待宵のソプラノ

作者:崎田航輝

 夜の寂しい空気の中、1人の少女が瓦礫の中を歩いてきていた。
 そこは廃墟である。崩れた建物が散見され、今ではひとけもまったくない。
「歌劇場の幽霊、かぁ……本当にいるのかな?」
 少女は少し期待を含んだように、見回している。
 夜中の探検――それはとある噂を聞いて事だった。
「若くして亡くなった歌劇歌手の女性が、命を求める幽霊となって現れる……だっけ」
 それは昔、ここで歌っていた役者であるという。再び生を得ることを夢見て、彷徨っているのだとか。
「出会ってしまうと、命を奪われる、っていうけど――」
 独りごちるように、少女は瓦礫を乗り越えて歩む。
 その一帯は、確かに何かの舞台だったかのような建物跡にも見えた。
 もっとも、幾ら待てど幽霊は出てこなかったが……。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
 ふと、少女の背後に影が現れた。
 手に持った鍵で、少女の心臓をひと突きする――第五の魔女・アウゲイアスだ。
 少女は意識を失い、建物跡の中で倒れ込んだ。
 すると奪われた『興味』から――ドレスを纏った若い女性の影が出現する。
 その唇からそっと零れるのは、ソプラノの美しい歌声だった。
 それは何かを求めるように……徐々に高らかに、夜空に響いていく。

「歌う幽霊……本当にいるのだとしたら、少しだけ、会ってみたいという気もしますね」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はそう言って、集まったケルベロス達を見回していた。
「今回は、ドリームイーターの出現が予知されたことを伝えさせて頂きます。第五の魔女・アウゲイアスによる、人の『興味』を奪うタイプのもののようで――廃墟にて、少女の興味から生まれるようです」
 放置しておけば、ドリームイーターは人間を襲ってしまうことだろう。
 それを未然に防ぎ、少女を助けることが必要だ。
「皆さんには、このドリームイーターの撃破をお願い致します」

 それでは詳細の説明を、とイマジネイターは続ける。
「敵は、女性の姿をしたドリームイーターが、1体。場所は廃墟にある、建物跡です」
 どのような建物だったかは窺えないが、古い歌劇場であったという噂のある場所だ。
 辺りには瓦礫も散乱しているが、舞台上のような場所は、平坦で戦闘にも不自由しないだろう。
「その辺りで誘き寄せるための行動を取れば、ドリームイーターは現れてくれるはずです」
 誘き寄せには噂話をするだけでも良いが、歌に引き寄せられる傾向もあるので、舞台上で歌を歌っておくとより確実だろうと言った。
「ドリームイーターを倒せば、少女も目を覚ますことが出来るので心配はないでしょう」
 敵の能力は、激しい歌による遠列プレッシャー攻撃、精神に響く歌による遠列催眠攻撃、魂を蝕む歌による遠列毒攻撃の3つだといった。
「少しだけもの悲しい気持ちもしますけれど。それでも皆さんのお力で、撃破を成功させて来てくださいね」
 イマジネイターはそう言葉を結んだ。


参加者
十夜・泉(地球人のミュージックファイター・e00031)
ロゼ・アウランジェ(ローゼンディーヴァの時謳い・e00275)
ポート・セイダーオン(異形の双腕・e00298)
オズワルド・ドロップス(流星の黒兎・e05171)
火岬・律(幽蝶・e05593)
小花衣・雅(星謐・e22451)
ヨル・ヴァルプルギス(グノシエンヌ・e30468)
月岡・ユア(月歌葬・e33389)

■リプレイ

●舞台
 夜の廃墟に、ケルベロス達はやってきていた。
「ここだね。確かに舞台、という感じだね」
 建物跡を眺めるのはオズワルド・ドロップス(流星の黒兎・e05171)。視線の先は、朽ちた廃墟の中では整っているとも言える舞台がある。
 皆も頷いて歩むと……程なく、近くに倒れている人影を見つけた。
 今回の被害者とも言える、興味を奪われた少女だ。
 少女の怪我が無いことを確認すると、火岬・律(幽蝶・e05593)はその体を丁寧に抱え、隅の観客席に横たえさせる。
「戦闘に巻き込んでしまっては何ですからね。さて……後は、皆様にお任せすることになりそうですね」
 律が言うと、笑顔で頷くのは、ロゼ・アウランジェ(ローゼンディーヴァの時謳い・e00275)だ。
「はい! 景気づけになるよう、目一杯楽しんで歌わせて頂きますね!」
 そして舞台へ上っていく。
 それはこれから行う作戦のためだ。
 十夜・泉(地球人のミュージックファイター・e00031)は、チェロを準備していた。舞台へ上がる前に、横へ視線を向ける。
「そういえば、小花衣さんと依頼でご一緒するのは初めてですね。ぜひ、よろしくお願いしますね」
「あら。丁寧に、どうも。こちらこそ、演奏も楽しみにしてるわね」
 と、応えるのは小花衣・雅(星謐・e22451)。雅は聴く側として……席に着き、ウイングキャットのアステルを膝上に乗せていた。
 泉は、次に舞台上でロゼに声をかける。
「ロゼさんは、お久しぶりでしたよね。素敵な歌、楽しみです」
「ありがとうございます! 私の方こそ、伴奏、期待させてもらいますね!」
 ロゼが応えると、泉は最後にすぐ横を見る。
「月岡さん、一緒に裏方頑張りましょうね」
「うん! こっちこそ、よろしくねー!」
 と、朗らかに笑みを返すのは月岡・ユア(月歌葬・e33389)。
 ユアは舞台上から皆に向く。
「ボクも楽しむから、皆も楽しんでいこうね!」
「ええ」
 そう客席から応えるのはヨル・ヴァルプルギス(グノシエンヌ・e30468)。
「わたくしも、人の演奏や御歌を拝聴するのは初めてに御座います故、楽しみにしておりました。依頼の前に優雅では御座いますが――アウランジェ様方の舞台をじっくりと拝見致したく存じます」
 腹話術で話すヨルは全くの無表情。だが、その手にある人形の方は、どこか愉しげな身動きを取っていた。
「じゃあボクは、少々隠れていることにするよ」
 オズワルドは言って、隠密気流で姿を潜める作戦をとる。
「それではよろしくお願いしますね」
 客席から、ポート・セイダーオン(異形の双腕・e00298)が言うと――。
 舞台上で、泉は頷く。
 そして、自分に頑張ろっと声掛けをすると……チェロの伴奏を奏で始めた。
 響くのは、明るくポップな旋律。
 そこへ――ロゼが、歌を歌い始めた。
『――La Vie en rose!』
 曲は『薔薇の詩』……生きる希望を綴った愛の歌。
 咲いては弾ける、心弾むメロディー。鼓舞するような華やかな歌声で紡ぐ――明るい一曲だった。
 と、そこへ花吹雪が飛ぶ。
 ユアが翼で仰ぎ、舞わせているのだった。
 ロゼに合うようなバラの花弁が、月明かりに紛れ幻想的な雰囲気を醸す。
 泉はそれを、さらに温かみのある音色でサポートする。終始弓の動きもゆったりとした、高水準の演奏だった。
 雅は、尻尾を振るアステルを抱き留めつつ、舞台を眺める。
「素敵な歌ね」
「ええ。いい舞台です」
 と、頷くポートは、舞台を撮影、録画しつつ……噂話も同時に行うことにする。
「歌う幽霊……どんな存在なんでしょうね? 歌と言っても色々ありますし……」
 すると――ふと、どこかから別の歌声が響いた。
「……姿はない、ですが、時間の問題でしょうね」
 律は静かに、しかし抜け目なく視線を走らせ、武器に手をかけていた。
 程なく、かつん、と舞台袖から上がってくる茫洋とした影があった。
 ドレスを着た歌劇歌手……ドリームイーターだ。
 その歌は生気を奪うような響きだった。舞台上のロゼにも、勿論それは聞こえていたが……ロゼは、自身の声を止めない。
「貴女が終焉を歌うならば、私は生きる素晴らしさを……薔薇色に染まる幸福な人生の煌めきを歌います!」
 そうして逆に――自分達の音楽に敵を巻き込むように、一層朗々と歌い上げていた。
「私の歌は、世界は……貴女には負けません!」

●相対
 ロゼの歌う『薔薇の詩』は、聴くものを励ますメロディで、仲間の力を高めていた。
「皆さん、お願いしますっ!」
 同時、歌い終わったロゼが言うと――戦闘は始まっている。
「小手調べ……というわけじゃないけどね」
 と、敵後方から光。潜んでいたオズワルドが、指に挟んだカードから、目映い魔法光を生んでいたのだ。
 それがドリームイーターの背に飛来すると……衝撃と石化をもたらす。
 皆もすぐに、ドリームイーターを包囲していた。
 こちらを見回すドリームイーターを眺めて、オズワルドはふと口を開く。
「確かに、歌劇場の歌姫……といったところだね。当たり前だけど、噂通りの姿かな」
「ええ、でも何というか……普通のソプラノで歌う幽霊で良かったと思ってしまいました」
 と、ポートはそんなふうに言う。
「歌劇場でデスメタルとかロックとかだったら、違和感凄そうでしたし……ありがちな表現で良かったと言うべきか……」
「逆に、映画や小説に数多くなるような分かり易いイメージだからこそ、噂に上ったというのもあるのでしょうね。それが原因で目を付けられた、とも言えそうですが」
 律も少し、考えるように言う。
 ポートは頷きつつも、床を蹴って敵へ肉迫していた。
「何にせよ――炎の中でも歌っていられますかね!」
 瞬間、両腕の黄金爪に炎を宿らせ、斬撃を伴う殴打を喰らわせる。
 その直前、泉も、踵をコツ、コツ、コツと鳴らして無事に帰るためのおまじないをすると――ポートに続き敵へ接近していた。
「遅いですよ――」
 泉はそのまま時間差攻撃。銀の短刀・larkspurを振り抜いて痛烈な斬撃を加えた。
 ドリームイーターは踏みとどまって声を出そうとするが……。
 そこへ、ユアが御業を解放し、ドリームイーターを拘束した。
「命を求める、生を再び夢見る気持ちっていうのは、どーいう感じなのかな?」
 ユアは好奇心を浮かべ、尋ねるともつかぬ口調で言う。
 ふと思うのは、死を描く歌しか刻めない自分。だからユアは、それが仮初の幽霊だとしても興味があった。
 ドリームイーターは、答えの代わりに、高く激しい歌を歌う。
 それは強力な圧力を伴って、前衛を襲ってくるが――。
「これが貴女の歌ですか。確かに、美しいとは言えるものかも知れませんね」
 と、律は冷静さを崩さず、霊力を宿した紙兵を散布している。薄発光した力が、前衛を即座に癒していくと――。
「ええ。身を震わす、上手な御歌で御座いますね」
 ヨルもその歌の中で、静かに佇んでいた。
 そしてゆらりと手をのばす。
「――でも、残念。心にまでは届かぬ様で御座います」
『そうネぇ。だかラ、少し黙っていテ貰おうかシら?』
 と、腹話術の人形・Morganの口がぱくりぱくりと動くと――そこから、光と共に龍の幻影が撃ち出され、ドリームイーターを襲った。
 敵は炎に包まれ、かなりのダメージを受けたようだが……歌は止まない。
「思いのほか頑丈で御座いますね」
「それでも、やることは変わらないわね」
 と、ヨルに応えるのは雅。
 その痩身で、巨大な鎚を構えると……それを砲撃形態へ。
「これで一度、静かにして貰おうかしら」
 言葉と同時、煙を上げて砲撃。
 凄まじい勢いと共に飛来した砲弾は、ドリームイーターの足元に被弾。強烈な爆風を生み、その歌を中断させた。

●相克
 ドリームイーターは、ドレスの端々を破れさせつつも……倒れず、そこに立っていた。
「そう簡単にやられはしない、というわけね」
 雅が砲口を下げつつも呟くと、ポートが巨腕を構え直している。
「それなら、もっと直接的に口を封じてあげましょうか」
 言うが早いか、疾駆すると同時に爪を振り上げた。
 豪速の大振りであると同時に……それは狙い澄ました一撃でもある。
「石化狙い、行かせてもらいます……!」
 命中と同時、的確に魔力を流し込み、その口元を硬化させていった。
「連撃お願いします……!」
「ええ、分かりました」
 と、高く跳び上がっているのは泉だ。
 虹の軌跡を描いて踵落としを加え、ドリームイーターを転倒させる。
「小花衣さんも、このまま攻撃を……!」
「勿論、そのつもりよ」
 泉に、雅も応えつつ、白い翼で飛翔していた。
 浮かびながら、足元に生み出すのは星型の煌めくオーラだ。輝くような星屑を零しながら、それを蹴り上げると――雅は翼を駆って、宙で一回転。
 勢いを付けて星を真下に蹴り落とし、ドリームイーターの背に衝突させた。
 敵は呻きつつも、毒を伴う歌を歌うが――。
 そこに再び、前向きな歌声が重なる。常磐の瞳を薄く閉じ、金蜜の髪をたゆたわせながら、ブラッドスターを歌う……ロゼだ。
「歌は私にとって『世界』……だからもう歌で誰かを傷つけて欲しくありません――」
 ロゼは、歌手としての誇り、歌への愛、それをも伝えるように音を織っていく。
「歌は……命を奪うものではなく、命に恵を与えるものなんです……!」
 その歌が、仲間の毒を浄化し、体力を癒していく。
 さらにヨルのウイングキャット、ケリドウェンと……雅のウイングキャット、アステルもそれぞれ羽ばたいて、治癒を進めた。
 それでも、歌を止めない敵に……律は花のオーラを展開しつつ口を開く。
「全ての芸術家は、自らが唯一の存在である名誉を望むもの。そういう意味では、貴女も今宵は、確かに比類なき音楽家でしょうね――今宵だけは」
 そして語りかけるように見据えた。
「あるべき処へ還るまで、存分に歌い切ればいい。何度でも回復して、付き合ってやる」
『――』
 ドリームイーターは、それに一層声を上げるが……。
「ボクはもういいかな。期待したけど、何だかつまんないし」
 ふとユアが呟く。
 それは歌を聴いて、改めてそれが仮初だと理解したからだ。
「本物の魂を蝕む歌……教えてやるよ。――“全ての命よ、等しく無に還れ”」
 歌うのは『死魂曲』。死と絶望を流し込む悲愴曲は、闇を舞い上げて敵の魂を蝕んでいく。
「ではボクも反撃と行こうか」
 と、苦悶する敵へ、オズワルドもケイオスランサーでの刺突を与えていた。
「シトラスも頼むよ」
 さらに、オズワルドの声を受けて、ミミックのシトラスも、エクトプラズムで石化を進めていく。
 ドリームイーターは苦しみながらも、声を出そうとするが……。
『悪イけど、あなたノ出番はそろそロおしマいよ?』
 ヨルが人形をケタケタと動かす。
 同時、ヨルは反対側の手にオウガメタルを鋭利にして纏わせていた。
「少なくともみすみす攻撃など、させるわけには参りませんからね」
 言いながら、まっすぐ拳を打ち出し……敵の体を吹っ飛ばした。

●決着
 倒れ込んだドリームイーターは、しかしふらつきながらも起き上がる。
『――』
 そしてあくまで歌は諦めず、叫声にも似た声を出すが……。
「もう歌わせないって、言ったでしょ?」
 ユアがそれをかき消すように、幻影のリコレクションを歌い上げる。
 強く響く歌に、ドリームイーターは怯みながらも、自身も再び口を開く――が。
 そこへロゼが飛来。翼で空を滑り降りるように飛び蹴りを打っていた。
「やらせませんっ! へメラちゃんもお願いっ!」
 すると、ロゼの声に呼応してテレビウムのへメラも、マイクで殴打を加えていく。
 再び転倒したドリームイーターは……それでも這うようにして起き上がる。
 だが声を出す前に、ヨルが『加速度円舞曲』を舞っていた。
「出でませ、異界の傀儡師――」
 それは魔力糸を巡らせ、“見えざる者”に其の身を委ねる魔術。文字通り踊るように、敵に乱打を喰らわせ、血を散らせていく。
 そこへオズワルドが魔導書を開き、魔力を溢れさせていた。
「噂の通りなのだとしたら、未練は強いだろうけど……歌は、止めさせて貰うよ」
 行使するのは『制裁の晄』。
 時間をかけてこれまで流していた魔力が、地脈を通じて敵の足元へ通じ――この瞬間、そこから縦に長大な光柱を閃かせて敵の全身を襲った。
 光に光を重ねるように、雅は槍に雷光を宿らせ、連続の突きを繰り出していく。
「このまま、畳みかけて行きましょう」
「ええ、毒と炎のコラボレーションをお見舞いしてあげます……!」
 応えるポートは、深い踏み込みから、『湾曲・壊式』。
 両の豪腕を毒手とし――敵の、炎による傷をさらに引き裂き、切り裂き、数えきれぬ打撃を与える。
 悲鳴を上げたドリームイーターへ……律が迫り、『反舞』。鎖を繰り、意識の外からの一撃を喰らわせた。
「劇は観客が居なければ成り立ちませんからね。最後は、見送りましょう」
「ええ。ですから――これで本当に終わりです。申し訳ないのですが、アンコールはありませんよ?」
 律の声を継ぐように、泉は言って『Genau und Geschwind eins』。
 名も知れぬ歌うたいの幕引きに、ナイフで一閃――その攻撃が、ドリームイーターを両断し、消滅させた。

「終わりましたね」
 戦闘後。律の言葉に皆は頷き、息をついている。
 それから少女の元へ戻り、容態を確認した。少女はすぐに目を覚まし……事情を知って皆に礼を言った。
「もう興味本位でこんなトコ来ちゃダメだぞ~?」
 ユアの言葉にも、はい、と頭を下げ……少女は見送られて、帰っていった。
 荒れた箇所にヒールを施したロゼは、再び舞台に上る。
「沢山歌えて楽しかったです! だから、最後に一曲だけ――」
 と、また歌声を昇らせていた。
 それに、泉もブルースハープで旋律を乗せていく。
 しばし夜空に静かな音楽が響いた。
「――」
 その音楽の中で、雅は空を仰ぎ、祈祷をしている。
 オズワルドはドリームイーターが散った跡を見下ろし、小さく告げていた。
「今はどうかお休み、幽霊の歌姫」
 そして歌が終わると――ポートはロゼ達に、戦闘前の舞台を撮影したデータを渡す。
「いい歌と演奏をありがとうございました。素敵な歌がこの場限りなのはちょっと残念ですので、皆さんにも」
 と、皆にもそれを渡していた。
 それを機に、皆は三々五々帰還していく。
「……今日は良い歌も聴けたし、よく眠れそうだな……」
 オズワルドは術を使った疲労感で欠伸をし、眠たげに歩いて行く。
 ヨルは最後、舞台に近づき、会釈と細やかな拍手を送った。
「手合せと、歌を聞かせて頂いたこと――ありがとう御座いました」
 そうして、ヨルも去っていく。
 後には、月明かりの中、静かな廃墟だけが残っていた。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年6月6日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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