スイーツ・クッキング

作者:崎田航輝

 卵白がかき混ぜられて、ふわふわのメレンゲが出来てゆく。
 そこに生クリームや砂糖が加えられて仄かに甘い香りが立つと──隣のテーブルでは色とりどりのフルーツがカットされて。別の卓ではラム酒で炒められた果実が、芳ばしい芳香を上げていた。
 甘やかな匂いの漂う中で、人々が手を動かすそこは──お菓子作り教室。
 ケーキにタルト、マカロンにティラミス。
 クッキーやマフィンなども加え、簡単なものから本格的なものまで、皆がスイーツを学び、調理している。
 女性だけでなく男性も含み、少なくない人数が集まって。得意の逸品をさらに向上させたり、あるいは初めて作るスイーツを愉しんだり。レンタルキッチンの広い空間で、皆が賑やかに料理を行っていた。
 と、そんなキッチンから少し離れた別の部屋。
 同じ建物内にある、倉庫となっているその空間に──静かに鎮座するオーブントースターがあった。
 嘗ては使われてもいたのだろうが、今では埃も拭われない。旧型であり、故障もしているようで──本当であればもう動くことはなかったろう。
 だが、そこへ這い寄る一つの影があった。
 それはコギトエルゴスムに機械の脚の付いた、小型のダモクレス。かさりかさりと窓の隙間から侵入してくると、そのトースターへ入り込んで一体化する。
 程なく鳴動したそれは──手足を生やして立ち上がると、倉庫から飛び出して。
 すぐにキッチンへたどり着くと、人々の悲鳴にも構うことなく──真っ直ぐにその中へ襲いかかっていった。

「オーブントースターのダモクレスが出るみたい」
 天月・悠姫(導きの月夜・e67360)は、集まったケルベロス達に言葉をかけていた。
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)もええ、と応えて皆を見回す。
「悠姫さんの情報によって察知できた事なのですが──事件はとあるレンタルキッチンで起こるようですね」
 そこではお菓子作り教室が開かれていて、賑わっているのだが──建物の倉庫に古いオーブントースターがあって、そこに小型ダモクレスが取り付いてしまうらしい。
「このダモクレスは料理をしている方達を狙おうとするでしょう」
「ええ、だから皆の力が必要なの」
 悠姫が声を継ぐと、イマジネイターも頷き説明を続けた。
「戦場はキッチンのある空間となるでしょう」
 そこにやってくる敵を待ち伏せて、迎え討つ形となるはずだ。
 お菓子作り教室の人々は、事前に避難がされるので心配はいらないと言った。
「皆さんは戦いに集中できるでしょう」
 周囲に被害なく撃破も出来るでしょうから、とイマジネイターは続ける。
「勝利できた暁には、皆さんもお菓子作り教室など、楽しんでみてはいかがでしょうか」
 元々当日参加も出来る催しでもあり、講師達も喜んで迎えてくれるだろう。スイーツに関する材料は揃っているので、学んだり、作って実食したりと楽しめるはずだ。
「なら、そのためにも戦いには勝利しないとね」
 悠姫が言えば、イマジネイターも頷いた。
「皆さんならばきっと撃破出来るはずです。是非、頑張ってきて下さいね」


参加者
アジサイ・フォルドレイズ(絶望請負人・e02470)
神崎・晟(熱烈峻厳・e02896)
小柳・玲央(剣扇・e26293)
尾方・広喜(量産型イロハ式ヲ型・e36130)
那磁霧・摩琴(医女神の万能箱・e42383)
天月・悠姫(導きの月夜・e67360)
ローゼス・シャンパーニュ(赤きモノマキア・e85434)
山科・ことほ(幸を祈りし寿ぎの・e85678)

■リプレイ

●下拵え
 埃一つないキッチンは、きらりと灯りを反射する清潔さ。
 雑誌やテレビに見るようなその眺めを、山科・ことほ(幸を祈りし寿ぎの・e85678)は感嘆混じりに見回していた。
「うわっ、スタジオみたいじゃん……」
「思いっ切りお菓子を作れるね!」
 と、踊る足取りで入ってゆくのは那磁霧・摩琴(医女神の万能箱・e42383)。
 兎と花のシルエットのエプロン、柔らかなミトン、ホイップ印の白帽子。これだけの設備を使えるのだからと張り切って、見目もばっちりお料理スタイルだ。
 そんな姿を見つつ、ことほも歩み入って。
「うーん、こんな綺麗なとこで失敗したら恥ずかしさ倍って感じするー」
 まぁでも多分大丈夫、と。早速材料を取り出し始める。
「手伝おう」
 皆が作業を始めると、アジサイ・フォルドレイズ(絶望請負人・e02470)もエプロンをつけて下準備を買って出ていた。
 調理器具を取り出し、皆が使う卵や砂糖を用意して。全員がスムーズに料理に入れるように細やかな気配りを発揮していく。
「ありがと! それじゃ早速始めようか♪」
 言いつつ、摩琴は材料を各人が作業する分に分けていった。
「さあ、摩琴先生のクッキー講座はじまるよ~」
「それで、まず何から始めるんだ?」
 一式を受け取る尾方・広喜(量産型イロハ式ヲ型・e36130)は、興味を含んだ笑顔でバターや砂糖を見下ろす。
 摩琴はそれをまず混ぜさせつつ、卵、バニラエッセンスと順に加えさせた。
「薄力粉を入れて……後はココアパウダーとか抹茶とかも使って色んな味を作るんだ♪」
「へえ、これが生地になるんだな」
 広喜は教わる通りにヘラで練ってゆく。
 天月・悠姫(導きの月夜・e67360)も共に生地をこねていた。
「こうやってみると、中々力加減が難しいわね」
 手先に重みを感じさせるそれに丁寧にヘラを入れて前後左右。段々と均一にしていく。
「どれくらいやれば良いのだったかしら」
「色が同じになって、なめらかな感じなれば大丈夫だよ。混ぜてこねてやっていこ♪」
 摩琴は二人がこね終えたと見れば、ラップに包んで冷やして貰い──その間に自分は家で用意してきた生地を容器から取り出し、型抜きしてオーブンプレートに並べていた。
「クッキーか、美味しそうだね」
 と、隣の小柳・玲央(剣扇・e26293)もアイズフォンでレシピを調べている。
 選んだのはラングドシャ。材料の計量だけでもしておこうかと、小麦粉を計って分け、常温に戻すためのバターも出しておいた。
 こうしておけば後が楽。同時に襲撃にも対応できるように、すぐに蓋を出来るようにもしておく。
「ひとまずここまでかな」
「私は一応、生地だけ用意しておこうかな」
 ことほはあとでゆっくり焼きたい気持ちもあって、シフォンケーキの生地づくり。
 卵黄と卵白を分けると、油と牛乳を加えた卵液とメレンゲを作り、ベーキングパウダーを合わせていく。
 味は簡単なプレーンだ。
「基本が大事だもんね」
「ふむ、いい心がけではないか」
 と、扉側を見張りつつ神崎・晟(熱烈峻厳・e02896)は頷いている。
 根が真面目なせいもあろう。菓子作りにも真っ直ぐな心を以て……正しい分量や基礎を大事に思っていた。
 アレンジは慣れてきてからするもの、というように。
「まぁ、尤も──クッキーにしてもケーキにしても、菓子を焼くにはあのオーブントースターは火力が強すぎるのだろうが」
 言いながら、見据える入り口。その向こうから、膚を灼くかのような熱気がふわりと漂ってきている。
 ことほが生地を冷蔵庫に避難させると、ローゼス・シャンパーニュ(赤きモノマキア・e85434)もミキサーなどの機械を移動させ始めていた。
「意外と精密な器機が多いですね。せめてこの辺りは退避させておくべきでしょう」
 菓子作りは全くの門外漢という自覚もあれど、守るものは見失わず。次にはキッチンを背にして前に視線を向けた。
 そこから現れるのは──古びたカラーリングの機械の姿。

「こうして本当に現れると、驚きね」
 自身の危惧していた敵が眼前にいることに、悠姫は声を零す。
 それは旧型のオーブントースターのダモクレス。その姿に、広喜は親近感を覚えて見つめていた。
「よお、俺も旧式だぜ、よろしくな」
 言いながら顔には笑み。
 立ち向かってくるならば、それに対し全力で戦うのが、役目を終えた機械に対する自分なりの敬意だから。
「ここ、お前の好きな場所だったのか? 大丈夫だぜ」
 俺たちが守ってやるからよ、と。
 広喜は青い折り紙を宙へ踊らせ、戦いの礎となる加護を仲間に齎す。
 ダモクレスは攻撃をしようと走り始める。だがローゼスは奥へ行かせぬよう、立ちはだかっていた。
「しかし、まさかこのような場が戦場となるとは」
 厨房で戦うという初めての経験に声も零れる。
 けれど凛然とした姿勢は変わらず、キッチンを守る重騎士として剣と盾を構えた。場所柄、少々格好がつかずとも。
「護ると決めれば立つ。それが騎士というものですので」
 声音に迷いなく。剣から燦めかす星灯りで皆を守護していった。
 ダモクレスが僅かに怯んだ一瞬に、晟は翼で低空を翔け肉迫。青龍戟に鮮烈な雷を纏わせ刺突を見舞うと、匣竜のラグナルに碧色のブレスで傷を刻ませる。
「皆も続いてくれ」
「ええ」
 応える悠姫はポケットから出したガジェットを銃型へ変容。
「わたしの狙撃からは、逃れられないわよ!」
 エレメンタル・ガジェット──閃くフラッシュと共に麻痺弾を着弾させた。
 敵が鈍った一瞬に、アジサイも踏み寄り一撃。斧を振り下ろして機械の躰を軋ませる。
 ダモクレスは網を投げてくるが、晟がその巨躯で受け止めて見せれば──ことほが揺蕩う霊力を凝集させて治癒していた。
「これで傷は問題ないよー」
「じゃあ、こっちは任せて!」
 摩琴は指揮棒を振るって中衛に護りの光を拡げると──開きっぱなしになっていたダモクレスの躰へ、プレートに並べたクッキーをさっと差し込む。
「はい、これ焼いてくれる?」
 ダモクレスは藻掻きつつも、扉を閉められると本能からか……生地を焼き始めていた。
「今のうちに攻撃出来そうだよ」
「じゃあ、遠慮なく」
 と、玲央は三拍子を刻むように剣舞を踊り、守護星座を描いて後衛を防護。戦線を強固にしながら風にように跳び上がり──流星の如き蹴りを叩き込んだ。

●決着
 鈍い音を鳴らし、ダモクレスは倒れ込む。
 既に一部を故障させながら、それでも這う姿を──アジサイは見据えていた。
 有名な、時計の歌の一節を思い出す。役目を全うしたこの手の機械を、一体どうしてやれば良かったのだろうかと思いがもたげた。
 放置された機械がダモクレスになる事件をイヤと言うほど見てきた。けれど答えは自身の中に見つかってはいない。
(「こうなるのが嫌ならば、すぐに解体してやればよかったのか?」)
 けれどそれは、冷たいようにも思えて。
「……いや」
 分かっている、そう思う心はこの手の機械にはないのだと。
(「それは観測する俺の中に、想像としてあるだけだ」)
 だがそんな勝手な思いだとしても──人を傷つけることは本意でない、それだけは確かだと思うから。
「ここで終わらせてやろう」
 刹那、ダモクレスが走り寄ってきた瞬間に一歩引き、隙を招いて殴打。『後ノ先』を取る槌の一撃で亀裂を刻んだ。
 その間に摩琴は『Fly High Tailflowers!!』──ガンベルトから薬瓶を投げ、飛沫を浴びせて仲間の力を引き上げる。
「これでやっちゃって!」
「ああ」
 応える晟は加速して距離を詰めると、冷気を帯びた剛槌でダモクレスを氷晶に蝕んだ。
 そして間隙を作らず、矛先へ蒼雷を閃かせて『霹靂寸龍』。稲妻の龍が翔け抜けるかの如き、苛烈な衝撃を撃ち込んでいく。
 ダモクレスはよろめきながらも高熱を放った。その赤熱の烈しさに、ローゼスは驚きすら浮かべる様相だ。
「これが焼かれる菓子の気持ちですか……!」
 とは言え盾でしかと防御済み。
 広喜が淡く耀くヒマワリの花弁を踊らせ治癒すれば──ことほも杖先よりエクトプラズムを咲かせて皆の体力を保つ。
「藍ちゃん、出番だよ。粉とか舞わせないように気を付けてねー」
 と、呼ばれたライドキャリバーは返事代わりの唸りを上げて強烈な体当たり。
 後退した敵へ、悠姫は両の掌を真っ直ぐに翳していた。
「霊弾よ、敵の動きを止めなさい」
 瞬間、燦めくのは紅色と菫色の光の粒子。収束して眩き輝きとなったそれは、発射されると千々に弾けてダモクレスを静止させる。
 そこへ玲央は『炎照・開扉符号』──獄炎にコードを潜ませ接続し、長く使われてきたトースターの記憶を視た。
「随分働いたみたいだね。もう、休む頃じゃないか」
 ダモクレスはそれでも抗うように暴れる、けれどローゼスが『Nike velos』──鎧装腰部よりフレシェット弾を発射。厚い筐体を貫き縫い止めた。
「其処までです」
「ええ。この弾丸で、石にしてあげるわよ」
 同時、悠姫はガジェットより銀灰の光線を放っていた。固着する光は、そのまま内部まで侵食して躰を固めてゆく。
 広喜はそこへ機械脚の一撃。
「お疲れさん」
 金属同士の弾ける音と共に──ダモクレスを破壊した。

●甘味の時間
 キッチンに芳香と賑わいが満ちる。
 戦闘後、清掃された室内には人々が戻り──教室が再開されていた。
 ケーキにお団子に生チョコレート。人々が思い思いの甘味を作り始める中へ……勿論番犬達も参加。
 晟はケーキ作りの一角に交じりつつ、自然と初心者の指導に当たっている。というのも、スイーツ男子でもありお菓子作りを密かに家で嗜んでもいるから。
「菓子作りというのは正しい分量が肝要だ。特にケーキのような焼き菓子はわずかな差で味も見栄えも大きく変わる。下手をすれば形にすらならないことも有り得るからな……」
 まずは正確な計量から、と。
 先刻の真面目さはここでも発揮され、無意識にスパルタ気味にもなりつつ──砂糖や小麦粉の、寸分違わぬ分量を皆々へ求めていくのだった。

「良い香りがしてきたな」
 アジサイは皆の手伝い中。
 甘いもの好きとしては、次々にお菓子が作られていく景色は見ていて心躍る。
 故に自分もその一部として助力しようと、汚れたテーブルは拭い、重い材料は進んで運び、皆の手足となっていた。
 玲央が作業を続けているのを見つけると、新しいボウルを置く。
「使うと良い。此方は洗っておこう」
「ありがとう。助かるよ」
 礼を述べる玲央は、ラングドシャを焼きながら、使わなかった卵黄で卵ボーロを作る所。
 砂糖と片栗粉と混ぜ、抹茶やココアを加え彩り豊かに。更に牛乳をロイヤルミルクティーやカフェオレにして幾つもの味を作った。
 それも焼きつつ、ラングドシャも何度も挑戦。三年前のホワイトデーを思い出し、その味に近づけようと微調整。さらに焼いた生地を菜箸や麺棒で巻き、曲げる技術も教わっていく。
「中々難しいね」
 女子会でのお菓子の家作り、その練習になればと、玲央は丁寧に作業を続けていった。

 ローゼスは材料と計量の仕方を教えて貰いつつ、卵と砂糖を用意。
 卵白を分けて、メレンゲ作りをしていた。
 周囲を見渡し、これくらいならば出来るはずと思ってのこと。ボウルを持って泡立て器を動かし始めていく。
 二メートルを超えるエプロン姿の男がカチャカチャと一心不乱に泡立てる……そんな姿は目を引いたけれど、ローゼスは一生懸命。
「恥ずかしながら、パティシエなる者になった気分がしますね。何より、槍を捻る筋が鍛えられます」
 武人らしい呟きも零しつつ、出来たらオーブンで調理。白色の艷やかな焼きメレンゲを作った。
「わぁ、可愛いじゃない」
 栗のようなその形に感心するのはことほ。
 こちらは先刻作っておいた生地を、シフォン型へ流してオーブンへ。時間が余れば皆の分もと、また生地を作り始めている。
 とはいえ難しくないものを選んだので作業は淀みない。
「今回は任務だったから慣れたのにしちゃったけど、今度マジで習いに来よっかなー?」
 オーブンと共に、周囲で出来ていくお菓子も見回しつつ。ことほは顎に指を当ててそんな考えを巡らせていた。

 悠姫は改めてクッキーに挑戦中。
 今度は講師に教えて貰ったレシピで生地をこね始めている。
「アーモンドパウダーに、バターの温度に……同じクッキーでも、作り方が違うのね」
 生地の感触も香りも、仄かな差異を感じる。短い行程でも、まったく別物になるのだという実感を肌に得ていた。
「奥が深いわね」
「ああ、中々慣れねえな」
 隣の広喜も、生地を混ぜる機械の手は不器用。けれど笑顔で一生懸命に、オーブントースターに似た四角形を形成していた。
 不格好だけれど、その凸凹はきっと思いの深さ。
 摩琴は先刻二人が冷やした生地も取り出してくる。
「これも形作りしよっ♪ それにさっきのクッキーもあるから、食べ比べだね!」
 言って皿に盛っているのは、戦闘中ダモクレスに焼かせたもの。高火力の為か短時間で上手く焼けていた。
 それから三人で、生地をくっつけ星型やハート型を作る。摩琴がオーブンの温度を調整している間にもう一度冷やして──いよいよ焼き始めた。
「美味しく焼けると、良いのだけどね」
 悠姫は気になるように、時々オーブンを覗き込んでいた。

「できたぜーっ」
 四角型クッキーが上手く焼けたのを見て、広喜は満足そうに笑った。
 並ぶ他のクッキーや、皆のお菓子も完成したのを見て──摩琴は瞳をきらきら。
「試食会ももちろんするでしょ?」
 それには皆も頷くので、片付けの後、テーブルに会して皆で実食タイム。
 悠姫は自身のクッキーが良い食感に焼けているのを確認し、頷いて。ことほのシフォンケーキもはむりと頂いた。
「柔らかくて、美味しいわ」
「本当? 嬉しいなー。ん、このクッキーも美味しいよ」
 ことほはさっくりと一口食べて笑みを返す。
 摩琴もシフォンを貰いつつ、クッキーの出来にも満足だ。
「ん~、美味しい♪ クッキーもさくさくだね!」
「しかし、出来たてを頂けるとは有り難い」
 アジサイも言いつつシフォンとクッキーを堪能していた。
「風味が感じられて美味だ」
「こちらも中々──」
 と、晟が口にするのはローゼスの焼きメレンゲ。しゅわりと快い口溶けを味わっている。
「こうして食べて頂けるのは嬉しいですね。では私も」
 ローゼスは言いつつラングドシャを口へ。ざくっと小気味よく砕ける歯ごたえと、バターの香りに舌鼓。
「美味ですね。こちらのボーロも、味が多彩で愉しめます」
「ありがとう」
 玲央は言いつつ、メレンゲやクッキーの数々を試食。どれも実直な出来で美味しかった。
 それから自分の作ったものの一部は容器に入れて。
「これは、持って帰ろうかな」
 お土産も確保して、満足の面持ちで帰りの準備を始めていった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年4月5日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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