穹に羽ばたく伝説

作者:崎田航輝

 原生林の森を、1人の青年が探索していた。
 背の高い木、濃い色の植物が辺りを埋め尽くすそこは……とある地方の山。古代からの風景がそのまま残っているような、緑の世界だった。
「みんな嘘だって言うけど……絶対、本物のロック鳥に違いないんだ」
 青年は独りごちて、草花をかき分ける。
 それは、ここに立ち寄った人たちが見たという、巨大鳥の噂だった。
 生と死を超越する、雄大な存在感をたたえる巨鳥――それは単に荒唐無稽な話ではなく、昔の文献でも言及される、伝承の1つだ。
 もっとも現代でそれを見た者はいないが……どこかにはいるはずだと、青年は思っていた。
「噂だと、確かこの辺りだよな……」
 開けたところに、巨大な白い岩の塊がある。
 聞くところでは、これはロック鳥の卵だという。近づけば親鳥が子を守るために襲ってくるとか……そうでなくても、付近にいるものは餌にされてしまうという噂だ。
 勿論、幾ら待てど、伝説の巨鳥が現れることは無かったのだが……。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
 青年の背後に突如、一人の魔女が現れた。
 手に持った鍵で、青年の心臓をひと突きする――第五の魔女・アウゲイアス。
 青年は意識を失い、地面に倒れ込んだ。
 すると奪われた『興味』から――巨大な影が出現する。
 噂の中では、象すら捕らえて餌にしてしまう……そんな雄大さを持つ巨鳥。
 白く美しい翼を広げると……そのスケールの違いに、辺りの植物はミニチュアのようにも見えてしまう。
 巨鳥は飛び立つ。辺りには、散った欠片すら大きい羽根が、はらはらと残るだけだった。

「伝説の生物……中には、本当に存在するものもいるのでしょうか?」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)は集まったケルベロスたちに、そんなことを言った。
 それから改めて見回す。
「今回は、ドリームイーターの出現が予知されました。第五の魔女・アウゲイアスによる、人の『興味』を奪うタイプのもののようで――北陸のとある森にて、青年の興味から生まれるようですね」
 飛び去ったドリームイーターは、人々を襲ってしまうことだろう。
 それを未然に防ぎ、青年を助けることが必要だ。
「皆さんには、このドリームイーターの撃破をお願い致します」

 それでは詳細の説明を、とセリカは続ける。
「敵は、巨大な鳥の姿をしたドリームイーターが、1体。伝承に言うロック鳥のような見た目を有しているようです。場所は、原生林の中です」
 かなり、植生の豊かな場所だ。
 戦闘地帯は開けているので動きにくいことはないだろうが……たどり着くまでは少々森を歩き、探索する必要があるだろうと言った。
「昨今はGPSもあるので遭難はしないでしょうが……多少、備えはあってもいいかも知れませんね」
 現場までたどり着くと、白い石がある。その辺りで噂話でもすれば、ドリームイーターは現れてくれるはずだという。
「一度敵が出現すれば、あとは戦うだけです」
 ドリームイーターを倒せば、青年も目を覚ますことが出来るので心配はないだろうと言った。
 敵の能力は、足で捕らえて地に叩き付ける近単武器封じ攻撃、鋭利な羽根を飛ばす遠単麻痺攻撃、高い鳴き声による遠単催眠攻撃の3つ。
「これを放置しておけば、人々に被害が及んでしまいます。それを防ぐためにも、是非とも撃破を成功させて来てくださいね」
 そう言ってセリカは頭を下げた。


参加者
ネロ・ダハーカ(マグメルの柩・e00662)
ヴィットリオ・ファルコニエーリ(残り火の戦場進行・e02033)
レイリス・スカーレット(紫電の空想科学魔導師・e03163)
竜峨・一刀(龍顔禅者・e07436)
暮葉・守人(狼影を纏う者・e12145)
立華・架恋(ネバードリーム・e20959)
月島・彩希(未熟な拳士・e30745)
佐竹・銀(魂の炎燃やし尽くして・e36293)

■リプレイ

●探索
 緑の生い茂る森の中、ケルベロス達は現場を目指して歩いていた。
「のどかじゃのう……」
 竜峨・一刀(龍顔禅者・e07436)は森の葉がそよぐ様や、小鳥の鳴き声などを楽しむように、眺めている。同時に、そんな風景を壊しかねない敵に嫌悪を抱くかのように、目を細めてもいた。
「こういう場所を、荒らされんようにせねばなるまいな」
「そのためにも、早くロック鳥に会いに行きたいね」
 と、少し期待するように言うのは暮葉・守人(狼影を纏う者・e12145)。
 仮にも伝説の鳥を見られる機会とあって、楽しげな感情が表に出ている。
 エルフとして、濃い自然の空気を吸えるのにも、心を弾ませていた。
 佐竹・銀(魂の炎燃やし尽くして・e36293)も、思いを馳せるように口を開く。
「すっげぇでかいんだろうなぁ。そんなのと戦うなんて今からワクワクするな!」
「ええ……けれど、まずは森を抜けなければね」
 応えつつ、立華・架恋(ネバードリーム・e20959)は冷静に探索を続ける。
 とはいえ、隠された森の小路の能力を駆使して進んでいるため、歩くのに苦はない。ウイングキャットのレインを胸に抱きつつ、さくさくと進んでいく。
「ええと、こっちでいいのかしら」
「うん。この方向で大体あってると思うの」
 架恋は方角には一瞬惑うも、それはGPSを使う月島・彩希(未熟な拳士・e30745)がサポート。GPSや地図は所持してきたものも多いため、立ち往生することなどは無かった。なお守人が木の幹に目印を付けながら歩いてきていたため、帰り道も心配はない。
「さて。距離としてはだいぶ進んできたと思うが」
 ネロ・ダハーカ(マグメルの柩・e00662)は、地図を見つつ……それから、上方を見上げた。
「――レイリスの方はどうしてくれているかな」

 上空。
 レイリス・スカーレット(紫電の空想科学魔導師・e03163)は森を見下ろしていた。皆とは別働し、空から現場の区域を探しているのだった。
「しかし、中々良い眺めではないか。自然の中に出るのも悪くないものだな――と」
 そこでレイリスは風景の一点に目を留めた。するとフレアを焚いて、皆に通信を入れる。

「あ、みんな、場所が見つかったみたいだよ」
 ヴィットリオ・ファルコニエーリ(残り火の戦場進行・e02033)は空からの通信に気付き、見上げていた。
 木々で空が見えにくかったが……ヴィットリオは特にためらわず、木に登って空を確認。すぐにフレアの光を見つけた。
 その場所はここからも、遠くはなかった。

 そこは情報通り、開けた一帯に白い巨石が鎮座した場所だった。
 そんな風景の中、皆は一度頷き合い――早速誘き出すための噂話を始めることにする。
「へー、これがあのロック鳥の卵かぁ。でっかいなぁ」
 最初に口を開くのは銀。巨石に感嘆したような声を零す。
 一緒になって見上げる彩希も頷いた。
「これが卵なら、親鳥はどれくらいの大きさなんだろうね」
 それから気付いたようなそぶりで、地面に落ちる大きな羽根を手に取る。
「これが羽の一部なら……やっぱり、相当なものなのかも」
「象を餌にするという話だものね」
 架恋も追随するように言葉を継ぐ。
「本当なら、ちょっと楽しみだわ。レインが乗れちゃうかもしれないわね」
 そんな言葉に、レインがにゃあと鳴き声を返していると……レイリスも考察するかのように腕組み。
「私も聞いたことはあるぞ……背景のように何気なく現れ、突然ふ化して襲ってくる飛行物体の話を。だが、アレはどちらかと言うと蛇に近かったような……」
 それに関しては何か別な話と混ざっているようだったが……それでも噂には違いない。
 風が吹き、妙な気配が近づく感覚があった。
 皆で視線を交わしつつ――守人が話を続ける。
「千夜一夜物語だと、船を破壊するって話だったしな。そんなでかけりゃ、遠目でも分かりそうなもんだけど――」
 と、見上げると――風は一層強く、ばたばたと吹き付ける。
 その姿はまだ捉えられないが、気を抜かず、ヴィットリオは話を繋げた。
「ロック鳥が日本で見られるのも、不思議な話だね」
「日本での巨大な鳥の伝説というと、鵬がいるのう」
 一刀は、刀に手をかけながら、声はあくまでも落ち着いている。
「翼は三千里、偶に太陽の前を横切ると日食のように見えるそうじゃ」
「成る程ね。只、ロック鳥とて、数多の神話や伝説で語られてきた怪鳥なのだろう」
 ネロは抜け目なく警戒しながら、噂を完成させる。
「本当に居るなら――是非拝みたい所だな」
 瞬間、高空から巨影が舞い降りる。
 白い翼を誇示するように羽ばたかせる巨鳥――ロック鳥。

●激突
「来たか」
 ネロは、ひゅう、と思わず口笛を吹く。
「この目でルフを捉える事が出来るだなんてね! 誰かの夢から零れ落ちた存在だが――気分も上がろうというものだ」
 そして言いながらも――飛来する白い巨鳥に接近。
 滴り来る血で、その身に魔力を宿す。
「その巨体、潰し甲斐がありそうで宜しい事だ!」
 瞬間、ロック鳥の体をひねり潰すような衝撃が襲う。『仔羊は贄』――その力による、凄まじいダメージだった。
 皆も一斉に巨鳥を包囲。一刀は翼を広げ、そのまま飛行した。
「まずは力試しじゃの。――チェスト!」
 同時、体を翻し、鋭い蹴りを打ち込んだ。
 ロック鳥も煽られるままに、一度高空へ飛び上がる。
 一帯を影で覆うほどの巨体――それを架恋は見上げていた。
「本当に大きいのね」
 目を微かに見開きつつ……その表情は嬉しそうに。
「それでこそ狩り甲斐がある、ということかしらね」
 と、剣で守護星座を描き、皆を光で包み――まずは前衛の耐性を高める。
 ロック鳥も滑空してくるが……その速度が上がりきる前に、彩希が疾駆。跳び上がると、巨石を蹴ってさらに跳躍し――敵の顔面に、強烈な拳の一撃を加えた。
 着地すると、うんと1つ頷く。
「まずは、このままどんどんダメージを与えていこう」
「もちろんだ。真正面から――ぶつからせてもらうぜ!」
 応えて走り込むのは銀。高度の落ちてきたロック鳥に向かって、ジャンプした。
 赤の戦装束をたなびかせ、柄のない片刃の斧を思い切り振り上げる。その、力がダイレクトに乗るような重い刃を振り下ろすと――巨鳥の首元に的確な斬撃を喰らわせた。
 ロック鳥はいななき、一度着地する。
 ヴィットリオはその様子を窺って、呟いた。
「何とかして、背中に飛び移れないかな。乗ってみたい……みたくない?」
「確かに。有利な面も無くは無さそうだし、狙ってみてもいいかもな」
 守人が応えると……ヴィットリオは頷き、まずはグラビティを集中。
 巨体に爆破攻撃を喰らわせると、その隙に飛び移ろうとした。
 だがロック鳥も簡単に背を取らせるつもりは無いのか、ひとまずは飛びすさって振り落とす。
 そして再び空に上がったが――。
 その同高度に、レイリスが飛行していた。
「ロック鳥、確かに興味深い。こんな状況でなければゆっくり鑑賞したい所だが――今日はドッグファイトに付き合ってもらうぞ」
 言いながら、対竜殲滅用神双槍杖・神威弐式から雷光を発させる。
 ロック鳥は攻撃態勢を取るが……レイリスは眼光鋭く、笑んだ。
「構わんぞ。ジャマーの戦い方を教育してやる。神威、跳躍雷撃壁展開」
 巨鳥が羽根を飛ばすと同時、雷壁が弾けた。
 その羽根自体は、レイリスへとダメージを与えたが――その傷を、雷が嘗めるように癒していく。麻痺は残るが、高まった耐性がすぐにそれを消し去ることだろうことは、見て取れた。
 守人は地上で、両手にナイフを構えている。
 それを振るうと――宙に無数のナイフが召喚された。
「簡単に背を取らせてもらえないなら――まずは、足がかりを作ってやるとしようか!」
 数え切れない刃が、巨鳥を串刺しにしていく。『心影解放:夢幻の千刃』――その攻撃に鳴き声を上げ、敵は再び高度を落とした。

●飛翔
 巨鳥は地面近くに下りてきたが……同時に、こちらを捕らえようと接近してきてもいた。
 その狙いは守人――だが。
「おっと、やらせないよっ!」
 そこへヴィットリオが滑り込むように駆け込んでいた。
 ヴィットリオはロック鳥の足に掴まれ、地に叩き付けられるが――防御態勢を取っていたおかげで、傷は抑えられている。
 それでもダメージは少なくなかったが――そこに、癒しの薄霧が立ちこめた。
「すぐに回復するから。少しだけ待っていて頂戴ね」
 エネルギーをミストへ変え発散する――架恋の力だ。
 それはヴィットリオの体に溶け込むように染みていき、瞬時に体力を回復させる。
 同時に、レインも翼から清廉な光を発して治癒を補助すると……。
「アカツキもお願い!」
 彩希の声に呼応して、彩希のボクスドラゴン、アカツキが明るい煌めきを生む。
 それでヴィットリオの体力が万全に近くなると――レイリスも浮遊状態から、再び美しい雷壁を発生させていた。
「これで仕上げと行こうか。戦力を削りに来ているようだが、無駄だと学ばせてやるためにもな」
 その雷光は、前衛を広く包み、耐性を植え付ける。敵の攻撃で削れたヴィットリオの武器にも、その雷光が修復するように纏わり付いていった。
「みんな、反撃するよ!」
 彩希がそのままロック鳥に肉迫、宙返りから勢いをつけた踵落としを叩き込むと――。
 波状攻撃をするように、時間差でネロが接近。
 その細腕から、信じられない魔力量を拳に宿し……胴部に一撃。巨鳥を飛ばすほどの痛打を与える。
「こう的が大きいと、当てやすくて良いな」
「そうだね。こうやって――最後の足場も出来るしね!」
 と、守人はばらまいたナイフの一端を拾い上げ……目にも留まらぬ速さで抜き撃つ。
「よし――ヴィットリオ、チャンスだ。行くよ!」
 光が飛ぶように、それがロック鳥の足元に突き刺さると……守人はそのまま、疾駆。
 敵に刺さったナイフを足場にして、素早く蹴り上がり――とうとう巨鳥の背に着地した。
「了解、僕も行くよ。ディート、頼む!」
 ヴィットリオも、駆けると同時に、ライドキャリバーのディートに乗る。
 猛スピードを上げて、飛び立とうとするロック鳥に追い縋ると……ディートが突撃する直前にジャンプ。
 飛翔するロック鳥の背に剣を突き立て、掴まるようにその場に留まった。
 ロック鳥は、声を上げつつ、上方へ飛ぶ。
 ヴィットリオと守人は振り落とされそうになりつつも、何とか食らいつき……巨鳥の背から雄大な景色を見下ろす状態となった。
「おや、何とも楽しそうじゃあないか」
 地面から仰ぐようにしつつ、ネロは興味深げな声だ。
 一刀は頷きながら、自身も翼で飛び上がった。
「じゃが、あのままでは中々危険そうじゃ。少なくとも多少、大人しくなってもらわねばの」
 と、ロック鳥に上空で追いつくと――そこで居合いのような姿勢を取る。
 刀に纏うのは蒼く燃えるようなオーラ。
「――喝っ!」
 同時、神速の抜刀からそのオーラを飛ばすと、巨鳥の鼻っ柱に撃ち当てた。
 強制的に緩やかな飛行となったロック鳥を――白い巨石の頂上に登っていた銀が迎え撃つ。
「面白そうだな! あたしも交ぜてくれよ」
 銀は跳び、巨鳥の首元に立つ。そして鳴き声を発する敵の後頭部へ、斧を振り上げた。
「まだまだ元気みたいだな。なら、これでも喰らえっ!」
 直後、痛烈な振り下ろし。
 巨鳥は脳天から避けられぬ一撃を受け、血潮を散らせた。

●決着
 一瞬意識が飛んだらしいロック鳥は……地面すれすれで滑空する形を取っていた。
「ちょうどいいところに来てくれたじゃないか」
 すると、ネロはそれを待ち伏せ。
 接触直前に跳躍して背に飛び移り、零距離からナイフで縦横無尽に傷を刻んだ。
 ロック鳥は背の4人を振り払おうと、きりもみするように回転しはじめる。
 ヴィットリオは掴まりつつ、わっと声を零す。
「思ったよりスリリングだね……!」
「振り落とされる前に、するべき攻撃はしておこうか!」
 守人も、その場で何とかバランスを保ちつつ――ナイフを奔らせその背を切り裂いていく。
 ヴィットリオも敵の体内から爆破を喰らわせた。
 すると、ロック鳥は暴れるように身じろぎし……とうとう皆を振り落とした。
 それなりの速度下だったが……皆は華麗に着地。入れ替わるように、架恋が巨鳥へと肉迫していた。
「背中が嫌なら、正面からたたきのめしてあげるわ」
 静かな表情の中に熱い心をたたえるように――架恋は眼前に跳ぶ。そのまま脚に炎を纏わせ、顔面へ苛烈な蹴撃を喰らわせた。
 ロック鳥は威嚇するように翼を広げるが――彩希も怯まず、接近している。
「どんなに敵が強大でも、負けないの!」
 そのまま疾駆し、鋭い回し蹴り。敵がつんのめったところへ跳躍し……。
「皆に危害を加える前に――その翼、打ち落とさせてもらうよ!」
 連撃の蹴りで、翼の一部を千切り飛ばした。
 ロック鳥はそれでも間合いを取ろうと、飛び上がるが……一刀が空へ追い縋る。
「わが剣に宿るは、霊鳥たる迦楼羅の炎――ロック鳥ごときに引けはとらん!」
 周囲を舞いながら、迦楼羅炎を宿した刃で無数の斬撃を繰り出す。『迦楼羅舞い』――その攻撃で体力を大幅に削られ……巨鳥は狂乱したように空で暴れ回るばかりになった。
 レイリスは油断無く、それと空対空を演じる。
「もうそろそろ、終わりだ。……異相次元限定解除、通常空間との限定接続を実行……タイプブラック――最早誰もが引き返せない」
 神威弐式から光を放ち、敵の羽根攻撃を突き破りながら――本体をも石化させてゆく。
 墜ちる巨鳥に、銀が走り込んだ。
「燃やし尽くしてやるぜ! ぶちぬけぇええっ!」
 斧から放った炎と共に、自身も炎の龍と化す――『爆炎昇龍斬』。
 銀のその必殺の一撃で――ロック鳥は炎に包まれ、燃え尽き、跡形もなく散っていった。

「なんとかなったねー。皆、お疲れ」
 戦闘後。守人が巨石を背もたれ代わりにして言う。
 それに皆も頷き、ようやっと息をついていた。
「手応えのある獲物だったわね」
 架恋の言葉に、レイリスはふむと応えつつ、少々満足げだ。
「近頃執務が忙しかったからな……たまにはこうして派手に暴れるのもいいものだ」
「……じゃあ、ヒールしよっか?」
 一段落の後、彩希が言うと、皆も周辺の修復作業に入る。
 と、ロック鳥の足跡を地面に見つけた一刀は――ヒールの手を止め、それを避けた。
「このほうが浪漫があるからのう」
 皆も、それは直さないことにして……ヒールを終えた。
 銀は目を覚ました青年を見つけ、気をつけて帰りなよ、と声をかけて見送ると……一度伸びをした。
「さて、せっかくだから、少し散策でもして帰るかな」
 それを機に、皆も帰還を始める。
 人のいなくなった緑の原生林。
 風がそよぐ中……そこには、卵のような白い石と、伝説の巨鳥の足跡だけが残った。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年5月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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