終焉の福音

作者:崎田航輝

 粉塵、破砕音、劈く悲鳴。
 僅か数分前まで平穏だった街に、絶望の景色が広がっていた。
 建物が倒れ、人々の命が散ってゆく。地鳴りのような轟音と共に、刻一刻と噎び声が重なってゆく。
 その中心に居るのは、仰ぐ程の巨影だった。
 それはまるで柔らかな羽のような金属塊を背にいだく、衣を帯びた人型。
『短き命よ……正しき道へ、召されるが良い』
 死にゆく人々は、薄らぐ意識の中でそれを天使と見紛ったろうか。
 神々しいまでの造形を持つそれは──まるで迷い子を導くように、死して糧と成ることを唯一の解だと示すかのように。
 弓弦を引き絞り、放つ光の雨で無数の命を焼き払っていった。
 そのまま街を死と悲嘆の渦に沈めていくと──その天使の如き人型は、現れた魔空回廊へと消え去ってゆく。
 後に残るのは、風に流れる血煙と人々の咽ぶ声だけだった。

「本日は、ダモクレスの出現が予知されました」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達に説明を始めていた。
「大戦末期に封印されたもので、仲間のダモクレスによって復活させられるようです。魔空回廊を通じて、その仲間達に回収される予定なのでしょう」
「放っておけば街は破壊されて……ダモクレス勢力の戦力増強にも繋がってしまう、か」
 頷きながらそう声を継いだのは、元永・倭(仮面を纏う剣士・e66861)。
 その言葉にイマジネイターもええ、と応えている。
「ただ、こうして倭さんのおかげで察知できたからこそ──その凶行を防ぐことが可能です」
「なら、しっかりと戦って、勝たないとね」
 倭が言えば、イマジネイターは頷いて説明を続けた。
「出現場所は市街地の中心です」
 敵は出現から7分後に魔空回廊によって撤退する。こうなると追うのは困難になるため、撃破はその時間までに行う必要があるのだという。
「今回は人々の避難は事前に行われます。建物も後で直せますから、皆さんは撃破に集中して頂ければと思います」
 街は建物が密集している環境だ。ビルなどの高所を積極的に利用して戦うと良いかも知れません、と言った。
 尚、敵は戦闘中に一度だけフルパワーの攻撃を行ってくるという。
「敵自身も反動で傷を負うようですが、その分威力は高いでしょう。おそらくは広範囲に及ぶ攻撃と思われます」
 警戒を欠かさないようにしてくださいね、と言った。
 倭は頷く。
「勝負となれば、全力で勝利を目指すのみだよ」
「皆さんならばきっと、撃破も出来るはずですから。健闘をお祈りしていますね」
 イマジネイターはそう言葉を贈った。


参加者
キソラ・ライゼ(空の破片・e02771)
アリシスフェイル・ヴェルフェイユ(彩壇メテオール・e03755)
小柳・玲央(剣扇・e26293)
月岡・ユア(皓月・e33389)
八点鐘・あこ(にゃージックファイター・e36004)
尾方・広喜(量産型イロハ式ヲ型・e36130)
元永・倭(仮面を纏う剣士・e66861)
山科・ことほ(幸を祈りし寿ぎの・e85678)

■リプレイ

●影
 静謐を大地の鳴動が塗り潰し、耳朶にまで空気の震えを伝える。
 摩天楼が揺れ、蠢く気配が肌を刺激する。一瞬前まで静けさに包まれていた街は、高まる轟音に包まれていた。
「そろそろ、来るみたいだね」
 ビルの上から見下ろしながら、元永・倭(仮面を纏う剣士・e66861)は呟く。
 危惧する事件が起こったことに、今も驚きは残っていた。けれどそれ故に、自分が責任を持って阻止するべきと思っていたから──声に気合を込めて。
「皆、準備はいい?」
 瞳を巡らせ、待機する仲間と目線を交わし合って。
 皆が頷きを返す、その直後。
 響いていた低い音が爆発するように、灰色の景色が割れて巨影が姿を顕した。
 鉄翼で羽ばたくように立ち上がり、街を睥睨する人型──ダモクレス。視界に自己以外の存在がいないかと、既に静かな瞳で見回し始めている、が。
「悪いケド、譲らないよ」
 巨体が向く反対側、ビルに隠れた建物の上から跳ぶ姿が一人。
 さらりと靡く髪は瑞雲、真っ直ぐ見据える瞳は蒼空。爽風が舞い降りるように素早く肉迫するキソラ・ライゼ(空の破片・e02771)。
 無辜の人々に危害が及ぶ不安もなければ、心には思い切り戦えるというやる気が満ちる。
 故に握る鉄梃で一切の手加減無く、重く鋭く強烈なまでの初撃を叩き込んでいた。
「さ、皆も」
「ええ」
 と、声を返すのはアリシスフェイル・ヴェルフェイユ(彩壇メテオール・e03755)。
 巨影がキソラへ向いた機に、背を取る位置から跳躍。銀灰の髪が風に暴れるのも気に留めず、自由落下の速度で零距離に入る。
 そのまま彗星が光を刷くような、煌きを伴った蹴撃。直下に打ち込まれた打力に、巨体は僅かに体勢を崩していた。
 揺れ動く影に、山科・ことほ(幸を祈りし寿ぎの・e85678)はふうん、と感心にも似た心で仰いでいる。
「大型ロボでこういうの、アニメでも結構あるよね」
 声を零しつつ、短く観察する。
 その巨体は衣を纏った彫像のようだった。不気味な程の神々しさはまるで──天使。
「ただまぁ、もうちょっとおっきい方が迫力あるかなー? って、やっぱだめだめ!」
 敵の視線が此方へ向いたと気づくと、ことほは慌てて首を振り。霊力を烈しい火力へ転化し、眩い光線にして撃ち当てていた。
 金属の破片を僅かに散らせながら、それでもダモクレスは倒れない。
『……儚き命達。抗おうとも、死の未来は定まっている』
 翼で均衡を保ち、声と共に弓を構える様相は見た目通りの存在のよう──だが。
「へぇ、君がそれを齎す、死の使いってこと?」
 だとしたら──僕とお揃いだね、と。
 遥かな天から降りるように、羽ばたく黒翼が巨体に影を落とした。
 ダモクレスが仰ぐそこにいるのは、逆光を浴びながら細腕を真っ直ぐ突き出す月岡・ユア(皓月・e33389)。
「ああ……でも、いけないよ? 葬った命を散らかすだなんて……行儀が悪い天使」
 貌に浮かべるのは、愉しそうな笑み。手元に渦巻かせるのは夜色の揺らぎ。
 ──死への導き方……手本を見せようか?
 本物の天使の翼をはためかせ、死を香らす冷気を収束すると──ユアは月光の魔弾を発射。金属の躰を貫き零下の呪いに蝕んだ。
 傾いだ巨影は、それでも弓弦を引き絞り抗う姿勢を取る。
『……迷い子を導く事こそ、使いの役目』
「だったら尚更、遠慮するぜ」
 と、その只中に快闊な声音が響いた。
 腕に巻いた鎖をじゃらりと引き伸ばし、拳に強く握り込む尾方・広喜(量産型イロハ式ヲ型・e36130)。
「俺は、もう迷子じゃねえ」
 ──だから、導いてもらう必要なんざねえ。
 衒いなく、淀みなく。笑顔で言ってみせながら鎖を踊らせ、青き輝きで円陣を描いて皆を守護していた。
「頼むぜ」
「うん。任せて」
 と、返して駆け抜けるのは小柳・玲央(剣扇・e26293)。
 首から紐で下げた時計は、戦闘開始と同時にタイマーがセットされている。
 首横の端子に外部デバイスとして繋ぐことで、確認には視認も不要。常に数字をモニタした状態で──無駄なく巨影の足元へ迫っていた。
 そのまま獄炎と共に外装を焼き払い、忍ばせたコードを繋げる。『炎照・開扉符号』──敵の内部からラグなしで情報を奪い取った。
「やっぱり、内部に工場は持ってるみたいだね」
 素早く得たものを精査して、小さく頷く。
「グラビティ・チェインがないから動いてはないみたいだけど……稼働させたらロボ型もアンドロイド型もどんどん出てきそうだ」
 少なくとも天使という風情ではないね、と。言ってみせれば、巨影は反抗するように弓から光を降らせてきた。
 が、その雨を掻い潜るように八点鐘・あこ(にゃージックファイター・e36004)がぱたぱたと建物上を駆けている。
「ベル! お願いするのです!」
 あこが声を向けると、傍らの翼猫はもっふりと飛翔。大きく羽ばたいて雨を払いつつ前衛を癒やしていた。
 同時に玲央がリズムを奏でるように剣を振るい、星の加護を降ろせば治癒も進み──あこ自身はそれを見届けながらビルの縁までたどり着いていた。
「行くのです!」
 それから猫の如く、低い姿勢でお尻をふるふるさせてから一気に大ジャンプ。
 飛び石の如く次のビルを越え──敵の頭上へ迫り一撃。鍵を突き下ろして苛烈な衝撃を打ち込んでいた。
 ダモクレスは翼を動かし間合いを取ろうと試みる。
 だがそれを俯瞰する位置に立つ倭が、逃すはずも無かった。
「最初から奥の手を使わせてもらうね」
 微かに膝を落とし、裂帛の居合を繰り出す。
 神速の抜刀によって放たれたその衝撃波は『切り札の剣舞』──霊剣に宿った焔が大きな花を咲かせて巨体を包み込んだ。
「今だよ」
「うん!」
 と、応えたことほはライドキャリバーの藍を疾走させて敵の足元を払う。
 その衝撃が僅かでも敵の隙を誘えば、広喜はその一瞬に跳躍し敵の腹部へ接近。
「全力で、行かせてもらうぜ」
 打ち鳴らした拳を、獄炎と共に廻転。疾風を巻き込みながら突き出し、苛烈な打突。爆発的なインパクトを与えて巨影を後退させてゆく。

●命
 地が揺れて、低い音が轟く。
 三分を過ぎて暫し、アスファルトを砕きながら下がったダモクレスは、それでも斃れず体勢を直していた。
 番犬達を見下ろす瞳は、未だ小さな存在を憐れむかのように。
『……短き生命が抗おうとも、未来は、正しき道は変わらない』
「ふうン、あくまで神の使いを気取るつもりで? 別に、いいケド──」
 と、返すキソラは巨体の威容に怯みも見せない。
 寧ろこの戦いを、短い時間に縛られた戦況すらも歓迎してみせるように──澄んだ瞳に戦意の焔を垣間見せて。
「一方的に正邪を決めつけられンのは、御免だネ」
「そうね。正しき道だなんて勝手に決められたくもないし……挙句、命を奪うなんて冗談ではないわ」
 アリシスフェイルも髪を揺らして首を振っていた。
 それに、と。
 力強い金の双眸で見据えて。
「カミサマとかそういうの、私嫌いなのよね。自分勝手に命を奪うなら、特に」
 ──だからそんな災厄、此処で止めるわ。
 刹那、瓦礫を駆け上がると巨影へ肉迫する。
 街の破壊も本来なら看過は出来ない。けれど今は倒すべき敵が居るから。
(「……ごめんなさい」)
 心で呟き一撃、正面から鋼を纏った拳を撃ち込んだ。
 建物を巻き込んで倒れたダモクレスは、自己を癒そうと機械仕掛けの祝福を起こす、が。
「おっと」
 キソラが一手速く指を突きつけていた。
 そこへ降り注ぐのは『禍濫ノ疵雨』。晴れ空から注ぐ美しい雫が、機械の躰を蝕み治癒を阻害する。
「あとは任せるのです!」
 と、天衣無縫の声音を響かせて、高速で奔るのがあこ。
 転がる瓦礫を右に左に避けながら、一息に距離を詰めると──巨体が立ち上がるよりも先に飛びついて。
「これで、がっしゃんなのです!」
 肉球を握り込み、パンチで一撃。魔力の震動を機械の体内に巻き起こし、敵が得た加護の力を粉々に粉砕していた。
 ダモクレスは地に手をつきながらも、すぐに起き上がり弓を握る、が。
「させないよ」
 その姿を仰ぐ倭が、掌に眩い光の塊を閃かせている。
「喰らいつけ、オーラの弾丸よ」
 瞬間、鋭利な鋭さを兼ねた輝きが飛来すると鋼鉄の躰を食い破っていった。
 苦悶にも似た声を零す巨影は、反撃にと鏃を掲げるが──。
「続けて攻撃を」
「うん。ユエ」
 応えたユアが、宙を翔けながら双子妹へ呼びかけた。
 傍らで頷くユエは、清らかな白翼で泳ぎながらそっと声音を紡ぎ。美しい旋律で機械の心を囚えて留める。
 そこで空中を蹴って上がったユアが、死の力で編んだ暗色の月を振り投げて──無限の重さで押し潰すように巨体の体を削り取っていた。
「今がチャンスね」
 と、ことほはその間隙にロッドを掲げて輝かせている。
 光に包まれたそれがファミリアの姿へ変遷していくと、解き放たれると同時に巨影へ無数の斬撃を加えて傷を抉っていった。
 確実に敵の体力は減り始めている。四分が経つのを時計で確認しつつ、ことほは戦況をつぶさに見取っていた、が。
「……?」
 そこでふと、巨影が反撃せず留まっているのに気づいた。
「ただの反撃の準備じゃなさそうだね」
 倭もそれをすぐに察知する。
 キソラもまた建物へ駆けつつ皆へ声を伝えていた。
「フルパワー攻撃ってヤツかな。警戒してくれヨ」
 皆がそれに頷き、遮蔽へと急ぐ。
 果たしてそれは推測通り。一瞬の差だったが、皆が隠れた瞬間に──ダモクレスが弓から光の奔流を放ち、そこへ唄声を重ねていた。
 建物を粉塵と化す、破滅の衝撃。
 だが確かに壁は壁としての役を果たし──皆は無事。被害の一端を被った盾役の傷へも、即座に癒やしの力が降り掛かっていた。
「歌で対抗しろってことかな……なんてね♪」
 それは呟きながらも、玲央が謡う唄声。
 緩やかにリズムを刻みながら、それでいて慈愛の響きに満ちていて。魂に溶け込む優しい声音が深い治癒を齎した。
 ことほも癒やしの拳圧を飛ばせば、皆は万全。逆に自ら傷を負った巨体へ──広喜が迫っている。
「一番危ないところは凌いだからな。後は、やるだけだ」
 無論、自分達なら越えられないわけはないと思っていたけれど。冷気を抱いた拳を放ち巨体を大きく滑らせる。
 ダモクレスはそれでも弓から光を生み出した、が。
「その光の代わりに──私からこれを贈るわ」
 軽々と跳んだアリシスフェイルが、その面前で左手を振りかぶっていた。
 その甲に浮かぶ竜の姿の光が、繰り出す刺突に神速を与える。『狂葬の翼』──貫く衝撃が巨影の腹部に風穴を開けた。

●道
 番犬達の時計が一斉に五分の経過を告げる。
 にゃんにゃにゃにゃーん、と派手な音を鳴らすアラームをあこも見下ろしていた。
「そろそろ総攻撃の時間なのです!」
 頷く皆は準備万端。他方、ふらつく巨影は雑音混じりに、まるで訴えるかのような声を零していた。
『短き命は、弱き命……、必ず迷い、惑う……導きが、必要となる──』
「そんなのは、こっちの勝手なのです!」
 あこはぴしりと爪で指差してみせる。
「短き命ならば、天に還るときぐらいは自由に選びたいものなのです! まったくもって余計なお世話なのです!」
「ああ。それに定命のヒトは、迷子なんかじゃねえ。俺だってな」
 広喜は偽物の天使を見上げる。
 以前、自分は確かに“迷子”になった。
 だが今は帰る場所がある。迎えに来てくれる大切な存在がいる。そう変わる存在がここにある。故にこそ、永劫の存在が如何な言葉を弄しても。
「道案内は間に合ってるぜ」
 武器飾りを握り締め、笑ってみせる。
「迷子なのは、てめえの方だ」
 だから帰さねえ、と。広喜は『冷シ詠』──獄炎を氷解の砲弾に変えて、巨体の内外を凍結させていた。
 あこも四足で壁を駆け上がり『がぶがぶ』。鋭い牙で首筋を噛み砕く。
 苦渋に揺れる巨影へ、倭は鎖を高速で奔らせていた。
「これで、身動きを取れない様にしてあげるよ」
 僅か一瞬で全身に絡みついたそれは、言葉に違わずダモクレスの動きを封じてみせる。
 アリシスフェイルはそこへ白銀の砲身を向け射撃。未来への道を描くよう、光の線で巨体を貫通させていた。
 ダモクレスは軋む躰で矢を放つ。だがあこが身を呈して受け止めると、すぐ後には玲央が青く耀く焔で盾を形成。焼き払うように傷を消失させていた。
 晴れる火の粉の間から、玲央は壊れゆく天使を仰ぐ。
「私達は、斃れはしない。君の正しいと唄う道は──これから君が歩む道だよ」
「そうよ、とにかく……勝つのはこっちだからね!」
 ことほは言いながら、解放したファミリアを巨影に再度けしかけていた。
 ダモクレスは振り払おうと藻掻くが、傷ついた体ではそれも叶わない。奔る小さな影に全身を裂かれていく。
 鋼の欠片を散らす巨体は、残る一分さえ凌げればと距離を取った、が。
「ああ、此処で終わる短き命よ──逃げるなんて赦さないよ? 君の命は、僕が奪い尽くしてあげるから!」
 ユアが咆哮の如く詠えば、月の幻が波紋の刃と成る。
 終焉を迎えた命の導きは、百巡りへ導く福音で示すもの。
 死を冒す天使はその翼を捨てて、深い地の底に堕ちて終えと。『月狂乱舞』の一撃が襲うと金属の体が千々に砕けていく。
「ンじゃ、終わりといこうか」
 濁った天使の瞳が最後に見たのは、青空にも似た影──キソラ。高く跳んで斧を掲げたキソラは、そのまま斬打を振るって巨体の命を両断した。

 土煙が晴れると、周囲には静寂が戻っていた。
 そこにあるのは崩れた建物と動かなくなった残骸。ユアはユエの頭を撫でて労うと──巨体の成れの果てを見下ろした。
 そして静かに鎮魂を祈る。
(「……次、生まれてくる時は……本当の天使だといいね」)
 正しき終焉を齎せる天使に、と。
 その内に亡骸は光に包まれるように消失。戦場の跡だけが残った。ことほはほっと息をついたように武器を収めている。
「終わったわね! 時間も残ったし、快勝ね?」
「ああ。ミンナ、無事か?」
 キソラも見回すと、あこは元気に手を上げている。
「もちろんなのです!」
「後は、街を直さなければね」
 と、アリシスフェイルは見回す。狭い範囲ではあるが一帯は多くの建物が倒壊していた。
 倭も眺めて頷く。
「派手に壊れたね。ヒールが大変そうだよ」
「だね。しっかりやろう」
 玲央が言って修復を始めれば、皆も頷き作業を開始。アリシスフェイルが怪力を活かし、瓦礫を撤去すると──倭や皆もヒールをかけていった。
 暫しの後には美しい街並みが戻り、人々を呼び戻せば賑わいも帰ってくる。
 平和に満ちた景色の中で、広喜は満面の笑顔を見せた。
「おっしゃ、帰ろうぜっ」
 皆が頷き歩み出すと、勿論広喜も歩を踏み出していく。その足取りは何にも迷うことなく、家路を真っ直ぐに辿っていた。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年3月22日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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