冬の幻星

作者:崎田航輝

 澄んだ空気が初冬を告げる日。
 ひとけの無い丘が、淡い光の下で風に草を揺らしていた。
 夜半だというのに暗闇ではなく、丘のシルエットがぼんやりと浮かび上がって見えるのは──星が煌めいているからだろう。
 丁度空は、秋のもの交じって冬の星座が見え始める時期。寒空の星々が共演する夜天は眩く、美しかった。
 と──自然の眺めが広がるその丘の片隅に、一つだけ転がっている人工物がある。
 それは球形をした機械──プラネタリウムの投影機。家庭用の比較的小さなもので、スイッチひとつで星空を映せるものだ。
 けれど今、それは如何なる光も発しはしない。既に壊れていて、機械としての機能を失っていた。
 旧い型のものである。市街からも近いこの丘に、或いは投棄されてしまったのかも知れなかった。
 だからその投影機は星を仰ぎながら、自身が星を煌めかすことはもう無かった──本来であるならば。
 そこにかさりかさりと近づく影がある。
 コギトエルゴスムに機械の脚が付いた、小型ダモクレス。その投影機の中に入ると一体化して──まるで人のような形へ変形していた。
 人形となった投影機は、手を広げて空を見る。すると本物と見紛うほどの、眩い星空が映し出されていた。
 それは美しい、春の星空。
 まるでそれを懐かしむように見つめながら──人形は丘を歩き出す。目指すのは人々の住む市街だった。

「冬、だね」
 しんと冷え始めてきたヘリポート。
 ロストーク・ヴィスナー(庇翼・e02023)は夜風に髪花を揺らしながら、呟いていた。
 ええ、と応えるのはイマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)だ。
「空気も澄んで星も綺麗ですね。こんな日は空を眺めながら過ごすのもいいかもしれません。けれど……」
 この夜にデウスエクスの出現が予知されたのだ、と語った。
「現れるのはダモクレスです」
 とある丘に放置されていた家庭用のプラネタリウムの投影機があったのだという。そこに小型ダモクレスが取り付いて変化してしまうというのだ。
 丘は市街からさほど離れてはいない。
「……放っておけば、そのダモクレスが人々を襲ってしまう、か」
「ええ。ですから皆さんの力をお借りしたいのです」
 その言葉にロストークは頷いた。勿論力を尽くそう、と。
 イマジネイターも頷き、続ける。
「今回は戦場の範囲には人通りはありません。現場に到着次第、戦いに集中してください」
 周囲の景色を傷つけずに終われる筈だ。
 ですから、とイマジネイターは続ける。
「勝利した暁には、星を眺めていってはいかがでしょうか」
 小高い場所で、綺麗に星が見えるスポットでもある。丁度冬の星座も見え始める頃、天体観測をして過ごすのもいいでしょうといった。
 小竜のプラーミァが少し顔を空に上げると、ロストークも夜天を見上げてから頷く。
「それも、良さそうだね」
「皆さんならば勝利できるはずですから。ぜひ頑張って下さいね」
 イマジネイターはそう言葉を結んでいた。


参加者
セレスティン・ウィンディア(墓場のヘカテ・e00184)
エリオット・シャルトリュー(イカロス・e01740)
エリヤ・シャルトリュー(影は微睡む・e01913)
レヴィン・ペイルライダー(秘宝を求めて・e25278)
宮口・双牙(軍服を着た金狼・e35290)
ブレア・ルナメール(軍師見習い・e67443)
ローゼス・シャンパーニュ(セントールの鎧装騎兵・e85434)

■リプレイ

●春星
 光が散りばめられた天のドームは遥かに高く雄大だ。
 それでもこの手で触れられそうだと思うのは、瞬く星が余りに眩いからだろう。
 曰く、この空とも見紛う星を映す物があるというから──ローゼス・シャンパーニュ(セントールの鎧装騎兵・e85434)はフルヘルムの間からその敵影を探していた。
「どのような由来でここに置いてゆかれたのか。気になるところではありますね」
「プラネタリウムか……」
 宮口・双牙(軍服を着た金狼・e35290)は呟き視線を前に遣る。
 久しく星を見に行っていないことを思った。
 或いは、それ故に夜天も──それを覆い隠すほどの光も目に眩しく映ったのだろう。
「……あれ、か」
 ふと足を止める。
 見つけたのは、人形となったダモクレスと、それが輝かす疑似の星空。
 冬空と違うその星図に、エリオット・シャルトリュー(イカロス・e01740)は声を静めた。
「春の星。……そうか、お前さんは春で止まってしまったのか」
「冷えてきて、今も春を待ち遠しく思っているのかもしれないね」
 けれど、と。
 ロストーク・ヴィスナー(庇翼・e02023)は仄かに冷えた手を白手袋で覆う。
「──まだ冬は始まったばかりだよ」
「うむ」
 ローゼスは槍を向けて、星映す人型へ宣戦した。
「時節にあらぬ空を映すものよ。これを人々の目に触れさせるわけにはいかん。貴様はここで果てよ!!」
 丘に棄てられた境遇を思えば寂しくも感じる。同時に人々へ被害が出ぬ環境であれば、全力を出すことに躊躇もないから。
 輝ける円陣を矛先で描き、敵の力に抗する陣を敷いて戦いの初手と成した。
 その人形は、こちらに気づくと一層光を明るく輝かす。
 まるで全てを照らそうとするかのようで──けれどその中にも暗色が揺らいだ。
 それは、エリヤ・シャルトリュー(影は微睡む・e01913)が操るローブの影。
 瞳の魔術回路を光らせて、淡い星雲のような眠気をしゃっきりと払いながら──その影で蔓と果実を模っていた。
 滴る甘露は仲間に加護を与えながら、冥色の波紋を広げていく。それは光の中に描かれる影の標のようで。
「にいさん、守りは大丈夫だから」
「ああ。攻めさせてもらう」
 エリオットは武装靴で地を撫ぜて、敷かれた影の道へ炎の鵙を解き放っていた。
 幻創像・蒼翼のレイニアス。炎で刷いた軌跡ごと突撃したそれは、焔の杭となって人形を縫い止める。
「ローシャ」
「了解」
 そこへロストークが小竜のプラーミァを飛翔させ、滾る吐息を見舞わせた。
 混じり合う焔が紫の火の粉を散らす中、ロストーク自身も宙を翔け、槍斧の縦一閃を叩き込んでいく。
 よろめく人形は星を映し直して番犬を襲った。
 眩しすぎる程の衝撃──けれどそこに、本物の星灯りが舞い降りてくる。
「──癒やしの光を」
 それはブレア・ルナメール(軍師見習い・e67443)が星剣に招来した夜天の加護。
 流星群となって降りる光は、星座の残滓を煌めかせて。その輝きから零れた祝福が、非実在の星を濯い流して皆を護っていた。
 テレビウムのイエロが盾役のローゼスを治療すれば、負傷は残らない。
「このまま背中は任せてください。皆さんは攻撃を」
「勿論だぜ!」
 ブレアの声に明朗に返すのはレヴィン・ペイルライダー(秘宝を求めて・e25278)。ゴーグルをかけて真っ直ぐに見据えると──高く跳んで人形の頭上を取っていた。
 人形は光の数片をレヴィンへ差し向けてくる。
 けれど、レヴィンが彗星のように降下する方が速い。瞬間、痛烈な蹴撃が機械の体を打って軋ませた。
「次、頼む!」
「……ああ」
 応える双牙は既に敵の至近に滑り込んでいる。
 体を廻して脚を撓らせ、繰り出す蹴撃は旋風の如く。軍靴の生む衝撃が爪のように鋭く金属の体に深い傷を刻んだ。
 人形はよろけながら、光を決して減らさない。
(「プラネタリウム……欲しいとなんど思ったか」)
 その輝きに、セレスティン・ウィンディア(墓場のヘカテ・e00184)は過日を思った。科学館で見るそれは圧巻で美しかったと。
 ──でも、自然の只中で見る本物に叶わないのもまた真実。
「だってそうでしょ? こんな場所で、野暮ね」
 仰げば果てない光が無数にある。
 それはやはり作り物では及ばなくて。
「星を見るために、星を邪魔するもの──排除するわ!」
 漆黒の宝珠が水晶にも似た焔を放つ。
 それはセレスティンが纏う月光を反射しながら、美しく、綺羅びやかに──人形の体を穿ち貫いてゆく。

●幻星
 傷ついた躰で人形は座り込んでいた。
 それでも宙が眩いのは、未だに春の星々を映し続けているから。
「投影機だけど、本当に本物の星みたいに見えるんだな」
 レヴィンはその美しさを実感し呟く。
 現実のような天穹のレプリカ。双牙はそれを、見事だと思うけれど。
「勿体ないが、ダモクレスとなった以上は壊さざるを得ないな」
「そう、ですね」
 ブレアも頷いた。
 ダモクレスとの戦いは、いつも少しだけ心が痛む。それでも、斃さねばならぬ敵だから。
 レヴィンもリボルバーを握り締めた。
「今度生まれ変わった時は、また人を喜ばせるために輝いてくれ」
 刹那、連続の銃声でフラッシュを焚く。
 それはマガジンに装填した弾を撃ち尽くす『贅沢な弾丸の使い方』。流れ星のような衝撃を奔らせ、飛び交わせて、人形に風穴を開けていった。
 疾駆する双牙は、手刀を地獄化して燃え盛る炎を宿している。
「この一撃を……受けろ!」
 炎熱を靡かせて、振るう斬撃は『閃・紅・断・牙』──ヴァイオレント・ファング。獣の如く靭やかに、力強く。鋭利な一閃で人形の片腕を切り飛ばす。
 間合いを取ろうとする人形、だがそこへ赤き影が一瞬で迫っていた。
 それは風の如き速度で奔ったローゼス。
 強靭な肉体は、高速駆動と尋常を超えた膂力を発揮する。
 直後に繰り出す一撃は『Aimatinos thyella』──嵐の如き苛烈な刺突で人形を突き崩した。
「次の、攻撃を」
「ええ」
 セレスティンは清艶な声を返しながら、その手に無骨な槌を携える。
 篭める魔力は夜闇より冥く、放つ轟音は暴風より騒々しく。間近から撃ち出す『死の調べ』は、違わず人形の腹部を砕いていた。
 人形は反撃に幻の景色を映し出す。光に取り巻かれたロストークは──月のない満天の星空と無音の雪原を見ていた。
(「ああ、これは」)
 幼い日の景色だ、と。
 孤独の冬に立ち尽くした、あの。
 ロストークはその中で寒さと静けさに飲まれようとする、けれどその時。温かな影が景色を覆って幻を薄めていく。
 それはエリヤが伸ばした治癒の魔力。
「ローシャくん、大丈夫?」
「エーリャ。ありがとう」
「後は、こちらで処置を」
 同時、幻景の残滓が花の香りに消え始めていた。
 ブレアが地を小さく踏み鳴らし、癒やしの花吹雪を宙に踊らせていたのだ。花弁が舞って燦めくたび、幻を塗り替えるように現実の景色が戻ってくる。
「これで大丈夫です」
「じゃあ、攻撃に移ろうか」
 エリオットが宙を泳いで蒼雷の刺突を放てば、エリヤも熱の無い黒い炎を放って人形の魂を確実に削ってゆく。
 それでも人形は足掻くよう、光を瞬かせた。
 瞬間、幻影に包まれたエリオットは、逆巻き揺らぐ炎を見る。
 聞こえるのは細く甲高い耳鳴り。それは地獄を得るに至った礼拝堂、その崩落する景色だ。
(「……あの時の」)
 頭痛に膝をつくエリオット──だが、直後にその光景が消えていく。ロストークが冬風にも似たオーラを与えて幻を払っていた。
「さあ、イエロも」
 と、ブレアの声に応じてイエロが画面を輝かせれば、エリオットの意識も明瞭に戻る。
 憂いが消えれば、エリヤが瞳の蝶とローブの回路を連動させて、影の異形蝶を飛び立たせていた。
 羽化の邪眼:《argus》。羽ばたく翅が人形を闇に包むと──エリヤと視線を絡めたロストークが槍斧を構える。
 人形は最後まで春を映していた。
 ロストークも春が好きだから、気持ちは分かる気がするけれど。
「きみに春を見せてやるわけにはいかないんだ」
 放つ『Шепот звезд』は、燦めく氷霧を星々のように鳴らし、煌めかす。
「これで、終わりとしよう」
 そこへエリオットが振るう斧の一撃が、冬を告げるように。静かに、烈しく人形の命を両断した。

●冬星
 初冬の空気が肌を撫ぜて、空に満天の光が瞬く。
 戦いの痕を癒やしたそこは、平和で穏やかな星灯りの丘。番犬達はそれぞれに、この夜の時間を過ごし始めていた。
「それにしても、冷え込んで来ましたね」
 ブレアは風に冬の温度を感じて、保温ポットを取り出す。
「この時期は乾燥も厳しいので……温かい紅茶をいかがでしょうか。よければクッキーもご一緒に」
「ありがとうございます」
 カップ注がれた紅茶とお菓子を、ローゼスは受け取って夜天を仰ぐ。
 淡い碧や紅が交じって見える星々は、宝石のようだ。
「それにしても本当に美しい……空ですね」
 ブレアも心から声を零して。それからローゼスと話を交わした。
 ローゼスは星の話に好奇心を浮かべている。
「春の星座にケンタウロス座? なるほど、そのようなものが。一つ学んでしまいました」
「季節によって見える星座が違うのは、面白いですよね」
 ブレアの言葉に、ローゼスも頷いていた。
 星座という地球の文化に触れて、どこか不思議な心持ち。
 戦場で夜空を見上げることはあろうとも、そこに浪漫があると知るのも初めてかもしれなかったから。
 冬が過ぎればまた春が来るだろう。
「星は今までもこれからもきっと、僕たちを見守りつづけてくれるのでしょうね」
 ブレアは輝き続ける空を思い、瞳を閉じる。
 ローゼスはその間も空へ視線を巡らせていた。
「私達の星は何処かにあるのでしょうか。いえ、見える筈もありませんね」
 それでも夜空は澄明で──ローゼスは暫くそのまま眺めていた。

 仄かな夜風が髪をさらさらと揺らす。
 セレスティンは大きめのストールを巻いて、なだらかな傾斜に腰を下ろした。
「綺麗ね──」
 眺める程に、本物の星はやはり清らかで美しい。
 あの人形に映されていた春の星々に、少し申し訳なさも感じる──けれど、それがなんだと言うのだろう、と。
 だって、冬は始まったばかりなのだ。
 いずれ季節は巡り、物も星すらも朽ちていく。
 だから懐かしい思いを引きずりながら、ここにある星空を見て──そうして今を感じることが尊くて。
 プラネタリウムと言うその箱では収まらない広い世界が胸に広がる、そんな気がした。
 けれど滅びゆくからこそ美しいとも思う。あの春の星々ですらも。
「私たちはたくさんの星の中で、地球を選んだのね」
 消えゆく星、今ここにある星。
 遥か彼方に思いを馳せながら──この大地のことも確かに感じて。セレスティンは静かに星の時間を過ごしていく。

 遮るもののない夜空は、薄っすらと影が落ちる程眩い。
 ほんのりとエリカを揺らす風は寒いけれど──。
「お星さまはキラキラできれいだね」
 エリヤは真綿に包まれるような柔らかな眠気と共に、空を仰いで呟く。
 それに、ロストークも小さく頷いていた。
「これくらい空気が澄んでいると、よく見えるんだろうね」
 実際よく冷えるから……プラーミァを襟巻にしている。プラーミァもその位置で満足気に、温かな温度を伝えていた。
 と、エリオットが思い出すように歩み寄っている。
「少し前にも、写真撮ったよな」
「うん。二人とも、見るかい?」
 ロストークは以前に収めた写真を取り出した。エリヤは覗き込んで、表情を和らげる。
「この空も、きれい」
「あの時とは場所も違うけれど──冬に近くなったのを感じるな」
 エリオットも見ながら声を零す。
 写真の中にあるのは秋の空。それから時間が経過したことを、今の空と見比べると実感する思いだった。
 そんな様子にロストークも小さく笑みを見せる。
 友人と見たり撮ったりするようになって、星空が怖くなくなってきたと、そんなふうに思えた。
 それからまた皆で空を眺める。
「冬というと、オリオン座が見えるはずだな」
「オリオン座、どれだっけ……」
 エリオットの言葉に、エリヤはゆっくりと視線を巡らせる。ロストークも無限の星々にそっと指を這わせていた。
「三連星のベルト、だっけ?」
「三連星……? ひょっとしてアレか?」
 エリオットが差したのは中天より微かに南の空。そこに特徴的な三つの光と、それを囲う星々の形が見えた。
 エリヤはほわりと笑みを浮かべる。
「まぶしいお星さまも、ちいさなお星さまもあるんだね」
「折角だから、あれも撮っておかないか?」
 エリオットが言うと、ロストークは頷いてデジカメを向けた。
「そうだね」
 秋に次いで、冬の空を残しておくのもいいだろう、と。
 三人で覗き込み、良く撮れた事を確認すると──別の星座を見つけては撮っていく。
 次の季節の空を見に来ることもあるだろうかと、三人一緒に思いながら……見つめる空は一層輝いていた。

 レヴィンは丘を少し登って来ていた。
 ここだとより星が見える気がする。市街は遠くないけれど、木々が壁となって街の灯りは届かず、クリアな視界だ。
「いい眺めだな!」
 ひゅうと風が吹いて少し体が冷えると、コーヒーを飲んで。温かな美味を味わって空を眺めるのも乙なものだと、満足する心持ちだった。
「しっかし──」
 と、この自然に囲まれた景色に、思い出すのは父親と旅をしていた昔のことだった。
「野宿が多かったからなぁ……」
 想起するように、遠い空を見つめる。
(「父さんは今何してるんだろ? あれから10年だぜー?」)
 父はレヴィンが18歳の時にどこかへ行った。
 きっと父のことだから元気にやっているだろうけれど──この年月を考えると、ふと物思いにもふけってしまう。
「ま、会うこともあるだろ」
 いつになるかは分からないけれど。今はただ、ゆったりと星を眺めていた。

 緩やかな風が止むと、星が瞬く音まで聞こえるようで。
 そんな穏やかな静寂の中で、双牙は夜天を眺めていた。
「……冬は星が眩しいな」
 空が高くて、星のない闇が暗く見えるから。きっと星が一層綺麗な季節なのかも知れないとふと思った。
 ポットからコーヒーを注ぎ、啜る。寒空の下では、香り高くて優しい苦味と酸味が、沁み入るようだ。
「今年も、多くのことが在ったな……」
 星が巡るように、思いを巡らせて双牙は呟く。
 数多くの敵と戦い、時に苦心し、仲間と協力し戦果を上げたこと。友人と交わした訓練、喫茶店で過ごした日……いくつも思い出は浮かんだ。
 そして月を見上げ、自身の拳をやわく握った。
 終わったことはある。けれどまだ終わっていないこともある。
「戦いは……まだ続くのだろうな」
 その時には力を賭す。だから、今この時は休息しよう、と。また一口コーヒーを飲んで──双牙は静かに過ごしていった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年12月7日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 3
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