過日の星

作者:崎田航輝

 静謐の中に佇む、一軒の空き家があった。
 聞こえるのは庭にある枯れた植物や、痩せた花がそよぐ小さな音だけ。
 大きくない家の壁も、風化して既に長いのだろう。崩れる気配すらもなく、ただ眠りについているかのようだった。
 噂では、嘗て老夫婦が住んでいたがその二人共が亡くなってしまい、それから放置されているのだという。
 割れた窓からは家具も覗いているが、その全てが朽ちて埃を被るばかりだった。
 と──そんな静けさの中にふと、かさりかさりと影が這う。
 コギトエルゴスムに機械の脚の付いた小型のダモクレス。窓からその空き家の中に侵入すると、ひとつの壊れた機械に近づいていた。
 それは古いラジオ。
 少しだけ大きな筐体を持ったもので、嘗ては光沢のある美しい外観をしていたことだろう。今はそのボディすら割れていて、音も出ないようだったが──。
 小型ダモクレスがそこへよじ登り、中へ入り込むと一体化。僅かに鳴動する。
 そのまま小さな手足にも似た部位を生やしたラジオは──ジ、ジ、と。ノイズを走らせた後、ローファイの音声を零した。
『……今夜は、流星群が──美しく見られる模様です──』
 まるで過去の時間を生きたまま、現代に命を取り戻したかのように。
 いつか流れた音声を再現しながら、ラジオは外に出て星空の下を歩く。きらりきらりと周囲に輝かせる光に、死の力を込めながら。

「集まって頂きありがとうございます」
 夜のヘリポート。
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達に説明を始めていた。
「本日はダモクレスの出現が予知されました」
 曰くとある空き家にて、放置されていた古いラジオに小型ダモクレスが取りつき変化してしまうのだという。
「ダモクレス、ですか。危惧していたことが、現実になってしまったのですね」
 羽鳥・紺(まだ見ぬ世界にあこがれて・e19339)は仄かに静やかな声音で呟く。
 イマジネイターは頷きつつも声音に力を込めた。
「紺さんの情報提供があったからこそ、対処できることでもあります。悲劇が起きる前に、これを防ぎましょう」
「ええ、勿論です」
 紺が応えれば、イマジネイターは説明を続けた。
 ダモクレスとなったラジオは、家から抜け出し人のいる場所へ向かおうとするという。
「私達はそれを阻止するように、戦いに入ればいいのですね」
「はい。周囲には人影も有りませんから、撃破に集中できることでしょう」
 紺の言葉にイマジネイターはそう応えていた。
 紺は物思うように呟く。
「古いラジオだったのですね」
「ええ。何年前のものか……。過去に流れていた言葉や音楽、それを再現するかのように発してくるようです」
 何かの残留思念のようなものが残っているのか、それは判らないけれど。
「倒すべき敵には違いありません。ですから──是非、警戒を以てあたって頂ければと思います」
 イマジネイターは静かに言葉を結んだ。


参加者
シャーリィン・ウィスタリア(千夜のアルジャンナ・e02576)
キソラ・ライゼ(空の破片・e02771)
奏真・一十(無風徒行・e03433)
霧崎・天音(星の導きを・e18738)
羽鳥・紺(まだ見ぬ世界にあこがれて・e19339)
小柳・玲央(剣扇・e26293)
伊礼・慧子(花無き臺・e41144)
オルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)

■リプレイ

●夜闇
 静寂の帳が降りた空き家は、まるで夜の底だった。
 音もなく、人の気配もなく。風化すら終わっていて──時間の停滞した暗がりのようで。
「寂れていますね……」
 庭と建物を見回して、伊礼・慧子(花無き臺・e41144)は呟く。仮にヒールで直っても、住まないのであれば同じ景色となるだろう。
「空き家問題は敵の襲撃のあるなしに関わらず深刻、ですか。難しいですね」
「この空気自体は、オレは嫌いじゃないけどネ」
 と、キソラ・ライゼ(空の破片・e02771)は仄かに心踊る声音。廃墟好きとしては、旧い風が吹くような場所には興味を覚えないでは居られないから。
 けれど蒼穹の瞳は一点で止まる。
 そこに、唯一動く影を見つけたからだ。
 ジ、ジ、と。
 ざらついたノイズを鳴らしながら──ゆらりと家から歩み出てくる、一体のラジオ。
「想い出の、ってヤツなんかねぇ」
 今ではもう見られない、旧い型の機械。その姿にキソラは声を零す。
『……、……』
 雑音の合間に聞こえるのは音楽。キソラの言葉を証明するように、今ではない、いつか誰かが生きていた過去の旋律だ。
「ツクモガミって……こんなかんじなのかな……」
 霧崎・天音(星の導きを・e18738)は不思議とじっと見つめてしまう。
 自身が心を得た存在だからだろうか。そして前よりも、感情が豊かになってきた自覚もあるからだろうか。それが単なる敵とだけは捉えられなくて。
(「持ち主が失われて……それにも想いが宿る……のかな」)
 そのラジオの内奥は判らない。
 けれどそれが無なら、きっと過去を思うように音を紡ぎはしない気がしたから。
 それでもそれは確かに破壊すべき敵。
 故に羽鳥・紺(まだ見ぬ世界にあこがれて・e19339)は迷わず一歩踏み出して、その機械に言葉をかけた。
「その音楽、私たちによく聞かせてくれませんか?」
 するとラジオは、此方に注意を向けて歩んでくる。音を聴かせる為に──その音で全てを過去に引きずり込もうとするかのように。
 けれど奏真・一十(無風徒行・e03433)は機を譲らずにすらりと手を伸ばしていた。
「ささやかな娯楽だったのであろうが。もう終わってしまったものだ」
 ならば仕方が無い、討つだけだ、と。
 瞬間、宵の中に虹を呼び込むように眩い光を燦めかせて。
「今宵の空模様はどうだろうか」
 ──チューニングを合わせてくれよ。
 声と共に今の穹へ心を向けさせるように。美しき七彩を宙に架けて鮮やかな宣戦とした。
 同時、キソラが合わせて跳躍。雲間から舞い降りる風のように、鮮烈な蹴りを叩き込む。
 その間に、剣舞を踊るのが小柳・玲央(剣扇・e26293)。
 曰く敵は流星を使う。ならば星の煌めきで備えよう、と。
 優美なピルエットで廻り、清らかなジュッテで跳んで。剣を扇に見立ててリズムに乗れば──星の輝きが満ちて後方の仲間へ護りを齎した。
「前衛の護りは、頼むよ」
「ええ」
 応える慧子も星剣を振るい、星灯りで防護を広げていく。
 ただ、ラジオはそれでも過去の空で全てを塗り込めるように、流星群を呼んでいた。
 眩しき光の雨。その美しさに、オルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)は思わず仰ぎ見てしまう。
「わぁ……! すごい、星が落ちて来たみたいですね!」
 現実でも容易に見られぬ光景に、素っ気なさの覆いが取れたように声音を華やがす。ただ、それでもすぐにはっと首を振り、剣を手に取っていた。
「今は戦いに集中……集中……」
 呟きながら、降り注ぐ星を弾き返していく。
 それでも輝く雨は容易に防げるものではなかったけれど──。
「面白い、技をお使いになるのね」
 シャーリィン・ウィスタリア(千夜のアルジャンナ・e02576)は怯むでもなく静かに、月の瞳に星を映していた。
「ややセンチメンタルな気分になる……というのでしょうか」
 云いながらも、花彩抱く宵色の髪をふわりと揺らがせて。剣先を振るうと一層深い夜空を描き出して、偽りの流星群を祓っていた。
「ねえ、もっともっと……教えて下さいまし。貴方が貴方で在った頃のこと」
 皆の傷を癒やすと、シャーリィンはいざなうように声を紡ぐ。
 どうせ壊してしまうのなら、せめて思い出を遺して、と。
「そうしたら、きっと……わたくし達の記憶に、微かにだって留まるわ」
『──』
 ラジオはジ、ジ、と。
 まるで応えるように周波数を変えて、過去を一層克明に描き出そうとした。
 けれどそれが仲間を傷つけるより疾く、オルティアはかつりと蹄で駆け出すと。宙でひらりと翻って強烈な背蹄の一撃を与える。
「次の、攻撃を」
「ん……判った」
 頷く天音も傍らに残霊を喚び、氷気を凝集させていた。
 天音自身はそこへ獄炎を渦巻かせ、異なる二つの力を束ねて球状の波動を形作る。
「……砕け!」
 刹那、放たれた『氷炎・天地太極波』は超高温と超低温の連鎖で機械の躰に罅を刻み込んでいた。
 ラジオは音量を増幅させようと機巧を鳴動させる。が、その動きが突如静止した。
 それは揺らめく暗色の陽炎が躰を抑えているから。
「過去を、誰かが生きた時代を失わせたくないのですね」
 それは紺が伝える『まつろう怪談』──敵の内奥より生まれ出た、敵自身の恐怖の具現。
 生まれた一瞬の隙に、紺はそっと隣へ視線を注いで。
「玲央さん」
「了解、任せて」
 応えた玲央が地を蹴って空へ躍り上がる。
 瞬間、風切り音でメロディを描くように。縦に廻って繰り出す蹴り落としが、機械の躰に深い傷を刻み込んでいく。

●旋律
 倒れ込みながらも、ラジオは断続的に音と声を響かせる。
 慧子は少しだけ耳を傾けていた。
「アナログラジオは素敵なもの、なのですけれど」
 原始的な仕組みなのに、時々入るノイズは一周してお洒落に思えて。
 まるで宇宙からの電波も拾えてしまいそうに感じる──そんな思いだって抱くから。
「ええ」
 呟く紺もその声に、音に、優しさを感じないでは居られない。
 事実、聞こえる言葉や音楽に、どれだけの人が泣いて笑って感動を覚えたことだろうか。
 けれどそれはもう優しいだけの音ではないから。
「これからあなたが届ける言葉や音楽に、過日の感動はあり得ません。生まれるのはただ一つ、虚しい悲しみだけです」
「……そうだね」
 玲央は微かにだけ瞳を伏せて頷く、
 懐古の歌に、音に。積み重ねた記憶が羨ましくなったりもするけれど。
「──斃すよ」
「ああ、流星は好きだし、出来りゃゆっくり眺めたいンだけどネ」
 ゆるりと歩むキソラは、ラジオが今も生み出す光を見据えながらも、決して囚われない。
「痛ぇンじゃ楽しめねぇデショ。その予報、覆させてもらうヨ」
 刹那、手をのばすとその先の空間が微かに歪む。
 闇に溶け、不可視の衝撃を齎すそれは『闇雲ノ重鎖』──自由を与えぬよう、強烈な圧でラジオを包み込んでいた。
 そこへ銃口を向ける紺に、既に迷いはない。真っ直ぐに躊躇わず、光の奔流で玲央へ眩い標を敷いていく。
 合わせて跳んだ玲央は、その輝きに符を置くように。一撃、二撃、そして三撃と蹴りを重ねて厚い護りを崩していった。
 ラジオは異音を含みながら、それでもいつかの唄を歌う。
 それは心すら壊してしまう音律。だが形を持って襲い掛かる衝撃を、シャーリィンの翼猫のネフェライラが身を以て受け止めていた。
 その背を、シャーリィンは一瞬だけ見つめる。
 自身が後ろでネフェライラが前に立つのは、珍しいこと。
 故にだろう、身を傷だらけにして戦う自分を、ネフェライラが案じてくれていた心が、今はよく分かる。
(「彼はいつも、こんな気持ちで……わたくしを支えてくれていたのね」)
 それが少しだけ後ろめたく。けれど自分の戦い方は変えられないから。
「せめて、今日はわたくしが貴方を労る番なのだわ」
 とん、と。
 一呼吸で終わる、静かで凄絶な舞踊。そのシャーリィンの動きが蒼き花嵐を生み皆を癒やしていった。
 同時に慧子もふわりと撫ぜるように地を踏み鳴らし、芳香を伴った花吹雪を踊らせて治療を進めていく。
「サキミ」
 そこへ一十が声をかければ、青の箱竜が飛翔。主には少々無愛想気味に背を向けたまま──治癒は淀みなく、水流の煌きを注いで盾役を癒やしきった。
 皆が万全となると、一十はふと敵の歌を心に反芻する。
 その時代を生きたことはないのに、その不明瞭な音質にどこか、なつかしい風情を感じるようで。
「……しかし、古い曲はわからないな。聴くべきときに聴きたかった。君は知っている?」
「……いんや。多分、かなり昔の歌なんだろうネ」
 首を振るキソラが感じるのも、遠い時間の流ればかり。
 故にこそ、ラジオは何度でも音を繰り返そうとした、が。一十はそれに抗するように、青黒い獄炎を纏った廻し蹴りを叩き込んでいた。
 破損が進むほど、編み物が解けていくように音が散逸していく。
 それはまるで機械自身の言葉が、心が砕けていくようで。
「……」
 天音は見つめながら、少しだけ目を閉じる。
 ただそれでも攻勢だけは止めず、真紅のブーツで高々と跳び上がると宙で躰を返し、痛烈な踵落としを加えていた。
 前傾に斃れるラジオは、音で自身を守るように、流す声の密度を増やす。けれどそれを切り裂くように、オルティアが光の剣を奔らせて接近していた。
「……止まらない、から」
 ともすれば、音にも光にも惹かれてしまいそうになる。
 だから一層、意識を闘争に集中させて。
 討つべき敵を討つように。オルティアは連続の剣閃で機械の躰の一端を斬り飛ばす。

●流星
 火花が零れて、破片が灼ける。
 座り込むラジオは既に半壊状態だった。
 それでも時折降らす星灯りは、どこまでも美しくて。
「やっぱり、きらきらちかちか瞬いて、流れて、綺麗……」
 だからこそ、戦いとは違う場でゆっくりと見せてほしかったと、オルティアは呟く。
 紺は小さく頷きながらも、その手に澄んだ魔力を湛えていた。
「ここで在りし日の思いを全部出し切ってもらったら、誰かに害を成す前に終わらせてあげましょう」
 その過去の光が美しいからこそ、誰かを傷つけるものにさせないために。正面から手を翳し、魔弾を撃ち放つ。
 攻撃の動きに澱みがないのは、何があっても玲央が護ってくれるという信頼があるから。
 玲央もまた受け取る思いに応えるように。ラジオが歌を響かせてくれば、自らが前面に出て盾と成りながら──『炎架・吸毒飛蝶』。獄炎から青の蝶を飛び立たせ、声も音色も吸い取っていた。
 その一瞬に、慧子は影を奔らせるが如き刃の連撃。縦横に斬線を描き機械の命を確実に削いでいく。
「今のうちに、次の攻撃を……!」
「──ええ」
 柔い夜風に声を溶かし、シャーリィンが齎すのは『夜籠りの蜜血』。忌血を流し込んで呪いを与え、甘く深く精神を囚えていた。
 ラジオは動きも音も、総てを緩めながらそれでも歌おうと藻掻くけれど。
「もう、命を奪おうとするより──アッチで持ち主にその音、聞かせてやんな」
 壊すのは忍びないケド、と。
 呟きながら、それでもキソラは蒼穹に吹き抜ける疾風の如く。素疾く鋭い蹴りを放って一撃、ラジオを低空へ突き飛ばす。
「カズ」
「ああ」
 と、応えた一十がひらりと跳んで、青焔を揺蕩わす蹴りを打てば、ラジオは地に叩きつけられて音を止めた。
 再び零れるのは、声も旋律も失ったノイズの塊だけ。
 オルティアはそれすら切り裂くよう、『蹂躙戦技:穿群蛮馬』──魔術の風で神速を得て、裂帛の斬撃を放つ。
「最後は、任せる」
「……うん」
 両断されゆくラジオへ、天音はパイルバンカーから二連の杭を発射。全てを砕く威力の衝撃を与え、その機械の命を穿ち貫いた。

 敵が散った後に残るのは夜の静寂だった。
 見回せばそこは、再び過去に沈んだ跡地。天音はせめて居なくなった人たちの思い出を大事にできればと、家にもヒールをかける。
「これで少しでも、元に近い形になれば……」
「……ん、私も、手伝う」
 オルティアは散らばっている瓦礫を片付け、周囲を綺麗にした。
 作業が済むと──建物は幾分か美しさを取り戻し、庭も少しだけ生き返ったようでもある。
「これを管理できれば良いのですが……」
 呟く慧子は、家の中に入って見回した。
 ここに残っている思い出は一つだけじゃない。
 それを放っておかないためにも、縁のある者、或いは所有権のある者を調べられないかと思ってのことだ。
 すると、家財からここに住んでいた夫婦の名が判り──親類の者も幾人か判明する。
「連絡、してみましょう」
 尤もそれも古い情報で、辿っても繋がらないか、既に故人になっているかが殆どだった。それでも最後には血縁者を見つけることが出来て──。
「今度、見に来てくれるそうです」
 慧子はそう言って、少しだけほっとした表情を見せていた。
 天音は家を見回す。
 今ここにある物は、何も物言わないけれど。
「モノに意思があったとしたら……ここに住んでいた人たちを好きで居たりしたのかな……」
 あのラジオもそうだったのだろうか、と。音のなくなった空間で少し、考えていた。

 今日は流れる星はないのかな、と。
 外に出て空を見上げたオルティアは、きらりと光るものを見つける。
「あ、星──」
「……本当だ」
 天音も仰いで、声を零した。
 夜天に光の軌跡を描くそれは流星。
 ゆっくりと歩み出しながら、キソラも瞳にその煌めきを映している。
「星でも眺めながら帰れりゃイイって思ってたケド。流れ星が見られるなんてネ」
「ああ」
 空を横切る幾つもの光。
 今宵にその輝きが在るのは偶然か否か。一十もそれを見つめながら歩み始めていた。
 眩い星を、玲央も紺と隣り合って見上げている。
 その美しさに、宇宙の事を思い、地球の事を思い。そして玲央はふと自身の事に考えがいった。
(「もしはじめからこの星に生まれていたら──」)
 想像は膨らむ。
 けれど──思うだけで望みはしない。
 自分は今のあるがまま、自然でいることを好ましく思っている。それに今の自分に与えられたものや、今手にしている繋がり、その全てが愛しいから。
「ねえ紺、私、自分が恵まれてるって思うんだよね」
 改まってありがとうを言うのは少し照れくさいけれど。
「君の誇れる友で在りたいし、そう思える君の存在が嬉しいよ」
「玲央さん……」
 紺はほんの少しだけ驚いたようにして。それから柔く微笑んで、ありがとうございます、と呟いて──共に星を見上げていた。
 皆が帰路へつく中、シャーリィンは暫し星明かりの下でネフェライラと共に過ごす。
「……大丈夫?」
 傷は治したけれど、そこにそっと触れて、未だ声音には心配の色を残すように。
 ネフェライラが小さく鳴き声を返すと、シャーリィンは穏やかに瞳を細めながら──それでも優しくネフェライラを腕に抱くようにして、夜の中へ歩んでいった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年2月7日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 0
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