春色の途

作者:崎田航輝

 清らかな陽光の下で、鮮やかな色彩が揺れていた。
 歩くと目に飛び込んでくるのは、蒼紫が美しいラベンダー。そよぐ花の香りを楽しみながら歩を進めると、次に見えるのはパレットのように色とりどりのチューリップ。
 その近くには可憐な撫子が淡い紅色を映えさせ、隣では色味の豊かなフリージアが咲き乱れる。
 春を迎えて花に満ちるそこは、植物園。
 新しい蕾が開き、景色を色彩で溢れさせて。長く続く散歩道に、絶え間なく花が広がって人々の目を楽しませていた。
 道中に建つ茶屋でも、カモミールやジャスミン、タイムといったハーブを使った飲み物が楽しめて。スイーツと共に味わいながら多くの人々が今だけの景色を眺めていた。
 と──そんな中に影を落とすよう、踏み入る巨躯の姿が一人。
「綺麗な花々じゃないか。色彩も美しい」
 それは濃赤に穢れた鎧に身を包む大男。歩む人々の姿を見下ろして、喜色を浮かべて剣を握りしめる罪人、エインヘリアル。
「けれどやはり──鮮烈な赤が僕は一番、好きだよ」
 だから朱に染まれ、と。
 振り下ろす刃で人々を切り裂いていく。叫声が響き渡る中、罪人はただ愉しげに殺戮を続けていった。

「沢山の花が咲き始める季節ですね」
 暖かなヘリポート。
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達へそんな言葉を口にしていた。
「とある植物園も春の花に満ちて、とても人気となっているのですが……」
 そんな場所へ、エインヘリアルが出現することが予知されたのだという。
 やってくるのはアスガルドで重罪を犯した犯罪者。コギトエルゴスム化の刑罰から解き放たれて送り込まれる、その新たな一人ということだろう。
 これを放置しておけば人々の命が危うい。
「そこで皆さんには討伐へ向かってほしいのです」
 現場は園内に長く伸びる道。
 広さは十分にあるので、戦いには苦労しないだろう。
「今回は警察の協力で人々も事前に避難します。皆さんは戦いに集中できることでしょう」
 それによって景観の被害も抑えられるだろうから、とイマジネイターは続ける。
「無事勝利できた暁には、皆さんも花を眺めて散歩などしてみては如何でしょうか?」
 園内には多くの花が咲き誇り、春の彩を楽しめるはずだ。
 少し疲れたら茶屋で休憩もできる。ハーブティーやスイーツなどでゆっくりと過ごせるだろう。
「そんな春のひとときの為にも、ぜひ撃破を成功させてきてくださいね」


参加者
ゼレフ・スティガル(雲・e00179)
キソラ・ライゼ(空の破片・e02771)
奏真・一十(無風徒行・e03433)
シア・ベクルクス(花虎の尾・e10131)
小柳・玲央(剣扇・e26293)
リュシエンヌ・ウルヴェーラ(陽だまり・e61400)
ディミック・イルヴァ(グランドロンのブラックウィザード・e85736)

■リプレイ

●春花
 艷やかな紅に明るい黄色、瑞々しい翠。
 春の彩は麗らかな陽光に燦めいていて、その絢爛さにディミック・イルヴァ(グランドロンのブラックウィザード・e85736)はほうと呟いていた。
「見事なものだねぇ」
 視線を巡らせ、声音には感心も混じる。
 小柳・玲央(剣扇・e26293)も景色を夜蒼の瞳に映しながら頷いていた。
「春本番という感じだね」
 花々は目を惹く程美しい。
 けれど、それ故に舞い込む異物にもすぐに気づく。
 遠方より花園の道を歩む、一体の巨躯がいた。
 血に穢れた鎧を纏う、異星の咎人。花を赤に染めようと、燃ゆる刃を手に彷徨っている。
 それを一拍たりとも放っておく玲央ではない。皆と頷き合うと、扇の如く鉄塊剣をしゃらりと抜いて。
「まずはその熱を、奪わせてもらうよ」
 獄炎を宙へ奔らせ、巨体へ強烈な初撃を見舞ってみせた。
 よろけた罪人へ、玲央はやあ、と言葉を投げる。
「君のその赤が、炎が、花を焼き斬り染める前に──真正面から斬り倒してあげるよ」
「……、番犬か」
 罪人は、誘導されたと自覚はないだろう。だが確かに此方へ踏み込んできた──声音に敵意を含んで。
「赤はお気に召さないかい」
「いや、綺麗な色だと思うぞ」
 と、それに返してみせるのはジャスティン・アスピア(射手・e85776)。包囲しながら、ただし、と首を振る。
「血ではなく、花本来の色に限るがな」
「そうね。ルルも赤い色は好きだし、大好きな旦那さまに贈る薔薇も真っ赤がいい」
 心に愛する人を描きながら、リュシエンヌ・ウルヴェーラ(陽だまり・e61400)も愛情に満ちた声音で頷いて。
 だからこそと、瞳に強い意志を込める。
「ひとの悲しみや痛みが滲んだ赤は好きじゃないの」
 そんな悪趣味な赤はぜったい流させたりしない、と。
「行くわよ、ムスターシュ! さくっと倒して、早くお家に帰るのよ」
 瞬間、翼猫と頷き合うと蔦の如き鎖で眩い光を描き、仲間に護りの加護を齎した。
 罪人は振り翳した刃で殺意を示す、が。
「おっと、暴れない暴れない」
 世の中そう自分勝手は通らないものだからね、と。
 飄々と、飄然と。雲の流るるが如く、柔らかな声音がそこへ滑り込む。
 軽く地を蹴り肉迫するゼレフ・スティガル(雲・e00179)。『燭』──薄い彩に揺らめく焔を伸ばし、巨躯の手元を灼け焦がす。
 直後にゼレフと視線を合わせ、すらりと空へ手を伸ばすのはキソラ・ライゼ(空の破片・e02771)。
 刹那、淡い火の粉の散る中に蒼空が覗くと、焔を宿す瑠璃の針が降り注いだ。『彩焔ノ玻璃』──燦めく刺痛の応酬が巨躯の熱を奪い去る。
「カズ、それにサキミサンも宜しくな」
「ああ」
 静やかな声で仕込み杖より刃を抜くのは、奏真・一十(無風徒行・e03433)。
 匣竜のサキミが後方へ水色に燿く護りの光を施す──その姿を見送りながら既に疾駆していた。
 罪人は避けようとするが、遅い。宵の瞳で真っ直ぐ見据えた一十は一刀、凍てた巨体へ月弧を象る剣閃を刻み込んでいく。
 一歩下がった罪人は炎波を返してくる、が。
 ジャスティンが燿きを抱いた剣で守護星座を描くと──その光が焔から仲間を護りながら、眩い癒やしを与えていた。
「背中は一先ず此方に預けてください」
「判りましたわ」
 では反撃の一手を、と。
 花のそよぐ音に交じり、清らかな声音が風に乗って舞い降りる。
 春の薫りの中を滑り降りるよう、柔く羽ばたくシア・ベクルクス(花虎の尾・e10131)。金花を燦めかせながらくるりと廻ると──撓る脚で咎人へ蹴りを見舞った。
 蹈鞴を踏む巨体は間合いを取ろうとする、が。
 既に後方よりディミックが狙いをつけていた。
「このまま、標的となってもらうよ」
 機巧の戦士は脚部ユニット下部の空圧を高めて自身を地に留める。
 そして直立姿勢のままに、瞳に映したレティクルの中心へ敵を据えて砲撃。苛烈な衝撃と煙で巨体を包み込んだ。

●剣戟
 くすんだ鋼から、濁った赤が滴り落ちる。
 罪人は自らの血潮を見下ろしながら、苦悶交じりの嗤いを零した。
「……やってくれるね。僕はただ、美しい色が見たいだけなのに」
「その動機は、潔いくらい単純で分かり易いけど」
 と、ゼレフはゆるりと声を返す。
「本当に色が好きなだけというのなら、それこそ窓に花束でも飾ってればいいのに」
「そうだな。血、以外の赤いものに、何故目を留めない」
 一十の言葉に、罪人は緩く首を振る。
「……、生きた血の色こそ、本当の赤だ。判らないかい」
 笑む表情にあるのは変わらぬ反抗心。
 だから一十は仄かにだけ息をついて。
「……そんなふうに殺戮を愉しめたなら。君のようなものが現れるたびにうれしくてたまらない、ある種の幸せな生き方が出来るのかも知れん」
 毛ほども羨ましくはないが、と。
 刹那、双剣の一振りを翳して煌めかせ、罪人の心に悪夢を呼び起こさせる。
 呻いた巨躯へ、キソラも疾駆。
「まあ、てめぇのお好みがナンかは知らねぇよ。ただ、押し付けは御免被りたいネ」
 故に元より迷いなく。跳躍すると霰を降らすかのよう、眩い冷気を纏った打撃で巨体を氷に蝕んだ。
 後退しながらも、罪人は刃を振り上げる。
「……、こんな所で斃れはしない。美しい赤で、全てを染めるまでは」
「だから花を荒らすのかい。つくづくエインヘリアルっていうのは大人げがないね」
 ──無粋が過ぎるよ。
 薄雲の如き穏和さに隠れ、ゼレフの裡の内は窺えない。けれど滑らす刃は確かに罪人の心をも抉り、迷夢を刻み付ける鋭さを持っていた。
 ふらつく巨体へ、ディミックは息つく暇も与えずに茫洋と耀く光を明滅させる。
 それは『俤偲ぶ蛍石』──鉱石を媒介に発現する魔力で、淡い眩さの中に失った時間を想起させた。
「さて、今のうちだよ」
「ええ」
 罪人が朦朧とする一瞬、ジャスティンは既にライフルを真っ直ぐに向けて射撃。弾ける光と共に零下の衝撃を突き抜けさせて巨体を内外から凍らせてゆく。
 苦渋の声を零しながらも、罪人は刃を突き出す、が。
 一十が刃で逸らすように威力を抑えると、リュシエンヌが白花の如き清らかな光を満開に咲かせていた。
「大丈夫、すぐに癒やしてみせるの」
 ふわりとほどけて溶け込むその輝きは、言葉に違わず優しい心地で傷を治癒。同時にムスターシュには猫型魔力弾を放出させ巨躯を穿たせてゆく。
 対する罪人は、浅い呼吸を繰り返しながらも、踏み込み刃を持ち上げた。
「……、諦めないさ。血に濡れた花を目にすれば、君達も判る筈だ……!」
「いいえ」
 涼やかに、シアは手をのべる。
「赤は私も好きですけれど。貴方と私の好みは少々違う──それだけですわ」
 故に、一輪とて手折らせはしないと。『花の腕』──魔法が伸ばす藤枝の束が巨躯を締め付けた。
 そうだねと玲央も頷いて。
「ここの花はあるがままを再現したものかもしれないけど、自然には変わりない。だから、染めさせやしないよ」
 奔り、跳躍。的確な一打を与えるためなら握る剣に拘らず──藻掻く巨躯を完全に縫い止めるよう蹴りを打つ。
 その上で、本命の一撃は炎。刹那、リズミカルに廻ると、揺らめかせた蒼を至近から薙ぐようにぶつけてみせた。
 火の粉と共に吹き飛ぶ罪人。そこへディミックは体内の炉で作り出した圧力塊を放出、空間を捻じ曲げるよう巨体を掴み投げ落とす。
 同時にジャスティンが『ホローポイント』。鋭い矢弾で躰を貫くと、蹄を鳴らして射線を開けていた。
「最後は、お願います」
「じゃ、やろーかネ」
 と、拳に獄炎を籠めるのはキソラ。
 蒼穹の彩を凝集したように、鮮やかな色を焔に揺らがせると──打突と共に放って一撃、巨体を焼き切り四散させた。

●春園
 花の園に賑わいが帰ってくる。
 戦闘後、番犬達は人々へ無事を継げて平穏を取り戻していた。
 既に人々は散策を再開しており……一十もまたサキミと共に散歩を始めている。
 春風がさらりと髪を撫ぜて、瑞々しい薫りに季節の旺盛を感じさせる。その中を進む程に、クレマチスが清らかな白を、芍薬が淡い紅を見せた。
「花は善い。わけもなくめでたい気分になる」
 そんな言葉に、サキミは鳴いたりはしないものの一瞥を返しつつ。中々にご機嫌に、揺蕩う蝶を追っかけたりしている。
 と、サキミがそのままふわりと飛び込んでいくのは──近くを歩くキソラ。
 サキミをしかと腕に抱き留めつつ、一十へ目を向ける。
「こうやって花の中を歩くのも、イイな」
「ああ」
 一十が頷きつつ歩むと、キソラもまた道を進みながら景色にカメラを向けていた。
 風景写真を撮るのが趣味な分、彩に溢れる眺めは全てがシャッターチャンス。そよぐラベンダーに可憐なアマリリスと、美しい花々を収めていく。
「赤も嫌いじゃないが、こんなに溢れる彩りは塗り潰すのが野暮ってモンだ」
「そうだな。此処にある全てが、花の色だろう」
 二人はその色彩を端まで見て回ると──その足で茶屋へ。
「そろそろ、さくら味のものが出る頃ではないか」
 と、一十が期待する通り──桜餅と桜フレーバーのショコラを見つけ、ハーブティーと共に二人で注文した。
「どっちも桜色だ」
 こりゃイイ、と。
 キソラはパシャリと収めてから実食。口溶けと共に花が香るショコラに美味を感じて……サキミにもお裾分け。
 はむはむと食べる、そんな竜の姿をみやりつつ、一十もショコラに舌鼓。桜餅の上品な甘味も楽しんで、ハーブティーの爽やかさを堪能し。
「うむ」
 春らしい一時を感じて、また花々を眺めていた。

 春の匂いの漂う茶屋を、ゼレフは訪れていた。
 趣きある木造りは、花々の眺めにも溶け込んで。風流さを感じながら席につくと、お品書きからハーブティーを選ぶことにする。
「さて効能は何だろう」
 見ると心を落ち着かせ、リラックスさせてくれるという。戦いの後にはぴったりだろうと、それを注文。やってきた一杯をまずは香った。
 淡く出した紅茶をベースに、ラベンダーの芳香が混じる。
 それを感じた後で、そっと一口含むと華やかな風味が広がって──仄かなローズヒップがフルーティさも加えていた。
「確かに、穏やかな気分になるようだよ」
 優しい美味に呟いて、ゆったりと景色を見回す。
 咲き誇る花々。
 仕事のあとのお茶。
 ぽかぽかと暖かい季節と花の香。
 こんな時間には、つい欠伸が零れるのも、きっとしょうがないことだから。
「少し、ゆっくりしていこうかな」
 園の中で、寛いだように瞳を細めていた。

「まあ、なんて素敵な花々──!」
 色と芳香に満ちる道を、シアは軽やかな足取りで散歩する。
 広い園に咲く花は、春を凝縮したように美しくて。
「ああ、フリージアのなんていい香り!」
 柔らかな花弁が漂わす匂いに、声音まで華やぐようだ。
「まあ、チューリップがこんなに沢山」
 濃い赤の花が目に映れば、その彩に見惚れて。やっぱりお花の赤は好きなのだと、実感するように声音が踊った。
 こんなにも可愛らしくて、あたたかな中に居れば──。
「ふふふ~、春がきた、という感じがしますわねえ」
 そうして幸せな心持ちで園内を一巡りすると、次はカフェで休憩。フレッシュなカモミールティーを頂く。
 澄んだカップにほんの少し加えるのは、春採れの蜂蜜。
「とっても贅沢ね──」
 清廉な花の香りに、癖のない甘味が加わった一杯は、穏やかな美味で。シアはほっと一息ついて、春のひとときを過ごした。

 花々が季節を喜ぶように咲き誇る。
 そんな景色を玲央は歩みながら眺めていた。
「カーネーションにはまだ少し早いかな。でも、数え切れないくらいの花があるね」
 純な撫子、蒼のネモフィラ。
 全てが異なり、全てが美しい色達を楽しんでいく。
 中でもチューリップは、鮮麗で数も多く、そこだけが別世界のようで見応えがあった。
 ここは自然そのままではない。
 けれど、あるがままを再現しているなら。
「やっぱりここも自然の姿だと思うんだ」
 だから守れて良かったと、思いは一入だった。
 それから茶屋に寄って、ブルーマロウティーを注文する。
 綺麗な青をしていたそれは、見つめるにつれて黎明するように紫になり──途中でレモンを浮かべると可憐なピンクへ変わった。
「聞いていた通り、面白いね」
 まろい芳香と穏やかな風味も楽しんで。茶に景色に、玲央は花の彩を味わっていった。

 リュシエンヌは花に囲まれた東屋を見つけると──。
「お茶屋さんね。行きましょ?」
 ムスターシュと頷き合って、一緒に暖簾をくぐっていた。
 お目当てはというと、そこで寛ぐことよりもお土産のテイクアウト。頭には、愛しい旦那さまを思い描いているから。
「どれが、喜んで貰えるかしら?」
 一緒に楽しむことを考えれば、自然と答えも決まる。
 カモミールやラベンダーを使った春らしいブレンドのハーブティーと、同じハーブを使った可愛らしいクッキーだ。
 綺麗に包んでもらうと、その時間が待ち遠しくて。
「ムスターシュもお疲れさまね? 抱っこしていってあげるね♪」
 翼猫をぎゅっとその腕にいだいて歩み出す。
 ムスターシュも帰る家へ向かうことが嬉しいように、一つ鳴いて。ふたりで花の間を帰路へ向かっていった。

「何とも、色彩豊かだねぇ」
 ディミックは花に溢れた散歩道を行く。
 思い出すのは過日、地球に降りるより前のこと。
「そう言えば、アスガルドにも花があふれていた頃があったか──あれはヴァナディースの関係だったかな……」
 尤もそういう神聖な場所とは縁が無くて、遠巻きに見るのみだったと記憶しているが──何にせよ。
「魔法でなく、人の手によってこのような光景を作り出すのはなかなか趣深いよ」
「確かに。こうして見ると、地球の人々の花に対する思いの強さが窺える気がします」
 と、声を返すのは近くを散策するジャスティンだ。
 風流には疎い朴念仁とも言える性格だが──これだけの鮮やかな花々を目にすれば、綺麗だと思う心も自然と湧いてくる。
 ディミックは頷いた。
「その恩恵に与るとしよう」
 この地球に来てから見たことのない花も多い。否、その方が遥かに多いだろう。
 故に和風庭園の一角に入ると、解説盤を読んで一つ一つ見ながら。
「このあたりは日本固有の種が多いね」
 淡紅が素朴なカタクリ、可憐な白のユキワリイチゲ、黄色が美しい福寿草──初めて見る花々に興味深げな声を零して。
 類のない色と風合いを楽しむと、記憶にしかと焼き付けてまた歩んでいった。
 ジャスティンは暫し同道してから──その後に茶屋へ。品書きを見て、お勧めされているハーブティーを頼む。
 共に頼んだクッキーを齧り、カップから一口。ペパーミントの爽やかな風味に、ローズマリーがすっきりとした心地を与えてくれた。
「さて、と。もう少し歩いて行こうか──」
 食事を終えると、ジャスティンは再び散歩道へ。帰路へ向かう方へ歩みながら、春の花々を目に留めていった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年4月9日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 3
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