星空を手に

作者:崎田航輝

 星が出始める、夜の帳の下りる時刻。
 暗む明媚な空の下、広場で賑わいと共に催される市があった。
 それは星と宇宙をテーマにしたグッズの即売会。個人制作やアーティストの作品を中心に、星の彩を抱く美しい品々が並んでいる。
 藍色に星の粒の入ったガラスペン、或いは宇宙や月色のインク。暗い色に淡い光の粒が入ったガラスのコップや器も美しかった。
 バッグや小物も可愛らしい星模様がデザインされ、注目を集める。
 星や月型の燦めくイヤリングや、星空を閉じ込めたようなブローチにペンダント。真ん丸や星型の天体クッションも劣らず人気。
 スノードームや手のひらサイズのプラネタリウムなど、世界観を楽しめるものも多く──澄んだ夜気の中、人々は星と宇宙の美しさに魅了されていた。
 と、そんな中、星灯りに交じってはらりと空から落ちてくるものがある。
 それは謎の胞子。広場の一角に咲く水仙に取り憑いていた。
 小さな花弁が遠目に星型にも見える、その花は──胞子と一体化することで蠢き出して。まるで星の市場に惹かれでもしたかのように、人々へ這い寄って行く。
 人々が気づき悲鳴を上げた頃にはもう遅く。異形となった水仙は命を喰らおうと、その只中へ襲いかかっていった。

「夜の広場にて、攻性植物が現れるようです」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達へ説明を始めていた。
 月原・煌介(白砂月閃・e09504)は星を仰ぎながら、柔らかに呟く。
「危惧が当たった、ということだね……」
「ええ。けれどそれ故に被害を出す前に解決することが可能ですから」
 是非皆さんの力を貸してください、とイマジネイターは言った。
 現場は、大阪市内。
「爆殖核爆砕戦より続く流れが、未だ絶えていないということでしょう」
 攻性植物は、広場の端から出現する。
 そこから人の多いところを目指すだろうが……今回は警察や消防が避難活動を行ってくれる。こちらが現場に到着する頃には、丁度人々は逃げ終わっていることだろう。
「俺達は、戦いに集中すればいいんだね……」
「はい。迅速に敵を撃破することで、催しもすぐに再開できることでしょう」
 煌介に応えて、イマジネイターは続ける。
「ですから、無事に勝利できた暁には、皆さんも広場を見ていってはいかがでしょうか」
 広場で催されているのは、星や宇宙をモチーフにしたグッズの即売会だ。
 アクセサリーや小物など、一点物の品が沢山見られることで人気だという。
 星に月、宇宙。そんな美しい品々を手にとって、気に入れば買ってみたりしてはどうでしょうと言った。
「とても、楽しそうですよ」
「その為にも……護らないとね」
 煌介が言えばイマジネイターも頷き、健闘をお祈りしています、と言葉を結んだ。


参加者
七星・さくら(しあわせのいろ・e04235)
レンカ・ブライトナー(黒き森のウェネーフィカ・e09465)
月原・煌介(白砂月閃・e09504)
楪・熾月(想柩・e17223)
キリクライシャ・セサンゴート(林檎割人形・e20513)
マヒナ・マオリ(カミサマガタリ・e26402)
笹月・氷花(夜明けの樹氷・e43390)
鵤・道弘(チョークブレイカー・e45254)

■リプレイ

●星の下で
 天に無限の光が灯る夜。
 広場に並ぶ品々も、まるで星空を写し取ったかのように美しくて。
 艶めく白の髪をふわりと揺らし、レンカ・ブライトナー(黒き森のウェネーフィカ・e09465)は惹かれたように見回していた。
「Stern、星に魅入られたクリエイター達のマーケットか」
「宇宙はロマンに溢れているから、こういうのは楽しいよね」
 仄かな期待を胸に笹月・氷花(夜明けの樹氷・e43390)も頷く。今は静寂だけれど、その分後の賑わいが楽しみだった。
 そうだな、と。応える鵤・道弘(チョークブレイカー・e45254)は空も仰ぐ。
「天体ってのはいいよな」
 未知への探求の象徴。
 自然科学の中でも超広大な領域に挑戦する分野。
 日々学問に触れる身なれば、そこに好奇心を刺激されないではいられない、故にこそ。
「花も被害者だろうけど、邪魔するってんなら容赦はしねぇぜ」
 云って道弘が目線を下ろす先。
 そこに這い出てくる、異質な花々の姿があった。
 見目の美しさだけを残し、狂花と化した水仙達。
 七星・さくら(しあわせのいろ・e04235)はそっと桜の彩の瞳を伏せる。
 星空も水仙も、どちらも好きだけれど。その花は、誰かを傷付ける為に咲いた訳じゃないから。
「……絶対に、止めなくちゃ」
 真っ直ぐな声音を濁らぬ戦意にして。さくらははらりと花吹雪を撒くよう、小型機を翔ばして仲間を守る盾とした。
 同時に番犬達は敵を囲い、広場に被害が及ばぬよう布陣する。
 自分達こそが星を護る盾となるように。
 月原・煌介(白砂月閃・e09504)は天に燿く星月を手繰るよう、聖樹の杖に光を招来して。その輝きを編んで仲間を守護する壁を形成していた。
「これで、前衛の皆は大丈夫……」
「後ろは任せて」
 澄んだ蒼の瞳を向けて応えるのは、楪・熾月(想柩・e17223)。
 仕草は怜悧に、冷静に。杖に抱いた雪融けの藍玉から白雷を煌めかせ、盾を織り成すように防備を整えていく。
 シャーマンズゴーストのロティが清らかな祈りで煌介に祝福を与えれば、キリクライシャ・セサンゴート(林檎割人形・e20513)が宵に暖かな陽光を齎すよう、眩い光の珠を生み出している。
 それは浄化の力を宿す魔力の結実、『陽光の珠』。優しい陽の香りを宿すよう、さくらへ魔に抗する耐性を獲得させていた。
「……皆の守りは、整ったわ」
「ありがとう」
 応えるマヒナ・マオリ(カミサマガタリ・e26402)は攻勢へ。クリスタルピースのパズルへ魔力を通わせ、雷光を湛える。
「アロアロも、行くよ?」
 と、目を向けるシャーマンズゴースト、アロアロはいつもよりもフルフルと震えていた。
 調査隊での経験が未だ心に在る為だろう。
 それでもマヒナが優しく触れてあげれば、躊躇いつつも横に並び。マヒナの放つ鮮烈な稲妻に合わせて焔を敵へ重ねていく。
 よろめく狂花へ道弘は肉迫。力学的に力が通る場所を感覚で見抜き、白光する杭に冷気を纏わせて穿った。
「よし、このまま行ってくれ」
「Naturlich!」
 レンカは軽やかに跳ぶと、魔力の軌跡を描いて蹴撃。一体の花弁を切り裂く。
 嘶く敵へ氷花も疾駆。躊躇わず、否、寧ろ愉しむように漆黒のナイフを抜き放っていた。
「貴方を切り刻んであげるよ!」
 零れる笑いと共に踊るのは『血祭りの輪舞』。
 縦に横に、そして円弧を描いて奔る刃は真冬の夜の如き冷気を伴って。滑るように鮮やかに花も茎も捌いていく。
 他の二体は蔓を放つ、けれど盾役が防げば熾月が即座に治癒の光壁を展開した。
 厚い護りがあれば後顧の憂いもなく、キリクライシャのテレビウム、バーミリオンが癒やしの光を照らすことで体力も保たれた。
 煌介が流星雨にも似た氷風で花を後退させれば──。
「……さくら」
「ええ。……降り注げ!」
 頷くさくらが手を翳し『桜雷雨』。花弁の後に雨と注ぐ雷矢で敵陣を縫い止めた。
「マヒナちゃん」
「うん」
 マヒナは暁を待つ空色の瞳で、既に敵を真っ直ぐ見据えている。そのまま細指を伸ばすと──風巻く魔弾が飛来し命中。一体を貫き散らせていった。

●宵戦
 星は変わらず眩くて、煌介は銀月の瞳を仄かに細めた。
 冬は空気が冷たい分星が綺麗だという、それがその通りだと思えて。
「花にとっても……そうなのかも知れないね」
「ええ。……光は導き、けれど時に惑わせるもの」
 キリクライシャは呟く。
 彼らは光に惹かれている。
 けれど同時に、光を握り潰してしまうのだろう、と。
 故に熾月は静かに花へ語る。
「星夜に還そう。静かに咲けなくなった君たちを」
 堕した花は、その言葉に何を感じたか。自身らが出来る唯一のこと──暴力を以てその意志に応えるしかなかった。
 だが煌介がそれより疾く真白な雷を閃かす。『聖月雷閃』──無数の月明かりが交錯するかのような燦めきで二体の花を縫い止める。
 そこへ氷花が跳躍していた。
「その身を、氷漬けにしてあげるね!」
 瞬間、魔氷の杭を真下へ打ち込んで狂花の体を地に繋ぐ。その頃には道弘が色とりどりのチョークをその手に握っていた。
「それじゃ、仕留めるか」
「オレも行くぜ」
 同時に陽炎の如き魔力を揺蕩わせるのはレンカだ。
 一瞬後には、自身の姿をぶれさせて錯覚を与える『幻影の衣纏いし狡猾なる獣』と成る。花が此方を同胞と履き違え、無防備に接近すると──レンカは鎌を握り締めていた。
「Narzisse、きっとお前の美しさに胞子が惹かれちまったのさ。運が無かったな」
 罪はねーが仕方ねー、と。
「その花、散らさせてもらうぜ」
 刹那、横一閃の斬撃で花弁を飛ばす。
 道弘がそこへ『オプティカルチョーク』。握ったその全てを投擲していた。
「見破れ得るもんなら、見破ってみな」
 この星の下で全てを見切るのは大変だぜ、と。
 放たれたチョークは周囲の色に溶け込むよう、複雑な軌道を以て宙を翔ぶ。朦朧とする花はそれを避けられるはずもなく、全身を貫かれ四散した。
 一体となった狂花は光る粉を撒き抗う、が。
 熾月は慈雨を降らせてその全てを洗い流し始めていた。
 足りぬなら足りる迄。
 もう、誰も斃れさせないと決めたから。
「ロティも、お願いね」
 声を受けたロティが祈りを重ねると、マヒナも優しく輝く光輪──『祝福のレイ』を握っていた。
「これを、あげる」
 きっと元気を取り戻すから、と。
 盾役の首にかけて心身を癒やすと──アロアロも願いを捧げて治療。前衛が万全となれば、マヒナがすぐさま反撃に移り、踊るように炎の蹴撃を敵へ与えていく。
 狂花は弱りながらも、未だ獰猛に咆哮していた。
 絶望を生む声。けれどそれ故に煌介は屈さない。
「何時も、何処にでも……楽しみを見出して。俺達は、希望を繋ぐ……星座のように」
 刹那、焔の嵐を放って花を取り巻く。
 燃ゆる敵を狙い、さくらは花風を手元に渦巻かせていた。
 そのまま春の香りを吹き抜けさせると、一直線に飛翔した魔力が花弁を刻んでゆく。
「あと少しよ」
「……ええ」
 キリクライシャは柔らかな翼で翻り、風のような蹴撃。バーミリオンにも強烈なフラッシュを生ませて花を惑わせると──。
 その一瞬に氷花が走り込んでいた。
「それじゃ、後は任せてね♪」
 踊る声音でこつりとブーツを鳴らし、ナイフを逆手に握る。
 巻き髪がふわりと揺れる程足取りが軽いのは、最期まで輪舞を舞うことが出来るからか。
 狂花が決死の抵抗をするのにも構わずに。
「これで終わりだよー!」
 飛び込む氷花は刃を鎌鼬の如く奔らせて。花弁を両断し、茎を寸断して。跡形も残らぬ程にその命を千々に消滅させていった。

●星の市
 星空の下で、星が燦めく。
 戦いの痕を直した後、即売会はすぐに再開されていた。
 既に広場は人々で賑わい始め、番犬達もそれぞれに歩み出している。
 店々に並ぶ星色を眺め、氷花は愉しげだった。
「わぁ、綺麗なアクセサリーが一杯あるねー!」
 見つめるイヤリングはまるで星が零れたよう。
 角度を変えるときらきら輝いて。値段もお手頃だからと購入を決めれば、同じデザインの髪飾りもまた気になった。
「合わせると可愛いかも」
 早速それも手にとって、さらに煌めきを含んだ夜色のシュシュにも目を惹かれた。合わせてコーディネートするのも悪くなさそうだと思えば。
「これも買っちゃおう」
 ブローチなども手にして、その美しき品々に笑顔を浮かべていた。
「良いものがたくさんあって、満足だよ」
「ああ、本当に色んなものがあるな」
 と、歩みつつ応えるのは道弘だ。
 学術的なアプローチで天体を扱った品もあって──それが気になっていた。
「学習の動機を生むような教材があればいいが……」
 と、目を留めたのは星座早見盤。
 実利的なだけでなく、小さな鉱石で星を顕した細工が精緻で鮮やかだ。
「こりゃあ、いいな」
 ひと目で気に入ると、更に惑星の模型や地球儀、天球儀も気になって。その幾つかを買うことにして……ふとアクセサリに目をやった。
「こういうのを、妻にもっと贈っとけばよかったのかねぇ」
 呟いて、過日を少しだけ思い出しながら。
 それでも手土産に満足すると、帰路の為に翼で飛翔する。
 見下ろす会場は、冬の星座のようになっていて──道弘は小さく笑みを零していた。

 レンカはふらりと店を巡り、愉快げに笑う。
「こーゆーマーケットは楽しーな」
 右には星を灯したようなランプ。
 左には星を吊るしたようなストラップ。
 全ては無二で、一つ一つに思いが込もっているのが判るから。
「作り手の数だけグッズがあり、そこに世界がある──」
 まるで物語を読んでいるよーだぜ、と。
 見回せばどれも目移りしてしまう程のクオリティで、立ち止まってはじっくりと眺めていた。
「……お、これは」
 と、その中で購入したのは夜色が燦めくガラスペン。そして小さな星を含んだインクと皮のカバーが趣深い日記帳だ。
 それを以てさらさらと文字を走らす事を想像して。
「星を散りばめた可憐な魔女の自叙伝、なんて。キヒヒ、メルヘンチックだろ!」
 瞳を細め、レンカは帰路へ。上機嫌に星の市場を後にしていった。

 星空を浮遊しているような眺めの中を、煌介はゆるりと一人歩いている。
 目につく星はどれも美しくて、だからこそ迷うけれど。恋人の顔を浮かべると、自然と選ぶものに目が行った。
「これに、しようかな……」
 決めた品を早速購入すると──そこでふと友人の姿を見つけて、歩む。それは同じく星空を探す、さくらだ。

 星色を抱く品々を、さくらはゆっくりと見て回っていた。
 一つ一つを丁寧に見つめて、手にとって確かめてみるのは──。
(「……もう少ししたら、バレンタインだから」)
 大切な人へ贈る、素敵な星空が欲しい。
 そんな純で素直な思いがあるから。
 大切な人への贈り物を探すのはいつも悩むけれど……どんなものが似合うだろうと考えたり、喜ぶ顔を想像したりすると心が温かくて。
 想いながら悩む時間すらも、大切で愛おしい。
 そして、ぴったりだと思える品を見つけると一層喜ばしい気分になって──そこで隣の店にマヒナの姿を見つけた。
 マヒナも何かを買っていこうと巡っている最中。さくらを見つけて眦を和らげた。
「サクラも、見て回ってるの?」
「ええ。あっ、煌介くんも」
 と、応えるさくらが視線を向けると、丁度煌介も歩んで来るところだ。
「やぁ……星空散歩、楽しんでいる?」
「うん。二人とも何買うか決まった?」
 マヒナが尋ねると、さくらは、ん、と頷いてお猪口と徳利のセットを示す。内側に夜空が描かれていて、お酒を注ぐと小さな宇宙が広がって見えるものだ。
「煌介くんの方は素敵な星空との出会いはあったかしら?」
「俺はこの星空……恋人と使おうか、と」
 応えて煌介が見せたのはペアの耐熱硝子タンブラー。星空の艶めきと煌めきを内包した色彩の品だった。
 その声と表情に、マヒナは思わず笑みを零す。
 煌介は幸せが筒抜けなことが少しだけ気恥ずかしく、それがまた幸せだ。自分ばかりでなく三人共に自分だけの星が居る、それを知っているから。
「マヒナは、決めた……?」
「どれもステキで何にしようか迷っちゃって……迷うのも楽しいんだけど、ね」
「沢山迷うのも……こういう場での醍醐味……だね」
「うん。あ……でもこれ」
 と、マヒナはふと目を留める。
 それは火を灯すと黄道十二星座が浮かび上がるキャンドルホルダー。
「キレイだな……」
 呟くと、アロアロもこくこくと頷いているから、それならこれにしようと決めて購入。
 そんなマヒナやさくらが、大切な人に今日の話をする姿を想い──煌介は微笑した。
「皆、良いものが手に入ったね……」
「ええ」
 さくらは頷く。
 二人の幸せそうな空気に釣られて笑みが溢れていた。それはきっと自分もそうだから。
 星愛でる友人と、その大切な人にも──。
「きっときっと、今日出会った星空は永遠の宝物になるわよね」
 手のひらの星、それは空の燦めきにも劣らない大切なものになるだろうと、そう思った。

「さぁ、星の彩を堪能しに行こうか」
 熾月は隣にロティ、肩にファミリアのぴよを乗せて歩み始めていた。
 星天を籠めたスノードームや、きらりと燿く小物達。
 それに目を惹かれるロティや、ぴっぴっと愉しげに鳴くぴよに笑みつつ、熾月もまた品々に魅惑されないではいられない。
「綺麗なものばかりだね」
 中でも、掌に乗るプラネタリウムをひとつ、三人で覗き──その可愛さと美しさに即買い。
 星型クッションと、光の粒が煌めくコップは家族分買うことにした。
 喜びを表すロティとぴよに、店員が微笑んでいると──熾月もまた嬉しくなって、二人をそっと撫でながら。
「家族なんだ」
「とても素敵で、和やかそうで。羨ましいです」
 そんな言葉と共に包んでもらった品を、熾月は大事に受け取って。この時間を贅沢に満喫しようと、また一巡りし始めていった。

 キリクライシャが惹かれるのは、三日月をモチーフにしたもの。
「……リオンも、見つけたら教えて頂戴」
 言葉にしっかりと頷くバーミリオンと共に、店々を歩み──きらりと光る月色を見つければ、手にとって。
「……綺麗ね」
 月型が揺れるピアスや、月の彩の石を嵌めたリングと、細かなものは買ったらバーミリオンに預けつつ次々に眺めていく。
 上品ながら美しい、揃いのブローチがあれば──。
「……じっとしていて」
 バーミリオンにも似合うか当ててみた。コックコートにつけても良さそうだと判断し、それも購入と相成る。
 精緻なアクセサリを見終わった後は……もふりと柔らかい、おおきめのクッションを見つけて即決で買った。
 それをぎゅっと抱えてみたら巻いたような形になって。
「……角みたいよね」
 呟きつつ、そのクッションを抱いたまま、夜空の下を帰路についていくのだった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年1月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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