蒼の胡蝶、冥への誘い

作者:崎田航輝

 朝の薄闇の中、静かな山奥に一人の少年が分け入っていた。
 ここは春になると一面、真っ白なツツジの花でいっぱいになる空間で……そこに、美しい薄羽の蝶が無数に降りてくる光景が見られる場所だった。
「人の魂を持って行く蝶、かぁ。変な噂だけど」
 少年は呟きつつ、ツツジを見回した。
 昔、蝶は死霊が形を取ったものだと考えられていたことがあるという。
 そんなのは眉唾だと少年も思っているが……この宵闇の時間に、蝶の沢山いる場所に来ると……それに紛れて、茫洋と光る蝶が見られるという噂を聞いた。
 あるいはそれが本物の死霊らしい、という話だ。
「触れると死んじゃう蝶、らしいけど。……嘘だとしても、綺麗なら写真だけでも撮りたいな」
 と、少年は好奇心をあらわに、スマートフォンで辺り見ていた。
 無論、死霊が実際に現れる事はなかったが――。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
 一人の魔女が、そこに現れた。
 手に持った鍵で少年の心臓をひと突きする――第五の魔女・アウゲイアス。
 少年は一瞬で失い、ツツジの間に横たわった。
 すると奪われた『興味』から、ひらひらと、薄青に光るものが生まれた。
 それはまるで、蝶が群れをなす集合体のような姿をしていた。
 それが花の間から弧を描くように、浮遊し始めると……触れた蝶や花が、瞬時に命を失ったように落ち、枯れていった。
 そしてそれは、どこかへと飛んで、消えていく。

「魂を死の世界に持って行かれる……実際にあったら、どのような感覚なのでしょうね」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)は集まったケルベロスたちに、そんなことを言った。
 それから改めて見回す。
「今回は、ドリームイーターの出現が予知されました。第五の魔女・アウゲイアスによる、人の『興味』を奪うタイプのもののようで――青森県の山間にて、少年の興味から生まれるようですね」
 ドリームイーターは、そこから飛び立ち、人を襲うだろう。
 それを未然に防ぎ、少年を助けることが必要だ。
「皆さんには、このドリームイーターの撃破をお願い致します」

 それでは詳細の説明を、とセリカは続ける。
「敵は、蝶の群れのような姿をしたドリームイーターが1体。場所は、山の中です」
 それなりに広くて平坦な場所であり、一面にツツジの花が咲いている。
 他の一般人の姿はないので避難誘導などを行う必要は無い。山の他の場所では足場が悪いので、このツツジの花の中で戦う必要はあるだろう。
 ケルベロスが山に着いた時点で、ドリームイーターはすでにいないが……現場で蝶や死霊の噂について興味を持つそぶりをしたり、話したりしていれば、誘き寄せることは出来る。
「一度誘き寄せれば、あとは戦うだけです」
 ドリームイーターを倒せば、少年も目を覚ますことが出来るので心配はないだろうと言った。
「ドリームイーターの能力は、光の鱗粉を撒く遠単催眠攻撃、霊魂を攻撃する近単トラウマ攻撃、自己回復の3つです」
 捉え所のない動きをしてくるので、確実な攻撃を重視していくと良いでしょう、と言った。
「死を運ぶ蝶……これを放置しておけば、噂は真実となってしまうことでしょう。それを防ぐためにも、是非とも撃破を成功させて来てくださいね」
 そう言ってセリカは頭を下げた。


参加者
花道・リリ(合成の誤謬・e00200)
ディークス・カフェイン(月影宿す白狼・e01544)
六条・深々見(喪失アポトーシス・e02781)
ロウガ・ジェラフィード(戦天使・e04854)
ユイ・オルテンシア(紫陽花の歌姫・e08163)
颯・ちはる(寸鉄殺人・e18841)
ヴェルトゥ・エマイユ(星綴・e21569)

■リプレイ

●死の蝶
 うっすらと明けてきた空の下、ケルベロス達は山中を歩いていた。
「魔女ってほんと、アグレッシブというか働き者というか……もうちょっと、休み取ってもいいんじゃないかな……?」
 急勾配を進みつつ、六条・深々見(喪失アポトーシス・e02781)は言葉を零す。表情は薄いが、その足取りはゆっくり、というか重い。
「早朝の山奥って、ほんと……自宅警備員的には、すっごいきついんだけど、ほんと……」
「……大丈夫か?」
 微妙にダウナーになってきた深々見に、ディークス・カフェイン(月影宿す白狼・e01544)は目を向ける。静かだが、気遣いのこもった声に、深々見はありがとう大丈夫、と言いつつ歩みを続けていた。
 実際、それなりに険しい道ではあったが……目的地へは、すぐに到達した。
 視界が開けると、白い花弁の絨毯が広がる。
 東雲の空間の中、星空が天地逆転したような美しさを持った、ツツジの楽園だった。
「さて――と。じゃあ、この辺りでいいのかしらね。死をもたらす蝶が出る、というのは」
 と、花と蝶を見回すのは花道・リリ(合成の誤謬・e00200)。
 それは既に、敵を呼び寄せるための言葉の、紡ぎ始め。
 ヴェルトゥ・エマイユ(星綴・e21569)も、周囲を眺めつつ口を開いた。
「人の魂を持って行く、という話だったな」
「触れると死んじゃう蝶なんだよね……怖いね!」
 自分の手をぎゅっと握って見せるのは颯・ちはる(寸鉄殺人・e18841)。その声音は無邪気で素直なものだ。
 すると、花々の間に、微かに茫洋とした光がちらついた。
 それに警戒をしながら――ロウガ・ジェラフィード(戦天使・e04854)は言葉を続ける。
「古来より蝶は霊魂を運ぶ者と聞くが、な」
「言わば、現世と幽世を隔てる境界に舞う蝶か。蝶はツツジを好むとは云うが、死を運ぶ蝶が好むは命――って所だろうな」
 ディークスも頷いて、噂話を進めていく。
 蝶に交じり、煌めくものが見えてきた。その姿を視線で追おうとしつつ、デュランダル・ヴァーミリオン(一意専心・e24983)も言葉を継いだ。
「それ自体が霊魂だと考えるなら……地縛霊の一種とも考えられているのかも知れないな」
 それに、うん、と頷きつつ、ちはるは声を途切れさない。
「蝶はとってもきれいだけど……きれい過ぎるから怖い想像に繋がっちゃうのかな?」
「綺麗な場所で見る蝶って幻想的な感じもするからねー。やっぱそういう雰囲気もあってのことなんじゃないかな?」
 深々見が言えば、辺りの草木は少しさわさわと揺れ始め――尋常のものでないものが現れたことを証明しているかのようだった。
 姿を捉えられるようになってきた光を見つつ、ユイ・オルテンシア(紫陽花の歌姫・e08163)も1つ、翼を動かして言う。
「死の蝶自身は蒼い蝶、という噂ですけど……綺麗なのでしょうか? 恐ろしい話ですけど、そこだけは少し期待してしまいますね♪」
「確かに、白い花の絨毯に、そんなものが舞う姿は――中々幻想的な光景かもしれないな」
 そう言うヴェルトゥは既に、武器である攻性植物を構えている。
 その光景を見てみたいという気持ちはあり、実際触れてみたらどうなるのかという興味もある――それは半ば、ヴェルトゥにとっては本心でもある。
 が、すぐそこに迫っているのは倒すべき敵。
「綺麗な薔薇には棘がある。けれど……綺麗な胡蝶は、棘では済まぬようね」
 リリの言葉と同時。
 紺碧にも似た蒼い光が羽ばたいて出現した。
 死を運ぶ蝶――その群れは、触れるもの全てを枯らすように、ケルベロス達へと飛来した。

●開戦
 間近に飛んできた、蒼の胡蝶の群れ――。
 それを前に、リリは怯みを見せない。むしろ光を纏ったその姿に、美を認めていた。
「あぁ、美しいじゃあないの」
 同時に弓弦を引き――番えていた矢に、薄い光を宿らせてもいる。
「――でも、ごめんなさい。消えていただくわ」
 放たれた矢は、蝶の群れを追尾。貫くように、群れのうち数匹を吹き飛ばしていく。
 それが開戦の合図となったように、ディークスもまた武器を携えていた。
 周囲には、身に纏うような風が鳴き始めている。
 鎧は要所を固めた動き易い形。顔に装着するのは、白塗りの仮面、『白菊ノ魂宴』。戦いへ特化した姿のディークスは一度、蝶を仰ぐ。
「生死の境界を舞う蝶――だが、元よりこの身も生死の狭間にある」
 なれば、これからするのはどちらの魂が生き残るか、それだけ。言葉と同時、生み出したのは燃えたぎる竜の幻影。
「燃え尽きるのは――そちらの方だ」
 放たれた炎は、追い縋るように蝶の群れに着弾。数匹の蝶に炎を広げていく。
 敵の軌道が狂ったタイミングで――ロウガは剣を振るい、守護星座を描き出していた。
「再生を司る蛇夫宮の加護を!!」
 瞬間、後衛の仲間達に光が溶け込み、グラビティに対する耐性を増していく。
 その間も、ロウガは蝶の群れを窺いつつ、的確に間合いを取っていた。小さく呟く。
「……触れれば死ぬなど、現実にしてはならぬだろうな」
「ああ――幻想は幻想のままに終わらせよう」
 応えるように、ヴェルトゥが疾駆。一気に蝶へと距離を詰めると、攻性植物を放つ。そのまま巻き込むように、群れ全体にダメージを与えていった。
 蝶は、逃げるように飛んで、ロウガへと鱗粉をばらまいてきた。
 が、そこへもヴェルトゥが取って返し、ダメージを庇った。
 瞬間、強烈な催眠効果がヴェルトゥを襲うが――。
「ちょっと待っててね! 今ちはるちゃんが治してあげるから!」
 と、ちはるがその手にオーラを光らせている。
 煌々とした治癒光がヴェルトゥの体を覆っていくと……催眠と傷が、回復していった。
 一度後退していた蝶の群れには――デュランダルが狙いを定めている。
 大鎚を砲撃形態へ変化させると、砲口を群れの中心へ向けた。
 敵は逃げるように、弧を描いて飛んでいくが……。
「遅いな」
 と、デュランダルは砲を唸らせる。煙を上げる砲弾は、回避の暇すら与えず……群れの中心を射貫き、十匹以上を散らせていく。
「今なら狙いやすいだろう。連続で、攻撃を頼む」
「わかりました。やってみますね!」
 と、ユイがふわりと飛翔していた。目を閉じ、紡ぐのは、よく通る澄んだ歌声。
『――――♪』
 一種、胡蝶の美しさと好対照を為すような、優しく神秘的な歌と共に……ユイは蝶の群れに、ステップを踏むように降り立つ。それらのダメージに、蝶は下降していく。
 そこへ、深々見が接近していた。
 深々見は、戦闘中も相変わらずゆったりとした動き。それは省エネ主義的……だが、無駄のない動きでもある。
 最短経路を取るように跳躍すると、飛び蹴りで蝶の群れを一時、四散させた。
 着地した深々見は、ふうと一呼吸挟む。
「何というか、捉えにくい敵だよね……」
「まあ、それはいいんだけどな……」
 と、ちょっと素の声になっているのはちはるである。
「どうしたの、ちはる」
「いや、アタシ案外自然って嫌いじゃないんだけど……なんでまた、花咲き誇るど真ん中で戦闘になるかなってな……」
 自分を知る深々見に対しては、特に素を隠さず、言って息をついていた。
 ライドキャリバーのちふゆに、ぺしっと手をあてた。
「こっちはバイクいるんだよバイク。絶対花踏み潰しながら走るだろ、ふざけてんな……何とか飛べるようにならないか、コレ」
 それに対し、ちふゆは困惑したようにぽひゅっと排気を上げるだけだった。
 ただ、その直後に敵に突撃したときは……微妙に花の上は避けて走っていたという。

●薄明
 蝶はその数を減らしながらも、未だ悠々と浮遊していた。
 零れる光が空気中を落ちていくと、数輪のツツジが、命を絶たれたように枯れている。
 戦闘中も、ツツジを傷つけぬよう立ち回っていたリリは……微かに目を細めていた。
「今更言っても仕方ないけれど――死ではなく幸福をもたらす胡蝶では駄目だったのかしらね」
「元が、人々の心の中に巣食う魔女の仕業だ。そのような噂であれば、私達の前には現れないだろうな」
 デュランダルが応え、一対になった二本の槍を構えている。
「だからこそ――これ以上魔女の思うようにはさせない。行くぞ」
 と、赤く輝く光の翼をはためかせ……蝶へと一気に接近した。
 リリは、常からのツンとした顔のままに、ええ、と小さく返すだけ――だが、デュランダルに呼応したように、青々としたオーラを生み出している。表情はそっけないが、戦いの様は、仲間への信頼が感じられるそれ。
 デュランダルが稲妻を纏わせた二槍で、蝶の群れに雷撃を奔らせると――その直後に、リリの放ったオーラも命中、連撃で大きなダメージを与えていた。
 蝶も光を強め、リリの霊魂へ攻撃を試みるが……そこに滑り込む影がある。
「おっと、やらせないよー!」
 素早く最前に跳躍して降り立った、ちはるだ。
 蝶の光を受けたちはるは、内部からダメージを受ける不思議な感覚に襲われるが……。
「今再び、治癒を施そう。今暫く、待っていてくれ」
 ロウガが即座に、守護星座の光を放っている。それが前衛を回復強化すると共に、ちはるの霊魂への浸食を、押しとどめていった。
「モリオン、頼む」
 そこでヴェルトゥが言うと、ボクスドラゴンのモリオンも、ヴェルトゥの背から羽ばたき……属性インストール。ちはるを万全な状態に癒していった。
 回復したちはるは、敵へ突撃。弧を描く苛烈な斬撃を叩き込んでいく。
 蝶の群れは下がるように距離を取っていくが――その後ろにディークスが回り込んでいた。
 ディークスは静かな駆動音を立てる刃で一閃。数匹を裂き落としていく。
「だいぶ、敵の動きも鈍ってきたな……」
「最初に比べると読みやすくなったよね」
 と、深々見は蝶の軌道についていくように、敵の横合いを取っている。
 最低限の動きで跳躍すると――エクスカリバールを鋭く振って、蝶を数匹打ち落とした。
 次いで、ユイが再び、歌声を生み出している。
 薄氷のように透明度の高い歌声で辺りを包み――そこから放った剣撃で、蝶をはらはらと切り落としていった。
 蝶はかなり数を減らしている。ただ、それでも、花を枯らし、あらゆる命を奪う事を厭おうとしていない。
「最後まで、わたしたちの敵なんでしょうね……」
「本当に魂の導き手というなら、話は違ったかもな――あれは、あくまで幻なんだ」
 ヴェルトゥは言葉を零しながら、『Stardust platycodon』を行使していた。
 絡みつくように伸びる鎖は、無数の桔梗を咲き誇らせ、蝶を蝕んでいく。
 ――仮にそれが幻でなく、簡単に向こう側に行けるのならば……もう一度会いたい人は幾らでも居ると、ヴェルトゥは思う。けれど、蝶はそれを叶えまい。
 永遠などない、とでもいうように、桔梗は散っていく。
「仮に幻で無くても、帰り船のない片道切符はゴメンだ――少なくとも、今はまだ」
 霧散する花弁と共に、蝶も数匹、宙にかき消えていく。

●霧散
 蝶は最早群れではなく……数匹の儚い集まりになっていた。
 だが、それでも鱗粉を撒きながら、飛来してくる。
 と――そこに、強い閃光が閃く。
「悪いが、もう好きにはさせない。こちらの光を受けてみろ!」
 デュランダルが槍を合わせ撃ち出している、強烈な光線だ。それは霧に差す陽光のように鱗粉を晴らしながら、蝶を襲う。
 宙に煽られる蝶へ、ヴェルトゥは攻性植物を鞭のようにしならせていた。蔓で蝶を取り囲み、行動を制限していく。
「おそらく、もう少し、というところか」
「それなら――この子達に挨拶させておかないと、ね」
 と、リリがすらりと手をのばしている。
 掲げられた符から現れるのは――数多の蝶。
「私の胡蝶も蒼いのよ。どちらが、美しいかしら」
 言葉と共に、リリの蝶は美しく輝く。同時、青鳥も生まれ――それらが纏まり雷虎となった。『蝶鳥雷虎』。食らい付くような万雷で、敵を焼いていく。
 再び高度を落とした蝶。それを見上げていた深々見が、迎え撃つ。
「このまま、一気に攻撃していこうか」
「わかったよ。じゃあちふゆ、行ってこい」
 と、ちはるが、ちふゆを押し出すようにけしかけていた。律儀にエンジンを唸らせたちふゆは、深々見と共に疾駆していく。
 深々見は零距離から、蝶へ右手を伸ばし、『収束デプレシオン』。精神へ直接流し込むような攻撃で、内部から敵を壊し……崩壊させるように数匹を千々にしていく。
 そこにちふゆが突撃を喰らわせたタイミングで、ちはるは『魂縛音叉の術』を行使。一族秘伝の音波に指向性を持たせ、発声し――蝶を麻痺させていく。
 群れを保つのも難しくなった蝶は、散るように飛び始めた。それでも、こちらの霊魂に働きかけようと強く発光してくるが……。
 ロウガがそこに、ライフルを向けている。銃口には白く輝く美しい光。
「――煌めけ!! 決意を宿した略奪の光!!」
 同時、光の奔流が蝶を包み、その紺碧の光を奪うように弱めていく。
 逃げるように飛ぶ蝶へは……ディークスの放った闇色の蜥蜴が食らい付いていた。
「こいつは……、蟲は……好物なんだ」
 文字通り、それが蝶を喰らっていくと――蝶は僅か一匹となり、弱く羽ばたく。
 そこに澄み渡った歌声が響いた。
『ひややかに、凍える息吹――つらら舞う――♪』
 ユイの『chandelle de glace』。歌声に共鳴して、透き通る刃の剣が静かに蒼い胡蝶を薙いでいく。
「こんなにきれいな蝶々……でも、ごめんなさい――」
 ユイの言葉と共に、蝶はその生命を失っていった。
 幽かな残り灯のように消えてゆく蝶――その光はユイの刀に溶けるようになくなっていき……花畑から、完全に消失した。

 戦闘後。
 敵がいなくなったことで、被害者の少年は目を覚まし……ケルベロス達に礼を言って帰って行った。
 そうして山奥に、ようやく平和が訪れていた。
「お花、荒らしちゃったかな。……ヒール、かけていこっか」
 ちはるが見回す花々は、確かに戦闘前に比べれば少しばかり荒れている。
 ただ、皆が気を使っていたために、かなり綺麗な状態で残っている。そこに皆がヒールをかけていくと……すぐに、原形に近い状態に戻った。
 ヴェルトゥは見回す。
「美しい花畑に戻ったな」
「これで本来の蝶も、困るまい」
 ロウガが言うと、薄羽の本物の蝶がひらひらと飛んでいた。
「では、帰還しようか」
 デュランダルが言うと、皆は頷く。
 ただ、リリは少々眺めていた。
「せっかくここまできたのだから、私は少々堪能してから帰ろうかしら」
「いいねー……あたしも少し休んでいきたいかも」
 と、深々見は花々の間で、既に二度寝を始めているのだった。
 花と蝶を眺めるもの、のんびりと休むもの。未だ東雲の空の下……花畑の中には、穏やかな時間が流れていた。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年4月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 4
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