風の斬心

作者:崎田航輝

 不意に風が強まって、凪が掻き消されてゆく。
 木立の葉揺れが不思議な程に響いて、さわさわとした翠の協奏が耳朶を打つから──黒澤・薊(動き出す心・e64049)は足を止めていた。
「……」
 宙に高く舞う葉がいつまでも地に落ちずに、まるで時間が止まったようで。
 一瞬前まで無風だった中に訪れたその違和感に、薊は蒼い瞳を巡らせて周囲を見る。
 真っ直ぐに伸びる林道。
 蒼空は澄んでいて、初冬の空気が静かに漂う平和な日、であるはずだった。けれど気づけば人通りが掻き消えて、不自然な気配に包まれている。
 何かが現れる、と思った。深く思考するよりも前に、本能的に刀を握っていたのはそのせいだろう。
 そうして見つめる先──道の彼方から一人の影が現れるのが垣間見えていた。
「──やあ。探していたよ。とても、永い時間を」
 一歩下がって、薊はその声の主を見据える。
 それは艷やかな栗毛の男だった。
 すらりと伸びた長身に、整った容貌。見るものが見れば、惹きつけられるところのある姿だったろう──それが、デウスエクスでなければ。
「……死神」
「久しぶりだね」
 薊の声に、その死神は応えた。
 薊はそれに相貌の色を変えず、声も返さない。その死神の姿を薊自身は知らなかったから。
 けれど死神は静かに、しかし底の深い感情を浮かべる。
「君の力も、そして命も。全て、僕のものにしてあげるよ」
 そうして刃を抜いて薊へ歩み寄った──そこに執着にも似た殺意を宿して。

「黒澤・薊さんがデウスエクスの襲撃に遭うことが判りました」
 静謐のヘリポート。
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達を見回して説明を始めていた。
「予知された出来事はまだ起こってはいません。ですが一刻の猶予もないのも事実です」
 曰く、薊は既に現場にいるという。
 その上こちらからの連絡は繋がらず、敵の出現を防ぐ事はできない。故に、一対一で戦闘が始まってしまうのは覆せないのだと言った。
「それでも、今から薊さんの元へ駆けつけて戦いに加勢することは可能です」
 時間の遅れは多少出てしまうだろう。それでも薊を救うことは十分可能だ。
「だから皆さんの力を貸してください」
 現場は並木の続く林道。
 平素は人通りもあるというが、敵にも人払いの力があるのだろう。周囲は完全な無人で、一般人の流入に関しては心配する必要はないと言った。
「皆さんはヘリオンで現場に到着後、戦闘に入ることに集中して下さい」
 周辺は静寂でもある。薊を発見することは難しくないだろう。
「薊さんを襲った敵ですが、死神であることが判っています」
 如何な狙いを持ってやってきたか、その詳細は判らない。だが放置しておけば薊の命が危ういことだけは確かだ。
 だからこそ確実な救出が必要だろう。
「薊さんを助け、敵を倒すために。さあ、行きましょう」


参加者
伏見・勇名(鯨鯢の滓・e00099)
マルティナ・ブラチフォード(凛乎たる金剛石・e00462)
癒月・和(繋いだその手を離さぬように・e05458)
ファルゼン・ヴァルキュリア(輝盾のビトレイアー・e24308)
カーラ・バハル(ガジェッティア・e52477)
黒澤・薊(動き出す心・e64049)
 

■リプレイ

●拘泥
 純粋ささえ宿った瞳に感じられた。
 風が翠を鳴らす中、黒澤・薊(動き出す心・e64049)はその死神の貌を見つめながら──同時に肌に感じる危機感に、小さく飛び退き刀の柄を握る。
「お前は誰だ? なぜ、私を狙う?」
「……僕を、憶えていないのか」
 応える死神、ホープ・シェフィールドは一瞬、双眸に憂いを浮かべた。
 それは何処か仄かな哀しさを交えてもいるようで。けれどすぐに首を振り、代わりに色濃い執着を滲ませる。
「話した時間は短かったし、無理もない。だが僕はずっと前から見ていた」
 声音には、水底で滾る熱にも似た不思議な温度があった。
 その感情を強い力に乗せるよう、ホープは太刀を振り上げる。
「一時は君を見失った。けれどこうして見つけた。だからもう他所へは遣らない──君は此処で死に、僕の元へ下るんだ」
 刹那、振るわれた刃から暴風の如き衝撃波が飛ぶ。
 青の瞳を見開き、薊もとっさに抜刀。風を斬って炸裂させ、爆破を生み出してホープの攻撃を相殺する。
 けれど余波だけでも吹き飛ばされそうで──薊は地を滑りながら何とか体勢を保った。
 強い、と実感する。だが同時に判った事もあった。
 小さい頃から、誰かに見られている気配を感じることはあったのだ。
「それが……その正体がお前だったのか」
 ホープは無言で肯定に代える。
「君は、僕のものになるんだ」
 そして涼やかに、けれど確かに妄執を含んだ声で云いながら。至近に踏み込むと連続の斬撃で薊に血潮を散らせていく。
 薊は下がりながら、意識を集中させて自己の体力を保った。
 けれど、そうする程に理解するのは敵の力量。このままであれば、おそらくは押し負けてしまうだろうという思いが心に明滅する。
 ホープもそれを知ってだろう、歩み寄って刃を翳した。
「さあ、僕の元へ」
 その一閃を振り下ろし、勝負をつけようとした、が。
「──させるものか!」
 瞬間、声と共に甲高い音が響いてホープの刀が止まる。
 見えたのは白の軍服。勇として、凛然なる佇まい。
 マルティナ・ブラチフォード(凛乎たる金剛石・e00462)。眼前に滑り込み、抜き放ったレイピアで攻撃を受け止めていた。
「危機と聞いて駆け付けたぞ、無事か薊!」
「マルティナさん……!」
 薊ははっとしてその背を見つめる。
「来て、くれたのですか」
「可愛い団員にして友達の危機とあれば、行かないわけにはいかないからね」
 と、声を返すのは癒月・和(繋いだその手を離さぬように・e05458)。小竜のりかーと共にひらりと降り立つと、その死神へ立ちはだかり目を向けた。
「しかもストーカーって……しつこい男はモテないよ?」
「……、僕は、求めるべき人を求めているに過ぎない」
 こちらを番犬と見て、ホープは刃を構え直す。
 だが攻撃の手が伸びるより疾く、業風のように迫る影があった。
 それはまるで翔けるように走り抜ける──ファルゼン・ヴァルキュリア(輝盾のビトレイアー・e24308)。
 高速で、絹の如き髪を大きく棚引かせて。さりとて相貌は一切崩さず、静かに敵を見据えながら──槍撃で敵の刀を払う『先陣』が隙を作り仲間への道を切り拓く。
 轟、と。
 その間隙へ空より降下するのはカーラ・バハル(ガジェッティア・e52477)。
「まずはこれでも、喰らえっ!」
 握る斧によって自己の龍の力を活性させ、耀くオーラを纏いながら。
 ヘリオンから飛び降りた速度のままに一直線、『龍翔撃』。高高度からの勢いでホープを薙ぎ、オーラを飛散させる衝撃でその体をも吹き飛ばしていった。
 それを確認したファルゼンは乾いた、というより単純に作業的な声音を後ろに向ける。
「今の内に治療を進めておくといい」
「んう、わかった。ぼくが、やっておく、ね」
 まかせて、と。ぽつぽつと応えるのは伏見・勇名(鯨鯢の滓・e00099)。
 声音は浅く、表情は薄く。頷きも小さいけれど、星剣をすらりと抜く手際は迅速に。しゃらりと光纏うそれを振り下ろすと、星灯りを一帯に広げて輝かせた。
 星座を描く光は、守りの加護と癒やしを与えていく。
 和もまた煌めく光盾を顕現。りかーの生み出す治癒の青光と交えて薊を万全としていた。
「これで大丈夫だよ」
「ありがとう、ございます」
 膝をついていた薊は立ち上がり、皆を見回している。
「皆さんのおかげで、助かりました」
「ああ、無事そうでよかった!」
 そう返すリーズレット・ヴィッセンシャフト(碧空の世界・e02234)は──灯火色の瞳を、体勢を直している死神へと向けていた。
「それで、薊さん! コイツやっちゃって良いのだよな!?」
「……ええ」
 薊は頷く。少なくとも、それが死神であり敵であることだけは確かであったから。
 こちらを睥睨したホープは、構わず攻撃を仕掛けようと刃へ力を込めている。
 けれど放たれた斬撃を、リーズレットの傍らから跳んだ匣竜、響が羽撃いて受け止めてみせると──。
「助かったぞ!」
 労いながら、宙へ踊るリーズレットが翻ってホープへ鮮やかな蹴撃を叩き込んでいた。
「マルティナさん!」
「ああ」
 空中を旋転しながらリーズレットが言えば、応えたマルティナがその眼下を疾駆。死神の眼前へと刃を突き出して、剣圧を爆破させて深い傷を負わせていく。

●愛情
 僅かに塵の煙が立つ中で、ホープは未だ斃れていない。
 こちらの力を身を以て知り、既に余裕のある戦況でないとは理解しているだろう。けれどその瞳に映るのは何処までも、薊だった。
「君の仲間ならば、皆一廉の人物なのだろう。けれど僕は、諦めはしない」
 阻むなら、全てを斬ってでも必ず君を手に入れて見せる、と。
 冷酷でありながら、その中に垣間見えるのは危うい程の愚直さ。
「薊さんは可愛いらしいし、優しいし、お友達想いな子だから……まぁ、追いかけたくなる気持ちもわからんでもないが……」
 と、リーズレットは微かに息をつくように声を零す。
「些か愛情表現が歪んでいるのではないか?」
「……、愛情? 僕の心はそんな浅薄なものじゃない。無二の配下として──彼女を、その存在を求めているのだ」
 瞳を細め、ホープは心外だと嘯く。
 ただ、紡ぐ声音に何処か自分でも不可解なものを感じているようで──リーズレットはそれを見ると小さくふむと呟いて。
「自分で気づいていないのか。いや」
 けれどそこで首を振る。最早何を言っても、野暮だろうと。
「お前は死神。ここで、朽ち果てるのだからな!」
「ああ、そういうことだ。──薊」
 マルティナは改めるように、一度だけその視線を薊へ向ける。
「本当に、……全力で、やっていいのだな? この敵は」
「ええ」
 薊は淀まず、同じ肯きを返した。
 あの敵は何処か、自分と似ている部分があると思っている。
 それがあの冷徹さなのか、他の全てを省みぬところであるのか──未だ多くの感情を解せない薊には、それが判らない。
 けれど、ここで斃さねば駆けつけてくれた皆が傷ついてしまうのは確かだと思ったから。
「全力で、戦います」
「判った」
 マルティナも力強く頷く。
 薊は自身の宿敵と対峙した時、手を引いてくれた。その恩を今こそ返すときだと、そう思うから。
「君は君の思う通りに。私はその想いを叶えるために、全力を尽くす!」
 刹那、双刃で弧線を描き、霊力に煌めく衝撃波を飛ばして敵の躰を切り裂いていく。
 血の滴を零しながらも、ホープは横薙ぎに太刀を滑らせ剣風を返してきた。けれどマルティナを含む盾役がしかと防御してみせると──和がくるりと雷杖を握る。
「問題ないよ。すぐに癒やしてあげる」
 ゆるりとした仕草で、輝かす雷光は目もくらむ程に眩く。
 蒼空を夜天と見紛う程、弾ける光を煌めかすと、生まれる雷壁は剣風の余波を吹き飛ばして傷を浚った。
「次はりかーも」
 と、和が優しく声を向ければ、りかーもすぐに鳴き声を返して。属性の力に満ちた光で盾役を纏い回復を進めていく。
 その姿を少し見つめているのは勇名。
 同じ立ち位置で戦いに臨むりかーが気になっていた事もあってか、ふわりと舞い戻ってくるりかーと居並ぶと──。
「じゃまじゃま~」
 協力しようとしてか、はたまた対抗しようとしてか。手をうねうねさせる謎の動きを含めつつ……宙に小型機を展開していた。
 広がった群は防護の陣を築くと共に、治癒の光を照射して残る前衛の負傷を拭い去っていく。
「んう、これで、みんな、ばんぜん」
「そうだね」
 応える和は、少しだけマルティナを窺って。心ではまだ心配ではあるけれど、今戦うその姿は少なくとも無事だから、安堵も浮かべつつ。
「みんな、攻撃はお願いするよ」
「任せてくれ!」
 頷くリーズレットは地を微かに鳴動させて、青藍の薔薇を現出する。ローズ・バインド──鞭のごとく撓る蔦がホープの足元を捕らえた。
「薊さん!」
 向けられた視線に、応えて奔り出す薊は刃へ氷気を纏いながら。迷いなき剣閃を振り抜いて、死神の膚を深く抉り裂いてゆく。
 微かに歯噛みしながら、ホープも刃で抗おうとした。けれどその眼前に迫るのが、カーラ。
「悪いけど、やらせねェぜ!」
 溌剌とした声音に、戦いを愉しむ心さえ交えながら。振り下ろす戦斧は重く鋭く、敵の刀を弾いて強烈な斬打を脳天に見舞う。
 小さく呻きつつ、ホープはそれでも闇色の衝撃波を返してきた、が。
「行ってくれ」
 背にファルゼンの声を受け、翔けゆくのは箱竜のフレイヤ。宙を旋回するように滑り、飛来した攻撃を庇い受けてみせると──。
 その頃にはファルゼンが治癒の光を収束している。
 衣をゆらりと揺らしながら、顕現した輝きは温かくも柔らかく。投じられたそれがフレイヤを覆うと、光に同化させるように傷を治していった。
 同時にファルゼンは、静謐を湛えた瞳で具に戦況を見て取って。直後にはフレイヤを飛び退かせることで射線を開けている。
 そこへ跳ぶのが、止まらず連撃を狙っていたカーラ。再度躰にオーラを纏うと、烈風の如き突撃を加えてホープを地へ叩きつけていた。

●爽風
 血溜まりの中で、死神の男はふらりと立ち上がる。
 零れる呼気は、ほんの微かにだけ震えていた。
 刃による抵抗は明確な拒絶だ。或いは今この瞬間、初めてホープは愛情という言葉の意味を、その行く末を、実感として身に覚えたのだろうか。
「……、それでも僕は」
 小さく呟くその声には、自らの命も問わぬ殺意が浮かんでいた。
 次には弱々しい挙動ながらも自己を回復して力を増幅する、けれど──カーラはそれを許さず肉迫している。
 ホープは繰り返された斧と突撃、何れかの攻撃が来ると踏んだことだろう。機を図って避けようとした、が、それは誤謬。
「どっちでもねェよ!」
 直後に躰を捻ったカーラは、刃の如く鋭い足刀で一撃。斬閃を刻みホープの加護を打ち砕いてみせた。……その衝撃で着地と同時にブーツに穴が空き、うわっと転げてはいたけれど。
 後退した敵へ、リーズレットも猶予を与えない。
 弓弦を引き絞ると、歯車を回転させて速度を増しながら矢を射出。魔力を靡かす一撃でホープの腹部を貫いてみせた。
「よし、今だ!」
 その言葉に、素早くレイピアを振るうことで応えるのがマルティナ。針の穴を通すよう、烈しくも研ぎ澄まされた剣撃で、相手の内部から衝撃を弾けさせて命を削ってゆく。
 口元から血を流しながら、ホープも刀を大きく薙がせて反撃を試みた。けれど刻まれた傷へ、即座に甘い香りの風が吹き抜ける。
 ファルゼンが軽く地を踏み鳴らして顕す花嵐。花弁が舞い、触れる度に魂を濯って皆を治療していった。
「負傷状態は問題ない。後は任せる」
「うん、判った」
 和は数歩歩み出ると瞳で敵を囚え、見据える。『千重波・炯華』──内在するその鋭さに、まるで縫い留められたようにホープは動きを止めた。
 勇名は光蝶を羽ばたかせて、薊の意識を澄み渡らせる。
「すきなよーに、どかーん、するといい。がんば、れー」
「そうだよ、おもっきしぶっ飛ばしておいで」
 和が目を向ければ、マルティナも頷いて。
「今までの分、すべて叩きつけてやると良いさ」
「思う存分ぶん殴ってやると良い!! かっとばせー!」
 リーズレットがぐっと拳を握ってみせると──薊は頷いて刃を振り上げていた。
 ホープは朦朧と、手を伸ばす。
「……、薊……僕、の……」
「私はお前のものになる気はない。これからもみんなと一緒にいるんだ」
 言葉と共に、薊は慈悲を与えず斬り込んだ。
 今なら判る。彼はきっと1人だったのかもしれない。だけど、自分は1人じゃない。
 違いはただ、それだけ。
「さあ、再び命を散らす覚悟はできたか?」
 刹那、振るう『散華』の剣撃がその死神の体を裂き、貫き、命を打ち砕いた。

 淡く薄らいで消えていく死神へ、薊は少しだけ視線を落としている。
 それはその存在が人ではないという証左のようで──リーズレットは見つめながら少しだけ呟いた。
「こんな風になってまで薊さんを好きだったのか……それともその気持ちを死神に利用されたか、それはわからないけれど」
 己のあり方が違っていたら、また違った結末になったのかもしれないな、と。
 無論、そんな事言っても仕方ないのだとは判っている。もう、数瞬のうちにその亡骸も風の中に消滅していったから。
 カーラは武器を収めて息をつく。
「これで、終わったな」
「……ええ」
 薊は頷いて、目を伏せながら応えた。
 マルティナはその顔へ、優しく言葉をかける。
「怪我がなくて良かった」
「皆さんの、おかげです」
 薊は見回して、ありがとうございます、と改めて礼を言った。
 その心にあるのは感謝だけれど、同時に助けてもらってばかりの自分に悔しさを覚えてもいる。
「私は未熟ですね……皆さんとは違って」
「それは違うさ」
 マルティナは穏やかに首を振って返した。
「君ばかりがそうなのではない。私もまだまだ未熟。だが、皆に助けられてこうしてここにいる。そしてその『皆』の中には、薊も確かにいるのだから」
 時に助け、時に助けられ。
 確かなのは自分達が仲間だと言うことなのだと。
「そうだぞ。それに今は、薊さんが無事で何よりだ!!」
 それが一番大事なことだと、リーズレットは明るく笑いかける。
 和も頷き、緩やかに笑んだ。
「お疲れさま」
「皆さん……ありがとう、ございます」
 薊は頭を下げて、もう一度言った。今度は、皆の優しさに心を温かくしながら。
「んう、みんなが、だいじょーぶで、よかったー」
 勇名は眠気を感じながらも……体に残る疲労は少なくて、まだ意識は保っている。
 ファルゼンは皆を確認してから歩み出す。
「では、やるべきことは、出来たな」
「ん、帰ろっか」
 和の言葉に、薊も頷いて林道を進んだ。
 一度だけ小さく、何も残らぬ跡へ振り返る。けれどすぐに前を向いて、薊はまた歩んでいった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年12月11日
難度:普通
参加:7人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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