中原街道魔法少女大戦?

作者:きゅう

●千載一遇のチャンス!
「はーい、みんな集まったね」
 魅咲忍軍という螺旋忍軍の一派を率いる魅咲・冴は、赤、青、緑、黄、紫、橙の鮮やかな色の服装をした部下を集め、
「それじゃ、さっそく指令を伝えるよ」
 平均的、かつ没個性的な体格や顔だちの彼女たちに指令を下す。
「螺旋帝の一族が都心部に出現したって情報が入ったの」
 冴は部下たちの前を横切るように歩きながら、
「あなた達は、いますぐ大田区に向かって、草の根わけても探し出してきてちょうだいね!」
 簡潔に指示を出す。
 そして、これは魅咲忍軍の総力をあげての活動であり、他の同僚たちも別の区域で捜索に当たることを告げる。
「あっと、他の忍軍の捜索部隊に出会ったら……問答無用で皆殺し、分かってるわよね!」
 これは他の一派に大きく先んじるチャンス。逃す手はないのだ。
「い、いよいよ魅咲忍軍『魔女っ娘隊』の初陣だね」
「少し恥ずかしいけれど、頑張ろう」
 魅咲忍軍のくのいちたちは、色違いでお揃いのかわいらしいコスチュームに少し恥ずかしそうにしながら、任務に向かった。

「螺旋帝の一族を確保すれば、真理華道の名が一気に上がるわよ!」
 一方、真理華道の指揮官、ヴァロージャ・コンツェヴィッチもまた、螺旋帝の一族の捜索に血眼になっていた。
「あなた達は大田区の捜索を行うのよ。もし邪魔者がいれば、見敵必殺。おねぇの意地を見せつけてやりなさい」
 そんなヴァロージャの前に跪くのは、魔法少女っぽいコスチュームに身を包んだおっさ……いわゆるおねぇと呼ばれるタイプの4名の女性? たちだ。
「いいえ、ヴァロージャ様、私たちは『魔法少女』ですのよ」
 彼……もとい彼女たちはヴァロージャにそう訂正を要求し、
「そ、そうね……じゃあ頑張っておいで。魔法少女達」
 ヴァロージャは苦笑いしながら早く行けと彼女? たちを追い払った。

●中原街道に異変あり
「どうやらこれは、螺旋忍軍同士の同士討ち……抗争のようです」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)の予知した螺旋忍軍の動きは、ケルベロスを狙ったものではなく、彼ら同士の戦いとなっていた。
「彼らが争うだけであれば放置してもよいのですが、争われている場所は都市部で住宅地などもある地域です」
 一般人が巻き込まれて犠牲になるなどの被害が予想されるため、放置はできないだろう。
「みなさんには、この螺旋忍軍を撃退していただきたいのです」
 セリカはそう言って、詳しい地図と資料を取り出した。
「場所は東京都大田区の中原街道沿いのどこかです」
 多摩川の川岸から、環七通りまでの沿線が今回の抗争対象となるようだ。
「抗争による被害を最小限に抑えるためには、螺旋忍軍同士の戦いに割って入り、連携させないように叩く方法が考えられます」
 うまく立ち回れば各個撃破できるかもしれないが、下手をすれば共通の敵であるケルベロスが両チームから狙われる恐れもある。
「また、螺旋忍軍同士を戦わせて、疲弊したところを叩く作戦も考えられます」
 この場合、まず螺旋忍軍同士の戦いが起こるため、そこでの被害を防ぐのが難しくなるだろう。
「それぞれの螺旋忍軍の戦い方ですが、どちらも魔法を使う女の子を名乗ってはいますがその戦い方は対照的です」
 まず、魅咲忍軍の6人は個々の力は弱いものの、複数人で連携して多彩、かつ強力な攻撃を繰り出してくる。
「魔女っ娘っぽいなんとなく魔法的な感じでの攻撃がメインとなるようです」
 ただ、もともとそういう力を持っているわけではなく、彼女たちなりに没個性な面を打開しようと、普通の攻撃をそれっぽく見せようとした結果なのだとか。
「一方、真理華道の4名は力強い肉弾戦を得意としています」
 派手な掛け声と強靭な肉体から放たれる物理的な攻撃を魔法と称する魔法少女たちである。
「個々の力は真理華道の魔法少女の方が上ですが、チームとしての戦いは魅咲忍軍の魔女っ娘の方が卓越しています」
 セリカの見立てでは、全体の戦力はほぼ同等だろうということだった。
「建物などは破壊されても修復は可能ですので、人的被害を出さないように立ち回っていただければと思います」
 彼らの目的はまだわからない。
「今回動いている部隊は下っ端の螺旋忍軍ですので、詳しい情報は知らないでしょう」
 もし、詳しい情報を集めるのであれば、彼女たちを撃退した後にするのがよさそうだ。
「とにかく今は、被害を出さないようにご協力、お願いいたします」


参加者
テンペスタ・シェイクスピア(究極レプリカントキック・e00991)
ルーチェ・プロキオン(魔法少女ぷりずむルーチェ・e04143)
八朔・楪葉(雲遊萍寄・e04542)
パール・ネロバレーナ(制御不能の狂戦鬼・e05000)
天音・迅(無銘の拳士・e11143)
善田・万造(命のもとから鉄拳治療・e11405)
島・笠元二(悪役勉強中・e26410)
モモコ・キッドマン(グラビティ兵器技術研究所・e27476)

■リプレイ

●次々現る乱入者
 東京都大田区内にある大きな池のある公園の中で、その戦いは幕を開ける。
「お嬢ちゃんたち。魔法少女はもっとこう、愛嬌がなくっちゃ、ダメよ!」
 戦う両者はともに可愛らしい魔法少女の服装をした、おねぇと少女の集団。
「ま、ま、負けないんだからぁ! ま、マジカルプティングッ!」
 おねぇの1人が魔法と称する力任せのパンチを少女の1人が全力で受け止めながら、背後で構えていた別の少女が魔法の杖のようなものを振って、恥ずかしそうに技の名前を叫ぶ。
「あぁら、なかなかやるじゃない。でもね、恥ずかしがってちゃあ、私たちには勝てないわよぉ?」
 おねぇはクリーム色の何かを顔に塗りたくられながら、笑顔でポーズを決めた。
「お? あれは動画サイトでよく見るアイドルの……」
 一方、公園の入り口にいろいろな機材を持ち込んだテンペスタ・シェイクスピア(究極レプリカントキック・e00991)は、
「今からここは危険地帯になる。みんなすぐに退避を」
 と言って、魔法少女風の演出をしながら紫のチャイナ系にアーマージャケット、装甲を纏い、メカニカルなトンファーを手に持つ姿に換装し、自分に声をかけようとしていた通行人を公園から遠ざける。
「今度はどんな動画なんだろう。早く帰って過去作を見てみるか」
 彼らはそれが動画撮影のためなのだと思い込み、新作に期待しながらその場を去っていった。
「あっ、見つけました。あれですね」
 魔法少女たちが戦う姿を視界に捉えたルーチェ・プロキオン(魔法少女ぷりずむルーチェ・e04143)は、
「変身!」
 隠れた茂みの中でまばゆい光に包まれながら、魔法少女ぷりずむ☆ルーチェの姿へと変わり、
「きらめく愛の魔法少女、ぷりずむ☆ルーチェただいま参上です!」
 愛用のステッキの掲げながら可愛らしくポーズを決めて戦場へと駆け出す。
 戦いは個々の力に勝るおねぇたちが優位に進めていた。
「嬢ちゃんはねんねの時間よぉっ」
 1人の少女を追い詰めたおねぇの拳が少女の腹に届くかという時、激しい衝撃がおねぇの腕を襲う。
「何やら妖しげな連中と戦う可憐な少女たち。助太刀する」
 颯爽と現れ、少女たちに加勢する天音・迅(無銘の拳士・e11143)は、そう言いながらも少女達への警戒も怠らず、謎のヒーローのような不思議な雰囲気を醸し出し、
「みんなのの笑顔を守るため、共に立ち向かいましょう!」
 続いてルーチェが少女たちをかばうような位置に立ちはだかる。
「ふっ」
 さらに木の上から飛び降りてきた1人の男性。善田・万造(命のもとから鉄拳治療・e11405)が、
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、風が呼ぶ。悪を倒せと儂を呼ぶ!」
 そう叫びながらほっかむりをキュッと被り直し、
「ゼンダマンZo参上! 待たせたの♪」
 ゼンダマンスマイルで少女たちに微笑みかけた。
「え、えっと……」
 呆気にとられる少女たちをよそに、万造は首を左右に振り、自身の調子を確かめる。
 肩こり持ちの万造の好不調のバロメーターは、首を振った時にバキバキ鳴るかどうかなのだ!
「むぅ……嫌な感じじゃのぅ……」
 残念ながら今日は鳴らず。万造は不安を抱えつつもおねぇ達へと立ち向かう。
「おーほっほっほ!」
 さらに上空から現れる1人の美女。
 これぞ悪の女幹部! という格好をした島・笠元二(悪役勉強中・e26410)がやはり少女に加勢するのだった。

●どちらに加勢する?
「ちょっとぉ。なんでこっちばかり狙うのよぉ!」
 ヒーローっぽいのも悪役っぽいのも敵になったおねぇ達は不満そうに抗議の声をあげる。
「恥じらい魔法少女とおっさんガチムチオネェ。言わずもがな、後者に加勢する奴はあまりいねーかと」
 しかし、パール・ネロバレーナ(制御不能の狂戦鬼・e05000)がぐうの音も出ないほどの正論でその抗議を論破し、
「何やら気味の悪いオカマ忍軍が暴れるという予告を受けて、ケルベロス参上であります!」
 そう言って彼女もおねぇ達の敵に回り、
「いきますっ!」
 続けて現れたモモコ・キッドマン(グラビティ兵器技術研究所・e27476)が持つ霊刀イズナがおねぇ1号の胸元を貫いて、
「ああああああっ」
 おねぇは野太く甲高い悲鳴を上げて地面に崩れ落ちた。
「なんというか……あまり聞きたくはない悲鳴でしたね」
 最後まで人払いをしていて到着が遅れていた八朔・楪葉(雲遊萍寄・e04542)は、たどり着きざまに聞いた不快な音に苦笑いした。
「敵が多くたって……魔法少女として負けられないのよぉ!」
 おねぇたちは自らのプライドにかけて魔法少女を演じきり、少女たちへ向けて豪快な魔法攻撃と称したただのタックルを仕掛ける。
「こ、腰が……っ」
「えっ、きゃあっ」
 少女たちを守るように立っていた万造とルーチェはその勢いに押されたふりをしながら彼女たちを素通し、少女たちに攻撃を受けさせて消耗させる。
「だが、これ以上はかわいそうだからのぅ。よっ」
 しかし、万造は最後尾から突っ込んでいったおねぇ4号の腕をつかむと、
「ぎゃあああああああっ」
 反対の拳に金属をまとわせて殴りつけ、野太い悲鳴とともに彼の魔法少女としてのアイデンティティを破り捨てる。
「さあ、どう捌くんだい?」
 さらに迅がアウトレンジから放つ疾く突き抜ける衝撃波の嵐に、服を破られたおねぇはひぃひぃ言いながら滑稽な踊りを踊るようにステップを踏む。
「きたねえ姿を晒すな。死ね」
 迅は隙の無い掌打から紡がれる演舞の連撃で逃げ場を奪い、ガードの上から拳をぶつけ、その体を地面にたたきつける。
 迅の得意技、訃報の拳牢と呼ばれる名の通り、その一撃はおねぇに訃報を告げるのだった。
「はっはーっ!! オネェは消毒だーーっ!!」
 まるで汚物を見るような目でおねぇを見つめるテンペスタは、無駄に洗練された無駄の無い無駄なトンファーアクションで無駄肉の詰まったおねぇを追い詰めていく。
「くっ……卑怯よ! 寄ってたかって……」
「一人なら個性で許せるかもだが、複数の汚物を私のアクションシーンに映す気はない!!」
 おねぇを汚物と言い切りながら一刀両断したテンペスタは、トンファーに力を集めて翠の光で輝かせると、
「必殺!! トンファーキック!!」
 ドゴォォ!! という轟音とともに、トンファーとは全く関係のない前蹴りを、魔法『少女』には存在しないはずの弱点に叩き込む。
「ぐええぇぇっ」
 おねぇは地獄の苦しみを味合わせながら泡を吹いて倒れ込んだ。
 最後に残ったおねぇは少女たちに肉弾戦を挑むが、それを食い止めるようにルーチェが回り込んで立ちはだかると、おねぇの拳を自らの拳で真正面から受け止める。
「な、なんですって。この小娘が!」
 驚愕するおねえ。
 そう、魔法少女ぷりずむ☆ルーチェは、魔法と称して物理的な力で殴る、パワフル魔法少女なのだ!。
「打ち抜け、太陽のビート!」
 ルーチェの拳がおねぇの拳を弾き飛ばし、その胸に向けて力いっぱい拳を叩きつける。
「サンライト……インパルス!!」
 触れた相手のグラビティ・チェインの流れをかき乱す特殊な波長を帯びた拳は、おねぇの体を麻痺させるちからわざ……もとい、レプリカント魔法だ。
「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
 おねぇは震える声帯から不気味な断末魔を叫びつつ、ルーチェの魔法に膝をついた。

●悪役降臨!
「協力感謝だ」
 おねぇたちが全員動かなくなるのを確認した迅は、彼らの後ろで戦いを見ていた少女たちに微笑むと、
「今度はオレ達とやりあって貰おうか。恨みっこ無しだ」
 変わらぬ表情でぬけぬけと言い放つ。
「おーほっほっほ! まんまと騙されてくれたみたいね!」
 笠元二は残された魅咲忍軍の少女たちを見下ろしながら高笑いをあげ、
「私たちは螺旋忍軍を絶滅させるのが目的の悪のケルベロス! 騙して悪いけど、これは依頼なのよね。次はあなたたちを倒させてもらうわ! おとなしく倒されて頂戴!!」
 その目的を説明しながらびしぃっ! と彼女たちを指さし、悪役っぽく演じることで背徳感をぞくぞくと刺激され、内心では大興奮していた。
「えっ、えーーっ! 私たち、悪の組織だったの?」
 そう言われて驚くルーチェ。
 彼女は人々の笑顔を守るため、悪と戦ってきたつもりだったのに……としょんぼりして、
「いや、そういうことじゃないと思いますよ?」
 楪葉がルーチェに笠元二が勝手に言っていることだとフォローする。
 その間も笠元二の高笑いはとどまることを知らず、魅咲忍軍の少女たちはルーチェに助けを求めて視線を向けた。
「ごめんね……でも、貴女達も倒さなきゃ……」
 だが、ルーチェも彼女たちと敵対する意思は持っているため、戸惑う気持ちを落ち着けて、当たると痛そうなステッキを構える。
「ど、どうしよう」
「逃げよっか……?」
 今度は自分たちがケルベロスに囲まれることになった魅咲忍軍の少女たちは、ゆっくりと後ずさろうとする。
「未来ある若者たちよ、ここはわしに任せるのじゃ!」
 そんな中、万造は少女たちを背に立ち、そう言って彼女たちを勇気づけ、
「わしの後ろから離れたらダメじゃ! わしが守るからの……」
 自分の背後に彼女たちを集め、彼女たちが逃げづらくなるように仕向ける。
「おーほっほっほ! いい度胸じゃない。ならば私が相手してあげるわ!」
 そして、そんな万造の正面から笠元二がゆっくりと迫る間に、
「此処まで何とか抑えて来ましたが、もう我慢の限界です……!」
 ギリギリまで攻撃を我慢していた楪葉が、五百重宵叢雲と呼ばれる殺気を孕む不気味な黒霧を生み出し、紫色の服を着た少女を包み込んで、新たな戦いの火蓋を切るのだった。

●真の姿は
「ま、また騙したのですね!」
 少女たちは顔を真っ赤にして怒ったり、真っ青にして怖がったりしながら、慌てて戦闘態勢を整え、
「みんなの力でこのピンチ、切り抜けるよ!」
 万造に向けて色とりどりの魔法っぽい光の奔流を放って攻撃する。
「わしゃ、善人じゃからのぅ~♪ 悪い子の味方はできんのじゃ」
 万造は飄々とした感じでその光を避け、受け流し、跳ね返して残りの3本に直撃するが、
「ほら、調子に乗ってないできりきり働きなさい!」
 ブラック企業の女上司よろしく笠元二が叱咤しながら悪の力で傷を癒やす。
 その間に、ほかの仲間達は少女たちの連携を崩すように波状攻撃をかける。
「魔法少女だろうが何だろうが、俺たちの敵であることには変わりはない」
 迅は近くにいた少女の懐に潜り込むように間合いを詰めると、気の力を纏った拳を黄色の少女に叩きこみ、
「おつかれさんだ。武運が無かったな」
 たたらを踏んだ少女に時まで凍るほどに冷たい冷気弾を撃ち込んで氷漬けにする。
 楪葉は長々と言葉は交わさずに仲間が攻撃する少女に追撃をかけ、彼女たちが固まって陣形を取ろうとする間を駆け回って分断していく。
「さすがにこちらには……服破りはやめておきましょうか」
 身嗜みにうるさそうだったおねぇたちはともかく、彼女たちを倒すのにそこまでは必要ないだろう。
 そう判断した楪葉は再び不気味な黒霧を呼び出して、紫色の服をまとった少女を、その服ごと紫色の石に変えてから打ち砕いた。
「ニンジャ死すべし。慈悲はない」
 パールはおねぇだろうが少女だろうが関係なく無慈悲に拳を振るい、瞬く間に赤色の服を纏った少女を追い詰めていく。
「死なばもろとも……歯を食い縛れェい!」
 そして全身のリミッターをすべて外し、さらに装備を手甲に変形させ、目にもとまらぬ速さの連撃の後に、渾身の拳を放つ。
 パールの戦技【神風】の威力はすさまじく、少女はくの字に折られて吹き飛ばされ、木の幹に体をぶつけて動かなくなる。
「痛っ」
 その凄まじい猛攻と破壊力でとどめを刺したパールだが、自分自身への負担と消耗も激しく、拳に走った痛みに一瞬顔をゆがめた。
「やっぱり……ケルベロスを最初から倒しておくべきだったわ……」
「もう、魔女っ娘のふりもきついよぉ。普通に戦わない?」
 追い詰められた少女たちはケルベロスと共闘したことを悔やんだり、慣れないスタイルを捨てようかと考え始める。
「ようやく化けの皮をはがしたでありますね!」
 その言葉を聞き逃さなかったパールは、にやりと笑みを浮かべる仮面を手に取りながら、魔女っ娘ではない彼女たちの真の姿を看破し、彼女たちは魔女っ娘であることを諦めた。
「こうなると、後は普通に殲滅ですね」
 何とか戦意を保ち、立ち向かおうとしている橙色の少女に接近し、光の剣を具現化して大上段に構え、威圧するようにゆっくりと振り下ろす。
「あぁ……だめっ」
 少女はその威圧感に耐えきれず、わずかに残った戦意を打ち砕かれ、その場で切り裂かれ、光に飲まれて消えていった。
「モモコさん、やっておしまいっ!」
 そして、悪の女幹部らしく指示を出す笠元二の声に応じたモモコは、
「お別れよ」
 地面に水平に刃を構え、神速の突きを同じ場所に居た緑色の少女に向けて繰り出し、その胸を貫く。
「ひぇっ」
 さらに青色の少女を狙って続けざまに突きを繰り出すが、少女はその攻撃を紙一重でかわした。
「無駄です」
 しかし、モモコは突きをそのまま横薙ぎへ変化させ、少女の胴を鋭く薙ぎ払う。
「あっ……!!」
 片手平突きと呼ばれるモモコの得意技に捉えられた少女は、そのまま意識を失い永遠の眠りにつくのだった。
「おーほっほっほ! 大勝利よ!」
 笠元二は正義のような魔法少女を倒した余韻に浸って勝どきをあげ、
「後はこの動画を編集しなくては」
 テンペスタは今回の魔法少女風の姿での活躍を、当り障りのないように編集して動画投稿をしようと考える。
「街の復旧、修復作業もしていかねーとでありますね……」
 一方、パールはそう言いながら地道に公園の修復作業にいこうとしていた。
「やれやれ。策を巡らすのは強さが足りない部分もあるんだよな。精進しようか」
 そこへ、迅も今回の戦いの反省をしながら、パールとともに後始末へ向かい。
「あっ、待ちなさい! 私も行くわ」
 実は根は優しいいい人の笠元二も、高笑いをやめて加わるのだった。

作者:きゅう 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年5月18日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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