はい。バーナーを使ったガラスの成形で、ペンを作るという作業になるかと思います」
 色ガラスを混ぜたり、模様にしたりすることで美しい色合いを作り……唯一無二のデザインを作るのが肝要だ。
「技術は勿論ですが、想像力が大事になると思いますので……そのペンでどのような色合いやテーマ、世界観などを表現するか、といったことを考えてみるといいかも知れません」
 囮になることに成功したら、修行と称して外に誘い出すなどして、有利な状況で戦闘を始める事が出来るはずだと言った。
「螺旋忍軍は、道化師風の個体が日本刀、怪力男風の個体がエアシューズを装備しています」
 囮作戦が上手くいけば確実に先手が取れるので、頑張ってみて下さいと言った。
「とにかく一般人を狙うというなら、守らないとね」
 リリスの言葉に、イマジネイターははい、と応える。
「この技術と職人さんを守るために……皆さんの健闘をお祈りしていますね」
 イマジネイターはそう言葉を結んだ。


参加者
カタリーナ・ラーズグリーズ(偽りの機械人形・e00366)
リラ・シュテルン(星屑の囁き・e01169)
弘前・仁王(魂のざわめき・e02120)
月原・煌介(泡沫夜話・e09504)
リリス・セイレーン(ちょっとこ鴨太郎・e16609)
メイセン・ホークフェザー(薬草店店主のいかれるウィッチ・e21367)
ヴィルベル・ルイーネ(綴りて候・e21840)
保村・綾(真宵仔・e26916)

■リプレイ

●修行
 様々なガラス材料の並ぶ工房内に、ケルベロス達はいた。
 事情を説明し、既に3日間の修行をすることは了承してもらっており……。
 皆は工芸家の案内で、丁度作業場へとやってきたところなのだった。
「ふお、きらきら、とても、綺麗っ」
 そこで少し声を上げるのはリラ・シュテルン(星屑の囁き・e01169)。工房内に並ぶガラスペンを見回し……思わず頬を染め、目を見開いていた。
「あれも、これも。すごいですね、ねっ」
「うん、とってもキラキラ……!」
 リラに袖を引かれつつ、保村・綾(真宵仔・e26916)もこくこくと頷く。
「なんだかリラあねさまに似てる! あねさまってば透明でキラキラしてるみたいだもん!」
「まあ、何だか、嬉しい、わ。ありがとうねっ」
 と、それにリラもふんわりと笑みを返していた。
 月原・煌介(泡沫夜話・e09504)も、ペンを眺め、穏やかに目を細めている。
「確かに、どのガラスペンも……輝いてる、ね」
 そして改めて工芸家と向かい合った。
「俺も、ガラスペンは好きだから。こんな機会を持てて、嬉しい。精進出来るように、頑張るから……よろしくお願い、するよ」
 すると工芸家も、頑張りましょう、と頷いて……早速、修行へと移った。
 まず工芸家が見本として、バーナーでガラスを熱し、成形。それを皆で眺める。
「しかし、職人の技を目の前で堪能出来るのは役得だな」
 見入りつつ、ヴィルベル・ルイーネ(綴りて候・e21840)は言葉を零す。
 態度はいつも通り悠々としながらも、その表情は愉快げでもあった。それが文具であるなら尚更、といったように。
「この筆で描けば、また新しい文字に出会えるかもしれない――」
 声はどこか弾むように……工芸家の教授のもと、ペンの作成に入っていた。
 綾とリラも、自分達の卓についている。
「綾ね、リラあねさまのペン作ってみたいな! もしうまく作れたら貰ってくれるかのう……?」
「ふふ、それなら、わたしも、綾様のペン、作りたい、わ。出来たら、交換こ、しましょう、ねっ」
 応えるリラに、綾も頷き、2人で微笑む。
 そうして、工芸家がガラスを熱してはペンを練っていく、という図を、穴があくほど眺めつつ……2人もガラス相手に奮闘し始めていた。
「やっぱり、中々簡単にはいかないね」
 カタリーナ・ラーズグリーズ(偽りの機械人形・e00366)も、試作を繰り返している。
 ペンとして形になっているものも中にはあるが、カタリーナ本人は、納得せず作業を続けていた。
「期間も、僅か3日ですからね。慌てずに……且つ急ぐ、という必要がありそうですね」
 そう応える弘前・仁王(魂のざわめき・e02120)も、バーナーとガラスに向かいながら手を動かし続けている。
 リリス・セイレーン(ちょっとこ鴨太郎・e16609)も、それに頷いた。
「そうね。期間は短い……だからその分、気持ちをめいっぱい込めて作りたいわ」
 言葉を体現するように、リリスはワークギアや、手袋も着用して臨んでいる。さらにお守りと、イメージになる宝石も、傍らに携えていた。
 カタリーナはちょっと呟く。
「気持ち、か。そうだね。……あの人にプレゼントできるようなのが出来たらいいけど」
「あら、それ、贈り物なのね」
 リリスは、興味を惹かれたようにしつつも――自分のペン先の作業では、ひときわ真剣に形成に打ち込んだ。
 それはリリスもまた、想い人を頭に描きながら、作っていたからだった。
 一方、煌介も作業をしつつ隣に向く。
「メイセンは……どのようなペンに、するのかな」
「私は、鉱石で作ったようなイメージにしようかと思っています」
 そう応えて色ガラスを手に取るのは、メイセン・ホークフェザー(薬草店店主のいかれるウィッチ・e21367)。
 それを熱してペン状にしていくと、美しい彩色が編み出されていく。
 また、デザインと共に、メイセンは個々の作業も真面目に取り組んでいた。
「技術を習得できたら自分の店の雑貨商品に加えたいですしね」
「なるほど……また、店に行く理由が、できてしまうね」
 煌介は柔和に言って、自身も作業を続けた。
 真剣なこともあり、2人は言葉少なでもあったが……それでもどこか、気心の知れた空気があった。

●完成
 それから皆は、作っては直しを繰り返し……。
 2日が経ったその日、完成品と言えるものが出来るまでになっていた。
 工芸家も、感心するように皆の作ったものを眺めていく。
「これは、美しいですね」
 と、手に取ったのは煌介のガラスペン。
 曲線が優美で持ちやすい形に仕上がっているそれは……紺色のガラスをベースに、薄紫のマーブル模様が印象的な色合いのものだった。
 金ラメの混ぜ込んだ紺はまるで星空で――薄紫はさながら夜咲く紫陽花。煌介自身の印象とも重なるような、幽玄なものに仕上がっていた。
「そう言って、もらえると……泊まり込んだ甲斐もあった、かな」
「確かに綺麗ですね」
 と、メイセンもそれを眺めている。
 そんなメイセン自身の作品は、初日のイメージ通りの、鉱石で作られたような多色の煌めきが美しいペンだった。
 同時に、琥珀をモチーフにした一品でもあり、柄の先端には橙色で作られた、琥珀を削りだしたような風合いの飾りがあしらわれている。
「これは、見ていて飽きないね」
 と、煌介はそれを見て感想を零していた。
 リラと綾も、それぞれに贈るペンを仕上げている。
「とても、綺麗な、ペン……」
 リラが見るのは綾の作ったもの。優しく美しい紫色と、その中のライラックの花が目を引くような、星明かりと月明かりを連想させるガラスペンだ。
 ライラックの中には、1つだけ小さな猫の足跡をぺたりと入れたような細工も施してある。
「リラあねさまのロッドをイメージして作ったのじゃ!」
「ロッドに、わたしのライラック――すごく、うれしい」
 一方、リラが作ったものを、綾も愛おしげに見ている。
「素敵なペン……! ネコもいるのじゃ!」
 言葉通り、それは2匹のネコをモチーフにしたペンだ。シンプルな作りながらどこか愛らしさの感じられる一品になっている。
「綾とかかさまかのう? すっごくかわいい!」
「気に入って、もらえて、嬉しい、わ。このペン、大切にします、ね」
「綾も大事にする!」
 リラの言葉に、綾も大事にペンを抱きしめ――再び、笑みを交わしていたのだった。
 ヴィルベルはそれらを興味深げに眺めている。
「皆のペン、良くできているねぇ」
「あなたのも、とても綺麗だと思うわよ」
 と、リリスはヴィルベルのガラスペンを見る。
 細く長く、どこかシンプルとも言えるシルエット。だが、それはガラスの透明感と文具としての使いやすさを両立したような巧みなものでもあった。
 鉛筆を感じさせる印象で、ガラスの中を、血流のようにインクが通る構造になっている。
 先端は濃く、末尾に従って薄くなるグラデーションも、華美に過ぎない美しさを演出していた。
「こちらはバラの細工が素敵ですね」
 工芸家はそう言って、リリスのものをのぞき込んでいる。
 ペン先を薔薇の蕾に見立て……ペン軸は、金から緑のグラデーションが美しい茎になっている、芸術性の高い作品だ。
 それはインクの色の数だけある一輪の薔薇。想い人への想いが形になったような――精細さと凛とした華やかさを併せ持った作品になっていた。
 カタリーナのガラスペンもまた完成している。
 それは恋人をイメージした、瑠璃色がベースのペンだ。
 色味の美しさを主役にしたとも言える一品で、その澄んだ色合いと……山梔子の花をイメージした白のペン置きが、組み合わせの妙となっている。
「ペン置きはまだ試作だけど。これで、贈り物に出来るかな」
 カタリーナのそんな言葉には、素敵な贈り物だと思います、と工芸家も言っていた。
「ペン置きまで拘ると中々難しいものですね」
 と、作業しつつの仁王も、ペン置きとの組み合わせで作っている。
 ペンは既に完成していて、薄い青と白の色ガラスを混ぜて、空の色合いを演出した爽やかな一品になっていた。
 ペン置きは相棒のボクスドラゴンを模したものであり、こちらはまだ試作中だが――既に赤いドラゴンの形は出来上がっており、完成は間近に思われた。
「やはり3日では厳しいところ……ですが、最後まで頑張るとしましょう」
 仁王が言えば、皆も頷き……最後の1日間を、全力で研鑽に打ち込んだ。

●迎撃
 そして、作戦最終日。
 予知通り――工房に、螺旋忍軍2体が訪ねてきていた。
 ケルベロス達は、工芸家には隠れていてもらい、自分達のみで対応する策をとる。それでも、皆がきっちりと技術を身につけていたこともあり――2体を弟子に取ることに成功していた。
 その後、機を見てリラが、2体を工房から外に招く。
「次の工程に、必要な工具と材料は、外の物置に。なので、取りに参りましょう、か」
 螺旋忍軍は疑うことも無く、それに同行。
 職人や見習いを装う皆がケルベロスとも気付かず……外の開けた場所へ出たのだった。
「……? む、ここはいったい――」
 そして、物置も何も無い風景の中。
 2体が今更ながらに不思議そうな顔をしたところで――。
「ここは戦場です。私たちと戦うための、ね」
 言葉と同時、仁王が攻性植物を放ち、道化師の背中を捕らえて締め上げていた。
「何……ッ!?」
 驚く螺旋忍軍。
 同時、リラと綾が、隠れさせていたウイングキャットの、ベガと文を呼ぶ。
「ベガ、おいで」
「かかさまもこちらへ!」
 声に呼応し、ベガはふわりと、文はぴょんと跳ねるように飛んで羽ばたき……前衛へ耐性強化の光をもたらす。
 直後、綾が妖精弓・ねこのひげからエネルギーの矢を射ると――リラは『星屑迷路』を行使。
「さあ、おしおきの、時間です、よ」
 周囲に美しい星々の光を生み出し――2体諸共、巻き込んだのだった。
「く、騙されていたのか……」
 螺旋忍軍は、信じられぬというように、リリスやメイセンに向いている。
 メイセンもまた、髪を束ね、ジーンズに長袖シャツ、エプロンという姿だった。
「これも作戦の内ですよ」
 何でもないように応えたメイセンは――足元に二重の魔法円を展開。
 ビハインドのマルゾが金縛りをかけている間に……巨大光弾を道化師に撃ち当てる。
「メイセンの術……いつもながら、確りと構成されて、綺麗だ」
 それを眺めて言葉を零す煌介も……負けじと地を蹴り跳躍。
 面映ゆそうな色を微かに滲ませるメイセンを眼下に――梟の狩りの如き正確な軌道を描く。そのまま、星屑を散らしたような軌跡を残して、蹴り下ろしを命中させた。
 転倒した道化師は、慌てて起き上がる。
「不覚……だが、このままでは帰れぬ……技術を持ち帰らねば」
「何とか夫人だっけ。何度も失敗してるはずだけど、諦めの悪さがすごいよね。いつまで狙い続けるんだろ、職人」
 ヴィルベルが、闇の触手を招来し、襲わせつつも呟くと……。
 螺旋忍軍は呻きながらも口を開いた。
「お前達の知るところではない……本物の職人を、出せ……!」
「悪いけれど、職人も技術も、渡せないわ」
 と、リリスは『雪水晶の精霊』をひらひらと舞わせている。仄かに光る羽を振るわせたそれらが、美しいヴェールを作り、仲間の耐性をさらに高めていくと――。
 カタリーナは『守護るため我が身を穿て、蒼き雷霆よ』。自身が帯電する「神の雷霆」を増幅、まずは自らの力を一気に高めていく。
「ひとまず、攻撃を頼めるか」
「ええ、了解です」
 すると、それに応える仁王が、強力なグラビティを篭めた攻性植物で一撃。道化師を四散させた。

●決着
 螺旋忍軍は、残り1体となっていた。
 既に皆に四方を包囲されてもいたが……戦意は失わず、攻撃を仕掛けてくる。
「まだ、勝負はついていない……ッ!」
「そうね。でもそれももうすぐ終わると思うわ」
 と――そこへ、リリスが花開くような魔法光を閃かせる。光線状に飛んだそれは、螺旋忍軍の体に巻き付き動きを止めた。
 同時、ヴィルベルが『穿つ旋嵐』。召喚した暴嵐の精霊で、空気を巻き込みながら敵の腹部を穿っていく。
「そもそも君達って、筆を持つように見えないし、文を認めるようにも見えないけど。適材適所に反しすぎじゃない?」
「おのれ、侮辱するか……ッ」
 敵はヴィルベルを睨むが……繰り出そうとした蹴りは、早い段階で仁王が庇い、ダメージを抑えていた。
「回復、は、まかせて、くださいっ」
 直後、リラが手に星の煌めくような光を纏う。それで仁王に触れ、傷を回復させると……。
 綾も『猫妖精の祝歌』を行使。
「我らが王よ、我らに尊き祝福を――」
 声と共にふっくらボディの猫の王様を召喚。そのステッキからの癒しのオーラで、体力を万全にしていった。
 メイセンはファミリアの煤色蜥蜴を解き放ち、敵へ斬撃を喰らわせている。
「このまま追い込んでしまいましょうか」
「そうだね。――罪と破壊の王成らざりし。……逝け」
 応えるように、煌介は炎をたたえた幻龍を撃ち、敵を炎上させた。
 炎に包まれた螺旋忍軍は、藻掻いて倒れ込むが……それでもふらふらと立ち上がってくる。
「まだ……死、なぬ……!」
「ならば、そちらが倒れるまでやるだけですよ」
 仁王はその眼前に立つと、強烈な回し蹴りを叩き込んだ。同時、ボクスドラゴンもブレスを浴びせて、吹っ飛ばすと――。
 カタリーナが、過負荷により蒼い稲妻を纏いながら、高速で疾駆。
 宙に煽られる螺旋忍軍を迎え撃つような体勢を取り……白光の鎗に、一層目映い雷光を宿らせた。
「最後に言っておこうか。お前達のおかげで、良いプレゼントが出来た」
 言いながらも、槍をまっすぐに突き出し――光弾ける刺突を繰り出す。
「だからお礼に――ぶち殺してあげよう」
 瞬間、貫いた稲妻が螺旋忍軍を砕き、消滅させた。

「あふ……もう……疲れたぁ……」
 戦闘後。カタリーナは過負荷がたたってか、倒れ込んでいた。
「大丈夫ですか?」
 と、メイセンはそのカタリーナも含め、周囲にヒールをかけている。
 皆もそれに続き、荒れた地面などを直した。
「綺麗に、なりました、ねっ」
 綾の言葉に皆も頷く。建物から離れていた場所だったこともあり、景色は元通りの美観となっていた。
 そして、皆は工房に戻り、工芸家と合流する。
 守ってくれたことに、工芸家は丁寧に礼を述べていた。
 リリスは、それに礼で返す。
「こちらこそ、ありがとうね」
「技術を教えてくれたこと……感謝、するよ」
 煌介も言うと、仁王も工芸家へ頭を下げた。
「3日間、ありがとうございました」
 それに、工芸家もまた、頭を下げて礼を重ねる。
 それが終わると……ケルベロス達は工芸家に別れを告げ、工房を後にする。
 歩き出した皆は……そうしてそれぞれの帰る場所へと、帰還していったのだった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年6月10日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 3
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。